JP5401219B2 - Icタグ - Google Patents

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Description

本発明は、ICタグに関する。特に、本発明は、非接触式RFID(Radio Frequency Identification)に利用可能なICタグに関する。
従来、物品に貼付けられたICタグを、電磁波を放出する情報取得装置にかざしてICタグから情報を入手して、物品を識別したり管理する非接触式RFIDが開発されている。
RFIDに使用されるICタグなどでは、フリップチップ方式により、バンプを介して回路基板に導電性接着剤等の接合材を用いて直接ICチップを実装する構成が知られている(特許文献1、2参照)。
ところで、ICタグは、アンテナ回路、ICチップを、一対の可撓性のフィルム及びシートにより挟み込み、一方のフィルム、シートに粘着性のものを用いることにより、物品に貼り付けられる。
しかし、ICタグが物品の外側に貼り付けられている場合、例えば、物品を運搬する際、物品同士がぶつかり合うことにより、ICチップが衝撃を受けることがあり、衝撃によってICチップが破損してしまうことがある。
このようなICチップの破損を防止する方法として、熱硬化性樹脂を用いてアンテナ回路の電極にICチップを実装した後、ICチップの周縁部に光硬化性樹脂を塗布し、光硬化性樹脂を硬化させることにより、ICチップの耐衝撃性を向上させた技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−174045号公報 特開2003−92312号公報 特開2005−33053号公報
しかしながら、前記特許文献3に記載の技術では、熱硬化性樹脂によるICチップの実装後に、光硬化性樹脂をICチップの周縁に塗布し、さらに硬化させる必要があるため、ICタグの製造工程が煩雑化し、製造コストが高騰するという問題がある。
本発明の目的は、製造コストの高騰を招くことがなく、ICチップの破損を防止することができるICタグを提供することである。
本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1)回路基材と、前記回路基材に形成されたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に形成された回路電極と、前記回路電極にフリップチップ方式により接合材を用いて実装されたICチップと、を有するICインレットと、前記回路基材の前記アンテナ回路が形成された面に積層された保護層と、を備え、前記ICチップの周縁には、前記接合材の硬化体からなるフィレットが形成され、前記フィレットは、前記ICチップの側面を被覆し、前記側面に沿った高さ寸法が前記ICチップの高さ寸法に略等しくされた状態が、前記ICチップの実装面に沿った方向に所定寸法延長され、前記ICチップを補強する補強部を備え、前記補強部は、前記ICチップの上面から外側に延長するように形成された補強面を有し、前記フィレットは、前記ICチップの周縁から前記補強面の周縁端部までの距離が100μm以上600μm以下であり、前記ICチップの周縁から前記フィレットの周縁端部までの長さ寸法が110μm以上800μm以下であり、前記保護層は、両面粘着シートと、この両面粘着シートにさらに積層された第2の保護層と、を備えることを特徴とするICタグ
本発明のICタグの接続構造、ICインレット及びICタグによれば、製造コストの高騰を招くことが無く、ICチップの破損を防止することができる。
本発明の実施形態に係るICタグの断面図。 図1におけるICタグを構成するICインレットの平面図。 図2におけるICインレットを構成するICチップ周辺の断面図。 図3におけるICチップ周辺の平面図。 本発明の参考例、および実施例におけるICインレットを示す平面図。 比較例としてのICチップ周辺の断面図。 本発明の参考例、および実施例及び比較例におけるICチップを評価するために使用するローラの斜視図。
本発明によれば、フィレットが補強部を備えているので、ICチップに外力が作用しても、補強部で衝撃力を分散、吸収でき、ICチップの破損を防止することができる。また、フィレットがICチップと回路電極とを接合する接合材の硬化体として形成されているため、別途接着剤を使用する必要が無く、ICチップの補強を行うことができ、ICタグの製造工程の煩雑化を招くことが無く、製造コストが高騰することもない。
本発明では、前記フィレットは、前記ICチップの周縁から前記フィレットの周縁端部までの長さ寸法が100μm以上であるのが好ましく、より好ましくは100μm以上1000μm以下とするのが好ましい。
