JP4796348B2 - 静電潜像担持体、並びに画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
このことは、近年、高画質化及び省エネルギー化の要望からトナーの粒径が小さく、軟化温度が低くなり、その流動性を確保するため、シリカ等の無機微粒子をトナー中に添加することが行われている。このシリカ粒子が現像過程でOPC表面に刺さる場合が有り、その周囲にトナーのワックス成分等が堆積して現像できなくなり、白斑点状の画像欠陥が発生するという問題が生じている。
<1> 最表面層が、縮合多環芳香族炭化水素を含有するポリマーを含むことを特徴とする静電潜像担持体である。
<2> 最表面層が、ラジカル重合性基と、非ラジカル重合性の置換アミノ基とを縮合多環芳香族炭化水素基で連結した縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を重合させた硬化物を含有することを特徴とする静電潜像担持体である。
<3> 最表面層が、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物を含有する前記<2>に記載の静電潜像担持体である。
<4> 最表面層が、光重合開始剤を含有する前記<2>から<3>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<5> ラジカル重合性基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<2>から<4>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<6> 縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である前記<2>から<5>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<7> 一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<6>に記載の静電潜像担持体である。
<8> 一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である前記<6>に記載の静電潜像担持体である。
<9> 縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である前記<2>から<5>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<10> 一般式(4)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である前記<9>に記載の静電潜像担持体である。
<11> 支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、
前記架橋型電荷輸送層が、最表面層である前記<1>から<10>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<12> 架橋型電荷輸送層の厚みが、1.5〜11.5μmである前記<11>に記載の静電潜像担持体である。
<13> 架橋型電荷輸送層が、有機溶剤に不溶性である前記<11>から<12>のいずれかに記載の静電潜像担持体である。
<14> 架橋型電荷輸送層におけるラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物中の官能基数に対する該ラジカル重合性化合物の分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である前記<11>から<13>のいれかに記載の静電潜像担持体である。
<15> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、該トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法において、
前記静電潜像担持体が、前記<1>から<14>のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成方法である。
<16> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記静電潜像担持体が、前記<1>から<14>のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置である。
<17> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の静電潜像担持体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも一つの手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
本発明の静電潜像担持体は、第2形態では、最表面層が、ラジカル重合性基と、非ラジカル重合性の置換アミノ基とを縮合多環芳香族炭化水素基で連結した縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を重合させた硬化物を含有してなる。
前記第1及び第2形態に係る静電潜像担持体においては、従来の多官能性電荷輸送性化合物を使用した場合には、硬化時の歪が大きくなり、クラック等のひびが生じる問題や多官能にもかかわらず硬化性に不足を生じる問題が発生したが、本発明の前記特定ラジカル重合性化合物の硬化物では、クラック等の発生も無く十分に架橋硬化した均一で平滑な膜が得られ、良好な感光体表面層として機能する。また、高密度な電荷輸送性硬化膜の形成が可能となったことで、膜強度が十分に高くなり、シリカ微粒子等非常に硬度の高いトナー中の外添剤が静電潜像担持体に刺さることを防止し、白斑点等の画像欠陥を減らすことができる。
また、高密度な架橋硬化膜の実現には、前記縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を用いることにより達成される。より好ましくは縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物に、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物を混合することが好ましい。また、ラジカル重合開始には従来公知の種々の方法が適用できるが、光重合開始剤を添加して光照射により短時間で硬化させることで架橋密度の高い機械的強度に優れる静電潜像担持体が得られる。
また、本発明の静電潜像担持体においては、少なくとも縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物をラジカル重合させて得られる硬化物を最表面層に設けることで、耐摩耗特性かつ電気的特性が共に良好となり、白斑点による画像欠陥が少ない長寿命の静電潜像担持体を提供することが可能である。これは、縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物中における縮合多環芳香族炭化水素が、従来の化合物のベンゼン環に比べてパイ電子の共役が広がり、その結果、電荷移動も優れるために良好な電子写真特性が得られるものと考えられる。また、縮合多環芳香族炭化水素を有するため、ベンゼン環単独よりも強固な重合膜が得られ、その結果、耐磨耗特性にも優れると考えられる。更に、前記縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物とをラジカル重合させて得られる硬化物を表面に有することにより、従来には無い極めて耐摩耗性に優れながら残留電位の少ない電荷移動性にも優れた静電潜像担持体の提供が可能となり、特に前記縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物と、光重合開始剤とをラジカル重合させて得られる硬化物を表面に有する静電潜像担持体は、上記のような優れた特性を有する静電潜像担持体を短時間で容易に製造することができるために安価に市場に提供することができる。
本発明の静電潜像担持体は、第1形態では、最表面層が、縮合多環芳香族炭化水素を含有するポリマーを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基と、非ラジカル重合性の置換アミノ基とを縮合多環芳香族炭化水素基で連結したものである。
前記ラジカル重合性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基などが挙げられる。これらの中でも、重合特性の観点からアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基が特に好ましい。このようなアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を使用することで短時間に十分硬化された平滑な膜の作製が可能となる。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
