図1〜図9を参照して本願実施例の葉菜収穫機を説明すると、図1〜図8には、畝A上に栽培している葉菜(ホウレン草)Yを収穫する場合の使用例を示し、図9には、平地栽培している葉菜(ホウレン草)Yを収穫する場合の使用例を示している。
尚、図2に示すように、以下の説明で、前後とはこの葉菜収穫機の進行方向の前後のことであり、左右とは進行方向の前側から見ての左右のことである。又、以下に例示する各寸法は、本願の葉菜収穫機を理解し易くするためのものであって、それぞれ特に限定するものではなく、要件を満たす範囲で自由に設計変更できるものである。
図1〜図6に示す葉菜収穫機は、走行装置1と、該走行装置1上に設置された機体フレーム2と、畝Aに栽培している葉菜(ホウレン草)Yの各葉部Yaを茎部Ybで切断する刈取装置3と、切断した各葉部Yaを後送する搬送装置4と、切断した各葉部Yaを搬送装置のコンベアベルト前端部41a上に載せ上げる載せ上げ装置5と、後述するように畝Aの左右各側面Ab,Abに垂れ下がっている各垂れ葉Ycを畝A上に掻き寄せる左右一対の掻き寄せ装置6,6とを基本構成にしている。
走行装置1は、この葉菜収穫機を自走させるものであり、この実施例では、走行部に左右一対のクローラ11,11を採用している。この左右のクローラ11,11間の間隔は、図2及び図3に示すように、圃場の畝Aを跨いで両側の畝溝B,Bを走行し得るように設定している。尚、ホウレン草栽培用の畝幅Wは、一般的に90〜110cm程度のものが多く、この実施例では畝幅Wを100cmとしたもので説明する。その場合(畝幅Wを100cmとした場合)には、左右のクローラ11,11の内幅間隔を畝幅Wより例えば30cm程度広い130cm程度に設定するのが適当である。尚、他の実施例では、走行装置1の走行部としてクローラに代えて前後・左右の車輪(4輪)を使用することができる。
機体フレーム2は、左右一対の支柱21,21と、該支柱21,21に対して上下に傾動自在に枢支された左右一対の側板22,22とを有している。
左右の各支柱21,21は、畝幅Wよりやや広い間隔をもって配置されている。各支柱21,21の下端部は、それぞれクローラ11,11の駆動輪11a,11aの各軸12,12で支持されている。尚、この実施例では、各支柱21,21は、図1に示すようにやや前傾姿勢で設置している。
この葉菜収穫機には、各種駆動源(モータ)の電源となるバッテリー10が搭載されている。又、この葉菜収穫機の後部には、収集容器18を載置するための置き台17が設けられている。さらに、この葉菜収穫機の右側後部には、操舵用のハンドル9が取付けられている。尚、バッテリー10、置き台17、及びハンドル9は、それぞれ支柱21に取付けられている。
右側の支柱21の上部には、走行装置1の動力源となるモータ13が設置されている。このモータ13からの動力は、各プーリ(又はスプロケット)や各ベルト(又はチエン)等からなる動力伝達部材14を介して各クローラ11,11の駆動輪11a,11aを駆動するようになっている。この走行装置1による収穫作業時の走行スピードは、低速から例えば60m/分程度までの範囲で自由に調整できる(中でも20m/分〜40m/分程度の走行スピードが安定状態で運転できる)。尚、他の実施例では、走行装置1の駆動源てしてエンジンを使用することもできる。
各クローラ11,11のそれぞれ外側には、動力伝達部材14の一部をカバーするカバー体15,15が各支柱21,21と平行姿勢で設けられている。この各カバー体15,15は、両支柱21,21の補強部材としての機能も有している。
機体フレーム2の左右各側板22,22は、比較的細幅で前後にかなりの長さ(例えば全長が120〜130cm程度)を有している。この両側板22,22には、それぞれ後述する刈取装置3と搬送装置4と載せ上げ装置5と掻き寄せ装置6,6と高さ調節装置7とが取付けられていて、それらの各装置(3,4,5,6,7)と両側板22,22とで収穫ユニットUを構成している。
