JP5387809B2 - バテライト型球状炭酸カルシウム及びその製造方法 - Google Patents

バテライト型球状炭酸カルシウム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インキ、ゴム、合成樹脂、紙、医薬品、食品、化粧品、電子工業、セラミック等における添加剤、充填剤等に利用可能なバテライト含有率が高いバテライト型球状炭酸カルシウム及びその製造方法に関する。
水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させると、その反応条件により紡錘形、立方形、柱状、球状などの種々の粒子形態を持つ炭酸カルシウムが生じる。炭酸カルシウムの結晶系はカルサイト、アラゴナイト、バテライトの3種がある。各結晶系を粒子形態との関係から見ると一般的には、カルサイトは紡錘形や立方形、アラゴナイトは柱状、バテライトは球状の粒子形態を持つとされている。
カルサイトは、その粒子形態が上記のように一般に紡錘形や立方形ではあるが、特殊な製造方法によれば球状の粒子形態を持つものも製造できる。その製造方法としては、水酸化カルシウム水性スラリーにポリ燐酸塩を添加し、ガス状二酸化炭素を導入する方法(例えば、特許文献1を参照)が知られている。
これに対し、バテライトは上記のように一般に球状の粒子形態を持つが、不安定な結晶系であるため、製造方法は特殊なものとなる。その製造方法としては、モノエタノールアミンを含有する石灰乳に二酸化炭素を導入する方法(例えば、特許文献2を参照)、水酸化カルシウムにスルフォン化ポリマーを添加する方法(例えば、特許文献3を参照)、水酸化カルシウムに二価のカチオンを添加する方法(例えば、特許文献4を参照)、水酸化カルシウム懸濁液にアミノ酸又はその塩を添加する方法(例えば、特許文献5を参照)、アンモニアアルカリ性低温溶液中で水溶性カルシウム塩と炭酸アンモニウムとを攪拌反応させる方法(例えば、特許文献6を参照)がそれぞれ知られている。
しかしながら、これら従来の製造方法で得られる球状炭酸カルシウムは、粒子径、粒子形態、及びその均一性等について欠点を有する。具体的には、カルサイト型球状炭酸カルシウムにおいては、粒子径が大きく、しかも大きさにバラツキがあるという欠点を有する。
従来の製造方法で得られるバテライト型炭酸カルシウムは一般にその形状が球状であると報告されている例が多い。しかし、実際的には真球状で均一な形状のみのバテライト型炭酸カルシウムで構成されている例は見当たらず、扁平な楕円球状、厚みのある楕円球状、及び真球状のバテライト型炭酸カルシウムの混合物で構成されている例が殆どである。
特許文献2〜6以外にもバテライト型炭酸カルシウムの製造方法として、有機溶媒中に含まれる水酸化カルシウムを炭酸化させることによりバテライト型炭酸カルシウムを製造するなどの方法が多数提案されている。例えば、特許文献7には、水酸化カルシウム水溶液とメタノールの混合溶液に炭酸ガスを導通し、バテライト型炭酸カルシウムを得る方法が記載されている。
また、特許文献8には、水酸化カルシウムと水とアルコール類の懸濁液系に炭酸ガスを吹き込んで非晶質又はバテライト型等の炭酸カルシウムを生成させる方法が記載されている。
これら特許文献7及び8の方法によれば、バテライト型炭酸カルシウムを高い収率で得ることは可能である。しかし、これら特許文献7及び8の方法でも、得られるバテライト型炭酸カルシウム粒子の粒子径及び粒子形態を任意にコントロールすることができない。しかも、粒子分散性が良好なバテライト型炭酸カルシウムを安定して製造することができない。
しかしながら、炭酸カルシウムを球状化することにより、炭酸カルシウムは、その充填性、分散性、研磨性などの種々の特性が改善され、好ましい特性が付与されることが期待される。そのため、従来より、球状炭酸カルシウムを提供することが各方面から求められている。
特開昭61−168524号公報 (特許請求の範囲) 特開平1−301511号公報 (特許請求の範囲) 特開昭62−91416号公報 (特許請求の範囲) 特開昭57−92520号公報 (特許請求の範囲) 特開昭64−72916号公報 (特許請求の範囲) 特公昭45−32532号公報 (特許請求の範囲) 特開昭59−64527号公報 (比較例1) 特開昭61‐77622号公報 (特許請求の範囲)
本発明者等は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が所定範囲の炭酸アンモニウム水溶液とを反応させるに際し、酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることにより、バテライト型球状炭酸カルシウムを高い収率で得ることができ、得られたバテライト型球状炭酸カルシウムは、粒子径、粒子形態、比表面積等が適切にコントロールされ、充填性、分散性、研磨性などの種々の特性が改善され、好ましい特性が付与されていることを知得し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的とするところは、上述した問題点を解決したバテライト型球状炭酸カルシウム及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔2〕 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、酢酸カルシウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔3〕 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔4〕 酢酸カルシウム水溶液に含ませるアルコールが、アルコール添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍である〔2〕に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔5〕 炭酸アンモニウム水溶液に含ませるアルコールが、アルコール添加前の炭酸アンモニウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍である〔3〕に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔6〕 酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液に炭素数が1〜3のアルコールを含ませる〔1〕に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
〔7〕 〔1〕に記載の製造方法で製造された、比表面積が16m /g以上で、粒子径が1〜15μmであるバテライト型球状炭酸カルシウム。
本発明の製造方法によれば、バテライト型球状炭酸カルシウムを高い収率で得ることができる。
本発明のバテライト型球状炭酸カルシウムは、粒子径、粒子形態、比表面積等が適切にコントロールされ、充填性、分散性、混練特性、研磨性などの種々の特性に優れていることから、合成樹脂やゴムのフィラー、あるいは紙の顔料、補強材として利用される。更に磁気テープのブロッキング防止剤やチューインガムの粘着防止剤としても利用される。
また、本発明のバテライト型球状炭酸カルシウムは、水に対する溶解度が大きく、蛋白質、アミノ酸との吸着反応性が高いため、医療用材料や機能性食品などの食品素材としても利用される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含む炭酸アンモニウム水溶液とを反応させるに際し、酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法、並びに、その製造方法で製造されたバテライト型球状炭酸カルシウムである。
