JP5388266B2 - ZnO系ターゲット及びその製造方法並び導電性薄膜の製造方法及び導電性薄膜 - Google Patents

ZnO系ターゲット及びその製造方法並び導電性薄膜の製造方法及び導電性薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、ZnO系ターゲット及びその製造方法並び導電性薄膜の製造方法及び導電性薄膜に係る。
特開平6−2130号公報 特開2007−311041号公報 特開昭61−205619号公報
ディスプレー用の透明導電膜として、ITO(Indium−Tin−Oxide:Snを添加したIn酸化物)が実用化されている。ITOの主成分であるIn金属が希少金属であるため、資源枯渇の問題が浮上し、ITOは高価格になってきている。そのため、ITOに替わる材料の開発が急務となってきており、透明導電膜用の種々の酸化物系材料が研究されている。その中でも、ZnO系材料が有望視され、近年、ポストITOの位置づけが確かなものになってきた。
ZnO系材料は、ITOとは異なり、低温度での成膜が可能であり、高温での成膜では電気抵抗率が上昇する傾向を示す。ZnOは、ITOより極小の抵抗率はやや高いが、可視光領域の平均光透過率はITOより優れた特性を示す。
また、ZnOに種々の元素(特に、三価の金属元素)が添加され、n型半導体として低抵抗値を有する薄膜が得られてきている。
代表的な酸化物系薄膜として、三価のAlを添加したZnO(AZO)、Gaを添加したZnO(GZO)が挙げられる。これら酸化物からなる薄膜においては、電気抵抗率は(2〜5)×10−44Ωcmが得られてきている。
特許文献1〜3には、ZnO系材料に三価の元素を添加した技術が記載されている。以下詳細に述べる。
特許文献1には、Al(0.5〜7重量%)、B(1〜12重量%)、SiO(0.8〜8重量%)をそれぞれ含有する酸化亜鉛からなる焼結体が記載されている。そして、特許文献1では、ターゲットの平均粒径を2μm以下とすることによりスパッタリング時の異常放電発生回数の低減を図っている。ただ、特許文献1では、AlとBとを同時に含有させる技術は記載されていない。
特許文献2には、ZnOに、Al、Ga、AlF、B、Y、SiO、TiO、ZuO、HfO、GeOから選ばれる1種又は2種以上を含有する技術が記載されている。
また、特許文献1,2には、Bを添加したZnO(BZO)ターゲットも記載されている。
さらに、特許文献3には、酸化亜鉛を主成分とする酸化亜鉛透明導電膜中に、亜鉛原子に対し少なくとも一種のIII属金属元素を1〜20原子%含有させてなる耐熱性酸化亜鉛透明導電膜(請求項1)が記載されており、また、亜鉛原子に対しホウ素を1〜10原子%および亜鉛原子に対しアルミニウムを1〜8原子%含有させること(請求項10)、亜鉛原子に対しホウ素を1〜10原子%および亜鉛原子に対しガリウムを1〜8原子%含有させること(請求項11)も記載されている。特許文献3記載の発明の目的は、安価に、かつ容易に製造でき、室温以上の高温度で、各種雰囲気での使用に対し抵抗率変化の極めて小さい酸化亜鉛透明導電膜を得ることとされる。ただ、特許文献3の請求項10、11に記載された発明についてはその数値限定を含めて発明の詳細な説明において全くサポートされておらず、完成した発明として開示されているということはできない。
以上のように、導電性透明膜用のZnO系ターゲットとして、現在10―4Ωcm台の抵抗率を有する薄膜を成膜することが可能であることは必須である。
ところで、現在、ITO透明導電膜の生産ラインでは、直流電源を用いる直流スパッタ法が用いられている。直流電源の使用は、低抵抗薄膜の作製、ターゲット全面への均等電力の供給、放電の安定性等に有利なためである。特に、安定した放電状態を確保するためにパルスを重畳した直流電源が使用されている。
しかるに、従来のZnO系材料のターゲットを用いて成膜を行うと、成膜された薄膜の結晶性が悪いという問題を有している。
異常放電の発生回数を低減するために、特許文献1では、原料粉体の粒径を2μm以下としている。しかし、2μm以下とするための工程が必要となる。原料粉体の粒径の制御を行わず、また、放電電圧が低く、異常放電の発生の少ないターゲットが望まれる。
