JP5392531B2 - 電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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本発明は、繰返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、白斑点状の画像欠陥が生じにくく、高耐久な電子写真感光体(以下、「感光体」、「静電潜像担持体」、「像担持体」と称することもある)、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
近年、有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor 感光体)は良好な性能を有し、様々な利点から、無機感光体に代わって複写機、ファクシミリ、レーザープリンター及びこれらの複合機に多く用いられている。その理由としては、例えば、(1)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等が挙げられる。
また最近、画像形成装置の小型化を図るため、感光体の小径化が進み、更に、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わって、感光体の高耐久化が切望されるようになってきている。この観点からみると、有機感光体は、電荷輸送層が低分子電荷輸送物質と不活性高分子を主成分としているため、一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的負荷により、摩耗が発生しやすいという欠点がある。
加えて、高画質化の要求から、トナー粒子の小粒径化が進められ、これに伴ってクリーニング性の向上を図るため、クリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇とが余儀なくされる。このことも、感光体の摩耗を促進する要因の一つとなっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また、摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。
そこで、有機感光体の耐摩耗性の改良を図ることを目的として、種々の改良が行われてきた。例えば、電荷輸送層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献1参照)、高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献2参照)、電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献3参照)、多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させたもの(特許文献4参照)、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けたもの(特許文献5、6参照)、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有させたもの(特許文献7参照)、などが挙げられる。 また、特許文献8参照には、トリフェニルアミン基に直接ビニル基がついている場合を含む点では、本発明で用いる化合物と類似する化合物をも含む、非常に広範な一般式の大きな概念のものが挙げられている。
これらの改良により有機感光体の耐摩耗性は、従来品に比べて向上したが、新たな問題が生じてきている。従来の感光体は、表面に異物付着や傷等が生じても摩耗によりリフェース(表面の改新)され、いつまでも画像欠陥を再発生することはなかった。しかし、上記のように耐摩耗性の改良された感光体は、一度表面に強固な異物付着や傷が発生すると、リフェースがないのでいつまでもその状態が残り、画像欠陥を出しつづけてしまう。
特に近年、高画質化及び省エネルギー化の要望から、トナーの粒径が小さくかつ軟化温度が低くなり、その流動性を確保するためにシリカ等の無機微粒子をトナー中に添加することが良く行われている。このようなシリカ粒子が、現像過程において有機感光体表面に刺さり、その周囲にトナーのワックス成分等が堆積して現像できなくなり、白斑点状の画像欠陥が発生してしまうという問題がある。
したがって繰返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、白斑点状の画像欠陥が生じにくく、高耐久な電子写真感光体及びその関連技術は、未だ得られておらず、その速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特許第3081705号公報 特開2000−66425号公報 特開2000−206717号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、繰返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、白斑点状の画像欠陥が生じにくく、高耐久な電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする
上記目的は、本発明における(1)「下記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体;
Figure 0005392531
」、(2)「下記一般式(2)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体;
Figure 0005392531
(式中Rは炭素数8以下のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アルアリール基を表し、nは0〜3の整数を表す。)」、(3)「下記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体;
Figure 0005392531
Figure 0005392531
(式中Rは炭素数8以下のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アルアリール基を表し、nは0〜3の整数を表す。)」、(5)「前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体;
Figure 0005392531
」、
(6)「前記硬化物は、重合開始剤を用いることなくラジカル重合させてなる硬化物であり、前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体;
Figure 0005392531
」、(7)「前記ポリカーボネートが下記一般式(4)で表されるビニル基含有共重合ポリカーボネートであることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の電子写真感光体;
Figure 0005392531
(式中、k,jは組成を表し、nは繰り返し単位数を表し、それぞれは整数である。)」、
(8)「前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真感光体;
Figure 0005392531
」、(9)「前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、分子内にラジカル重合性基を3つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマー、または分子内にラジカル重合性基を3つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと分子内にラジカル重合性基を5〜6つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとの混合物である前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(10)「前記硬化物を含有する層が、電子写真感光体の最表面層である前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(11)「支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、該架橋型電荷輸送層が、最表面層である前記(10)項に記載の電子写真感光体」、(12)「前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、前記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物を含む材料を用いて形成されたものである前記(11)項に記載の電子写真感光体」;
