JP5388686B2 - 5指型ハンド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人間の手を模倣した5指型ハンド装置に関する。
近年、人間の手を模倣した5指型ハンド装置が知られている。この種の5指型ハンド装置は、手の平及び手の甲を有する基部と人間の5本の指に夫々対応する拇指機構、示指機構、中指機構、環指機構、及び小指機構とを備えている。各指機構は、複数の関節を備えて各関節毎に回動自在となっており、これにより、各指機構毎の屈伸動作が得られるようになっている(例えば特許文献1参照)。
ここで、特許文献1記載のものは、各指機構の夫々に3つの関節が設けられており、これらの関節を回動させる駆動手段として複数のモータが基部に配設されている。また、各指機構の夫々の指先部分には、面状の配列された複数の感圧素子を有する圧力センサが設けられ、この圧力センサによる測定値に基づいて各モータが制御される。そして、各指機構は何れも同じ構成を備えることにより、指機構の全てにおいて同様の屈伸動作が行えるようになっている。
特開2008−183629号公報
しかし、上記従来の5指型ハンド装置は、各指機構が何れも同じ構成を備えることにより、基部や指機構を小型に構成することができず、それに伴って基部や指機構の重量も大となる不都合がある。しかも、全ての指機構が同様な屈伸運動を行うために、人間の指とは異なる動きとなる場合がある。
このため、5指型ハンド装置を小型軽量化して人間の標準的な手の大きさとすることができないだけでなく、各指機構の動きにも違和感が生じ、人間と同等の体格形状を有するヒューマノイドロボットに採用することが困難である。
上記の点に鑑み、本発明は、人間の手と同様の動作を実現し且つ小型軽量化を可能とすることにより、ヒューマノイドロボットに好適に採用できる5指型ハンド装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するために、本発明は、人間の手を模倣することにより手の平及び手の甲を有する基部と5本の指に夫々対応する屈伸機能を有した拇指機構、示指機構、中指機構、環指機構、及び小指機構とを備える5指型ハンド装置において、前記示指機構と前記中指機構との何れか一方又は両方及び前記拇指機構は、指先部に作用する力を検出する力センサを備えると共に指先でのつまみ動作を含む器用動作を行う器用指とされ、該器用指以外の指機構は、前記力センサを備えないと共に前記器用指の動作に応じて握り動作を含む力動作を行う力指とされ、前記拇指機構を除く4つの指機構は、その夫々に、1軸で回動する遠位指節間関節と、該遠位指節間関節の回動軸に平行の軸線回りに1軸で回動する近位指節間関節と、該近位指節間関節の回動軸に平行の軸線を有する第1の回動軸及び該第1の回動軸の軸線に交差する軸線を有する第2の回動軸の2軸で回動する中手指節関節と、第1の回動軸の回動を駆動する第1の関節回動駆動手段とを備え、前記器用指とされる指機構の中手指節関節は、第2の回動軸の回動を駆動する第2の関節回動駆動手段を備え、前記力指とされる指機構の中手指節関節は、第2の回動軸が前記力動作に応じて自在に回動することを特徴とする。
ここで、「器用指」とは、人間の手においてつまみ動作等の繊細な作業を行う際に用いられる器用な指をいい、「力指」とは、人間の手において握り動作等のように強い力で握り込んで保持したり、持ち替え時に一時的に保持したりする際に用いられる指をいう。
このような人間の把持動作の際の各指の役割分担については、本発明者による人間の手及び指の動きを分析した結果に基づいている。人間の指では、拇指及び示指、或いは、拇指、示指及び中指が器用指として機能し、環指及び小指が力指として機能する。
このことから、本発明においては、示指機構と中指機構との何れか一方又は両方及び拇指機構を器用指とし、器用指にのみ指先部に作用する力を検出する力センサを備える。これにより、力センサからの情報により器用指の指先力を制御することが可能となり、器用指による繊細な作業を行うことができると同時に、力指には力センサを設けずに軽量化を図ることができる。従って、本発明によれば、人間の手と同様の動作を実現することができ且つ小型軽量化することができる。