さらに、従来の技術においては、AZO、GZOのターゲットを作製する際においては、1400℃以上の温度において焼結を行う必要があった。特許文献1においては、原料粉末の粒径を2μm以下とすることにより1400℃よりも低い温度において焼結しているが、通常は、1400℃以上の高温における焼結を必要としている。例えば、特許文献1の表1の「従来1」では1450℃、表2の「従来2」では1400℃、表3の「従来3」では1425℃)。焼結温度が1400℃未満ではターゲットの焼結強度が小さく、表面が粉状となってしまうからである。このように、従来の焼結工程では、1400℃前後という高温での焼結が不可欠であるが、かかる高温での焼結は、電力消費が多くなり、環境破壊にも繋がる。そこで、より低温での焼結法、即ち、低消費電力の効率的な焼結法が望まれている。
本発明は、直流スパッタリングにより形成した場合であっても10−4Ωcm以下の抵抗値の薄膜を形成することが可能なZnO系ターゲットを提供することを目的とする。
本発明は、従来のターゲットよりも表面の抵抗を大幅に低減させ、直流放電に対し、安定なプラズマを発生させることが可能なZnO系ターゲットを提供することを目的とする。
本発明は、結晶性の良好な薄膜を形成することが可能なZnO系ターゲットを提供することを目的とする。
本発明は、従来よりも大幅に焼結温度を低下させることが出来、カンタル線ヒータ電気炉も利用でき、電力の消費量の低減に有効なZnO系ターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、Ga及び/又はAlとともに、B換算でBを0.005wt%以上、0.2wt%未満含有させ、ターゲットの表面抵抗値を20〜60Ωとすることを特徴とするZnO系ターゲットである。
本発明は、スバッタリング法で作製する透明導電膜用のZnO系焼結ターゲット材料の添加元素に関するものであり、また、Ga添加、Al添加、及びそれらの複合添加したZnO系酸化物にB添加したものである。
GaZnO、AlZnOあるいはAlGaZnOにBを0.005wt%以上、0.2wt%未満添加することにより、ターゲットの表面抵抗を激減的に低下させることができ、DCスパッタリングにおいても異常放電を起こすことなく低電圧放電が可能となり、ひいては結晶性の良好な薄膜を成膜することが可能となる。さらに、低温における焼結により製造することが可能となり、また、スパッタリング成膜後の薄膜の抵抗率を10−4Ωcm台とすることができる。
請求項2に係る発明は、Ga換算でGaを5.0wt%以下含むことを特徴とする請求項1記載のZnO系ターゲットである。
請求項3に係る発明は、Al換算でAlを3.0wt%以下含むことを特徴とする請求項1又は2記載のZnO系ターゲットである。
請求項4に係る発明は、Ga及び/又はAlを含むZnO粉体と、0.01wt%以上、0.2wt%未満のB粉体とを混合した混合粉体をプレス成形し、900〜1200℃において焼結することにより、ターゲットの表面抵抗値を20〜60Ωとすることを特徴とするZnO系ターゲットの製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記プレス成形前に前記混合粉体を800〜1200℃の温度で仮焼成し、仮焼結体を粉砕した後前記プレス成形を行うことを特徴とする請求項4記載のZnO系ターゲットの製造方法である。
本発明においては、プレス成形を行う前に仮焼結を行うことが好ましい。仮焼結を行うことにより混合粉体の均一分散、反応という利点が生じる。仮焼結温度は、800℃〜1200℃が好ましい。800℃未満の場合においては、混合粉体は不完全な反応状態にあり、1200℃を越えると焼結用容器と反応する。かかる観点から800℃〜1000℃がより好ましい。
請求項6に係る発明は、前記仮焼成と仮焼結体の粉砕を複数回行うことを特徴とする請求項5記載のZnO系ターゲットの製造方法である。
仮焼結は複数回行うことが好ましい。複数回行うことにより添加元素のより均一な分散を確保することができるという効果が達成される。
請求項7に係る発明は、Gaを5.0wt%以下含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載のZnO系ターゲットの製造方法である。
