JP5394231B2 - 高い溶融流動性を有するプロピレンの単独重合体またはランダム共重合体の製造でのチーグラー‐ナッタ触媒の使用 - Google Patents

高い溶融流動性を有するプロピレンの単独重合体またはランダム共重合体の製造でのチーグラー‐ナッタ触媒の使用 Download PDF

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Description

本発明は、薄厚の射出成形品の用途に適した、臭いが少なく、揮発成分の含有量が少なく、高い溶融流動性を有するプロピレンの単独重合体またはランダム共重合体の製造方法に関するものである。
ポリオレフィンは各種成形品および押出し成形品に使われる周知の商用ポリマーである。特に、ポリプロピレンは薄厚の射出成形の用途の分野で広く使われ、流動性の高い(すなわちメルトフローインデックスが40dg/分を越える)ポリプロピレンを用いるのが有利である。そうしたポリプロピレンを用いると、非常に薄い壁の物品を、大きな流れ長/厚さ比(flow length/thickness ratio)かつ複雑な幾何形状で製造することができ、さらに、射出温度および射出圧力を下げることができ、従って、生産速度が上がり、エネルギーおよびコストが節約できる。
ポリプロピレンは、チーグラー‐ナッタ触媒、すなわち遷移配位触媒、特にチタン・ハロゲン化物を含む触媒か、シングルサイト触媒の存在下でプロピレンおよび任意成分としての一種以上のコモノマーの重合によって作られる。この種触媒は内部電子供与体も含み、フタレートが広く使われている。しかし、内部ドナーとしてのフタラートと組合せたチーグラー‐ナッタ触媒は、水素レスポンスが低いため、少なくとも生産性を大きく犠牲にしない限り、溶融流動性の高い(すなわち40〜150dg/分の)ポリプロピレンを直接製造することはできない。溶融流動性が高いポリプロピレンを作る別の方法はビスブレーキング(visbreaking)である。このビスブレーキングは一般に有機過酸化物を混合し、ポリプロピレンと一緒に加熱して行なうが、ポリマー鎖が破断されるという結果になる。
下記文献には下記(a)〜(c)からなるビスブレーキングされたオレフィンポリマーの製造方法が記載されている:
(a) (I)約0.5〜約90.0重量%の反応性、過酸化物含有オレフィン・ポリマー材料(A)と(II)約10.0〜約99.5%のプロピレンポリマー材料およびブテン-1ポリマー材料の中から選択されるオレフィンポリマー材料(B)とから成るオレフィンポリマー混合物(成分I+Ilの合計は100重量%)を作り、
(b) このオレフィンポリマー混合物を融解状態で押出し成形するかコンパウンディングして溶融混合物とし、
(c) その後、冷却し、必要に応じて溶融混合物をペレットにする。
国際特許第WO 2004-113438号公報
下記文献にも同様な方法が記載されている。この特許のポリプロピレン樹脂組成物は(A) 99.8〜80重量部のメルトフローインデックスが0.1〜50dg/分のポリプロピレン樹脂と、(B)0.2〜20重量部の固有粘度が0.5〜4.0dl/gのオレフィン共重合体ゴムおよび/または密度が0.895〜0.945g/ccでかつメルトフローインデックスが0.05〜15dg/分のポリエチレンとから成り、イオン化線の照射処理、および/または、100 重量部の(A)+(B)のポリプロピレン樹脂組成物に対して0.05〜5重量部の有機過酸化物を加えた後に溶融する処理がされる。
国際特許第WO 02/096986号公報
しかし、有機過酸化物によるビスブレーキングには多くの欠点がある。すなわち、有機過酸化物は取扱いが難しい不安定な化学物質である。さらに、全ての有機過酸化物は化学反応で劣化して望ましくない副生成物を放出する。また、副生成物の放出によって爆発の可能性のある雰囲気になることもある。特に、例えばサイロ中でポリマーの過酸化物が劣化し、副生成物の放出された場合には危険である。また、副生成物には毒性がある。最も一般的な劣化副産物の例はt−ブチルアルコールである。こうした毒性副生成物のために多くの用途、例えば食品包装またはレトルト包装で最終ポリマー製品の使用が制限される。
本発明者は、生産速度を低下させずに、過酸化物やその他の溶融流動増加剤による劣化のない、溶融流動性が高いポリプロピレンを重合反応中に直接製造することができる方法を見出した。
本発明は、プロピレンと一種または複数のコモノマーとを下記(1)〜(4)の存在下で重合させる階段から成ることを特徴とする、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを、溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、重合反応装置中で直接製造する方法にある:
