JP5401231B2 - 搬送システム - Google Patents

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Description

本発明は、ウエーハフレームに固定されたウエーハシートに貼付された電子部品を吸着して搬送する搬送システムに関するものである。
従来より、複数の電子部品が貼り付けられたウエーハシートからその電子部品をピックアップして、所定の位置まで搬送する搬送システムが提案されている。この搬送システムは、電子部品を吸着するピックアップコレットと、周縁部にメインコレットが配設され間欠的に駆動するターンテーブルとを備えており、このターンテーブルの周囲に複数の処理装置が設けられている。これにより、ウエーハシートに貼り付けられた電子部品は、ピックアップコレットにより吸着されてウエーハシートから剥がされ、所定の受け渡し位置でメインコレットに受け渡され、ターンテーブルにより所定の経路に沿って搬送される途上で検査、マーキング、収納等の各処理が施される。
このような搬送システムにおいて、検査、マーキング、収納などの処理を行う各処理装置は、その処理を行う位置を、メインコレットに吸着された電子部品の所定の姿勢に基づいて設定している。したがって、例えば、ウエーハシートからの電子部品の吸着時やピックアップコレットとメインコレットとの間の電子部品の受け渡し時に、電子部品の姿勢が上記所定の姿勢からずれた状態で吸着されると、上述した各処理を適正に行うことができない。このため、従来より、吸着手段により吸着された電子部品の姿勢を矯正することが行われている。
例えば、ターンテーブルの周囲に、電子部品の姿勢を矯正する装置を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では、一対の部材により電子部品の主表面に沿った1の方向の両側から電子部品を挟み込むことによって、電子部品の姿勢を矯正している。
特開平06−037134号公報
しかしながら、上記の従来技術では、電子部品の姿勢を矯正するための装置をターンテーブルの周囲に設けていたので、姿勢を矯正するための工程が電子部品の処理工程に追加されることとなる。そのため、処理工程全体に要する時間が増え、効率向上の妨げとなっていた。
また、上記の従来技術では、電子部品を挟み込むことにより姿勢を矯正していたので、挟み込む際に電子部品にストレスがかかり、場合によっては電子部品が破損してしまうことがあった。この場合には、破損した電子部品を片付けるために搬送システムを停止しなければならないので、効率を低下させる原因ともなっていた。
そこで、本願発明は、効率を向上させることができる搬送システムを提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る搬送システムは、電子部品が貼付されたウエーハシートを保持するウエーハフレームを支持する支持部と、この支持部を、ウエーハシートの平面に沿った方向に移動させる移動部と、ウエーハシートから電子部品を順次吸着する複数の第1のコレットを備えた第1の吸着部と、ウエーハシートに貼付され、第1のコレットにより次に吸着される電子部品を撮像する第1のカメラと、この第1のカメラにより撮像された撮像データに基づいて、移動部を移動させる制御部とを備えたことを特徴とするものである。
上記搬送システムにおいて、支持部は、ウエーハフレームを鉛直面内で支持し、移動部は、ウエーハフレームを鉛直面内で移動させるようにしてもよい。
また、上記搬送システムにおいて、第1のカメラは、ウエーハシートに対して正対しない位置に配設されるようにしてもよい。
また、上記搬送システムにおいて、第1のコレットに吸着された電子部品を順次吸着する複数の第2のコレットを備えた第2の吸着部と、第2のコレットに吸着された電子部品を撮像する第2のカメラとをさらに備え、制御部は、この第2のカメラにより撮像された撮像データに基づいて、移動部を移動させる位置を調整するようにしてもよい。
