JP2007218624A - シート状試料の誘電物性の変動の測定方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工紙や塗工フィルムの製造工程において水分量ムラ及び塗工量ムラを製造工程中に計測し評価することができるようにする。
【解決手段】シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させ、試料測定時の共振器による共振カーブの肩部透過マイクロ波強度Dとピーク位置透過マイクロ波強度Eをともに連続的に測定し、その差(D−E)又は比(E/D)を指標として出力し、又はそれに基づいて、塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示す指標を出力する。
【選択図】図8

Description

本発明は、シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料の塗膜塗工量変動及び水分量変動を測定する方法並びに装置に関するものである。
無機材料又は有機材料を水又は溶媒に溶かして塗液をつくり、それを紙又はフィルムなどのシート状基材にコーターヘッド等を用いて塗工し、その後乾燥させた工業製品としては、感熱紙を初めとしてノーカーボン複写紙、インクジェット用紙など様々な種類の機能をもった機能紙及び機能フィルムがある。
その製造工程において、本来の機能を発現させることはもちろんであるが、その品質を安定させることが重要になってくる。品質に影響を与える因子は含有水分量ムラと塗膜塗工量ムラである。この種の機能紙及び機能フィルムは乾燥工程を通るので、乾燥条件の変化に起因して含有水分ムラが生じる場合がある。また、コーターヘッドにおけるクリアランスの変動など塗工条件の変動に起因して塗工量ムラも生じる場合がある。これらの水分量ムラ及び塗工量ムラはそのまま使用時における画像ムラ又は印字ムラとして現われ、品質の低下や品質トラブルの原因になることがある。
透明感熱フィルムの場合、この水分量ムラ及び塗工量ムラを評価する方法として、予め決められた画像を印画してみることにより、目視で濃淡ムラを評価していた。
上記のような塗工紙や塗工フィルムの製造工程において、いかに水分量ムラ及び塗工量ムラを小さくするかが、品質向上の重要な課題となっている。
水分量ムラ及び塗工量ムラを評価する従来の方法は、製品ができ上がってからサンプリングして評価するため、対応が遅れるという問題がある。また、実際に印画するため評価に多大な時間と労力がかかっていた。さらには、人間が目視で判断するために客観的な評価が難しいという問題もあった。
そこで、塗工紙や塗工フィルムの品質向上のためには、水分量ムラ及び塗工量ムラを製造工程中に計測し、評価することが重要になってくる。
本発明は、塗工紙や塗工フィルムの製造工程において水分量ムラ及び塗工量ムラを製造工程中に計測し評価することができるようにすることを目的とするものである。
本発明の測定方法は、シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料の誘電物性の変動を、以下の工程(a)から(c)を含んで測定する方法である。
(a)前記シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる工程、
(b)前記試料測定時の前記共振器による共振カーブの肩部の周波数における肩部透過マイクロ波強度を連続的に測定する工程、及び
(c)前記透過マイクロ波強度測定値の変動幅Dに基づいて塗膜塗工量変動及び水分量変動の大きさを示す指標を出力する工程。
マイクロ波共振器には誘電体共振器も空洞共振器も含む。シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させるには、誘電体共振器の場合は誘電体共振器の測定面に近接又は接触させながらシート状試料を走行させ、また空洞共振器の場合は導波管のギャップ間にシート状試料を通して走行させる。
肩部透過マイクロ波強度を測定する周波数は、共振カーブのうち、ピーク位置及びその近傍を除く部分の周波数であればよいが、検出感度を高めるためには共振カーブの変曲点に対応する周波数であることが好ましい。
また、工程(b)における連続的測定の意味は、一定の時間間隔で共振器から透過マイクロ波強度を繰り返し取り込んで測定を行なうことである。
