JP3837174B2 - 人工ハンドにおける運動制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、相対運動可能に結合される複数のリンクと、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータとをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される少なくとも2本の指を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、外界の物体との任意の接触運動を制御するための運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロボットなど多数のリンクの結合体の制御において、位置制御や速度制御は公知公用に供されている。また外界の物体との接触を主として力の面から最適に制御するものとして、力制御の概念も実用化されている。実際に器用なロボットを実現する場合には、位置 (または速度) 制御と力制御とを使い分けて、ロボットが物体に接触するまでは位置 (または速度) 制御を行い、物体と接触した後は、力センサなどの情報を用いて力制御を加味した運動制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
力制御を行う場合には、仮想的なばねを計算機上で作りだし、ばね特性を利用して位置変化を力の変化に置き換えて制御するのであるが、ばねの仮想モデルを作るには、より大きな計算機資源を必要とするし、結果としてできたモデルを制御するにも、より高速で大型の計算機を必要とする。もしここで力制御と位置 (または速度) 制御が単純な理論で融和でき、ロボットの運動がよりシンプルな制御式で記述できれば、それだけ安価なコンピュータでロボットを器用に動かすことができる。また従来のように違う2つの理論を使い分けると、その切替え時のロボットの動きを滑らかには行い難いと言う欠点もあったが、同一の理論で制御ができれば、より滑らかなロボットの運動が実現できる。
【0004】
このような問題を解決するための技術が、たとえば特公平5−66610号公報等で開示されているが、そのような先行技術でもなお制御則が複雑である。
【0005】
本発明は、力制御および位置(または速度)制御の統一を行い、より一層単純な制御則で人工ハンドの器用な運動を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、相対運動可能に結合される複数のリンクと、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータとをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指と共働して物体の把持動作を含む動作を行うべく特定位置に対向する対向位置に配置される残余の複数の対向指のうち少なくとも1本である第1対向指の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段と、前記各指の行動計画を定める行動計画部と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段とを備え、所定の強さで物体を把持した後に物体を前記特定指側に引きつけるようにした指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体の引きつけにあたっては物体の把持を完了した時点での第1対向指の作動変位量代表指標を維持するとともに各対向指のうち第1対向指とは異なる少なくとも1本の第2対向指および前記特定指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記駆動制御手段は、把持した物体を前記特定指側に引きつける際に前記特定指に加わる外力が減少したときには、前記特定指に関する前記所定の目標値を減少させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、相対運動可能に結合される複数のリンクと、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータとをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段と、前記各指の行動計画を定める行動計画部と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を前記特定指で押すようにした指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を前記特定指で押すにあたっては物体の把持を完了した時点での前記特定指の作動変位量代表指標を維持するように特定指を作動せしめるとともに前記対向指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加えて、前記駆動制御手段は、把持した物体を前記特定指で押す際に前記対向指に加わる外力が減少したときには、前記対向指に関する前記所定の目標値を減少させることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、相対運動可能に結合される複数のリンクと、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータとをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段と、前記各指の行動計画を定める行動計画部と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を保持する指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を保持するにあたっては物体の把持を完了した時点での前記作動変位量代表指標を維持するように前記特定指を作動せしめるとともに前記対向指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記アクチュエータは、モータの作動に応じた流体圧を発生する流体圧源が接続される流体圧アクチュエータであり、第1検出手段は、前記モータに機械的に係合するエンコーダの出力を微分して速度情報を作りだす微分回路であり、第2検出手段は流体圧源からアクチュエータに供給される作動流体の圧力を検出する圧力センサであることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成に加えて、前記駆動制御手段が、前記圧力センサによる検出圧力の変化に応じて指が物体と接触し始めたことを認識することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記駆動制御手段が、前記第1および第2の指標の変化から各々の指と物体との接触開始を検知し、各々の指が当該物体と接触を開始した時刻に差があるときにはその差分を基に人工ハンドおよび当該物体間の相対位置ずれを推定することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、指の位置を代表する指標を検出する検出手段を備え、前記駆動制御手段は、前記指の少なくとも1つが物体と接触するとき、第1または第2の指標の変化に基づいて各々の指と当該物体との接触の有無を検知し、接触開始後の第2の指標ならびに当該指の位置を代表する指標に基づいて当該物体の剛性値を推定し、前記剛性値に基づいて前記目標値を変更することを特徴とする。
【0015】
