JP2009080018A - 電気特性評価装置 - Google Patents

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弘行 高松
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Abstract

【課題】マイクロ波共振器を振動させて探針−試料間の距離を変調させる構成を不要とし、低価格化を図ることができる電気特性評価装置を提供すること。
【解決手段】マイクロ波共振器4と試料Wとで共振系を構成し、マイクロ波共振器4で試料Wの面内走査を行い、試料表層の電気的特性を測定する電気特性評価装置において、探針44を有するマイクロ波共振器4と、マイクロ波発振器5と、Z軸移動ステージ1と、共振系の共振状態に関する共振特性情報を得る共振特性検出手段6〜10と、共振特性検出手段によって得られる共振特性情報に基づいて、共振系の予め設定された共振特性が維持されるように探針44と試料Wとの距離を変化させる探針−試料間距離変化量を求め、これをZ軸移動ステージ1のコントローラ12に与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価する電気特性評価手段11とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハなどを試料とし、マイクロ波共振器を用いて、試料表層の構造や材質などによって定まる導電率、誘電率などの試料の電気的特性を評価する電気特性評価装置に関するものである。
従来より、この種の電気特性評価装置として、マイクロ波顕微鏡が知られている。このマイクロ波顕微鏡は、マイクロ波共振器と試料とで共振系を構成し、試料の面内走査を行い、共振系の共振特性を測定することにより、試料の導電率、誘電率などの電気的特性を相対的に評価するようにしている。マイクロ波顕微鏡においては、顕微的な高空間分解能を得るために、センサとなるマイクロ波共振器について、試料へのマイクロ波の放射開口を小さくしたり、あるいはマイクロ波の伝送端を先鋭にしたりする等の工夫がなされている。また、マイクロ波顕微鏡は、マイクロ波共振器で試料の面内走査を行うことにより、試料の電気的なインピーダンスに関する量の2次元イメージングも可能である。
ところで、マイクロ顕微鏡では、共振系の共振特性が、試料の電気的特性(インピーダンス)とともに、試料とマイクロ波共振器の先端部(マイクロ波共振器の中心導体に接続された探針)との距離にも依存するため、測定に際し、一般に、探針−試料間の距離が一定になるようにすることが望ましい。
この場合、前記距離を一定にするためには、試料をマイクロ波共振器の探針に接触させること、あるいは、試料とマイクロ波共振器間に既定の部材を挟むことで達成できる。しかしながら、このようなやり方では試料に対する傷や汚れに原因となるだけでなく、試料の面内走査を行う場合、接触による摩擦、磨耗が問題となる。
そこで、特開2002−168801号公報には、走査型マイクロ波顕微鏡において、マイクロ波共振器の探針と試料間の距離を一定に制御するようにした走査型マイクロ波顕微鏡が開示されている。図6は従来技術としての走査型マイクロ波顕微鏡のブロック図である(特開2002−168801号公報)。
図6において、マイクロ波信号源103の出力は、方向性結合器106、減結合器107を経てセンサであるマイクロ波共振器101に入力され、マイクロ波共振器101が励振される。マイクロ波共振器101の探針(先端部)102とこれに近接しておかれた試料104とで共振系が構成されている。この共振系で反射されたマイクロ波共振器101からの反射マイクロ波は、減結合器107から方向性結合器106を経てダイオード110により検波される。
一方、別の発振器111からの信号は、加算器112を経てピエゾチューブ105に供給され、マイクロ波共振器101の探針102と試料104との距離を僅かに変調する。この変調により生じた共振状態の変化(反射マイクロ波の強度の変化)はダイオード110により検波された後、位相振幅検出器113に入力され、位相振幅検出器113において発振器111の信号位相を参照して位相依存の振幅差を得る。加算器114において前記位相依存の振幅差出力と設定値SPとを比較して得られる誤差出力は、帰還増幅器115を経て加算器112に与えられる。そして、加算器112において、微小変位を引き起こす発振器111からの信号と前記誤差出力とが加算され、これがピエゾチューブ105のz変位用電極に供給され、探針102と試料104との平均距離が、前記設定値SPにより決まる設定値を保つように制御されるようになっている。