(13)「前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、前記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物を含む材料を用いて形成されたものである前記(11)項に記載の電子写真感光体」、(14)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法において、前記電子写真感光体が前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真形成方法」、(15)「前記画像露光における感光体上の静電潜像書き込みがデジタル方式により行われることを特徴とする前記(14)項に記載の電子写真形成方法」、(16)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、前記電子写真感光体が前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載の電子写真感光体により構成されていることを特徴とする電子写真装置」、(17)「前記画像露光手段による感光体上の静電潜像書き込みがデジタル方式であることを特徴とする前記(16)項に記載の電子写真装置」、(18)「電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体に着脱可能とされた電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が前記(1)項乃至(13)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、繰返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、白斑点状の画像欠陥が生じにくく、高耐久な電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができるという極めて優れた効果が齎される。
以下、本発明の電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジの詳細を説明する。
本発明の電子写真感光体は、少なくとも、上記一般式(1)または上記一般式(2)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする。
本発明における当該重合硬化物は、熱により重合させることができる。重合触媒の添加なしで又は重合触媒の添加の下、ラジカル重合性材料を放射線(UV,EB等)照射処理又は加熱処理して、又は、そのような処理なしで、架橋重合させることは従来公知であるが、その際、ラジカル重合性材料は架橋硬したとき体積減少することが知られており、特に、UV硬化材料の体積減少率は大きく、したがって、これに伴う内部応力により、硬化した組織中に生じる歪みは、特に物理的強度を必要とする場合、無視し得ないと本発明者らは考えている。
ところで、本発明におけるラジカル重合性は、塗工後における熱乾燥時に起こっており、ここで、乾燥時の熱は、架橋硬化反応の進行と共に、内部応力の緩和を齎らすものと判断できるが、詳細な架橋メカニズムはわかっていない。但し、上記一般式(1)及び(2)のような、トリフェニルアミン基に共役結合手を介してビニル基がつながった構造を有する化合物を含有しているものでないと、ラジカル重合による熱架橋膜ができないことはわかっている。
本発明の電子写真感光体においては、優れた耐摩耗性と電気特性を維持したままでシリカ微粒子等非常に硬度の高いトナー中の外添剤が、感光体に刺さることを防止し、白斑点状の画像欠陥を減らすことができる。その理由については、次のように考えられる。
従来の感光体の表面層は、低分子電荷輸送剤を分散させた熱可塑性樹脂であり、シリカ等の無機フィラーに比べると柔らかく、接触時に容易に刺さると考えられる。このため、表面硬度を高くすることが必要である。この場合、低分子電荷輸送剤の分散を排除した高分子電荷輸送性樹脂に変えても改良されず、架橋密度を高めた架橋樹脂が必要であり、多官能性モノマーを使用した架橋膜が特に有利である。
一方、電子写真感光体としての良好な電気特性を発揮させるためには、電荷輸送性成分を架橋膜中にとり入れる必要がある。一般に、電荷輸送性成分は、トリアリールアミン構造を有するが、このトリアリールアミンは、N原子を頂点としアリール基が相互に108°の結合角を以ってN原子の一方側の空間に拡がったピラミッド構造のバルキーな構造をしており、また、通常の重合性モノマーに比べて分子量が大きく、本来は架橋密度が高いものも電荷輸送性成分の混入により、十分な架橋密度が得られなかった。
また、トリアリールアミン構造の最小単位となるトリフェニルアミン基に直接重合性基を付けた場合は、分子運動性が束縛化され、電荷移動度が不十分となり、電気特性に劣る感光体となってしまう。したがって、電荷輸送性構造体の骨格としては共役長を適度に広げた構造体が好ましいが、架橋密度向上とは相反することになる。そして、架橋密度は、機械的硬度と静電特性の双方を同時に満たすようなものにする点から重要であるけれども、問題はさほど単純ではない。機械的耐久性についてのみ考えても、他の物体により繰り返し摺擦を受ける電子写真感光体表面は、単に機械的硬度が高ければ高いほどよい訳ではなく、靭性も必要であり、これにより、硬くて脆い点を補償することが好ましいと考えられる。
また、極性が高い単純アクリルモノマー等のラジカル重合性硬化物は比誘電率が高くなり、結果的に電荷輸送性が低下することになる。しかしながら、本件では電荷輸送性構造体に低極性であるビニル基を有することで、電荷輸送性を損なうことなく、ラジカル重合できる。
このように全ての特性を満足することが困難な状況にあって、本発明では、ビニル基置換トリアリールアミン化合物と、電荷輸送性成分として機能する上記非トリアリールアミン構造のラジカル重合性ビニルモノマー化合物を用いることを特長とする。
また本発明では、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートに対して、ビニル基置換トリアリールアミン化合物と、電荷輸送性成分として機能する上記非トリアリールアミン構造のラジカル重合性ビニルモノマー化合物を用いることを特長とする。
本発明における上記非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマー化合物としては、非ピラミッド構造のラジカル重合性ビニルモノマー化合物が好ましく用いられ、例えば、下記の(i)側鎖及び/又は主鎖端に3つ以上のビニル基を有する櫛型モノマー、(ii)環炭素原子に3つ以上のビニル基を有する環状型モノマー、(iii)構造中心の炭素原子からその4方向空間に各結合手(例えば、うち、1つは水素原子基、3つはビニル基置換有機基)が伸びているメタン構造型モノマー(炭素原子を頂点とするピラミッド構造でないモノマー)を挙げることができる。
Figure 0005392531
以上のことから、良好な電気特性を維持しつつ、架橋密度の極めて高い膜を形成することができ、これによって感光体の諸特性を満足し、かつシリカ微粒子等が感光体に刺さることを防止し、白斑点状の画像欠陥を減らすことができる。
この場合、前記硬化物のゲル分率は95%以上が好ましく、97%以上がより好ましい。これにより、耐摩耗性が更に向上し、かつ画像欠陥の少ない長寿命な感光体を提供することができる。また、前記非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとしては、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するものが耐摩耗性及び耐傷性の発現に有効に寄与するが、更にその特性を向上させるために分子内にラジカル重合性基を5〜6つ以上有する多官能モノマーを使用することが考えられる。
したがって、以上のような構成の本発明の電子写真感光体を用いることにより、長期間にわたり高画質化を実現した画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、少なくとも、電荷輸送性成分として機能する上記一般式(1)または上記一般式(2)のビニル基置換トリアリールアミン化合物と、非トリアリールアミン構造のラジカル重合性ビニルモノマー化合物とを、例えば重合開始剤を用いることなく、ラジカル重合させてなる硬化物を含有する層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
または本発明の電子写真感光体は、少なくとも、電荷輸送性成分として機能する上記一般式(1)または上記一般式(2)のビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、非トリアリールアミン構造のラジカル重合性ビニルモノマー化合物とを、例えば重合開始剤を用いることなく、ラジカル重合させてなる硬化物を含有する層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<硬化物を含有する層>