ここで、ICチップの周縁からフィレットの周縁端部までの長さ寸法が100μm未満の場合、フィレットの補強部の面積を十分に確保できないため、ICチップを十分に補強することができない場合がある。
また、ICチップの周縁からフィレットの周縁端部までの長さ寸法が1000μmを超える場合、接合材の量が多くなりすぎ、接合材の硬化に時間がかかるため、タクトタイムが長くなり、生産性が低下する場合があり、加熱温度を上げてタクトタイムを短くすると、接合材が急激に加熱されて突沸し、フィレット内部にボイドを生じさせることがあり、フィレットの強度を十分に確保できず、ICチップを十分に保護することができない場合がある。
さらに、硬化した接合材は、硬いために1000μmを超えるフィレットの場合には、ICインレットさらにはICタグのフレキシブル性が損なわれる場合がある。
本発明のICインレットは、前記回路電極が形成されたアンテナ回路に、前述したICチップの接続構造を備えることを特徴とする。
この発明によれば、フィレットの補強部によりICチップが保護されているため、ICチップの破損の少ないICインレットとすることができる。
本発明のICタグは、前述したICインレットと、ICチップ上に積層された保護層とを備えていることを特徴とする。
この発明によれば、フィレットの補強部によるICチップの保護に加え、保護層によってもICチップを保護できるため、ICチップの破損防止効果をより向上させることができる。
[発明の実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(ICタグの構成)
図1に示すように、本実施形態のICタグ1は、パッシブ型のICタグであり、ICインレット10に対し、所定のタグ加工を施して得たタグ形状のものである。ICタグ1は、ICインレット10と、印字用表面シート20と、保護層としての両面粘着シート31と、剥離シート32とを備える。
ICインレット10は、平板状の回路基材11と、回路基材11に形成された後述するアンテナ回路12及びICチップ13とを備える。
回路基材11としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネートなどの合成樹脂フィルムや、上質紙、コート紙、グラシン紙、不織布などの紙材等のシート材料を用いることができる。回路基材11の厚さ寸法は、特に限定されるものではなく、用途に合わせて適宜選択すればよいが、例えば、5μm以上2000μm以下が好ましく、特に10μm以上500μm以下が好ましい。
図1において、印字用表面シート20は、回路基材11のアンテナ回路12が形成された面と反対側の面に接着されている。印字用表面シート20は、例えば商品の情報等の可視情報が印刷されたり、ICインレット10を保護する。印字用表面シート20の可視情報としては、例えば、商品情報(例えば商品番号や商品名等)、値段、バーコード、模様、マーク等が挙げられる。
また、印字用表面シート20は、その表面に印字適性を有していることが好ましく、その材質は広く適用でき、例えば、合成樹脂フィルム、合成紙、不織布、紙等を用いることができる。また、必要に応じて、これらに感熱記録、感圧記録、熱転写記録、レーザー光記録、インクジェット記録等の各種印字印刷を施すための被印字層を形成したものを用いることができる。
また、印字用表面シート20は、透明であっても良いし、又は不透明であっても良い。印字用表面シート20としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの接着剤や、粘着剤層312として挙げられる粘着剤と同様の粘着剤を用いて積層することができる。
図1において、両面粘着シート31は、回路基材11のアンテナ回路12が形成された面に積層され、保護層として機能している。
両面粘着シート31は、シート状の支持体311の表裏面に粘着剤を塗布して粘着剤層312、貼付剤層313を形成したものである。
支持体311は、例えば、合成樹脂フィルム、紙、不織布等を用いることができる。例えば合成樹脂フィルムを用いる場合、その材料は種々の材料を用いることができるが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイミド等の材料を用いることができる。
支持体311の厚さ寸法は、材料によっても異なるが、回路基材11を保護することができる厚さ寸法であり、かつ商品の曲面部分等に貼り付ける際に、商品形状に追従できるような可撓性を備えていることが好ましい。そのため、支持体311の厚さ寸法は、例えば、3μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上300μm以下が特に好ましい。