肩部透過マイクロ波強度が変動していなければ、塗膜塗工量変動も水分量変動もともに変動していないということができる。しかし、肩部透過マイクロ波強度が変動している場合は、それが塗膜塗工量変動によるものであるのか、水分量変動によるものであるのか、又はその両方によるものであるのかは、肩部透過マイクロ波強度のみによっては判断することはできない。そこで、肩部透過マイクロ波強度が変動している場合に、その変動に対して塗膜塗工量変動と水分量変動がそれぞれどの程度寄与しているかを評価することを目的として、次の発明の測定方法を創出した。
すなわち、その測定方法は、以下の工程(a)から(c)を含んでいる。
(a)シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる工程、
(b)試料測定時の共振器による共振カーブの肩部の周波数における肩部透過マイクロ波強度と共振カーブのピーク位置周波数におけるピーク位置透過マイクロ波強度をともに連続的に測定する工程、及び
(c)肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dとピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eの差(D−E)もしくは比(E/D)を指標として、又はそれに基づいて塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示すものを指標として出力する工程。
ここで、共振カーブのピーク位置周波数は塗膜塗工量に応じて変動するものであるので、厳密に定義することはできず、またピーク位置近傍では周波数の変化に対する強度測定値の変化は小さいので、ピーク位置周波数は厳密な位置を意味するものではなく、ほぼピーク位置に該当する周波数という意味である。
そして、その指標は、差(D−E)が大きいか又は比(E/D)が1よりも小さいほど塗膜塗工量変動の寄与が大きく、逆に前記差(D−E)が小さいか又は比(E/D)が1に近づくほど水分量変動の寄与が大きくなり、差(D−E)がゼロ又は比(E/D)が1であれば塗膜塗工量の変動はなく、水分量変動のみであることを示すものである。
また、この発明での工程(b)における連続的測定の意味は、一定の時間間隔で共振器の測定周波数を共振カーブの肩部周波数とピーク位置周波数の間で交互に切り替えながら繰り返し行なうことである。
本発明の測定装置は、空洞共振器又は誘電体共振器からなるマイクロ波共振器と、そのマイクロ波共振器に電界ベクトルを発生させるマイクロ波用励振装置と、マイクロ波共振器による透過エネルギーを検出する検出装置と、シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる試料供給機構と、マイクロ波用励振装置により共振カーブの肩部周波数の電界ベクトルを発生させ、又は共振カーブの肩部周波数の電界ベクトルと共振カーブのピーク位置周波数の電界ベクトルとを交互に発生させるとともに、検出装置による透過マイクロ波強度を取り込んで、本発明の測定方法による指標を作成して出力するデータ処理制御装置とを備えている。
本発明の測定方法は、シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させ、その透過マイクロ波強度測定値の変動幅Dに基づいて塗膜塗工量変動及び水分量変動の大きさを示す指標を出力するので、シート状試料の製造工程での品質管理をオンラインで行なうことができるようになる。
肩部透過マイクロ波強度を測定する周波数として共振カーブの変曲点に対応する周波数を使用すれば、検出感度を高めることができる。
本発明の他の形態において、共振カーブの肩部透過マイクロ波強度とピーク位置透過マイクロ波強度をともに連続的に測定するようにして、それらの測定値の変動幅の差又は比に基づいて、塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示す指標を出力するようにすれば、塗膜塗工量と水分量を独立して管理することができるようになる。
本発明の測定装置は、マイクロ波共振器を用いたものであるので、容易にオンライン測定を実現することができる。
本発明の測定方法をより詳細に説明する。
図1のようにマイクロ波共振器として例えばマイクロ波空洞共振器2を設置し、空洞共振器2の中央部に空隙を設けてスリット部4とし、そのスリット部4に試料供給機構(図示略)により試料6を通過させる。マイクロ波用励振装置であるマイクロ波発振器8により空洞共振器2の一方2aからマイクロ波を入れて他方2bでマイクロ波透過強度を検出する。
空洞共振器2は電気回路的には、抵抗分R、インダクタンスL、キャパシタンスCが直列共振回路を形成しているのと等価であり、マイクロ波周波数領域で共振を起すように設計されている。