上記モル比(Cb/Ca)を適宜調節することにより、酢酸カルシウム水溶液と炭酸アンモニウム水溶液とを反応させて炭酸カルシウムを生成させる時のpHを調節することができる。この炭酸カルシウム生成時のpHは、好ましくは6〜8、より好ましくはpH6〜7である。
なお、原料のカルシウム化合物に対する炭酸カルシウムの生成収率を高くする観点から上記モル比(Cb/Ca)は、0.9〜1.2とすることがより好ましい。
炭酸カルシウム生成時のpHは、炭酸アンモニウム水溶液のアンモニア成分と、炭酸成分との割合によっても調節することができ、そのpHは9〜10とすることが好ましい。このpHの炭酸アンモニウム水溶液は、アンモニア成分と炭酸成分とが当量付近の範囲である。
炭酸カルシウム生成時のpHが8より高い場合は、生成する炭酸カルシウムはカルサイトになる。また、炭酸カルシウム生成時のpHが6より低い場合はアンモニア成分が不足しているため、この場合も生成する炭酸カルシウムはカルサイトになる。
酢酸カルシウム水溶液は、酢酸水溶液中に、酢酸成分(Ac)に対するモル比(Ca/Ac)で1/2の炭酸カルシウム、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム等のカルシウム化合物(Ca)を加えて酢酸カルシウムを生成させ、必要に応じて未溶解残渣を濾過することにより得ることができる。
なお、酢酸成分(Ac)とカルシウム化合物(Ca)とのモル比(Ca/Ac)の数値は、次式の化学反応式及び分子量(MW)に基づいて算出することができる。
Figure 0005387809
原料の炭酸カルシウム、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム等のカルシウム化合物は、ホタテ貝殻由来のものが純度、白色度において好ましいが、石灰石由来のもの、ライムケーキ由来のものでも使用できる。
カルシウム化合物の酢酸水溶液中への溶解においては、酢酸の量が少ないと不溶解分が多くなり、酢酸の量が多いと不経済となる。また、カルシウム化合物の量が多すぎると、溶解度を超える酢酸カルシウムが生成され沈澱を生じる。沈澱した酢酸カルシウムからは、炭酸化処理しても球状粒子を得ることができない。このことから、カルシウム化合物の添加量は表1に示す酢酸カルシウムの溶解度以下になるように調整することが好ましい。
なお、溶解度以上添加して溶液中に酢酸カルシウム沈澱が認められる場合には
この沈澱物を濾別して除去する必要がある。
Figure 0005387809
カルシウム化合物を酢酸に溶解すると発熱する。そのため、バテライト生成反応時の溶液温度は80℃以下が好ましく、60℃以下が更に好ましい。反応温度が高いと生成する炭酸カルシウムの形態がバテライトではなく、カルサイトとなる。
バテライト型球状炭酸カルシウムの生成は、酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませて、それらの溶液を反応させることによる。このことは、炭酸化反応時にアルコールを介在させることにより、炭酸カルシウム生成の表面(界面)張力が最小になり、粒子の形状が球状になるものと思われる。
酢酸カルシウム水溶液にアルコールを含ませる場合、必要に応じて濾過した酢酸カルシウム水溶液に所定量(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍が好ましく、0.6〜1倍が更に好ましい)のアルコールを添加する。このアルコールを含む酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含む炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることにより、粒子径が均一で、粒子分散性が良好で且つ歩留の高い(高いバテライト含有率の)バテライト型球状炭酸カルシウムを沈澱物として簡易に得ることができる。
炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませる場合、即ち炭酸アンモニウム水溶液と所定量(添加前の炭酸アンモニウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍が好ましく、0.6〜1倍が更に好ましい)のアルコールとの混合溶液を、酢酸カルシウム水溶液に加えることによって炭酸化反応を行う場合も、酢酸カルシウム水溶液にアルコールを含ませる場合と同様に、粒子径が均一で、粒子分散性が良好で且つ高いバテライト含有率の粒状バテライト型球状炭酸カルシウムを簡易に得ることができる。
炭酸化の反応温度は常温(20〜35℃)で可能で、瞬時に完了する。
アルコールの種類はエタノール、メタノール、プロパノール等の炭素数が1〜3のアルコールが使用可能である。
以上の本発明の製造方法によって得られるバテライト型球状炭酸カルシウムは、バテライトの含有率が70体積%以上であり、比表面積が1/g以上で、粒子径が1〜1μmである。
以下、本発明を実施例により、具体的且つ詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
なお、炭酸カルシウムの物性については、次の方法で求めた。
X線回折によるバテライト含有率、カルサイト含有率:株式会社マック・サイエンス製X線回折測定装置MO3X−HFを用い、対陰極はCu、走査範囲10〜60°(2θ)、走査速度2°(2θ)/分、ステップ幅0.01°(2θ)、管電圧40kV、管電流20mAで測定した。バテライト型球状炭酸カルシウム中のバテライト含有率は、M.S.Rao:Bull.Chem.Soc.Japan.Vol.45,No.5,1414−1417(1973)に従い、下記式
バテライト含有量 F(V) =f(V)×100
ここで、f(V) =1−{I104(C)/(I110(V)+I112(V)+I104(C)+I114(V))}
式中、I104(C)は、カルサイト104面の回折線強度
110(V)は、バテライト110面の回折線強度
112(V)は、バテライト112面の回折線強度
114(V)は、バテライト114面の回折線強度
により算出した。
電子顕微鏡観察:日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM−5800LVで1000〜10000倍で観察を行った。
比表面積:JIS Z 8830に基づいて、島津製作所(株)製フローソーブ2300で測定した。
実施例1
ホタテ貝殻合成炭酸カルシウム1gを、水10mlに酢酸を1.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液10mlにエタノールを20ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、10mlの水に炭酸アンモニウム1gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた0.85gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率100体積%、カルサイト含有率0体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布3〜8μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察(図1)により確認された。また、比表面積は、30.9m2/gであった。
