JP5397164B2 - 配向測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紙、不織布、フィルムなどのシート状物質の配向性あるいは誘電的異方性をマイクロ波誘電体共振器を用いて測定する方法に関する。
紙や高分子フィルム等のシート状物質の配向を測定する方法としては、X線回折、赤外二色性、力学的破断強度、超音波伝搬速度、複屈折、偏光蛍光、マイクロ波を利用するものなどが知られており、オフラインの測定器として実用化されている。シート状物質の配向は、力学的特性や光学的特性に影響を与えるために重要な品質となるので、製造時の品質制御の観点からは、試料が走行中に測定を行う、いわゆるオンライン測定が好ましい。このようなオンライン測定装置として、本願発明者らはマイクロ波誘電体共振器を用いて、試料の片側から検出部を接触もしくは近接させることにより、透明・不透明を問わず、オンラインで試料のもつ配向性あるいは誘電的異方性を測定する方法を採用し、特許文献1、2に開示している。この方法は、誘電体共振器が試料の片側から接触あるいは近接したときの共振周波数の変化を利用するものであり、測定の基本原理は、「誘電率の異方性を見る」ということになる。この方法によりオンラインによる配向測定が可能となった。
一方、シート状物質の配向は、製造時のシートの走行方向に垂直な幅方向(以下、単に幅方向という。)に対して必ずしも一様ではなく、製造時の条件によっては幅方向の位置により配向の向きや大きさが異なる。一例としては2軸延伸フィルムの分子配向が挙げられ、走行方向と幅方向の延伸倍率が等倍であったとしても、幅方向の両端部分の分子の配向方向は、フィルムの端に向かうように斜めに向くことが知られている。紙の場合でも、一般に幅方向の両端は外向きに配向することが知られており、繊維配向の程度によるが、幅方向の端に行くほど、品質的に不都合が生じる可能性が高くなる。よって幅方向の配向状態を把握し、品質安定化のためのフィードバック情報を得るには、幅方向の一つの位置のみの測定ではなく、少なくとも複数の位置でオンライン測定を行うことが必要であり、測定箇所は多いほど望ましい。
幅方向の複数の位置でオンライン測定する手段は大きく分けて三つある。一つ目の方法は幅方向に複数台の装置を設置することであり、この方法によると測定装置を設置した地点での連続的なデータが得られる利点があるものの、複数系列分の費用が不可避である。二つ目の方法は、1台の測定装置を幅方向に移動可能な状態で設置し、測定したい位置に移動させて測定する方法が挙げられる。この一例としては、幅方向にレールを敷き、レール上を移動できるように配向測定装置を設置することで、任意の位置での測定が可能になる。この場合、任意の位置での連続的なデータは得られるものの、製造工程中に幅方向の複数の位置で同時に測定を行うことは不可能である。三つ目の方法は、紙の製造工程で一般的に利用されているBM計のように、幅方向に往復移動しながら測定する方法である。BM計とは、抄紙工程中に幅方向に往復移動しながら米坪(Basis Weight)と水分量(Moisture)を測定し、その結果に応じて抄紙機の操業条件、例えば原料の量や乾燥条件等を自動的に制御する装置である。この方法によれば、1台の装置で幅方向の全域での測定が可能となるが、各測定位置での測定データは連続的ではなくなるため、短時間での配向変化を捉えることはできない。このようにこれらの三つの方法では、それぞれの原理に起因する一長一短があるが、一般的な抄紙工程において、抄造条件を変えない場合には短時間に繊維配向が大きく変わることはないため、例え測定値が離散的であっても、つまり連続的ではなくても、配向変化が生じない時間内に複数点の測定値が得られることが重要であり、三つ目の方法が紙の繊維配向の管理には最も好都合である。
しかし幅方向に測定ヘッドを往復走査させながら測定を行う場合、周辺の電磁波の反射の影響などで、測定試料の情報以外に測定位置に依存したバラツキが生じることがわかった。これはマイクロ波誘電体共振器の表面から滲み出すエバネセント波を用いて測定する原理に由来するもので、誘電体共振器からエバネセント波として滲み出したマイクロ波が、周囲の構造物に反射して誘電体共振器に戻ってきた際に、検出される共振周波数に影響を与えてしまうことが原因である。すなわち装置が静止している場合は周囲の構造物も装置から見て静止した状態であるが、装置が幅方向に往復走査することで、周囲の構造物の位置が装置から見て相対的に変化するため、これらの構造物から反射して戻ってくるマイクロ波も変化することとなり、結果的に例え幅方向で均一な配向性をもつ試料を測定したとしても、装置の位置に応じて測定値が変わってしまうという問題である。