(1)少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体としてのジエーテル化合物とから成り、これら両方が活性型でハロゲン化マグネシウム上に支持されているチーグラー‐ナッタ触媒、
(2)アルミニウム濃度が重合媒体中で添加したモノマーに対して重量で1〜75ppmとなる有機アルミニウム化合物、
(3)外部電子供与体、および
(4)水素、
(ここで、外部電子供与体に対する有機アルミニウム化合物のモル比は1〜20)
本発明はさらに、下記(a)〜(c)の階段を有する物品の製造方法にある:
(a) 下記(1)〜(4):
(1)少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体としてのジエーテル化合物とから成り、これら両方が活性型でハロゲン化マグネシウム上に支持されているチーグラー‐ナッタ触媒、
(2)アルミニウム濃度が重合媒体中で添加したモノマーに対して重量で1〜75ppmとなる有機アルミニウム化合物、
(3)外部電子供与体、および
(4)水素、
(ここで、外部電子供与体に対する有機アルミニウム化合物のモル比は1〜20)
の存在下で、プロピレンと一種または複数のコモノマーとを重合させて、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを、溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、重合反応装置中で直接製造し、
(b) 溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを重合反応装置から直接回収し、
(c)ポリマーを成形して物品を作る。
本発明はさらに、上記方法によって製造されたプロピレンポリマーと、このプロピレンポリマーを成形して得られる物品とに関するものである。
本発明の溶融流動性の高いポリプロピレンは、過酸化物を用いたビスブレーキングによって得られる溶融流動性の高いポリプロピレンと比較して以下の利点を有する:
(1)過酸化物が存在しないので臭いなく、生産加工中での分解、劣化生成物が少ない、
(2)アセトンやtert- ブタノールのように望ましくない潜在的に危険な副生成物が存在しない。
(3)揮発性の低分子量ポリプロピレン成分の含有量が低く、食品包装用途でのマイグレーション(移行)が減る。
(4)分子量分布が広いので、例えば加工性、特に射出成形が良くなった、機械特性、例えば耐クリープ性が良くなる。
プロピレンと任意成分の一種または複数のコモノマーとの重合はチーグラー‐ナッタ触媒、有機アルミニウム化合物および任意成分の外部ドナーの存在下で実行される。
チーグラー‐ナッタ触媒は少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部ドナーとから成り、これら両者は活性型でハロゲン化マグネシウム上に支持されている。本発明ではチーグラー‐ナッタ触媒の内部ドナーはジエーテルであるか、ジエーテルと別の内部ドナーとから成る(ただし、この内部ドナーの混合物から成るチーグラー‐ナッタ触媒が内部ドナーとしてジエーテルだけを有するチーグラー‐ナッタ触媒と同じ重合挙動をする限り)ことが重要である。内部ドナーの混合物は例えばジエーテルとフタレートとから成ることができる。
内部ドナーとしてジエーテルを有するチーグラー‐ナッタ触媒は周知で、例えばアルコールと無水ハロゲン化マグネシウムとを反応させ、チタンハロゲン化物でチタン化(チタネーション化)し、内部ドナーとしてのジエーテル化合物と反応させることで得ることができる。この触媒は約2.5〜7.5の重量%のチタンと、約10〜20重量%のマグネシウムと、約5〜30重量%の内部ドナーと、余りを形成する塩素および溶剤とから成る。
特に適した内部ドナーは下記式:
12C(CH2OR3)(CH2OR4
(ここで、
1とR2はC1−C18アルキル、C3−C18シクロアルキルまたはC7−C18アリール基で、互いに同一でも異なっていてもよく、R3とR4はC1−C4アルキル基で、互いに同一でも異なっていてもよい)
の1,3-ジエーテルか、位置2の炭素原子が、2つまたは3つの不飽和基を有する5、6または7つの炭素原子から成る環構造または多環構造に属する1,3-ジエーテルである。
このタイプのエーテルは下記文献に開示されている。
欧州特許第EP361493号公報 欧州特許第EP728769号公報