本発明によれば、第1のカメラにより撮像された撮像データに基づいて、第1のコレットにより次に吸着する電子部品のウエーハシート上の位置を確認し、この確認した位置に基づいてウエーハフレームを移動させ、その電子部品を電子部品が第1のコレットの電子部品を吸着する端部と対向する位置に移動させる。これにより、姿勢を矯正するための工程や処理装置を設けなくてよいので、処理時間を短くすることができる。また、電子部品を挟み込まずにその姿勢を矯正することができるので、電子部品の破損を防ぐことができ、破損した電子部品を片付けることによる効率低下を避けることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送システムの構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る搬送システムにおける保持装置の構成を示す図である。 図3は、図2の保持装置の要部の構成を示す図である。 図4は、図2の保持装置の要部の構成を示す図である。 図5は、吸着装置、ターンテーブルおよび第2撮像装置の構成を示す斜視図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る搬送システムにおける吸着装置と第1撮像装置の構成を示す斜視図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る搬送システムにおける吸着装置と第1撮像装置の構成を示す平面図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る搬送システムにおける制御装置の構成を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る搬送システムの吸着搬送動作を説明する図である。 図10は、本発明の実施の形態に係る搬送システムのアライメント動作を説明する図である。 図11は、ウエーハシート上に貼付けられた電子部品の画像の一例である。 図12は、本発明の実施の形態に係る搬送システムの位置検出動作を説明するためのウエーハシート上に貼付けられた電子部品の画像の一例である。 図13は、本発明の実施の形態に係る搬送システムの位置検出動作を説明するためのウエーハシート上に貼付けられた電子部品の画像の一例である。 図14は、本発明の実施の形態に係る搬送システムの位置検出動作における焦点の検出動作を説明するためのウエーハシート上に貼付けられた電子部品の画像の一例である。 図15は、X軸方向のピクセルサイズの算出例を示す図である。 図16Aは、X軸方向の実寸の算出手法を説明するための図である。 図16Bは、X軸方向の実寸の算出手法を説明するための図である。 図17Aは、Y軸方向の実寸の算出手法を説明するための図である。 図17Bは、Y軸方向の実寸の算出手法を説明するための図である。 図18は、2点間の距離の算出手法を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<搬送システムの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る搬送システム1は、ウエーハフレームWを保持する保持装置2と、この保持装置2により保持されたウエーハフレームWのウエーハシートから電子部品を吸着する吸着装置3と、この吸着装置3により吸着された電子部品を受け取り所定の経路に沿って搬送するターンテーブル4と、ウエーハフレームWが保持しているウエーハシート上に貼付された電子部品を撮像する第1撮像装置5と、ターンテーブル4により搬送されている電子部品を撮像する第2撮像装置6と、搬送システム1全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。
≪保持装置の構成≫
保持装置2は、Z軸方向に延在する一対の棒状の部材からなり、X軸方向に所定間隔離間して配設されたZレール21a,21bと、互いに異なるZレール21a,21bに摺動可能に係着された一対の棒状のZベース22a,22bと、X軸方向に延在した一対の棒状の部材からなり、一方の部材の両端部近傍が2つのZベース22a,22bの上端にそれぞれ固定され、他方の部材の両端部近傍がZベース22a,22bの下端にそれぞれ固定された一対のXレール23a,23bと、互いに異なるXレール23a,23bに摺動可能に係着された一対のXベース24a,24bと、上部接続部251がXベース24aに、下部接続部252がXベース24bに係着され、ウエーハフレームWを保持する保持部25とを備えている。
ここで、Xベース24aは、図3に示すように、保持部25の上端部251と接続される接続部241aをZ方向に移動させるZ方向移動部242aを備えている。
また、保持部25は、図2,図4に示すように、中央部にウエーハシートの平面形状に対応する平面視略矩形の開口が形成され、上部にXベース24aと接続される上部接続部251、下部にXベース24bと接続される下部接続部252が設けられた平面視略円形の枠部253と、中央部にウエーハシートの平面形状に対応する開口が形成され、この開口が枠部253の開口とY軸方向に一致するように枠部253に対して対向配置され、かつ、枠部253によりY軸方向に移動可能に支持された平面視略六角形の板状の移動部254と、中央部にウエーハシートの平面形状に対応する開口が形成された平面視略矩形の枠の形状を有し、その開口が移動部254の開口とY軸方向に一致するように移動部254におけるY軸方向の負の側の面に配設され、ウエーハフレームWの縁部を支持することによりウエーハフレームWを固定する固定部255とから構成される。
