JP4072601B2 - 空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置 - Google Patents

空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置 Download PDF

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本発明は、被測定材料の複素誘電率と誘電体薄膜の厚さを非破壊測定法で測定する方法とその装置に係わり、特にマイクロ波帯やミリ波帯における空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置に関する。
摂動理論を利用して誘電率を測定する誘電体共振器が知られている。
実開平3−70370号には、金属ケースと金属ケース内に取り付けた誘電体共振器に測定試料を付加して、摂動理論によって誘電体基板の複素誘電率を測定する装置が示されている。構造上試料を共振器の中に設定し、しかも摂動理論の条件を満たすために、試料の寸法に制限される問題がある。また一般に測定できる周波数は一種類のみである。
実開平3−70370号公報
実開平3−70375号には、誘電体基板の上面側および下面側にそれぞれ配置された第1および第2の誘電体共振器、第1および第2の誘電体共振器の誘電体基板との対向面を除いた外表面にそれぞれ形成される第1および第2のメタライズ層、第1および第2のメタライズ層の少なくとも一方に第1および第2の誘電体共振器を励振するように取り付けた2つの結合端子を備え、摂動法を利用して複素誘電率を測定する装置が示されている。誘電体基板の装着には改善が施されている。直径9mmの誘電体共振器で測定されているが、さらに数ミリ以下の細かい領域の複素誘電率を測定する場合、構造上困難がある。
実開平3−70375号公報
一方、特開2001―281284号に係わる発明は、前述の摂動法を利用した共振器法によらない測定法を示している。すなわち、この発明は、導波管の開口部にフランジを装着したフランジ付導波管と、導体板の間に測定対象の誘電体を挿入し、フランジ付導波管と導体板で誘電体を押さえ、開口部の反射係数を反射特性装置により測定し、測定された反射係数の絶対値と位相から複素誘電率を求める装置である。測定材料を導波管の開口部に当てて測定できる利便性があるが、反射特性を測定するベクトルネットワークアナライザなど高価な測定器を必要とする点、測定できる分野が制限される。またフランジと試料の接触面積が大きいので、試料の全面積に渡り、一様に接触することは難しく、測定誤差の要因になっている。
特開2001―281284号公報
また、特開2002−189043号に係わる発明は、材料に関する複素誘電率の局部的測定のための装置の発明であり、平衡2線の伝送線路構造を用いるものであり、空洞共振器における高いQ特性は得られない。
特開2002−189043号公報
特開2004−45262号に係わる発明は、共振器を用いて材料の局所的な部分の複素誘電率を測定する方法であり、広い面積の測定ができない。
特開2004−45262号公報
本発明の主たる目的は、前述した諸問題を解決した試料の形状,大きさ等に影響されないで、試料の複素誘電率を精度高く測定できる装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、
空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と、
探針と、
前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の次の既知の関数
ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
であることから、数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
前記空洞は球であり、TM 011 (θ,r,φ)モードで共振している空洞共振器を用いるものである。
本発明による請求項2記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、
空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と
針と、
前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の次の既知の関数
ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
であることから、数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
前記空洞は円筒であり、TM 010 (θ,r,z)またはTE 011 (θ,r,z)モードで共振している空洞共振器を用いるものである。
本発明による請求項3記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、
空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と、
対面配置される一対の探針と、
前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の次の既知の関数
ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
であることから、数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
