JP5398484B2 - リソグラフィ装置で使用するための調和レジストモデル及びデバイス製造方法 - Google Patents

リソグラフィ装置で使用するための調和レジストモデル及びデバイス製造方法 Download PDF

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Description

[0002] 本発明は、一般に、リソグラフィプロセスに関連する結像結果のシミュレーションを実行するための方法及びコンピュータプロダクトに関する。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。例えば、集積回路(IC)の製造などにリソグラフィ装置を使用することができる。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々のレイヤ上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は、典型的に、基板上に設けた放射感応性材料(レジスト)のレイヤへの結像により行われる。一般に、1枚の基板は、連続的にパターン形成される隣接するターゲット部分のネットワークを含む。従来のリソグラフィ装置としては、パターン全体をターゲット部分上に一度に露光することで各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンしながら、これに同期してこの方向に平行又は逆平行に基板をスキャンすることで各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナを含む。パターンを基板にインプリントすることによってパターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
[0004] 実用的なリソグラフィレジストプロセスを開発するために、まず、プロセス最適化のためにリソグラフィシミュレーションツールを使用することが望ましい。その後、実際の基板プリント検証を行うことができる。その課題は、レジストクリティカルディメンション(CD:Critical Dimension)、レジストパターンの輪郭、及び/又はシミュレーションツールを使用するときに十分な正確さでレジストパターンの輪郭の一部を併合又は切断するかどうかの予測を保証する方法である。レジストモデル較正はシミュレーションプロセスの重大な主要因の1つであり、シミュレーションモデルのロバスト性はもう1つの重要な要因である。
[0005] 典型的なリソグラフィシミュレーションは3つの基本ステップを含む。第一に、問題のフィーチャの空間像を計算する。この空間像計算は、例えば、開口数、露光波長、及びレンズの特性を含む、リソグラフィ装置の光学設定に基づくものである。第二に、露光後ベーク(PEB)ステップを実行する。このステップは、(1)熱によってフォトスピード(photo speed)の化学増幅を可能にすること、及び(2)定在波効果によって発生するレジストCDの揺れを最小限にすることという2つの機能を提供する。第3のステップは、拡散空間像に基づいてレジストパターンを現像することを含む。
[0006] 一般に、レジストモデリングの従来の手法としては、低速であるがより物理的なプロセスモデリングによるか、又は高速であるが経験的な手法によるという2つがある。しかし、これらのレジストモデリングの手法はいずれも満足な結果をもたらしていない。確かに、これらの手法は、化学プロセスを完全に表すことができないか、及び/又は一般に時間のかかるものである。
[0007] フォトレジスト内のマスクパターンの像を正確かつ迅速にシミュレートする方法を提供することが望ましい。
[0008] 本発明の一態様では、基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法が提供され、この方法は、基板レベルでマスクパターンの空間像を決定することと、少なくとも2つの直交畳み込みカーネルによって空間像を畳み込み、レジスト内のマスクパターンを表すレジスト像を決定することとを含む。
[0009] 本発明の他の態様では、基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法が提供され、この方法は、基板レベルでマスクパターンの空間像を決定することと、レジスト内のマスクパターンの像を表すレジスト像に空間像を変換することとを含み、その空間像が少なくとも2つの畳み込みカーネルを含むモデルを使用してその空間像が変換され、その変換が少なくとも2つの畳み込みカーネルによって空間像を畳み込むことを含み、空間像からレジスト像への変換が回転及び鏡面対称保存の特性を有するような少なくとも2つの畳み込みカーネルが選択される。
[0010] 本発明の他の態様では、機械実行可能命令を有するコンピュータプロダクトが提供され、この命令は基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法を実行するために機械によって実行可能であり、この方法は、基板レベルでマスクパターンの空間像を決定することと、少なくとも2つの直交畳み込みカーネルによって空間像を畳み込み、レジスト内のマスクパターンの像を表すレジスト像を決定することとを含む。
[0011] 本発明の他の実施形態では、機械実行可能命令を有するコンピュータプロダクトが提供され、この命令は基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法を実行するために機械によって実行可能であり、この方法は、基板レベルでマスクパターンの空間像を決定することと、レジスト内のマスクパターンの像を表すレジスト像に空間像を変換することとを含み、その空間像が少なくとも2つの畳み込みカーネルを含むモデルを使用してレジスト像に変換され、その変換が少なくとも2つの畳み込みカーネルによって空間像を畳み込むことを含み、空間像からレジスト像への変換が回転及び鏡面対称保存の特性を有するような少なくとも2つの畳み込みカーネルが選択される。
[0012] 本発明の上記その他の態様、特徴、及び特性、並びに関連構造要素の動作方法及び機能は、そのすべてが本明細書の一部を形成する添付図面に関連して以下の説明及び特許請求の範囲を検討すると、さらに明らかになり、同様の参照番号は種々の図において対応する部分を示す。しかし、添付図面は例示及び説明のみのためのものであり、本発明の限界を定義するものではないことを明白に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用する単数形は、文脈が明瞭に別の指図をしない限り複数の指示対象を含む。
[0013] 次に、対応する参照記号が対応する部分を示す添付概略図面に関連して、例としてのみ、本発明の諸実施形態について説明する。
[0014]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。 [0015]本発明の一実施形態によりレジスト像を入手するプロセスを示す模範的なフローチャートである。 [0016]図2のプロセスの回転特性を示す図である。 [0017]図2のプロセスの鏡面対称特性を示す図である。 [0018]本発明の一実施形態によりレジスト像を入手するプロセスを示す模範的なフローチャートである。