透過マイクロ波強度は種々の方法で検知することができる。例えば、図1のように検波ダイオード10を用いる場合を考えると、ここでマイクロ波強度は電圧値に変換される。電圧変換された透過マイクロ波強度は、信号処理装置12において、増幅回路14により増幅され、続いてA/D(アナログデジタル)変換器16によりアナログ信号からデジタル信号にAD変換された後、通信処理回路18により制御装置としてのパーソナルコンピュータなどのコンピュータ20に送られる。制御装置としてのコンピュータ20は、本発明の測定方法における塗膜塗工量変動及び水分量変動の大きさを示す指標、又は塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示す指標を算出して出力するためのデータ処理と、マイクロ波発振器8による発振周波数の設定、さらにはこの測定装置の動作を制御する。
マイクロ波共振器2により図2のように共振カーブが得られる。図2のグラフは周波数を横軸に、マイクロ波共振器2を透過してくるマイクロ波強度を縦軸にとってグラフ化したものであり、ある周波数(共振周波数と呼ぶ)で最も透過強度が強く、それから外れるにつれてマイクロ波透過強度が減少することを意味する。試料6が空洞共振器2のスリット部4にあると、試料6の誘電率ε’と厚みtの積に応じて、共振周波数fが試料のないブランク時のf0から低周波側のf1にシフトする。また、試料6の誘電損失率ε”と厚みtの積に応じてピークレベルWがブランク時のW0からW1に低下する。前者の周波数シフトΔfは電気的には試料のもつキャパシタンスC(これが誘電率ε’に相当)が付加されたために共振周波数fが下がったと解釈できる。後者についても、試料の抵抗分R(これが誘電損失率ε”に相当)が共振ピークレベルWを下げたと解釈できる。
いずれにせよ、試料6が挿入されると試料6の誘電率ε’と誘電損失率ε”に応じて共振カーブが図2に太い矢印で示されるように変化する。これを縦軸の変化つまり透過マイクロ波強度の変化で捕らえようとするのが本発明の基本的な考え方である。
水の誘電率は80(周波数3GHz)、誘電損失率は13.1(周波数3GHz)であるのに対して、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの誘電率は3.3、誘電損失率は1.2×10-2程度である。つまり、水の誘電損失率はPETフィルムの約1000倍も大きいことが特徴である。また、塗工された固形分の誘電率はその用途及び種類にもよるが、概ね3〜100とかなり幅が広いが、ベースとなる紙やフィルムに比較して一般的には大きい値を示す場合が多い。
したがって、図2のグラフにおいて、水分量は水の誘電損失率が大きいために共振ピークの縦の変化として、塗工量は塗工された材料の誘電率が大きいために横の変化として捉えることができる。
次に、オンラインでこの水分量ムラ及び塗工量ムラを捉えるためには、どの程度の速度で透過マイクロ波強度をサンプリングしなければならないかを見積もる。12GHz帯矩形導波管を用いた空洞共振器の場合、測定面積は7.9mm×15.8mm、また、19GHz帯の場合は4.3mm×10.7mmとなる。コーター速度を毎分30m、試料の走行方向において0.5mm間隔で検出すると仮定すると、1分間に取るデータ数は30×1000/0.5となり、60000個/分となる。1秒間では60000(個)/60(秒)となり1000個/秒となる。つまり、サンプリング周期(1個あたりの時間)は1ミリ秒となる。1ミリ秒毎にサンプリングを行ない、透過マイクロ波強度を取り込めば、0.5mmピッチで水分量変化及び塗工量変化を捉えることができることになる。
水分量変化及び塗工量変化に基づく共振カーブの変化には3つの様式がある。
1番目の様式は、水分量変化が主な変動の要因の場合である。図3に示されるように、塗工量ムラはほとんどないので共振カーブの左右の振れはほとんどない。そのため、試料がある場合のピーク位置周波数f1での透過マイクロ波強度測定値の変動幅E(ΔW1)と、肩部の周波数f2における肩部透過マイクロ波強度測定値の変動幅D(ΔW2)との差(D−E)が小さく、すなわちその比(E/D)が1に近い。
2番目の様式は、塗工量変化が主な変動の要因の場合である。図4に示されるように、水分量変化はほとんどないので共振カーブの上下の振れはほとんどないが、共振カーブが左右に変化する。この場合、試料がある場合のピーク位置周波数f1での透過マイクロ波強度測定値の変動幅E(ΔW1)よりも、肩部の周波数f2における肩部透過マイクロ波強度測定値の変動幅D(ΔW2)の方が大きい。
3番目の様式は、水分量変化と塗工量変化がともに存在する場合である。図5に示されるように、共振カーブはBを中心にAからCの範囲で変動したとする。共振カーブAは水分量も塗工量もともに減少した場合、共振カーブCは水分量も塗工量もともに増加した場合の共振カーブである。