前記空洞は球であり、TE 011 (θ,r,φ)モードで共振している空洞共振器を用いるものである。
本発明による請求項4記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、請求項1,2または3記載の装置において、
前記空洞支持手段は、試料の表面から一定の高さ方向(z)の距離を保って前記試料表面(x,y)に平行方向に移動可能であり、前記一定の高さ方向(z)の距離は、自動制御により維持されていることを特徴とするものである。
なおこの空洞支持手段は周知の(x,y,z)ステージ、すなわち試料の表面から一定の高さ方向(z)の距離を保って前記試料表面(x,y)に平行方向に移動可能であり、前記一定の高さ方向(z)の距離は、自動制御により維持されているものを用いることができる。
本発明による請求項5記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、請求項1,2または3記載の装置において、
前記空洞支持手段は、試料の表面から一定の高さ方向(z)の距離を保って前記試料表面(x,y)に平行方向に移動可能であり、前記一定の高さ方向(z)の距離は、自動制御により維持され、
試料の支持台と前記空洞支持手段はz軸まわりに相対回転可能であることを特徴とするものである。
本発明による請求項6記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置は、請求項1または3記載の装置において、
前記Qは10,000を越えることを特徴とするものである。
請求項1,2および3に係わる発明によれば、電磁波の波長より開口部の寸法が充分小さい開口部を構成することにより、開口部における電磁波は指数関数的に減衰するエバネッセント波になる。その電磁波のコンピュータ解析が可能になり、精度のよい複素誘電率を求めることができる。
プローブ型共振器の開口部に試料を負荷しないときのQ特性のデータと試料を負荷したときのQ特性のデータの偏差(QのシフトΔQ,周波数シフトΔfを求める)から、
ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)の関係により、
複素誘電率ε(ε=ε’+jε”≡ε’+j(σ/ω’ε0 ))
を算出することができ、精密に複素誘電率を測定することができる。
共振器の開口の外側に試料を配置するので、後はCPUが複素誘電率、周波数、Q特性を算出し、その結果をディスプレイで表示するので、複素誘電率を自動的に測定することができる。
発明によれば、開口の大きさでエバネッセントの電磁波の減衰特性を解析できるので、複素誘電率の深さ方向の特性を求める方法およびプローブの固有減衰特性が明確化され、逆に試料の膜厚を測定することができる。
発明によれば、共振器はプローブの交換可能な構造のために、共振器の共振可能な周波数ごとに交換して測定をすることにより、広帯域な周波数に対する複素誘電率を測定できる。
発明によれば、共振器の内部または外側開口周辺を負圧にして試料と測定端の開口部とを密着し吸着保持する方法で測定面の接触誤差を少なくできる。
発明によれば、測定部が共振器の開口部になるので、液体の表面の複素誘電率、気体の複素誘電率、人体や半導体の表面膜などの複素誘電率を測定できる。
発明によれば、プローブを試料平面内で自由に移動して各局部の誘電率を計測することにより、試料の誘電率の平面分布を測定できる。
発明によれば、広い周波数帯域で測定するために、測定装置を、交換可能なプローブの形態であり、共振周波数の近傍の周波数に対する波長に比べて十分小さい寸法の開口を形成する共振器と広い範囲の高周波を発生する電圧制御型広帯域発振器と、進行波と反射波を分離する方向性結合器と、反射波の位相を調節する位相器と、共振周波数時に出力信号の振幅は等しくなる3dB結合器と、高周波信号の振幅を直流電圧に検波する検波器と、直流電圧の差を増幅する差動増幅器とで構成する。そして、共振器の開口の外側に試料を配置する。これにより得られたディジタルデータから複素誘電率を計算することができる。
請求項4に係わる発明によれば、複素誘電率の2次元分布が測定できる。
請求項に係わる発明によれば、測定精度を高くテンソルを測定することができる。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1から図3は、本願発明の装置で、試料の複素数誘電率を測定するときに、探針を試料に接触させて用いる共振器の実施例を示す略図である。
次に本発明の原理となる誘電体測定装置の測定理論を説明する。一般的にある領域内において閉じ込められた電磁波があるモードで振動している場合、その領域内のほんの一部の領域を他の誘電体と置き換えたときに、スレータの摂動論が成立する。
均質なまたは異方性な材質では、誘電率εは次の式のように複素数で表現できる。
ε=ε’+jε”≡ε’+j(σ/ω’ε0
ここでε’は誘電率の実数部、ε”は誘電率の虚数部、σは材質の導電度、ω’は角波数、ε0 は真空中の誘電率である。いまキャビティの共振周波数f0 と負荷されたキャビティのQ特性は、複素角周波数の変化に関係する。すなわち次式で表される。
δω/ω2 ={(ω’2 −ω’1 )+j(ω”2 −ω”1 )}/(ω’2 −jω”2
≒(f02−f01)/f02−j(1/2Ql2+1/2Ql1
キャビティの摂動方程式から誘導すると、この複素各周波数は、複素誘電率に関係することがわかる。
ここでキャビティの摂動方程式は次式で表わされる。
Figure 0004072601