特開2002−168801号公報(段落[0012]〜[0015]、図1)
前述した従来技術では、マイクロ波共振器を備えて試料表層の電気的特性を評価するに際し、マイクロ波共振器の探針と試料間の距離を微小に変調させ、これによる反射マイクロ波の強度変化の測定から、マイクロ波共振器の探針(先端部)と試料間の平均的距離を一定に保つようにしたものであるから、探針−試料間の距離を微小に変調させる駆動系が必要であり、そのため、応答性の速い駆動系とともに変調信号発生源が必要なことから、装置のコストアップを招くものであった、特に試料が大きい場合、試料が載置される圧電素子式の試料ステージとして駆動量の大きなものが要求され、大幅なコストアップを招くことになる。
本発明の課題は、半導体ウエハなどを試料とし、マイクロ波共振器と試料とで共振系を構成し、マイクロ波共振器で試料の面内走査を行い、試料表層の電気的特性を測定する電気特性評価装置において、従来装置とは違ってマイクロ波共振器を振動させて探針−試料間の距離を変調させる構成を不要とし、従来装置に比べて低価格化を図ることができる電気特性評価装置を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
請求項1の発明は、マイクロ波共振器と試料とで共振系を構成し、前記マイクロ波共振器で試料の面内走査を行い、試料表層の電気的特性を測定する電気特性評価装置において、測定すべき試料に対向する一端側に微小開口を有するとともに、前記微小開口に位置する探針が接続された中心導体を有するマイクロ波共振器と、前記マイクロ波共振器へ供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、試料厚み方向において試料と前記マイクロ波共振器の前記探針との距離を変えるためのZ軸移動ステージと、前記共振系の共振状態に関する共振特性情報を得る共振特性検出手段と、前記共振特性検出手段によって得られる前記共振特性情報に基づいて、前記共振系の予め設定された共振特性が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を求め、この探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価する電気特性評価手段と、を備えたことを特徴とする電気特性評価装置である。
請求項2の発明は、請求項1記載の電気特性評価装置において、前記共振特性検出手段は、前記共振特性情報として、前記マイクロ波共振器からの反射マイクロ波のその位相に依存し、前記共振系の予め設定された共振周波数よりのずれを反映する位相検波信号を得るものであり、前記電気特性評価手段は、前記位相検波信号に基づいて、前記共振系の予め設定された共振周波数が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1記載の電気特性評価装置において、前記共振特性検出手段は、前記共振特性情報として、前記共振系の共振周波数測定値を得るものであり、前記電気特性測定手段は、前記共振周波数測定値に基づいて、前記共振系の予め設定された共振周波数が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価することを特徴とするものである。
本発明の電気特性評価装置は、マイクロ波共振器と試料とで共振系を構成し、マイクロ波共振器で試料の面内走査を行い、試料表層の電気的特性を測定するに際し、共振特性検出手段により、マイクロ波共振器の探針から試料にマイクロ波を照射したときの共振系の共振状態に関する共振特性情報を得、電気特性評価装置により、前記共振特性情報に基づいて、共振系の予め設定された共振特性、例えば予め設定された共振周波数が維持されるように、探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を求め、この探針−試料間距離変化量を探針−試料間距離を変えるためのZ軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、試料の電気的特性を反映したものである前記探針−試料間距離変化量に基づき試料表層の電気的特性を測定するようにしている。したがって、従来装置とは違ってマイクロ波共振器を振動させて探針−試料間の距離を変調させる構成が不要で、従来装置に比べて低価格化を図ることができる。