本発明において採用する力センサは1軸力センサであってもよいが、指先部に作用する力を確実に検出して高精度な指先力の制御が行えるものとして、6軸力センサ等の多軸力センサであることが好ましい。
また、本発明によれば、器用指とされる指機構の中手指節関節は、その両回動軸が夫々第1の関節回動駆動手段及び第2の関節回動駆動手段により駆動されて、屈伸方向だけでなく指機構同士の間隔方向にも器用指とされる指機構を動かすことができ、円滑に器用動作を行うことができる。
一方、力指とされる指機構の中手指節関節の第2の回動軸は、力動作に応じて自在に回動するので、例えば、物品を握り込んだ際に物品の姿勢や形状に沿って力指が指機構同士の間隔方向に自然に動き、最適な力動作が行われる。同時に、力指とされる指機構の中手指節関節の第2の回動軸を回動させるための第2の関節回動駆動手段が不要となるので、力指とされる指機構を小型軽量化することができる。
更に、本発明においては、前記近位指節間関節と前記中手指節関節との間に配設されて該近位指節間関節の回動を駆動する第3の関節回動駆動手段を備え、前記遠位指節間関節は、近位指節間関節の回動に連動させるリンク機構を介して該近位指節間関節に連結されていることが好ましい。
これによれば、示指機構、中指機構、環指機構、及び小指機構の夫々において、遠位指節間関節は、リンク機構により近位指節間関節に連動するので、人間の指と同じ自然な動きが得られ、しかも、近位指節間関節を回動させる第3の関節回動駆動手段で遠位指節間関節の回動も行えるので、関節回動駆動手段の数量を削減して指機構を小型軽量化することができる。
本発明の一実施形態の5指型ハンド装置を示す概略構成図。 ハンド本体の各関節を模式的に示す説明図。 ハンド本体の内部構造を手の甲側から示す説明図。 ハンド本体に備える指機構の一つを示す説明的断面図。 ハンド本体に備える拇指機構を示す説明的断面図。 本実施形態における駆動手段の一部の構成を模式的に示す説明図。 駆動手段の作動を模式的に示す説明図。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の5指型ハンド装置1は、図1に示すように、人間の手を模倣したハンド本体2と、ハンド本体2を駆動する駆動手段3とにより構成され、所謂ヒューマノイドロボットに好適に用いることができるものである。
ハンド本体2は、基部4と、5本の指に夫々対応する屈伸機能を有した5つの指機構である拇指機構5、示指機構6、中指機構7、環指機構8、及び小指機構9とを備えている。基部4は、各指機構を連結支持するフレーム10を備え、基部4の表側が手の甲とされ裏側が手の平とされる。図1は、ハンド本体2の手の平側を示している。
各指機構は、各関節を露出させて指表皮部材11により被覆され、基部4は基部表皮部材12により被覆されている。
各指機構は、図2に模式的に示すように、複数の指節及び関節を備えている。示指機構6、中指機構7、環指機構8、及び小指機構9は、夫々、指先側から順に、DIP関節13(遠位指節間関節)、PIP関節14(近位指節間関節)、MP1関節15、及びMP2関節16を備えて、各関節毎に回動自在とされている。
DIP関節13は1軸で回動し、PIP関節14はDIP関節13と平行の軸線回りに1軸で回動する。MP1関節15及びMP2関節16は2軸で回動する中手指節関節を構成するものであって、MP1関節15はPIP関節14と平行の軸線回りに回動し、MP2関節16はMP1関節15に交差する軸線回りに回動する。
DIP関節13と、PIP関節14と、MP1関節15とは、基部4の手の平側に向かう方向に回動して握り動作等の屈伸運動が行えるようになっている。MP2関節16は、各指機構同士が近接・離間する方向に各指機構を揺動させ、例えば手を広げる動作等が行えるようになっている。
拇指機構5は、図2に模式的に示すように、指先側から順に、IP関節17(拇指指節間関節)、MP関節18(拇指中手指節関節)、CM1関節19、及びCM2関節20を備えて、各関節毎に回動自在とされている。
