JP5400114B2 - 乗客コンベア及びそのガイドシュー - Google Patents

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Description

本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベア及びそのガイドシューに関する。
乗客コンベアは、建築構造物に設置されたフレームと、このフレームの長手方向両端部に設けられた乗降床と、無端状に連結されて乗降床間を循環移動する踏段と、フレームに取り付けられて踏段を所定の移動経路に沿って案内するガイドレールと、同じくフレームに取り付けられて踏段の移動方向に沿って配置されたスカートガードを有する欄干とから主に構成されている。踏段は、乗客が乗る踏板(クリートとも呼ばれる)と、各踏段の段差部分を構成するライザーと、これら踏板及びライザーの側部付近(側面部分)に配置されてガイドレール上を走行するローラを回転可能に支持するブラケット(エスカレータの場合には、特に三角ブラケットと呼ばれる。)と、ブラケットに取り付けられたガイドシューとを有している。ガイドシューは、スカートガードの表面に摺接されて、踏段の左右方向の動きを規制し、スカートガードと踏段との間に形成される隙間部分への異物の挟み込みを防止している。一方、動く歩道の踏段は、ライザーを有しておらず、クリート、ブラケット、ローラ及びガイドシューをもって構成される。
ところで、乗客コンベアの踏段としては、アルミダイカスト等をもって、クリートとブラケット(エスカレータの踏段については、ライザーも含む。)を一体に成形したものと、ステンレス鋼等をもってこれらの部材を別々に作製し、ボルト等の結合部材を用いて一体に組み立てるものとが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、アルミダイカストによって製造されるエスカレータ用の踏段を示しており、踏段2、スカートガード5を示している。また、クリート6、ライザー7、三角ブラケット8、前ローラ11、前ローラ11を取り付ける前軸10、後ローラ13、後ローラ13を取り付ける後軸12、ガイドシュー14を示している。この図から明らかなように、アルミダイカストによって製作されたエスカレータ用の踏段2には、三角ブラケット8の外面にガイドシュー14を取り付けるためのボス8Aが一体に形成されており、ガイドシュー14は、このボス8Aの先端部に、例えばボルト等を用いて取り付けられている。
これに対して、ステンレス鋼等をもって製作された個々の部品を組み立てることによって製造される踏段2については、三角ブラケット8の外面にガイドシュー14を取り付けるためのボス8Aを一体形成することがコスト的に不可能である。このため、この種の踏段2にガイドシュー14を取り付ける手段としては、三角ブラケット8とは別部材として作製されたボス8A、或いはそれに代わるガイドシュー取り付け部を三角ブラケット8の外面に後加工で取り付けるという手段が検討されているが、この場合も、アルミダイカストによって製造される踏段に比べて、材料費及び加工費が格段に高いものになる。
これに対して、本件出願と同一出願人により、踏段へのガイドシューの取り付けを容易かつ安価で確実なものにするために、乗客が乗る踏板とブラケットとを連結する補強板を設け、この補強板には、踏段の幅方向の端部に形成されたガイドシューの位置決め用切欠と、この位置決め用切欠よりも内側部分に形成したガイドシューと連結するための連結孔とを有し、ガイドシューには、片面がスカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、この摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなり、第1及び第2のリブを補強板の表面及び裏面に当接し、嵌合突起を補強板に形成された位置決め用切欠に嵌合すると共に、補強板に開設された連結孔を利用して連結部を補強板に連結するようにした構成が先行技術として提案されている(特許文献2)。
特開2004−161427号公報 特願2011−142990号
しかしながら、前記先行技術として提案された乗客コンベアでは、補強板に形成された位置決め用切欠に嵌合する嵌合突起を爪によるスナップ連結構造としていたため、両者を嵌合するときには、爪部を摘んで中心側に閉じるように力を加え外径を小さくした状態を保持しながら行う必要があった。このため、繰り返しの使用などによって爪部が折れたりして、結局、作業性が悪いものとなっていた。爪部に代えてボルトを使用する構成も示されているが、ボルトの着脱が面倒であり、結局、作業性を改善することができなかった。