[0019] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に描写している。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又は任意の他の適切な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAをサポートするように構築され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決め装置PMに接続されたパターニングデバイスサポート又はマスクサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTとを含む。また、この装置は、基板(例えば、レジストコーティングウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに応じて基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板サポート」も含む。この装置は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSをさらに含む。
[0020] 照明システムは、放射線を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[0021] パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、並びに、例えば、パターニングデバイスが真空環境で保持されるかどうかなどのその他の条件によって決まる方法で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械的、真空、静電気、又はその他のクランプ技法を使用してパターニングデバイスを保持することができる。パターニングデバイスサポートは、例えば、フレーム又はテーブルにすることができ、必要に応じて固定又は可動式にすることができる。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証することができる。本明細書で「レチクル」又は「マスク」という用語を使用する場合、「パターニングデバイス」というより一般的な用語と同義と見なすことができる。
[0022] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを作成するために放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できる任意のデバイスを指すものと広義に解釈すべきである。例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、放射ビームに付与されたパターンは基板のターゲット部分の所望のパターンに正確に対応しない可能性があることに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路など、ターゲット部分に作成されるデバイス内の特定の機能レイヤに対応する。
[0023] パターニングデバイスは透過型又は反射型にすることができる。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、リソグラフィでは周知のものであり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、並びに種々のハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、マトリクス配置の小型ミラーを使用し、入射放射ビームを異なる方向に反射するようにそれぞれのミラーを個別に傾けることができる。傾けたミラーは、ミラーマトリクスによって反射された放射ビームにパターンを付与する。
[0024] 本明細書で使用する「投影システム」という用語は、使用する露光放射あるいは液浸液の使用又は真空の使用などのその他の要因に応じて適宜、屈折、反射、反射屈折、磁気、電磁気、及び静電光学システム、又はそれらの任意の組合せを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈すべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語を使用する場合、「投影システム」というより一般的な用語と同義と見なすことができる。
[0025] 本明細書に描写されている通り、この装置は透過タイプのものである(例えば、透過マスクを使用する)。代替的に、この装置は、反射タイプのものにすることもできる(例えば、上記で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用するか又は反射マスクを使用する)。
[0026] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル又は「基板サポート」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル又は「マスクサポート」)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンでは、追加のテーブル又はサポートを平行して使用するか、又は1つ又は複数の他のテーブル又はサポート上で準備ステップを実行しながら1つ又は複数の他のテーブル又はサポートを露光に使用することができる。
[0027] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するために比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水で基板の少なくとも一部分を覆うことができるタイプのものにすることもできる。例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)と投影システムとの間などのリソグラフィ装置内の他の空間に液浸液を適用することもできる。液浸技法を使用して、投影システムの開口数を増加することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないことを意味するのではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が位置することを意味するだけである。
[0028] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置は、例えば、放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素にすることができる。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを含むビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。その他の場合には、例えば、放射源が水銀灯である場合に、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0029] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、少なくともイルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般に、それぞれσ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調整することができる。加えて、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの種々の他のコンポーネントを含むこともできる。イルミネータを使用して、その断面において所望の均一性及び強度分布を有するように放射ビームを調節することができる。