本発明は、上述の問題を解決し、測定ヘッドを試料の幅方向に走査させて配向測定を行う方法においても、電磁波の反射条件などの周辺環境による測定ヘッドの位置に依存する測定値のバラツキを補正して正確な配向測定を行うことを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の配向測定装置は、以下のステップにより、測定ヘッドの位置による測定値のバラツキを補正するものである。
(ステップ1)
測定対象試料の幅、すなわち測定領域をN個(Nは整数)の領域に分割するステップ。
(ステップ2)
測定領域より外側の定位置を基準位置とし、走行する測定対象試料がない状態で、基準位置での共振周波数を測定し、それを基準位置ブランク値Aとするステップ。
(ステップ3)
走行する測定対象試料がない状態で測定ヘッドを幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域のブランク値Aとするステップ。
(ステップ4)
ステップ2で求めた基準位置ブランク値Aとステップ3で求めた第1から第N領域のブランク値Aのそれぞれの差を第1から第N領域のブランク補正値とするステップ。
(ステップ5)
走行する測定対象試料がない状態で、測定ヘッドを基準位置に配置し、測定ヘッド面を覆う大きさにカットされた標準試料を測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させて共振周波数を測定し、それを基準位置標準試料測定値とするステップ。
(ステップ6)
走行する測定対象試料がない状態で、標準試料を測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させたまま、測定ヘッドを試料の幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域の標準試料測定値とするステップ。
(ステップ7)
ステップ5で求めた基準位置標準試料測定値とステップ6で求めた第1から第N領域の標準試料測定値のそれぞれの差を第1から第N領域の標準試料補正値とするステップ。
(ステップ8)
ステップ5で測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させた標準試料を取り除くステップ。
(ステップ9)
測定対象試料を走行させた状態で、基準位置での共振周波数を測定し、それを基準位置ブランク値Bとするステップ。
(ステップ10)
ステップ9で求めた基準位置ブランク値Bとステップで求めた第1から第N領域のブランク補正値のそれぞれの差を第1から第N領域の補正ブランク値とするステップ。
(ステップ11)
測定対象試料を走行させた状態で、測定ヘッドを試料の幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域の測定値とするステップ。
(ステップ12)
テップ11で求めた第1から第N領域の測定値にステップ7で求めた標準試料補正値を加算して、第1から第N領域の補正測定値を求めるステップ。
(ステップ13)
ステップ10で求めた第1から第N領域の補正ブランク値とステップ12で求めた第1から第N領域の補正測定値のそれぞれの差を第1から第N領域の共振周波数のシフト量とするステップ。
本発明によれば、測定ヘッドを幅方向に往復走査させながら配向測定を行う方法においても、誘電体共振器表面からエバネセント波として滲み出すマイクロ波の反射の影響を補正することにより、高精度な配向測定が可能となる。
誘電体共振器の平面図(1)と断面図(2)。 誘電体共振器が5個の場合の測定ヘッドの平面図。 ブランク時と試料がある場合のシフト量を表す図。 配向パターンの一例を示す図。 5個の誘電体共振からの信号を処理する基本回路のブロック図。 信号の処理を示すタイムチャート。 測定ヘッドが基準位置にある場合(1)と測定領域にある場合(2)の平面図。 測定領域を7領域に分割した図。
測定装置の具体例を示す。図1は誘電体共振器の平面図(1)と断面図(2)である。装置としては、図1に示すような誘電体共振器を複数個使用する。誘電体となる直方体状のセラミック7がアルミブロック製の金属ケース8の中にその上面が金属ケース8の上面と同一面を形成するように固定される。セラミック7の近傍にはロッドアンテナ9a,9bが設けられ、このアンテナにマイクロ波が入出力されることにより、セラミック7が共振する。セラミック7と金属ケース8の間の隙間にはゴミ等の侵入を防止するためポリテトラフルオロエチレン樹脂製のカバー10が設けられている。図2は誘電体共振器が5個の場合の測定ヘッドの平面図である。測定ヘッド6は、図2のように誘電体共振器を複数個配置して構成される。