以下、本発明について詳しく説明する。マイクロ波共振器と試料とによる共振系の共振特性は、試料の電気的特性と、マイクロ波共振器の探針と試料との距離に依存する。試料の面内走査に際し、共振系の予め設定された共振特性、例えば予め設定された共振周波数を保つように探針−試料間の距離を変化させることは、試料の電気的特性が変化した分を探針−試料間の距離の変化で補正することを意味する。したがって、その探針−試料間距離変化量は、試料の電気的特性を反映したものとなる。
そこで、本発明の電気特性評価装置は、共振特性検出手段により共振系の共振状態に関する共振特性情報を得、電気特性評価装置により、前記共振特性情報に基づいて、共振系の予め設定された共振特性が維持されるように、探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を求め、この探針−試料間距離変化量を探針−試料間距離を変えるためのZ軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、試料の電気的特性を反映したものである前記探針−試料間距離変化量に基づき試料表層の電気的特性を測定するようにしている。
共振特性検出手段において、共振系の共振特性の測定は、マイクロ波共振器にマイクロ波を入出力するためのポートを設け、当該ポートを通して入力されるマイクロ波に対しての同ポートからの反射波の測定、あるいは、他のポートから出力されるマイクロ波の測定によって行うことができる。マイクロ波共振器の放射開口(微小開口)から放射されるマイクロ波強度の測定によっても測定できるが、放射開口部に対向して試料を配置する必要があるから、現実的ではない。本発明の実施形態では、マイクロ波共振器からの反射マイクロ波を用いるようにしている。
共振系の共振特性を示すパラメータには、共振周波数、共振の鋭さを示すQ値、共振状態におけるマイクロ波レベル等がある。Q値やマイクロ波レベルは、伝送路やマイクロ波共振器の損失、マイクロ波の強度変動に大きく依存する。このため、Q値、あるいはマイクロ波レベルでは、探針−試料間距離の制御が不安定となりがちである。一方、共振周波数は、試料の電気的特性によって変化するとともに、マイクロ波のレベル変動の影響も受けない。よって、共振系の共振特性としては、共振周波数を採用することが好ましい。
マイクロ波共振器のポートからの反射マイクロ波に関し、そのマイクロ波強度は、共振系の共振周波数で極小となる。したがって、マイクロ波強度から共振周波数よりのずれを検知するためには、現状の周波数に対する共振周波数よりの前後のずれを判断する上で、周波数の掃引が必要となる。このため、周波数掃引用の制御・信号処理系が必要となるだけでなく、その掃引時間が探針−試料間距離制御の時間遅れを引き起こし、結果として測定時間の増大となる。
一方、反射マイクロ波の位相は、位相の絶対測定はその基準がないため、共振周波数の前後で単調に変化する(図3参照)。このように、反射マイクロ波の位相検波信号には、位相情報が含まれており、この位相検波信号により、現在の周波数が共振系の共振周波数よりずれているのか否か、ずれている場合、共振周波数に対して前あるいは後にどれだけずれているのかが判別できる。よって、共振系の共振周波数を一定に保持するにあたり、共振特性検出手段は、共振特性情報として、共振系の共振周波数からのずれを反映する、マイクロ波共振器からの反射マイクロ波の位相検波信号を得るようにすることがよい。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による電気特性評価装置を示すブロック図、図2は図1におけるマイクロ波共振器を示す概略構成図である。
図1に示すように、この電気特性評価装置は、測定すべき試料Wに対向する一端側に微小開口42を有するとともに、微小開口42に位置する探針44が接続された中心導体(内部導体)43を有するマイクロ波共振器4と、マイクロ波共振器4を上下方向において垂直に移動させて試料厚み方向において試料Wとマイクロ波共振器4の探針44との距離を変えるZ軸移動ステージ1と、ステージ面上に試料Wが載置された状態で水平に移動し、マイクロ波共振器4の探針44で試料Wの面内走査を行うためのX−Y軸移動ステージ2と、Z軸移動ステージ1及びX−Y軸移動ステージ2をそれぞれ駆動するための駆動回路を有するステージコントローラ11とを備えている。微動・精密機構のZ軸移動ステージ1及びX−Y軸移動ステージ2は、直角をなすベースプレート3に取付けられている。