[0030] 放射ビームBは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、そのシステムが基板Wのターゲット部分Cにビームを焦点に集める。第2の位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め装置PM及び他の位置センサ(図1に明確に描写されていない)を使用して、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めすることができる。一般に、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて認識されるが、これらのモジュールは第1の位置決め装置PMの一部を形成する。同様に、基板テーブルWT又は「基板サポート」の移動は、ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して認識されるが、これらのモジュールは第2のポジショナPWの一部を形成する。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTは、単にショートストロークアクチュエータに接続される場合もあれば、固定される場合もある。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントすることができる。例示されている基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に位置することもできる(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に複数のダイが設けられる状況では、パターニングデバイスアライメントマークがダイ間に位置することもできる。
[0031] 描写した装置は以下の複数のモードの少なくとも1つで使用することができる。
[0032]1.ステップモードでは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」並びに基板テーブルWT又は「基板サポート」は本質的に静止状態に保持され、放射ビームに付与されたパターン全体が一度に(すなわち、単一静的露光で)ターゲット部分Cに投影される。次に、異なるターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWT又は「基板サポート」がX方向及び/又はY方向にシフトする。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0033]2.スキャンモードでは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」並びに基板テーブルWT又は「基板サポート」は同期的にスキャンされ、放射ビームに付与されたパターンが(すなわち、単一動的露光で)ターゲット部分Cに投影される。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」に対する基板テーブルWT又は「基板サポート」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって決定することができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向)が制限され、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決定される。
[0034]3.他のモードでは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して本質的に静止状態に保持され、基板テーブルWT又は「基板サポート」を移動又はスキャンしながら、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用し、基板テーブルWT又は「基板サポート」を移動するたびに又はスキャン中に連続する放射パルスの間で必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスを更新する。この動作モードは、上記で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
[0035] 上記の使用モードの組合せ及び/又は変形あるいは全く異なる使用モードも使用することができる。
[0036] リソグラフィシミュレーションにおいてレジスト像を決定する従来の手法は、種々の重み付きカーネルによる空間像の畳み込み(又は空間像のピクセル単位の変換)を伴う。このような重み付きカーネルは通常、ガウス関数である。このような手法は一般に、幾つかの理由により望ましくないものである。第一に、従来のモデルの化学プロセスは一般に正確に計算されない。これと同時に、計算時間を大幅に増加せずにモデルの正確さを増すことはできず、これは望ましいことではない。その結果、経験的モデルが一般に使用される。第二に、従来の経験的モデルのフィッティングは一般に難しい。この結果、モデル項のキャンセレーション(cancellation)によって特徴付けられる、潜在的に不安定なフィッティング手順が得られる。現在のモデルは、同様の標準偏差を有する2つのガウスカーネル(Gaussian kernels)を持つことができる。このような2つのカーネルは、相関関係が強く、数値的に不安定になる。第三に、カーネルは任意に選択されるので、物理的意味を持たない。第四に、シミュレーションモデルの現在の項は、フィッティングさせる必要がある多くの非線形パラメータを有する。このため、ユーザとコンピュータプログラムとの間で多くの対話が必要である。ユーザは、複数のフィッティングプロセスを実行し、非線形項のサーチ範囲を変更し、その結果が正確であり物理的に現実的であることを検証しなければならない可能性がある。この手法は、ユーザにとって退屈で時間のかかるものである。この手法はさらにより多くのトレーニングを必要とし、科学というより芸術である。モデル較正の結果は、誰が行っているかに非常に依存する可能性があり、これは生産環境では望ましいことではない。
[0037] 本発明の一態様では、フォトレジスト内のマスクパターンの像を正確かつ迅速にシミュレートするモデルが提供される。本発明の一実施形態によるモデルは、いずれの化学プロセスにも言及しない。むしろ、主に、基礎をなす物理学の数学的及び対称考慮事項に基づくものである。このモデルは、完全な直交基底を形成する畳み込みカーネルによる空間像の畳み込みを含む。基底は無限数のカーネルが存在するときに完全になることは認識されるであろう。一実施形態では、幾つかのカーネルを使用してレジスト像を計算することができる。レジスト像をシミュレートするために畳み込み直交カーネルを使用すると、計算速度、正確さ、及びユーザの対話の点で、従来のシミュレーションモデルを上回る重大な恩恵と予期せぬ結果が得られる。