IP関節17は1軸で回動し、MP関節18はIP関節17と平行の軸線回りに1軸で回動する。CM1関節19及びCM2関節20は2軸で回動する手根中手関節を構成するものであって、CM1関節19はMP関節18と平行の軸線回りに回動し、CM2関節20はCM1関節19に交差する軸線回りに回動する。
IP関節17と、MP関節18と、CM1関節19とは、基部4の手の平側或いは他の4つの指機構6,7,8,9の何れかの指腹側に向かう方向に回動して握り動作等の屈伸運動が行えるようになっている。CM2関節20は、拇指機構5を手の平側或いは他の4つの指機構6,7,8,9の何れかの指腹側に対向するように回動させる。
5つの指機構のうち、拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7の3つの指機構は、後述するように指先でのつまみ動作を含む器用動作を行う器用指とされ、環指機構8及び小指機構9は、器用指の動作に応じて握り動作を含む力動作を行う力指とされている。
本発明者は、人間の手及び指の動きを分析した。その結果、本発明者は、拇指、示指、及び中指が比較的繊細な作業を行う際に用いられ、環指及び小指が物体を比較的強い力で握って保持したり、持ち替え時に一時的に保持したりする際に用いられていることを知見した。
人間が机等に載置されている円柱状の物体をつかみ上げるときの動作を例にとって説明すると、先ず、拇指、示指、及び中指により物体に触れて物体の姿勢を確認すると共に、拇指、示指、及び中指における力の入れ具合により物体を握り易い姿勢に修正する。次いで、拇指、示指、及び中指の各指先で物体を挟んで物体をつまみ上げる(つまみ動作)。このとき、環指及び小指が物体の握り込みを開始し、拇指、示指、及び中指による把持から環指及び小指による把持に移行する。その後、環指及び小指が物体を比較的強い力でしっかり握り込み(握り動作)、それに添えるようにして拇指、示指、及び中指が物体を握って物体のつかみ上げ動作が完了する。以上のつかみ上げ動作は切れ目なく連続して迅速に行われる。
器用指とされる拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7は、図3及び図4に示すように、力センサである6軸力センサ21を備えている。6軸力センサ21は、拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7の各指先部材22に傾斜する姿勢で取付けられている。6軸力センサ21は、器用指の指先部材22に作用する6軸力、即ち、互いに直交する3軸(x軸、y軸、z軸)方向の並進力と各軸周りのモーメントとを測定する。そして、6軸力センサ21から出力される6軸力の測定値に基づいて器用指における指先力の制御が行なわれる。
示指機構6の構成を説明すれば、図4に示すように、示指機構6は、MP1関節15の回動軸151(中手指節関節の第1の回動軸)を回動させる第1の従動流体圧シリンダ23(本発明における第1の関節回動駆動手段)と、PIP関節14の回動軸141を回動させる第2の従動流体圧シリンダ24(本発明における第3の関節回動駆動手段)とを備えている。
第1の従動流体圧シリンダ23のシリンダ本体231は、人間の中手骨に相当し、MP2関節16の回動軸161(中手指節関節の第2の回動軸)により回動自在に前記基部4のフレーム10(図1参照)に支持されている。第2の従動流体圧シリンダ24のシリンダ本体241は、人間の基節骨に相当し、MP1関節15の回動軸151を介して第1の従動流体圧シリンダ23に回動自在に連結されている。
第2の従動流体圧シリンダ24のシリンダ本体241に流体を供給する配管244は、MP1関節15の回動軸151の内部に収容されている。これにより、MP1関節15の回動時に配管244が邪魔にならず、示指機構6の屈伸動作を円滑に行うことができる。
また、第2の従動流体圧シリンダ24のシリンダ本体241を示指機構6の長手方向に沿ってMP1関節15とPIP関節14との間に配設することにより、示指機構6をコンパクトに構成することができる。
PIP関節14には、人間の中節骨に相当する連結部材25を介してDIP関節13が連結されている。DIP関節13の回動軸131には、前記指先部材22に連設された6軸力センサ21を支持する支持部材26が回動自在に連結されている。連結部材25は、その一端がPIP関節14の回動軸141に回動自在に連結され、他端がDIP関節13の回動軸131に連結されている。