このような構成を有する保持装置2において、Zベース22a,22bをZレール22a,22bに沿ってZ軸方向に移動させると、Zベース22a,22bに固定されたXベース23a,23bおよびこのXベース23a,23bに係着された保持部25もZ軸方向に移動するので、結果として、固定部255に固定されたウエーハフレームWをZ軸方向に移動させることとなる。
また、Xベース24a,24bをXレール23a,23bに沿ってX軸方向に移動させると、このXベース24a,24bに係着された保持部25もX軸方向に移動するので、結果として、固定部255に固定されたウエーハフレームWをX軸方向に移動させることとなる。
さらに、Xベース24aをXレール23aに沿ってX軸方向の正または負の方向に、Xベース24bをXレール23bに沿ってXベース24aとは反対の方向に移動させ、かつ、Z方向移動部242aをZ軸方向の負の方向に移動させると、保持部25が略Y軸回りに回転するので、結果として、固定部255に固定されたウエーハフレームWをY軸回りに回転させることとなる。
このように、保持装置2は、固定部255に固定したウエーハフレームWを、X軸方向、Z軸方向およびY軸回りに移動させる。
≪吸着装置の構成≫
吸着装置3は、基部31と、この基部31に埋設され、基部31の上面からZ軸方向の正の向きに延在する回転軸を有する第1のモータ32と、この第1のモータ32の回転軸に取り付けられたカム33と、基部31の上面に設けられ、カム33に摺接し、カム33の移動に伴ってY軸方向に移動する移動部34とを備えている。この移動部34上には、X軸方向の負の向きに延在する回転軸35aを有する第2のモータ35が配設されている。この第2のモータ35の回転軸35aは、ZY平面に沿った円盤状の支持部36における一方の面(以下、「裏面」という)の略中央部に接続されている。この支持部36の裏面と反対側の面(以下、「表面」という)には、吸着端をX軸に対して垂直な方向に向けた状態で支持部36の中央部から放射状に所定間隔離間して配設され、図示しない真空発生器により負圧または正圧の空気が選択的に供給されることにより、吸着端で電子部品を吸着したり、吸着した電子部品を解放したりする複数のピックアップコレット37が設けられている。このような吸着装置3は、保持装置2に対してY軸方向の正の側に配設されている。したがって、Y軸方向の負の側に向かって開口しているピックアップコレット37の吸着端は、保持装置2により保持されているウエーハフレームWと対向配置されることとなる。
このような吸着装置3は、第2のモータ35の回転軸35aを一方の方向に所定の角度回転させることにより、ピックアップコレット37の吸着端を回転軸35aと同心の円軌跡に沿って1ピッチだけ移動させる。上記円軌跡上には、このピッチ間隔で上記円軌跡上にピックアップコレット37の数量だけ停止位置が設定されており、吸着装置3は、第2のモータ35により回転軸35aの回転および停止を繰り返すことにより、ピックアップコレット37の吸着端における1の停止位置から次の停止位置への移動と、この停止位置における滞在とを繰り返す。複数の停止位置のうち、Y軸方向の負の側に位置する停止位置を「対向位置」、Z軸方向の正の側に位置する停止位置を「リリース位置」という。
また、吸着装置3は、第1のモータ32を駆動させてカム33を所定の角度だけ回転させ、移動部34をY軸方向の負の側に移動させると、上記対向位置にあるピックアップコレット37の吸着端が、ウエーハフレームWに近接する。このとき、その吸着端と対向する位置(以下、「吸着位置」という)に電子部品がウエーハシート上に貼付されていると、そのピックアップコレット37に負圧を供給することにより、電子部品がピックアップコレット37に吸着されてウエーハシートから剥がされることとなる。
≪ターンテーブルの構成≫