この摂動方程式で下付き添え字の1は、試料をキャビティに挿入前の場合、下付き添え字の2は挿入後の場合を現すパラメータである。
s とVj は、試料の体積Vs とキャビティの体積Vj を示す。上式のHバーとFバーは磁界と電界を現す。
Figure 0004072601
この摂動理論は、誘電率の実数部と虚数部を用いて、共振周波数の偏移とQ特性の偏移を結合づけている。
電界の最大値に位置する細い小片の試料については次式であらわされる。
df0 ={(δε’・ε’+δε”・ε”)/(ε’2 +ε”2 )}K

δ(1/2QL )={(δε”・ε’−δε’・ε”)/(ε’2 +ε”2 )}K
ここでδε’とδε”は、誘電率の実数部と虚数部の差異を示す。Kは試料の形状に起因し、また電界の分布状態に起因する数値的な定数ファクタである。
このような一般式において、誘電率の実数部と虚数部の差異はキャビティのQ特性の変化ならびに共振周波数の変化に依存するわけである。よって前述の式は
Δf=f(ε’,ε”)
ΔQ=g(ε’,ε”)で表現できる。
この式のfの関数とgの関数は、材料(試料)や共振器の形状、電磁界分布(モード)に依存する関数になる。これらの関数が数式を用いて解析的に精度良く求めることは、これらの関数が複雑であるので非常に困難である。したがって、3次元の電磁界解析法でコンピュータを使って、数値解析を行うことが適している。たとえば、独逸国のコンピュータシュミレーションテクノロジー(Computer Simulation Technology)社の3次元電磁界解析ソフト,エムダブリュー−スタジオ(MW-Studio)やマフィア(MAFIA)を利用して、数値解析を行うことができる。
図7と図8は解析結果の様子を示す。図7は横軸が偏移周波数、縦軸が誘電率の実数部を示す。
図8は横軸が周波数、縦軸が誘電率の実数部を示す。
図7は、tan δが一定の条件を保った場合に(たとえば、tan が0.01のときに)、無負荷時の共振周波数と測定時の共振周波数の差すなわちΔfに対して実数部ε’が求まる。これを示したのが図7である。
図8では、ε’を一定に保つ場合(たとえばε’が10のときに)、無負荷のときのQの値と測定時のQの値から算出されるΔQに対するε”の値を示す。当然図7と図8の関係で明確のように、測定値のQや共振周波数からε’とε”が求まるわけである。以上数値解析の原理と数値解析の方法を述べた。
以下本発明の球形共振器形プローブの構造と動作について説明する。本発明では、誘電体測定プローブが超小型化開口共振器であり、開口部の寸法は共振周波数の波長に比べ十分短い寸法に設定しているので、開口部から外部に放出する電磁波の振幅は指数関数的に減衰する電磁波であり、近接波になる。このように、開口部より測定物に浸透するエバネッセント波を利用しているのが特徴である。
そして開口部近辺に蓄積されるエバネッセント波の電磁波のエネルギは、共振器の全蓄積エネルギに比較して十分少ないので、前述の摂動理論が応用できる。
誘電体測定プローブの形状寸法を自由に選択できるように、交換式にして、試料の寸法、電界分布の解像度を選択できるのが特徴である。
まず、図1に示す本発明の探針1本タイプの球形共振器について説明する。左端側のSMAコネクタ105から高周波が印加される。球形共振器はこの入力高周波により電磁性結合のアンテナ106(いわゆるループアンテナ)から球形共振器100に入る。球形共振器の励振方法は、前記電磁性結合のアンテナ106(いわゆるループアンテナ)の配置に特徴があり、前記電磁性結合のアンテナの磁界により球形共振器のXY平面(図4A参照)に平行な磁界が発生する。一方電界はZ方向に発生する。
このモードはTM011 である。ここでサフィックス011は球座標(θ,r,φ)(図4B参照)で表している。
前記電磁結合のアンテナ106は、球形共振器に疎に結合している。球形共振器自体のQをQ0 、前記アンテナの結合により外部から共振器に加わるQをQext とすれば、システム全体のQは次の式で与えられる。
1/Q=1/Q0 +1/Qext
アンテナを疎に結合すれば、外部から共振器に結合されるQext が大きくなる。つまり、QとQ0 はほぼ等しくなり、共振器のQは高く維持されることにより、測定精度を高くできる。
左側のループアンテナ108は球形共振器の共振電圧の変化と周波数変化を検出するアンテナである。
球形共振器の下部に測定用開口部があり、高周波励振周波数の波長より充分短く設定されている。その開口部の中心に試料の複素誘電率を測定する微細アンテナのプローブ102があり、先端部は微細加工した針の形状になっている。微細アンテナのプローブと球形共振器との取り付け部分は誘電体損失の少ないテフロン(登録商標)誘電材料103で構成する。この開口部は高周波励振周波数の波長より充分短く設定されているので、開口部から放出する高周波はエバネッセント波になり、その波の振幅は開口部の外側で急激に減衰する。試料の複素誘電率を測定する場合、微細アンテナのプローブ102の先端を試料に極めて近い距離で設定する。この設定方法は誘電体駆動装置を用いて、距離の維持を図る。構造はシンプルでかつ操作も制御装置により測定が簡単になる。このタイプは請求項1に記載した探針が1本タイプである。
一般に球形共振器は球形の体積と表面積の比が最も大きくなるので、高いQが得られる。共振器の半径をrとすれば、モードTM011 では共振周波数の次の波長は
λ=2.29rになる。またQは、Q=1.01ζ/Rs である。
ここでζ=(μ/ε)1/2 である。