共振カーブの肩部周波数f2における肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dとピーク位置周波数f1におけるピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eをそれぞれ測定すると、それらの差(D−E)又は比(E/D)が塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示す指標となる。その指標は、差(D−E)が大きいか又は比(E/D)が1よりも小さいほど塗膜塗工量変動の寄与が大きく、逆に差(D−E)が小さいか又は比(E/D)が1に近づくほど水分量変動の寄与が大きくなり、差(D−E)がゼロ又は比(E/D)が1であれば塗膜塗工量の変動はなく、水分量変動のみであることを示すものである。
(評価方法1)
図1のような測定装置の構成において、マイクロ波発振器8はコンピュータ20から設定信号により自由にその発振周波数を変えることができるものとする。試料がない場合に、予め段階的に周波数を変化させることにより、共振カーブを測定し、パワーがピークとなる共振周波数(f0とする)を求める。共振周波数f0での透過マイクロ波強度を一定時間間隔ごと、例えば1ミリ秒毎に繰り返してサンプリングを行ない透過マイクロ波強度を連続的に測定(ブランク測定)すると図6(A)に示されるように時間的に安定したものとなる。図6(A)の横軸は時間(秒)である。そのときのピークレベルW0をコンピュータ20が記憶しておく。
次に試料6が空洞共振器2の中心部に設けたスリット部4を通過するようにし、同様に共振周波数を中心に段階的に周波数を掃引させることによって共振カーブを得る。これから得られたピーク周波数をf1、ピークレベルをW1とし、以後発振周波数をf1に固定し、連続してマイクロ波を空洞共振器2に供給しながら一定時間間隔ごと、例えば1ミリ秒毎に繰り返してサンプリングを行ない透過マイクロ波強度を連続的に測定すると、図6(B)に示されるように、水分量の変化に応じて時間的に変動する。図6(B)の横軸も時間(秒)であるが、試料6が存在するときは試料6がスリット部4を一定速度で移動しているので、図6(B)の横軸はまた試料の流れ方向に沿った位置を表わしている。
図6(A),(B)を比較すると、試料が存在することによりピークレベルが低下していることも示している。
透過マイクロ波強度の測定は、具体的には検波ダイオード10からの直流電圧を増幅回路14で増幅し、A/D変換器16でA/D変換処理を行ない、その値を通信処理部18を介して連続してコンピュータ20に取り込む。
コンピュータ20内部ではブランク時のピークレベルW0と試料がある時のピークレベルW1との差ΔWを連続的に測定する。こうすることにより、試料の水分量の変化をΔWによって捉えることができる。この評価方法は水分量の変化のみがあり、塗工量の変化がほとんどない場合に有効である。
(評価方法2)
塗膜塗工量変動と水分量変動のどちらも変動していないのが理想的な状態であるのはいうまでもないが、そのどちらも変化している場合がある。そこで、評価方法2は、塗工量か水分量かいずれか一方でも変化した場合にそれが評価でき、また、両方とも変化しないこともわかる方法である。その方法を図7に示す。
具体的には共振ピークレベルから3dB低下した高周波数側の肩部周波数f2に測定周波数を固定して変動幅Dを測定して、指標を出力する。
図3,4からわかるように、その周波数f2では、塗工量又は水分量のどちらが変化しても透過マイクロ波強度は変化し、塗工量も水分量も両方とも一定の時には透過マイクロ波強度は変化しない。したがって、ここでの指標の一例としては、変動幅D自体を表示したり、又は変動幅Dに対して閾値を定め、その閾値との比較により、「塗工量、水分量ともに一定である」、「塗膜塗工量及び水分量の一方又は両方が変動している」のいずれかを表示するようにすることができる。
ここで、周波数f2は必ずしもピークレベルから3dB低下した周波数にこだわるものではない。1dBでも5dBでもいくらでもよい。ただ、共振カーブの特性から3dB低下した点が変曲点となり、その点での接線の傾きが最大となるため、共振周波数の変化に対する透過マイクロ波強度の変化が最大となる。したがって、3dB低下した位置が最も感度が高いポイントになるというだけであり、他のポイントでは全く測定できない
というわけではない。また、ピークレベルから3dB又は他の値だけ低下した周波数の位置は、ピーク位置から高周波数側に限らず、低周波数側であってもよい。
(評価方法3)