本発明の目的は、踏段へのガイドシューの取り付け及び交換時の取り外しを容易にすると共に、耐久性に優れた乗客コンベア及びそのガイドシューを提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するため、建築構造物に設置したフレームと、前記フレームの長手方向の両端部に設けた乗降床と、前記乗降床間を循環移動する複数の踏段と、前記フレームに支持されると共に前記踏段の移動方向に沿って設けたスカートガードとを備え、前記踏段は、踏板と、前記踏板の前記スカートガード側に配置したブラケットと、前記ブラケットと前記踏板とを連結する補強板と、前記補強板に取り付けられて前記スカートガードに摺接するガイドシューとを有して構成した乗客コンベアにおいて、前記補強板には、前記スカートガード側に形成した位置決め部と、前記位置決め部よりも反スカートガード側に形成した貫通孔とを設け、前記ガイドシューには、前記スカートガードと摺接する摺接部を一方側に設けた基部と、前記基部の他方側に前記補強板を挟み可能に対向配置した一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に設けられて前記位置決め部に嵌合して位置を決める嵌合部と、前記基部の前記他方側に前記一対の対向部材よりも長くした自由端を有する支持部材と、前記支持部材の自由端部に設けられて前記位置決め部と嵌合部とが嵌合した時、前記貫通孔の径よりも小さな外径を有して前記貫通孔内に非接触状態で挿入される突出部材とを設けたことを特徴とする。
このような構成によると、補強板の位置決め部とガイドシューの嵌合部との係合によって、定常状態では貫通孔による内壁面と、突出部材の外周面とは非接触状態を保持することができ、ガイドシューの突出部材の挿入または引き抜きが簡単になり、ガイドシューの取り付け及び取り外し作業を簡単に行うことができる。またガイドシューの取付け精度を高め、スカートガードによって精度良く踏段を案内することができるので、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記摺接部に摩耗検出用溝を形成したことを特徴とする。
このような構成によると、摺接部が踏段の移動時にスカートガードとの摺接によって摩耗しても、摩耗検出用の溝の状況や変化から知ることができ、交換時期などを簡単に判断することができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記摺接部の外周部に面取り部を形成したことを特徴とする。
このような構成によると、ガイドシューの摺接部がスカートガードの繋ぎ目等を乗り越えやすくなるので、ガイドシューに加わる外力を緩和でき、異音の発生を防止できると共に、ガイドシューの耐久性を高めることができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記貫通孔は円形であり、前記ガイドシューに設けた前記突出部材は、円柱状または円筒状としたことを特徴とする。
このような構成によると、突出部材は極めて簡単な構成となり、従来のように補強板に形成した貫通孔への挿入時に爪部の変形を繰り返す必要がなくなり、折れたりすることもなく作業が一層簡単になる。しかも、抜け止めとして作用するとき以外の定常状態では、径寸法差によって突出部材に無理な力が作用しないので、突出部材の出し入れ、つまりガイドシューの取り付け及び取り外しを容易にすることができる。
また本発明は、摺接部を有するガイドシューにおいて、前記摺接部を一方側に設けた基部と、前記基部の他方側に対向配置した一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に設けた嵌合部と、前記基部の前記他方側に前記一対の対向部材よりも長くした自由端を有する支持部材と、前記支持部材の自由端部に設けられ、踏段に設けられたブラケットと踏板とを連結する補強板に形成された貫通孔の径よりも小さな外径を有して前記貫通孔内に非接触状態で挿入される突出部材とを設けたことを特徴とする。
このような構成によると、踏段のスカートガイド側にガイドシューを取り付けると、補強板の位置決め部とガイドシューの位置決め部材との係合によって、定常状態では貫通孔による内壁面と、突出部材の外周面とは非接触状態を保持することができ、ガイドシューの突出部材の挿入または引き抜きが簡単になり、ガイドシューを取り付け及び取り外し作業を簡単に行うことができる。またガイドシューの取り付け精度を高め、スカートガードによって精度良く踏段を案内することができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記摺接部に摩耗検出用溝を形成したことを特徴とする。
このような構成によると、摺接部がスカートガードとの摺接によって摩耗しても、摩耗検出用の溝の状況や変化から知ることができ、交換時期などを簡単に判断することができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記摺接部の外周部に面取り部を形成したことを特徴とする。
