以下、本発明の実施の形態における部品実装システムについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における部品実装システムの外観図である。
本実施の形態における部品実装システム1000は、部品実装機100と、部品実装機100を制御する制御装置200とを備えている。
部品実装機100は、上流から基板(回路基板)20を受け取り、その基板20に対して部品を実装し、その部品が実装された基板20を下流側に送り出す。なお、部品実装機100によって部品が実装された基板20を、以下、実装基板という。
具体的には、部品実装機100は、複数種の部品を供給する2つの部品供給部115a、115bと、基板20を部品実装機100の内部に搬入する搬入口130とを備える。部品実装機100は、搬入口130から搬入された基板20を、所定位置で停止させる。そして、部品実装機100は、部品供給部115a、115bから供給される部品を順次取り出し、所定位置で停止している基板20に対して、取り出した部品を実装する。
また、部品実装機100は、部品供給部115a、115bから供給された部品、当該部品を実装する前の基板20、及び基板20に実装された後の部品の状態等を、撮像装置等を用いて認識する。
制御装置200は、部品実装機100による部品の実装条件などを決定して、その実装条件に沿って実装が行われるように部品実装機100を制御する。
図2は、部品実装機100の内部の主要な機械的構成を示す構成図である。
部品実装機100は、基板20に対して部品を実装する2つの実装ユニット110a、110bと、基板20を搬送するための一対の基板搬送レール122a、122bと、一対のビーム駆動ロボット140とを備えている。2つの実装ユニット110a、110bは、協調して基板搬送レール122a、122b上にある基板20に対して部品を実装する。
実装ユニット110a及び実装ユニット110bは、それぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット110aは、部品供給部115a、部品検出装置116a、ヘッド112a、及びビーム121aを備えている。同様に、実装ユニット110bは、部品供給部115b、部品検出装置116b、ヘッド112b、及びビーム121bを備えている。
ここで、実装ユニット110aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット110bの詳細な構成については、実装ユニット110aと同様であるため省略する。
部品供給部115aは、部品テープを収納する複数の部品カセット(フィーダ)114の配列からなる。また、部品供給部115aの各部品カセット114は、基板20の搬送方向(X軸方向)に沿って配列している。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ部品であって、具体的には0402チップ部品や1005チップ部品などである。
ヘッド112aは、例えばマルチ装着ヘッドと呼ばれるヘッドであって、複数の吸着ノズル(以下、単にノズルという)を備えることができる。例えば、部品供給部115aから10個の部品を吸着して基板20に装着することができる。このようなヘッド112aは、軸状に構成されたビーム121aに対してスライド自在に取り付けられている。ヘッド112aは、例えば、モータなどの駆動により、ビーム121aに沿って移動する。また、ヘッド112aには、部品を実装する前の基板20の状態、及び基板20に実装された後の部品の状態等を検出する部品検出装置(図2では図示省略)が設けられている。部品検出装置の詳細は、後述する。
ビーム121aは、基板20の搬送方向(X軸方向)と垂直な方向(Y軸方向)に沿って互いに平行に配置された一対のビーム駆動ロボット140上に、Y軸方向にスライド自在に取り付けられている。したがって、ビーム121aは、例えばモータなどの駆動により、一対のビーム駆動ロボット140上をY軸方向に沿って移動する。すなわち、ヘッド112aは、ビーム駆動ロボット140およびビーム121aによってX軸方向およびY軸方向に移動する。
基板搬送レール122a、122bは、それぞれX軸方向に対して平行となるように配置されている。ここで、基板搬送レール122aは、部品供給部115a側に寄せて固定されている。一方、基板搬送レール122bは、搬送される基板20のサイズ(幅)に応じてY軸方向に移動する。部品実装機100の搬入口130から挿入された基板20は、一対の基板搬送レール122a、122b上に沿って搬送されてストッパーなどにより所定位置で停止される。