前記硬化物を含有する層は、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、下記一般式(6)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物とをラジカル重合させてなる硬化物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
または、前記硬化物を含有する層は、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、下記一般式(5)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物とをラジカル重合させてなる硬化物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
Figure 0005392531
(式中、Arは置換基を有してもよいアリール基を表す。)
前記一般式(5)におけるArの具体例としては、スチリル基、ビフェニル基等が挙げられる。また、スチリル基もシス及びトランス位置換が挙げられ、ビフェニル基もパラ及びメタ位置換が挙げられる。更に、ビニル基はパラ及びメタ位置換が挙げられる。
前記一般式(5)で表される本発明のビニル基置換トリアリールアミン化合物としては、3つのアリール基が同じものが用いられ、また、3つのアリール基のうち1つが置換基を有し不均一構造の前記一般式(2)で表されるものも好ましく用いられる。
さらにまた、一般式(5)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物が好ましく用いられる。
Figure 0005392531
前記一般式(5)で表される本発明のビニル基置換トリアリールアミン化合物の具体例を以下に示すが、本発明は何らこれら例示の化合物に限定されるものではない。
Figure 0005392531
[一般式(5)のビニル基置換トリアリールアミン化合物の合成法]
例えば、ブロモ化合物とボロン酸化合物とを反応させる。または、アルデヒド化合物を合成し、得られたアルデヒド化合物とホスホニウム塩化合物とを反応させることで、以下の2つの手順で前記一般式(5)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物は、容易に合成できる。
[ビニル基置換トリアリールアミン化合物の合成1]
下記反応式に示すようにブロモ化合物とボロン酸化合物を製造中間体として用い、例えばビニル化合物を合成するには、従来知られている合成法を用いて同様に合成することができる。
Figure 0005392531
すなわち、上記の具体的な合成方法としては、炭酸カリウム/トリフェニルホスフィンパラジウム触媒を用いたスズキカップリング反応法が有効であるが、本発明のビニル化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
[アルデヒド化合物の合成1]
下記反応式に示すようにトリブロモトリフェニルアミン化合物を原料とし、これを従来知られている方法を用いてホルミル化し、アルデヒド化合物を合成することができる。
Figure 0005392531
すなわち、上記の具体的なホルミル化の方法としては、リチウム/ジメチルホルムアルデヒドを用いた方法が有効であるが、本発明の中間体であるアルデヒド化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
[アルデヒド化合物の合成2]
下記反応式に示すようにトリフェニルアミン化合物を原料とし、これを従来知られている方法を用いてホルミル化し、アルデヒド化合物を合成することができる。
Figure 0005392531
すなわち、上記の具体的なホルミル化の方法としては、塩化亜鉛/オキシ塩化リン/ジメチルホルムアルデヒドを用いた方法が有効であるが、本発明の中間体であるアルデヒド化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
[ホスホニウム化合物の合成]
下記反応式に示すようにハロゲン化合物を製造中間体として用い、例えばホスホニウム塩化合物を合成するには、従来知られている合成法を用いて同様に合成することができる。
Figure 0005392531
すなわち、上記の具体的な合成方法としては、トリフェニルホスフィンを用いた方法が有効であるが、本発明の中間体であるホスホニウム塩化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
[ビニル基置換トリアリールアミン化合物の合成2]
下記反応式に示すようにアルデヒド化合物とホスホニウム塩化合物を製造中間体として用い、例えばビニル化合物を合成するには、従来知られている合成法を用いて同様に合成することができる。
Figure 0005392531
すなわち、上記の具体的な合成方法としては、カリウム-ターシャル−ブトキサイド/ジメチルホルムアルデヒドを用いたWittig反応法が有効であるが、本発明のビニル化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
本発明の前記一般式(5)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物は、分子中にスチリルもしくはビフェニル基が結合し共役系の拡大したトリアリールアミン構造を有するため、ホールの移動度が高く良好な電荷輸送機能を発揮すると共に、ビニル官能基が導入されているため、良好な連鎖重合性、例えばラジカル重合性を示す。
したがって、本発明においては、一般的な重合開始剤を用いずともラジカル重合により容易に高い架橋密度の硬化樹脂膜の形成や、もしくは、紫外線(UV)、電子線(EB)、放射線等の照射やラジカル開始剤の使用により容易に高い架橋密度の硬化樹脂膜の形成が可能であり成膜性にも優れ、摩耗等の機械的耐久性や耐熱性の要求にも対応でき、しかもこれと両立して良好な電荷輸送特性を発揮することが可能である。このような優れた性質により、有機電子写真感光体、有機EL、有機TFT、有機太陽電池等各種有機半導体デバイス用の有機機能材料として極めて有用である。
また、本発明のビニル基置換トリアリールアミン化合物は、他のラジカル重合性モノマーとの相溶性も良好であり、例えば、トリビニルシクロヘキサン(TVC)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以降、EO変性と略記する)トリアクリレート、トリメチロールプロパプロピレンオキシ変性(以降、PO変性と略記する)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。
これらのモノマーは単一あるいは複数用いて本発明のビニル基置換トリアリールアミン化合物に混合してもよく、目的とする要求特性等に合せて選択することができる。これらのモノマーの混合量は目的によっても異なるが、例えば電子写真感光体の電荷輸送層に応用する場合、通常ビニル化合物との混合比(重量%)で0.01%〜1500%、好ましくは1%〜500%程度である。
[ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマー]
前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造(又は電子輸送構造を示す基)を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3つ以上有するモノマーを指す。前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば特に制限されず何れであってもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(6)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005392531
(式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R1)−基(但し、R1は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す)、又は−S−基を表す。)
これらの置換基としては、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、等が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(7)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005392531