さらに請求項10記載の発明は、相対運動可能に結合される複数のリンクと、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータとをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、モータの作動に応じた流体圧を発生するようにして流体圧アクチュエータである前記アクチュエータに接続される流体圧源と、流体圧を絞るようにして前記流体圧源およびアクチュエータ間を結ぶ流体管路に設けられる絞り手段と、該絞り手段を作動流体が通過するときに生ずる圧力損失が流体流速を代表するとともに流体圧力が外力を代表することに基づいて絞り手段の上流側で前記流体管路に設けられる圧力センサと、前記複数の指の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標をそれぞれ検出する作動変位量代表指標検出手段と、前記各指の行動計画を定める行動計画部と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を保持する指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、前記圧力センサの検出値が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を保持するにあたっては物体の把持を完了した時点での前記各指の前記作動変位量 代表指標を維持するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする。
【0016】
【実施例】
以下、図面によりリンク装置をロボットの人工ハンドに適用したときの実施例について説明するが、人間の手を模しているこの人工ハンドの構造の説明にあたって、各部の名称を次のように定義する。
(1)親指を第1指と名付け、以下順に小指まで第5指とする。
(2)骨に相当するリンクの名称も解剖学に準拠して、手の甲に一部が収納されるリンクを中手リンクと呼び、親指のものを第1中手リンクとする。したがって小指のものは第5中手リンクと呼ぶ。
(3)中手リンクに連結されるリンクを、それぞれ第1基節リンク、第2基節リンク……第5基節リンクと呼称する。
(4)各基節リンクに連結されるリンクを、それぞれ第2中節リンク、第3中節リンク……第5中節リンクと呼ぶ。但し第1指については、中節リンクは存在しない。
(5)最先端のリンクを、それぞれ第1末節リンク、第2末節リンク……第5末節リンクと呼ぶ。
(6)自由度とは、制御的に完全に独立して動作を決定できる関節を意味し、この明細書において共通の流体圧を用いて駆動される複数のアクチュエータは、自由度が「1」であるとする。すなわちアクチュエータの個数が自由度を意味するものではない。
【0017】
図1ないし図9は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は本発明の適用に最適なロボットの外観図、図2はロボットのハンド(右手)の機構を手の甲側から見た平面図、図3はハンドの駆動回路図、図4はロボット全体の制御ブロック図、図5はハンドの制御ブロック図、図6は制御アルゴリズムの一部を示す図、図7は制御アルゴリズムの残部を示す図、図8はハンドが物体を掴む際の物体の硬さに応じた反力の変化を示す図、図9はハンドが物体を把持しようとする際の説明図である。
【0018】
先ず図1において、この2足2腕型の作業ロボットでの2足の駆動機構は、複数の関節a(i)をモータなどで適切に駆動することにより左右の足を交互に動かして任意形状の地形上を移動するように構成されるものである。その構成の詳細については、本出願人の出願が既に開示(特開平3−184782号)されており、本発明の主要な構成要素をなすものではないため、ここでは、それ以上の説明をしない。
【0019】
また2腕の部分は、複数の関節b(i)をモータ等で適切に駆動することにより、与えられた作業に適した位置および方向に左右の手首を移動せしめるように構成されるものであり、このような腕の制御は産業用ロボット等で既に公知公用に供されているので、これ以上の説明は不要と思われる。
【0020】
手首の先には、本発明のリンク結合体である一対の人工ハンドH,Hが設けられるが、説明の単純化のために、以下、片側(右側)の人工ハンドHについてのみ説明する。
【0021】
図2において、この人工ハンドHは、リンク結合体である第1ないし第5指F1 〜F5 が基部8に連結されて成るものであり、基部8に対して、第1指F1 の第1中手リンク11は軸15のまわりに回動可能に、第2指F2 の第2中手リンク21は軸25のまわりに回動可能に、また第5指F5 の第5中手リンク51は軸55のまわりに回動可能にそれぞれ連結される。さらに第3指F3 の第3中手リンク31および第4指F4 の第4中手リンク41は基部8に一体に設けられる。
【0022】
第1指F1 は、軸15のまわりに回動可能な第1中手リンク11と、第1中手リンク11の先端部に軸16を介して回動可能に連結される第1基節リンク12と、第1基節リンク12の先端部に軸18を介して回動可能に連結される第1末節リンク14とから成る。これらのリンク11,12,14をそれぞれの軸15,16,18のまわりに回動させるために、シリンダー形式の流体圧アクチュエータA10,A11,A13が用意されており、流体圧アクチュエータA10は基部8および第1中手リンク11間に、流体圧アクチュエータA11は第1中手リンク11および第1基節リンク12間に、流体圧アクチュエータA13は第1基節リンク12および第1末節リンク14間にそれぞれ配設される。而して流体圧アクチュエータA10が伸展作動すると、第1中手リンク11は軸15のまわりに回動し、第1指F1 が図2で紙面の奥側すなわち掌側に屈曲される。また流体圧アクチュエータA11が伸展作動すると、第1中手リンク11に対して第1基節リンク12は図2の軸16のまわりに時計方向に回動する。さらに流体圧アクチュエータA13が伸展作動すると、第1末節リンク14は第1基節リンク12に対して図2の軸18のまわりに時計方向に回動する。回動した各リンク11,12,14を元の状態に戻すには、流体圧アクチュエータA10,A11,A13に作用している流体圧を解放すればよく、そうすれば、第1中手リンク11はばね19による機械的な復元力で戻され、第1基節および末節リンク12,14は図示しないばねによる機械的な復元力で戻される。
【0023】
第2指F2 は、基部8に連結される第2中手リンク21と、第2中手リンク21の先端部に軸26を介して回動可能に連結される第2基節リンク22と、第2基節リンク22の先端部に軸27を介して回動可能に連結される第2中節リンク23と、第2中節リンク23の先端部に軸28を介して回動可能に連結される第2末節リンク24とから成り、第2中手リンク21は詳細な説明を省略するが、第3指F3 に対して近接・離反する方向に軸25のまわりに回動することを許容されて基部8に機械的に結合されている。第2基節、中節および末節リンク22,23,24を各軸26,27,28のまわりに回動駆動するために、シリンダー形式の流体圧アクチュエータA21,A22,A23が用意されており、これらの流体圧アクチュエータA21,A22,A23は、流体圧の作用に応じて進展作動し、それにより第2指F2 が掌側に屈曲される。而して第2指F2 を元の位置に戻すには、各流体圧アクチュエータA21,A22,A23の流体圧を解放すればよく、第1指F1 の場合と同様に、図示しないばねによる機械的な復元力で第2指F2 が元の位置に戻る。
【0024】
第3指F3 、第4指F4 および第5指F5 の構成もほぼ第2指F2 と同じである。すなわち第3指F3 は、基部8に一体化される第3中手リンク31、第3基節リンク32、第3中節リンク33および第3末節リンク34を有し、第3基節、中節および末節リンク32,33,34を軸36,37,38のまわりにそれぞれ回動駆動するために、シリンダー形式の流体圧アクチュエータA31,A32,A33が設けられる。また第4指F4 は、基部8に一体化される第4中手リンク41、第4基節リンク42、第4中節リンク43および第4末節リンク44を有し、第4基節、中節および末節リンク42,43,44を軸46,47,48のまわりにそれぞれ回動駆動するために、シリンダー形式の流体圧アクチュエータA41,A42,A43が設けられる。さらに第5指F5 は、第2指F2 と同様にして軸55を介して基部8に機械的に結合される第5中手リンク51、第5基節リンク52、第5中節リンク53および第5末節リンク54を有し、第5基節、中節および末節リンク52,53,54を軸56,57,58のまわりにそれぞれ回動駆動するために、シリンダー形式の流体圧アクチュエータA51,A52,A53が設けられる。
【0025】