粘着剤層312は、支持体311のアンテナ回路12側の面に設けられ、アンテナ回路12と実装されたICチップ13との凹凸に追従して封止する。粘着剤層312は、ICチップ13とアンテナ回路12とを支持体311に接着することができる充分な接着力があれば、その材質は特に限定されず広く適用でき、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系等の粘着剤を用いることができる。中でも、アクリル系粘着剤は接着力の面で優れているので、好ましい。
貼付剤層313は、支持体311のアンテナ回路12と反対側の面に設けられ、ICタグ1と商品とを貼り合わせる。また、貼付剤層313は、ICタグ1を商品に貼り合わせることができれば、その材質は広く適用でき、粘着剤層312と同様の粘着剤を用いることができる。粘着剤層312と貼付剤層313の厚さ寸法は特に限定されないが、例えば、1μm以上300μm以下が好ましく、5μm以上150μm以下が好ましい。
なお、印字用表面シート20は、ICチップ13上に積層し、保護層として用いても良く、両面粘着シート31は、回路基材11のICチップ13が実装されていない面に積層しても良い。
剥離シート32は、アンテナ回路12に積層される面とは反対側の貼付剤層313に積層されている。剥離シート32は、商品などに貼り付ける前の状態においては、貼付剤層313とともに、回路基材11を保護する機能を担うものであり、必要により貼付剤層313に接する面に剥離剤層を設けることが好ましい。剥離シート32としては、例えば、ポリエチレンラミネート紙、コート紙、グラシン紙等の紙やポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等を用いることができる。また、剥離シート32の剥離剤層に用いる剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、長鎖アルキル系樹脂等を用いることができる。
(ICインレットの構成)
ICインレット10は、アンテナ回路12及びICチップ13を備える。図2に示すように、アンテナ回路12は、面状の回路線121と、3つの接続体122A、122B、122Cと、絶縁レジスト123と、ジャンパー124とを備える。
回路線121は、回路基材11の周縁に沿って所定回数巻回されて形成され、主としてアンテナ機能や電力供給機能を担う。なお、回路線121の巻き数は、受信する電磁波の周波数や、回路基材11の大きさに応じて適宜決定される。回路線121は、被覆銅線をループ状に巻く方法、導電性ペーストをループ状に印刷する方法、回路基材11にラミネートされた銅、アルミニウム等の導電性金属層をエッチングによりループ状に形成する方法等により形成することができる。また、回路線121の形状は、ループ状に限らず、直線状のダイポール型など電波を受信できる形状であれば特に限定されない。
また、導電性ペーストとしては、金、銀、ニッケル、銅等の金属の粒子をバインダーあるいは有機溶剤に分散させたものが使用できる。バインダーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
接続体122Aは、ループ状の回路線121の内側端部に形成され、接続体122Cは、ループ状の回路線121の外側端部に形成されている。また、接続体122Bは、ループ状の回路線121の外周に沿って形成されている。また、接続体122Bと接続体122Cとの間には、ICチップ13が配置されている。これら接続体122A、122B、122Cは、回路線121と同様に形成される。
絶縁レジスト123は、ジャンパー124と回路線121とを絶縁させるものであり、回路線121を横断するように覆っている。
絶縁レジスト123としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂などを主成分とする絶縁性の樹脂を適用できる。
ジャンパー124は、回路線121の接続体122Aと接続体122Bとを電気的に接続する。ジャンパー124としては、例えば、金、銀、ニッケルなどの金属粒子を分散させた導電性ペースト又は導電性インクを適用できる。
また、ジャンパー124は、接続体122Aと接続体122Bとに貫通孔を設け、ここに伝導性ペーストを埋め込み、回路基材11の裏側で接続体122Aと接続体122Bとを伝導性ペースト等で接続させるようにして設けてもよい。
(ICチップの接続構造)
図2、3、4に示すように、ICチップ13は、IC電極131を備え、フリップチップ方式により接合材40を使用して回路電極125に実装されている。
回路電極125は、アンテナ回路12に2つ形成されている。一方の回路電極125は、接続体122BからICチップ13の略直下に延設するリード線14で接続されており、他方の回路電極125は、接続体122CからICチップ13の略直下に延設するリード線14で接続されている。