(式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR2基(但し、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はCONR3R4(但し、R3及びR4は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい)、また、X2は前記一般式(6)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環を表す。)
これらの置換基としては、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、などが挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3つ以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3つ以上有する化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3つ以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3つ以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以下、EO変性という)トリアクリレート、トリメチロールプロパプロピレンオキシ変性(以下、EO変性という)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以下、ECH変性という)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとしては、硬化物を含有する層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が好ましい。前記割合が250を超えると、硬化物を含有する層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーの含有割合は、使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、一概には規定することはできないが、硬化物全量に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。実質的には、塗工液固形分中の分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するラジカル重合性モノマーの割合に依存する。モノマー成分が20質量%未満では硬化物を含有する層の三次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80質量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
前記非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーの割合が多すぎると、電荷輸送性が低下し、感度低下や露光電位の上昇を引き起こし、特に、硬化物を含有する層の厚みが3μm以上と厚い場合には感光体としての機能を果たさなくなることがあり、前記ラジカル重合性モノマーの割合が少なすぎると、架橋密度の低下により飛躍的な耐摩耗性が達成されなくなることがある。
前記硬化物を含有する層には前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性基を有するポリカーボネート、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物、及び重合開始剤以外にも、塗工時の粘度調製、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能ラジカル重合性モノマー、2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー、及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。
前記1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
前記2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート、メタクリレートが挙げられる。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
なお、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると硬化物の三次元架橋結合密度が実質的に低下し、特性の低下を招く。このため、これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するラジカル重合性モノマー100質量部に対し50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
[ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーの合成法]
(合成例)
(合成例1)
〔例示化合物1の合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、東京化成社製:トリス(4−ブロモフェニル)アミン:2.09g、アルドリッチ社製:4−ビニルフェニルボロン酸:2.31g、炭酸カリウム:2.157g、エタノール:5ml、トルエン:10ml、イオン交換水:10mlを入れ、アルゴン雰囲気下&室温下で撹拌した。そこへ、東京化成社製:テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム:0.3gを添加し、70℃で5時間反応を行なった。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/シクロヘキサン=1/1)で精製し、目的の生成物を得た(収量:2.15g、薄黄白色粉末)。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
(合成例2)
〔トリス(3−ブロモフェニル)アミンの合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、東京化成社製:3−ブロモアニリン:6.88g、東京化成社製:3−ブロモヨードベンゼン:33.95g、炭酸カリウム:22.11g、オルト−ジクロロベンゼン:40ml、アルゴン雰囲気下、還流撹拌し、24時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/シクロヘキサン=1/5)で精製し、エタノールにより再結晶精製を行い、目的の生成物を得た(収量:7.02g、白色粉末)。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
(合成例3)
〔例示化合物3の合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、合成例5で得られたトリス(3−ブロモフェニル)アミン:2.41g、アルドリッチ社製:4−ビニルフェニルボロン酸:2.66g、炭酸カリウム:2.48g、エタノール:5ml、トルエン:10ml、イオン交換水:10mlを入れ、アルゴン雰囲気下&室温下で撹拌した。そこへ、東京化成社製:テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム:0.35gを添加し、70℃で5時間反応を行なった。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/シクロヘキサン=1/1)で精製し、目的の生成物を得た(収量:2.15g、白色アモルファス)。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図6に示す。
(合成例4)
〔4,4‘、4“-トリホルミルトリフェニルアミンの合成〕
攪拌装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、東京化成社製:トリス(4−ブロモフェニル)アミン:24.1g、脱水テトラヒドロフラン:200mlを入れ、アルゴンガス雰囲気下にて-72℃で撹拌した後、2.77Mのn-ブチルリチウムヘキサン溶液:65mlを滴下した後、1時間反応を行った。その後、脱水ジメチルホルムアルデヒド:16.45g滴下した後、2時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の生成物を得た。(収量:17.17g、黄色粉末)。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図7に示す。
(合成例5)
〔ホスホニウム塩化合物の合成〕