特に球形共振器は内部の壁の導電度を高くし、壁の損失を押さえるように製作すると、Qは非常に高い値にある。因みに励振周波数が数ギガの周波数帯域で、同軸形共振器ではQの値は2000以下に対して、球形共振器ではQの値は10000以上にもなる。このQ特性が高いことは、共振時に試料がない状態と測定する試料を挿入した状態での極めて少ない複素誘電率の変化に対してQ特性が変化することになる。当然周波数の変化も現れるので、検出しやすい。
よって、試料の複素誘電率の測定精度が高くなる。また検出感度が高くなれば、精度を少し押さえて、試料の微細領域の複素誘電率を測定することができる。
当然測定精度と微細領域の測定はトレードオフの関係になるので、測定の目的により選択することができ、測定方法の幅が広がり、測定の自由度が大きくなる。
この様に、一般の機器に使われる電気材料の複素誘電率の基礎データが簡単に測定できるので、民生機器の性能向上に役立つ。
次に図2を参照して探針が2本タイプの球形共振器について説明する。左端のSMAコネクタ205から高周波が印加される。高周波がループアンテナ206から球形共振器200に入る。開口部の寸法は、高周波の波長より短く設定されているので、開口部から放出する高周波はエバネッセント波になり、その波の振幅は開口部の外側で急激に減衰する。球形共振器内の共振周波数を検出するために、球形共振器の右側にループアンテナ208が配置されている。試料の複素誘電率を測定する場合、前述したように二本のプローブ202Aと202Bの先端を試料に接触する。
球形共振器の励振方法は、前記電磁性結合のアンテナ(いわゆるループアンテナ)の配置に特徴があり、前記電磁性結合のアンテナの磁界により球形共振器のXY平面(図4A参照)に平行な磁界が発生する。一方電界はY軸方向に回転する電界になる。このモードはTE011 である。ここでサフィックス011は球座標(θ,r,φ)(図4B参照)で表している。
このTE011 モードでは、共振周波数時の波長はλ=1.395rになる。
またQ=2.24ζ/Rs である。
電界は2本の探針に印加される。2本の探針202A、202Bは薄い板上の平行板で構成する。探針の先端部における電界の方向はY軸方向に向かう。
電界の向きが一定方向に規定されるので、試料の誘電体の異方性を調べるときに有効になる。すなわち前述のTM011 モードでは電界はZ軸方向になり、このTE011 モードでは電界はY軸方向になる。さらに試料を90度回転した状態にして測定すれば、電界がX軸方向に印加した状態の測定と同じになるので、試料に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に電界が加わったときの複素誘電率の測定ができる。このように誘電体の異方性の測定すなわち誘電率のテンソルが測定できる。
次に、電界のモードを選択することにより、円筒形共振器の利用も可能である。円筒の上下を膨らませてQを大きくしている。
図3Aに示す本発明の円筒形共振器は、図1や図2と同様に左側のループアンテナ(矢印)から供給された高周波の磁界はZ軸を中心に回転する。電界はZ軸の負方向に向かう。この電界が1本の探針320を励起し、この電界はその探針320の先端部で試料に垂直にすなわちZ軸の負方向に印加する。共振器内部の高周波を検出する右側のループアンテナ(矢印)は磁界成分を検出する。図において301は電界、302は磁界を示す。303は支持部である。
この電磁界の発振モードは、TM010 モードである。サフィックスの010は円筒座標(θ,r,z)であらわされている。共振周波数に対応する発振波長は次式になる。
λ=2πa/ρ01
ここでaは円筒の空洞の半径である。
また次の電磁界の発振モードすなわちTE011 モードの電磁界でも有効に活用する。
サフィックスの011は円筒座標(θ,r,z)であらわす。共振周波数に対応する発振波長は次式になる。
λ=1/{(ρ01/2πa)2 +(1/2L)21/2
ここでaは円筒の半径、Lは円筒状の空洞共振器の長さである。
この様に、TE011 の電磁界のモードに規定した円筒共振器でも複素誘電率を測定することができる。
図3Bに示す装置は、TE011 モードで動作する円筒空洞共振器を示している。なお、図3Aの装置と同様な機能をもつ要素には同じ符号を付してある。探針320は磁界302(H)に結合している。
次に本発明に使用する空洞共振器の等価回路について述べる。
本発明では基本的に空洞共振器(以下プローブ)の共振特性の変化を、すなわち共振周波数とQ特性の変化を検出して、試料の複素誘電率を測定する。
つまり、空洞共振器に設置するプローブに試料を当てないとき(無負荷,厳密には空気と結合した状態であり、比誘電率は1.0, tanδ=0)と前記プローブに試料を当てたとき(負荷,測定材料の前記空気の誘電率に対する比を求める)の2つの状態の共振周波数とQ特性の変化を調べる。
プローブに試料を当てないときには、この空洞共振器の等価回路を集中定数の並列共振回路の等価回路で考えれば、図9に示す等価回路で表わされる。
共振器の等価電気定数をR,C,Lとすれば
Z=1/Y=1/{G+j(ωC−1/ωL)}
である。
共振時では、ωC−1/ωL=0 になる。
試料のない場合の共振周波数をf0 とすれば、f0 =1/2π(LC)1/2 である。
またこのときのQをQ0 とすれば、Q0 =ω0 L/R=Gω0 Lである。
このように、共振器の固有の周波数で、すなわち無負荷時の共振周波数f0 で振動する。
この状態、すなわち共振周波数f0 での共振回路におけるL成分とC成分の合成インピーダンスはゼロになる。すなわち共振器の回路を外部からみれば、純抵抗成分になる。この抵抗は、回路(共振器)自身のロスである。