本実施形態では、回路線121のループ状の巻き線の外側でICチップ13を実装したが、内側や複数の巻き線の途中において実装しても良い。その場合には、接続体の位置や個数を適宜変化する必要がある。
図3,4に示すように、ICチップ13は、平面視矩形状の板状体からなり、回路電極125に対向する実装面132と、この実装面132に略直交する側面133とを有する。
IC電極131は、ICチップ13の実装面132に形成され、バンプ134を介して接合材40により回路電極125に導通されている。接合材40は、ICチップ13の実装後、熱圧着することで硬化体となり、ICチップ13と回路基材11との間、及び、ICチップ13の周縁に配置される。ICチップ13の周縁に配置された接合材40の硬化体は、フィレット41を形成している。
接合材40は、ハンダ、異方導電性接着剤(ACA)、異方導電性ペースト(ACP)等を適用できる。この異方導電性接着剤としては、金属粒子などを分散させたエポキシ樹脂などを主成分としたものなどを用いることができ、本実施形態では熱硬化型のエポキシ樹脂を主成分としたものを用いている。
フィレット41は、ICチップ13の周縁からはみ出した接合材40の硬化体であり、図3においては上底部の長さ寸法をW2とし下底部の長さ寸法をW1とした断面略台形形状であり、ICチップ13を補強するための補強部42を備える。補強部42は、図3に示すように断面略台形形状のフィレット41における傾斜部を含む断面三角形を除く断面長方形の部分であり、ICチップ13の側面133を被覆する。そして、補強部42は、ICチップ13の実装面132と反対側の面、すなわちICチップ13の上面135から外側に延長するように形成された補強面421を有する。補強面421は、ICチップ13の側面133に沿った高さ寸法がICチップ13の上面135の高さ寸法と略等しい位置に形成されている。また、補強面421は、図3における断面略台形形状のフィレット41の上底部の部位であり、ICチップ13の実装面132に沿った方向に所定の長さ寸法(W2)を有する。フィレット41の補強面421から先の形状は、直線状となっていて高さ寸法が先に行くに従って漸減する形状となっている。なお、フィレット41の補強面421から先の形状は、直線状に限らず、高さ寸法が先に行くに従って漸減した円弧状となっていてもよい。
前記補強面421の長さ寸法(W2)とは、ICチップ13の周縁から補強面421の周縁端部までの距離であり、例えば、50μm以上800μm以下が好ましく、特に、100μm以上600μm以下が好ましい。前記長さ寸法(W2)が上記特定範囲内であれば、補強部42が外力による衝撃力をさらに良好に分散、吸収することができ、しかも、タクトタイムも短くすることができる。
図3に示すような前記長さ寸法(W2)は、図4に示すような長さ寸法(W2’)又は長さ寸法(W2”)であり、図4からも分かるように、矩形状のICチップ13の一辺から補強面421の周縁端部までの長さ寸法(W2’)よりも、矩形状のICチップ13の角隅部から補強面421の周縁端部までの長さ寸法(W2”)の方が短くなる。
また、フィレット41は、図3に示すように、ICチップ13の周縁からフィレット41の周縁端部までの長さ寸法(W1)が100μm未満の場合、ICチップ13の周囲を十分に保護することができない場合がある。一方、前記フィレット41の長さ寸法(W1)が1000μmを超える場合、接合材40の量が多すぎてしまい、接合材40の硬化に時間がかかるため、タクトタイムが長くなり、生産性が低下する場合がある。そのため、前記フィレット41の長さ寸法(W1)は、図3において断面略台形形状のフィレットでの下底部の長さ寸法に相当し、100μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上1000μm以下であり、特に、110μm以上800μm以下が好ましい。
図3に示すような長さ寸法(W1)は、図4に示すような長さ寸法(W1’)又は長さ寸法(W1”)にであり、図4からも分かるように、矩形状のICチップ13の一辺からフィレット41の周縁端部までの長さ寸法(W1’)よりも、矩形状のICチップ13の角隅部からフィレット41の周縁端部までの長さ寸法(W1”)の方が短くなる。
フィレット41の平面形状は、図4に示すように、真円となる場合もあるが、ICチップ13の形状や回路電極125の形状や接合材40の濡れ性などによってフィレット41の平面形状は異なる。フィレット41の形状によっては、矩形状のICチップ13の角隅部からフィレット41の周縁端部までの長さ寸法(W1”)の方が、矩形状のICチップ13の一辺から補強面421の周縁端部までの長さ寸法(W2’)よりも短くなることがある。そのような場合であっても、ICチップ13の角隅部からフィレット41の周縁端部までの長さ寸法(W1”)は、100μm以上であることが好ましい。
(ICチップの実装方法)