攪拌装置、温度計をつけた反応容器に、東京化成社製:4−クロロメチルスチレン:152.62g、東京化成社製:トリフェニルホスフィン:262.29g、トルエン:200mlを入れ、80℃で3時間反応を行った。その後、濾過をし、トルエンにて洗浄した後、減圧乾燥し、目的の生成物を得た。(収量:376g、白色粉末)。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図8に示す。
(合成例6)
〔例示化合物5の合成〕
攪拌装置、温度計をつけた反応容器に、4,4‘、4“-トリホルミルトリフェニルアミン:6.58g、合成例5で得られたホスホニウム塩化合物:127.38g、脱水ジメチルホルムアルデヒド:100mlを入れ、氷冷下で攪拌した。そこへ、カリウム−ターシャル−ブトキサイド:8.08gを添加した。その後、室温で3時間反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/シクロヘキサン=3/7)で精製し、目的の生成物を得た(収量:9.88g、黄色アモルファス) 。得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図9に示す。
以上に示したアルデヒド化合物とホスホニウム塩化合物を製造中間体、またはブロモ化合物とボロン酸化合物を製造中間体に用いて、前記一般式(6)で表される本発明のビニル化合物が容易に製造されることがわかる。さらに、上記反応により前出の他の例示化合物1から6も容易に製造される。
前記一般式(5)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物は、硬化物に電荷輸送性能を付与するために重要であり、その含有量は硬化物全体に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。前記含有量が20質量%未満であると、電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがあり、80質量%を超えると、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するラジカル重合性モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き、本発明の目的とする特性が発揮されないことがある。
次に、前記硬化物を含有する層の形成方法について説明する。
前記硬化物を含有する層は、前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するラジカル重合性モノマーと、前記一般式(5)で表されるビニル化合物とを含有する塗工液を調製し、該塗工液を感光体表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、重合させることで形成することができる。または、前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有するラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性基を有するポリカーボネート、前記一般式(5)で表されるビニル化合物とを含有する塗工液を調製し、該塗工液を感光体表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、重合させることで形成することができる。
前記塗工液は、重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする厚みにより変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
更に、前記塗工液には、必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3質量%以下が好ましい。
前記塗工液を塗布後、熱乾燥工程により、硬化を行う。本発明の目的を達成するためには、前記硬化物のゲル分率は95%以上が好ましく、97%以上がより好ましい。 ここで、前記ゲル分率は、硬化物をテトラヒドロフランのような溶解性の高い有機溶媒中に5日間浸漬し、質量減少量を測定し、下記数式1から求めることができる。
Figure 0005392531
前記ゲル分率95%以上の硬化物を形成するためには、130℃以上で加熱乾燥することが好ましい。特に好ましくはゲル分率97%以上まで硬化させることが好ましい。ゲル分率を上げることで、更にシリカ等の刺さることを防止できる。この場合、150℃以上で加熱乾燥することが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、その層構成に特に制限はないが、前記硬化物を含有する層が最表面層であることが好ましい。これは、前記一般式(5)で表される化合物の特性がホール輸送性であるため、負帯電方式の有機感光体の表面に形成されることが好ましいからである。
前記負帯電方式有機感光体の代表的構成としては、支持体上に、少なくとも下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順に積層したものであり、電荷輸送層に前記硬化物を含有させることができる。しかしこの場合、前記電荷輸送層の厚みに硬化条件による制約が生じるため、電荷輸送層の上に架橋型電荷輸送層を更に積層した感光体構成とすることが好ましく、架橋型電荷輸送層が前記硬化物を含有する層であることが最も好ましい。
前記硬化物を含有する層としての架橋型電荷輸送層の厚みは、3μm以上が好ましく、前記厚みが3μm未満であると、架橋型電荷輸送層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。更に、架橋型電荷輸送層の塗布厚みが薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、前記架橋型電荷輸送層は3μm以上の厚みで高密度な架橋体を形成でき、白斑点防止になる。また、繰り返しの使用において摩耗による厚み減少は、局部的な帯電性や感度変動を起しやすく、長寿命化の観点から架橋型電荷輸送層の厚みを3μm以上にすることが好ましい。
前記電子写真感光体は、支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、更に必要に応じて、中間層、その他の層を有してなる。前記架橋型電荷輸送層が、本発明の前記硬化物を含有する層である。
(電荷発生層)
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでおり、バインダー樹脂更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。 前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン等が挙げられる。アモルファス−シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系 顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、電荷発生層のバインダー樹脂としては、上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、(1)アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂などの高分子材料、(2)ポリシラン骨格を有する高分子材料などを用いることができる。
前記(1)の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、前記(2)の具体例としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、前記電荷発生層には、低分子電荷輸送物質を含有させることができる。 前記低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前記真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
前記キャスティング法としては、前記無機系もしくは有機系電荷発生物質、必要に応じてバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷発生層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
(電荷輸送層)
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質、などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