このような構成によると、ガイドシューの摺接面がスカートガードの繋ぎ目等を乗り越えやすくなるので、ガイドシューに加わる外力を緩和でき、異音の発生を防止できると共に、ガイドシューの耐久性を高めることができる。
また本発明は、前記構成に加えて、前記突出部材は、円柱状または円筒状としたことを特徴とする。
このような構成によると、突出部材は極めて簡単な構成となり、従来のように補強板に形成した貫通孔への挿入時に爪部の変形を繰り返す必要がなくなり、折れたりすることもなく取り付け及び取り外し作業が一層簡単になる。しかも、取り付け状態では、径寸法差によって突出部材に無理な力が作用しないので、突出部材の出し入れ、つまりガイドシューの取り付け及び取り外しを一層容易にすることができる。
本発明の乗客コンベアによれば、補強板の位置決め部とガイドシューの嵌合部との係合によって、定常状態では貫通孔による内壁面と、突出部材の外周面とは非接触状態を保持することができ、ガイドシューの突出部材の挿入または引き抜きが簡単になり、ガイドシューを取り付け及び取り外し作業を簡単に行うことができる。またガイドシューの取り付け精度を高め、スカートガードによって精度良く踏段を案内することができるので、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。
本発明の一実施の形態による乗客コンベアの要部斜視図である。 図1に示した踏段の側面図である。 図1に示した乗客コンベアの要部を断面した正面図である。 図1に示したガイドシューの補強板への取り付け方法を示す要部斜視図である。 図4の方向A方向から見た斜視図である。 図4の方向B方向から見た斜視図である。 図4に示したガイドシューの平面図である。 図3に示したガイドシューの取り付け状態を示す要部断面図である。 図3に示したガイドシューの取り付け状態を示す要部拡大図である。 図9に示したガイドシューの取り付け状態を示す背面図である。 本発明の他の実施の形態による乗客コンベアの踏段を示す側面図である。 従来の踏段を示す要部側面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態による乗客コンベアは、図1に示すように建屋の各階床の床面に設置された乗降床1と、下階の床面と上階の床面との間に架け渡されてエスカレータ全体を支持する図示しないフレームと、無端状に連結されて下階の乗降床1と上階の乗降床1との間を循環移動する複数の踏段2と、踏段2の移動方向に沿って配置され上述したフレームに取り付けた欄干3と、欄干3の外周に沿って配置され踏段2と同一方向に循環移動する移動手摺り4と、欄干3の下部に備えられ上述したフレームに取り付けたスカートガード5とを備えている。
踏段2は、図2及び図3に示すように乗客が乗るクリート(踏板)6と、各踏段2の段差部分を構成するライザー7と、これらクリート6及びライザー7の側部付近に配置された三角ブラケット8と、クリート6と三角ブラケット8とを連結する補強板9と、前軸10を介して三角ブラケット8に回転可能に支持された前ローラ11と、後軸12を介して三角ブラケット8に回転可能に支持された後ローラ13と、補強板9の端部に取り付けられて三角ブラケット8の外面側に配置されるガイドシュー14とから構成している。クリート6及びライザー7はステンレス鋼をもって形成され、三角ブラケット8及び補強板9は、薄板鋼板によって形成される。これらの各部材は、独立の別体として製作された後、クリート6とライザー7、及びクリート6と補強板9、補強板9と三角ブラケット8とは、ボルトなどの結合部材をもって一体に組み立てられる。
図3に示すように、下階の床面と上階の床面との間に架け渡されてエスカレータ全体を支持するフレーム15には、踏段2の前ローラ11を案内する案内レール16と、踏段2の後ローラ13を案内する案内レール17が取り付けられている。案内レール16の外側には欄干3が位置し、案内レール16の内側にはスカートガード5が位置している。踏段2の補強板9には、詳細を後述するガイドシュー14が取り外し可能に保持され、このガイドシュー14におけるスカートガード5側の面がスカートガード5に摺接している。
補強板9は、図2及び図4に示すようにクリート6と三角ブラケット8とを連結可能な所要の形状に形成されており、その幅方向の端部(スカートガード5側w)には、ガイドシュー14の取り付け位置を規制するため切り欠き等の位置決め部18が形成されている。この位置決め部18の形状は、加工を容易にすると共に、応力集中を抑制するために、半円形又は角部に丸みが付けられたほぼ四角形に成されている。また、位置決め部18の形成位置よりも内側部分(反スカートガード5側)には、ガイドシュー14を保持するための2つの貫通孔19A,19Bが上下に並んで形成されている。これらの位置決め部18及び貫通孔19A,19Bを利用してガイドシュー14が取り外し可能に保持されている。
