JP2010270324A - ポリウレタンフォーム用の発泡性添加剤、及びそれを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フォームの接着性やフォームが高密度化する問題や、フォームの初期の発泡性低下による成形性悪化の問題を解決し得るポリウレタンフォーム製造用の添加剤、及びそれを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び発泡剤の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤の一部又は全部として、下記一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R1〜R4は、水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の数である。]
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩からなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤を使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び発泡剤の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤の一部又は全部として、下記一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R1〜R4は、水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の数である。]
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩からなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤を使用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アミン化合物と二酸化炭素との塩及び水からなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性の添加剤、及びそれを用いた発泡性と成形性に優れた硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
ポリウレタンフォームは、クッション性、衝撃吸収性能、断熱性及び自己接着性等に優れることから、家具、自動車部品、電気冷蔵庫、建材等に幅広く利用されている。
断熱材として使用される硬質ポリウレタンフォームの製造においては、従来、断熱性能を維持するため、発泡剤として有機フロン化合物が使用されてきた。近年、地球環境の保護という観点から、これらの使用を禁止する動きが出てきている。
具体的には、地球温暖化係数の高いクロロフルオロカーボン類(CFC)やハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)を発泡剤として用いないで、地球温暖化係数の低いハイドロフルオロカーボン類(HCFC)やハイドロフルオロカーボン類(HFC)、ハイドロカーボン類(HC)と、イソシアネートと水との反応により発生する二酸化炭素とを発泡剤として利用する硬質ポリウレタンフォームの製造方法が採用されてきている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、地球温暖化問題が大きく叫ばれるに至り、ハイドロフルオロカーボン類やハイドロカーボン類等の有機化合物を発泡剤として全く用いないで、温暖化係数がさらに低い二酸化炭素のみを発泡剤とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法に対する要望が拡大して来た。
二酸化炭素のみを発泡剤として使用する硬質ポリウレタンフォームの製造方法としては、例えば、発泡剤として水のみを使用し、水とポリイソシアネート化合物との反応により発生する二酸化炭素を利用するのが一般的である(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、発泡剤として水のみを使用すると、水とイソシアネートとの反応によるウレア結合の増加に起因してフォームと面材との接着不良が起こりやすいという問題があり、また、フォームが高密度化するという問題が指摘されている。
また、発泡剤として、亜臨界流体、超臨界流体又は液体状態の二酸化炭素を使用する方法(すなわち、液化二酸化炭素を処方中へ直接添加する。)が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載の方法は、スプレー方式の成形には適しているが、低温度雰囲気下での接着性不良や、液体二酸化炭素を利用するための装置上の問題が指摘されている。
さらに、発泡剤として、1級又は2級アミン化合物と二酸化炭素との付加物を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、二酸化炭素のみを発泡剤として使用する硬質ポリウレタンフォームの製造方法ではないが、触媒として、二酸化炭素とアミン類との塩を使用する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、特許文献4、特許文献5に開示された二酸化炭素とアミン類の反応物は、発泡剤としての効果が低いため、フォームが高密度化したり、スプレー方式での成形においては初期の発泡性が十分ではないため、成形性が悪化する等の問題がある。
これらの問題を解決すべく、種々検討されているが未だ十分な解決方法は見出されていない。
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、フォームの接着性やフォームが高密度化する問題や、フォームの初期の発泡性低下による成形性悪化の問題を解決し得るポリウレタンフォーム製造用の添加剤、及びそれを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のアミン化合物と二酸化炭素の塩を発泡剤の一部として硬質ポリウレタンフォームの製造に用いることにより、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの、ポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤、及びそれを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法である。
[1]下記一般式(1)
[1]下記一般式(1)
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩からなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤。