請求項8に係る発明は、Alを3.0wt%以下含むことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載のZnO系ターゲットの製造方法である。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載のZnO系ターゲットを用い、放電電圧を200〜400Vとして直流スパッタリングを行うことを特徴とする導電性薄膜の製造方法である。
請求項10に係る発明は、請求項9記載の導電性薄膜の製造方法により製造した導電性薄膜である。
請求項11に係る発明は、電気抵抗率が10−4Ωcmである請求項10記載の導電性薄膜である。
請求項12に係る発明は、透過率が85%以上である請求項10又は11記載の導電性薄膜である。
本発明は、スバッタリング法で作製する透明導電膜用のZnO系焼結ターゲット材料に元素を添加したZnO系焼結ターゲットに関するものである。また、Ga添加、Al添加、及びそれらの複合添加したZnO系酸化物にBを添加したZnO系粉体を焼結し、スパッタ用焼結ターゲットの製造方法に関するものである。
このB添加には次の様な課題がある。即ち、Bは三価の元素であり、ZnOに添加した場合、n型不純物として機能する添加金属である。論文によれば、不純物として機能し、電気抵抗率が10−4Ωcm台の後半の値が得られているとされているが、種々の添加量のターゲットを作製して薄膜を作製した結果、10−3Ωcm台の電気抵抗率の薄膜しか得られなかった。
10−4Ωcm台の薄膜を作製するにはB添加のみでは非常に困難であることが分かった。そこで、Ga添加、及びAl添加のZnOが低電気抵抗率の薄膜を実現できることから、これらの材料にBを添加することにより、上記課題の解決を図った。
以下本発明を、本発明をなすに際して得た知見などとともに説明する。
本発明者は直流スパッタリングによる成膜を行った場合に何故に薄膜の結晶性が悪くなるかの原因を鋭意探求した。その結果、薄膜の結晶性が悪くなる原因は、ターゲット自身が高抵抗であることにあることを知見した。
すなわち、直流電源が用いられ場合、ターゲットの抵抗が高いと、放電電圧が高くなり、不安定な放電になり易くなる。電圧が高くなるとスパッタによって発生する粒子のエネルギーが高まり、基板面(薄膜の堆積面)を衝撃するため、薄膜の成長が阻害され、結晶性が悪くなるものであるとの知見を得た。
AZO、GZOを含む従来のZnO系材料を詳細に調べると、焼結ターゲット自体の抵抗が高く、表面の抵抗で1〜100kΩと高いものであった。
そこで、ターゲットの抵抗値の低減を試みたところ、GaないしAlとともに、Bを同時に添加すればターゲットの抵抗値は低下し、ひいては、直流スパッタイング時においても10―4Ωcm台の電気抵抗率を有する薄膜が得られることを見いだした。
その際、Bを所定量含有させた場合においては、1400℃という高い焼結を行わなくとも良好な強度を有するターゲットを製造することも見いだし本発明をなすに到った。
本発明では、焼結温度は900℃〜1200℃という低温で行うことができる。
なお、特許文献1においては、ターゲットの粒径を2μm以下に制御することにより異常放電の発生数を低減させているが、本発明においては、粒径にかかわりなく安定な放電を達成することができる。
本発明によれば次の諸々の効果が得られる。
1)B添加したGZO、AZO、AGZO焼結ターゲットをスパッタすることにより、低抵抗な透明導電膜が得られる。
2)B添加すると仮焼結温度やターゲット焼結温度を、大幅に低下させることが出来、カンタル線ヒータ電気炉が利用でき、電力の消費量の低減に有効である。
3)B添加は、ZnO系焼結夕一ゲットの表面の抵抗を大幅に低減させ、直流放電に対し、安定なプラズマを発生する。
(比較例1)
純度99.9wt%(3・nine)のZnO粉体にGa粉体を1wt%毎に1、2,3,4,5,6,7,8wt%添加し、1組成150gで8組成のGZO粉体を秤量し、それぞれをライカイ機で均一に混合した。
これら混合粉体を1200℃、8時間大気中で仮焼結し、仮焼結体をライカイ機で粉砕・混合した。
次に、1300℃で8時間仮焼結し、この焼結体をライカイ機で粉砕・粉体化し、夕一ゲット作製用粉体とした。
ターゲット作製用粉体を88φの金型でディスク形状にプレス成形し、セッタ上に取り出した後、電気炉で1300℃×8時間焼結し、タ一ゲットを作製した。
以上の工程により作製したターゲットについて表面状態を調べた。表面には粉状の微粒子が存在した。したがって、1300℃の焼結温度では、焼結温度が低いことが分かった。