ガイドシュー14は、図4と、図4の矢印A方向から見た斜視図である図5と、図4の矢印B方向から見た斜視図である図6と、平面図である図7に示すように、摺接部20を有してほぼ円板状に形成された基部21を有しており、この基部21の裏面側に、補強板9に形成した位置決め部18に嵌合する嵌合部22と、この嵌合部22を位置決め部18に嵌合したとき補強板9を挟むように位置し、嵌合部22よりも軸方向に長く伸びて形成したブロック状の対向部材23,24と、この対向部材24の外側に一体的に形成され、対向部材23に面する側を対向部材24とほぼ同一平面に形成した支持部材25A,25Bとを有している。
支持部材25A,25Bは、対向部材24よりも軸方向に長く伸びて形成されており、対向部材24と支持部材25A,25Bとの間にはスリット26が形成されている。このスリット26によって一対の支持部材25A,25Bの自由端側にはばねアクションあるいは柔軟性が付与されている。
また一対の支持部材25A,25Bの自由端側には、上述のばねアクションあるいは柔軟性によって補強板9に形成した貫通孔19A,19B内に出し入れする方向に伸びた突出部材27A,27Bがそれぞれ一体的に形成されている。この突出部材27A,27Bのうち貫通孔19A,19B内に位置することになる部分は、ストレートの円柱状または円筒状またはその他の形状であり、その外径を貫通孔19A,19Bの径よりも若干小さくしている。ここでは、突出部材27A,27Bは支持部材25A,25Bへの結合基部から先端部までストレートの円柱状であり、その軸長は補強板9の厚みより若干長くしてある。
支持部材25A,25Bの自由端側は、スリット26によるばねアクションあるいは柔軟性によって突出部材28A,28Bを貫通孔19A,19B内に挿入したり、逆に、引き抜いたりしやすくしている。しかし、支持部材25A,25Bの自由端側の変形は、スリット26に限らず、対向部材24とは別に基部21から伸びて軸長を増大した支持部材25A,25Bを形成することによっても実現することができる。いずれにせよ、支持部材25A,25Bの自由端側の変形によって突出部材27A,27Bを貫通孔19A,19B内に挿入したり、逆に引き抜いたりすることができるようにし、また突出部材27A,27Bの軸長も同じ点を考慮して設定している。
さらに図5に示したように基部21の摺接部20には、外周部を面取りした面取り部29の形成を行った後、直線状またはその他の形状の摩耗検出用溝28を形成している。図3に示したように摺接部20は、スカートガード5に摺接される摺接面となっており、スカートガード5との摺接によって摩耗したとき、この摩耗検出用溝28の深さや有無によって摩耗程度を容易に判断できるので、ガイドシュー14の交換時期を容易に知ることができ、乗客コンベアのメンテナンス容易性を高めることができる。
また、摺接部20の外周面の角部には、図5および図7に示すように、面取り部29が施されている。このようにすると、ガイドシュー14の摺接部20がスカートガード5の繋ぎ目等を乗り越えやすくなるので、ガイドシュー14に加わる外力を緩和でき、異音の発生を防止できると共に、ガイドシュー14の耐久性を高めることができる。また、上述した摩耗検出用溝28の変化による交換時期の判定精度を一層高めることができる。
補強板9に形成した位置決め部18は、ほぼ四角形であるから、ここに取り付けられるガイドシュー14の嵌合部22も同様の四角形としているが、位置決め部18が半円形または角部に丸みが付けられた四角形に形成した場合は、嵌合部22も同様に半円形または角部に丸みが付けられた四角形に形成する。かかる構成とすることにより、ガイドシュー14の摺接部20側から外力が作用しても位置決め部18によって受けられる。このため、図8に示すようにガイドシュー14の突出部材27A,27Bを補強板9の貫通孔19A,19B内に挿入したとき、貫通孔19A,19Bを形成している内壁面との間には僅かな隙間を有していて、ほぼ非接触状態を保持している。
このようなガイドシュー14は、例えばポリアセタール樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の低摩擦にして適度の弾性を有する材料をもって一体に形成されている。
次に、補強板9にガイドシュー14を取り付ける方法について説明する。先ず、ガイドシュー14の対向部材23,24間に補強板9を位置させ、ガイドシュー14を挿入しながら、補強板9の位置決め部18に嵌合部22が接触するように嵌め込む。このとき支持部材25A,25Bに形成した突出部材27A,27Bがガイドシュー14の挿入を妨げないように、例えば、支持部材25A,25Bの突出部材27A,27B側を補強板9から離れる方向に変形させると良い。