[2]上記一般式(1)で示されるアミン化合物が、分子量104以上のポリオキシプロピレンジアミン及びポリオキシエチレンジアミンからなる群より選択されることを特徴とする上記[1]に記載のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤。
[3]上記[1]又は[2]に記載のアミン化合物と二酸化炭素との塩を、溶剤に溶解してなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤。
[4]溶剤が、水又は水と有機溶剤の混合物であることを特徴とする上記[3]記載の発泡性添加剤。
[5]ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び発泡剤の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、発泡剤の一部又は全部として、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の発泡性添加剤を用いることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、二酸化炭素ガスの発生率が高いため、発泡効率のよい発泡剤として作用する。
本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤を、硬質ポリウレタンフォームの製造に用いると、発泡開始時間が早くすることができる。このため、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、スプレー方式のポリウレタンフォームの製造方法に好適に使用される。
また、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、発泡効果が高いため、フォームの低密度化に寄与し、フォームセルが細かい等の成形性や構造材としての接着強度の維持に効果的である。
このように、本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、環境を汚染しないで且つ高品質な硬質ポリウレタンフォームが製造できる方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、上記一般式(1)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩からなる。
本発明においては、上記一般式(1)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩を、溶剤に溶解させてもよい。アミン化合物と二酸化炭素との塩は溶剤中ではアミン炭酸塩として存在している。
本発明において、上記一般式(1)で示されるアミン化合物としては、分子量104以上のポリオキシプロピレンジアミン及びポリオキシエチレンジアミンが好適に使用される。分子量は、150〜500の範囲がさらに好ましい。また、上記一般式(1)において、nは通常1〜35の範囲の数であり、1〜9の範囲の数がさらに好ましい。分子量が小さすぎると二酸化炭素ガスの発生率が低くなり、分子量が大きすぎると二酸化炭素の付加量が少なくなるため好ましくない。
上記一般式(1)のアミン化合物と二酸化炭素の塩は、熱分解による二酸化炭素ガスの発生率が高いという特徴を有している。
上記一般式(1)で示されるアミン化合物は、従来公知の方法で製造できる。例えば、相当する分子量のポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとアンモニアを高温高圧で反応させることにより製造することができる。
上記一般式(1)で示されるアミン化合物として、具体的には、市販のポリオキシプロピレンジアミン類である、JEFFAMINE D−230[上記一般式(1)において、R1、R3はメチル基を表し、R2、R4は水素原子を表し、nは〜3.7であり、分子量は約230である。CAS No.9046−10−0]や、JEFFAMINE D−400[上記一般式(1)において、R1、R3はメチル基を表し、R2、R4は水素原子を表し、nは〜7.1であり、分子量は約430である。CAS No.9046−10−0](以上、ハンツマン社製)等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンジアミンとしては、具体的には、ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコール等)のアミノ化体が例示される。
本発明において、上記一般式(1)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物と二酸化炭素との塩(以下、「アミン炭酸塩」と称する場合がある。)は、例えば、室温下に上記したアミン化合物と溶剤を混合しておき、その混合溶液中に二酸化炭素ガスを吹き込めば、発熱しながら反応するので容易に製造することができる。反応時の液温度は、通常50℃を超えないように温度調節し、40℃以下とすることが好ましい。二酸化炭素の付加量は、アミン化合物のアミノ基1モルに対して通常0.01〜0.5倍モルの範囲であるが、二酸化炭素がアミノ基へ完全に付加するまで二酸化炭素ガスを供給することが望ましい。
この際、溶剤としては、特に限定するものではないが、水、有機溶媒が好ましく、水と有機溶媒を併用してもよい。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類や、後述するウレタン製造用のポリオール類が好ましい。これらのうち、水、又は水とグリコール類との混合物がさらに好ましい。溶剤の使用量は特に限定されるものではないが、アミン化合物(すなわち、生成するアミン炭酸塩)1モルに対して、通常0.2〜4倍モルの範囲である。溶媒量が少なすぎると溶液が高粘度化するおそれがある。
本発明において、アミン炭酸塩は、通常固体であるため、製造上、使用上の問題より、溶媒に溶解した液状品とすることが好ましい。溶媒としては、水、有機溶媒が好ましく、水と有機溶媒を併用してもよい。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類や、後述するウレタン製造用のポリオール類が好ましい。これらのうち、水、又は水とグリコール類との混合物がさらに好ましい。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、アミン炭酸塩1モルに対して、通常0.2〜4倍モルの範囲である。溶媒量が少なすぎると溶液が高粘度化するおそれがある。
本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒、発泡剤、及び必要に応じて、界面活性剤、難燃剤等の存在下で反応させるポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤の一部又は全部として用いられる。