而して物体を把持する際に、特定位置に在る第1指F1 に対して、第2ないし第5指F2 〜F5 は、特定位置に対向する対向位置に配置可能となる。
【0026】
ところで、各流体圧アクチュエータA10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53に作動流体を供給する供給パイプは、5本の指F1 〜F5 から関節自由度の分だけ集められ、手首の関節を介して前腕部に到達する。実際には末節リンク14,24,34,44,54および中節リンク23,33,43,53は個別に動くことは少なく、実用的なハンドでは同じ圧力源から同圧の作動流体を供給されて、均等な力で物を把持する場合が多い。たとえば特開昭54−157967号公報にもこの考えは開示されている。したがって実用的にはアクチュエータの数よりも少ない供給パイプが手首関節を通ることになる。
【0027】
図3において、第1指F1 の第1中手リンク11および基部8間に設けられる流体圧アクチュエータA10には、第1流体圧源S1が接続され、第1指F1 における第1中手および基節リンク11,12間ならびに第1基節および末節リンク12,14間にそれぞれ設けられている流体圧アクチュエータA11,A13には第2流体圧源S2が接続され、第2指F2 の第2中手および基節リンク21,22間に設けられている流体圧アクチュエータA21には第3流体圧源S3が接続され、第2指F2 における第2基節および中節リンク22,23間ならびに第2中節および末節リンク23,24間にそれぞれ設けられている流体圧アクチュエータA22,A23には第4流体圧源S4が接続され、第3指F3 の各流体圧アクチュエータA31,A32,A33には第5流体圧源S5が接続され、第4および第5指F4 ,F5 の各流体圧アクチュエータA41〜A43,A51〜A53には第6流体圧源S6が接続される。
【0028】
第1ないし第6流体圧源S1〜S6は基本的に同一の構成を有するものであり、代表して第2流体圧源S2の構成を説明する。而して第2流体圧源S2は、モータMと、モータMの作動に応じて流体圧を出力するマスタシリンダ60とを備えるものであり、モータMの回転出力は歯車機構61を介してナット62に伝達され、該ナット62にスクリュウ軸63が螺合される。而してスクリュウ軸63は、スクリュウ軸63の軸線方向に沿って延びて固定位置に在る案内溝(図示せず)に精度よく噛合される矩形の係止部64を備えるものであり、スクリュウ軸63の軸線まわりの回転は阻止されるが軸線方向に沿う移動は許容されている。したがってナット62の回転に応じてスクリュウ軸63はその軸線に沿う左右に駆動されることになり、ナット62の回転に応じてスクリュウ軸63が図3の左側に押し出されると、マスタシリンダ60に摺動可能に嵌合されたプランジャ65が、マスタシリンダ60内の圧力室66を加圧し、マスタシリンダ60から流体圧が出力されることになる。
【0029】
モータMにはその回転角度を精度よく検知するエンコーダ87が付設されており、またマスタシリンダ60には、圧力室66の流体圧を検出する圧力センサPSが取付けられる。
【0030】
ところで、図示の構成では第4および第5指F4 ,F5 における6個の流体圧アクチュエータA41〜A43,A51〜A53が第6流体圧源S6に共通に接続されており、第6流体圧源S6から流体圧が出力されたときには、6個の流体圧アクチュエータA41〜A43,A51〜A53が同時に動こうとする。しかるに、どの関節がどの程度動くかは、関節にかかっている負荷によって異なるものであり、同一圧力で駆動されているので一番負荷の小さな関節が一番大きく曲がることになる。この特性は物体を均一な力で掴む上で大変便利な特性となっているが、この点に関しては後ほど説明する。
【0031】
図1に示すロボット全体を制御するための構成について、図4を参照して簡単に説明すると、オペレーターからの命令は、ロボットの行動計画を司る行動計画部71に適切なインターフェイス70を通じて与えられるものであり、インターフェイス70は、必要な操作子70aと、正しく命令を下したかどうか確認できる表示器70bとを備える。而して操作子70aとしては、例えばジョイスティックやキーボード等が公知である。
【0032】
行動計画部71では、受けた命令に基づいて、環境、物体および作業等に関する知識を予め入力されている知識ベース72を参照して作業計画がたてられ、知識ベース32に含まれていない情報については、視覚センサ、触覚センサおよび匂いセンサ等の外界センサ73を用いた情報の補充がなされる。而して行動計画部71での行動計画完成後には、その結果が行動計画部71から統合制御部74に送られ、統合制御部74により行動が起動されるとともに途中の行動が監視される。すなわち、統合制御部74からは、移動を司る移動制御部75、アームの軌道制御を司るアーム制御部76、ならびに指の動作を司るハンド制御部77の各サブブロックに、それぞれが担当する指令が送られ、行動途中の状態が各制御部75,76,77から統合制御部74に送られる。またハンド制御部77でのゲイン設定値はゲイン設定部78から与えられ、外界センサ73による検出値は表示器79で表示され、統合制御部74による制御状態は表示器80で表示される。さらに各制御部75,76,77相互間で簡単なタイミングなどの信号を授受するために、二点鎖線で示す別系統の通信回路が設けられていてもよい。この図4に示すブロック図の概念は、一般に良く知られており、また本発明の主要な部分を構成するものでもないから、ここではこれ以上の説明をしない。
【0033】
本発明の主要部をなすサブブロックであるハンド制御部77の詳細について図5を参照しながら説明すると、ハンド制御部77は、駆動制御手段としての中央演算回路81と、ハンドHの自由度が「6」であることに基づき図3で示した6つの流体圧源S1〜S6に対応した6つのモータ回路MC1〜MC6とを備える。各モータ回路MC1〜MC6は、基本的に同一の構成を有するものであり、代表してモータ回路MC1の構成について述べると、該モータ回路MC1は、モータトルクに対応して中央演算回路81から出力される電流デジタル値をアナログ値に変換するD/A変換器83と、D/A変換器83からの信号を増幅してモータMに与える増幅器84と、モータMの作動量すなわち回転角度を検出するエンコーダ87と、エンコーダ87の検出値を微分する第1検出手段としての微分回路85と、モータMの作動に応じてマスタシリンダ80で発生する流体圧を検出する第2検出手段としての圧力センサPSと、圧力センサPSで得られたアナログ値をデジタル値に変換するA/D変換器86とを備える。而してエンコーダ87で得られたモータMの作動量Ct(作動角度θt)と、微分回路85で得られる微分値ωtすなわち第1指F1 の掌側への屈曲作動速度を代表する第1の指標と、第1指F1 に加わる外力を代表する第2の指標として圧力センサPSで得られた流体圧Pt(外力Ft)とが、中央演算回路81に入力される。
【0034】
次に中央演算回路81に設定されている制御アルゴリズムについて説明するが、その際、人工ハンドの振る舞いとして、
1) 特定の姿勢をとる
2) 物を把持する (掴む/保持する)
3) 相対的に動く物体を第2〜5指を使って動かす
4) 相対的に動く物体を第1指を使って動かす
の4つに限定して説明することにする。
【0035】
ここで「特定の姿勢をとる」とは必ずしも一つの姿勢を意味しないものとする。例えば「気を付け」の姿勢をとるときのように、各指F1 〜F5 を真っ直ぐ延ばした姿勢を意味するし、またバッグの吊り革を握りに行くときのように、第2〜5指F2 〜F5 を揃えて若干曲げた状態にするとともに第1指F1 も少し曲げた状態をも意味するものとする。これを説明の簡単化の為に「特定の姿勢をとる」と呼称しているのである。
【0036】
また、物を把持するとは、掴む動作、ならびに掴んだまま保持するような動作を意味している。保持の例としては手すりに掴まって立っている状態がある。
【0037】