この収穫ユニットUの詳細構成は後述するが、この収穫ユニットUは、その全体の重心位置から後側に離れた位置の左右側板22,22部分を左右の支柱21,21の中間高さ位置において一本の軸24で枢支している。従って、この収穫ユニットUは、軸24を中心にして上下に揺動自在となっており、且つ自然状態では収穫ユニットUの自重により軸24を中心にして収穫ユニットUの前側が下方に傾動するようになっている。尚、以下の説明では、収穫ユニットUを上下揺動自在に枢支している軸24を上下揺動軸ということがある。
収穫ユニットUの各側板22,22は、畝幅Wの間隔(100cm)よりやや広い間隔(内面間隔が例えば115cm程度)を有している。この両側板22,22間には、搬送装置4のコンベアベルト41が側板22の全長に亘って設置されている。このコンベアベルト41は、両側板22,22間の間隔より僅かに狭い程度の広幅(例えば110cm幅)のものが採用されている。そして、このコンベアベルト41は、左側の側板22に取付けたモータ42で上面側が後方(図4の矢印方向)に走行するように駆動される。コンベアベルト41の搬送スピードは、走行装置1による走行スピードよりやや速く(例えば5〜10%程度高速に)設定されている。
刈取装置3は、刈刃31をモータ32で駆動すようにしたものである。刈刃31は、図2に示すように、それぞれ突起状刃先を左右に多数配置した上刃と下刃とを有するものが使用されている。この刈刃31は、畝幅W(100cm)よりやや長い左右長さ(例えば110cm)のものが採用されている。
この刈刃31は、左右側板22,22の前端部下面に左右向き姿勢で且つ刃先がコンベアベルト41の前端部41aより僅かに(例えば2〜3cm程度)突出するように取付けられている。そして、この刈刃31は、モータ32によって上刃と下刃を相互に左右逆方向に高速振動(例えば1000〜2000回/分)させることで葉菜Yの茎部Ybを剪断し得るようになっている。
載せ上げ装置5には、ブラシロール51が採用されている。このブラシロール51は、外径が40〜50cm程度でコンベアベルト41の幅とほぼ同等の長さ(約110cm)を有している。このブラシロール51に使用されるブラシは、比較的柔軟なもの(葉菜の葉部Yaを傷つけないもの)を使用している。尚、以下の説明では、載せ上げ装置5のブラシロール51を大径ブラシロールという。
そして、この大径ブラシロール51は、左右の支持アーム52,52により、ブラシロールの最下面がコンベアベルト41の前端部41aの上面に近接するように設置されている。即ち、各支持アーム52,52の基端部は各側板22,22に1本の軸53で枢支されているとともに、各支持アーム52,52の先端部間に大径ブラシロール51を回転自在に支持している。又、各支持アーム52,52には、図1に示すように高さ調節機構(長穴)付きの支えフレーム54で各側板22,22に支持されていて、各支えフレーム54の固定高さを調節することにより、大径ブラシロール51の最下面とコンベアベルト前端部41aの上面との間隔を調節し得るようになっている。
大径ブラシロール51は、モータ55により動力伝達部材(プーリ及びベルト)56を介してブラシロール下面側が後方(図4の矢印方向)に移動するように回転せしめられる。大径ブラシロール51の駆動スピードは、その周速度がコンベアベルト41の搬送スピードよりやや速い程度に設定される。尚、この大径ブラシロール駆動用のモータ55は、コンベアベルト用のモータ42で共用することができる。
この収穫ユニットUには、刈刃31を圃場面(図1〜図4の場合は畝Aの上面Aa)から僅かに(例えば1〜2cm程度)離間させた状態で使用するための高さ調節装置7が用いられている。
この実施例で使用されている高さ調節装置7は、左右に所定長さ(例えば60〜90cm程度)を有する接地ローラ71と、該接地ローラ71を両側板22,22の前部寄り下面において高さ調節するための操作装置75とを有している。
接地ローラ71は、この実施例では1本ものの長尺ローラを使用しているが、他の実施例では左右に間隔をもった2つの短小ローラを共通軸で連結したものを採用してもよい。尚、この接地ローラ71は、特許請求範囲中の接地部材となるものである。