上記ジエーテルの代表例は2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3- ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロ−ペンチル-1,3- ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソアミル-1,3- ジメトキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンである。
内部ドナーとしてジエーテルを有するチーグラー‐ナッタ触媒は例えばバセル(Basell)からアバンツ(Avant)ZNの商用名で市販されている。
有機アルミニウム化合物はAl-トリアルキルのファミリのAl-アルキル、例えば、Al-トリエチル、Al-トリイソブチル、Al-トリn-ブチルや、OまたはN原子またはSO4またはSO3基を介して互いに結合した1つまたは2つのAl原子を含む直鎖または環状Al-アルキル化合物が有利である。Al-トリエチルが好ましい。
適した外部ドナーにはある種のシラン誘導体、エーテル、エステル、アミン、ケトンおよび複素環化合物が含まれる。上記の1,3-ジエーテルまたはシランを使用するのが好ましい。最も好しくは下記一般式のシラン誘導体を使用することである:
a pb qSi(ORc(4-p-q)
(ここで、Ra、RbおよびRcは炭化水素基、特にアルキルまたはシクロアルキル基を表し、pとqは0〜3の数、p+qの和は3以下であり、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して選択され、互いに同一でも異なっていてもよい)
シラン誘導体の具体施例は(tert-ブチル)2Si(OCH32、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH32(「Cドナー」という)、(フェニル)2Si(OCH32および(シクロペンチル)2Si(OCH32(「Dドナー」という)である。
この種の触媒を使用してポリプロピレンを製造する方法は公知である。例えば下記文献に記載のBasellの特許では、内部ドナーとしてジエーテルを有するチーグラー‐ナッタ触媒を使用してマトリックスがプロピレンとエチレンのランダムコポリマーであるヘテロ相のランダム共重合体が作られる。
欧州特許第EP 1 206 499号公報(= WO01/92406)
この文献に記載の実施例ではマトリックスのエチレンは2.5〜2.8重量%、メルトフローインデックスは1.7〜2.2 dg/分である。しかし、溶融流動性が高いポリプロピレンをどのようにして作るかは記載がない。
驚くことに、内部ドナーとしてのジエーテルを有するチーグラー‐ナッタ触媒を使うことで、条件を最適化すれば、生産速度を下げずに、高い溶融流動性を有するポリプロピレンが重合できるということが発見された。
プロピレンと一種または複数の任意成分のコモノマーとの重合は公知の方法に従って実行できる。重合は反応媒体として例えば液体プロピレンを用いて実行できる。また、不活性希釈剤、例えば炭化水素(スラリー重合の場合)中または気相で実行することもできる。
本発明は液体プロピレン中で20℃から100℃までの範囲の温度で重合を実行するのが好ましい。温度は60〜80℃の範囲が好ましい。圧力は大気またはそれより高くすることができ、25〜50バールの間が好ましい。ポリプロピレンの溶融流動の結果、ポリマー鎖の分子量は水素を加えることで制御できる。
ランダム共重合体、すなわちプロピレンと少なくとも一種のコモノマーとの共重合体の製造では可溶性成分(キシレン可溶性成分の百分比で測定)を制御するために外部ドナーの使用が必須であり、外部電子供与体の濃度を増加するとキシレン可溶性成分が低下する。コモノマーとしてのエチレンを添加すると可溶性成分の量が劇的に増加する。より溶け易い平均分子量が低いポリマー鎖に起因する高い溶融流動性を目標にした場合には、外部ドナーを使用するのがより重要になる。さらに、大抵の最終用途では可溶性成分の含有量があまり高いことは有害になり、例えば食品と接触する用途または医薬の用途の規制に合わないポリマーとなる。可溶性成分の量を制御しない場合、ポリプロピレン粉末が重合反応装置や移送ラインに付着する。
しかし、ドナーの使用は触媒、特にジエーテル含有触媒の活性に対して極めて有害である。これらの欠点を無くし、キシレン可溶性成分が低レベルで、許容可能な生産性でポリマーを作るためには、重合媒体中のAl濃度を下げるのが有利である。Al濃度は添加したモノマーに対する重量で75ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは25ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは15ppm以下、最も好ましくは12ppm以下にするのが有利である。重合媒体中のAl濃度の下限は1ppm、好ましくは2ppm、さらに好ましくは4ppm、より好ましくは5ppm、さらに好ましくは6ppm、そして、最も好ましくは7ppmに制限する。