ICチップ13の実装は、フリップチップ方式により行う。具体的には、回路基材11の回路電極125上に、接合材40を所定量滴下して塗布する。一方、ICチップ13に予めバンプ134を設けておき、回路基材11の回路電極125に、塗布された接合材40の上からICチップ13のバンプ134のある実装面132を押し付けて、接合材40の中にバンプ134を入り込ませる。その際、ICチップ13の周縁にも接合材40が行きわたる。そして、平板状の圧着板により回路基材11に向かってICチップ13を所定時間加熱圧着する。ここで、用いる圧着板とは、金属又は樹脂から形成され、ICチップ13の周縁のフィレットより大きな面積の平面部を有し、その平面部には接合材が接着しないように剥離処理を施したものが好ましい。その後、接合材40の硬化によりICチップ13の周縁にフィレット41が形成される。また、圧着板により、ICチップ13を加熱圧着する際に、ICチップ13の周縁には補強面421も形成される。
なお、フリップチップ方式による実装方法としては、例えば、ESC工法、C4工法、超音波フリップチップ工法などが挙げられる。
(実施形態の効果)
本実施形態に係るICタグ1によれば、補強部42がICチップ13の上面135から連続するように延びて、所定の長さ寸法(W2)を有する補強面421を備えるため、ICチップ13に外力が作用しても、補強部42で衝撃力を吸収でき、ICチップ13の破損を防止することができる。また、フィレット41がICチップ13と回路電極125とを接合する接合材40の硬化体として形成されているため、別途接着剤を使用する必要が無く、ICチップ13の製造工程の煩雑化を招くことが無く、製造コストが高騰することもない。
また、ICタグ1では、フィレット41は、長さ寸法(W1)が100μm以上であるので、フィレット41の補強部42の面積を十分に確保でき、ICチップ13を十分に補強することができる。
さらに、本実施形態に係るICタグ1は、保護層としての両面粘着シート31を備えるため、ICチップ13の損傷をさらに防止することができる。
(実施形態の変形)
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、ICタグは、非接触式のRFIDに使用可能なICタグを例示したが、RFIDモジュールとしても適用することができる。また非接触ICカードやICカードモジュールとしても同様に適用することができる。
また、本実施形態では、ICタグはパッシブ型を用いたが、アクティブ型でもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
参考例1)
参考例1のICタグは、アンテナ回路の作製工程と、ICインレットの作製工程と、ICタグの加工工程により作製した。
(アンテナ回路の作製工程)
図5に示すように、回路基材11として、銅箔/PET(ポリエチレンテレフタレート)貼り合わせ品であるニカフレックス(ニッカン工業(株)製(銅/PET=35μm/50μm))を使用した。この回路基材11にスクリーン印刷法にてエッチングレジストパターンを印刷した。その後エッチングにて不要な銅箔を除去し、回路線121、接続体122A、122B、122Cを作製した。その後、回路線121の接続体122Aと接続体122Bとを結合するために、絶縁レジストインク(日本アチソン(株)製、製品名:ML25089)と銀ペースト材(東洋紡績(株)製、製品名:DW250L−1)を用いてジャンパー124を形成した。ジャンパー124の形成はスクリーン印刷法を用いた。これにより、アンテナ回路12を作製した。
(ICインレットの作成工程)
ICインレット10は、作製されたアンテナ回路12へRFID−ICチップ13(NXP(株)製、製品名:IcodeSLI)をフリップチップ方式により実装することにより作製した。実装には、フリップチップ実装機(九州松下(株)製、製品名:FB30T−M)を用いた。接合材には、異方導電性ペースト(ACP、京セラケミカル(株)製、製品名:TAP0602F)をACP塗布量で0.28mg使用した。ACPへの加熱温度はICチップ13において220℃、ICチップ13への荷重は2N(200gf)、加圧加熱時間は7秒間として、実装を行った。
実装後、ACPの硬化体により、ICチップ13の周縁にフィレットが形成された。ICチップ13の角隅部から周縁端部までのフィレットの長さ寸法(W1”)は116μmであった。
また、フィレットは、ICチップ13の高さ寸法と同じ高さ寸法を有し、補強部が形成されていた。ICチップ13の1辺から補強面の周縁端部までの長さ寸法(W2’)は170μmであった。
(ICタグの加工工程)
ICインレット10のICチップ13の実装面に、両面粘着シート(リンテック(株)製、製品名:PET25W PA−T1 8KX 8EC*)を貼り合わせた。