接地ローラ71は、左右両側板22,22間の前部寄り下面において、左右水平向きに設置されている。尚、このように接地ローラ71を左右両側板22,22間の前部寄り下面に設置すると、前記刈刃31が左右両側板22,22の前端部下面に設置されていることから、接地ローラ71と刈刃31との前後位置関係は、図1及び図2に示すように該接地ローラ71が刈刃31の後側近傍に位置することになる。この接地ローラ71の両端部は、比較的小長さの左右各アーム72,72の先端部(下端部)に枢支しており、該各アーム72,72の基端部(上端部)を左右両側板22,22間の前部寄り下面に架設した横架材73(図2)に軸74で枢支して、該接地ローラ71が両アーム72,72とともに前後(及び上下)に揺動し得るように取付けられている。そして、図1に示すように、左右のアーム72が大きく前方傾動した状態(畝対応)では、接地ローラ71の下面高さがクローラ11の下面高さからかなり上方に離間し、他方、図9に示すように左右のアーム72がほぼ鉛直方向に向く姿勢まで後方揺動した状態(平地対応)では、接地ローラ71の下面高さがクローラ11の下面高さと同等になるように設定している。尚、この接地ローラ71は、図1又は図9の状態においてそれぞれ圃場面に接地して収穫ユニットUを支持するが、そのときクローラ11下面から接地ローラ71下面までの高差によって収穫ユニットUの傾斜角度が変わる。
操作装置75は、アーム72を前後に揺動させ得るとともに該アーム72の姿勢を維持させるためのもので、中間部にネジ筒による伸縮部77を有した長尺の連結材76を使用している。この連結材76は、右側の側板22の後方寄り下面においてハンドル78を回転させることで伸縮部77を伸縮させることができるようになっており、該伸縮部77を伸縮させることによりアーム72を前後に揺動させ得るようになっている。即ち、伸縮部77を伸長させると、図1に示すようにアーム72が前方傾動して接地ローラ71が上動する一方、該伸縮部77を縮小させると、図7に示すようにアーム72がほぼ鉛直姿勢まで後方に揺動して接地ローラ71が下動するようになっている。尚、操作装置75は、接地ローラ71の高さを上下に調節し得るもの(昇降装置となるもの)であれば適宜の構成のものを採用できる。
ところで、収穫すべき葉菜(例えばホウレン草)Yを畝A上に栽培する場合は、図1〜図3に示すように前後左右に所定間隔(例えば15〜20cm程度の間隔)をもって複数列状に植え付けられる。又、畝Aの左右各端部寄りに植えられる葉菜Y,Yは、畝側縁にかなり近い位置にある(例えば畝側縁から10cm内外の位置)。他方、ホウレン草が収穫可能状態まで生育すると、その茎部Ybから葉部Yaの先端までの長さがかなり長くなり(例えば20〜25cm前後まで長くなる)、畝端部寄りに植えられている葉菜(ホウレン草)Yの一部の葉部Ycが畝側縁を超えて畝の側面Ab,Abに垂れ下がることがある。尚、以下の説明では、葉菜植え付け状態で畝側面Abに垂れ下がった葉部を垂れ葉Ycという。
この実施例の葉菜収穫機に使用されている左右の掻き寄せ装置6,6は、上記のように畝の左右各側面Ab,Abに垂れ下がっている垂れ葉Yc,Ycを刈刃31による茎部切断の前にそれぞれ畝上面Aa側に掻き寄せるためのものである。
この実施例では、各掻き寄せ装置6,6として、直径が20〜30cm程度で長さが10cm程度のブラシロール61を使用している。このブラシロール61に使用されるブラシも、柔軟なもの(葉菜Yの葉部Yaを掻き寄せるときに該葉部Yaを傷つけないもの)がよい。尚、以下の説明では、この掻き寄せ装置6に使用されるブラシロール61を小径ブラシロールという。
この各掻き寄せ装置6,6は、図1〜図6に示すように、それぞれの小径ブラシロール61,61を、刈刃31より僅かに(例えば3〜5cm程度)前方位置で且つ機体フレーム2の左右各側板22,22の前端部付近において該小径ブラシロール61の回転軸が前後に向く姿勢で設置している。又、この各小径ブラシロール61,61は、走行装置1の左右走行部(クローラ11,11)を畝Aの両側の各溝B,Bに接地させた状態で、畝の左右各側面Ab,Abの上部寄り位置において該畝側面Ab,Abに近接する状態(例えば1〜2cm程度離間させた状態)で配置されている。