外部ドナーに対する有機アルミニウム化合物のモル比(「Al/ED」)は1〜20の間の範囲が有利である。AL/ED比の上限は好ましくは15、さらに好ましくは10、最も好ましくは8である。AL/ED比の下限は好ましくは3、より好ましくは5である。
本発明の重合の生産速度は1gのチタン当り500kg以上のプロピレンポリマーである。この生産速度は1gのチタン当り750kg以上、より好ましくは1000kg以上、さらに好ましくは1250kg以上のプロピレンポリマーである。
本発明に従って製造したポリプロピレンのMFI(ASTM D 1238の条件L)は45〜150の間にある。本発明の好ましい実施例の下限値は少なくとも50、好ましくは55、より好ましくは60、さらに好ましくは65、最も好ましくは70であり、上限値は120、好ましくは100、さらに好ましくは90であるのが有利である。MFIの範囲は上記下限値と上限値との任意の組合せにすることができる。MFIは重合媒体中の水素の関数で調節される。
本発明では、高い溶融流動性を有するプロピレンポリマーが、過酸化物やその他の溶融流動性増加剤を後で使用せずに、重合反応中に直接得られる。すなわち、プロピレンポリマーは重合反応装置中に残したままで、溶融流性動増加剤は加えない。
本発明のポリマーはプロピレンと一種以上のコモノマー、例えばプロピレンとは異なるアルファオレフィン、例えばエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンとのランダム共重合体であるのが有利である。コモノマーの含有量は2〜6重量%、好ましくは2.5〜5重量%であるのが有利である。好ましいコモノマーはエチレンである。エチレンの含有量は2〜6重量%、好ましくは2.5〜5重量%にするのが有利である。
本発明のランダム共重合体のキシレン可溶性分はランダム共重合体の全重量に対して10重量%以下、有利には5〜8重量%である。
本発明で得られるプロピレンポリマーの分子量分布は4〜7の範囲である。
本発明で得られるプロピレンポリマーではエチレン挿入は極めてランダムである。エチレンブロックの平均ブロック長は1.5エチレン単位以下、好ましくは1.3エチレン単位以下、さらに好ましくは1.2エチレン単位以下である。単一単位としてポリマー鎖中に組み込まれるエチレン分子の百分比は50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。
プロピレンポリマーのアイソタクシティー(isotacticity)は95%mmmm−ペンタード以上(NMR−分光法で測定)、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上である。
ポリプロピレンは反応媒体(液体プロピレンまたは炭化水素、例えばイソヘキサン)および未反応気体(プロピレン、水素および任意成分のαオレフィン)から分離され、粉末として回収されて、必要に応じてペレットにされる。
ポリプロピレンは添加剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、酸スカベンジャ、滑剤、帯電防止剤、核剤/清澄化剤、着色剤を含むことができる。
本発明に従って作られたポリプロピレンは核化および/または清澄化することができ、それらは優れた透明性によって特徴付けられる。適した核剤および清澄剤の概要は下記文献に記載されている。
Plastics Additives Handbook, ed. H. Zweifel, 5th edition, 2001, Hanser Publishers, pages 949-971
適した核剤および/または清澄化剤の例はジベンジリデンソルビトール化合物、ベンゾエート塩、タルク、環状リン酸エステルの金属塩、ジナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートまたはこれらの任意混合物である。
本発明方法で得られたプロピレンポリマーは射出成形、圧縮成形、射出ブロー成形および射出拡張ブロー成形から成る群の中から選択される成形方法によって物品に成形できる。好ましい成形方法は射出成形である。
本発明の物品は食品または非食品包装材料、レトルト包装、家庭用品、キャップ、栓、媒体包装材、医学デバイスおよび医薬品の包装材料から成る群の中から選択される。また、一つまたは複数のリビングヒンジを含むことができる。
溶融流動性が高いプロピレンポリマーは壁厚さに対する流れ長さが大きい物品、特には壁厚さに対する流れ長さが50以上、好ましくは100以上、さらに好ましくは200以上、より好ましくは25以上、最も好ましくは300以上である物品に適している。