さらに、この電気特性評価装置は、マイクロ波共振器4へ供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器5と、前記マイクロ波発振器5と前記マイクロ波共振器4とを結合する伝送路の途中に設けられ、マイクロ波発振器5からのマイクロ波の一部を取り出す第1の方向性結合器6と、第1の方向性結合器6からのマイクロ波が導かれ、局発信号Loを出力する移相器(位相シフタ)9と、前記伝送路における前記第1の方向性結合器6とマイクロ波共振器4との間に設けられ、マイクロ波共振器4の入出力ポート45からの反射マイクロ波の一部を取り出す第1の方向性結合器7と、第1の方向性結合器7によって取り出されるマイクロ波共振器4からの反射マイクロ波の信号、及び移相器9からの局発信号Loから、マイクロ波共振器4と試料Wとで構成される共振系の予め設定された共振周波数からのずれを反映する、反射マイクロ波の位相検波信号IFを得る位相検波器(ミキサ)8と、位相検波器8からの位相検波信号IFを増幅及びフィルタ処理し、試料Wの表面形状変化分が除去された位相検波信号IF’を出力する信号処理回路10と、電気特性測定手段としてのパーソナルコンピュータ11とを備えている。
前記の第1の方向性結合器6、移相器9、第1の方向性結合器7、位相検波器8、及び信号処理回路10は、共振系の共振状態に関する共振特性情報を得る共振特性検出手段を構成している。また、パーソナルコンピュータ11は、試料Wの面内走査に際し、ステージコントローラ11に駆動信号を与えてX−Y軸移動ステージ2を位置決め制御し、前記位相検波信号IF’に基づいて、共振系の予め一定に設定された共振周波数が維持されるように探針44を移動させて探針44と試料Wとの距離を変化させる探針−試料間距離変化量(探針移動量)ΔZを求め、この探針−試料間距離変化量ΔZを前記Z軸移動ステージ1のステージコントローラ11に与えるとともに、求めた探針−試料間距離変化量ΔZに基づいて試料表層の電気的特性の評価を行うものである。
前記マイクロ波共振器4は、図2に示すように、同軸型共振器であり、中空円柱状をなし、試料Wに対向する先端側に円形の微小開口42を有する外部導体41と、外部導体41内に設けられ、中実円柱状をなして先端部がとがり、該先端部に微小開口42に位置するように探針44が接続された中心導体(内部導体)43とにより構成されており、外部導体41には、同軸ループアンテナで構成されるマイクロ波の入出力ポート45が設けられている。
前記マイクロ波共振器4の寸法例は、銅製の外部導体41の内径:24mm,長さ:85mm、銅製の中心導体(内部導体)43の外径:14mm、微小開口42の直径:300μm、である。
次に、このように構成される電気特性評価装置の動作について、説明する。探針44を有するマイクロ波共振器4と試料Wとで共振系が構成されており、マイクロ波共振器4の入出力ポート45からの反射マイクロ波は、第1の方向性結合器7を通して、位相検波器8に入力されて、移相器9からの局発信号Lo(参照信号)に対して位相検波される。移相器9は、マイクロ波発振器5からマイクロ波共振器4へ供給するマイクロ波に対して、ある位相だけ変化させた信号(出力)を得るものである。
前記共振系において予め設定された共振周波数の前後では、マイクロ波共振器4からの反射マイクロ波の強度は小さくなり、一方、反射マイクロ波の位相は、単調に変化する(図3参照)。
前記位相検波器8の出力(IF)は、Rを反射マイクロ波の強度、αを反射マイクロ波の位相とすると、IF=C・R・sin(α+φ)となる。ここで、Cは定数、φは局発入力(Lo)の位相である。そして、φを移相器9で調整し、φ=αに設定することにより、位相検波器8の出力として、予め設定された共振周波数の前後において正負の極性をとり、かつ、R・sinαに比例する信号である位相検波信号(位相検波出力)IFが得られる。
この位相検波器8で得られる位相検波信号IFは、試料Wの電気的特性の変化分と、試料Wの表面形状変化分とが重畳されたものなる。試料Wとして、半導体ウエハ(含む電子デバイスが形成されたもの)を想定した場合、一般にその平面性が極めて高いことから、主として試料Wの傾きが試料Wの表面形状変化分となる。そこで、信号処理回路10は、位相検波器8からの位相検波信号IFをフィルタ処理することにより、試料Wの面内走査での試料Wの表面形状変化分による直線的単調変化成分を除去し、試料Wの電気的特性の変化分のみによる位相検波信号IF’を出力する。