上記3)の事例としては、例えば紐でできた把手のついたバッグなどを下げて運ぶ場合が該当する。この際、バッグの重みで紐は撓み、或る特定の指(例えば第3指F3 )よりも外側の指は、多少後退して、緩んだ紐の形状に馴染んだ形態をとる。また運んでいる最中にはバッグが揺れるので、指全体の形状は紐の形状変化に追従して時々刻々変化する。ロボットが運搬する場合にも、指の形状が人間の場合と同じように変化できれば、それだけ紐には負担がかからず、長持ちできるし、指の側の負担も均一化されて好都合である。この場合の制御としては、ハンド全体としてはバッグの重みに耐えていなければならないし、紐に追従する指としては重みに対し、ある程度後退するしなやかさが求められる。しかし、重みに耐える指は後退を許されない。このとき、第1指F1 はどうなっているかを考察すると、バッグを持ち上げる過程では重みが除かれていく方向なので、把持したときのような制御則では、減少する荷重を追いかけて指は握る方向にどんどん変形していくだろう。これでは握りしめる力ばかりが増えて、エネルギー的にも不経済である。これを人間が行えば、親指の握り力を抜いて自然体にし、上記のような不合理はおきない。ハンドの制御でも不合理を回避する制御則が要る。
【0038】
さらに上記4)の事例としては、例えば石臼をひくときには各指に交互に押し引きの力が現れるが、この押し動作のときなどが該当する。このときも、親指と相手の物体とは相対的に運動をしつつ、且つ全体としては指で相手を押して移動させている。
【0039】
図6および図7を参照して、制御アルゴリズムについて説明するが、この図6および図7において、符号「i」は自由度の区別番号であり、「t」はサンプリング周期を示すものである。
【0040】
先ず図6において、STEP−101〜106では、ゲイン設定値Ksi,ksi,Kgi,β,Khi,khiおよび目標指標Fjiなどの読み込み、統合制御部74(図4参照)からの指令読み込み、ならびにモータ回路MC1〜MC6からのモータ作動量検出値Cti、圧力検出値Ptiおよびモータ作動速度ωtiの読み込がなされる。
【0041】
次のSTEP−110において、特定の姿勢をとることを統合制御部74から指令されていることが確認されたときには、STEP−111〜114において、統合制御部74から与えられたモータ作動量目標値Csiに向けた位置制御が実行される。すなわちSTEP−111では、図6で示すような計算式に従ってモータトルクTsiが算出され、得られたモータトルクTsiがSTEP−112で出力され、STEP−113でモータ作動量目標値Csiとモータ作動量Ctiとの差が比較的小さい設定値C0 未満となったことが確認されたときにSTEP−114で統合制御部74に動作完了が通知される。而して(Csi−Cti)がC0 未満となるまでは、STEP−150,151を経由してSTEP−105に戻ることになる。
【0042】
なお、この実施例では最終ゴールの位置のみが目標値として与えられる場合を例示しているが、途中の複数の通過点の位置を目標値として与えるやり方も公知である。またモータトルクの計算としては、公知の位置制御そのものであり、STEP−111の計算過程に特に新規性はない。
【0043】
次にSTEP−120で、物を把持することを統合制御部74から指令されていることが確認された場合について図7を参照しながら説明する。この際、把持命令と同時に統合制御部74から把持のレベルが伝達されているものとする。たとえば柔らかい物を把持する場合には、行動計画部71は知識ベース72から対象物が柔らかいと言う情報を獲得することができ、「そっと」把持するように指令することができる。また行動計画部71が指令する代わりに、それより上位にあるオペレータが「そっと掴め」と入力することも勿論可能である。本発明ではオペレータが指令しようが、行動計画部71が指令を作りだそうが、いずれでもかまわない。
【0044】
いずれにせよ、把持の強さが与えられるので、STEP−121ではその強さに応じた目標指標Fjiが設定される。ここでは強い把持力のときは目標指標Fjiも大きいものとする。
【0045】
次のSTEP−122ではモータトルクが算出され、算出されたモータトルクがSTEP−123で出力される。すなわちSTEP−122では、圧力検出値Ptiに、モータ作動速度ωtiをβ倍したものを加えた値 (Pti+βωti) が、目標指標Fjiに比べてどの程度足りないかを計算、その差分に適正ゲインKgiを乗じたものがモータトルクTgiとして算出される。なお、ωtiは微分値ではあるが、コンピュータのサンプリング時間が一定である性質を利用して、ωti=Cti−C(t−1)iとおくこともできる。
【0046】
ここで、指が物体と接触するまでのモータ作動量Ctiおよび圧力検出値Ptiの変化を示すと、図8のようになる。物体と接触するまでは圧力は基本的に「0」であるが、本実施例では関節の戻し力を機械的なばねに頼っているので、そのばね力に抗して関節を曲げるための圧力が発生している。最初は電流値が高いが、その結果モータMが回転し、エンコーダ87の出力を微分した速度信号ωtiが増加し、やがて電流指令値は低減して一定の値に収斂する。したがって指が物を掴む速度も一定の速さとなる。この状態で指が対象物に接触すると、圧力検出値Ptiは急速に立ち上がる。このときの立ち上がり方は指の側の剛性が低い程、また相手の物体の剛性が低い程なだらかに立ち上がる。圧力検出値Ptiが増大することにより、 (Pti+βωti)も大きくなり、今までの均衡は破られる。それにより{Fji− (Pti+βωti) }の値も小さくなるので電流指令値は小さくなり、結果的にωtiは小さく(遅く)なる。最後にPtiがほぼFjiに等しくなったときにモータMの回転は停止し、把持動作が完了することになる。
【0047】
このように、速度を代表する第1の指標ωtiと、接触圧力を代表する第2の指標Ptiとを使って第3の指標 (Pti+βωti) を作成し、目標指標Fjiと当該第3の指標 (Pti+βωti) とを比較することで、簡単に位置制御(または速度制御)と力制御とを融合することができる。しかも力の検出には広く用いられている安価な圧力センサPSを利用できるので、従来のように高価でデリケートなロードセルや6軸力センサを用いる必要がなく、しかも圧力センサSPは、マスタシリンダ60から流体圧アクチュエータA10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53までの流体管路のいずれに接続可能であり、設置位置の自由度が増大する。
【0048】
ところで、物を掴む場合、対象物が把持運動の中心にあるとは限らない。例えば図9で示すように、ロボットの手首の位置及び方向が多少狂っていて、把持運動の中心に物体Oが二点鎖線で示す場所にあるものと思って把持したら、実際には実線の位置に物体Oがあったので、第1指F1 よりも先に第2指F2 が物体Oと接触を始めたとしよう。このようなことは人間でもしばしば経験する。しかし本実施例では、第1指F1 および第2指F2 とは同じ制御則で制御されており、力制御が加味されているために、初めに接触を開始した第2指F2 の運動速度は低下し、やがて第1指F1 の移動が追いついて最後には実線の位置の物体Oを同じ力で掴むことが可能となり、物体Oの位置と手首の位置との間に多少のずれがある場合でも、上手に掴むことができる。
【0049】
このフローの最中に、今まで一定であった圧力レベルが増大した時点を検知し、且つ把持が完了した時点を検知することで、相手物体の剛性値を確認可能である。その剛性確認の処理は次の通りである。先ず図8で示す直線の傾き{Pti−P(t−1)i}/ωtiが有意に増大して基準値αth以上となったかどうかがSTEP−124で検討される。この際、物体と指とが接触する迄は圧力レベルは前述の通り概ね一定であり、物体と接触した時点で、圧力は上昇を始めることになる。すなわち傾き{Pti−P(t−1)i}/ωtiが始めてαth以上となったときが物体と接触した時点である。STEP−124ではこの接触の有無が判断され、接触が検知できた場合には、STEP−125においてそのときの圧力がPthi、モータ作動量がCthiとして記憶される。把持が完了した時点はPti≒Fjiであったから、これを逆に言えばωti≒0である。したがって把持が完了するときには、ωtiが極めて小さい正の値ω0 以下となったかどうかを調べれば判るものであり、それがSTEP−126で判断される。而して初めてωti≦ω0 となったときの圧力がPei、モータ作動量がCeiとしてSTEP−127で記憶される。ここで(Pei−Pthi)/(Cei−Cthi)を計算すれば、この値は図8の立ち上がり曲線の平均傾きを表している。これは相手の物体と自分のハンドの剛性の総和に他ならず、STEP−128で剛性値IがI=(Pei−Pthi)/(Cei−Cthi)として演算される。