[0038] 次に図2を参照すると、同図は、本発明の一実施形態によりマスクパターンのレジスト像を入手するプロセス200を示す模範的なフローチャートを示している。プロセス200は手順205から始まり、そこで、基板レベルでマスクパターンの空間像を決定する。決定された空間像はパターンのビットマップ像から構成される。ビットマップ像は、リソグラフィ装置によって投影されたマスクパターンの像の光強度分布を表す。実際には、マスクパターンの空間像は、BrionのTachyon(商標)又はLithocruiser(商標)あるいはKLA−TencorのProlith(商標)などの既知のリソグラフィソフトウェアシミュレーション技術/プログラムを使用して計算することができる。結像すべきマスクパターンの輪郭は、光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)を含むことができ、GDS、GDSII又はOASISなどの標準化されたデジタルファイルフォーマットで提供され、空間像を計算するためにこれらのリソグラフィソフトウェアシミュレーションプログラムに入力される。
[0039] これらのソフトウェアプロダクトによるマスクパターンの空間像の決定は、照明源、投影光学系、及びパターン詳細を考慮に入れて、(例えば、マスクから)基板上へのパターンの結像を数学的にモデリングすることを含む。フルチップアプリケーションに十分な高速である効率的なシミュレーション方法は、2次元空間像によって基板上の現実的な3次元強度分布の近似値を求める。リソグラフィモデルの効率的な実現例の1つは以下の形式(formalism)を使用して可能であり、その場合、イメージ(この場合はスカラ形式であり、偏光ベクトル効果を含むように拡張することができる)は瞳面内の信号振幅におけるフーリエ合計として表される。標準的なホプキンス理論によれば、空間像は以下の式で定義することができる。
[0040](式1)
Figure 0005398484
式中、A(x)は像平面内の点xにおける空間像強度であり(表記の簡略化のために、単一変数で表される2次元座標を使用する)、kはソース面上の点を表し、S(k)は点kからのソース強度であり、k’及びk”は瞳面上の点であり、Mはマスクイメージのフーリエ変換であり、Pは瞳関数であり、
Figure 0005398484
である。上記の導出の重要な態様は、加法順序の変化(kにおける合計を内側に移動する)及び指数の変化(k’をk+k’で置換し、k”をk+k”で置換する)であり、その結果、式中の3行目の角括弧の内側の項によって定義される透過クロス係数(TCC:Transmission Cross Coefficients)が分離される。これらの係数はマスクパターンとは無関係であり、従って、光学素子又は構成(例えば、NA及びσ又は詳細なイルミネータプロファイル)のみの知識を使用して事前計算することができる。さらに、所与の例では(式1)はスカラ結像モデルから導出されるが、この形式はベクトル結像モデルに拡張することもでき、偏光コンポーネントが別々に合計されることは注目に値する。
さらに、近似空間像は、TCC行列を対角化し、その最大固有値に対応する項を保持することによって決定できる、限られた数のドミナントTCC項のみを使用することによって計算することができ、すなわち、以下の式が得られる。
[0041](式2)
Figure 0005398484
式中、λi(i=1,...,N)はN個の最大固有値を示し、φi(・)はTCC行列の対応する固有ベクトルを示す。(式2)はまさにすべての項が固有級数展開に保持される場合であり、すなわち、NがTCC行列のランクに等しい場合であることは注目に値する。しかし、実際の適用例では、計算プロセスの速度を上げるためにより小さいNを選択することによりこの級数を切り捨てることが典型的である。
[0042] それ故、(式1)は以下のように書き直すことができる。
Figure 0005398484
(式3)
式中、
Figure 0005398484
であり、|・|は複素数の大きさを示す。
[0043] 十分に大きい数のTCC項と適切なモデル較正方法を使用することにより、光学投影プロセスの正確な記述を可能にし、空間像の正確な表現を提供する。空間像の計算に関する追加情報は、その内容全体を本明細書に参照により組み込むものとする、2005年3月22日発行の米国特許第6,871,337号"Illumination Optimization For Specific Mask Patterns"から入手することができる。
[0044] 図2に戻って述べると、マスクパターンの空間像Aを決定した後、この方法は手順210に移行し、そこで、レジスト内のパターンを表すレジスト像Rを決定するために幾つかの直交畳み込みカーネル(例えば、一実施形態では少なくとも2つの直交畳み込みカーネル)によって空間像Aを畳み込む。上述の通り、マスクパターンの空間像Aは、リソグラフィ装置によって投影されたマスクパターンの像の光強度分布を表すビットマップ像である。畳み込みカーネルによるビットマップ像の各点の畳み込みは、レジスト内のその点のエネルギーを平滑化するように動作し、レジスト内のマスクパターンの像を表す第2のビットマップ像を提供する。本質的に、畳み込みカーネルによるマスクパターンの空間像の畳み込みの結果、レジスト内のエネルギーの強度が平均化され、すなわち、ある点のエネルギーと近くのエネルギーが平均化される。
[0045] 次に、このレジスト像を使用して、光近接効果補正、輪郭計算、欠陥検出、又は製造性の検証を行うことができる。
[0046] 本発明の一実施形態では、空間像を畳み込むために使用される畳み込みカーネルは、直交基底を形成する直交カーネルである。一実現例では、これらの直交畳み込みカーネルは、2次元量子調和振動子(two dimensional quantum harmonic oscillator)
Figure 0005398484
の解ψであり、
Figure 0005398484
である。
[0047] この解ψは、
Figure 0005398484
として極座標で定義することができる。
[0048](式4)
Figure 0005398484
又は
Figure 0005398484
[0049]
Figure 0005398484
であり、Rが
Figure 0005398484
の形を取ると仮定すると、式4は以下のようになる。
Figure 0005398484
[0050] 半径rは
Figure 0005398484
である係数r0だけスケーリングすることができ、その場合、
Figure 0005398484
であることが認識されるであろう。
[0051] Rがαr2の関数であり、x≡αr2、R≡y(x)であると仮定すると、上記の関数は以下のようになる。
Figure 0005398484
(式5)
n=0であるときに、この式はラゲールの方程式(Laguerre's equation)であり、その解としてラゲール多項式(Laguerre polynomials)を有する。
[0052] 式5は以下のように書き直すことができる。