この各小径ブラシロール61,61の駆動源としては、この実施例では、コンベアベルト41の前端部41aにあるロールの回転軸43を利用している。即ち、図2及び図6に示すように、コンベアベルト前端部41aの回転軸43の左右両端部にそれぞれ傘歯車63,63を介して各小径ブラシロール61,61の回転軸62,62を前方に向けた姿勢で配置し、コンベアベルト前端部41aの回転軸43が回転することによって、左右の各ブラシロール61,61がそれぞれ図3の矢印方向(ブラシロール下面側がそれぞれ畝中央側に移動する方向)に回転するようにしている。
左右の傘歯車63,63部分は、それぞれギヤケース64,64で被覆されている。この各ギヤケース64,64は、小径ブラシロール61の回転軸62とともにコンベアベルト前端部41aの回転軸43を中心にして所定角度範囲で回転できるようになっている。即ち、各ギヤケース64,64の基端部には取付板65が固定されており、該取付板65を機体フレーム2の各側板22,22の前端部外面に対してコンベアベルト前端部41aの回転軸43を中心にして鉛直面内で回転できるように設置しているとともに、取付板65に設けた円弧状の長穴66(図示例では内外2箇所ある)の範囲で該取付板65を回転できるようにしている。尚、円弧状の各長穴66にはボルト67が挿入されていて、該ボルト67で取付板65を任意の回転角度で側板22に固定できるようになっている。
そして、この実施例では、各側の取付板65の固定姿勢を変更することにより、左右の各小径ブラシロール61を図5に実線図示する低位置と鎖線図示(符号61′)する高位置との間で変位させ得るようになっている。尚、図1〜図4に示す畝栽培の収穫時には、小径ブラシロール61の下端が畝上面Aaよりやや低くなる低位置姿勢に位置決めし、図9に示す平地栽培の収穫時には、小径ブラシロール61の下端が平地圃場面よりやや高位置姿勢となるように位置決めする。
ところで、圃場の畝幅Wは、栽培者によって90〜110cm程度の範囲で異なることがあり、この実施例では各小径ブラシロール61,61の回転軸62が左右方向の定位置に設置されている関係で、畝幅Wが異なると該各小径ブラシロール61,61の外周面が左右の各畝側面Ab,Abに対して適正近接位置に配置できないことがある。そこで、この実施例では、各小径ブラシロール61,61として直径の異なる数種類のもの(例えば直径が20〜30cm程度の範囲で2〜3cm刻みの複数種類)を用意しておき、畝幅Wに応じて各小径ブラシロール61,61の外周面がそれぞれ各畝側面Ab,Abの適正位置に近接するような大きさのものを使用するとよい。尚、畝側面Abに対する小径ブラシロール外周面の近接距離は、1〜2cm程度が適当である。
他の実施例では、各小径ブラシロール61,61の駆動源としてそれぞれ専用のモータを使用することができる。又、各小径ブラシロール61,61を左右に位置調節し得るようにすると、畝幅Wが異なっても単一直径の小径ブラシロールのみで対応することができる。
この実施例の葉菜収穫機は、収穫時において上記高さ調節装置7の接地ローラ71が畝幅方向に向いた状態で畝Aの上面Aaに接地した状態で転動するが、図7に示すように畝上面Aaが畝幅方向に傾斜していたり(図7の例では畝上面Aaが右下がりしている)、図8に示すように左右のクローラ11,11が走行する溝B,Bに凹凸があったり(図8の例では右側の畝溝Bに隆起部Baがある)すると、刈刃31が畝上面Aaに対して畝幅方向に角度をもった状態で左右の各葉菜Y,Y・・を刈り取るようになる。その場合には、左右の各葉菜Y,Y・・の刈り取り高さが異なってしまう。因に、畝上面Aaの畝幅方向と刈刃31の長さ方向とが例えば角度2°程度傾斜していると、畝Aの左右各側縁部において刈刃31による葉菜切断高さが3〜4cm程度差が生じ、左右に位置する各葉菜Yによって切断される葉部Yaの長さが異なってしまう。