そして、パーソナルコンピュータ11は、試料Wの面内走査に際し、ステージコントローラ11に駆動信号を与えてX−Y軸移動ステージ2を位置決め制御し、前記位相検波信号IF’に基づいて、共振系の予め一定に設定された共振周波数が維持されるように探針44と試料Wとの距離を変化させる探針−試料間距離変化量(探針移動量)をZ軸移動ステージ1のステージコントローラ11に与えるとともに、探針−試料間距離変化量ΔZに基づいて試料表層の電気的特性の評価を行う。
このパーソナルコンピュータ11において行われる、前記探針−試料間距離変化量ΔZに基づいて試料Wの試料表層の電気的特性を評価する方法について説明する。ΔZと試料との電気的特性の関係は、マイクロ波共振器の構造(微小開口部の構造を含む)に依存するため、ΔZから試料の電気的特性、例えば導電率を一意的に決定することは困難である。そのために、測定に先立って予め、導電率が既知の複数の標準試料で、導電率に対するΔZの変化のデータが採取され、このデータがコンピュータ11に記憶(格納)される。これを校正曲線として、実測定で得られたΔZから測定対象の試料の導電率を算出する。
次に、この電気特性評価装置による測定手順について説明する。
1) マイクロ波共振器4の探針44を試料Wから十分離した状態において、マイクロ波発振器5からマイクロ波共振器4へ供給するマイクロ波(発振マイクロ波)の周波数を調整し、マイクロ波共振器4からの反射マイクロ波をモニタすることにより、発振マイクロ波の周波数を共振周波数(F)に設定する。ここでは、共振周波数(F)を例えば750.5MHzとする。なお、反射マイクロ波の前記モニタは、位相検波器8の反射マイクロ波のポートでのパワーが最小値になるように監視することを等によって行う。
2) マイクロ波発振器5からの発振マイクロ波の周波数を、(F−ΔF)に設定する。ここで、周波数ΔFは評価対象に応じて設定され、例えば0.2MHzである。この発振マイクロ波の周波数を(F−ΔF)に設定することは、共振状態をずらすことになる。
3) パーソナルコンピュータ11からのステージコントローラ11への指令により、マイクロ波共振器4が取付けられたZ軸移動ステージ1を駆動し、探針44を試料Wに近接させていくことで、マイクロ波共振器4の共振周波数が低い方にずれるため、マイクロ波共振器4と試料Wとで構成される共振系が、共振周波数(F−ΔF)でもって共振状態となる。このように、共振系の共振周波数を(F−ΔF)に設定する。
4) そして、共振周波数が(F−ΔF)に維持されるように試料Wに対して探針44を上下に移動させつつ、試料Wを面内走査し、このときの探針−試料間距離変化量(探針移動量)ΔZでもって、導電率、誘電率などの試料の電気的特性を評価する。
なお、この電気特性評価装置では、要求される面内分解能、測定エリアにもよるが、例えば、1mm角のエリアを10μmの分解能で評価する場合、1mm(X軸)を10秒程度で移動させながら、データ(探針移動量)を採取する(1ライン:1mm/10μmで100点)。したがって、Y軸も100点とした場合、10秒×100=1000秒で1mm角のマップが得られる。
図4は変位センサが装着されたマイクロ波共振器を示す図である。
図4に示すように、マイクロ波共振器4に変位センサ13を装着し、試料Wの面内走査時に、探針44と試料Wとの距離(間隙距離)を測定するようにしたものである。これにより、試料Wの表面形状変化の情報が得られ、位相検波器8で得られる位相検波信号IFに含まれる試料Wの傾きの影響を補正することができる。なお、変位センサ13としては、光学式あるいは静電容量式の変位センサが考えられる。
図5は本発明の別の実施形態による電気特性評価装置を示すブロック図である。ここで、前記図1に示される電気特性評価装置と同一の部分には図1と同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、14は、マイクロ波共振器4’と試料Wとで構成される共振系のパラメータを測る計測器であるネットワークアナライザである。このネットワークアナライザ14は、マイクロ波共振器4’へ供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器、及び、共振系の共振状態に関する共振特性情報を得る共振特性検出手段を構成している。ネットワークアナライザ14の一方の端子は、マイクロ波共振器4’の入力ポートに同軸ケーブルで接続され、ネットワークアナライザ14の他方の端子は、マイクロ波共振器4’の出力ポートに同軸ケーブルで接続されている。
ネットワークアナライザ14では、常に送信周波数が掃引され、共振系の共振特性が透過法で測定される。この実施形態による電気特性評価装置では、ネットワークアナライザ14によって共振系の共振周波数が測定され、これが電気特性測定手段としてのパーソナルコンピュータ11’に与えられる。