部品検出装置116aは、ヘッド112aに吸着された部品の形状や吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。また、部品検出装置116aは、部品供給部115aにおけるX軸方向に沿った中央付近に配置されている。部品検出装置116aの詳細は、後述する。
このように構成された部品実装機100において、ヘッド112aは、部品供給部115aから供給される部品を吸着して基板20に移動し、吸着している部品をその基板20の各実装点に装着し、部品供給部115aに移動するという一連の動作を繰り返し実行する。ヘッド112bも同様に、部品供給部115bから供給される部品を吸着して基板20に移動し、吸着している部品をその基板20の各実装点に装着し、部品供給部115aに移動するという一連の動作を繰り返し実行する。
このように実行される一連の動作、または1回あたりの一連の動作でヘッドに吸着される部品群を、以下、タスクという。また、実装点とは、基板20上の部品が実装されるべき位置である。
ヘッド112aによる1つのタスクの例を具体的に説明する。まず、ヘッド112aは、X軸方向およびY軸方向に移動しながら、部品供給部115aの各部品カセット114から供給される1タスク分の部品を吸着する。その後、ヘッド112aは、部品検出装置116a上を一定速度で移動することにより、吸着している部品を部品検出装置116aに撮像させ、突入ポイントに到達する。そして、ヘッド112aは、その突入ポイントから所定のタイミングで移動を開始して基板20の実装領域上に入る。
なお、実装領域とは、基板20の実装点が存在する領域であって、基板20の一部の領域や全ての領域であってもよい。実装領域上に入ったヘッド112aは、X軸方向およびY軸方向に移動しながら、吸着している部品をそれぞれ各実装点に装着する。1タスク分の全ての部品の装着が完了すると、ヘッド112aは、基板20の実装領域上から出て部品供給部115aに移動する。
一方、ヘッド112bも上述のヘッド112aの動作と同様の動作を行うが、ヘッド112a、112bは、それぞれが干渉することがないように、つまり、それぞれが同時に基板20の実装領域上に入ることがないように、互いに協調して動作する。
図3は、ヘッド112aと部品カセット114との位置関係を示す模式図である。
上述のように、ヘッド112aには、例えば最大10個のノズルnzをX軸方向に配列させて取り付けることが可能である。10個のノズルnzが取り付けられたヘッド112aは、最大10個の部品カセット114のそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。同様に、ヘッド112bも例えば最大10個のノズルnzを取り付けることができる。なお、本発明では、ヘッド112a,112bに取り付けられるノズルnzの数は10個以外でもよく、X軸方向に沿うノズルnzの列を、Y軸方向に複数列取り付けてもよい。
図4は、部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
チップ形電子部品などの部品は、図4に示すキャリアテープ424に保持されている。キャリアテープ424には、一定間隔で連続的に形成された複数の収納凹部424aが設けられている。部品は、この収納凹部424aに収納されている。さらに、キャリアテープ424の上面(部品を取り出す側)には、カバーテープ425が貼付けられている。カバーテープ425が貼り付けられたキャリアテープ424は、リール426に所定の数量分だけ巻回されたテーピング形態でユーザに供給される。このようなキャリアテープ424およびカバーテープ425によって部品テープが構成される。なお、部品テープの構成は、図4に示す構成以外の他の構成であってもよい。
本実施の形態における部品実装機100では、上述のようにヘッド112a,112bがそれぞれ同時に基板20の実装領域上に入ることがないように互いに強調して動作する。その結果、この部品実装機100は、いわゆる交互打ちと非交互打ちとを実行する。交互打ちとは、ヘッド112aによる1タスク分の部品の装着と、ヘッド112bによる1タスク分の部品の装着とが交互に行われる動作である。一方、非交互打ちとは、ヘッド112aまたはヘッド112bによる1タスク分の部品の装着が繰り返し連続して行われる動作である。
図5は、本実施の形態における部品実装機100の制御系の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態における部品実装機100は、入力部151、表示部152、ヘッド制御部153、制御部154、通信部155、および格納部156を備えている。
入力部151は、例えばキーボードやマウスなどで構成されており、オペレータからの操作を受け付けて、その操作結果をヘッド制御部153や制御部154などに通知する。