しかし、回路の特性インピーダンスR0 (純抵抗)と共振器の入力インピーダンスR(純抵抗)とは異なるので、反射波は発生するが、進行波と反射波の位相は同相になる。この条件における共振器の入力端での反射波の振幅Vr と進行波の振幅Vs との比
(Vr /Vs )は、(Vr /Vs )=(R−R0 )/(R+R0 )になる。
次にプローブに試料を当てたときには、この空洞共振器の等価回路を集中定数の並列共振回路の等価回路で考えれば、図10に示す等価回路で表わされる。
ここで試料の等価回路は基本的にキャパシタンスと抵抗で表される。
このことは、このキャパシタンスCs が共振器に付加されることになる。
試料の等価電気定数をCs ,Gs =1/Rs とすれば、
共振器の入力端から見たインピーダンスは
Z=1/Y=1/[(G+Gs )+j{ω(C+Cs )−1/ωL}]
このときの共振状態では、ω(C+Cs )−1/ωL=0 になる。
試料を付加した共振器での共振周波数f0sはf0s=1/2π{L(C+Cs )}1/2
である。
またこのときのQ値をQs とすれば、Q0s=ω0 L/R’=G’ω0 L である。
ただしG’=G+Gs 1/R’=1/R+1/Rs である。
このときの共振器の共振周波数f0sは、Cs の増加分により前記の固有共振周波数f0 より僅かに低くなる。また共振器のQ0sも、Rs の増加分により前記のQ0 より僅かに低くなる。試料の微小面積の複素誘電率を測定するには、この変化分は僅かになるので、測定装置の感度を上げるために、極めて高いQ0 特性をもつ構造の共振器が要求される。
当然共振器は共振しているので、LC成分のインピーダンスはゼロになり、純抵抗成分
R’のみになる。
よって共振器の入力端子では、この共振周波数f0sのときに進行波と反射波は同相になる。この条件における共振器の入力端での反射波の振幅Vr と進行波の振幅Vs との比
(Vr /Vs )は(Vr /Vs )=(R’−R0 )/(R’+R0 ) になる。
当然RとR’は異なるので、(Vr /Vs )は異なる。
また各共振時の共振周波数の偏移をΔfとQ偏移をΔQとすれば、
Δf=f0 −f0s,ΔQ=Q0 −Q0s で表わされる。
よって試料の挿入前後の周波数の差が測定できる。
次に本発明のプローブを利用した非破壊誘電体測定器の測定システムの一例について図5を参照して説明する。なおこの測定システムは特開2004−45262号で記述されているので、簡単に説明する。
VCO(Voltage Controlled Oscillator)509からの出力高周波は、サーキュレータ508に供給される。このサーキュレータ508は、周波数による負荷変動がVCO509に影響しVCO509の発振周波数に変化を与える現象を回避するために、すなわち負荷の反射電力を絶縁するために用いられる。さらに方向性結合器503に加わり、この方向性結合器503の出力から本発明の球形共振器502に供給される。
この方向性結合器503のa端子とb端子にはそれぞれ進行波と反射波が出力される。反射波は位相器504を通して3dB結合器505のP2端子に加えられる。この反射波の電力は共振周波数において最小値になる。進行波が方向性結合器503を通り3dB結合器505のP1端子に達する有効線路長と反射波が共振器の入力端子から方向性結合器503を通り位相器504を経て3dB結合器505のP2端子に達する有効線路長は、構造上の制約で異なるので、3dB結合器505のP1端子おける進行波の位相とP2端子における反射波の位相とが異なり、位相差が発生する。この位相差を補正するために、前記位相器504で調整する。
この位相補正により、共振時においてP1端子における進行波とP2端子における反射波との位相が同位相になるよう設定できる。また、回路には減衰器520,521が設けられている。
試料のない場合、共振時においてP1端子における進行波とP2端子における反射波の振幅を同じ振幅にするようにこの減衰器で調節する。また同様に試料のある場合、共振時においてP1端子における進行波とP2端子における反射波の振幅を同じ振幅にするようにこの減衰器で調節する。
前述の回路において、前記発振周波数に対する反射波と進行波の位相差は共振周波数にてゼロになる。一方進行波は3dB結合器505のP1端子に加わる。3dB結合器505の出力端子のP3とP4は検出器506に供給され、直流電圧に変換される。それぞれの直流電圧は差動増幅器507の入力部に供給される。差動増幅器507の出力電圧は、この2つの直流電圧が等しいときに、出力ゼロになるように調整されている。プローブ形共振器502に試料501を接触しない状態で、まずシステムを動作する。ここで共振器502の固有の共振周波数とする。VCO509が発振を開始すると最初ある周波数で振動する。この周波数は共振器502の固有の共振周波数とは当然異なる周波数になる。VCO509が発振周波数で電力を供給すると、プローブ形共振器502から反射波が生じて、方向性結合器503のb端子にはこの反射波が発生する。さらに位相器504を通過し、3dB結合器505の出力端子のP2に供給される。
一方進行波は3dB結合器505の出力端子のP1に供給される。その結果検出器506の出力信号は振幅の異なる電圧が生ずる。差動増幅器507の出力にはこの差電圧が発生する。この電圧がVCO509に加わると、VCO509の発振周波数は変化する。すなわち、共振器502の固有の共振周波数に近づくように動作する。このフィードバック動作によりVCO509の発振周波数は共振器502の固有の共振周波数に自動的にフェイズロックされる。
この自動的なフェイズロックの詳しい動作説明は、以下のとおりである。