【0050】
次のSTEP−129では、各指(i:1〜n)についての剛性値Iの単純平均値が演算され、その平均剛性値Σi/nが物体の平均剛性値として、行動計画部71にフィードバックされる。而して行動計画部71において上記フィードバック情報が知識ベース72に登録処理することで、この次に掴むときの指令レベルが改善される。例えば、最初に対象物体の硬さが判らない時には用心の為に「そっと」掴め、と言う指令を与えたとしても、一回目の試行で相手の硬さが硬いと判れば、次からは早く掴むことを指令できる。また最初に人間が与えた知識が間違っていたといしても、一度掴めば、その間違いを正すことも可能になる。
【0051】
なお、STEP−122において算出されるトルクTh1は、把持が完了した時点から第1指F1 全体の位置制御を行って把持状態を保持するためのトルクであり、このトルクThiもSTEP−123で出力される。
【0052】
次にSTEP−130において、相対的に動くものを引きつける場合であると判断された場合について説明する。この場合のモータトルクはSTEP−131で算出されるが、例えば第1指F1 全体および第3指F3 と、第3指F3 以外の指F2 ,F4 ,F5 とでは異なる計算式により、STEP−131においてモータトルクが算出される。すなわち特定位置に在る特定指である第1指F1 全体(i=1)と、特定位置に対向する対向位置に位置する複数の対向指である第2ないし第4指F2 〜F5 のうちの第1対向指である第3指F3 (i=5)とは、モータ作動量Ctiが目標値Ceiとなるような位置制御が実行されて把持したときの位置を保持するが、第2対向指である第2指F2 (i=3,4)、第4および第5指F4 ,F5 (i=6)については、それらの第2対向指に作用する外力を代表する指標Ptiを含む制御則(STEP−122においてTgiを得る計算式)が継続される。但しゲインKgiは保持に適した別のゲインKhiに変更される。また目標指標FjiはSTEP−121で定められた値が引き続き用いられる。而して得られたモータトルクはSTEP−132で出力される。
【0053】
この状態で物体を持ち上げると第3指F3 以外の指F2 ,F4 ,F5 には撓んだ紐から過大な力がかかり、Ptiが大きくなるので、モータMiは逆回転し、全部の指F2 〜F5 に均等な荷重がかかるようになる。
【0054】
また上記動作では、第1指F1 (親指)の負荷が減少して、ほっておけば荷重Pt2を維持しようとしてモータM2が追従運動を初め、結果的にその荷重は他の指F2 ,F3 ,F4 ,F5 を伸展させる無駄な動きを誘発する。これを防止するために、STEP−133では第1指F1 を駆動するモータM2の作動速度ωt2が極小に設定された設定値ω20 を超えるかどうかが判定され、ωt2>ω20 であったときには上記負荷の減少に応じてモータM2が作動しているとして、STEP−134で当該モータM2についてのみ目標指標Fj2が小さく修正される。すなわち、この実施例では一定量ΔFを減じて目標指標Fj2が弱められる。尚、目標指標Fj2を弱める手法としては、上述のように一定量ΔFを減じる以外にも、10%とか一定の割合で弱める手法などをとってもよく、その場合にも同様な効果をもたらし得ることは明白である。
【0055】
このようにして目標指標Fj2は、モータM2の正回転持続に伴って順次弱められ、それにより第1指F1 の追従運動が停止される。
【0056】
ところで、第1指F1 の追従運動を阻止するのは、第3実施例で後述するように、第1指F1 を位置制御として現在位置を保持するように制御することでも達成可能である。而して、そのような位置制御で保持するときには追従運動が全く生じない利点があるのに対し、ここで開示した方法で第1指F1 の追従運動を阻止した場合には、第1指F1 の位置を保持するための電流が実質的に「0」となり、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0057】
STEP−130において、動くものを引きつける動作ではないと判定されたときには、STEP−141〜144の処理に進み、相対的に動くものを第1指F1 で押すことになる。これらのSTEP−141〜144では、第1指F1 と、その他の指F2 〜F4 とで異なる計算式によりモータトルクが算出され、モータMi(i=3〜6)が設定値ωi0 (i=3〜6)を超えたときにモータiが作動しているとして、目標指標Fji(i=3〜6)が小さく修正される。
【0058】
この第1実施例によれば、速度を代表する第1の指標ωtiと、接触圧力を代表する第2の指標Ptiとを単純に加算するだけで、第3の指標(Pti+βωti)を合成し、これを目標指標Fjiと比較することで、位置制御(または速度制御)と力制御とを融合することができ、しかもその計算式は極めて単純なものであるから、計算機資源を小さなもので間に合わせることができる。
【0059】
また人工ハンドと相対的に運動するような物体を動かすとき、注目する指だけを位置制御で制御し、残りの指をそのまま力と位置の合成指標で制御するので、相手によく馴染んだ姿勢をとることができる。相手の物体がハンドに対して相対的に動くような場合、各指F1 〜F5 が均一な力で負担を分担できる利点がある。
【0060】
図10ないし図13は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0061】
先ず図10において、ハンド制御部77´は、中央演算回路81と、6つの流体圧源S1〜S6に対応した6つのモータ回路MC1´〜MC6´とを備えるものである。図5で示した第1実施例のモータ回路MC1〜MC6に対して、各モータ回路MC1´〜MC6´が異なる点は、マスターシリンダ60と指関節の流体圧アクチュエータA10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53との間に、適切な大きさの絞り90が設けられることである。この絞り90により、マスターシリンダ60から送りだされる作動流体の量が単位時間当たり多ければ(即ち流速が速ければ)、絞り90の前後に圧力差を生じさせることができ、圧力センサPSはその差圧分だけ高い圧力を検出することになる。これを指の運動の立場から見れば、指の握る運動速度が速いほど、実際の指を駆動する圧力よりも高い圧力を圧力センサPSは検出することになる。
【0062】
ところで、第1実施例では、エンコーダ87が検出したモータMの回転速度の微分値と圧力センサPSが検出した圧力値とを加算したのであるが、この第2実施例では、既に圧力センサPSの検出した量にモータMの回転速度の情報が含まれていることになる。したがって中央演算回路81側で二つの情報を加算する必要はなくなる。
【0063】
この第2実施例における制御アルゴリズムは図11および図12で示される。而してこの第2実施例では、ハンドの運動が、「特定の姿勢をとる」、「把持する」、「保持する」、ならびに一度把持したものを放す「開放する」の4つの運動しかとらせないものとしている。
【0064】
図11で示すアルゴリズムは、図6で示した第1実施例のアルゴリズムと基本的に同一であり、STEP−201〜206では、ゲイン設定値Ksi,ksi,Kgi,β,Khi,khi,Kri,kriおよび目標指標Fjiなどの読み込み、統合制御部74(図4参照)からの指令読み込み、ならびにモータ回路MC1〜MC6からのモータ作動量検出値Cti、圧力検出値Ptiおよびモータ作動速度ωtiの読み込がなされる。
【0065】
またSTEP−210において、特定の姿勢をとることを統合制御部74から指令されていることが確認されたときには、STEP−211〜214において、統合制御部74から与えられたモータ作動量目標値Csiに向けた位置制御が実行され、(Csi−Cti)がC0 未満となるまでは、STEP−250,151を経由してSTEP−105に戻る処理が繰り返して実行されることになる。
【0066】