表示部152は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、ヘッド制御部153などの動作状態を表示したり、格納部156などに格納されているデータを表示したりする。
制御部154は、入力部151に受け付けられた操作や、通信部155で受信されたデータに応じて、部品検出装置116a、116b、表示部152、及びヘッド制御部153などを制御する。また、制御部154は、基板20を搬送するためのモータなどを制御して、基板20を適切な位置に搬送する。
通信部155は、制御装置200と通信する。例えば、通信部155は、基板20の各実装点に関する情報などを示すNCデータ156aと、各部品に関する情報を示す部品ライブラリ156bと、部品カセット114の配列や部品の実装順序などの実装条件を示す実装条件データ156cとを制御装置200から取得して、それらを格納部156に格納する。
格納部156は、通信部155により取得されたNCデータ156a、部品ライブラリ156b、及び実装条件データ156c等を格納している。
図6は、NCデータ156aの一例を示す図である。
NCデータ156aは、基板20において装着の対象となる全ての部品の実装点に関する情報を示す。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、部品ライブラリ156bにおける部品名に相当する(図7参照)。X座標およびY座標は実装点の座標である。制御データφiは、その部品の装着に関する制約情報、例えば、使用可能なノズルnzのタイプや、ヘッド112a,112bの最高移動加速度等を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズルnzが回転すべき角度を示す。
図7は、部品ライブラリ156bの一例を示す図である。
部品ライブラリ156bは、部品実装機100が扱うことができる全ての部品種のそれぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ156bは、図7に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ(幅、奥行き、厚さ等)、その部品種におけるタクト、および制約情報などからなる。
なお、この部品ライブラリ156bの示すタクトは、一定条件下において部品を基板20に装着するのに要する部品種固有の時間である。制約情報は、例えば、使用可能なノズルnzのタイプ(SXや、SAなど)、部品検出装置116a、116bによる認識方式(反射など)、及びヘッド112a、112bの最高加速度比などである。また、図7には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ156bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
図8は、実装条件データ156cの一例を示す図である。
実装条件データ156cは、部品供給部115a、115bにおける部品カセット114の配列(部品配列)、及びヘッド112a、112bのそれぞれのタスクごとの実装順序などを示す。例えば、実装条件データ156cは、部品配列として、部品供給部115aのX軸方向の一方からA1番目に部品種c1があり、A2番目に部品種c2があることを示す。同様に、部品供給部115bのX軸方向の一方からB1番目に部品種c1があり、B2番目に部品種c2があることを示す。
また、実装条件データ156cは、ヘッド112aの実装順序として、部品種c1〜c4の部品を含むタスク番号Ta1のタスクが実行され、次に、部品種c9〜c12の部品を含むタスク番号Ta2のタスクが実行され、さらにその後、部品種c17〜c20の部品を含むタスク番号Ta3のタスクが実行されることを示す。同様に、実装条件データ156cは、ヘッド112bの実装順序として、部品種c5〜c8の部品を含むタスク番号Tb1のタスクが実行され、次に、部品種c13〜c16の部品を含むタスク番号Tb2のタスクが実行され、さらにその後、部品種c21〜c24の部品を含むタスク番号Tb3のタスクが実行されることを示す。なお、実装条件データ156cは、タスクに含まれる部品ごとに、その部品の実装点も示している。
ヘッド制御部153は、格納部156に格納されているデータに基づいてモータなどを制御することにより、ヘッド112a、112bを移動させたり、そのヘッド112a、112bに部品を吸着させたり、部品を基板上の実装点に装着させたりする。例えば、ヘッド制御部153は、上述の実装条件データ156cを読み出し、ヘッド112a、112bが実装すべきタスクをタスク番号に従って特定するとともに、そのタスクの部品が供給される場所を部品配列に基づいて特定する。そして、ヘッド制御部153は、特定した場所にヘッド112a、112bを移動させ、それらのヘッド112a、112bに部品を吸着させて、その部品に対応する実装点に装着させる。