更に、PIP関節14とDIP関節13との間には、リンク部材27(リンク機構)が設けられている。リンク部材27は、第2の従動流体圧シリンダ24のシリンダ本体241と指先部材22の6軸力センサ21を支持する支持部材26とを連結する。
第1の従動流体圧シリンダ23は、シリンダ本体231内部に流体が供給されることによりピストン232が摺動し、ピストンロッド233が伸縮してMP1関節15を回動させる。これにより、示指機構6がMP1関節15を介して屈伸する。
第2の従動流体圧シリンダ24は、シリンダ本体241内部に流体が供給されることによりピストン242が摺動し、ピストンロッド243が伸縮してPIP関節14を回動させる。このとき、PIP関節14とDIP関節13とが、連結部材25とリンク部材27とにより連結されているので、第2の従動流体圧シリンダ24によるPIP関節14の回動に追従してDIP関節13が回動する。
DIP関節13は、第2の従動流体圧シリンダ24によるPIP関節14の回動に連動するように構成されているので、人間の指の動きに近い動作が得られるだけでなく、DIP関節13を駆動するためのシリンダ等が不要となり、示指機構6を軽量に構成することができる。
以上の構成により、示指機構6は、第1の従動流体圧シリンダ23及び第2の従動流体圧シリンダ24のピストンロッド231,241を伸長させることによりを折り曲げ状態となり、ピストンロッド231,241を収縮させることにより延ばし状態となる。
示指機構6のMP2関節16は、図3に示すように、各指機構の配列方向に沿ってピストンロッド283が伸縮する第3の従動流体圧シリンダ28(本発明における第2の関節回動駆動手段)により回動される。第3の従動流体圧シリンダ28は、ピストンロッド283を伸長させることにより示指機構6を中指機構7に近接する方向に揺動させ、ピストンロッド283を収縮させることにより示指機構6を中指機構7から離反する方向に揺動させる。
図4に示すように、PIP関節14、MP1関節15及びMP2関節16の夫々にはコイルばね14s,15s,16s(ねじりばね)が設けられている。PIP関節14及びMP1関節15の各コイルばね14s,15sは、示指機構6を延ばし方向に付勢する。MP2関節16のコイルばね16sは、示指機構6を中指機構7から離反させる方向に付勢する。言い換えれば、各コイルばね14s,15s,16sの付勢方向は、3つの従動流体圧シリンダ23,24,28のピストンロッド233,243,283の収縮方向と同じ方向とされている。
以上、器用指とされる示指機構6の構成を詳しく述べたが、器用指とされる中指機構7の構成も示指機構6と同じである。
力指とされる環指機構8及び小指機構9は、示指機構6の上述した構成のうち、6軸力センサ21と第3の従動流体圧シリンダ28とを備えないこと以外は、示指機構6と同じ構成である。環指機構8及び小指機構9は、第3の従動流体圧シリンダ28を備えないことにより、MP2関節16が力動作に応じて自在に回動し、MP2関節16のコイルばね16sの付勢により所定位置に自然復帰するようになっている。
器用指とされる拇指機構5の構成を説明すれば、図5に示すように、拇指機構5は、CM1関節19の回動軸191(手根中手関節の第1の回動軸)を回動させる第1の従動流体圧シリンダ29と、MP関節18の回動軸181を回動させる第2の従動流体圧シリンダ30とを備えている。
第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291は、CM2関節20の回動軸(手根中手関節の第2の回動軸)とされており、回動自在に前記基部4のフレーム10に支持されている。
このように、第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291をCM2関節20回動軸として兼用することにより、第1の従動流体圧シリンダ29とCM2関節20の回動軸とを別々に設けた場合に比べてコンパクトとなる。しかも、CM2関節20の回動に伴う第1の従動流体圧シリンダ29の揺動は全くなく、その揺動スペースが不要となるので極めてコンパクトに構成することができる。