パーソナルコンピュータ11’は、ネットワークアナライザ14からの前記共振周波数測定値と、共振系の予め設定された共振周波数とを比較し、この予め設定された共振周波数が維持されるように、探針−試料間距離変化量(探針移動量)をZ軸移動ステージ1のステージコントローラ11に与える。このように、共振系の予め設定された共振周波数が維持されるように試料Wに対して探針44を上下に移動させつつ、試料Wを面内走査し、このときの探針−試料間距離変化量(探針移動量)ΔZでもって、導電率、誘電率などの試料の電気的特性を評価する。
この電気特性評価装置では、ネットワークアナライザ14による測定のため、前記図1に示される電気特性評価装置に比べて測定時間は長くなるものの、探針移動量ΔZ以外に、共振系のQ値(共振の鋭さを示す値)も得られ、試料Wの損失に関する情報も得ることができる。
本発明の一実施形態による電気特性評価装置を示すブロック図である。 図1におけるマイクロ波共振器を示す概略構成図である。 共振系の共振特性図である。 変位センサが装着されたマイクロ波共振器を示す図である。 本発明の別の実施形態による電気特性評価装置を示すブロック図である。 従来技術としての走査型マイクロ波顕微鏡のブロック図である。
符号の説明
1…Z軸移動ステージ
2…X−Y軸移動ステージ
3…ベースプレート
4,4’…マイクロ波共振器
41…外部導体
42…微小開口
43…中心導体
44…探針
45…入出力ポート
5…マイクロ波発振器
6…第1の方向性結合器
7…第2の方向性結合器
8…位相検波器
9…移相器
10…信号処理回路
11,11’…パーソナルコンピュータ
12…ステージコントローラ
13…変位センサ
14…ネットワークアナライザ
W…試料

Claims (3)

  1. マイクロ波共振器と試料とで共振系を構成し、前記マイクロ波共振器で試料の面内走査を行い、試料表層の電気的特性を測定する電気特性評価装置において、
    測定すべき試料に対向する一端側に微小開口を有するとともに、前記微小開口に位置する探針が接続された中心導体を有するマイクロ波共振器と、前記マイクロ波共振器へ供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、試料厚み方向において試料と前記マイクロ波共振器の前記探針との距離を変えるためのZ軸移動ステージと、前記共振系の共振状態に関する共振特性情報を得る共振特性検出手段と、前記共振特性検出手段によって得られる前記共振特性情報に基づいて、前記共振系の予め設定された共振特性が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を求め、この探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価する電気特性評価手段と、を備えたことを特徴とする電気特性評価装置。
  2. 前記共振特性検出手段は、前記共振特性情報として、前記マイクロ波共振器からの反射マイクロ波のその位相に依存し、前記共振系の予め設定された共振周波数よりのずれを反映する位相検波信号を得るものであり、前記電気特性評価手段は、前記位相検波信号に基づいて、前記共振系の予め設定された共振周波数が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価することを特徴とする請求項1記載の電気特性評価装置。
  3. 前記共振特性検出手段は、前記共振特性情報として、前記共振系の共振周波数測定値を得るものであり、前記電気特性測定手段は、前記共振周波数測定値に基づいて、前記共振系の予め設定された共振周波数が維持されるように前記探針と試料との距離を変化させる探針−試料間距離変化量を前記Z軸移動ステージのコントローラに与えるとともに、前記探針−試料間距離変化量に基づいて試料表層の電気的特性を評価することを特徴とする請求項1記載の電気特性評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019095233A (ja) * 2017-11-20 2019-06-20 国立研究開発法人産業技術総合研究所 走査型マイクロ波顕微鏡、及びこれを用いた被測定物の表面の電気特性の測定方法
CN111351807A (zh) * 2020-04-18 2020-06-30 李赞 使用近场微波的介电谱显微测量

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