また、前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、などに記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の形成は同様な塗工法が可能である。 また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、前記結着樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
前記電荷輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
(支持体)
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体として良好に用いることができる。
本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。
このため、前記中間層としては、架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成方法としては、前記塗工法が採用される。なお、前記中間層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.05〜2μmが好適である。
(下引き層)
本発明の電子写真感光体においては、支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。該下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。該樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、前記下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等を図るため、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を添加することができる。
前記下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
前記下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。 前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0〜5μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記架橋型電荷輸送層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、前記下引き層、前記中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3 −メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類、などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン、などが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、などが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、などが挙げられる。
なお、これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、添加する層の総質量に対し0.01〜10質量%が好ましい。
(電子写真装置及び電子写真方法)
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図1は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図1において、感光体1は少なくとも感光層が設けられている。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャー(3)、転写前チャージャー(7)、転写チャージャー(10)、分離チャージャー(11)、クリーニング前チャージャー(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図1に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図2には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体(21)は少なくとも感光層を有し、駆動ローラ(22a),(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰返し行なわれる。同図においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図2において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図3に示すものが挙げられる。感光体(16)は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有している。
本発明の画像形成装置としては、前記電子写真感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電器、像露光器、現像器、転写分離器、及びクリーニング器から選択される少なくとも1つを電子写真感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
本発明の画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、耐摩耗性及び耐傷性が非常に高く、かつクラックや膜剥がれが生じにくい架橋型電荷輸送層を表面に有する積層型感光体を備え、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて質量部を表す。
[一般式(5)のビニル基置換トリアリールアミン化合物と、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとの重合硬化物を含有する層を有する例]
[実施例1]
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、下記組成の電荷発生層塗工液、及び下記組成の電荷輸送層塗工液を順次、塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み18μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液をスプレー塗工し、130℃で30分間乾燥を行い、厚み5.0μmの架橋型電荷輸送層を設けた。以上により、実施例1の電子写真感光体を作製した。
〔下引き層塗工液の組成〕
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4部
・酸化チタン・・・40部
・メチルエチルケトン・・・50部
〔電荷発生層塗工液の組成〕
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・0.5部
・シクロヘキサノン・・・200部
・メチルエチルケトン・・・80部
・下記構造式で表されるビスアゾ顔料・・・2.4部
Figure 0005392531
〔電荷輸送層塗工液の組成〕
・ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成株式会社製)・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・0.2部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質・・・7部
Figure 0005392531
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC、東京化成社製、分子量:162、官能基数:3官能、分子量/官能基数=54)・・・10部
・例示化合物No.1・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
[実施例2]
実施例1において、例示化合物No.1をNo.3とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例3]
実施例1において、例示化合物No.1をNo.5とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例4]
実施例1において、乾燥温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例5]
実施例1において、乾燥温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例6]