本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤は、二酸化炭素ガスの発生率が高いため発泡性に優れる。得られるフォーム製品は低密度でフォームセルが細かい等成形性に優れる。このため、本発明の発泡性添加剤は、硬質ポリウレタンフォームの製造に好適に用いられる。さらに本発明の発泡性添加剤は、発泡開始時間が早くなるため、発泡性の低下が問題となるスプレー方式の硬質ポリウレタンフォームの製造に特に好適に用いられる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び発泡剤の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、発泡剤の一部又は全部として、上記した本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤を用いることをその特徴とする
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤の使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、アミン炭酸塩として、通常0.1〜20重量部の範囲であるが、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤の使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、アミン炭酸塩として、通常0.1〜20重量部の範囲であるが、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、従来公知のポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、及び必要に応じて整泡剤、難燃剤、架橋剤、その他助剤を使用することができる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、使用されるポリオールとしては、従来公知の化合物が使用でき、特に限定するものではないが、例えば、反応性水酸基を2個以上持つ、水酸基価が50〜1000mgKOH/gの範囲のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、フェノールポリオール、さらには含リンポリオール、ハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が挙げられる。
ここで、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。活性水素化合物としては、例えば、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、l,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールブロパン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、シュークロース等)、多価フェノール(例えば、ピロガロール、ハイドロキノン等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、フェノールとホルムアルデヒドとの低縮合物等)、脂肪族アミン(例えば、プロピレンジアミン、へキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ぺンタメチレンヘキサミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等)、芳香族アミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等)、脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等)、複素脂環式アミン(アミノエチルピペラジン等)、マンニッヒポリオール(例えば、前記した多価フェノール、前記した脂肪族アミン、及びホルムアルデヒドのマンニッヒ反応により得られる化合物)等が挙げられる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、2種以上を併用してもよい。
上記した活性水素化合物に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれら2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びこれらの併用である。
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した多価アルコールと多塩基酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、ダイマー酸、トリメリット酸等)とを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られるポリラクトンポリオール等が挙げられる。
また、ポリマーポリオールとしては、例えば、上記したポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)とをラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールのうち、硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、グリセリン系、ソルビトール系、シュークロース系、脂肪族アミン系、及び芳香族アミン系のポリエーテルポリオール、マンニッヒポリオール、フタル酸系のポリエステルポリオールが好適に使用できる。フタル酸系のポリエステルポリオールとしては、オルソフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のフタル酸と、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を1種又は2種以上用いて、従来公知の方法によって製造されるポリオールや、ポリエチレンテレフタレート等のフタル酸系ポリエステル成形品を分解して得られるフタル酸系回収ポリエステルポリオール等が含まれる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、使用されるポリイソシアネートとしては、従来公知の化合物が使用でき、特に限定するものではないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環式ポリイソシアネート及びこれらの変性物(例えば、カルボジイミド変性、アロファネート変性、ウレア変性、ビューレット変性、イソシアヌレート変性、オキサゾリドン変性等)、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