sは0〜6の整数を表す。
R15の置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソププピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。置換基を有してもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、4−ビフェニル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基が挙げられる。置換基を有していてもよいヘテロ環基としては、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、2−ピリジル基、4−フェニル−2−ピリジル基等のヘテロ環基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソププピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。置換基を有してもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、4−ビフェニル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基が挙げられる。置換基を有していてもよいヘテロ環基としては、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、2−ピリジル基、4−フェニル−2−ピリジル基等のヘテロ環基が挙げられる。
R5及びR6は、それぞれハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar4は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
L及びmは0〜6の整数を表し、2以上の場合にはR5及びR6は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
R9及びR10は、それぞれハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar5は、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、又は置換基を有していてもよい2価のヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar6及びAr7は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
n及びpは0〜6の整数を表し、2以上の場合にはR9及びR10は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Ar7及びAr8は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよい縮合多環芳香族炭化水素基を表し、上記一般式(A−1)〜(A−12)で表されるものを挙げることができる。
Ar10及びAr11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar9は、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。置換基を有してもよいアルキレン基としては下記一般式(B−1)〜(B−6)で示されるものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよいアリーレン基としては、下記一般式(B−7)〜(B−17)で示されるものが挙げられる。
tは0〜4の整数を表す。
R15及びR16は、それぞれハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar12及びAr13は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表し、上記一般式(1)と同様のものを用いることができる。
Ar14は、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、置換基を有してもよいアルキレン基としては上記一般式(B−1)〜(B−6)が挙げられる。また、置換基を有していてもよいアリーレン基としては上記一般式(B−7)〜(B−17)が挙げられる。
q及びrは、0〜6の整数を表し、2以上の場合にはR15及びR16は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
下記反応式に示すように、化合物(E−1)より化合物(E−2)を得る工程は、脱メチル化によるヒドロキシ化合物を得る工程であり、従来知られている方法を用いることでヒドロキシ化合物が合成できる。即ち、濃塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、ピリジン塩酸塩、ヨウ化マグネシウムエーテラート、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素等の酸を用いる方法、あるいは水酸化カリウム、グリニャール試薬、ナトリウム−ブタノール、リチウム−ビフェニル、ヨウ化リチウム−コリジン、リチウムジフェニルフォスフィド−THF、ナトリウムチオラート−DMFなどの塩基、あるいは有機金属試薬による方法がある。これらの方法の中では、特に三臭化ホウ素、ナトリウムチオラート−DMFを用いた方法が有効であるが、反応中間体であるヒドロキシ化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。
次に、下記反応式に示す化合物(E−2)より化合物(E−3)を得る工程は、アクリル化、あるいはメタクリル化工程であり、従来のエステル化と同様にして合成できる。即ち、アルコール誘導体にアクリル酸、メタクリル酸、又はこれらカルボン酸のエステル化合物、酸ハロゲン化物、酸無水物を作用させる。例えば、ヒドロキシ化合物とアクリル酸とをp−トルエンスルフォン酸等のエステル化触媒と共に有機溶媒中で脱水しながら加熱撹拌することで合成できる。また、ヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドとを有機溶媒中、アルカリ存在下で反応させることでも容易に合成できる。この時用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ、又はその水溶液、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系塩基を使用することができる。反応に用いられる有機溶媒としては、トルエン等の炭化水素系溶媒やテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒や酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が使用できる。
攪拌装置、温度計、及び冷却管を付けた反応容器内に、p−トリル-ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミン2.1g、及び塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液12mlを滴下した。次いで、同温度で1時間反応を行い、更に、室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した(収量2.38g)。
攪拌装置、温度計、冷却管、及び滴下漏斗を付けた反応容器内に、上記p−トリル-ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミン2.25g、トリエチルアアミン1.75g、及びテトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.2ml、テトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間後室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物が得られる(収量1.42g、無色結晶)。
攪拌装置、温度計、及び冷却管を付けた反応容器内に、4−ジ−p−トリルアミノ-4’−ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.79g、及び塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液10mlを滴下した。次いで、同温度で1時間反応を行い、更に室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した(収量2.43g)。