ターンテーブル4は、電子部品を吸着する複数のメインコレット41と、このメインコレット41を所定の経路に沿って搬送する搬送装置42とを備えている。メインコレット41は、図示しない真空発生器により負圧または正圧の空気が選択的に供給されることにより、鉛直下方に開口した端部で電子部品を吸着したり、吸着した電子部品を解放したりする。搬送装置42は、Z方向に沿った回転軸を有するモータ421と、このモータ421の回転軸が裏面に取り付けられXY平面内において回転可能に支持された円形のテーブル422とを備えており、このテーブル422の縁部に複数のメインコレット41が所定間隔毎に配設されている。搬送装置42は、モータ421の回転軸を所定の角度回転させることにより、メインコレット41をモータ421の回転軸およびテーブル422と同心の円軌跡に沿って1ピッチだけ移動させることとなる。このピッチ間隔で上記円軌跡上にメインコレット41の数量だけ停止位置が設定されており、ターンテーブル4は、搬送装置42によりモータ421の回転および停止を繰り返すことにより、メインコレット41では、1の停止位置から次の停止位置への移動と、この停止位置における滞在とが繰り返して行われる。各停止位置には、吸着装置3や第2撮像装置6とともに、収納装置、検査装置、マーキング装置などの搬送システムに関連する各種装置が対応付けて配設されている。
ここで、吸着装置3と対応付けられている停止位置では、電子部品の受け渡しが行われる。具体的には、その停止位置は、吸着装置3のリリース位置に対応しており、電子部品を吸着しているピックアップコレット37がリリース位置に位置している場合において、ターンテーブル4の何れかのメインコレット41がその停止位置に移動すると、互いの吸着端が電子部品を挟んで対向配置されることとなる。このような状態において、ピックアップコレット37に対して負圧の供給を停止するとともに正圧を供給し、かつ、メインコレット41に対して負圧の供給を開始すると、ピックアップコレット37に吸着されていた電子部品がメインコレット41により吸着され、電子部品の受け渡しが行われることとなる。
≪第1撮像装置の構成≫
第1撮像装置5は、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの公知の撮像手段からなるカメラ51と、光路を変更させるためのプリズム52とから構成される。ここで、プリズム52は、図6,図7に示すように、保持装置2と吸着装置3の回転軸35aとの間で、かつ、吸着装置3の支持部36の裏面側に配設されており、その光軸が少なくとも吸着位置の隣(X軸方向の正の側)に位置する電子部品を含むウエーハシート上の領域と、鉛直上方とを結ぶように設定されている。カメラ51は、プリズム52の鉛直上方(Z軸方向の正の側)に配設されており、プリズム52を介して、次吸着位置に位置する電子部品を撮像する。
≪第2撮像装置の構成≫
第2撮像装置6は、CCDカメラやCMOSカメラなどの公知の撮像手段から構成され、ターンテーブル4の所定の停止位置(以下、撮像位置という)に配設され、その撮像位置に搬送された電子部品を鉛直下方(Z軸方向の負の側)から撮像する。ここで、撮像位置は、リリース位置の後段に設定されている。これにより、第2の撮像装置6は、吸着装置3によりウエーハフレームWから吸着され、ターンテーブル4のメインコレット41により吸着された電子部品を撮像することができる。
≪制御装置の構成≫
制御装置7は、図8に示すように、搬送システムの各構成要素に接続され、制御信号の送受信を行うインターフェース(I/F)部71と、第1撮像装置5,第2撮像装置6から送られてくる画像データに対して輪郭抽出等の画像処理を行う画像処理部72と、搬送システム1の動作に必要な各種情報を記憶する記憶部73と、画像処理部72の処理結果および記憶部73に記憶された情報に基づいて、搬送システム1全体の動作を制御する主制御部74とを備えている。
ここで、記憶部73は、電子部品収納搬送システムの動作に関する動作プログラム731と、メインコレット41により吸着された電子部品の所望の姿勢に関するテンプレート情報732と、姿勢データ733とを少なくとも記憶している。ここで、テンプレート情報732としては、電子部品の所望の姿勢における各頂点や重心の座標、所望の姿勢の輪郭のベクトルデータなどからなる。
主制御部74は、搬送システムの各構成要素に制御信号を送信することによりその各構成要素の動作を制御する駆動制御部741と、第1撮像装置5による撮像データに対する画像処理部72の処理結果に基づいてウエーハシート上の電子部品の位置を検出する、後述する位置検出動作を行う位置検出部742と、第2撮像装置6による撮像データに対する画像処理部72の処理結果とテンプレート情報732とに基づいて電子部品の姿勢を検出する姿勢検出部743と、姿勢検出部743による検出結果に基づいて電子部品の姿勢を調整する矯正制御部742とを備えている。
このような制御装置7は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うI/F装置と、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)またはFED(Field Emission Display)等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述したI/F部71、画像処理部72、記憶部73および主制御部74が実現される。なお、上記プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