ここで、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン2,4’−又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、これらポリイソシアネートは単独で、又は適宜混合して併用することもできる。
これらポリイソシアネートのうち、硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン2,4’−又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)が好ましい。さらに好ましくはポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)である。
これらポリイソシアネートの使用量は、フォーム強度、イソシアヌレート反応の完結等を考慮すると、ポリイソシアネートと反応しうる活性水素化合物(ポリオール、水等)とのINDEX(=[イソシアネート基]/[イソシアネート基と反応しうる活性水素基](モル比)×100)で、80〜400の範囲が好ましい(以下、このINDEXを、「イソシアネートIndex」と称する場合がある)。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、使用される触媒としては、従来公知の化合物が使用でき、特に限定するものではないが、例えば、従来公知の第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、有機金属化合物等が挙げられる。
ここで、第3級アミン類としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール等の第3級アミン化合物類、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
また、第4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩類、ヒドロキシアルキル系4級アンモニウム有機酸塩類であり、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムギ酸塩、テトラエチルアンモニウム酢酸塩、テトラエチルアンモニウムギ酸塩、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等が挙げられる。
また、有機金属化合物としては、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ビスマス系化合物、カルボン酸のアルカリ金属塩類(例えば、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)等が挙げられる。
これらのうち、硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテルが、臭気低減及び発泡開始時間が早くなるため好適である。
また、イソシアネートIndexが100以上の処方においては、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム及び第4級アンモニウム塩類がイソシアヌレート活性が高いことから好ましく使用される。
これら触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、一般的にはポリオール100重量部に対し0.01〜10重量部の範囲である。
発泡剤としては、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤以外に、有機化合物及び/又は水を用いてもよい。有機化合物は、フッ素系化合物や炭化水素系化合物が使用できるが、炭化水素系化合物が地球温暖化対策上好ましい。例えば、ペンタン類やシクロペンタンが、ポリオール100重量部に対し通常5〜30重量部の範囲で使用される。
しかしながら、地球温暖化問題の観点より、水が最も好ましい発泡剤である。水の使用量としては、所望の密度やアミン炭酸塩の使用量に応じ、適宜変化させて使用されるため、特に限定するものではないが、例えば、ポリオール100重量部に対し、水1重量部以上使用することが好ましい。さらに好ましくは、ポリオール100重量部に対し、水3重量部以上である。
整泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、オルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリコール共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。その使用量は特に限定するものではないが、通常、ポリオール100重量部対し0.1〜10重量部の範囲である。
難燃剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。これらのうち、ハロゲン含有リン酸エステル類が好ましく、トリスクロロプロピルホスフェートが安定性が良く、難燃性が高いため特に好ましい。
これら難燃剤の使用量は、要求される難燃性に応じて異なるため、特に限定するものではないが、難燃性とフォーム強度のバランスを考慮すると、ポリオール100重量部に対し、5〜500重量部の範囲が好ましい。難燃剤の量は、多いと難燃性が向上するものの、過剰に加えるとフォーム強度が低下するおそれがある。
また、必要であれば、架橋剤若しくは鎖延長剤、着色剤、老化防止剤その他公知の添加剤等を添加することができる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、例えば、本発明のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤を、発泡剤の一部又は全部として触媒、発泡剤等と共にポリオール中に混合してプレミックス液とし、このプレミックス液とポリイソシアネート液の2液を低圧発泡マシン、高圧発泡マシン、スプレーマシン等を用いて混合し、適当な金型中に投入することで、発泡成形されたポリウレタンフォームを製造することができる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、その密度が通常10〜500kg/m3の範囲、好ましくは20〜100kg/m3の範囲であり、その熱伝導率が通常40mW/m・K以下、及びその10%圧縮強度が通常3.0kg/cm2程度(フォーム密度が50kg/m3付近の場合)のフォーム物性を有するものである。本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、例えば、断熱材として好適に使用される。
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、表中の(%)は断りがない限り重量基準の%を表す。
実施例1〜実施例2、比較例1〜比較例6.
