以下、本発明の一実施形態を図1から図12を用いて説明する。
図1から図4は、本発明の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置の基本構成を説明するための一実施例を示した図である。図1は、装置の上方(Z方向)、図2と図3は装置の側方(X方向)、図4は、装置の搬送系を正面(Y方向)から見た図である。
図1は、説明のため表示パネルモジュール組立装置の連続する処理作業装置A〜Dの内4台を、模式的に示したものである。図の装置では、表示パネル4を、図中左から右に向かって、処理作業装置A〜Dの間を順に搬送しながら、表示パネルの周辺部に各種処理作業を行って、ICやTABなどの実装組立作業を行う装置である。図中の左側2つの処理作業装置A,Bは、表示パネルの長辺側(ソース側)の処理作業を行う装置であり、右側の2つの処理作業装置C,Dは、表示パネルの短辺側(ゲート側)の処理作業を行う装置である。
図中において、表示パネル4は、各処理作業装置の処理作業位置に保持された状態を、2点鎖線で示した。文中または、図中に示した各符号の数字の後の( )内A〜Dは関係する処理作業装置を示す記号である。搬送装置については、2つの処理作業装置間で搬送動作を行うために、上流側処理作業装置記号と下流側作業装置記号を「(A−B)」のような形式で示した。さらに、各符号の数字の後の英小文字(a〜fなど)は、同一符号の各対象を複数に分割した各構成部分を示す。
図では、処理作業装置Aの上流側の処理作業装置郡と処理作業装置Dの下流側装置郡については、割愛している。表示パネルモジュール組立装置全体としては、(1)表示パネル端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程,(2)清掃後の表示パネル端部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付けるACF工程,(3)ACFを貼付けた位置に、表示パネル配線と位置決めしてTABやICを搭載する搭載工程,(4)搭載したTABやICを加熱圧着することで、ACFフィルムにより固定する圧着工程,さらには、(5)TABの表示パネル側と反対側にPCBをACFなどで貼付け搭載するPCB処理工程(複数の処理工程よりなる。) とともに、各種検査装置などの処理作業装置があり、処理辺数などに応じて、複数の処理作業装置が連ねられた構成となる。どのような処理作業装置を何台どのような順序で連ねる必要があるかは、組立作業を行う表示パネルモジュール構成に依存することは言うまでもない。
本発明は、これら数多く接続された各種処理装置の間で表示パネルを高効率に搬送し、処理することで、生産性の高い表示パネル搬送装置とそれを用いた表示パネルモジュール組立装置を提供するものである。
本実施例では、各処理作業装置または処理作業位置に、処理する表示パネルを保持するために、処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5が配置されている。
処理辺保持固定手段3は、想定される表示パネルサイズの最大処理辺長よりも長い部材であり、表示パネル4の処理辺側の処理辺端から均一な距離内側を、処理辺に平行かつ処理辺方向に細長く、処理辺全域渡って保持するとともに固定することで、処理領域における表示パネルのゆがみなどを補正する部材である。処理辺保持固定手段3は、表示パネル固定表面が剛体平面となっており、固定平面部内にエアー吸引口を複数設け、エアー吸着により表示パネル4を処理辺保持固定手段3に吸着固定する構成とした。エアー吸着などにより、表示パネルの処理辺側近傍を、処理辺保持固定手段3に吸着固定することで、うねりなどを有する表示パネル4においても、処理辺側の表示パネルの平面性を確保することが可能となる。各処理装置における処理作業は、処理辺保持固定手段3から処理装置側に突出させた表示パネルの処理辺部に対して行われる。
非処理領域保持手段5は、処理辺保持固定手段3に対して表示パネル処理辺の反対側の表示パネル下面領域を広く保持する部材であり、表示パネル処理辺方向に対して直交方向に長く表示パネル下面を保持する複数の部材により構成されている。図1の実施例では、6つの部材5a〜5fにより処理作業位置の表示パネルを保持する構成を示した。非処理領域保持手段5は、表示パネル4の非処理領域を広く保持することで、表示パネル4を概ね水平に保ち、前記処理辺保持固定手段3による表示パネルの固定保持を補助する部材である。