評価2の方法は、肩部周波数f2の位置での透過マイクロ波強度が変化しなければ、塗工量も水分量も変化していないことが言えるので、理想的な状態か否かを判定するためには最適な方法である。また、透過マイクロ波強度が変化すればどちらかが変化しているので、試料は良好な状態ではないことも敏感に捉えることができる方法である。しかし、変動した場合にどちらが変化しているのかがわからないという問題がある。できることなら塗工量か水分量かどちらが変化しているのかがわかれば、その対策の面からも非常に有効な評価方法となる。これを実現するのが評価方法3である。
具体的には、測定する周波数を2種類にし、その周波数を切り替えることによりどちらが主な変動要因であるのかを知る方法である。
この方法を図8により説明する。発振器の周波数を共振ピークレベルのf1と透過強度が3dB下がった肩部周波数f2とに設定し、その2つの周波数の間で一定のルール、例えば1ミリ秒毎に切り替えながらサンプリングを行ないながら、連続的に測定を行なう。そして、コンピュータ20では、肩部周波数f2における肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dとピーク位置周波数f1におけるピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eを算出し、その差(D−E)又は比(E/D)を算出する。肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dと、その差(D−E)又は比(E/D)に応じて指標を出力する。その指標は、変動幅Dがゼロであれば塗工量、水分量ともに一定であることを示し、変動幅Dがゼロでない場合は差(D−E)が大きいか又は比(E/D)が1よりも小さいほど塗膜塗工量変動の寄与が大きく、差(D−E)が小さいか又は比(E/D)が1に近づくほど水分量変動の寄与が大きくなり、差(D−E)がゼロ又は比(E/D)が1であれば塗膜塗工量の変動はなく、水分量変動のみであることを示すものとなる。
図9にA、B及びCの3つの試料を間隔2ミリ秒でサンプリングした測定例を示す。左側(A1),(B1),(C1)は肩部透過マイクロ波強度測定値、その右側(A2),(B2),(C2)はピーク位置透過マイクロ波強度測定値であり、横軸に流れ方向の位置を示している。
試料Aでは肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dもピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eもともに小さいことから、その指標は塗工量、水分量ともに一定であることを示すものとなる。
それに対し、試料B,Cでは肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dが大きく、ピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eが小さいことから、差(D−E)が大きく、比(E/D)が1よりも小さいことから、その指標は塗膜塗工量変動の寄与が大きいことを示すものとなる。
指標の一例としては、差(D−E)又は比(E/D)に対して閾値を定め、その閾値との比較により、「塗工量、水分量ともに一定である」、「塗膜塗工量変動の寄与が大きい」及び「水分量変動の寄与が大きい」のいずれかを表示するようにすることができる。
本発明の方法及び装置は、シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料の塗膜塗工量変動及び水分量変動をオンラインで測定するものであり、シート状試料の製造工程における管理に利用することができる。
一実施例の測定装置を概略的に示すブロック図である。 試料の有無による透過マイクロ波強度の変化を示す波形図である。 試料の水分量が変化した場合の透過マイクロ波強度の変化を示す波形図である。 試料の塗膜塗工量が変化した場合の透過マイクロ波強度の変化を示す波形図である。 試料の水分量と塗膜塗工量がともに変化した場合の透過マイクロ波強度の変化を示す波形図である。 共振周波数での透過マイクロ波強度の連続的に測定結果を示す図であり、(A)はブランク測定時、(B)は試料がある場合の測定例である。 塗膜塗工量変動と水分量変動を区別しないで測定する場合の測定方法の一実施例を示すフローチャートである。 塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与を識別する場合の測定方法の一実施例を示すフローチャートである。 3つの試料についての測定例を示す波形図であり、左側が肩部透過マイクロ波強度測定値、その右側がピーク位置透過マイクロ波強度測定値である。