<アミン化合物と二酸化炭素との塩(アミン炭酸塩)の製造>
攪拌機付き500ml三ツ口フラスコに、表1に示すアミン化合物100g〜150gと適当量の純水又は溶剤を仕込み、攪拌下、液温20℃に調整後、液温40℃を超えないように温度調整を行いながら、液化二酸化炭素ボンベより二酸化炭素ガスを液中に約3時間バブリングさせてアミン炭酸塩の水溶液を製造した。アミン化合物と二酸化炭素の反応による発熱は約1時間で終了していた。得られたアミン炭酸塩水溶液をそれぞれC−1〜C−12とし、これらの中から各約200g程度をサンプリングして、以下の分析とウレタン用発泡剤としての評価に用いた。
<アミン化合物と二酸化炭素との塩(アミン炭酸塩)の製造>
攪拌機付き500ml三ツ口フラスコに、表1に示すアミン化合物100g〜150gと適当量の純水又は溶剤を仕込み、攪拌下、液温20℃に調整後、液温40℃を超えないように温度調整を行いながら、液化二酸化炭素ボンベより二酸化炭素ガスを液中に約3時間バブリングさせてアミン炭酸塩の水溶液を製造した。アミン化合物と二酸化炭素の反応による発熱は約1時間で終了していた。得られたアミン炭酸塩水溶液をそれぞれC−1〜C−12とし、これらの中から各約200g程度をサンプリングして、以下の分析とウレタン用発泡剤としての評価に用いた。
各アミン炭酸塩水溶液中の成分濃度(重量%)を表1に示す。
<アミン炭酸塩の二酸化炭素ガス発生率>
前記攪拌機付き500ml三ツ口フラスコに水冷の冷却器を装着し、残留しているアミン炭酸塩水溶液を80℃に昇温した。昇温中から二酸化炭素ガスの発生が認められ、最終的に80℃で30分間二酸化炭素ガスを発生させた。その後500ml三ツ口フラスコを室温まで冷却して、中に残った液をサンプリングし、上記した分析方法にて二酸化炭素濃度(重量%)を求めた。
前記攪拌機付き500ml三ツ口フラスコに水冷の冷却器を装着し、残留しているアミン炭酸塩水溶液を80℃に昇温した。昇温中から二酸化炭素ガスの発生が認められ、最終的に80℃で30分間二酸化炭素ガスを発生させた。その後500ml三ツ口フラスコを室温まで冷却して、中に残った液をサンプリングし、上記した分析方法にて二酸化炭素濃度(重量%)を求めた。
この結果から各アミン炭酸塩の二酸化炭素ガス発生率(80℃)を計算により求め、表1に併せて示した。
表1より明らかなように、本発明のアミン炭酸塩(C−1〜C−2)は、熱分解による二酸化炭素ガスの発生率が高く、発泡剤としての効果が高い。一方、比較例のアミン炭酸塩(C−3〜C−8)は、二酸化炭素ガスの発生率が低く、発泡剤としての効果が低いことが明らかである。
実施例3〜実施例8、比較例7〜比較例16
<硬質ポリウレタンフォームの製造>
ポリオールA、ポリオ−ルB、整泡剤、難燃剤、触媒A〜触媒C、水、及び表1のアミン炭酸塩水溶液C−1〜C−12を表2に示す量比にて混合してプレミックス液とした。このプレミックス液60gを200mlポリエチレンカップに取り、10℃に温度調節した。この200mlポリエチレンカップに、別の容器で10℃に温度調節した表2のポリイソシアネートをイソシアネートIndex=110となる量を素早く添加した。高速攪拌機にて7000rpmで3秒間攪拌後、素早くこの混合液を0℃に温度調整したステンレス板付き2Lポリエチレンカップに移し発泡成形させた。この際、2Lポリエチレンカップ内での発泡反応性と接着強度を測定した。更に得られた硬質ポリウレタンフォームの成形性とフォーム密度を評価した。これらの結果を表2に併せて示す。
<硬質ポリウレタンフォームの製造>
ポリオールA、ポリオ−ルB、整泡剤、難燃剤、触媒A〜触媒C、水、及び表1のアミン炭酸塩水溶液C−1〜C−12を表2に示す量比にて混合してプレミックス液とした。このプレミックス液60gを200mlポリエチレンカップに取り、10℃に温度調節した。この200mlポリエチレンカップに、別の容器で10℃に温度調節した表2のポリイソシアネートをイソシアネートIndex=110となる量を素早く添加した。高速攪拌機にて7000rpmで3秒間攪拌後、素早くこの混合液を0℃に温度調整したステンレス板付き2Lポリエチレンカップに移し発泡成形させた。この際、2Lポリエチレンカップ内での発泡反応性と接着強度を測定した。更に得られた硬質ポリウレタンフォームの成形性とフォーム密度を評価した。これらの結果を表2に併せて示す。
・発泡反応性の測定.