Figure 0005398484
(式6)
[0053] n=0であるときに、式6の解はラゲール多項式Lk(x)である。n≠0であるときに、解は以下のホイッタカー関数(Whittaker functions)に基づくものになる。
Figure 0005398484
[0054] このホイッタカー関数は以下の式によって示される。
Figure 0005398484
(式7)
[0055] これは以下のように解Sk,n(x)に簡約化する。
Figure 0005398484
(式8)
n=0であるときに、ラゲール多項式が回復される。この多項式は有限である。
[0056] 解Sk,n(x)は、以下のように指数重み関数の場合に直交性になる。
Figure 0005398484
(式9)
式中、k及びnは整数であり、δは離散ディラックインジケータ(discrete Dirac Indicator)であり、δ[0]=1及びi≠0の場合にδ[i]=0である。
この特性は、本発明の一実施形態により2次元カーネルKk,n(r,θ)を作成するために使用される。これらのカーネルは以下のように定義される。
Figure 0005398484
[0057] カーネルKk,n(r,θ)の直交性は以下のように検証することができる。
Figure 0005398484
n=0であるときに、この解(ラゲール多項式に基づく)はすべての回転独立関数の完全基底を形成する。
[0058] 空間像Aは、レジスト像R、すなわち、レジスト内のマスクパターンの像を決定するために1つ又は複数の畳み込みカーネルKk,n(r,θ)によって畳み込まれる。一実施形態では、レジスト像Rは以下のように計算される。
Figure 0005398484
(式10)
式中、Rはビットマップレジスト像であり、Aは基板レベルでのマスクパターンのビットマップ空間像であり、Ki、K1i、K2iは直交畳み込みカーネルであり、ci及びdiはフィッティング係数であり、0≦i≦∞である。第1の和
Figure 0005398484
は線形と呼ばれ、第2の和
Figure 0005398484
は双線形と呼ばれる。
[0059] それ故、式10は、2通りのタイプのモデル項、すなわち、(a)線形項(A*Ki)と、(b)双線形項(A*Ki).(A*K2i)とを含む。星印(*)は畳み込みを示し、ドット(.)は空間ビットマップ像におけるピクセル単位の乗算を示す。
[0060] 双線形項(A*Ki).(A*K2i)は、空間像に対するレジスト像の最低位の非線形応答を提供するように含まれる。双線形項は、周波数サポートに関する2乗化と同等のものであり、その結果、周波数の倍増が行われる。確かに、2つの帯域限定信号を掛けると、それぞれの周波数限界が加算される。一実施形態では、レジスト像ピクセルは、空間像ピクセルのサイズの半分に相当する。従って、エイリアシング誤差を持ち込まずに周波数を倍増することは可能である。線形項では、空間像Aはカーネルによって畳み込まれ、空間像Aの限界周波数と線形項が同じであることを意味する。しかし、レジスト像は周波数可用性を2回含む。双線形畳み込みは、KLA−TencorのProlith(商標)又はBrionのLithoCruiser(商標)などの低速の物理モデルで使用される反応拡散方程式の近似値を概念的に求めるために使用される。
[0061] 一実現例では、直交畳み込みカーネルKk,n(r,θ)は、空間像Aからレジスト像Rへの変換が回転及び鏡面対称保存の特性を有するように選択される。
[0062] 空間像からレジスト像への変換は、回転操作が変換前に行われるか又は変換後に行われるかにかかわらず、その回転操作が変換の結果に影響しない場合に回転対称の特性を有する。例えば、図3は、回転保存の特性を有する変換を示している。図3に示されている通り、まず変換によって計算され、次に回転されたレジスト像304は、まず空間像302を回転し、次に回転した空間像308に変換を適用することによって計算されたレジスト像と同じレジスト像306を提供する。
[0063] 同様に、空間像からレジスト像への変換は、対称操作が変換前に行われるか又は変換後に行われるかにかかわらず、その対称操作が変換の結果に影響しない場合に鏡面対称の特性を有する。換言すれば、空間像Aが対称形(すなわち、A(x,y)=A(−x,y))である場合、レジスト像Rも対称形(すなわち、R(x,y)=R(−x,y))である。例えば、図4は、対称保存の特性を有する変換を示している。図4に示されている通り、まず変換によって計算され、次に対称操作が行われたレジスト像404は、まず空間像402について対称操作を行い、次にミラー空間像404に変換を適用することによって計算されたレジスト像と同じレジスト像408を提供する。
[0064] 一実施形態では、線形項に回転保存を提供するカーネルは、n=0であるカーネルである(ラゲール多項式に基づく)。
[0065] 一実施形態では、双線形項に回転保存を提供する畳み込みカーネルの1対の解は以下のように定義される。
Figure 0005398484
及び
Figure 0005398484
式中、k、k’、及びnは整数である。
[0066] 半径rは
Figure 0005398484
である線形項内の係数r0だけスケーリングすることができる。その結果、線形項に関するカーネルは以下のように書き直すことができる。
Figure 0005398484
同様に、半径rは
Figure 0005398484
である双線形項内の係数r1だけスケーリングすることができる。その結果、双線形項に関するカーネルは以下のように書き直すことができる。
Figure 0005398484
[0067] 回転保存の特性に従うためにカーネルがこの形式[0065]を有することが必要であるという証明は、以下の計算によって証明される。
確かに、2つのカーネルが以下の通りであると仮定し、
Figure 0005398484
及び
Figure 0005398484
但しk、k’、n及びn’は整数であり、そして、空間像A(x,y)が
Figure 0005398484
と定義されると仮定すると、双線形項は以下のようになる。
Figure 0005398484
n=−n’であることが必要である。
[0068] 回転保存の特性に従うためにカーネルがこの形式を有することで十分であるという証明は、以下の計算によって証明される。
任意のAについて、以下の通りである。
Figure 0005398484
まず、変数をデカルト座標から極座標に変換すると、x=r0cos(θ0)、y=r0sin(θ0)、u=rcos(θ)、v=rsin(θ)、u’=r’cos(θ’)、v’=r’sin(θ’)という関係が得られる。その場合、第1の積分は以下のようになる。
Figure 0005398484
入力像Aを任意の角度αだけ回転した場合、新しい座標は以下のように示される。
Figure 0005398484
次に、上記の変換に関する第1の座標は以下のように示される。
Figure 0005398484
係数cos(θ0+α)は、出力像が回転することを示している。θ+α→θという変数変換を実行することにより、係数cos(θ+α)は第1の積分の前に係数e-inαを生成する。変換のもう一方の座標も同様である。第2の積分に関する同様の計算は、係数einαをもたらすことを除いて、同等であり、それ故、第1の係数が簡約される。