今仮に、図12に示すように、VCOの発振周波数が固有の共振周波数f0 より低くなると、反射波の位相は進行波の位相より遅れる。この位相遅れにより差動増幅器の出力がゼロから正電圧が生じ、この信号がVCOに入力されると、VCOの発振周波数は高くなる。よってVCOの発振周波数は固有の共振周波数f0 に戻る。逆に、VCOの発振周波数が固有の共振周波数f0 より高くなると、反射波の位相は進行波の位相より進む。この位相進みにより差動増幅器の出力がゼロから負電圧が生じ、この信号がVCOに入力されると、VCOの発振周波数は低くなる。
よってVCOの発振周波数は固有の共振周波数f0 に戻る。この負帰還制御が固有の共振周波数f0 に自動的にフェイズロックすることになる。
同様に、試料を付加したときには、前述の負帰還制御が共振周波数f0sに自動的にフェイズロックすることになる。
次に球形共振器502の探針(図1の102、図2の202aと202b、図3Bの320などに相当)に測定しようとする試料501の表面垂直に接触させる。なお、この接触とは、厳密には探針の先端が試料の表面に球形共振器502(図1の104、図2の球形共振器、図3の300、図4Aの404)の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つことである。
この動作は、以下の方法で行われる。CPU(図示せず)からの指令で、パルスモータ518が回転すると、パルスモータ軸ギア517が回転し、中間ギア516を介して上下駆動部連結ギア515が回転する。上下駆動部連結ギア515の回転により、試料上下駆動部514が上方に移動する。
当然、試料上下駆動部514は試料支持台519により回転を抑制されているので上下に移動する。
このように、上下の移動はおもにパルスモータの制御で行われるが、最後のミクロン前後の微動は、圧電駆動装置513に直流電圧を印加することにより行われる。
さらに複素誘電率を精度良くするには、探針の接触状態を正しく制御することになるので、一度探針を試料に接触したのち、試料上下駆動部514を下げて、探針と試料間に定電流電源から直流電流を流した状態から電流が遮断する位置で試料上下駆動部514を停止する方法で行う。
この動作は、図5の試料501の表面を一定の高さに維持して図示を省略した空洞共振器側の空洞支持手段(周知の(x,y,z)ステージ)を用いて探針と試料間のz方向の距離を調節することによっても可能である。この(x,y,z)ステージを用いて空洞共振器を(x,y)方向に移動することによって試料の誘電率の2次元情報を獲得することができる。
この方法で探針の接触状態を一定条件に設定することができる。
試料501に接触した状態のプローブ型共振器502の共振周波数とすれば、前述の回路動作により、測定システムのVCO509は共振周波数にフェイズロックされる
た図2に示す2本の探針形球形共振器においては、図5に示す試料支持台519を水平方向(図4Aで示すX軸方向を指す)に駆動する装置を付加すれば、X軸方向の複素誘電率が求まる。さらに図5に示す試料支持台519をZ軸の周りに90度回転して複素誘電率を求めれば、この値は回転前における試料のY軸方向の複素誘電率になる。これらの測定手段のデータと、前述の1本探針の球形共振器によるデータ(試料に対してZ軸方向の電界で測定されている)を組み合わせると、X軸、Y軸、Z軸の方向の電界に対する複素誘電率が測定されたことになり、誘電体の複素誘電率のテンソル値が求まる。
この結果、周波数の推移とQ特性の変化から複素誘電率が前述の理論から算出できる。また、複素誘電率測定器の開発のために、1)前述球形共振器の電気的特性の事前調査、2)校正用複素誘電率に関する電気特性の事前調査、などにも対応できる測定システムとしての回路構成を図6に示す。
図5で示す球形共振器の入力部510と出力部511をそれぞれ図6に示すスペクトルアナライザ回路のOUTPUT端子613とINPUT端子612に接続する。
スペクトルアナライザの回路は基本的には図6に示す回路構成である。
すなわちマイクロ波スペクトルアナライザは数百メガヘルツから数十ギガヘルツの周波数帯域を測定できる。その周波数解像度はIF帯域幅で規定される。外部調節により約百ヘルツから1メガヘルツに変えることができる。掃引発振器601はローカル発振器の周波数を調整することにより、受信機に必要とする周波数帯域の周波数を繰り返し出力する。同時にこの周波数に対応する電圧がCRT611の水平軸に印加される。重要な部品は、ミキサの入力側にあるYIG同調形フィルタ604である。このYIG同調形フィルタ604はローカル発振器に沿って調整される。このYIG同調形フィルタ604は擬似相互変調積を減少するようにプレセレクタとして動作する。
入出力信号特性が対数関数的な特性をもつIF増幅回路608は信号の周波数領域のダイナミックレンジを広げる。このシステムの制御と測定方法の制御はCPUにより実施する。
スペクトルアナライザ回路のOUTPUT端子613からの信号は球形共振器の入力端子510(図5参照)に入力される。球形共振器はこの信号で励起される。球形とINPUT端子612に接続する。
当然、図6に示すシステムに、図5に示す試料を回転と移動を実施する駆動装置を敷設して複素誘電率を求めれば、同様に誘電体の複素誘電率のテンソル値が求まる。
本発明は、Q特性の高い共振器を利用し、測定物の試料にプローブをあてたときに、共振器に負荷が加わり、その結果共振器の周波数が偏移するが、Q特性が高いので高周波の振幅の変化が大きく、検出しやすいので、測定器の感度が高くなり、複素誘電率が正確に測定できる。共振器の周波数の波長に対するプローブ開口部の寸法の関係条件から、開口部から外部に放出する波はエバネッセント波になる。このエバネッセント波は被測定物のほんの一部分にのみ入るのでその部分のみの誘電率特性が測定できる。このエバネッセント波はコンピュータによる数値解析が可能なので、それによる開口の電磁波分布が明確になるので、測定精度の向上が図れる。また共振器に対して、共振周波数の高次モードの周波数を測定に利用できるので、高周波の周波数領域の拡大が容易にできる点も特徴である。