また、ヘッド制御部153は、ヘッド112aを他方のヘッド112bの動きに応じて制御する。同様に、ヘッド112bを他方のヘッド112aの動きに応じて制御する。つまり、ヘッド制御部153は、制御対象となるヘッド(以下、対象ヘッドという)を、他方のヘッド(以下、相手ヘッドという)の動きに応じて制御する。
ヘッド制御部153は、相手ヘッドが基板20の実装領域上にあるときに、対象ヘッドが突入ポイントに到達すると、対象ヘッドを突入ポイントに待機させておく。そして、相手ヘッドが実装領域上から出ると、対象ヘッドを実装領域上に突入させる。また、ヘッド制御部153は、相手ヘッドが基板20の実装領域上にないときに、対象ヘッドが突入ポイントに到達すると、基本的に、その対象ヘッドを突入ポイントで待機させることなく実装領域上に突入させる。
但し、本実施の形態におけるヘッド制御部153は、対象ヘッドが突入ポイントに到達したタイミングでその対象ヘッドを実装領域上に突入させることによって、非交互打ちが実行されそうな場合には、その非交互打ちを避けて強制的に交互打ちを実行させるべきか否かを判別する。非交互打ちを避けるべきと判別すると、ヘッド制御部153は、相手ヘッドが実装領域上になくても、相手ヘッドが実装領域上に入って1タスク分の部品を装着してその実装領域上から出るまで、対象ヘッドを突入ポイントに待機させておく。その結果、強制的な交互打ちが実現される。
なお、交互打ちとは、上述のように、ヘッド112aによる1タスク分の部品の装着と、ヘッド112bによる1タスク分の部品の装着とが交互に行われる動作であって、例えば、「ヘッド112a→ヘッド112b→ヘッド112a→ヘッド112b→・・・」の順で装着が行われる動作である。また、非交互打ちとは、上述のように、ヘッド112aまたはヘッド112bによる1タスク分の部品の装着が繰り返し連続して行われる動作であって、例えば、「ヘッド112a→ヘッド112b→ヘッド112b→ヘッド112a→・・・」の順で装着が行われる動作である。
次に、図9〜図11を参照して、部品実装機100に搭載される部品検出装置116a、116bについて詳しく説明する。図9は、部品検出装置116aを含む部品実装機100の主要な機能ブロックを示す図である。図10は、部品検出装置116aの構成を示す模式図である。図11は、図10の部品511周辺の拡大図である。なお、部品検出装置116bの構成も同様であるので、説明は省略する。
ノズル510は、部品カセット114から取得した部品511を先端に吸着し、基板500の予め定められた実装点に実装する。なお、ノズル510は、制御部540(図5のヘッド制御部153又は制御部154に相当)に含まれるノズル制御部542によって制御される。
部品検出装置116aは、光投射部520と、撮像部530と、検出部541とを主に備える。この部品検出装置116aは、ノズル510が直上を通過する際に、ノズル510の先端に吸着された部品511の状態(高さ、傾き、位置ずれ、回転等)を検出する。
光投射部520は、光源521と、焦点位置調整部522とを主に備え、部品511の下面(「測定面」という)に対して第1の光524aと、第2の光524bとを出力する。なお、実施の形態1に係る光投射部520は、図10に示されるように、2つの光源521a、521bと、2つの焦点位置調整部522a、522bと、2つのスリットシート523a、523bとを備える。なお、図10以降において、互いに直交するx軸及びy軸によって水平面を構成し、水平面に直交する鉛直方向上向きにz軸をとる。
第1の光524aは、拡散光を出力する光源521aと、第1の光524aの光路上に配置される焦点位置調整部522a及びスリットシート523aとによって生成され、出力される。焦点位置調整部522aは、光源521aから出力される拡散光を所定の位置(焦点位置)で集光させるものである。焦点位置調整部522aの具体例は特に限定されないが、実施の形態1に係る焦点位置調整部522aは凸レンズである。スリットシート523aは、一方方向に直線的に延びるスリットを有し、光源521aから出力する拡散光をスリット光に変換する。つまり、図10に示される第1の光524aは、スリット光として鉛直下向きに出力され、ハーフミラー526で水平方向に反射され、ハーフミラー527で鉛直上向きに反射されて、部品511の測定面に対して垂直(z軸方向)に投射される。
同様に、第2の光524bは、拡散光を出力する光源521bと、第2の光524bの光路上に配置される焦点位置調整部522b及びスリットシート523bとによって生成され、出力される。各構成要素の具体例は上記と同様であるので、説明は省略する。そして、図10に示される第2の光524bは、スリット光として鉛直下向きに出力され、ハーフミラー525で水平方向に反射され、ハーフミラー526を透過し、さらにハーフミラー527で鉛直上向きに反射されて、部品511の測定面に対して垂直(z軸方向)に投射される。