実施例1において、例示化合物No.1をNo.5とし、乾燥温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した
[実施例7]
実施例1において、架橋型電荷輸送層の厚みを1μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例8]
実施例1において、架橋型電荷輸送層の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例9]
実施例1において、架橋型電荷輸送層の厚みを7μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例10]
実施例1において、架橋型電荷輸送層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例11]
実施例1において、架橋型電荷輸送層の厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[比較例1]
実施例1において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例2]
実施例1において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例3]
実施例1において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例4]
実施例1において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[実施例12]
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARA TMPTA、日本化薬株式会社製、分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)・・・10部
・例示化合物No.1・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
[実施例13]
実施例12において、例示化合物No.1を、No.5とした以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[比較例5]
実施例12において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例6]
実施例12において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[実施例14]
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC、東京化成社製、分子量:162、官能基数:3官能、分子量/官能基数=54)・・・5部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、分子量:552、官能基数:5.5、分子量/官能基数=100)・・・5部
・例示化合物No.1・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
[実施例15]
実施例14において、例示化合物No.1を、No.5とした以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[比較例7]
実施例14において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例8]
実施例14において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[一般式(5)のビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとの重合硬化物を含有する層を有する例]
[実施例16]
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC、東京化成社製、分子量:162、官能基数:3官能、分子量/官能基数=54)・・・5部
・アリル/Z(4/1)共重合ポリカーボネート(数平均分子量:15,564、重量平均分子量:35,342)・・・5部
Figure 0005392531
・例示化合物No.1・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
[実施例17]
実施例16において、例示化合物No.1をNo.3とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例18]
実施例16において、例示化合物No.1をNo.5とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例19]
実施例16において、乾燥温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例20]
実施例16において、乾燥温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例21]
実施例16において、例示化合物No.1をNo.5とし、乾燥温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例22]
実施例16において、架橋型電荷輸送層の厚みを1μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例23]
実施例16において、架橋型電荷輸送層の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例24]
実施例16において、架橋型電荷輸送層の厚みを7μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例25]
実施例16において、架橋型電荷輸送層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[実施例26]
実施例16において、架橋型電荷輸送層の厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[比較例9]
実施例16において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例10]
実施例16において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例11]
実施例16において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[実施例27]
実施例16において、架橋型電荷輸送層塗工液を、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARA TMPTA、日本化薬株式会社製、分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)・・・5部
・アリル/Z(4/1)共重合ポリカーボネート(数平均分子量:15,564、重量平均分子量:35,342)・・・5部
Figure 0005392531
・例示化合物No.1・・・10部
・テトラヒドロフラン・・・100部
[実施例28]
実施例27において、例示化合物No.1を、No.5とした以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[比較例12]
実施例27において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[比較例13]
実施例27において、例示化合物No.1を、下記構造式で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0005392531
[架橋型電荷輸送層のゲル分率の測定]
架橋型電荷輸送層のゲル分率を求めた。ゲル分率は、アルミ支持体上に架橋型電荷輸送層塗工液を実施例1〜28及び比較例1〜13と同様に直接塗工し、熱乾燥した膜を、テトラヒドロフラン溶液に25℃で5日間浸漬させ、ゲル分の質量残率より、上記数式1から求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005392531
[通紙試験]
次に、実施例1〜28及び比較例1〜13の各電子写真感光体のうち、同様に作製したこれらの感光体及びシリカ外添剤入りトナー(体積平均粒径=9.5μm、平均円形度=0.91)を用いて、以下のようにして、A4サイズ10万枚の通紙試験を実施した。