攪拌装置、温度計、冷却管、及び滴下漏斗を付けた反応容器内に、上記4−ジ−p−トリルアミノ-4’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.31g、トリエチルアアミン1.30g、及びテトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.0ml、及びテトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間後室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物が得られる(収量1.99g、無色結晶)。
前記ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物としては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3つ以上有するモノマーを意味する。前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記の<式1>で表される官能基が挙げられる。
<式1>
CH2=CH−X1−
ただし、前記式1中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、−CON(R17)−基(ただし、R17は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す)、又はスルフィド基を表す。
<式2>
CH2=C(Y)−X2−
ただし、前記数式2中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR18基(ただし、R18は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、又は−CONR19R20(ただし、R19及びR20は水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、X2は上記<式1>のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、及びX2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物の前記最表面層における含有量は、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。塗布液固形分中のラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物の割合に依存する。前記含有量が20質量%未満であると、架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されないことがあり、80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下して、電気的特性の劣化が生じることがある。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、又はその他の光重合開始剤などが挙げられる。
前記アセトフェノン系光重合開始剤又はケタール系光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどが挙げられる。
前記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどが挙げられる。
前記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどが挙げられる。
前記その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これら光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記最表面層は、(1)少なくとも縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物を含む最表面層塗布液、あるいは(2)縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物と、光重合開始剤を含む最表面層塗布液を調製し、その塗布液を感光体表面に塗工した後、ラジカル重合させて形成される。また、前記(2)縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物とラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物と光重合開始剤とを含む場合には、光重合開始剤の吸収波長に応じた光照射を行い、重合させることで形成される。
前記2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性化合物やラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると硬化被覆組成物の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、特性の低下を招くことがある。
このため、これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、前記縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物100質量部に対し50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
<数式1>
ゲル分率(%)=100×(硬化被覆組成物の浸漬乾燥後の質量/硬化被覆組成物の初期質量)
前記ゲル分率95%以上の硬化被覆組成物を形成するためには、10J/cm2以上の積算照射エネルギーを照射することが好ましく、より好ましくはゲル分率97%以上まで硬化させることが好ましい。前記ゲル分率を上げることで、更にシリカ等の刺さりを防止できる。この場合、20J/cm2以上の積算照射エネルギーを照射することが好ましい。
光照射により硬化させた後、80〜150℃でアニールを行い、静電潜像担持体として使用される。前記アニール時間は1分間〜60分間が好ましい。
前記複層型感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、更に必要に応じて、中間層、その他の層を有してなる。
前記架橋型電荷輸送層が、本発明の前記最表面である。
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン等が挙げられる。アモルファス−シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、電荷発生層のバインダー樹脂としては、上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、(1)アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料、(2)ポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前記低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
前記キャスティング法としては、前記無機系もしくは有機系電荷発生物質、必要に応じてバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、前記結着樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
前記電荷輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものが好適である。
前記支持体としては、材料、形状、大きさとしては、特に制限はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できるが、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
前記導電性粉体の材料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。前記結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、前記導電性粉体と結着樹脂とを溶剤に溶解乃至分散させた塗布液を支持体上に塗布することにより形成することができる。前記溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、等が挙げられる。
前記下引き層は、前記感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に、本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。前記下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0〜5μmが好ましい。