第1及び第2の光524a、524bは、図11に示されるように、それぞれ光が投射される方向、すなわち測定面と交差する方向(z軸方向を指す。「測定方向」ともいう。)の互いに異なるに焦点位置fa、fbで集光する。実施の形態1では、第1の光524aの焦点位置faは測定面より奥に位置し、第2の光524bの焦点位置fbは測定面より手前に位置している。
焦点位置fa、fbを異ならせる方法は特に限定されないが、例えば、第1及び第2の光524a、524bの焦点距離を異ならせてもよいし、第1及び第2の光524a、524bの光源521a、521bから測定面までの光路長を異ならせてもよいし、第1及び第2の光524a、524bの波長を異ならせてもよいし、これらを組み合わせてもよい。より具体的には、焦点位置調整部522a、522bを光路上で前後に移動させてもよいし、焦点位置調整部522a、522bである凸レンズの曲率を変化させてもよい。
撮像部530は、部品511の測定面のうち、少なくとも第1及び第2の光524a、524bが投射されている部分を撮像する。実施の形態1に係る撮像部530は、ハーフミラー527に対して部品511と反対側に配置され、測定面を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラである。つまり、撮像部530には、測定面で鉛直下向きに反射され、ハーフミラー527を透過した第1及び第2の光524a、524bが入射する。
検出部541は、撮像部530で撮像された画像に基づいて、部品511の状態(高さ、傾き、位置ずれ、回転等)を出力する。例えば、撮像部530で撮像された画像から測定面上における第1及び第2の光524a、524bの投射領域の大きさ(以下、単に「大きさ」という)を検出する。そして、検出した第1及び第2の光524a、524bの幅の組み合わせに基づいて、部品511のz軸方向の位置(つまり、部品511の高さ位置)を出力する。なお、実施の形態1における「投射領域の大きさ」とは、スリット光である第1及び第2の光524a、524bの幅を指すものとする。
図12〜図17を参照して、部品検出装置116aによる高さ検出処理を説明する。高さ検出処理は、測定面のz軸方向の位置を検出する処理である。図12は、高さ検出処理を示すフローチャートである。図13は、記憶部550(図5の格納部に相当)に記憶されている高さ検出テーブル551のデータ例を示す図である。図14〜図17は、撮像部530によって撮像された測定面の画像の例を示す図である。
図13に示される高さ検出テーブル551は、第1及び第2の光524a、524bの幅w1、w2の組み合わせと、測定面の位置の基準位置からのz軸方向のずれとを対応付けて保持している。なお、基準位置とは、格納部156のNCデータ156a等に保持されている部品511の本来あるべき位置を指す。
なお、図13に示される高さ検出テーブル551は、3つの対応関係のみを保持しているが、これに限ることなく、さらに多くの対応関係を保持してもよい。高さ検出テーブル551に保持される対応関係が多くなるほど、高精度の検出が可能となる。また、高さ検出テーブル551に代えて、第1及び第2の光524a、524bの幅w1、w2の組み合わせと、測定面の位置の基準位置からのz軸方向のずれとの関係を規定する関数を保持しておいてもよい。
まず、ノズル510は、部品カセット114から取得した部品511を先端に吸着した状態で、部品検出装置116aの直上を通過する。その際、部品検出装置116aの光投射部520は、部品511の測定面に対して第1及び第2の光524a、524bを投射する(S11)。実施の形態1に係る第1及び第2の光524a、524bは、第1の方向(y軸方向)に直線的に延びるスリット光である。また、光投射部520は、基準位置が第1の光524aの焦点位置fa及び第2の光524bの焦点位置fbの間、より具体的には、焦点位置fa、fbから等距離に位置するように、焦点位置調整部522a、522bを制御する。また、第1及び第2の光524a、524bの幅w1、w2とは、x軸方向の長さを指す。
次に、撮像部530は、第1及び第2の光524a、524bが投射されている測定面を撮像する(S12)。そして、検出部541は、撮像部530によって撮像された画像を解析して、第1及び第2の光524a、524bの幅w1、w2を検出する(S13)。具体的な検出方法は特に限定されないが、例えば、撮像部530から取得した画像の画素データを左から(又は右から)順に走査し、他の部分と比較して輝度値が極めて高い画素(「高輝度画素」という)の幅を第1及び第2の光524a、524bの幅w1、w2と判断すればよい。さらに、検出部541は、検出された幅w1、w2の組み合わせに基づいて、部品511の基準位置からのz軸方向のずれを検出する(S14)。