処理辺に平行に表示パネルを保持固定する部材とそれに直交する方向に長く表示パネル下面を保持する保持部材を配置することで、比較的幅広いサイズ範囲の表示パネル保持を可能としている。
本実施例の装置では、上記表示パネル保持方式を用いることで、各処理作業位置において、種々のサイズの表示パネルを高精度かつ安定に保持することが可能である。これにより、種々のサイズの表示パネルに対しての処理作業を高精度かつ安定に実施することが可能となる。
また、本実施例では、隣接する前記各処理作業装置または処理作業位置間を往復移動することで、表示パネル4を搬送するとともに、前記処理作業装置の処理作業位置への表示パネル位置決めや表示パネルの回転動作が可能な表示パネル搬送位置決め手段が設けられている。表示パネル搬送位置決め手段は、処理作業装置間で表示パネルを搬送するためのX軸可動手段6とともに、表示パネル搬送方向に直角なY軸可動手段7,表示パネルの高さを可変可能なZ軸回転可動手段8,表示パネルの回転位置を可変可能なθ軸回転可動手段9とともに、表示パネルを保持するための搬送時表示パネル保持手段10から構成されている。搬送時表示パネル保持手段10は、θ軸回転可動手段9から張出したアーム11で支えられるとともに、アーム長を可変することで、サイズの異なる表示パネルを保持できるように構成されている。
搬送時表示パネル保持手段10は、前記処理辺保持固定手段の保持位置よりも内側の表示パネル下面領域を保持するように構成されており、表示パネル4を回転させて、処理作業位置に配置された前記処理辺保持固定手段3に、受渡し固定することが可能となる。本実施例では、表示パネル4の処理辺として4辺すべて可能な構成を開示している。これによって、表示パネル4の4辺すべてについて、表示パネル4の持ち替えなどを行うことなく、前記処理作業位置に配置した処理辺保持固定手段3に処理辺を搬送し固定することが可能となる。本実施例の搬送時表示パネル保持手段10では、表示パネルの4辺すべてについての処理を可能とするために、表示パネル4の中央付近を支える構成となっている。勿論、処理辺の数が4辺未満の場合は、この限りではなく、処理辺側を以外の部分で保持する構成も可能である。
図2および図3は、図1に示した本実施例の装置を側面から見た場合の模式図である。図2は処理作業装置間で表示パネル4を搬送するために、表示パネル4を持ち上げた状況を示しており、図3は、処理作業装置で処理作業を行うために、表示パネル4を処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5上に置いた状況を示している。各処理作業装置の処理作業位置で規定の処理が完了した表示パネル4は、表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10の上昇によって、図2のように、処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5より、上方に持ち上げた状態で、下流の各処理作業装置もしくは処理作業位置に搬送される。例えば、図1の処理作業装置A→B,B→C,C→Dへの搬送である。搬送後の表示パネル4は、表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10が降下することで、図3のように、処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5に受渡される。その後、表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10は、非処理領域保持手段5の下方を通って、上流の表示パネル4の受取り位置まで移動する。表示パネル4の処理辺の処理作業は、処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5で基板を固定・保持して行われる。このため、表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10は、表示パネル処理辺の処理作業中に、非処理領域保持手段5の下方を通って、上流側の表示パネル4の受取り位置に戻り移動動作させることが可能である。図1の場合、処理作業装置B→A,C→B,D→Cへ移動が、表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10の戻り移動動作である。このことによって、効率的な表示パネル4の搬送を実現することが可能となる。