クリームタイム:発泡開始時間であり、混合液が発泡開始する時間を目視にて測定した
ゲルタイム:樹脂形成時間であり、細い棒状物を発泡フォーム中に突っ込み引き抜くときに糸引き現象が起こる時間を測定した
ライズタイム:発泡フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定した。
クリームタイム:発泡開始時間であり、混合液が発泡開始する時間を目視にて測定した
ゲルタイム:樹脂形成時間であり、細い棒状物を発泡フォーム中に突っ込み引き抜くときに糸引き現象が起こる時間を測定した
ライズタイム:発泡フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定した。
・接着強度の測定.
2Lポリエチレンカップ内の底面に装着させておいた取っ手付きステンレス板(5×5×0.1cm)を発泡10分後に成形フォームと共に取り出しプルゲージにて取っ手を引張って90度剥離強度を測定し、フォームの接着強度(kg/cm2)とした。
2Lポリエチレンカップ内の底面に装着させておいた取っ手付きステンレス板(5×5×0.1cm)を発泡10分後に成形フォームと共に取り出しプルゲージにて取っ手を引張って90度剥離強度を測定し、フォームの接着強度(kg/cm2)とした。
・フォームの成形性.
得られたフォームの外観とセルの状態を観察して成形性を以下のとおり評価した。
得られたフォームの外観とセルの状態を観察して成形性を以下のとおり評価した。
○:フォームの表面状態が平滑で且つフォームセルが細かい
△:フォームの表面に若干凸凹が見られるがフォームセルは細かい
×:フォームの表面に凸凹が見られフォームセルも大きい。
△:フォームの表面に若干凸凹が見られるがフォームセルは細かい
×:フォームの表面に凸凹が見られフォームセルも大きい。
・フォーム密度の測定.
2Lポリエチレン製カップ内で発泡させたフォームの中心部を7cm×7cm×15cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してフォーム密度(kg/m3)を算出した。
2Lポリエチレン製カップ内で発泡させたフォームの中心部を7cm×7cm×15cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してフォーム密度(kg/m3)を算出した。
表2の実施例3〜実施例8より明らかなように、本発明のアミン炭酸塩を使用した硬質ポリウレタンフォームの製造例は、発泡開始時間であるクリームタイムが5秒前後と早い。一方、比較例6〜比較例8のアミン炭酸塩を使用しない硬質ポリウレタンフォームの製造例は、クリームタイムが11秒前後と遅い。また、比較例9〜比較例14の本発明以外のアミン炭酸塩を使用した例でもクリームタイムは9秒前後と本発明のアミン炭酸塩の例よりも遅い。
フォーム密度は、実施例4〜実施例7と比較例7〜比較例8及び比較例10〜16とを比較すると(合計水量=5重量部)、本発明のアミン炭酸塩の使用例の方が6〜15%程度の低密度化が可能となっていることがわかる。
成形性は、実施例3〜実施例8と比較例7〜比較例16を比較すると明らかなように、本発明のアミン炭酸塩の使用により成形フォームの外観とセル状態が良好となることがわかる。
接着強度は、本発明のアミン炭酸塩の使用例(実施例3〜実施例8)ではいずれも1.0kg/cm2以上と高くなっている。一方、比較例のアミン炭酸塩の使用例(比較例10〜比較例16)では、接着強度が0.6〜0.8kg/cm2と低い。
Claims (5)
- 上記一般式(1)で示されるアミン化合物が、分子量104以上のポリオキシプロピレンジアミン及びポリオキシエチレンジアミンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤。
- 請求項1又は請求項2に記載のアミン化合物と二酸化炭素との塩を、溶剤に溶解してなるポリウレタンフォーム製造用の発泡性添加剤。
- 溶剤が、水又は水と有機溶剤の混合物であることを特徴とする請求項3に記載の発泡性添加剤。
- ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び発泡剤の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、発泡剤の一部又は全部として、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発泡性添加剤を用いることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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- 2010-04-22 JP JP2010098980A patent/JP2010270324A/ja active Pending
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