本発明のプロピレンポリマーを変形して得られる物品の壁の厚さは100マイクロメートルから2mmの範囲である。厚さの下限は200マイクロメートル、好ましくは250マイクロメートルであるのが好ましく、厚さの上限は1.5mm、さらに好ましくは1.0mmであるのが好ましい。
本発明物品は透明で、1mmの厚さの射出成形テスト片で測定したヘイズ値は40%以下、好ましくは20%以下である。
曲げモジュラスはISO 178:2001に従って測定した。Izod衝撃強度はISO 180:2000に従って測定した。溶融流動性(MFI)はASTM D 1238規格、条件Lで測定した。ヘイズ(Haze)は1mm厚さの射出成形テスト片で測定した。各測定は標準的な方法で行なった。
重合とポリマー特性
重合は液体プロピレン中でパイロットプラントと、ループ反応装置(実施例1と3)と、商用スケールのループ反応装置(実施例2と4)で実施した。重合条件およびポリマー特性は[表1]に記載した。全ての実施例は重合触媒としてバセル(Basell)から購入した内部ドナーとしてジエーテルを有するチーグラー‐ナッタ触媒のAvant ZN 126Mを用いて実施した。[表1]の温度は重合媒体の温度である。外部のドナーCは(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH32を表す。適当な濃度の水素を使用して溶融流動性を制御した。
キシレン可溶性成分(XS)は下記のようにして求めた:4.5〜5.5gのポリプロピレンを秤量し、フラスコに入れ、300mlのキシレンを加えた。キシレンを撹拌下に45分間の還流加熱した。加熱せずに撹拌を正確に15分間続けた。次に、フラスコを25℃+/-1℃の恒温装置溶液中に1時間放置した。溶液をワットマン第4番紙で濾過し、100mlの溶剤は回収した。次に、溶剤を蒸発させ、残渣を乾燥し、秤量した。キシレン可溶性成分("XS")の百分比は下記の式で計算した:
XS(重量%)=(残渣重量/PPの全重量)×300
Figure 0005394231
この結果は、外部ドナーを用いることで高い触媒活性が得られ、可溶性成分が少ないということを明確に示している。
揮発性成分
ポリマーの揮発性成分含有量は以下のようにして決定した:ポリマーサンプルを乾燥器中で150℃まで加熱した。有機揮発性成分を−30℃に維持したTenax吸収剤チューブを介して乾燥器からパージした。次いで、有機揮発物をガスクロマトグラフに注入し、吸収剤カートリッジを240℃まで再加熱した。揮発性成分の解析はガスクロマトグラフで標準状態下で実行した。
実施例4のポリプロピレンは有機揮発性成分のために分析され、実施例5の従来法のランダム共重合体(溶融流動性:40dg/分)と比較した。実施例5は有機過酸化物を用いたビスブレーキングで作られたものである。実施例6は本発明に従ってビスブレーキングなしで作ったもので、溶融流動性が40dg/分のランダム共重合体である。結果は[表2]に示してある。
Figure 0005394231
この結果は、本発明に従って作ったポリプロピレンは揮発性成分含有量が大きく減少することを示している。

Claims (17)

  1. プロピレンと一種または複数のコモノマーとを下記(1)〜(4):
    (1)少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体としてのジエーテル化合物とから成り、これら両方が活性型でハロゲン化マグネシウム上に支持されているチーグラー‐ナッタ触媒、
    (2)アルミニウム濃度が重合媒体中で添加したモノマーに対して重量で1〜75ppmとなる有機アルミニウム化合物、
    (3)外部電子供与体、および
    (4)水素、
    (ここで、外部電子供与体に対する有機アルミニウム化合物のモル比は1〜20)
    の存在下で重合させる段階から成り、
    重合媒体の温度を66℃にし
    上記ジエーテルが下記一般式:
    12C(CH2OR3)(CH2OR4
    (ここで、R1とR2はC1−C18アルキル、C3−C18シクロアルキルまたはC7−C18アリール基で、互いに同一でも異なっていてもよく、R3とR4はC1−C4アルキル基で、互いに同一でも異なっていてもよい)
    の1,3-ジエーテルであるか、2位の炭素原子が、2つまたは3つの不飽和基を含む5、6または7つの炭素原子から成る環構造または多環構造に属する1、3−ジエーテルであり、
    プロピレンポリマーはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンの中から選択されるコモノマーを2〜6重量%含む、