図3はブランク時と試料がある場合のシフト量を表す図である。図3に示すように、試料の有無における共振周波数のシフト量が試料の誘電率に依存していることを利用して、試料が無い場合の共振周波数と試料がある場合の共振周波数との差(以後シフト量と呼ぶ)を測定する。尚、厳密には共振周波数のシフト量は[(誘電率−1)×厚さ]に依存するが、本発明の対象試料では厚さが均一とみなせるので、上述の表現で問題ない。試料は0度の向きと90度の向きの2方向に設置した2種類の状態を示している。図4は配向パターンの一例を示す図である。シフト量を各誘電体共振器の設置方向に対応して極座標上にプロットして楕円近似をかければ、異方性がある場合は、図4のような配向パターンが得られる。図4において、異方性が無ければ、即ち無配向であれば、この配向パターンは円になる。ここで、楕円の長軸方向がシフト量最大の方向であり、誘電率(あるいは屈折率)最大の方向を示していることになる。つまり、この方向が分子鎖が並んでいる方向となる。また、配向度はこの楕円の長軸と短軸との差または両者の比によって表すことができる。以上の考えにより、複数の誘電体共振器の共振周波数を同時に求めて上記配向パターンを得ることにより、試料の配向角と配向度を求めることができる。
図5は5個の誘電体共振器からの信号を処理する基本回路のブロック図である。マイクロ波掃引発振器から出た信号が5つに分割されて1〜5の5つの誘電体共振器に送られ、透過強度を検波ダイオードで電圧に変換する。これを増幅、A/D変換し、ピーク検出回路によってピーク位置が検出される。周波数の掃引は一定の周期で繰り返され、かつ掃引中のみハイレベルとなる同期信号が同時にマイクロ波掃引発振器から出ているため、この同期信号がハイレベルになる瞬間から透過強度が最大値をとるまでの時間を測定すれば、共振周波数が求められる。図6は信号の処理を示すタイムチャートである。図6は250MHzを10msecで掃引する場合を示しており、ピーク検出された情報はパソコン上でソフトウェアによって制御される。
本発明では、測定対象試料は走行している状態で、測定ヘッドを測定対象試料の幅方向に走査させながらオンライン測定を行う。測定幅は試料の幅とするが、本装置は図6に示すようにマイクロ波掃引発信機から掃引信号は一定の周期で繰り返されるため、幅方向で測定可能なデータ数は測定ヘッドの移動速度に依存することとなる。そこで測定ヘッドの移動速度に応じて、試料の幅方向をN個(Nは整数)の領域に分割する。N個の各領域では、幅方向の一方の端からもう一方の端まで測定ヘッドが移動する間に、各領域内で1個以上のデータが取得できれば良く、領域内の1個をその領域の代表値とするか、複数個の平均とするか等、測定点数に応じて決めれば良い。
原理上はこの方法により正確に測定できるのであるが、例えば紙を抄造する抄紙機の場合、エバネセント波として誘電体共振器表面から滲み出すマイクロ波が反射するような柱やロール等の構造物が周囲に全くないという場所は望めないため、これらの構造物からの反射により多少なりとも測定する共振周波数が影響を受けることになる。仮に測定ヘッドが固定されているのであれば、このような構造物からの反射があったとしても、反射して戻ってくるマイクロ波が不変であるため、試料の配向性が一定であれば、測定毎に共振周波数が変化することはない。しかし、本発明では測定ヘッドが測定対象試料の幅方向に走査するために、測定ヘッドと構造物の相対的な位置が変化し、測定ヘッドの位置によっては反射して戻ってくるマイクロ波が変化してしまう。つまり、図1に示す共振カーブは、測定位置を変化させることでピークがシフトしてしまうことを意味する。本発明ではブランク時と試料測定時との共振周波数のシフト量を基に配向性を計算するため、どちらか一方でも変化すると正確な測定は不可能となる。また、N個の各測定領域について、その都度ブランク値と試料測定時の共振周波数を測定する方法も考えられるが、測定ヘッドの走査の速度を低下させることとなり、現実的な方法とは成り得ない。
このように測定ヘッドを幅方向に走査させながら測定を行う場合のブランク値は、本来紙のない場合の共振周波数となるため、紙が走行している際にその都度実際にブランク値を測定することは不可能である。そこで紙の片方の端よりもさらに外側の位置まで測定ヘッドを退避させ、その位置を基準位置としてブランク測定を行い、N個の領域のそれぞれのブランク値に補正するという方法を採用する。この場合、あらかじめ測定する紙の幅方向の領域中のいずれかの1点を代表値とし、その1点のみで補正を行うと、N個の測定領域中でブランクの共振周波数が変わってしまうため正確な補正はできない。また、測定中の測定位置による変動も同様である。測定領域中のいずれか1点のみを代表値としてN個全ての領域のズレを補正する場合も同様に正確な補正はできない。