図14は、部品511の測定面が基準位置と一致している場合に、撮像部530によって撮像される画像の例である。この例では、第1の光524aの幅w1及び第2の光524bの幅w2は、同一(例えば、100μm)となる。この場合、検出部541は、検出された幅w1=w2=100μmに対応する基準位置からのずれ(0μm)を、高さ検出テーブル551から読み出し、出力する。
また、図15は、部品511の測定面が基準位置より低い(焦点位置fbに近い)場合に、撮像部530によって撮像される画像の例である。この例では、第1の光524aの幅w1(例えば、150μm)及び第2の光524bの幅w2(例えば、50μm)は、w1>w2となる。この場合、検出部541は、検出された幅w1=150μm、幅w2=50μmに対応する基準位置からのずれ(−500μm)を、高さ検出テーブル551から読み出し、出力する。
また、図16は、部品511の測定面が基準位置より高い(焦点位置faに近い)場合に、撮像部530によって撮像される画像の例である。この例では、第1の光524aの幅w1(例えば、50μm)及び第2の光524bの幅w2(例えば、150μm)は、w1<w2となる。この場合、検出部541は、検出された幅w1=50μm、幅w2=150μmに対応する基準位置からのずれ(+500μm)を、高さ検出テーブル551から読み出し、出力する。
図14〜図16の場合、第1及び第2の光524a、524bの一方が大きくなると、他方は小さくなる。そのため、第1及び第2の光524a、524bの大きさの合計は所定の範囲内(例えば、180μm〜220μm)に収まる。しかしながら、部品511が傾いた状態でノズル510に吸着されている場合、上記の関係を満足しない。
例えば、図17は、部品511の測定面が第1及び第2の光524a、524bに対して傾いている場合に、撮像部530によって撮像される画像の例である。例えば、検出部541は、第1の光524aの幅w1=150μm、第2の光524bの幅w2=150μmと検出したとする。つまり、第1及び第2の光524a、524bの幅の合計(w1+w2)は300μmであり、上記の範囲外となる。この場合、部品511がノズル510に傾いて吸着されていると判断し、当該判断結果を出力する。
ここで、「出力」の具体例は特に限定されないが、例えば、部品511が基準位置からずれている場合に、部品実装機100の表示部152や制御装置200にエラーを表示させてもよいし、ノズル制御部542に通知して、ノズル510の位置を補正してもよいし、当該部品511を不良部品として除去する処理を実行してもよい。
上記構成によれば、第1及び第2の光524a、524bを測定面に照射し、測定面上における第1及び第2の光524a、524bを検出するだけで、測定面のz軸方向の位置を高速且つ高精度に検出することができる。
次に、図18及び図19を参照して、部品検出装置116aによる位置検出処理を説明する。位置検出処理は、測定面のxy平面上の位置を検出する処理である。図18は、位置検出処理を示すフローチャートである。図19は、撮像部530によって撮像された測定面の画像の例を示す図である。なお、図12に示される高さ検出処理と共通する処理の詳しい説明は省略する。
まず、部品検出装置116aの光投射部520は、部品511を吸着したノズル510が直上の所定位置に達した時点で、部品511の下面に対して第1及び第2の光524a、524bを投射する(S21)。位置検出処理における第1及び第2の光524a、524bは、測定面上で互いに交差(直交)する方向に延びるスリット光である。
次に、撮像部530は、第1及び第2の光524a、524bの投射されている測定面を撮像する(S22)。このとき撮像された画像を図19に示す。なお、図19に示されるように、位置検出処理における第1の光524aは、測定面のy軸方向の中央に位置し、且つx軸方向に延びるスリット光である。一方、第2の光524bは、測定面のx軸方向の中央に位置し、y軸方向に延びるスリット光である。
次に、検出部541は、撮像部530によって撮像された画像を解析して、第1の光524aの両端部の点p1、p2、及び第2の光524bの両端部の点q1、q2の位置を特定する(S23)。なお、点p1、p2は第1の光524aの幅(x軸方向)の中央の点、点q1、q2は第2の光524bの幅(y軸方向)の中央の点である。
次に、検出部541は、特定したp1、p2の中点と、及びq1、q2の中点とが一致する部品511の中心位置o´を算出し、ノズル510の位置oと比較する(S24)。なお、ノズル510と撮像部530との位置関係は予め定まっているので、撮像部530で撮像された画像上でノズル510の位置oを特定することができる。