図12において、STEP−220で把持することが選択されたときには、STEP−221〜230の処理が実行される。この際、圧力センサPSによる圧力検出値Ptiは既に速度成分を含んでいるので、STEP−222でのモータトルクの算出にあたって計算式には速度情報量は入ってこず、単純に目標指標Fjiと圧力検出値Ptiとの差分に、適切なゲインKgiを乗じた量がモータトルクTgiとして得られることになる。
【0067】
ところで、この第2実施例では、物体の剛性値を計算する為の別の技術が示されている。即ち図13で明らかなように、モータ作動速度ωtiは、物体と接触するまでは実質的に一定であるが、物体と接触が始まると急速に低下し、やがては0となる。したがってSTEP−224では、いずれかの指が物体と接触したかどうか、すなわち図13の曲線が初めて負となったかどうかが判定される。この際、誤差を考慮して、{ωti−ω(t−1)i}が設定値「−ε(εは正)」以下となったかどうかによってモータ作動速度ωtiを示す曲線の勾配が負になったかどうかを確認することが望ましい。
【0068】
STEP−224でいずれかの指が物体と接触したことが確認されたときには、その指に対応するモータのモータ作動量Cthおよび時刻TthがSTEP−225で記憶される。また以前にいずれかの指が物体と接触していたことがSTEP−226で確認されたときにはSTEP−225を迂回してSTEP−226に至る。
【0069】
その後、STEP−227〜230の処理が実行されるが、初めてωti≦ω0 となったことがSTEP−227で確認されたときに、そのときのモータ作動量がCe、時刻がTeとしてSTEP−228で記憶され、STEP−228で剛性値IがI=(Te−Tth)/(Ce−Cth)として演算される。すなわち各指から検出されたIを単純平均するのではなく初めに接触した指が検出した剛性値Iをもって当該物体の剛性値が代表されることになる。その後、STEP−230では、剛性値Iが行動計画部71にフィードバックされ、行動計画部71では上記フィードバック情報が知識ベース72に登録処理される。
【0070】
次に把持しないことが選択されると、STEP−231において、把持したものを運んだり、移動したりするための「保持する」を選択するかしないかの選別がなされる。而して「保持する」が選択されると、STEP−232でモータトルクが算出され、STEP−233で算出されたモータトルクが算出される。
【0071】
ところで、この実施例では保持の姿勢は全ての指についてとられる。したがって第1実施例で説明したバッグのようなものを運ぶ場合には、ハンド全体の形は把持したときのままであるから、紐の変形に追従したものとはならない欠点を持つが、制御そのものは第1実施例より簡潔である。この際の目標値としては、把持したときの最後に検出したモータ作動量Ce が採用される。
【0072】
STEP−231で、保持することも選択されなかったときには、STEP−241〜244の処理が実行され、把持状態を解除する運動が自動的に選択される。ところで、把持状態を解除するためのポーズは、「特定の姿勢」の一つであるが、この例では特に解除姿勢を特定している。而してSTEP−241ではその姿勢に特有の目標置Criが与えられ、この目標値に追従するように、既存の位置制御を働かせている。目標値Criは、例えば「気を付け」のときの人間の姿勢のように、各指を真っ直ぐに伸ばした時のモータ位置が適切な事例の一つである。
【0073】
この第2実施例で特筆すべきは、関節の駆動速度を絞り90による流体の絞り抵抗で置換したことであり、この置換により、速度情報と力情報とが同じ物理単位となり、検出が一つのセンサPSで行えるようになることである。例示のものは、微分回路85で得られたモータ作動速度ωやカウンター値を用いているが、これは剛性の推定などに用いる為のものであり、関節の制御そのものには無用となっている。
【0074】
尚、絞り90は特定の絞りであってもよいし、また管路全体の抵抗値で代用することもあり、後者の場合には視覚的に認識できる形状的な絞りは不要となる。
【0075】
図14および図15は本発明の第3実施例の制御アルゴリズムを示すものであり、このアルゴリズムで開示する技術は、図9で説明したような不具合が生じたときに、その不具合を上位の制御部に通知しておくことで、少なくとも次回からは手首の位置(および方向)をより正確に制御できる技術である。またこのアルゴリズムが適用されるハンド制御部は、図10で示されたものである。
【0076】
この制御アルゴリズムでは、図14におけるSTEP−301〜306、STEP−310〜314,STEP−350,351は、図11で示した第2実施例の制御アルゴリズムにおけるSTEP−201〜206,STEP−210〜214、STEP−250,251とほぼ同一である。
【0077】
図15において、STEP−320で把持するモードが選択されたときには、STEP−321〜329の処理が実行されるが、STEP−320〜323の処理は図12で示した第2実施例の制御アルゴリズムにおけるSTEP−220〜223と同一である。
【0078】
STEP−324では、圧力Ptiが初めて設定値Pth以上となったかどうかにより、いずれかの指が物体と接触したかどうかが確認され、いずれかの指が初めて物体と接触したことが確認されたときには、STEP−325において、その時の各指の位置が記憶される。すなわちSTEP−325では、いずれかの指が物体と接触したときに、接触時点における各指について、駆動しているモータMの自由度区別番号「i」とモータ作動量Cthi−1とが記憶される。また以前にいずれかの指が物体と接触していたことがSTEP−326で確認されたときにはSTEP−325を迂回してSTEP−327に至る。
【0079】
STEP−327では、初めて物体と接触した指と対向位置に在る指が物体と接触したかどうかが、圧力Pti≦Pthとなったかどうかにより確認される。例えば第2〜5指のいずれかが最初に対象物体と接触した場合、対向位置にある指とは第1指(親指)のことである。而してSTEP−328では、対向位置にある指の位置が記憶される。例えば第2〜5指のいずれかが最初に対象物体と接触した場合、対向位置にある指とは第1指(親指)のことであり、STEP−328では、その対向指を駆動するモータの作動量Cthi−2(この例ではi=2)が記憶される。
【0080】
而してSTEP−329では、前回記憶した当該対向位置にある指の位置と今回計測された同じ指の位置との差が、手首関節の位置ずれの程度を表すものとして算出され、差分Eが上位制御部にフィードバックされる。上位の制御部では、前記差分Eをもとに、実施例時間で手首位置を修正することもできるし、あるいは今回の修正は行わず、次回、同じように物体を掴む時、この誤差を考慮した位置に手首を持ってくることもできる。本発明では、この誤差をどのように利用するか迄は議論していない。掴む物体は今回と同じでも、違っていても構わない。要するに位置決めのプロセスに誤差が内在していたことを意味しているので、誤差を生じている事実、及びその誤差の程度を検知できる手法を提供しているのである。
【0081】
以上で述べた手法は、図9に示すような二次元平面内のずれの検出に有効であるが、この技術は、次のように三次元空間内でのずれの検出にも拡大利用可能である。すなわち図9に示した対象物体が長い棒状のものであり、その棒状物体がハンドに対して傾いている場合でも、その傾き誤差の検出が可能となるものである。その際、三次元空間内での位置ずれ検出には、たとえば第2指F2 が最初に対象物体に接触し、第5指F5 が最後に接触したとすれば、最初に第2指F2 が接触したときの第5指F5 の位置と、接触したときの第5指F5 の位置との差分から、前記棒状物体に対するハンドの傾き誤差を推定し得ることは当該技術分野の技術者には容易に理解できよう。
【0082】
さらにこの第3実施例では、前述のようにバッグを下げたときの特定の指(先の説明では第3指)が重さに耐えきれず後退することを防止する別の技術が開示されている。STEP−320で把持モードが否定されると、この実施例ではSTEP−331〜334の「保持」モードに自動的に移行する。而してSTEP−331では、第1指F1 は、その追従運動を防止する手段として、把持で最終的に安定したとき作動量Ceiを目標とする位置制御が実行され、他の指はそのまま力制御とする。但しゲインは保持の場合に適したゲインKhiに変更されている。