そこで、焼結温度を1400℃として、8組成のGZOターゲットを作製した。これらのターゲットを3インチ径のアルニコ磁石を内蔵したスパッタ電極に搭載し、RFマグネトロンスパッタ法により、投入電力300W、Ar雰囲気中1Paで、150℃のガラス基板上に200nmのGZO薄膜を堆積させた。
これらの薄膜の電気抵抗率は、(2〜5)wt%のGa添加量で、ρ=(2〜6)×l0−4Ωcmの電気抵抗率が得られた。
(実施例1)
・焼結温度の調査
上記比較例1のデータを基に、3.0wt%Ga添加したGZO粉体に、0.lwt%Bを添加したBGZO粉体の試料を複数作成した。一つの試料は100gに秤量した。
粉体の試料をそれぞれライカイ機により均一に混合した。混合後、700〜1100℃の温度範囲で、100℃刻みで8時間、100gの粉体を仮焼結した。仮焼結後の試料について粉体の収縮率と焼結容器との反応を調べた。その結果、仮焼結温度が800〜1000℃においては、良好な反応粉体が得られ、この範囲が適切な仮焼結温度であることが判明した。すなわち、800℃未満では、不完全な焼結状態であり、1000℃を越えると焼結容器との反応が生じる。
そこで、100gのBGZO焼結粉体を850℃で熱処理した焼結体を、ライカイ機で粉砕し、2回目の仮焼結を同条件で繰り返した。
この焼結体を粉砕し、ターゲットの作製工程に進んだ。
圧粉体の成形には、70φの金型を使用した。金型に100gの粉体を充填して、プレス成形し、ディスク状圧粉体を9つ準備した。
この9つの圧粉体を、800℃から1400℃までの温度で、100℃刻みで焼結し、最適な焼結温度を調べた。焼結時間は8時間とした。なお、焼結時間は温度によっても変化するが、1時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。
その結果、ターゲット焼結温度は、900〜1200℃が良好であることが分かった。すなわち、900℃未満のターゲット焼結では、焼結強度は小さく、粉っぽいターゲットとなった。一方、1200℃を超える温度では、焼結セッタのジルコニア基板やアルミナ基板と反応し、良好なターゲットが得られなかった。900〜1200℃では、焼結強度も高く、セッタとの反応も見られず、良好な良質のタ一ゲットが得られた。
なお、焼結温度は1100〜1200℃がより好ましい。
そこで、同一の組成のBGZO粉体150gを850℃で2回仮焼結した後、粉砕・粉体化し、夕一ゲット用焼結粉体を作製した。この粉体を88φの金型でディスク状にプレス成形し、これを、1100℃で8時間焼結してスパッタ用の焼結ターゲットを作製した。
このターゲットを用いて、GZOターゲットで薄膜を作製した場合と同じスパッタ条件で200nmの薄膜を作製した。
この薄膜の可視光透過率は、91%であった。また、電気抵抗率は、ρ=2.6×10−4Ωcmであった。
本実施例で作製したGZOターゲット表面の1mm間隔の抵抗は(2〜50)kΩであったが、BGZOターゲットでは、約3桁低い(20〜50)Ωと著しく低い抵抗値を示した。
また、GZO系では1400℃前後の高いタ一ゲット焼結温度が必要であったが、Bを0.01wt%以上添加することにより、1200℃以下にすることが出来た。この1200℃の焼結温度でターゲットを作製できることは、一般に普及しているカンタル線ヒータの電気炉で作製できることになり、高温を実現する二珪化モリブデンヒータの様な高価格の電気炉を使用する必要がなく、電力の節約も可能にすることを意味する。
(実施例2)
ZnO−3.0wt%Ga粉体にB粉体量を変えて9組成を秤量した。B添加量は、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、0.8、1.0、1.5、2.0wt%の10組成で、それぞれ150gを秤量・配合した。
これらの10個の粉体を、ライカイ機により2時間混合した。仮焼結は、850℃で8時間行った。
この仮焼結後の焼結体をライカイ機で粉砕し、粉体化した。この粉体を2回目の仮焼結を行い、粉砕・粉体化して10組成のターゲット作製用焼結粉体を準備した。
次に、88φの金型でプレス成形し、ディスク状の成形圧粉体を作製した。これらの成形体を焼結セッタに取り出し、1100℃で5時間焼結し、BGZOスパッタターゲットを作製した。