前記酸化防止剤として、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%が好ましい。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、本発明の前記静電潜像担持体を用いる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
前記帯電器が静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間記録媒体を用い、該中間記録媒体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間記録媒体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間記録媒体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の記録媒体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
この画像形成装置においては、静電潜像担持体(感光体)を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
前記空隙の大きさは、10〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。前記空隙の大きさが、大きすぎると、帯電が不安定になりやすくなることがあり、小さすぎると、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまうことがある。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ210が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ211、分離爪212が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ211としては、前記帯電手段が利用可能である。
転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ214、クリーニングブレード215が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ213を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図4中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の前記静電潜像担持体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも一つの手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなり、画像形成装置本体に着脱可能である。
図5に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(図示せず)露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
−p−トリル-ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミンの合成−
攪拌装置、温度計、及び冷却管を付けた反応容器内に、p−トリル-ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミン2.1g、及び塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液12mlを滴下した。次いで、同温度で1時間反応を行い、更に、室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した(収量2.38g)。
攪拌装置、温度計、冷却管、及び滴下漏斗を付けた反応容器内に、上記p−トリル-ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミン2.25g、トリエチルアアミン1.75g、及びテトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.2ml、テトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間後室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物を得た(収量1.42g、無色結晶)。
−4−ジ−p−トリルアミノ-4’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミノビフェニルの合成−
攪拌装置、温度計、及び冷却管を付けた反応容器内に、4−ジ−p−トリルアミノ-4’−ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.79g、及び塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液10mlを滴下した。次いで、同温度で1時間反応を行い、更に室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した(収量2.43g)。
攪拌装置、温度計、冷却管、及び滴下漏斗を付けた反応容器内に、上記4−ジ−p−トリルアミノ-4’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.31g、トリエチルアアミン1.30g、及びテトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.0ml、及びテトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間後室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物を得た(収量1.99g、無色結晶)。
−静電潜像担持体の作製−
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗布液、電荷発生層塗布液、及び電荷輸送層塗布液を順次、塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み18μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗布液をスプレー塗工し、20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:110mm、照射強度:750mW/cm2、照射時間:240秒間の条件で光照射を行うことにより塗布膜を硬化させた。
次いで、130℃にて20分間乾燥を加え、厚み5.0μmの架橋型電荷輸送層を形成した。以上により、実施例1の静電潜像担持体を作製した。
・アルキッド樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、ベッコゾール1307−60−EL)・・・6部
・メラミン樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、スーパーベッカミンG−821−60)・・・4部
・酸化チタン・・・40部
・メチルエチルケトン・・・50部
・下記構造式(F−1)で表されるビスアゾ顔料・・・2.5部
・シクロヘキサノン・・・200部
・メチルエチルケトン・・・80部
ビスフェノールZポリカーボネート(帝人化成株式会社製、パンライトTS−2050)・・・10部
・下記構造式(F−2)で表される低分子電荷輸送物質・・・7部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(信越化学工業株式会社製、KF50−100CS)・・・0.2部
・縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物(上記例示化合物C−9)・・・10部
・ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物としてのトリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD TMPTA、分子量:296、官能基数3官能、分子量/官能基数=99)・・・10部
・光重合開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・1部
・テトラヒドロフラン・・・100部