ノズル510の位置oと中心位置o´とが一致していれば、検出部541は、ノズル510が中心位置o´で部品511を吸着していると判断する。一方、ノズル510の位置oと中心位置o´とがずれていれば、検出部541は、ノズル510が中心位置o´と異なる位置で部品511を吸着していると判断する。そして、検出部541は、この判断結果を出力する(S24)。
上記構成によれば、部品511のx軸方向及びy軸方向の吸着ずれを高速且つ高精度に検出することができる。なお、この位置検出処理は、前述の高さ検出処理と同時に実行することが可能である。
次に、図20及び図21を参照して、部品検出装置116aによる回転検出処理を説明する。回転検出処理は、測定面のxy平面上での回転を検出する処理である。図20は、回転検出処理を示すフローチャートである。図21は、撮像部530によって撮像された測定面の画像の例を示す図である。なお、図12に示される高さ検出処理及び図18に示される位置検出処理と共通する処理の詳しい説明は省略する。
まず、部品検出装置116aの光投射部520は、部品511を吸着したノズル510が直上の所定位置に達した時点で、部品511の下面に対して第1及び第2の光524a、524bに加えて、さらに第3の光524cを投射する(S31)。位置検出処理における第3の光524cは、第1及び第2の光524a、524bの少なくとも一方(図21では両方)と交差(直交)する方向に延びるスリット光である。
次に、撮像部530は、第1〜第3の光524a、524b、524cの投射されている測定面を撮像する(S32)。このとき撮像された画像を図21に示す。なお、図21に示されるように、位置検出処理における第1及び第2の光524a、524bは、測定面のy軸方向に延びるスリット光である。一方、第3の光524cは、測定面のx軸方向に延びるスリット光である。
次に、検出部541は、撮像部530によって撮像された画像を解析して、第1の光524aの両端部の点p1、p2、第2の光524bの両端部の点q1、q2、及び第3の光524cの両端部の点r1、r2の位置を特定する。そして、特定された各点p1、p2、q1、q2、r1、r2から部品511の輪郭線を推定する(S33)。具体的には、点p1、q1を通る第1の直線と、点p2、q2を通る第2の直線と、点r1を通り第1及び第2の直線に直交する第3の直線と、点r2を通り第1及び第2の直線に直交する第4の直線とで、部品511の輪郭線が構成されている推定できる。
次に、検出部541は、検出した部品511の輪郭線と、本来の部品511の輪郭線(図21に一点鎖線で示す)とを比較する。なお、ノズル510と撮像部530との位置関係は予め定まっており、且つノズル510に吸着されている部品511の形状は部品ライブラリ156bから取得できるので、撮像部530で撮像された画像上で本来の部品511の輪郭線を特定することができる。
そして、両者が一致していれば、検出部541は、部品511が適正な状態でノズル510に吸着されていると判断する。一方、両者がずれていれば、検出部541は、部品511が回転した状態でノズル510に吸着されていると判断する。そして、検出部541は、この判断結果を出力する(S34)。
上記構成によれば、部品511のxy平面上での回転を高速且つ高精度に検出することができる。なお、この回転検出処理は、前述の高さ検出処理及び位置検出処理と同時に実行することが可能である。
なお、高さ検出処理においては、スリット光に限定されず、拡散光であってもよい。具体的には、拡散光は測定面上で円形を描くので、この円の直径(半径)を測定することによっても高さ検出処理を実現することができる。また、拡散光の測定面上での形状は、円形に限定されず、例えば、三角形や四角形であってもよい。
また、実施の形態1では、第1の光524aを出力するための光源521aと、第2の光524bを出力するための光源521bとを備える光投射部520の例を示したが、これに限ることなく、1つの光源から出力される光を分光して、第1及び第2の光524a、524bを生成してもよい。第3の光524cについても同様である。
また、上記の各処理において、光投射部520は測定面にスリット光を照射しているが、一方方向に直線的に延びる光であれば、具体的な実現方法は特に限定されない。例えば、文字通りスリットを用いて拡散光を収束させてもよいし、レーザ光を一方向に高速で走査してもよいし、複数のレーザ光(レーザアレイ)を一方向に並べて照射してもよい。
さらに、上記の各処理は、ノズル510に吸着された部品511に対してだけでなく、他のシチュエーションにも適用可能である。例えば、部品511を実装する前の基板500に対して(図22)、基板500に実装された後の部品511に対して(図23)、キャリアテープ424の収納凹部424aに収納されている部品511に対して(図示省略)も、本発明を適用することができる。