[0069] レジスト像が虚部を含まないことを保証するために、上記の項[0058]の形式を書き直すことができる。それぞれの対の双線形項について、以下の通りである。
Figure 0005398484
上記の和は以下のように書き直すことができる(この場合、
Figure 0005398484
は実部であり、
Figure 0005398484
は虚部である)。
Figure 0005398484
但し、
Figure 0005398484
及び
Figure 0005398484
である。
これら2つの項の和は、dnとdn’がいずれも実数である場合に限り、実数になる。
[0070] dn’がゼロである場合に限り、対称保存の特性が検証される。必要性の証明は、反例として
Figure 0005398484
を使用することによって理解することができる。十分性の証明の場合、以下のようにレジスト像のy軸に沿って鏡面対称を計算する。
Figure 0005398484
u→−uという変数変換により、θ→π−θ、du→−duになり、積分限界(integration bound)は以下のように切り替わる。
Figure 0005398484
この対称条件は以下のことを意味する。
Figure 0005398484
その虚部がゼロである場合に限り、ある数はその共役複素数に等しくなる。上記の項[0069]の形式により、これは、
Figure 0005398484
の前の係数dn’がゼロに等しいことを意味する。
任意の他の軸に沿った鏡面対称の証明は、上記の項[0068]の回転保存の特性とy軸に沿った鏡面対称保存の特性を結合することによって行われる。
[0071] 本発明の一実施形態は、フィッティングされた後のモデルの高速実現例を提供する。式10では、双線形項の2つのカーネルKi及びK2iはそれぞれ異なる可能性がある。カーネルの固有値変換により、Ki及びK2iが同じである変換項のみを実現することができる。これにより、適用すべきカーネルの数がn2対からn項(平均)に削減される。以下の形式では、書き込みを簡単にするために畳み込みを1Dとして処理するが、単純な簿記により、この手順は2Dフィルタに拡張される。手順は以下の通りである。
所与の固定nについて、以下の式を計算する。
Figure 0005398484
行列
Figure 0005398484
を構築し、その固有値wi及び対応する固有ベクトルViを計算する。行列
Figure 0005398484
を作成し、ベクトル
Figure 0005398484
を計算する。
Figure 0005398484
という関係が得られる。必要な畳み込みの数は、2乗ではなく、線形に増加する。すべてのnについて手順を繰り返す。この計算は1回実行し、種々の空間像に適用することができる。
[0072] 次に図5を参照すると、同図は、本発明の一実施形態によりレジスト像Rを入手するプロセス500を示す模範的なフローチャートである。このプロセス500は手順505から始まり、そこで、マスクパターンの空間像Aを基板レベルで決定する。空間像Aの計算は、プロセス200の手順205と同じように実行することができる。空間像Aを入手した後、プロセス500は手順510に移行し、そこで、式10の複数のフィッティング係数ci及びdiを選択する。フィッティング係数ci及びdiはレジスト像を決定するために反復調整される線形係数である。フィッティング係数ci、di、r0、及びr1は、自動的に生成するか、又はユーザによって選択することができる。その後、式10を使用してレジスト像Rを計算する(手順515)。式10による空間像Aの変換の結果として、手順520でクリティカルディメンション(CD)値に変換されるレジスト像Rが得られる。得られたCD値(又は輪郭)を手順520で目標値と比較する。実際の基板を測定することにより、目標値を求める。測定すべき実際の基板は、空間像を求めるために使用した光学ツールを使用することによって準備する。次に、この方法は手順530に移行し、そこで、CD値が目標CD値とマッチングするかどうかの判断が行われる。CD値が所定の範囲内である、すなわち、目標値に等しいか又は目標値に近い場合(ステップ18:yes)、プロセスは終了し(手順535)、CD値はレジスト内のマスクパターンのクリティカルディメンションの正確な予測を表す。これに対して、CD値が所定の範囲内ではない場合、この方法は手順510に戻り、そこで、フィッティング係数ci、di、r0、及びr1の新しい値を選択する。
[0073] 手順510〜530の反復プロセスは、種々のタイプの回帰方式を使用して実行することができる。係数ci及びdiのフィッティングは、過剰決定系(over-determined system)Bx=Cを解くことから構成され、xは決定すべき係数ci及びdiのすべてを含むベクトルを表し、Bは各列がレジスト項に対応し、各行が1つのゲージに対応する行列を表し(すなわち、Bi,jという項はゲージiにおける項イメージjの強度である)、ベクトルCは目標強度を含む。この系は過剰決定であるので、正確に解くことができない。従って、一実現例では、
Figure 0005398484
(式11)を最小限にするベクトルxの係数を決定することによってこの系を解く。項αは、固定され、ノイズの量によって決まる。モデルフィッティングという状況では、この手法は、リッジ回帰(ridge regression)、チホノフ正則化(Tikhonov regularization)、又はフィリップス正則化(Philips regularization)として知られている。当業者であれば認識できるように、パラメータαはWahbaルーチンを使用して求めることができる。パラメータαが決定されると、式11を解いてフィッティング係数を求めることができる。
[0074] レジスト像を計算するために図2及び図5の諸実施形態に示されているプロセスを使用すると、従来の手法を上回る恩恵が得られる。従来の手法とは反対に、本発明の諸実施形態で使用するカーネルは完全基底を形成する。すべての可能な像の空間をカバーすることが可能であるので、これにより、フィッティングの正確さを改善することができる。
[0075] その上、従来の手法とは反対に、畳み込みカーネルは直交基底を形成する。この直交性は、縮重(degeneracy)又は冗長性(redundancy)のためにフィッティングプロセス中に式10の項のリスクキャンセレーション(risk cancellation)を低下させる。その結果、同じ数のカーネルによってより多くのベクトル空間をカバーすることが可能である。
[0076] 加えて、図2及び図5のプロセスはかなり縮小された1組のパラメータによって実行することができ、それ故、従来のシミュレーション方法と比較すると、ユーザ対話をあまり必要としないことが認識されるであろう。例えば、ユーザは、幾つかのサーチ範囲を実験する必要はなく、幾つかの項をオン/オフする必要もない。その代わりに、サーチは簡単であり、設定の数は限られている。
[0077] さらに、式10の限られた数の項によってレジスト像Rを決定できることが認識されるであろう。例えば、以下のベクトル基底の集合を使用すると、良好な結果が得られる。
Figure 0005398484
この場合、n、k1、及びk2は、双線形項に関する
Figure 0005398484
と、線形項に関する