また、インレットのICチップ13を実装していない面には表示層として、印字用表面シートを貼り合わせICタグを加工した。ここで、印字用表面シートには、FR4415−50(リンテック(株)製、製品名)を使用した。
同様の方法により、ICタグを5枚作製した。作製したICタグは、ハンディーRW(Welcat(株)製、製品名:XIT−150−BR)にて動作確認を実施した。
参考例2)
回路基材11にICチップ13を実装する際、ACPの塗布量を0.41mgにした以外は、参考例1と同様にして、ICタグを5枚作製した。
実装後、ACPの硬化体は、ICチップ13の高さ寸法と同じ高さ寸法を有し、補強部が形成されていた。ICチップ13の1辺から補強面の周縁端部までの長さ寸法(W2’)が450μmであり、ICチップ13の角隅部から周縁端部までのフィレットの長さ寸法(W1”)が435μmであった。
(実施例3)
参考例1のICタグにおいて、両面粘着シートに第2の保護層(リンテック(株)製 製品名:KEP70WA PM 8KX)を貼り合わせた以外は、参考例1と同様にして、ICタグを5枚作製した。
(実施例4)
参考例2のICタグにおいて、両面粘着シートに第2の保護層(リンテック(株)製 製品名:KEP70WA PM 8KX)を貼り合わせた以外は、参考例2と同様にして、ICタグを5枚作製した。
(比較例1)
回路基材11にICチップ13を実装する際、0.12mgのACPを塗布した以外は、参考例1と同様にして、比較例のICタグを5枚作製した。
実装後、ACPの硬化体は、図6に示すように、ICチップ13の高さの約半分までしか盛られておらず、補強部は形成されなかった。また、ICチップ13の角隅部から周縁端部までのフィレットの長さ寸法(W1”)は45μmであった。
(評価方法)
参考例1〜2、実施例〜4及び比較例1、2のICチップ13は、以下の手順(1)〜(3)により評価した。
(1)図5に示すように、ステンレス板((株)日本バルテック製、製品名:SUS304)50上にICタグを配置した。この際、ICタグの両面粘着シート又は第2の保護層がステンレス板50に対向する状態にICタグを配置した。
(2)ICタグの上に、図7に示すような把持部61を有するローラ60を載せて転がした。ローラ60は、図4において矢印で示すローラ転がし方向に転がした。ローラ60は、荷重3.7kgで、直径80.4mm、高さ80.4mmの円柱状の本体と、本体の両端に、直径20.0mm、長さ100.0mmの棒状の把持部61とを有するものである。
(3)往復1回毎に前記ハンディーRWにて動作確認を行い、ICチップ13の破損確認を行った。
表1には、評価結果として、ICチップ13の動作を確認することができたICタグ5枚における最高往復回数の平均値を示す。なお、実施例4において、往復回数が500となっているものは、往復500回を超えて試験を行っていないことを示す。
補強部を有する参考例1〜2、実施例〜4では、ICチップの破損の防止に効果があることが分かる。第2の保護層を有する実施例3、4では、さらに、ICチップの破損の防止に効果があることが分かる。
1 タグ
10 インレット
11 回路基板
12 アンテナ回路
13 ICチップ
31 両面粘着シート
32 剥離シート
40 接合材
41 フィレット
42 補強部
125 回路電極
131 IC電極
132 実装面
133 側面

Claims (1)

  1. 回路基材と、前記回路基材に形成されたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に形成された回路電極と、前記回路電極にフリップチップ方式により接合材を用いて実装されたICチップと、を有するICインレットと、
    前記回路基材の前記アンテナ回路が形成された面に積層された保護層と、を備え、
    記ICチップの周縁には、前記接合材の硬化体からなるフィレットが形成され
    前記フィレットは、前記ICチップの側面を被覆し、前記側面に沿った高さ寸法が前記ICチップの高さ寸法に略等しくされた状態が、前記ICチップの実装面に沿った方向に所定寸法延長され、前記ICチップを補強する補強部を備え、
    前記補強部は、前記ICチップの上面から外側に延長するように形成された補強面を有し、
    前記フィレットは、前記ICチップの周縁から前記補強面の周縁端部までの距離が100μm以上600μm以下であり、前記ICチップの周縁から前記フィレットの周縁端部までの長さ寸法が110μm以上800μm以下であり、
    前記保護層は、両面粘着シートと、この両面粘着シートにさらに積層された第2の保護層と、を備える
    ことを特徴とするICタグ
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