第2の従動流体圧シリンダ30のシリンダ本体301は、CM1関節19の回動軸191を介して第1の従動流体圧シリンダ29に回動自在に連結されている。
第2の従動流体圧シリンダ30のシリンダ本体301に流体を供給する配管304は、CM1関節19の回動軸191の内部に収容されている。これにより、CM1関節19の回動時に配管304が邪魔にならず、拇指機構5の屈伸動作を円滑に行うことができる。
MP関節18には、連結部材31を介してIP関節17が連結されている。IP関節17の回動軸171には、前記指先部材22が回動自在に連結されている。連結部材31は、その一端がMP関節18の回動軸181に回動自在に連結され、他端がIP関節17の回動軸171に連結されている。
更に、MP関節18とIP関節17との間には、リンク部材32(リンク機構)が設けられている。リンク部材32は、第2の従動流体圧シリンダ30のシリンダ本体301と指先部材22の6軸力センサ21を支持する支持部材33とを連結する。
第1の従動流体圧シリンダ29は、シリンダ本体291内部に流体が供給されることによりピストン292が摺動し、ピストンロッド293が伸縮してCM1関節19を回動させる。これにより、示指機構6がCM1関節19を介して屈伸する。
第2の従動流体圧シリンダ30は、シリンダ本体301内部に流体が供給されることによりピストン302が摺動し、ピストンロッド303が伸縮してMP関節18を回動させる。このとき、MP関節18とIP関節17とが、連結部材31とリンク部材32とにより連結されていることにより、第2の従動流体圧シリンダ30によるMP関節18の回動に追従してIP関節17が回動する。
IP関節17は、第2の従動流体圧シリンダ30によるMP関節18の回動に連動するように構成されているので、人間の指の動きに近い動作が得られるだけでなく、IP関節17を駆動するためのシリンダ等が不要となり、拇指機構5を軽量に構成することができる。
以上の構成により、拇指機構5は、第1の従動流体圧シリンダ29及び第2の従動流体圧シリンダ30のピストンロッド293,303を伸長させることによりを折り曲げ状態となり、ピストンロッド293,303を収縮させることにより延ばし状態となる。
拇指機構5のCM2関節20は、図3に示すように、各指機構の配列方向に沿ってピストンロッド343が伸縮する第3の従動流体圧シリンダ34により回動される。拇指機構5は、第3の従動流体圧シリンダ34のピストンロッド343を伸長させることにより、基部4の手の平側に回動し、第3の従動流体圧シリンダ34のピストンロッド343を収縮させることにより示指機構6に隣り合う方向に回動する。
図5に示すように、第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291への流体の供給は、CM2関節20の回動軸である第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291の軸受け部101の内部に形成された流体路294を介して行われる。これにより、第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291を円滑に回動させることができ、CM2関節20による拇指機構5の回動を円滑に行うことができる。
図3及び図5に示すように、MP関節18、CM1関節19及びCM2関節20の夫々にはコイルばね18s,19s,20s(ねじりばね)が設けられている。MP関節18及びCM1関節19の各コイルばね18s,19sは、拇指機構5を延ばし方向に付勢する。CM2関節20のコイルばね20sは、第1の従動流体圧シリンダ29のシリンダ本体291の外周を包囲するようにして設けられ、拇指機構5を示指機構6に隣り合う方向に回動する方向に付勢する。言い換えれば、各コイルばね18s,19s,20sの付勢方向は、3つの従動流体圧シリンダ29,30,34の各ピストンロッド293,303,343の収縮方向と同じ方向とされている。