そこで、この実施例の葉菜収穫機では、畝上面Aaの畝幅方向の傾斜状態あるいは走行装置1(各クローラ11,11)の傾き状態に応じて、刈刃31を自動で畝上面Aaと平行に追従させるための刈刃追従装置8を備えている。
この刈刃追従装置8は、上記高さ調節装置7の接地ローラ71と、収穫ユニットU全体を左右に揺動自在に支持する揺動支持手段とで構成されている。尚、接地ローラ71は、左右の側板22,22に対して上下(及び前後)に揺動し得るものの刈刃31と常時平行姿勢に維持されている。
上記揺動支持手段は、図1〜図3に示すように、左右各側板22,22を上下揺動自在に枢支している上記の上下揺動軸24(両支柱21,21間に架設されている)に取付けたブラケット81と、左右各側板22,22間に架設した横架材82に固定したブラケット83とを、前後向きの1本の軸84で枢支して構成している。従って、収穫ユニットUは、上下揺動軸24に対して前後向きの軸84を中心にして左右に揺動し得るようになっている。尚、以下の説明では、この前後向きの軸84を左右揺動軸という。
尚、上下揺動軸24は、上記したように収穫ユニットUを上下揺動自在に支持するものであるが、この上下揺動軸24を左右の各支柱21,21に対して回転自在に取付けた場合には、上下揺動軸24側のブラケット81を該上下揺動軸24に固定し、上下揺動軸24を左右の各支柱21,21に回転不能に取付けた場合には、上下揺動軸24側のブラケット81を該上下揺動軸24に対して揺動可能としておく。
上記刈刃追従装置8は次のように機能する。尚、収穫時には左右のクローラ11,11が畝Aを跨いだ状態で葉菜収穫機を前進走行させるが、その際、接地ローラ71による収穫ユニット前端部の支持高さを、刈刃31が畝上面Aaからの所定近接高さ(1〜2cmの間隔)に位置するように設定しておく。
この状態では、収穫ユニットUは、上下揺動軸24を中心にして上下揺動自在となっているとともに左右揺動軸84を中心にして左右揺動自在となっているので、走行装置1の左右傾き状態や畝上面Aaの傾斜状態に拘わらず、収穫ユニットUの自重により接地ローラ71の全長が常に畝上面Aaと平行に接地するようになる。
例えば、図7に示すように畝上面Aaが畝幅方向に傾斜(図7の例では右下がり)している場合には、収穫ユニットUが左右揺動軸84を中心に左右揺動自在となっているので、該収穫ユニットUの自重により接地ローラ71の全長が畝上面Aaに対して平行姿勢で接地するように収穫ユニットU全体を左右に揺動させ、その結果、刈刃31が傾斜状態の畝上面Aaと平行になるように追従する。
又、図8に示すように左右の畝溝B,Bに段差がある(図8の例では右側の畝溝に隆起部Baがある)場合には、走行装置1(各クローラ11,11)及び左右の各支柱21,21が傾くが、収穫ユニットUが左右揺動軸84を中心に左右揺動自在となっているので、接地ローラ71の全長が畝上面Aaに対して平行姿勢で接地したままで(収穫ユニットUが左右に傾動することなく)、走行装置1及び左右の各支柱21,21のみが傾くようになり、その結果、刈刃31が畝上面Aaに対して平行姿勢を維持するようになる。
従って、畝上面Aaが傾斜していたり(図7の場合)、あるいは左右の畝溝B,Bに段差があっても(図8の場合)、接地ローラ71の軸線が畝幅方向の畝上面Aaと常に平行状態で該接地ローラ71が接地するようになり、接地ローラ71と平行に設置されている刈刃31も畝上面Aaに対して常に平行になる。
この実施例の葉菜収穫機で畝A上に栽培している葉菜Yを収穫するには、図1〜図3に示すように走行装置1の各クローラ11,11が畝Aを跨ぎ且つ畝Aと平行に向くように配置する(各クローラ11,11が左右の畝溝B,Bに位置する)。このとき、収穫ユニットUの前部は自重で下がり、接地ローラ71が畝上面Aaに接地するが、この状態で高さ調節装置7の操作装置75(ハンドル78)を操作して刈刃31が畝上面Aaから所定間隔(1〜2cm)だけ離間するように高さ調節する。又、この状態では、左右の掻き寄せ装置6,6の各小径ブラシロール61,61の外周面が畝Aの左右各側面Ab,Abの上部寄り位置にそれぞれ近接している。