Figure 0005398484
という解カーネル(solution kernel)の係数である。
[0078] 一実施形態では、半径のサーチ範囲は以下のように定義される。
Figure 0005398484
[0079] 計算されたレジスト像Rを使用して、パターンのクリティカルディメンション、パターンの輪郭、及びレジストパターンの輪郭の一部を併合又は切断するかどうかを決定することができる。また、計算された像を使用して、光近接効果補正フィーチャのサイズを決定することもできる。さらに、上記で定義された手順及び方法を使用してエッチング像も計算できることが認識されるであろう。
[0080] レジスト内のマスクの像の計算に関係する種々の動作は機械で実行可能な命令又はコードにより実行できることが認識されるであろう。このような機械実行可能命令はデータ記憶媒体に埋め込むことができる。プロセッサは、この命令を実行するように構成することができる。一実施形態では、レジスト像の計算は、空間像の計算と同様に、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実行される。
[0081] 実行可能コードを含む、プログラミングを伴うコンピュータシステムのソフトウェアの機能性は、上記の結像モデルを実現するために使用することができる。このソフトウェアコードは、汎用コンピュータによって実行可能である可能性がある。動作時に、コードと、おそらく関連データレコードは、汎用コンピュータプラットフォーム内に保管することができる。しかし、それ以外の時にソフトウェアは、他の場所に保管すること及び/又は適切な汎用コンピュータシステムにロードするために移送することができる。このため、上述の諸実施形態は、少なくとも1つの機械可読媒体によって実行される1つ又は複数のコードモジュールの形で1つ又は複数のソフトウェア又はコンピュータプロダクトを含む。コンピュータシステムのプロセッサによってこのようなコードを実行すると、プラットフォームは、本質的に本明細書で考察し例示した諸実施形態で実行される方法で諸機能を実現することができる。
[0082] 本明細書で使用するコンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形を取ることができる。不揮発性媒体は、例えば、上述のように動作する任意のコンピュータ(複数も可)内のストレージデバイスのいずれかなどの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、コンピュータシステムのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。物理的な伝送媒体は、コンピュータシステム内のバスを有するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。また、搬送波伝送媒体は、電気信号又は電磁気信号、あるいは無線周波(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されたものなどの音波又は光波の形を取ることもできる。従って、一般的な形のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意のその他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、任意のその他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意のその他の物理媒体などのあまり一般的に使用されない媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH−EPROM、任意のその他のメモリチップ又はカートリッジ、データ又は命令を移送する搬送波、このような搬送波を移送するケーブル又はリンク、あるいはコンピュータがそこからプログラミングコード及び/又はデータを読み取るか又は送信することができる任意のその他の媒体を含む。このような形のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のためにプロセッサに1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運搬することに関係する可能性がある。
[0083] 本発明の特定の諸実施形態について上記で説明してきたが、本発明は上記以外にも実施できることが認識されるであろう。この説明は本発明を限定するためのものではない。
[0084] 本稿では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用への特定の言及がなされているかもしれないが、本明細書に記載されているリソグラフィ装置は、集積光学系、磁気ドメインメモリ用の案内及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造などの他の用途を有する可能性があることを理解されたい。当業者であれば、このような別の用途に関連して、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用する場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語と同義と見なすことができることを認識するであろう。本明細書で言及している基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(典型的にレジストのレイヤを基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適用可能である場合、本明細書の開示内容は、上記その他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために、複数回処理することができ、従って、本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済みレイヤを含む基板も指すことができる。
[0085] また、リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するために比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水で基板の表面を液浸するタイプのものにすることもできる。例えば、パターニングデバイスと投影システムの第1の要素との間などのリソグラフィ装置内の他の空間に液浸液を適用することもできる。液浸技法は、投影システムの開口数を増加するために当技術分野で周知のものである。
[0086] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長あるいはその付近の波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射を含む。
[0087] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ又はその組合せを指すことができる。