<吸着搬送動作>
次に、図9を参照して、本実施の形態に係る搬送システムによる電子部品の吸着搬送動作について説明する。
まず、制御装置7の主制御部74の駆動制御部741は、第1撮像装置5により、ウエーハフレームWが保持するウエーハシートに貼付された電子部品のうち吸着装置3が次に吸着する電子部品(以下、「次吸着部品」という)を撮像する(ステップS1)。
平面上の位置を検出するために電子部品を撮像する場合、その電子部品と正対する位置から撮像するのが望ましい。しかしながら、通常、電子部品と正対する位置には、ピックアップコレット等の電子部品を吸着するための装置が設けられているので、その位置から電子部品を撮像することは不可能である。そこで、本実施の形態では、図6,図7に示すように、吸着装置3の支持部36の裏面側にプリズム52を設け、斜めから次吸着部品を撮像するようにしている。
第1撮像装置5による撮像が行われると、駆動制御部741は、画像処理部72により、その撮像データに対して例えば次吸着部品の輪郭抽出などの画像処理を行う。画像処理が行われると、位置検出部742は、その画像処理データに基づいてウエーハシート上の次吸着部品の位置を検出する(ステップS2)。上述したように、第1撮像装置5は、斜めから次吸着部品を撮像するので、この撮像データおよびこの撮像データに基づく画像処理データは斜めに歪んだものとなる。したがって、それらのデータをそのまま用いたのでは、次吸着部品の正確な位置を検出することができない。そこで、本実施の形態では、位置検出部742により位置検出動作を行うことにより、斜めから次吸着部品を撮像した場合であっても、次吸着部品の正確な位置を検出するようにしている。なお、その位置検出部742による位置検出動作の詳細については後述する。
次吸着部品の位置が検出されると、駆動制御部741は、その位置情報に基づいて保持装置2のウエーハフレームWを固定している固定部255を移動させ、次吸着部品を吸着位置に位置させる(ステップS3)。
次吸着部品を吸着位置に移動させると、駆動制御部741は、吸着装置3の第1のモータ32を駆動させてカム33を所定の角度だけ回転させ、移動部34をY軸方向の負の側に移動させることにより、対向位置にあるピックアップコレット37の吸着端を吸着位置にある次吸着部品に近接させ、そのピックアップコレット37に負圧を供給する。これにより、次吸着部品をピックアップコレット37に吸着させる(ステップS4)。
次吸着部品がピックアップコレット37に吸着されると、駆動制御部741は、吸着装置3の第2のモータ35の回転軸35aを所定の角度回転させる(ステップS5)。これにより、リリース位置の1つ手前の停止位置に位置していた、電子部品を吸着しているピックアップコレット37は、リリース位置に位置することとなる。また、ターンテーブル4において、吸着装置3と対応付けられている停止位置、すなわちリリース位置には、電子部品を吸着していないメインコレット41が位置している。したがって、メインコレット41とピックアップコレット37の互いの吸着端がその電子部品を挟んで対向配置されることとなる。
なお、駆動制御部741は、第2のモータ35とともにターンテーブル4のモータ421も駆動させるようにしてもよい。これにより、電子部品を吸着していないメインコレット41と、電子部品を吸着しているピックアップコレット37とは、ほぼ同時にリリース位置まで移動することとなる。
リリース位置において、電子部品を吸着していないメインコレット41と、電子部品を吸着しているピックアップコレット37とが対向配置されると、駆動制御部741は、ピックアップコレット37に対して負圧の供給を停止するとともに正圧を供給し、かつ、メインコレット41に対して負圧の供給を開始する。これにより、ピックアップコレット37に吸着されていた電子部品がメインコレット41により吸着され、電子部品の受け渡しが行われることとなる(ステップS6)。
電子部品がメインコレット41に受け渡されると、駆動制御部741は、ステップS1の処理に戻る。
このように、本実施の形態によれば、第1撮像装置5により撮像された撮像データに基づいて、ピックアップコレット37により次に吸着される電子部品の位置を確認し、ピックアップコレット37の吸着端に電子部品が位置するようにウエーハフレームWを固定している固定部255を移動させる。これにより、姿勢を矯正するための工程や処理装置を設けなくてよいので、処理時間を短くすることができる。また、電子部品を挟み込まずに姿勢を矯正することができるので、電子部品の破損を防ぐことができ、破損した電子部品を片付けることによる効率低下を防ぐことができる。