そして図示しないが、ハンド本体2の指腹側を覆う指表皮部材11や手の平側を覆う基部表皮部材12には、所定位置に複数の接触センサが設けられている。
以上、ハンド本体2の構成について説明したが、次に、ハンド本体2の各指機構を駆動するための駆動手段3について説明する。
駆動手段3は、図1に示すように、ハンド本体2の外部に設けられた駆動シリンダユニット35と、この駆動シリンダユニット35を介してハンド本体2を制御するコントローラ36(制御手段)と、前述した各従動流体圧シリンダ23,24,28,29,30,34とにより構成される。
駆動シリンダユニット35は、図1に示すように、複数の駆動流体圧シリンダ37を備えている。駆動流体圧シリンダ37は、図6に示すように、内部に流体を収容するシリンダ本体371と、シリンダ本体371の内部を摺動するピストン372と、ピストン372に連設された中空のピストンロッド373とを備えている。更に、駆動流体圧シリンダ37は、ピストンロッド373の軸線に沿ってピストンロッド373内に挿入されるボールネジ38と、ピストンロッド373の内部に固設されてボールネジ38に螺合する螺合部材39と、ボールネジ38を回転駆動することにより螺合部材39を介してピストンロッド373を進退させるモータ40(回転駆動手段)と、モータ40の作動量を検出するためのエンコーダ41とを備えている。
モータ40は、回転伝達手段としてのプーリ42,43に掛けわたされたベルト44を介してボールネジ38を回転駆動する。これにより、モータ40の出力軸401とピストンロッド373との軸線が平行となり、モータ40をシリンダ本体371に隣設することができてコンパクトに形成される。
駆動シリンダユニット35の各駆動流体圧シリンダ37は、ハンド本体2に内蔵されている前述の従動流体圧シリンダ23,24,28,29,30,34に、1つずつ対応して計13個設けられている。図1に概略を示しているが、駆動シリンダユニット35の各駆動流体圧シリンダ37とハンド本体2の各従動流体圧シリンダ23,24,28,29,30,34とは夫々が流体圧伝達管45を介して各別に接続される。
この構成により、図7(a)及び(b)に模式的に示すように、駆動流体圧シリンダ37の内部に流体を送出・吸入すれば、それに対応して各従動流体圧シリンダ23(24,28,29,30,34)では流体が圧入・排出され、従動流体圧シリンダ37による指機構6(7,8,9,5)の駆動が行われる。このとき、コントローラ36がモータ40を介して駆動流体圧シリンダ37における流体の送出量及び吸入量を制御することにより、従動流体圧シリンダ23(24,28,29,30,34)によって指機構6(7,8,9,5)に所望の屈伸作動を行わせることができる。そして、駆動シリンダユニット35をハンド本体2の外部に設けたことにより、ハンド本体2を小型軽量として、例えば人間の標準的な手と同等の大きさのハンド本体2を得ることができる。更に、各駆動流体圧シリンダ37及び各従動流体圧シリンダ23,24,28,29,30,34の流体圧により各指機構5,6,7,8,9を作動させるので、小型であっても十分な把持力を得ることができる。
また、コントローラ36は、信号線46を介して駆動シリンダユニット35に接続され、各駆動流体圧シリンダ37から各従動流体圧シリンダ23,24,28,29,30,34に伝達される作動用流体圧を調節することにより各指機構の屈伸を制御する。更に、コントローラ36は、信号線47を介してハンド本体2に接続され、器用指とされている拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7の各6軸力センサ21や前記接触センサから得られる情報に基づいて、各駆動流体圧シリンダ37の制御を行う。これによって、コントローラ36は、前述した構成のハンド本体2の各指機構により人間の動作を模倣した把持動作を行うように制御する。
コントローラ36は、例えば、ハンド本体2の各指機構により円柱状の物体(図示せず)をつかみ上げる動作を行うとき、次のようにして指機構を制御する。