実施例2
ホタテ貝殻合成炭酸カルシウム0.9gを、水9mlに酢酸を1.08ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液9mlにエタノールを20ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.2倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、10mlの水に炭酸アンモニウム0.9gとショ糖脂肪酸エステル0.05gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた0.8gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率100体積%、カルサイト含有率0体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布1〜4μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、16m2/gであった。
実施例3
尻屋産生石灰1gを、水10mlに酢酸を2.15ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液10mlにエタノールを20ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、10mlの水に炭酸アンモニウム1gを溶解したB液(pH9.4)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は0.58]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた0.8gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率100体積%、カルサイト含有率0体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布1〜2μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、49.3m2/gであった。
実施例4
ライムケーキ(炭酸カルシウム)1gを、水10mlに酢酸を1.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液10mlにエタノールを20ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、10mlの水に炭酸アンモニウム1gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた1.0gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率85体積%、カルサイト含有率15体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布4〜10μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、90.1m2/gであった。
実施例5
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを200ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた11.4gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率97体積%、カルサイト含有率3体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布1〜6μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、21.0m2/gであった。
実施例6
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを50ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で0.5倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた11.9gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率78体積%、カルサイト含有率22体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布1〜15μmの球状粒子と0.5〜0.7μmの微細粒子が凝集した球状集合体(粒径5〜7μm)の二種類で構成されていることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、20m2/gであった。
実施例7
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを100ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた12.1gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率94体積%、カルサイト含有率6体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布3〜10μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、24m2/gであった。
実施例8
ホタテ貝殻消石灰15gを、水100mlに酢酸を24.3ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを200ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム20.25gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた17.9gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率94体積%、カルサイト含有率6体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布3〜10μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、22m2/gであった。
実施例9
ホタテ貝殻消石灰15gを、水100mlに酢酸を24.3ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを100ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム20.25gを溶解したB液(pH9.4)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた17.1gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率91体積%、カルサイト含有率9体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布3〜12μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、18m2/gであった。