ガイドシュー14の挿入が完了すると、突出部材27A,27Bが補強板9に形成した貫通孔19A,19Bに対応した位置となり、正面図である図9また裏面から見た図10に示すように突出部材27A,27Bが貫通孔19A,19B内に挿入される。突出部材27A,27Bと貫通孔19A,19Bとの位置関係が図示のようであれば、位置決め部18に嵌合部22が正しく嵌合したことが分かり、しかも、突出部材27A,27Bに無理な変形を加えることがない。
逆に、この作業において、図8に示すように突出部材27A,27Bが貫通孔19A,19B内に挿入されるように目標をとりながらガイドシュー14の挿入を行うと、突出部材27A,27Bが貫通孔19A,19B内に挿入された状態では、位置決め部18に嵌合部22が正しく嵌合したことが分かる。
ガイドシュー14の取り付けが完了した状態では、図8及び図9から分かるように補強板9に形成した貫通孔19A,19Bによる内壁面と、突出部材27A,27Bの外周面とは非接触状態である。一方、補強板9に取り付けたガイドシュー14の摺接部20は、スカートガード5に摺接されるため、固定位置の精度が高いスカートガード5を基準にして、踏段2をその進行方向に精度良く案内することができる。このとき、スカートガード5に摺接される摺接部20を有するガイドシュー14は、スカートガード5との接触によって力を受けるが、上述したように補強板9の位置決め部18に嵌合部22を接触させ、同接触部で受けているため、突出部材27A,27Bの位置は変わらず、貫通孔19A,19Bによる内壁面と、突出部材27A,27Bの外周面とは、非接触状態を保持する。
しかし、ガイドシュー14が補強板9から抜ける方向に望まない力が作用した場合には、僅かに移動しようとすると、突出部材27A,27Bの外周面が貫通孔19A,19Bによる内壁面に接触して動きが阻止され、ガイドシュー14が補強板9から脱落するのを防止することができる。
このように補強板9に形成した貫通孔19A,19Bと突出部材27A,27Bとの関係が決められているため、定常状態では貫通孔19A,19Bによる内壁面と、突出部材27A,27Bの外周面とは非接触状態を保持しているため、ガイドシュー14を取り付ける作業及びガイドシュー14を取り外す作業を簡単に行うことができる。
このような乗客コンベアによれば、補強板9の位置決め部18とガイドシュー14の嵌合部23の係合によって、ガイドシュー14の取り付け精度を高め、スカートガード5によって精度良く踏段2を案内することができるので、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。また、前記先行技術では、突出部材27A,27Bを爪によるスナップ連結構造としているが、貫通孔19A,19B内に挿入したスナップ連結構造部の外周面が貫通孔19A,19Bによる内壁面に圧接するようにしていたため、取り外す場合は、スナップ連結による圧接を解除したりボルトを取り外す作業が必要になり、作業中に爪が折れたりし面倒な作業となっていたのに対して、定常状態では貫通孔19A,19Bによる内壁面と、突出部材27A,27Bの外周面とは非接触状態を保持しているため、ガイドシュー14を取り付ける作業及びガイドシュー14を取り外す作業を簡単に行うことができる。
また、摺接部20に摩耗検出用溝28を形成したため、摺接部20が踏段2の移動時にスカートガード5との摺接によって摩耗しても、摩耗検出用溝28の状況や変化から知ることができ、交換時期などを簡単に判断することができる。
また、摺接部20の外周部に面取り部29を形成したため、ガイドシュー14の摺接部20がスカートガード5の繋ぎ目等を乗り越えやすくなるので、ガイドシュー14に加わる外力を緩和でき、異音の発生を防止できると共に、ガイドシュー14の耐久性を高めることができる。
また、貫通孔19A,19Bは円形であり、ガイドシュー14に設けた突出部材27A,27Bは、貫通孔19A,19Bの径よりも小さな外径を有すると共に、円柱状または円筒状としたため、突出部材27A,27Bは極めて簡単な構成となり、前記先行技術のように補強板9に形成した貫通孔19A,19Bへの挿入時に爪部の変形を繰り返す必要がなくなり、折れたりすることもなく作業が一層簡単になる。しかも、抜け止めとして作用するとき以外の定常状態では、径寸法差によって突出部材27A,27Bに無理な力が作用しないので、突出部材27A,27Bの出し入れ、つまりガイドシュー14の取り付け及び取り外しを容易にすることができる。
上述した本発明の実施の形態では乗客コンベアとして説明したが、本発明はガイドシュー単体でも取り扱うことができる。このようなガイドシュー14によれば、踏段2のスカートガード5側にガイドシュー14を取り付けると、補強板9の位置決め部18とガイドシュー14の嵌合部22との係合によって、定常状態では貫通孔19A,19Bによる内壁面と、突出部材27A,27Bの外周面とは非接触状態を保持することができ、ガイドシュー14の突出部材27A,27Bの挿入または引き抜きが簡単になり、ガイドシュー14を取り付け及び取り外し作業を簡単に行うことができる。また乗客コンベアに取り付けた状態では、ガイドシュー14の取り付け精度を高め、スカートガード5によって精度良く踏段を案内することができる。