【0083】
次のSTEP−332では、STEP−331で得られたトルクが出力される。またSTEP−333では、第3指F3 にのみ注目し、第3指F3 に関連するモータM5が逆転していてωtiが負と検出されれば、目標指標Fj5が小さ過ぎたので、これを一定量ΔFだけ補強する。しかしωt5が負を示さなければ、持っているバッグの重さは十分に軽いのであると判断し、何もしない。ΔFの補強が十分かどうかは1サイクル実行してみた上で判断し、足りなければ更にΔFの補強を行う。こうして遂にはωt5の値は負を示さなくなるから、あらゆるバッグの重さに対応できる。この例では第3指F3 に注目したが、他の指でも構わないし、場合によっては第2、第3指の2本を監視して後退防止しても構わない。
【0084】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0085】
たとえば、指の本数は5本の例を示したが、本数の多寡は技術内容を基本的に制約するものでもない。指を動かすアクチュエータも直線運動形式のものを例示しているが、これも本質的なものではなく、例えば回転式のアクチュエータを使用しても本発明は適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、力制御および位置(または速度)制御を統一した極めて単純な制御則でリンク結合体の器用な運動を実現することができ、手首の位置決め精度が甘くてもその誤差を吸収して目標物を確実に掴むとともに把持した後の物体を特定指側に引き付ける際に物体によく馴染んだ姿勢をとることができる。
【0087】
また請求項2記載の発明によれば、物体を特定指側に引きつける際に特定指にかかる外力の減少に応じた無駄な追従運動が生じるのを防止することができる。
【0088】
請求項3記載の発明によれば、力制御および位置(または速度)制御を統一した極めて単純な制御則でリンク結合体の器用な運動を実現することができ、手首の位置決め精度が甘くてもその誤差を吸収して目標物を確実に掴むとともに把持した後の物体を特定指で押す際に物体に馴染んだ姿勢をとることができる。
【0089】
請求項4記載の発明によれば、物体を特定指で押す際に対向指に無駄な動きが生じることを防止することができる。
【0090】
請求項5記載の発明によれば、力制御および位置(または速度)制御を統一した極めて単純な制御則でリンク結合体の器用な運動を実現することができ、手首の位置決め精度が甘くてもその誤差を吸収して目標物を確実に掴むとともに把持した後の物体を保持する際に物体に馴染んだ姿勢をとることができる。
【0091】
請求項6記載の発明によれば、安価な圧力センサおよび微分回路を用いることにより安価で確実な制御装置を提供することができる。
【0092】
請求項7記載の発明によれば、指の物体への接触を確実にかつ容易に検知することができる。
【0093】
請求項8記載の発明によれば、目標物を確実に掴むことを可能とした上で、目標物とハンドとの位置のずれ量を検出して次の制御に活かすことができる。
【0094】
請求項9記載の発明によれば、目標物を確実に掴むことを可能とした上で、指が物体に触れることで物体の剛性を詳細に検知し、その検知結果を次の制御に活かすことが可能となる。
【0095】
さらに請求項10記載の発明によれば、速度情報および力情報を1つの圧力センサで検出することにより、力制御および位置(または速度)制御を統一した極めて単純な制御則でリンク結合体の器用な運動を実現することができ、目標物を確実に掴むとともに簡潔な制御で把持した後の物体を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例を適用したロボットの外観図である。
【図2】 ロボットのハンド(右手)の機構を手の甲側から見た平面図である。
【図3】 ハンドの駆動回路図である。
【図4】 ロボット全体の制御ブロック図である。
【図5】 ハンドの制御ブロック図である。
【図6】 制御アルゴリズムの一部を示す図である。
【図7】 制御アルゴリズムの残部を示す図である。
【図8】 ハンドが物体を掴む際の物体の硬さに応じた反力の変化を示す図である。
【図9】 ハンドが物体を把持しようとする際の説明図である。
【図10】 第2実施例のハンドの制御ブロック図である。
【図11】 制御アルゴリズムの一部を示す図である。
【図12】 制御アルゴリズムの残部を示す図である。
【図13】 物体への接触時の駆動速度の変化を示す図である。
【図14】 第3実施例の制御アルゴリズムの一部を示す図である。
【図15】 制御アルゴリズムの残部を示す図である。
【符号の説明】
11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54・・・リンク
81・・・駆動制御手段としての中央演算回路
85・・・第1検出手段としての微分回路
87・・・作動変位量代表指標検出手段としてのエンコーダ
90・・・絞り手段である絞り
A10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53・・・流体圧アクチュエータ
F1 〜F5 ・・・指
H・・・ハンド
PS・・・第2検出手段としての圧力センサ
M・・・モータ
S1〜S6・・・流体圧源
Claims (10)
- 相対運動可能に結合される複数のリンク(11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54)と、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータ(A10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53)とをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指(F1 〜F5 )を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段(85)と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段(PS)と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指(F1 )と共働して物体の把持動作を含む動作を行うべく特定位置に対向する対向位置に配置される残余の複数の対向指(F2 〜F5 )のうち少なくとも1本である第1対向指(F3 )の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段(87)と、前記各指の行動計画を定める行動計画部(71)と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段(81)とを備え、所定の強さで物体を把持した後に物体を前記特定指側に引きつけるようにした指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体の引きつけにあたっては物体の把持を完了した時点での第1対向指(F 3 )の作動変位量代表指標を維持するとともに各対向指のうち第1対向指とは異なる少なくとも1本の第2対向指(F2 ,F4 ,F5 )および前記特定指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする人工ハンドにおける運動制御装置。
- 前記駆動制御手段(81)は、把持した物体を前記特定指(F1 )側に引きつける際に前記特定指に加わる外力が減少したときには、前記特定指に関する前記所定の目標値を減少させることを特徴とする請求項1記載の人口ハンドにおける運動制御装置。