先ず、器用指とされている拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7の指先で物体をつまむ動作を行う。次いで、拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7により手の平側の基部表皮部材12に接触するまで物体を把持する。このとき、コントローラ36は、各6軸力センサ21、及び指腹側の指表皮部材11や手の平側の基部表皮部材12に設けられている接触センサの情報に基づき、物体の位置・大きさ・姿勢等を演算する。コントローラ36は、その演算結果に基づいて拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7を動作させるので、つまむ動作から把持する動作に連続的に移行する際に物体のバランスを取りながら物体の姿勢を器用に操ることができる。続いて、コントローラ36は、環指機構8及び小指機構9を作動させ、力指とされる環指機構8及び小指機構9により比較的強い力で物体を握り込み、その後、拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7により比較的強い力で物体を握り込む。このような動作がコントローラ36の制御により行われることにより、人間を模倣して物体の把持動作を行うことができる。また、各指機構に、器用指と力指との役割分担を設定したことにより、器用指とされている拇指機構5、示指機構6、及び中指機構7にのみ6軸力センサ21を設ければよく、環指機構8及び小指機構9を小型軽量に形成することができる。
なお、本実施形態においては、関節回動駆動手段として従動流体圧シリンダを備え、駆動流耐圧シリンダからの流体圧により各指機構5,6,7,8,9を駆動する構成を示したが、それ以外に、本発明の関節回動駆動手段として、図示しないが、モータ等による動力で各指機構5,6,7,8,9を駆動する構成を採用することも可能である。
1…5指型ハンド装置、4…基部、5…拇指機構、6…示指機構、7…中指機構、8…環指機構、9…小指機構、13…DIP関節(遠位指節間関節)、14…PIP関節(近位指節間関節)、15…MP1関節(中手指節関節)、151…回動軸(第1の回動軸)、16…MP2関節(中手指節関節)、161…回動軸(第2の回動軸)、21…6軸力センサ(力センサ)、23…第1の従動流体圧シリンダ(第1の関節回動駆動手段)、24…第2の従動流体圧シリンダ(第3の関節回動駆動手段)、27…リンク部材(リンク機構)、28…第3の従動流体圧シリンダ(第2の関節回動駆動手段)。

Claims (2)

  1. 人間の手を模倣することにより手の平及び手の甲を有する基部と5本の指に夫々対応する屈伸機能を有した拇指機構、示指機構、中指機構、環指機構、及び小指機構とを備える5指型ハンド装置において、
    前記示指機構と前記中指機構との何れか一方又は両方及び前記拇指機構は、指先部に作用する力を検出する力センサを備えると共に指先でのつまみ動作を含む器用動作を行う器用指とされ、
    該器用指以外の指機構は、前記力センサを備えないと共に前記器用指の動作に応じて握り動作を含む力動作を行う力指とされ
    前記拇指機構を除く4つの指機構は、その夫々に、1軸で回動する遠位指節間関節と、該遠位指節間関節の回動軸に平行の軸線回りに1軸で回動する近位指節間関節と、該近位指節間関節の回動軸に平行の軸線を有する第1の回動軸及び該第1の回動軸の軸線に交差する軸線を有する第2の回動軸の2軸で回動する中手指節関節と、第1の回動軸の回動を駆動する第1の関節回動駆動手段とを備え、
    前記器用指とされる指機構の中手指節関節は、第2の回動軸の回動を駆動する第2の関節回動駆動手段を備え、
    前記力指とされる指機構の中手指節関節は、第2の回動軸が前記力動作に応じて自在に回動することを特徴とする5指型ハンド装置。
  2. 前記近位指節間関節と前記中手指節関節との間に配設されて該近位指節間関節の回動を駆動する第3の関節回動駆動手段を備え、
    前記遠位指節間関節は、近位指節間関節の回動に連動させるリンク機構を介して該近位指節間関節に連結されていることを特徴とする請求項記載の5指型ハンド装置。
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