また、ガイドシュー14におけるその他構成においても、乗客コンベアの場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
尚、上述した実施の形態においては、エスカレータを例にとって説明したが、本発明は動く歩道を含む乗客コンベアに適用することができる。動く歩道にも適用する場合、図11に示したように踏段2としては、図2のライザー7を有さず、かつ三角ブラケット8に代えて四角形のブラケット30を備えたものが用いられる。その他については、エスカレータに備えられる踏段と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して、説明を省略する。また、図11には前ローラ11及び後ローラ13が図示されているが、いずれか一方のローラに関しては省略することもできる。
1 乗降床
2 踏段
3 欄干
4 移動手摺り
5 スカートガード
6 クリート
7 ライザー
8 三角ブラケット
9 補強板
10 前軸
11 前ローラ
12 後軸
13 後ローラ
14 ガイドシュー
15 フレーム
16 案内レール
17 案内レール
18 位置決め部
19A,19B 貫通孔
20 摺接部
21 基部
22 嵌合部
23 対向部材
24 対向部材
25A,25B 支持部材
26 スリット
27A,27B 突出部材
28 摩耗検出用溝
29 面取り部

Claims (8)

  1. 建築構造物に設置したフレームと、前記フレームの長手方向の両端部に設けた乗降床と、前記乗降床間を循環移動する複数の踏段と、前記フレームに支持されると共に前記踏段の移動方向に沿って設けたスカートガードとを備え、前記踏段は、踏板と、前記踏板の前記スカートガード側に配置したブラケットと、前記ブラケットと前記踏板とを連結する補強板と、前記補強板に取り付けられて前記スカートガードに摺接するガイドシューとを有して構成した乗客コンベアにおいて、
    前記補強板には、前記スカートガード側に形成した位置決め部と、前記位置決め部よりも反スカートガード側に形成した貫通孔とを設け、前記ガイドシューには、前記スカートガードと摺接する摺接部を一方側に設けた基部と、前記基部の他方側に前記補強板を挟み可能に対向配置した一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に設けられて前記位置決め部に嵌合して位置を決める嵌合部と、前記基部の前記他方側に前記一対の対向部材よりも長くした自由端を有する支持部材と、前記支持部材の自由端部に設けられて前記位置決め部と嵌合部とが嵌合した時、前記貫通孔の径よりも小さな外径を有して前記貫通孔内に非接触状態で挿入される突出部材とを設けたことを特徴とする乗客コンベア。
  2. 前記摺接部に摩耗検出用溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
  3. 前記摺接部の外周部に面取り部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の乗客コンベア。
  4. 前記貫通孔は円形であり、前記ガイドシューに設けた前記突出部材は、円柱状または円筒状としたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の乗客コンベア。
  5. 摺接部を有する乗客コンベアのガイドシューにおいて、
    前記摺接部を一方側に設けた基部と、前記基部の他方側に対向配置した一対の対向部材と、前記一対の対向部材間に設けた嵌合部と、前記基部の前記他方側に前記一対の対向部材よりも長くした自由端を有する支持部材と、前記支持部材の自由端部に設けられ、踏段に設けられたブラケットと踏板とを連結する補強板に形成された貫通孔の径よりも小さな外径を有して前記貫通孔内に非接触状態で挿入される突出部材とを設けたことを特徴とする乗客コンベアのガイドシュー。
  6. 前記摺接部に摩耗検出用溝を形成したことを特徴とする請求項5に記載の乗客コンベアのガイドシュー。
  7. 前記摺接部の外周部に面取り部を形成したことを特徴とする請求項5または6に記載の乗客コンベアのガイドシュー。
  8. 前記突出部材は、円柱状または円筒状としたことを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の乗客コンベアのガイドシュー。
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