そこで本発明では、測定領域よりも外側の定位置を基準位置とし、走行する測定対象試料がない状態で、基準位置で最初にブランク値を測定し、あらかじめ各領域でブランク値がどのように変動するかを調べ、配向測定の際には各領域に応じたブランク値の変動分を、基準位置で求めたブランク値から補正を行う。同様に、あらかじめ試料測定時の各領域での共振周波数の変動を求めておき、試料測定時にはその都度測定した共振周波数を補正するものである。このような補正を行うことで、測定ヘッドを幅方向で走査させて測定する場合でも、正確に配向測定が行えるようになった。つまりこの方法によると、実測定では最初に基準位置でのブランク共振周波数を求めるだけで、試料測定時は各領域に応じた補正を行えば高精度の測定が可能となる。具体的な手順を以下に示す。
図7は測定ヘッドと幅方向の測定位置を示す図である。図7(1)は測定ヘッド11が基準位置にある場合、図7(2)は測定ヘッド11が測定領域にある場合である。測定ヘッド11は測定ヘッド移動用レール13上を移動し、走行する測定対象試料12の幅が測定領域となるが、最初に測定領域を試料の幅に応じて幅方向にN個の領域に分割する。図8は測定領域を7領域に分割した図である。分割数Nはオンライン測定が可能であれば如何なる整数でも良い。本発明では、図8に示す7つの領域で、予めブランク補正値、測定試料補正値の各々を求めることに特徴がある。
次に紙が走行していない状態で、基準位置での共振周波数を測定し、基準位置ブランク値Aとする。測定ヘッドを図8の第1領域に移動させ、このときの共振周波数を測定し、第1領域のブランク値Aとし、その後第2〜7領域について同様の測定を行い、それぞれ第2〜7領域のブランク値Aとする。求めた基準位置ブランク値Aと第1〜7領域のブランク値Aを下記の(1)式に代入することで、第1〜第7領域のブランク補正値を求める。
第N領域のブランク補正値=基準位置ブランク値A−第N領域のブランク値A (1)
走行する測定対象試料がない状態で、測定ヘッドを基準位置に移動させ、測定ヘッド面を覆う大きさにカットされた標準試料を測定ヘッド面上に吸引もしくは吸着させたときの共振周波数を測定し、基準位置標準試料測定値とする。走行する測定対象試料がない状態で、標準試料を測定ヘッドに吸引もしくは吸着を維持したまま測定幅分走査させ、7分割した各領域における共振周波数を測定し、第1〜第7領域の標準試料測定値とする。7分割した各領域について、基準位置標準試料測定値と第1〜第7領域の標準試料測定値を下記の(2)式に代入することで第N領域の標準試料補正値を求め、測定ヘッド上から試料を取り除く。
第N領域の標準試料補正値=基準位置標準試料測定値−第N領域の標準試料測定値 (2)
以上の作業を行うことにより、ブランク測定時、及び試料測定時の位置補正を行うための、第N領域のブランク補正値、第N領域の標準試料補正値が得られる。
次に、走行する測定対象試料がある状態で、実際に配向測定を行う手順を説明する。走行する試料がある状態で、測定ヘッドを基準位置に移動させ、共振周波数を測定し、この値を基準位置ブランク値Bとする。基準位置ブランク値Bに、第1〜第7領域のブランク補正値をそれぞれ加算して、補正後のブランク値である第1〜第7領域の補正ブランク値を求める。次に、測定ヘッドを測定領域に移動させ、測定対象試料に接触させて、第1〜第7領域についての共振周波数を求め第1〜第7領域の測定値とする。この第1〜第7領域の測定値に第1〜第7領域の標準試料補正値を加算することにより、第1〜第7領域の補正測定値を求める。
最後に下記の(3)式により第N領域での共振周波数シフト量Δfを求める。
Δf= 第N領域の補正ブランク値 − 第N領域の補正測定値 (3)
求めたΔfを図4のように極座標上にプロットし、楕円近似することで配向パターンを求めることができ、配向測定が可能になる。
尚、ブランク補正値は、ステップ4において、ステップ2で求めた基準位置ブランク値Aとステップ3で求めた第1から第N領域のブランク値Aのそれぞれの差を第1から第N領域のブランク補正値としたが、ステップ2で求めた基準位置ブランク値Aとステップ3で求めた第1から第N領域のブランクA値のそれぞれの比を第1から第N領域のブランク補正値としてもよい。
この場合、前述の(1)式は下式となる。
第N領域のブランク補正値=基準位置ブランク値A/第N領域のブランク値A
また、標準試料補正値は、ステップ7において、ステップ5で求めた基準位置標準試料測定値とステップ6で求めた第1から第N領域の標準試料測定値のそれぞれの差を第1から第N領域の標準試料補正値としたが、ステップ5で求めた基準位置標準試料測定値とステップ6で求めた第1から第N領域の標準試料測定値のそれぞれの比を第1から第N領域の標準試料補正値としてもよい。