- 相対運動可能に結合される複数のリンク(11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54)と、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータ(A10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53)とをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指(F1 〜F5 )を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段(85)と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段(PS)と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指(F1 )の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段(87)と、前記各指の行動計画を定める行動計画部(71)と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段(81)とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指(F 2 〜F 5 )および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を前記特定指で押すようにした指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を前記特定指で押すにあたっては物体の把持を完了した時点での前記特定指の作動変位量代表指標を維持するように特定指を作動せしめるとともに前記対向指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする人工ハンドにおける運動制御装置。
- 前記駆動制御手段(81)は、把持した物体を前記特定指(F1 )で押す際に前記対向指(F2 〜F5 )に加わる外力が減少したときには、前記対向指に関する前記所定の目標値を減少させることを特徴とする請求項3記載の人口ハンドにおける運動制御装置。
- 相対運動可能に結合される複数のリンク(11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54)と、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータ(A10,A11,A13,A21〜A23,A31〜A33,A41〜A43,A51〜A53)とをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指(F1 〜F5 )を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、各指の運動速度を代表する第1の指標を検出する第1検出手段(85)と、各指に加わる外力を代表する第2の指標を検出する第2検出手段(PS)と、前記複数の指のうち特定位置に配置される少なくとも1本の特定指(F1 )の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標を検出する作動変位量代表指標検出手段(87)と、前記各指の行動計画を定める行動計画部(71)と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段(81)とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指(F 2 〜F 5 )および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を保持する指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、物理単位が統一された第1および第2の指標を合成することで物体を把持する強さを代表する第3の指標を推定し、推定した第3の指標が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を保持するにあたっては物体の把持を完了した時点での前記作動変位量代表指標を維持するように前記特定指を作動せしめるとともに前記対向指に関しては前記第3の指標が前記所定の目標値に一致するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする人工ハンドにおける運動制御装置。
- 前記アクチュエータ(11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54)は、モータ(M)の作動に応じた流体圧を発生する流体圧源(S1〜S6)が接続される流体圧アクチュエータであり、第1検出手段(85)は、前記モータ(M)に機械的に係合するエンコーダ(87)の出力を微分して速度情報を作りだす微分回路であり、第2検出手段は流体圧源からアクチュエータに供給される作動流体の圧力を検出する圧力センサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工ハンドにおける運動制御装置。
- 前記駆動制御手段(81)が、前記圧力センサによる検出圧力の変化に応じて指(F 1 〜F 5 )が物体と接触し始めたことを認識することを特徴とする請求項6記載の人工ハンドにおける運動制御装置。
- 前記駆動制御手段(81)が、前記第1および第2の指標の変化から各々の指(F 1 〜F 5 )と物体との接触開始を検知し、各々の指(F 1 〜F 5 )が当該物体と接触を開始した時刻に差があるときにはその差分を基に人工ハンドおよび当該物体間の相対位置ずれを推定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工ハンドにおける運動制御装置。
- 指(F 1 〜F 5 )の位置を代表する指標を検出する検出手段を備え、前記駆動制御手段(81)は、前記指(F 1 〜F 5 )の少なくとも1つが物体と接触するとき、第1または第2の指標の変化に基づいて各々の指と当該物体との接触の有無を検知し、接触開始後の第2の指標ならびに当該指の位置を代表する指標に基づいて当該物体の剛性値を推定し、前記剛性値に基づいて前記目標値を変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工ハンドにおける運動制御装置。
- 相対運動可能に結合される複数のリンク(11,12,14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54)と、それらのリンクの少なくとも1つに連結されるアクチュエータ(A 10 ,A 11 ,A 13 ,A 21 〜A 23 ,A 31 〜A 33 ,A 41 〜A 43 ,A 51 〜A 53 )とをそれぞれ有して相互に対向し得る位置に配置される複数の指(F 1 〜F 5 )を備え、物体の把持または保持が可能な人工ハンドにおいて、モータ(M)の作動に応じた流体圧を発生するようにして流体圧アクチュエータである前記アクチュエータに接 続される流体圧源(S1〜S6)と、流体圧を絞るようにして前記流体圧源およびアクチュエータ間を結ぶ流体管路に設けられる絞り手段(90)と、該絞り手段(90)を作動流体が通過するときに生ずる圧力損失が流体流速を代表するとともに流体圧力が外力を代表することに基づいて絞り手段(90)の上流側で前記流体管路に設けられる圧力センサ(PS)と、前記複数の指の曲げ方向の作動変位量を代表する作動変位量代表指標をそれぞれ検出する作動変位量代表指標検出手段(87)と、前記各指の行動計画を定める行動計画部(71)と、該行動計画部からの指令に応じて前記アクチュエータの作動を制御する駆動制御手段(81)とを備え、前記特定位置に対向する対向位置に配置される対向指(F 2 〜F 5 )および前記特定指の協働によって物体を所定の強さで把持した後に物体を保持する指令が前記行動計画部から出されたときに前記駆動制御手段は、前記圧力センサ(PS)の検出値が前記所定の強さに対応した所定の目標値と一致するようにアクチュエータの作動量を定めて物体を把持するように前記アクチュエータの作動を制御した後、物体を保持するにあたっては物体の把持を完了した時点での前記各指の前記作動変位量代表指標を維持するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とする人工ハンドにおける運動制御装置。
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