作製した焼結ターゲットの何れもが表面の抵抗は低く、20〜50Ωであった。10組成のBGZOターゲットを用い、実施例1と同じスパッタ装置を使用し、同一のスパッタ条件でガラス基板上に200nmの薄膜を作製した。薄膜の可視光平均透過率は90〜92%と高透明性を示した。
電気抵抗率を図1に示す。B添加量の依存性が示されている。(1.5〜2)wt%B添加では、10−3〜10−2Ωcmの電気抵抗率を示したが、0.5wt%Bでは、8×l0−4Ωcm程度となり、0.2wt%Bでは、3×10−4Ωcm程度が得られている。0.1wt%Bでは、Bを添加しない場合と同程度の2.5×l0−4Ωcmが得られている。0.01wt%Bの微量添加でも焼結温度は、GZOの場合に比べ著しく低温であったが、0.005wt%B添加では、焼結温度はGZOの焼結温度に近い温度が必要であることが確認された。しかし、ターゲットの表面抵抗は50〜60Ωと低い抵抗値を示した。
上記、実施例では、Ga添加量を3.0wt%としたが、2.5wt%Ga添加量に1.0wt%Bを添加すると、9×10−4Ωcmが得られた。2.0wt%Ga添加量に1.0wt%BOを添加した場合、6×10−4Ωcmが得られた.しかし、1.5wt%B添加したBGZOターゲットでは、10×10−4Ωcm以下の薄膜が得られなかった。
(実施例3)
ZnO−3.0wt%Ga−0.05wt%Bに0.2wt%の粉A1粉体を添加したABGZO粉体を150g秤量した。
これをライカイ機で混合し、900℃で仮焼結した。
粉砕・粉体化後、再度、900℃で仮焼結し、タ一ゲット作製用ABGZO粉体を作製した。
88φの金型でプレス成形し、ディスク圧粉体をセッタ上に取り出した。この圧粉体を1200℃の温度で8時間焼結し、ABGZOターゲットを作製した。
Al粉体を添加しても1000〜1200℃での焼結によって機械的強度の大きなターゲットが作製できた。このタ一ゲットの表面の抵抗は25Ωと低い抵抗を示した。
この夕一ゲットを使用し、DCマグネトロンスパッタ法により成膜した。Ar雰囲気中1Paで、300V、0.2Aの電力のスパッタ条件で、150℃の基板上に200nmのABGZO薄膜を作製した。この薄膜は、電気抵抗率ρ=2.5×10−4Ωcmと低い値で、平均光透過率91.0%と高い値を示した。
(実施例4)
ZnO−2.0wt%Ga−0.1wt%BにAl粉体を(0.01〜5.0)wt%の範囲で添加したABGZO粉体9組成を秤量した。
A1粉体の添加量は、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0wt%であった。
上記実施例3と同様の条件で、仮焼結を行い、1100〜1200℃における焼結を行うことによりスパッタ用タ一ゲットを作製した。
実施例1と同じスパッタ装置を用い、DCマグネトロンスパッタ法により、Ar雰囲気中1Paで、300V、0.2Aの電力のスパッタ条件で、150℃の基板上に200nmのABGZO薄膜を作製した。
これらのBAGZO薄膜の電気抵抗率のAl添加量依存性を調べた。0.0lから2.0wt%Alでは、(2〜3)x10−4Ωcmであったが、3.0wt%Alでは6×10−4Ωcm、4.0wt%Alでは9×10−4Ωcm、5wt%Alでは14×10−4Ωcmであった。この様に、3wt%A1以上の添加ではAl添加量の増加とともに増加した。ターゲットの表面の抵抗は、20〜50Ωと低い値を示した。
(比較例2)
そこで、Gaの添加の無いZnO−0.lwt%Bに3、4、5wt%Alを添加した3個の組成のターゲットを作製し、200nmのBAZO薄膜の電気抵抗率を測定した。
その結果、4wt%と5wt%とをAl添加した薄膜の電気抵抗率は、それぞれ7×10−4Ωcmと11×10−4Ωcmであった。
一方、3wt%Al添加したものは4.2×10−4Ωcmであった。上記のB添加した粉体の仮焼結には、850℃、タ一ゲット作製用の本焼結では、1100〜1200℃で行ったが、十分強度の高い良好な焼結夕一ゲットが得られた。
ZnO−2.0wt%AlにB添加量を変えてターゲットを作製し、200nmのBAZO薄膜の電気抵抗率を調べた結果、1wt%Bを超えると10x10−4Ωcm以上の値となり、Bを添加量の増加とともに電気抵抗率は大きくなった。
(実施例5)