符号の説明
2 マイクロ波共振器
4 スリット部
6 試料
8 マイクロ波用励振装置
10 検波ダイオード
12 信号処理装置
14 増幅回路
16 A/D変換器
18 通信処理回路
20 コンピュータ

Claims (7)

  1. シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料の誘電物性の変動を、以下の工程(a)から(c)を含んで測定する測定方法。
    (a)前記シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる工程、
    (b)前記試料測定時の前記共振器による共振カーブの肩部の周波数における肩部透過マイクロ波強度を連続的に測定する工程、及び
    (c)前記透過マイクロ波強度測定値の変動幅Dに基づいて塗膜塗工量変動及び水分量変動の大きさを示す指標を出力する工程。
  2. 前記工程(b)における連続的測定は、一定の時間間隔で前記共振器から透過マイクロ波強度を繰り返し取り込んで測定を行なうことである請求項1に記載の測定方法。
  3. シート状基材の表面に塗工層が設けられたシート状試料の誘電物性の変動を、以下の工程(a)から(c)を含んで測定する測定方法。
    (a)前記シート状試料をマイクロ波共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる工程、
    (b)前記試料測定時の前記共振器による共振カーブの肩部の周波数における肩部透過マイクロ波強度と前記共振カーブのピーク位置周波数におけるピーク位置透過マイクロ波強度をともに連続的に測定する工程、及び
    (c)前記肩部透過マイクロ波強度測定値変動幅Dと前記ピーク位置透過マイクロ波強度測定値変動幅Eの差(D−E)もしくは比(E/D)を指標として、又はそれに基づいて塗膜塗工量変動と水分量変動の寄与の程度を示すものを指標として出力する工程。
  4. 前記指標は、前記差(D−E)が大きいか又は前記比(E/D)が1よりも小さいほど塗膜塗工量変動の寄与が大きく、逆に前記差(D−E)が小さいか又は前記比(E/D)が1に近づくほど水分量変動の寄与が大きくなり、前記差(D−E)がゼロ又は前記比(E/D)が1であれば塗膜塗工量の変動はなく、水分量変動のみであることを示すものである請求項3に記載の測定方法。
  5. 前記工程(b)における連続的測定は、一定の時間間隔で前記共振器の測定周波数を共振カーブの肩部周波数とピーク位置周波数の間で交互に切り替えながら繰り返し行なうことである請求項3又は4に記載の測定方法。
  6. 前記肩部透過マイクロ波強度を測定する周波数は共振カーブの変曲点に対応する周波数である請求項1から5のいずれかに記載の測定方法。
  7. 空洞共振器又は誘電体共振器からなるマイクロ波共振器と、
    前記共振器に電界ベクトルを発生させるマイクロ波用励振装置と、
    前記共振器による透過エネルギーを検出する検出装置と、
    シート状試料を前記共振器の共振用マイクロ波電界と相互作用させながら走行させる試料供給機構と、
    前記励振装置により共振カーブの肩部周波数の電界ベクトルを発生させ、又は共振カーブの肩部周波数の電界ベクトルと共振カーブのピーク位置周波数の電界ベクトルとを交互に発生させるとともに、前記検出装置による透過マイクロ波強度を取り込んで、請求項1から6のいずれかに記載の指標を作成して出力する制御装置と、
    を備えた測定装置。
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JP2010276416A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Asahi Kasei Engineering Kk 異物検出方法
JP2013510626A (ja) * 2009-11-13 2013-03-28 キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ シールの品質測定プロセスを備えたシールされたカプセルの検査方法及びインライン検査用の関連装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010276416A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Asahi Kasei Engineering Kk 異物検出方法
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