    ことを特徴とする、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを、溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、重合反応装置中で直接製造する方法。
  2. 重合媒体中のアルミニウム濃度が添加したモノマーに対して重量で2〜50ppmである請求項1に記載の方法。
  3. 外部電子供与体に対する有機アルミニウム化合物のモル比が3〜8である請求項1に記載の方法。
  4. 触媒が、1グラムのチタン当りに製造されるプロピレンポリマーが850kg以上、好ましくは1250kg以上である生産性を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. プロピレンポリマーがエチレンを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. プロピレンポリマーが2〜6重量%のエチレンを含む請求項5に記載の方法。
  7. プロピレンポリマーが2.5〜5重量%のエチレンを含む請求項5または6に記載の方法。
  8. プロピレンポリマーがランダム共重合体である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 下記(a)〜(c)の段階を有する物品の製造方法:
    (a) 下記(1)〜(4):
    (1)少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体としてのジエーテル化合物とから成り、これら両方が活性型でハロゲン化マグネシウム上に支持されているチーグラー‐ナッタ触媒、
    (2)アルミニウム濃度が重合媒体中で添加したモノマーに対して重量で1〜75ppmとなる有機アルミニウム化合物、
    (3)外部電子供与体、および
    (4)水素、
    (ここで、外部電子供与体に対する有機アルミニウム化合物のモル比は1〜20)
    の存在下で、重合媒体の温度を66℃にして、プロピレンと一種または複数のコモノマーとを重合させて、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを、溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、重合反応装置中で直接製造し、
    ただし、上記ジエーテルは下記一般式:
    12C(CH2OR3)(CH2OR4
    (ここで、R1とR2はC1−C18アルキル、C3−C18シクロアルキルまたはC7−C18アリール基で、互いに同一でも異なっていてもよく、R3とR4はC1−C4アルキル基で、互いに同一でも異なっていてもよい)
    の1,3-ジエーテルであるか、2位の炭素原子が、2つまたは3つの不飽和基を含む5、6または7つの炭素原子から成る環構造または多環構造に属する1、3−ジエーテルであり、
    プロピレンポリマーはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンの中から選択されるコモノマーを2〜6重量%含む、
    (b) 溶融流動性を増加させる試薬を後で用いずに、45〜150dg/分のメルトフローインデックス(ASTM D 1238条件L)を有するプロピレンのポリマーを重合反応装置から直接回収し、
    (c)ポリマーを成形して物品を作る。
  10. 物品が100マイクロメートルから2mmの壁厚を有する請求項9に記載の方法。
  11. 物品の壁の「流れ長/厚さ比」が100以上、好ましくは250以上である請求項9または10に記載の方法。
  12. 物品が食品または非食品包装材、レトルト包装材、家庭用品、キャップ、栓、媒体包装材、医学部品および薬品の包装材から成る群の中から選択される請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 物品がリビングヒンジである請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 物品が、厚さ1mmの射出成形テスト片で測定したヘイズ値が40%以下、好ましくは20%以下の透明な物品である請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 段階(c)の成形方法が射出成形、圧縮成形、射出ブロー成形および射出ストレッチブロー成形から成る群の中から選択され、好ましくは射出成形である請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られるプロピレンポリマー。
  17. 請求項9〜15の方法によって得られる物品。
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