この場合、前述の(2)式は下式となる。
第N領域の標準試料補正値=基準位置標準試料測定値/第N領域の標準試料測定値
さらに補正ブランク値は、ステップ9で求めた基準位置ブランク値Bとステップ3で求めた第1から第N領域のブランク値Aのそれぞれの差を補正ブランク値としたが、ステップ9で求めた基準位置ブランク値Bとステップ3で求めた第1から第N領域のブランク値Aのそれぞれの比を補正ブランク値としてもよい。
このようにブランク補正値、標準試料補正値、標準試料補正値を基準位置に対する差ではなく比の値を採用した場合には、スッテプ11で求めた第1から第N領域の測定値にステップ7で求めた標準試料補正値を乗算して、補正測定値を求めればよく、最終的に(3)式で得られる第N領域での共振周波数シフト量Δfは同じ値となる。
以上の考えを元に、あらかじめブランク測定時、及び試料測定時の、測定ヘッドの幅方向の各領域の変動量を求めておき、各領域について補正を行うことで、正確な測定ができることを確認した。
(実施例)
以下に本発明に係る測定例を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
図7に示すように、5個の誘電体共振器を図2に示すように並べた測定ヘッドを基準位置に配置し、走行する測定対象試料がなく、かつ測定ヘッド面上に何も置かない状態で、ブランク共振周波数の測定を行い基準位置ブランク値Aとした。ここで図8の試料幅を2800mmである場合を想定して、試料幅を400mm幅からなる7つの領域に分割する。測定ヘッドの中央が第1領域の中央に位置するように移動させ、共振周波数を測定して第1領域のブランク値を測定した。同様に第2領域〜第7領域について、第2〜第7領域のブランク値を測定し、(1)式により第1〜第7領域のブランク補正値を求めた。
測定ヘッドを基準位置に戻し、測定対象である上質紙(米坪66g/平米)を標準試料とし、測定ヘッド面を覆う大きさにカットして、測定ヘッド面に吸引して固定し、共振周波数の測定を行って基準位置標準試料測定値とした。その後ブランク測定時と同様に上質紙を吸引したまま第1領域に移動させ、共振周波数を測定して第1領域の標準試料測定値とした。同様に第2領域〜第7領域についても共振周波数の測定を行い、第1〜第7領域の標準試料測定値を求め、(2)式より第1〜第7領域の標準試料補正値を求めた。
次に、ヘッド面に置いた上質紙を取り除き、測定ヘッドを基準位置に戻して再度ブンランク測定を行って基準位置ブランク値Bを求めた。その後測定ヘッドを幅方向に走査させ、第1〜7領域のブランク共振周波数を測定して、それぞれと基準位置ブランク値Bとの差を求めた後に、さらに第1〜第7領域のブランク補正値を加算して補正後の各領域のブランク値を求めた。結果を表1に示す。もし完全に補正できていれば結果は0になるが、補正後は10kHz以下となり効果的に補正できており、実用上問題ないレベルとなることがわかる。以上の結果は再現性があり、全て±10kHz以内のバラつきで収まった。
次に測定ヘッドを基準位置に配置し、測定ヘッド上に測定対象である前述の上質紙を置き、測定ヘッド面に吸引固定して、基準位置標準試料測定値を求め、測定ヘッドを幅方向に走査させて、第1〜7領域の共振周波数を求め、第1〜第7領域の測定値とした。得られた第1〜第7領域の測定値を第1〜第7領域の標準試料補正値を加算して補正を行い、基準位置標準試料測定値との差を求めた。結果を表1に示す。ブランクと同様に、完全に補正できている場合は0となり、補正後は全て20kHz以下となって効果的に補正できていることがわかる。
(比較例1)
実施例と同様にして、ブランク及び上質紙測定での基準位置との差を求めた。ただし各領域に応じた補正を行わなかった。結果を表2に示す。結果は70kHz以上変動するものもあり、配向測定結果に悪影響を及ぼすことが考えられる。
(比較例2)
実施例と同様にして、ブランク及び上質紙測定での基準位置との差を求めた。ただし各領域の補正には、第1〜7領域のブランク補正値の平均値、第1〜第7領域の標準試料補正値の平均値を用いた。結果を表3に示す。結果は40kHz前後変動するものがあり、各領域に応じた補正を行わないと補正が不十分となり、比較例1と同様に配向測定結果に悪影響を及ぼすことが考えられる。
以上のように、本発明の位置補正方法によって、シート状試料を幅方向に往復走査させながらオンライン測定する場合でも、周囲の構造物による反射の影響などを補正することにより、正確な配向測定が出来ることができるようになった。