実施例10
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを150ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.5倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた12.2gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率82体積%、カルサイト含有率18体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布2〜8μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、19m2/gであった。
実施例11
ホタテ貝殻消石灰15gを、水100mlに酢酸を24.3ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにエタノールを150ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.5倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム20.25gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた17.7gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率90体積%、カルサイト含有率10体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布2〜6μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、20m2/gであった。
実施例12
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにメタノールを200ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.2)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた11.2gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率100体積%、カルサイト含有率0体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布2〜8μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、35m2/gであった。
実施例13
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液100mlにメタノールを150ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.5倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた11.4gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率95体積%、カルサイト含有率5体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布2〜10μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、32m2/gであった。
実施例14
ホタテ貝殻消石灰10gを、水100mlに酢酸を16.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過し、酢酸カルシウム溶液(A液)100mlを得た。このA液に、100mlの水に炭酸アンモニウム13.5gを溶解した後エタノールを100ml(添加前の炭酸アンモニウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて得たB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた11.4gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率100体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布2〜5μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、34m2/gであった。
実施例15
ホタテ貝殻消石灰5gを、水50mlに酢酸を8.1ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlにメタノールを50ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。また、50mlの水に炭酸アンモニウム6.75gを溶解してB液(pH9.3)を得た。このB液に前記A液を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた5.1gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率95体積%、カルサイト含有率5体積%のバテライト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が良好で、粒度分布1〜4μmの球状粒子であることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、17m2/gであった。
比較例1
ホタテ貝殻合成炭酸カルシウム5gを、水50mlに酢酸を6ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlを酢酸カルシウム溶液(A液)とした。このA液50mlに、50mlの水に炭酸アンモニウム5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた3.7gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、3〜5μmの菱面体単結晶から成る10〜20μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察(図2)により確認された。また、比表面積は、1.1m2/gであった。
比較例2
ホタテ貝殻消石灰5gを、水50mlに酢酸を8.1ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlを酢酸カルシウム溶液(A液)とした。このA液50mlに、50mlの水に炭酸アンモニウム6.5gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.00]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた5.3gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、1〜3μmの菱面体単結晶から成る10〜20μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、2.1m2/gであった。
比較例3