またエバネッセント波の減衰特性も解析できるので、各周波数毎に測定を行い、試料の深さ方向の誘電率の分布も測定できる。プローブ先端の電磁界分布の解明により、試料の膜厚を測定できる装置にも活用できる特徴がある。いろいろなプローブを選択できるので、開口部の小さいプローブを使って、局所的誘電率が測定できる利点がある。また開口部の大きさは、ほぼエバネッセントモードの波の深さ方向への到達距離に比例するので、開口部の大きさを変えたいろいろのプローブを切り替えることにより、波の深さ方向を変えることになり、膜の厚み方向の誘電率分布を測定できる特徴が得られる。
また図2に示すプローブ先端の電界のモードパターンを選ぶことにより誘電体の異方性の測定も可能になる。測定物を破壊しないこと、またプローブの開口部の形状がシンプルであるので、数値解析の精度良く解析できること、プローブの小さな開口部を測定物に簡単に当てることができるので、プローブの測定姿勢による測定誤差が少ないことなどが利点である。また複素誘電率の明確になった試料を基準として、較正することが簡単にできる。よって測定装置の校正が簡単にできるので測定物の複素誘電率の測定精度が高くなる利点がある。
本発明は、誘電体材料の誘電率の測定を非破壊で広範囲に行うことができるので、誘電体材料の製品の検査等に広く利用できる。さらに、測定計器の製造の分野にも広く利用できる。
本発明による探針が1本の球形共振器の構造を示す略図的な断面図である。 本発明による探針が2本の球形共振器型の構造を示す略図的な断面図である。 本発明による円筒状共振器でTM010 モードで動作するものの構造を示す概略斜視図である。 本発明による円筒状共振器でTE011 モードで動作するものの構造を示す概略斜視図である。 本発明による探針が1本の共振器における座標を示す説明図である。 前記図4Aに示す座標を極座標で表すときの座標パラメータの相互関係を示す説明図である。 本発明による球形共振器による複素誘電体測定回路構成を示す1実施例を示す回路図である。 複素誘電体の測定に関して、測定装置の較正、精度の向上に役立つ複素誘電体測定用開発装置の1実例を示す図である。 本発明による球形共振器型を用いて測定されたデータに基づき算出した無負荷時と負荷時(試料測定時)におけるf偏移に対する複素誘電率の実数部の関係を示す図である。 本発明による球形共振器型を用いて測定されたデータに基づき算出した無負荷時と負荷時(試料測定時)におけるQ偏移に対する複素誘電率の虚数部の関係を示す図である。 本発明による空洞共振器における無負荷時の空洞共振器の等価回路を示す図である。 本発明による空洞共振器における負荷時の空洞共振器の等価回路を示す図である。 発振周波数に対する反射電力の特性を示す図である。 3dB結合器の入力部における発振周波数に対する反射波と進行波の位相差の特性を示す図である。
符号の説明
100 球形共振器
101 試料
102 探針
103 探針取り付け部
104 キャビティ外形
105 SMAコネクタ
106 入力側ループアンテナ
107 SMAコネクタ
108 出力側ループアンテナ
109 マイクロ波磁界
110 マイクロ波電界
202A 探針
202B 探針
205 SMAコネクタ
206 入力側ループアンテナ
207 SMAコネクタ
208 出力側ループアンテナ
209 マイクロ波磁界
210 マイクロ波電界
300 円筒状共振器
301 マイクロ波電界
302 マイクロ波磁界
303 取付部
320 探針
400 球形共振器
401 試料
402 探針
403 探針取り付け部
404 キャビティ外形
405 SMAコネクタ
406 入力側ループアンテナ
407 SMAコネクタ
408 出力側ループアンテナ
501 試料
502 球形共振器
503 方向性結合器
504 位相器
505 3dB結合器
506 検出器
507 差動増幅器
508 サーキュレータ
509 VCO
510 SMAコネクタ
511 SMAコネクタ
512 CRT
513 圧電駆動装置
514 試料上下駆動部
515 上下駆動部連結ギア
516 中間ギア
517 パルスモータ軸ギア
518 パルスモータ
519 試料支持台
601 掃引発振器
602 可変減衰器
603 同調制御装置
604 YIG同調形フィルタ
605 ミキサ
606 YIG発振器
607 ローパスフィルタ
608 IFアンプ
609 検出器
610 ビディオアンプ
611 表示装置
612 INPUT
613 OUTPUT

Claims (6)

  1. 空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と、
    探針と、
    前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
    前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
    前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
    前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