まず、部品検出装置は、図22に示されるように、ノズル510と一体的に構成されている。そして、部品検出装置は、部品511を実装する前の基板500の上面を測定面として、高さ検出処理を実行してもよい。
具体的には、光投射部520は、部品511が実装される前の基板500の表面(部品511の実装点を含む領域であるのが望ましい)に第1及び第2の光524a、524bを投射する。撮像部530は、第1及び第2の光524a、524bが投射されている基板500の表面を撮像する。そして、検出部541は、撮像部530によって撮像された画像に基づいて、基板500の部品511の実装点を含む領域のz軸方向の位置(つまり、部品511の実装部位における基板500の表面の高さ位置)を検出する。なお、高さ検出処理の詳細は、既に説明しているので省略する。
基板500は、完全に平坦ではなく、僅かに撓みやうねりを生じている。すなわち、実装点において基板500が上方に膨らんでいれば、部品511を基板500に強く押し付けることになり、部品511の破損の原因となる。一方、実装点において基板500が下方に凹んでいれば、部品511を基板500に吹き付ける際に位置ずれを生じる可能性がある。そこで、部品511を実装する前に、基板500のz軸方向の位置を検出し、この検出結果に基づいてノズル510の上下方向の移動量を制御することにより、部品511を適切に実装することが可能となる。
また、部品検出装置は、図23に示されるように、ノズル510と一体的に構成されている。そして、部品検出装置は、基板500に実装された後の部品511の上面を測定面として、高さ検出処理、位置検出処理、及び回転検出処理を実行してもよい。
具体的には、光投射部520は、基板500に実装された部品511の上面に第1及び第2の光524a、524bを投射する。撮像部530は、第1及び第2の光524a、524bが投射されている部品511の表面を撮像する。そして、検出部541は、撮像部530によって撮像された画像に基づいて、基板500上の部品511のz軸方向の位置(つまり、基板500に実装された部品511の高さ位置)を検出する高さ検出処理、xy平面上の位置を検出する位置検出処理、及びxy平面上での回転を検出する回転検出処理を実行する。なお、各処理の詳細は、既に説明しているので省略する。これにより、部品511が適切に実装されていない基板500を不良基板としてライン上から除去することができる。
なお、基板500又は基板500に実装された部品511の状態(高さ、傾き、位置ずれ、回転等)を検出する部品検出装置(図22、23)についても、図10の構成を応用して適用することができる。すなわち、図10における部品511の位置と撮像部530の位置とを入れ替える(基板500の場合も同様)と共に、ハーフミラー527に水平方向に入射する第1及び第2の光524a、524bが鉛直下向きに反射されるように、ハーフミラー527の角度を調整すればよい。これにより、撮像部530には、測定面(基板500又は部品511の表面)で鉛直上向きに反射され、ハーフミラー527を透過した第1及び第2の光524a、524bが入射する。 但し、基板500に実装された部品511に対して位置検出処理を適用する場合、第1及び第2の光524a、524bは、図23に示されるように、測定面に対して斜め上方から入射(図23では入射角α)する必要がある(図10の構成を応用する場合、ハーフミラー527の角度を調整する)。これにより、部品511に投射される光と、基板500に投射される光とがずれるので、部品511の端部を特定することが可能となる。回転検出処理についても同様である。
なお、スリット光の本数は、上記の例に限定されるものではなく、さらに多数のスリット光を照射してもよい。多数のスリット光を用いることにより、より高精度の位置検出が可能となる反面、画像処理・画像解析に要する時間は増大するので、検出制度と処理時間とのバランスを考慮して適切な本数を選択するのが望ましい。
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものであってもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であってもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作するものであってもよい。
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施してもよい。
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。