まず、前記感光体をプロセスカートリッジに装着し、画像露光光源を 655 nm の半導体レーザーを用いた画像形成装置(株式会社リコー製、imagioNeo270)の改造機にて暗部電位900(−V)に設定した後、連続してトータル5万枚の印刷を行い、その際初期画像及び5万枚印刷後の画像について評価を行った。また、初期及び5万枚印刷後の画像露光光源の光量が約0.4μJ/cmにおける明部電位を測定した。さらに、初期及び5万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。また、5万枚複写後の画像を観察し、べた画像部から白斑点の単位面積当りの個数を数えた。結果を表3に示す。
Figure 0005392531

表3の結果から、実施例1〜28の各電子写真感光体は、耐摩耗性が優れる有機感光体の中でも、耐摩耗性が優れており、欠陥の少ない画像出力が可能となっている。特にシリカの刺さりによって引き起こされる白斑点が発生しにくく、長期使用に際しても十分な画像安定性を有していることが認められる。
特に、硬化物のゲル分率95%以上のものはほとんど画像欠陥が発生しない優れた有機感光体を与える。更に、本発明の硬化物のゲル分率97%以上の物は耐摩耗性も格段に優れかつほとんど画像欠陥が発生しない優れた有機感光体を与える。また、架橋型電荷輸送層の厚みが3μm以上の範囲で耐摩耗性に優れ画像欠陥のない優れた有機感光体を与えることが判る。
本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の画像形成装置にも広く適用し得るものである。
本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。 本発明による電子写真プロセスの別の例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジを説明するための概略図である。 合成例1において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す(以降のスペクトル図も同じ)。 合成例2において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。 合成例3において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。 合成例4において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。 合成例5において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。 合成例6において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー
5 画像露光部
6 現像ユニット
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 感光体
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 光源
25 帯電器
26 光源
27 ブラシ
28 光源

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005392531
  2. 下記一般式(2)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005392531
    (式中Rは炭素数8以下のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アルアリール基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
  3. 下記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005392531
  4. 下記一般式(2)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物と、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとを、重合した硬化物を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005392531

    (式中Rは炭素数8以下のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アルアリール基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
  5. 前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005392531
  6. 前記硬化物は、重合開始剤を用いることなくラジカル重合させてなる硬化物であり、前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005392531
  7. 前記ポリカーボネートが下記一般式(4)で表されるビニル基含有共重合ポリカーボネートであることを特徴とする請求項3または4に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005392531
    (式中、k,jは組成を表し、nは繰り返し単位数を表し、それぞれは整数である。)
  8. 前記ラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される1,2,4−トリビニルシクロヘキサンであることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
    Figure 0005392531
  9. 前記分子内にラジカル重合性基を3つ以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーが、分子内にラジカル重合性基を3つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマー、または分子内にラジカル重合性基を3つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと分子内にラジカル重合性基を5〜6つ有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーとの混合物である請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記硬化物を含有する層が、電子写真感光体の最表面層である請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、該架橋型電荷輸送層が、最表面層である請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、前記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物を含む材料を用いて形成されたものである請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも、分子内にラジカル重合性基を3以上有する非トリアリールアミン構造のラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性基を有するポリカーボネートと、前記一般式(1)で表されるビニル基置換トリアリールアミン化合物を含む材料を用いて形成されたものである請求項11に記載の電子写真感光体。
  14. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法において、前記電子写真感光体が請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真形成方法。
  15. 前記画像露光における感光体上の静電潜像書き込みがデジタル方式により行われることを特徴とする請求項14に記載の電子写真形成方法。
  16. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、前記電子写真感光体が請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体により構成されていることを特徴とする電子写真装置。
  17. 前記画像露光手段による感光体上の静電潜像書き込みがデジタル方式であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真装置。
  18. 電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を含んで一体に支持され、電子写真装置本体に着脱可能とされた電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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