<アライメント動作>
上述した吸着搬送動作を繰り返すと、ピックアップコレット37やメインコレット41の吸着端の摩耗や慣性等の影響により、メインコレット41における電子部品の吸着位置や姿勢にずれが生じることがある。そこで、本実施の形態では、そのずれを補正するためのアライメント動作を行う。この詳細について、図10を参照して以下に説明する。
上述した吸着搬送動作が行われ、電子部品を吸着したメインコレット41が撮像位置まで搬送されてくると、駆動制御部741は、第2撮像装置6により、メインコレット41に吸着された電子部品を撮像する(ステップS11)。
第2撮像装置6による撮像が行われると、駆動制御部741は、画像処理部72により、その撮像データに対して例えば電子部品の輪郭抽出などの画像処理を行う。画像処理が行われると、姿勢検出部743は、その画像処理による処理結果と記憶部73のテンプレート情報732とに基づいて、撮像位置に搬送された電子部品の姿勢を検出する(ステップS12)。この姿勢としては、現在の電子部品Dの姿勢、すなわち、メインコレット41の中心に対する電子部品の重心のX方向およびY軸方向の位置、電子部品のZ軸回りの回転角度、ならびに、これらの値と所望する姿勢とのずれ量等を検出する。これらの値は、例えば、画像処理により取得した電子部品の輪郭または頂点や重心の座標と、理想的な電子部品の位置および角度に関するテンプレート情報732とを比較することにより、検出することができる。その検出された値は、記憶部73に姿勢データ733として格納される。
電子部品の姿勢が検出されると、矯正制御部743は、姿勢データ733に基づいて、駆動制御部741による吸着搬送動作を補正する(ステップS13)。この補正としては、図9のステップS3で固定部255を移動させる際に、メインコレット41に所定の姿勢および位置に吸着されるよう、その移動量を修正することが行われる。
このようなアライメント動作を行うことにより、吸着装置3のピックアップコレット37による電子部品の吸着時における誤差等を調整して、電子部品がメインコレット41に対して所定の姿勢および位置に吸着されるようにすることができる。このようなアライメント動作は、電子部品を高精度に搬送する場合、電源投入時、所定時間毎などに行われる。
<位置検出動作>
次に、上述した吸着搬送動作中に行われる、位置検出部742による位置検出動作について説明する。
通常、ウエーハフレームWの主表面に対して光軸が垂直になるように設置されたカメラであるならば、画像上のどの部分を見ても電子部品のピクセルサイズは等しい。したがって、画像の横方向に沿ったX軸方向のピクセルサイズ、画像の縦方向に沿ったY軸方向のピクセルサイズ、さらにX,Y座標が分かると、以下の式からそれぞれの軸の実寸を検出することができる。
実寸 = ピクセルサイズ×座標 ・・・(1)
上式(1)において、座標は画像上の位置から容易に検出できるものの、ピクセルサイズは、カメラがウエーハフレームWに対して垂直に配置されていない画像(以下、斜め画像という)では、画像上の奥に行くほど大きくなり、手前に行くほど小さくなるので、検出することが困難である。すなわち、図11の斜め画像において、符号aで示す画像の奥の方では、電子部品のピクセルサイズが大きくなり、符号bで示す画像の手前の方では、電子部品のピクセルサイズが小さくなる。そこで、本実施の形態では、電子部品のピクセルサイズと座標との関係式をX軸およびY軸のそれぞれについて作成し、この式に基づいて斜め画像上の正確な位置を検出する。この位置検出動作の詳細について以下に説明する。
便宜上、以下においては、図12に示す斜め画像の場合を例に説明する。この図12に示す斜め画像は、斜め上方からウエーハフレームWを撮像したものであり、画像の下方をY軸方向の正、画像の左側をX軸方向の正とすると、カメラの中心(以下、原点という)が、Y軸上に位置し、かつ、画像の中心よりもY軸の負の側に位置するものである。
なお、電子部品のピッチサイズ(mm)は(X,Y)=(7.2500,7.2500)、図12の原点でのピクセルサイズ(mm)は(X,Y)=(0.0418,0.0486)であった。
≪X軸方向のピクセルサイズ≫
図12の斜め画像において、電子部品のX軸方向のピクセルサイズはX座標に依存せず、Y座標のみに依存する。そこで、X軸方向のピクセルサイズとY軸方向のピクセルサイズの関係式は、通常、1次関数Y=aX+bが用いられるが、斜め画像では焦点が出現するので焦点でピクセルサイズが無限大になるため、1次関数を用いることができない。そこで、焦点で無限大の性質を有する分数関数を適用する。上述した1次関数を下式(2)で示す分数関数に置き換える。