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、上記例示化合物(C−9)と例示化合物(C−32)との混合物〔(C−9):C−32)=50:50(質量比)〕に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、上記例示化合物(C−32)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例3において、架橋型電荷輸送層の厚みを、表1に示す厚みにそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして、実施例4〜8の各静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−01)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−02)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−03)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−04)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−05)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−06)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−07)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗布液における縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を、下記構造式で表される化合物(G−08)に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。
各静電潜像担持体について、外観を目視で観察し、クラック、膜剥がれの有無を判断した。
各静電潜像担持体について、以下のようにして架橋型電荷輸送層のゲル分率を求めた。ゲル分率は、アルミニウム支持体上に架橋型電荷輸送層塗布液を各実施例及び比較例と同様に直接塗工し、同じ条件で光照射及び乾燥した膜を、テトラヒドロフラン溶液に25℃で5日間浸漬して、下記数式1によりゲル分率を求めた。
<数式1>
ゲル分率(%)=100×(架橋型電荷輸送層の浸漬乾燥後の質量/架橋型電荷輸送層の初期質量)
次に、実施例1〜8及び比較例1〜8のうち、架橋型電荷輸送層形成時にクラックが発生した比較例5の感光体を除き、同様に作製したこれらの感光体及びシリカ外添剤入りトナーを用いて、A4サイズ10万枚の通紙試験を実施した。
まず、作製した各静電潜像担持体をプロセスカートリッジに装着し、画像露光光源として655nmの半導体レーザーを用いた株式会社リコー製imagio Neo 270改造機にて初期暗部電位を−700Vに設定した。そして、初期と5万枚複写後の全層厚みを測定し、その差から摩耗量を算出し、5万枚複写後の画像を観察し、べた画像部から白斑点の単位面積当りの個数を数えた。
また、残留電位蓄積性を見るため、初期と5万枚複写後の露光部電位(VL)を測定した。
また、実施例1〜8では光重合開始剤の存在下で光硬化させた硬化物が有効なことも同時に示している。
また、架橋型電荷輸送層の厚みが1.5〜11.5μmの範囲で良好な特性を維持しており、1.5μm未満では、5万枚複写後の摩耗量に対して余裕がほとんど無くなっていること、11.5μmを超える場合は、ゲル分率の低下が見られ、残留電位蓄積性が悪くなっていることから上記範囲が好ましいことを示している。なお、実施例の硬化条件では、ゲル分率のデータから有機溶媒に対して実質的に不溶であると判断され、その条件下で優れた耐摩耗性や画像安定性を達成できていることを示している。
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を下記表3に示す例示化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、静電潜像担持体を作製した。なお、架橋型電荷輸送層の厚みはすべて5.0μmであった。
また、作製した各静電潜像担持体、及びシリカを外添剤したトナーを用いて、実施例1と同様の通紙試験を実施した。結果を表4に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
71 クリーニングブレード
72 支持部材
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
210 転写チャージャ
211 分離チャージャ
212 分離爪
213 クリーニング前チャージャ
214 ファーブラシ
215 クリーニングブレード
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 記録媒体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
231 支持体
233 感光層
235 電荷発生層
237 電荷輸送層
239 架橋型電荷輸送層
100 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 画像形成装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
Claims (14)
- 最表面層が、ラジカル重合性基と、非ラジカル重合性の置換アミノ基とを縮合多環芳香族炭化水素基で連結した縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物を重合させた硬化物を含有し、
縮合多環芳香族炭化水素を含有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(4)で表される化合物のいずれかであることを特徴とする静電潜像担持体。
- 最表面層が、ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物を含有する請求項1に記載の静電潜像担持体。
- ラジカル重合性基を分子内に3つ以上有するラジカル重合性化合物中の官能基数に対する該ラジカル重合性化合物の分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である請求項2に記載の静電潜像担持体。
- 最表面層が、光重合開始剤を含有する請求項1から3のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- ラジカル重合性基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- 一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1から5のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- 一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1から5のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- 一般式(4)で表されるラジカル重合性化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である請求項1から5のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- 支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、
前記架橋型電荷輸送層が、最表面層である請求項1から8のいずれかに記載の静電潜像担持体。 - 架橋型電荷輸送層の厚みが、1.5〜11.5μmである請求項9に記載の静電潜像担持体。
- 架橋型電荷輸送層が、有機溶剤に不溶性である請求項9から10のいずれかに記載の静電潜像担持体。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、該トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法において、
前記静電潜像担持体が、請求項1から11のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成方法。 - 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記静電潜像担持体が、請求項1から11のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1から11のいずれかに記載の静電潜像担持体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも一つの手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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