[0088] 本発明の特定の諸実施形態について上記で説明してきたが、本発明は上記以外の方法でも実施できることが認識されるであろう。例えば、本発明は、上記で開示した方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムあるいはこのようなコンピュータプログラムがそこに保管されているデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形を取ることができる。
[0089] 上記の説明は例示的なものであって、限定的なものではない。それ故、以下に記載する特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに記載されているように本発明に対して変更を加えることができることは当業者にとって明白なことである。
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その内容全体を本明細書に参照により組み込むものとする2008年11月24日出願の米国特許出願第61/117,396号に対する優先権を主張するものである。

Claims (20)

  1. 基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法であって
    基板レベルで前記マスクパターンの空間像を決定することと
    幾つかの直交畳み込みカーネルによって前記空間像を畳み込み、前記レジスト内の前記マスクパターンを表すレジスト像を決定することとを含み、
    畳み込みカーネルが2次元量子調和振動子の直交解である、方法。
  2. 前記レジスト像が以下の式によって表され、
    Figure 0005398484
    式中、Rはビットマップレジスト像であり、Aは基板レベルでの前記マスクパターンのビットマップ空間像であり、Ki、K1i、K2iは直交畳み込みカーネルであり、ci及びdiはフィッティング係数であり、0≦i≦∞である、請求項1記載の方法。
  3. 前記レジスト像のクリティカルディメンション値とクリティカルディメンション目標値との差を縮小するために線形最小2乗法を使用して前記フィッティング係数を反復調整するか又は解く、請求項記載の方法。
  4. 前記フィッティングを正則化し安定化するためにTikhonov-Wahba回帰を使用して前記フィッティング係数を反復調整する、請求項記載の方法。
  5. 前記レジスト像をクリティカルディメンション値に変換することと、前記クリティカルディメンション値を目標クリティカルディメンション値と比較することと、フィッティング係数を調整して、前記クリティカルディメンション値と前記目標クリティカルディメンション値との差を縮小することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  6. 前記畳み込みが、完全基底を形成する複数の直交畳み込みカーネルによって前記空間像を畳み込むことを含む、請求項1記載の方法。
  7. 前記空間像及び前記レジスト像が2次元ビットマップである、請求項1記載の方法。
  8. 前記畳み込みが、前記レジスト像の前記2次元ビットマップを決定するために幾つかの直交畳み込みカーネルによって前記空間像の前記2次元ビットマップの各ピクセルを畳み込むことを含む、請求項記載の方法。
  9. 前記レジスト像のモデルが、第1項と第2項との積である双線形項を含み、前記第1項が第1の直交畳み込みカーネルによる前記空間像の前記畳み込みに対応し、前記第2項が第2の直交畳み込みカーネルによる前記空間像の前記畳み込みに対応する、請求項1記載の方法。
  10. 前記第1及び第2の直交畳み込みカーネルが異なる、請求項記載の方法。
  11. 前記空間像が投影システムにより前記基板上に投影された前記マスクパターンの前記像に対応する、請求項1記載の方法。
  12. 前記畳み込みが、FPGA又はGPUベースのハードウェア加速を使用して実行される、請求項1記載の方法。
  13. 基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法であって
    基板レベルで前記マスクパターンの空間像を決定することと
    前記レジスト内の前記マスクパターンの前記像を表すレジスト像に前記空間像を変換することとを含み
    前記空間像が少なくとも2つの畳み込みカーネルを含むモデルを使用して前記レジスト像に変換され
    前記変換が前記少なくとも2つの畳み込みカーネルによって前記空間像を畳み込むことを含み
    前記空間像から前記レジスト像への前記変換が回転及び鏡面対称保存の特性を有するような前記少なくとも2つの畳み込みカーネルが選択され
    畳み込みカーネルが2次元量子調和振動子の直交解である、方法。
  14. 前記レジスト像が以下の式によって表され、
    Figure 0005398484
    式中、Rはビットマップレジスト像であり、Aは基板レベルでの前記マスクパターンのビットマップ空間像であり、Ki、K1i、K2iは直交畳み込みカーネルであり、ci及びdiはフィッティング係数であり、0≦i≦∞である、請求項13記載の方法。
  15. 前記モデルが、第1項と第2項との積である双線形項を含み、前記第1項が第1の直交畳み込みカーネルによる前記空間像の前記畳み込みに対応し、前記第2項が第2の直交畳み込みカーネルによる前記空間像の前記畳み込みに対応する、請求項13記載の方法。
  16. 前記変換が、FPGAハードウェアを使用して実行される、請求項13記載の方法。
  17. 機械実行可能命令を有するコンピュータプログラムであって、前記命令が基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法を実行するために機械によって実行可能であり、前記方法が
    基板レベルで前記マスクパターンの空間像を決定することと
    少なくとも2つの直交畳み込みカーネルによって前記空間像を畳み込み、前記レジスト内の前記マスクパターンの前記像を表すレジスト像を決定することとを含み、
    畳み込みカーネルが2次元量子調和振動子の直交解である、コンピュータプログラム。
  18. 前記畳み込みが、FPGAハードウェアを使用して実行される、請求項17記載のコンピュータプログラム。
  19. 機械実行可能命令を有するコンピュータプログラムであって、前記命令が基板上にコーティングされたレジスト内のマスクパターンの像を決定するための方法を実行するために機械によって実行可能であり、前記方法が
    基板レベルで前記マスクパターンの空間像を決定することと
    前記レジスト内の前記マスクパターンの前記像を表すレジスト像に前記空間像を変換することとを含み
    前記空間像が少なくとも2つの畳み込みカーネルを含むモデルを使用して前記レジスト像に変換され
    前記変換が前記少なくとも2つの畳み込みカーネルによって前記空間像を畳み込むことを含み
    前記空間像から前記レジスト像への前記変換が回転及び鏡面対称保存の特性を有するような前記少なくとも2つの畳み込みカーネルが選択され
    畳み込みカーネルが2次元量子調和振動子の直交解である、コンピュータプログラム。
  20. 前記変換が、FPGA又はGPUベースのハードウェアを使用して実行される、請求項19記載のコンピュータプログラム。
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