X軸方向のピクセルサイズ=a/(Y座標+b) ・・・(2)
次に、上式(2)におけるa,bを算出する。まず、bについては、焦点には到達できないという性質を用いて算出する。ここで、焦点とは、画像上における集中線の交わる点と規定する。すなわち、図13の符号C1〜C5の一点鎖線は、Y軸とともにどこかの1点において交わる。そこで、Y軸とは異なる1本のラインを正確に求めることにより、焦点の位置を求めることができる。そこで、本実施の形態においては、Y軸からX軸方向の正の側にデバイス1つ分だけ離れたラインdを求めることとする。このラインdの傾きは、ライン上の2点の座標から算出する。図13の場合、ラインd上の点d1,d2の座標は、(173.0,0.0)、(167.0,−145.0)であったので、傾きは、24.1666となる。これにより、ラインdは、Y=24.1666・X+bとなる。この式に、d1またはd2の座標を代入すると、b=−4180.8333となる。したがって、ラインdは、Y=24.1666・X−4180.8333で表される。これにより、図14に示すように、焦点fの座標は(0.0,−4180.8333)となる。
上式(2)のaについては、原点でのピクセルサイズを代入することにより算出することができる。これを下式(3)、(4)に示す。
0.0418=a/(0.0+4180.8333) ・・・(3)
a=174.7588 ・・・(4)
このようにして算出したa,bを上式(2)に代入すると、下式(5)を導くことができる。
X軸方向のピクセルサイズ=174.7588/(Y座標+4180.8333)
・・・(5)
上式(5)をXY座標に投影すると、図15に示すようになる。この図15からもよくわかるように、上式(5)を適用することにより、Y座標を指定することで電子部品のX軸方向のピクセルサイズを算出できることとなる。
≪Y軸方向のピクセルサイズ≫
Y軸方向のピクセルサイズについては、Y座標が決まれば自ずと決まる。ここで、Y軸方向のピクセルサイズについても、X軸方向の場合と同様、下式(6)に示す分数関数を用いて算出する。
Y軸方向のピクセルサイズ=a/(Y座標+b) ・・・(6)
ここで、焦点fの座標は、上述したX軸方向のピクセルサイズの場合と同等である。したがって、上式(6)のbについても、X軸方向のピクセルサイズの場合と同等となる。一方、aについては、下式(7)、(8)に示すように、上式(6)に原点でのピクセルサイズを代入することにより算出することができる。
0.0486=a/(0.0+4180.8333) ・・・(7)
a=203.1884 ・・・(8)
これにより、Y軸方向のピクセルサイズは、下式(9)で表すことができる。
Y軸方向のピクセルサイズ=203.1884/(Y座標+4180.8333)
・・・(9)
上式(9)を用いることにより、Y座標を指定するだけでY軸方向のピクセルサイズを算出することができる。
≪実寸の算出手法≫
次に、三平方の定理を用いて実寸を算出する。このとき、図12,図13に示したような斜め画像では、その画像上の2点を用いて実寸を算出しようとすると、正しい値を得ることができない。そこで、上述した方法により算出したX軸方向およびY軸方向のピクセルサイズに関する式を用いて、ウエーハフレームW上の実位置を求める。具体的には、線分の両端の座標が原点に対してどれだけ離れているかを実寸で求める。
まず、X軸方向のピクセルサイズは、Y座標に依存するので、上式(1)に基づいて求めることができる。すなわち、X軸方向の実寸は原点からの距離にX軸方向のピクセルサイズを乗じたものとなる。したがって、例えば図16Aに示すように、座標(x,c)の点PにおけるX軸方向の実寸は、図16Bで符号gで示す矩形の面積、すなわち、174.7588/(c+4180.8333)にxを乗じたものとなる。
一方、Y軸方向のピクセルサイズは、Y軸座標に依存するので、Y軸方向に移動すると常にそのサイズが変化する。すなわち、Y軸方向の実寸は、Y軸方向のピクセルサイズに関する軌跡を所定の区間積分したものとなる。例えば、図17Aに示すように、y座標の値がyの点PにおけるY軸方向の実寸は、図17Bで符号hで示す領域の面積、すなわち、p=203.1884/(y+4180.8333)の曲線をp0からyまで積分した値となる。
≪2点間の実寸≫
上述した手法を用いて、2点間の実寸を算出する。一例として、図18に示すように、P1(−188,−125)からP2(−189,174)までの実寸を測る場合について説明する。