図2および図3に示されるように、表示パネル搬送位置決め手段は、隣接する2つの処理作業装置にまたがって配置されるX軸可動手段6の上に、それに直交するY軸可動手段7を配置し、その上に、上下方向のZ軸回転可動手段8、さらにその上にθ軸回転可動手段9を配置し、さらにその上に搬送時表示パネル保持手段10をアーム11で保持する。上流の処理作業位置からの表示パネル搬入と下流の処理作業位置への表示パネル搬出を行うために、同じ処理作業装置もしくは処理作業位置に、2つの搬送時表示パネル保持手段10を配置する必要がある。このため、図の実施例では、X軸可動手段6(X軸可動ガイドとも言う。)を千鳥配置するとともに、最下層に配置している。Y軸可動手段7については、Z軸回転可動手段8の上側に配置することも原理的には可能であるが、Y軸可動ガイドの可動範囲に部材を配置できないことから、X軸に次いで可動範囲が大きくなるY軸可動手段7は、X軸可動手段の直上に配置することが好ましい。Z軸回転可動手段8については、θ軸回転可動手段9の上側に配置することも原理的には可能であるが、回転時の慣性重量が大きくなり、回転動作後の振動停止時間を考慮すると、θ軸回転可動手段9は、より上方に直上に配置することが好ましい。図1から図4で示した本発明の実施例では、そのように表示パネル搬送位置決め手段を構成している。
図の実施例では、X軸可動手段6を千鳥配置としているが、これは、各表示パネル搬送位置決め手段を独立構成としたことによる。つまり、各表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10毎の可動範囲で、X軸可動手段6を分割し独立構成としたものである。
表示パネルモジュール組立装置は、表示パネル搬送位置決め手段がX方向に並んだ配置となることから、X軸可動手段6を、隣接する表示パネル搬送位置決め手段間で共有することも可能である。原理的には、表示パネルモジュール組立装置全長にわたって、一本のX軸可動手段6を、各表示パネル搬送位置決め手段で共有する構成も考え得る。このようにすれば、表示パネルモジュール組立装置全体における搬送系のX軸可動手段またはX軸可動ガイドは少なくてすむことから、コスト的には有利である。
しかし、表示パネルモジュール組立装置における各搬送時表示パネル保持手段10の可動範囲は数m程度にもなる。このため、隣接する表示パネル搬送位置決め手段のX軸可動手段6を一体に構成した場合、X軸可動ガイドが非常に長くなってしまう。勿論、X軸可動ガイドを連結して、長尺のX軸可動ガイドを形成する方法も考えられるが、この場合、搬送精度などの要求を満足するように、分割位置や分割精度の確保が重要となる。
図1から図4の実施例では、説明の分かりやすさも踏まえて、各表示パネル搬送位置決め手段毎に独立したX軸可動手段6を千鳥配置した構成を開示している。実際の構成としては、上記コスト面とともに、X軸可動ガイドの分割位置や接続時の精度確保の容易性を考慮して、X軸可動手段6の長さを決定することが必要である。
X軸やY軸の可動手段としては、搬送時表示パネル保持手段10を直線可動させる手段としては、リニアモータやボールねじなどによる一般的なスライドステージ機構が適用できる。Z軸の可動手段については、リニアモータやボールねじなどでの直接駆動も可能であるが、要求可動距離がX軸やY軸に比較して短いことから、高さ方向の機構部薄型化などを考慮すると、楔などを利用した水平可動を昇降運動に変換する各種一般的方法を利用することが望ましい。θ軸の回転運動については、モータと減速機などで容易に構成できる。本実施例の表示パネル搬送位置決め手段は、処理辺保持固定手段3に高精度に位置決め受渡しをすることが必要であるために、サーボモータやリニアスケールを利用することで位置座標や回転座標精度を確保することが必要であることは言うまでも無い。
本実施例の構成では、隣接する表示パネル搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10やその上に保持される表示パネル4が干渉しないためには、隣接する各処理作業装置もしくは処理作業位置における搬送時表示パネル保持手段10の搬送動作は、同一のタイミングで行うことが必要である。表示パネルモジュール組立装置は、多数の処理作業装置もしくは処理作業位置より構成されている。このため表示パネル搬送位置決め手段も多数必要であり、高速な連続搬送を行うためには、それらを同一のタイミングで表示パネルを下流側に搬送することが必要となる。しかし、多数の表示パネル搬送位置決め手段を完全に同時に可動した場合、可動手段の加減速動作時の必要電流が極めて大きくなってしまうという課題を有する。これに対応するために、個々の搬送系の駆動回路にコンデンサなど用いて瞬間最大電流を確保する方法のほかに、隣接するユニット間における搬送手段動作タイミングを、下流側から上流側に向けて若干遅らせる方法も有効である。瞬間最大電流を必要とする搬送手段の加速・減速時間は、搬送手段の動作距離や時間に対して短いので、これが重ならないように、若干の遅れを与えることで、装置全体としての必要最大電流を小さく抑えることが可能となる。これにより、搬送系の駆動回路に大容量のコンデンサなどを配する必要がなくなる。