そして、刈取装置3と搬送装置4と載せ上げ装置5の各モータ(32,42,55)をそれぞれ駆動し(このとき左右の掻き寄せ装置6,6の各小径ブラシロール61,61も回転する)、走行装置1により収穫機を前進させる。すると、まず左右の掻き寄せ装置6,6の各小径ブラシロール61,61で畝の左右各側面Ab,Abに垂れ下がっている各垂れ葉Yc,Ycを畝上面Aa側に掻き寄せ(各垂れ葉Ycが畝側縁部付近において立ち起こされる)、その直後に図4に示すように刈刃31が畝Aの各葉菜Y,Y・・の茎部Ybを順次切断していく。各葉菜Yの茎部Ybが切断されると、各葉部Yaがバラバラに分離するが、このときコンベアベルト41が駆動状態で前進しており且つ載せ上げ装置5の大径ブラシロール51が掻き上げ方向に回転していることにより、分離した各葉部Ya,Ya・・が直ちにコンベアベルト前端部41aに接触するとともに大径ブラシロール51でコンベアベルト前端部41a上に掻き上げられるようになる。従って、切断された各葉部Ya,Ya・・は、その大部分(ほとんど)がコンベアベルト前端部41a上にスムーズに掻き上げられ、順次コンベアベルト41上を後送されてコンベアベルト後端部からその下方の収集容器18内に落下・収容される。
このように、この葉菜収穫機を使用すると、自動で各葉部Yaのみを収集することができ、且つ走行装置1による走行スピードで刈り取り作業が行えるので、収集効率が手作業に比して掻く段に良好となる。又、葉菜Yの葉部Yaのみを収穫するようにしたものにおいて、刈刃31で切断した直後の各葉部Yaを順次大径ブラシロール51でコンベアベルト前端部41a上に掻き上げるようにすると、各葉部Yaが切断されて不安定な状態であっても高確率で収集できる。
さらに、畝A上の葉菜Yの茎部Ybを刈刃31で切断する前に、左右の掻き寄せ装置6,6(小径ブラシロール61,61)で左右の畝側面Ab,Abから垂れ下がっている葉菜の各垂れ葉Ycを畝A上に掻き寄せることができる(垂れ葉Ycを立ち起こすことができる)ので、収穫が困難であった上記垂れ葉Ycも確実に収穫できる(歩留まりが一層良好になる)。
又、この葉菜収穫機では、畝上面Aaに畝幅方向に傾斜した部分があったり(図7の状態)、あるいは走行装置1の各クローラ11,11が走行する左右の畝溝B,Bに段差があっても(図8の場合)、刈刃追従装置8により刈刃31が畝上面Aaに対して常に平行姿勢を維持するようになるので、畝幅全体に亘って各葉菜Y,Y・・の刈り取り高さを均一にすることができる。即ち、各葉菜Y,Y・・を全て茎部Ybで切断する(茎部Ybより上の葉部Yaを切断することがない)ので、収穫できずに圃場に残る葉部Yaがほとんどなくなり、収穫量が多くなるという利点がある。尚、切断された各葉部Yaの一部(特に小さい葉)は、コンベアベルト41上に乗せられずに圃場に残ることがあるが、その収集できない残量は極めて少量となる。
図9には、上記の葉菜収穫機で平地栽培された葉菜Yを収穫する場合を示している。この図9の場合は、クローラ11の下面が葉菜Yの植え付け面(圃場面A)と同高さになるので、高さ調節装置7を調整して、刈刃31を植え付け面に近接する位置(葉菜の茎部Ybを切断する位置)まで降下させるとともに、左右の掻き寄せ装置6,6の各小径ブラシロール61,61をブラシロール下面が植え付け面から若干離間する高さまで上動させた位置で固定する。
又、図9に示す平地栽培の場合でも、その圃場面Aに部分的に凹凸があることがあり、その凹凸部にクローラ11が乗り上げると、上記図8の場合と同様に走行装置1が左右に傾くが、その場合も刈刃追従装置8が機能するので、刈刃31が刈り取り面に対して常に平行姿勢に維持され、各葉菜Yの茎部Ybを同一高さで切断できるようになっている。尚、その他の使用方法及び各装置の機能は、図1〜図6に示す実施例と同じであるので、その説明を援用する。