    前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の下記の既知の関数であることから
    数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
    からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
    前記空洞は球であり、TM 011 (θ,r,φ)モードで共振している空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。

    ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
    Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
  2. 空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と
    針と、
    前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
    前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
    前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
    前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
    前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の下記の既知の関数であることから
    数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
    からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
    前記空洞は円筒であり、TM 010 (θ,r,z)またはTE 011 (θ,r,z)モードで共振している空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。

    ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
    Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
  3. 空洞からエバネッセント波を取り出すための開口を備える空洞共振器と、
    対面配置される一対の探針と、
    前記開口に前記探針の先端が外部に突き出し基部が前記空洞内の共振電磁界に結合するように支持する探針支持手段と、
    前記空洞を前記探針の先端が試料の表面に前記共振器の動作が摂動理論を満足する負荷状態を維持するように予め定めた一定の距離を保つ位置および無負荷状態を維持する前記試料の表面から離れた位置に支持可能な空洞支持手段と、
    前記探針を支持した空洞に疎に結合して励起し、変化を取り出すマイクロ波アンテナと、
    前記探針に試料を負荷した負荷位置のQ特性のデータと試料を負荷しない無負荷位置のQ特性のデータの偏差ΔQと周波数シフトΔfをフェイズロックにより自動的に測定する手段と、
    前記偏差ΔQと周波数シフトΔfが試料の複素誘電率(ε=ε’+jε”)の下記の既知の関数であることから
    数値計算で解いた前記試料の複素誘電率を算出する計算手段と、
    からなる空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置であって、
    前記空洞は球であり、TE 011 (θ,r,φ)モードで共振している空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。

    ΔQ(Qのシフト)=g(ε’,ε”)
    Δf(周波数シフト)=f(ε’,ε”)
  4. 請求項1,2または3記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置において、
    前記空洞支持手段は、試料の表面から一定の高さ方向(z)の距離を保って前記試料表面(x,y)に平行方向に移動可能であり、前記一定の高さ方向(z)の距離は、自動制御により維持されていることを特徴とする空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。
  5. 請求項1,2または3記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置において、
    前記空洞支持手段は、試料の表面から一定の高さ方向(z)の距離を保って前記試料表面(x,y)に平行方向に移動可能であり、前記一定の高さ方向(z)の距離は、自動制御により維持され、
    試料の支持台と前記空洞支持手段はz軸まわりに相対回転可能であることを特徴とする空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。
  6. 請求項1または3記載の空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置において、
    前記Qは10,000を越えることを特徴とする空洞共振器を用いて複素誘電率を測定する装置。
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