尻屋産石灰石1.5gを、水50mlに酢酸を1.8ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlを酢酸カルシウム溶液(A液)とした。このA液50mlに、50mlの水に炭酸アンモニウム1.7gを溶解したB液(pH9.4)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.18]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた1.3gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、5〜10μmの菱面体単結晶から成る15〜70μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、1.3m2/gであった。
比較例4
尻屋産生石灰1.5gを、水50mlに酢酸を3.23ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlを酢酸カルシウム溶液(A液)とした。このA液50mlに、50mlの水に炭酸アンモニウム5.1gを溶解したB液(pH9.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.98]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた4.1gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、3〜5μmの菱面体単結晶から成る20〜80μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、2.5m2/gであった。
比較例5
ホタテ貝殻合成炭酸カルシウム1gを、水10mlに酢酸を1.2ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液10mlにエタノールを20ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、10mlの水に炭酸アンモニウム1.0gとアンモニア水を0.5ml加えてpHを11まで上昇させたB液を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は1.04]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた0.7gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、1〜2μmの菱面体単結晶から成る5〜10μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、1.9m2/gであった。
比較例6
ホタテ貝殻消石灰3.3gを、水16.7mlに酢酸を5.4ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液16.7 mlにエタノールを33ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で2.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、50mlの水に炭酸アンモニウム4.3gとアンモニア水を4.0ml加えてpHを11まで上昇させたB液を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は0.99]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた3.8gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率0体積%、カルサイト含有率100体積%のカルサイト型炭酸カルシウムで、粒子分散性が悪く、1〜2μmの菱面体単結晶から成る5〜10μmの多結晶粒子集合体を形成していることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、2.3m2/gであった。
比較例7
ホタテ貝殻消石灰5gを、水50mlに酢酸を8.1ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlにメタノールを50ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、50mlの水に炭酸ナトリウム7.1gを溶解したB液(pH11.3)を加えたところ瞬時に反応が完了した[A液のカルシウム成分(Ca)に対するB液の炭酸成分(Cb)モル比(Cb/Ca)は0.99]。生成物は、濾過した後、洗浄し乾燥した。
得られた5.7gの生成物は、X線回折によるバテライト含有率77体積%、カルサイト含有率23体積%の炭酸カルシウムで、粒度分布2〜6μmの球状粒子と、1〜2μmの微細粒子が凝集した球状集合体(粒径4〜6μm)との二種類の球状物で構成されていることが電子顕微鏡観察により確認された。また、比表面積は、6.4m2/gであった。
比較例8
ホタテ貝殻消石灰5gを、水50mlに酢酸を8.1ml加えて得た酢酸水溶液に溶解し、未溶解残渣を濾過した。得られた濾液50mlにメタノールを50ml(添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で1.0倍)加えて酢酸カルシウム溶液(A液)を得た。このA液に、二酸化炭素を200ml/分で吹込んだが、二酸化炭素を150分間吹込んでも目的の反応は進行せず、バテライト型炭酸カルシウムを得ることはできなかった。
実施例1で製造した炭酸カルシウムの粒子形状を示す図面代用顕微鏡写真である。 比較例1で製造した炭酸カルシウムの粒子形状を示す図面代用顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、酢酸カルシウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 酢酸カルシウム水溶液と、前記酢酸カルシウム水溶液のカルシウム成分(Ca)に対するモル比(Cb/Ca)が0.5〜1.2の炭酸成分(Cb)を含み、pHが9〜10である炭酸アンモニウム水溶液とを反応させることによりバテライト型球状炭酸カルシウムを製造する方法であって、炭酸アンモニウム水溶液にアルコールを含ませることを特徴とするバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 酢酸カルシウム水溶液に含ませるアルコールが、アルコール添加前の酢酸カルシウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍である請求項2に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 炭酸アンモニウム水溶液に含ませるアルコールが、アルコール添加前の炭酸アンモニウム水溶液に対する容積倍率で0.3〜2倍である請求項3に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 酢酸カルシウム水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液に炭素数が1〜3のアルコールを含ませる請求項1に記載のバテライト型球状炭酸カルシウムの製造方法。
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