[表1]
Figure 0005397164


[表2]
Figure 0005397164

Figure 0005397164
[表3]
本発明は、紙やフィルムなどのシート状物質の製造過程において、オンラインでの品質測定に利用することができる。
1〜5:誘電体共振器
6:測定ヘッド
7:セラミック
8:金属ケース
9a、9b:ロッドアンテナ
10:ポリテトラフルオロエチレン樹脂製のカバー
11:測定ヘッド
12:走行する測定対象試料
13:測定ヘッド移動用レール
特許第3772603号公報 特許第4124147号公報

Claims (1)

  1. マイクロ波誘電体共振器を用い、走行する測定対象試料に対し、測定ヘッドを試料の幅方向に走査させてオンライン測定を行う配向測定装置において、以下のステップにより、測定ヘッドの位置による測定値のバラツキを補正することを特徴とする配向測定装置。

    (ステップ1)
    測定対象試料の幅、すなわち測定領域をN個(Nは整数)の領域に分割するステップ。

    (ステップ2)
    測定領域より外側の定位置を基準位置とし、走行する測定対象試料がない状態で、基準位置での共振周波数を測定し、それを基準位置ブランク値Aとするステップ。

    (ステップ3)
    走行する測定対象試料がない状態で測定ヘッドを幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域のブランク値Aとするステップ。

    (ステップ4)
    ステップ2で求めた基準位置ブランク値Aとステップ3で求めた第1から第N領域のブランク値Aのそれぞれの差を第1から第N領域のブランク補正値とするステップ。

    (ステップ5)
    走行する測定対象試料がない状態で、測定ヘッドを基準位置に配置し、測定ヘッド面を覆う大きさにカットされた標準試料を測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させて共振周波数を測定し、それを基準位置標準試料測定値とするステップ。

    (ステップ6)
    走行する測定対象試料がない状態で、標準試料を測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させたまま、測定ヘッドを試料の幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域の標準試料測定値とするステップ。

    (ステップ7)
    ステップ5で求めた基準位置標準試料測定値とステップ6で求めた第1から第N領域の標準試料測定値のそれぞれの差を第1から第N領域の標準試料補正値とするステップ。

    (ステップ8)
    ステップ5で測定ヘッド面に吸引もしくは吸着させた標準試料を取り除くステップ。

    (ステップ9)
    測定対象試料を走行させた状態で、基準位置での共振周波数を測定し、それを基準位置ブランク値Bとするステップ。

    (ステップ10)
    ステップ9で求めた基準位置ブランク値Bとステップで求めた第1から第N領域のブランク補正値のそれぞれの差を第1から第N領域の補正ブランク値とするステップ。

    (ステップ11)
    測定対象試料を走行させた状態で、測定ヘッドを試料の幅方向に測定幅分走査させ、N個に分割した各領域における共振周波数を測定し、それを第1から第N領域の測定値とするステップ。

    (ステップ12)
    テップ11で求めた第1から第N領域の測定値にステップ7で求めた標準試料補正値を加算して、第1から第N領域の補正測定値を求めるステップ。

    (ステップ13)
    ステップ10で求めた第1から第N領域の補正ブランク値とステップ12で求めた第1から第N領域の補正測定値のそれぞれの差を第1から第N領域の共振周波数のシフト量とするステップ。
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