ZnO−2.0wt%Ga−0.1wt%Bに第三元素として、Y、In、Yb、Lu、V.Sb、Fe、Co、LiO、NaOの粉体を0.2wt%添加し。それぞれ150gの粉体をライカイ機により混合した。これら10組成の混合粉体を、850℃で仮焼結を行った結果、良好な焼結体が得られた。
ライカイ機により粉砕・混合し、同温度で再度仮焼結した。粉砕後、ターゲット状にプレス成形して、1100℃で焼結し、スパッタ用のターゲットを作製した。
実施例1と同じスパッタ装置を用い、DCマグネトロンスパッタ法により、Ar雰囲気中1Paで、300V、0.2Aの電力のスパッタ条件で、150℃の基板上に200nmの薄膜を作製した。Y系、In系、Yb系、Lu系、V系、Sb系、Fe系、Co系の薄膜は、10−4Ωcm台の電気抵抗率を示した。一方、Li系、Na系は10−2Ωcm台の抵抗値を示した。
そこで、第三元素添加量を2wt%まで増加した。何れも適切な焼結温度は低かったが、抵抗率は添加量の増加とともに増加した。0.5wt%以下の第三元素添加では、10−4Ωcm台の電気抵抗率が得られた。Li系、Na系は大きな抵抗率を示したが、これは、Li、Naが電子濃度の減少を招き、p型の不純物となっていることに起因する。しかし、B添加により何れも焼結温度の低下及びターゲットの表面抵抗の低下を実現していることが判明した。
(実施例6)
本例では、原料となる粉体の平均粒径として2μm以下のものを用いた。なお、本例以外の例においては平均粒径2μm以上の原料粉体を用いている。
他の点は実施例1と同様とした。
本例では、850℃においても、必要な焼結強度が得られた。また、実施例1と同等のターゲットの表面抵抗値が得られ、さらに、実施例1と同等あるいはそれより優れた特性を有する薄膜が得られた。
耐候性、耐食性に優れたフレキシブルな透明導電膜として応用することが可能である。特に各種電子デバイスの透明導電膜としても応用可能である。
例えば、透明電極の他に、熱線遮断膜、透明ヒータ等の多層膜を必要とする用途に適用することができる。
また、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の透明電極、帯電防止導電膜コーティング、ガスセンサーなどに用いられる導電膜としても利用できる。
ZnO−3.0wt%GaにBを添加した時の薄膜の電機抵抗率ρのBの添加量依存性を示す実験データグラフである。

Claims (12)

  1. Ga及び/又はAlとともに、B換算でBを0.005wt%以上、0.2wt%未満含有させ、ターゲットの表面抵抗値を20〜60Ωとすることを特徴とするZnO系ターゲット。
  2. Ga換算でGaを5.0wt%以下含むことを特徴とする請求項1記載のZnO系ターゲット。
  3. Al換算でAlを3.0wt%以下含むことを特徴とする請求項1又は2記載のZnO系ターゲット。
  4. Ga及び/又はAlを含むZnO粉体と、0.01wt%以上、0.2wt%未満のB粉体とを混合した混合粉体をプレス成形し、900〜1200℃において焼結することにより、ターゲットの表面抵抗値を20〜60Ωとすることを特徴とするZnO系ターゲットの製造方法。
  5. 前記プレス成形前に前記混合粉体を800〜1200℃の温度で仮焼成し、仮焼結体を粉砕した後前記プレス成形を行うことを特徴とする請求項4記載のZnO系ターゲットの製造方法。
  6. 前記仮焼成と仮焼結体の粉砕を複数回行うことを特徴とする請求項5記載のZnO系ターゲットの製造方法。
  7. Gaを5.0wt%以下含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載のZnO系ターゲットの製造方法。
  8. Alを3.0wt%以下含むことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載のZnO系ターゲットの製造方法。
  9. 請求項1乃至3のいずれか1項記載のZnO系ターゲットを用い、放電電圧を200〜400Vとして直流スパッタリングを行うことを特徴とする導電性薄膜の製造方法。
  10. 請求項9記載の導電性薄膜の製造方法により製造した導電性薄膜。
  11. 電気抵抗率が10−4Ωcmである請求項10記載の導電性薄膜。
  12. 透過率が85%以上である請求項10又は11記載の導電性薄膜。
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