まず、P1のピクセルサイズは、上式(5),(9)より、(174.7588/(−125+4180.8333),203.1884/(−125+4180.8333))となるので、(0.0431,0.0501)となる。
同様に、P2のピクセルサイズは、(174.7588/(174+4180.8333),203.1884/(174+4180.8333))となるので、(0.0401,0.0467)となる。
次に、P1の実位置(x1,y1)を算出する。
まず、x1については、図16A,図16Bを参照して説明したように、x軸方向のピクセルサイズにx座標を乗じたものとなる。したがって、下式(10)で算出されることとなる。
1=−181.0・0.0431=−7.7990 ・・・(10)
また、y1については、図17A,図17Bを参照して説明したように、y軸方向のピクセルサイズに関する軌跡を所定の区間積分したものとなる。下式(11)で算出されることとなる。
2の実位置(x2,y2)についても、P1と同様に算出することができる。すなわち、下式(12),(13)から算出することができる。
2=−189.0・0.0401=−7.5845 ・・・(12)
このような手法を用いて位置検出部742により電子部品の位置情報が検出されると、駆動制御部741は、その位置情報を用いて上述したステップS3の処理、すなわち、その位置情報に基づいて保持装置2のウエーハフレームWを固定している固定部255を移動させ、次吸着部品を吸着位置に位置させる。
このように、本実施の形態によれば、電子部品を斜めからしか撮像できない場合であっても、その電子部品の正確な位置を検出することができる。したがって、ウエーハシートに貼付された電子部品を正確に吸着することができる。
本発明は、ウエーハシートなどの平面上に貼付された物体を吸着して搬送する各種装置に適用することができる。
1…搬送システム、2…保持装置、3…吸着装置、4…ターンテーブル、5…第1撮像装置、6…第2撮像装置、7…制御装置、21a,21b…Zレール、22a,22b…Zベース、23a,23b…Xレール、24a,24b…Xベース、25…保持部、31…基部、32…第1のモータ、33…カム、34…移動部、35…第2のモータ、35a…回転軸、36…支持部、37…ピックアップコレット、41…メインコレット、42…搬送装置、51…カメラ、52…プリズム、71…I/F部、72…画像処理部、73…記憶部、74…主制御部、241a…接続部、242a…Z方向移動部、251…上部接続部、252…下部接続部、253…枠部、254…移動部、255…固定部、421…モータ、422…テーブル、731…動作プログラム、732…テンプレート情報、733…姿勢データ、741…駆動制御部、742…位置検出部、743…姿勢検出部、744…矯正制御部。

Claims (3)

  1. 電子部品が貼付されたウエーハシートを保持するウエーハフレームを支持する支持部と、
    この支持部を、前記ウエーハシートの平面に沿った方向に移動させる移動部と、
    前記ウエーハシートから前記電子部品を順次吸着する複数の第1のコレットを備えた第1の吸着部と、
    前記ウエーハシートに貼付され、前記第1のコレットにより次に吸着される電子部品を撮像する第1のカメラと、
    この第1のカメラにより撮像された撮像データに基づいて、前記移動部を移動させる制御部と
    を備え
    前記第1のカメラは、前記ウエーハシートに対して正対しない位置に配設され、
    前記制御部は、
    前記撮像データにおける前記電子部品の大きさと、座標と、前記電子部品の実寸との関係式に基づいて前記ウエーハシート上の前記電子部品の位置情報を検出する位置検出部と、
    前記位置情報に基づいて前記移動部を移動させる駆動制御部と
    を備える
    ことを特徴とする搬送システム。
  2. 前記支持部は、前記ウエーハフレームを鉛直面内で支持し、
    前記移動部は、前記ウエーハフレームを鉛直面内で移動させる
    ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
  3. 前記第1のコレットに吸着された前記電子部品を順次吸着する複数の第2のコレットを備えた第2の吸着部と、
    前記第2のコレットに吸着された前記電子部品を撮像する第2のカメラと
    をさらに備え、
    前記制御部は、この第2のカメラにより撮像された撮像データに基づいて、前記移動部を移動させる位置を調整する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送システム。
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