表示パネル搬送位置決め手段の加速時間が、数10〜数100msec程度であることから、実際の隣接する表示パネル搬送位置決め手段の可動タイミングの遅れ時間としては、数10〜数100msec程度が適当であり、搬送系の加減速の時間と同時動作台数およびその時の必要最大電流を勘案して決定する。本発明の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置では、隣接する各処理作業装置もしくは処理作業位置間を、ほぼ最短の距離で、ほぼ同一タイミングで搬送することによって、短い装置構成で高速な搬送を実現することができる。
次に、本発明の実施例構成における表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10の衝突防止策について説明する。本実施例の構成では、同じ処理作業装置もしくは処理作業位置に、2つの搬送時表示パネル保持手段10が配置されているために、隣接する表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10の搬送動作を、同一のタイミングで行ったとしても、衝突を起こす危険が存在する。高速移動をする搬送時表示パネル保持手段10の衝突は、装置へのダメージも大きく、十分な予防策を講じておくことが必要である。
本実施例の装置には、衝突事故を防止するために、表示パネル搬送位置決め手段を制御するための駆動信号に対する搬送時表示パネル保持手段10の位置座標などをモニタし、駆動信号と搬送時表示パネル保持手段10の位置座標に規定以上の差異が生じれば、異常として装置を停止させる方法を搭載している。さらに、このソフト的な衝突事故を防止策に加えて、本実施例の装置では、表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10の停止位置や待機位置が、表示パネルの搬送を行う上流側と下流側の2つの処理作業装置もしくは処理作業位置の中間の位置となるように、表示パネル搬送位置決め手段の動作制御を実施している。
図4は、搬送時表示パネル保持手段10の待機位置を、説明するための図である。図中の中央に位置する搬送時表示パネル保持手段10(B−C)は、処理作業装置Bから処理作業装置Cの処理作業位置間で、表示パネルを搬送時に保持する搬送時表示パネル保持手段10(B−C)である。表示パネル搬送位置決め手段における下流側の処理作業装置Cの処理作業位置に表示パネルを受渡した後の搬送時表示パネル保持手段10(B−C)は、上流側の処理作業装置Bの処理作業位置まで戻るのではなく、図示される上流側と下流側の2つの処理作業装置もしくは処理作業位置の中間の位置で、一旦停止待機させる。そして、上流側の処理作業装置Bの処理作業終了タイミングに合わせて、搬送時表示パネル保持手段10(B−C)が移動を開始するように、表示パネル搬送位置決め手段を制御する。上流側処理作業装置Bと下流側処理作業装置Cの処理作業位置の中間位置には、隣接する表示パネル搬送位置決め手段間の非干渉領域が存在する。図に示した位置に、搬送時表示パネル保持手段10(B−C)を待機させることで、上流側の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10(A−B)や下流側の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10(C−D)との接触を防止し、不慮の故障などにより、搬送時表示パネル保持手段10(B−C)が停止した場合にも安全性が確保される。図4では、待機位置に停止している搬送時表示パネル保持手段10(A−B)に、上流側および下流側の搬送時表示パネル保持手段10(A−B),10(C−D)が、近接した状態を2点鎖線で示している。
隣接する表示パネル搬送位置決め手段との非干渉領域14が、搬送時表示パネル保持手段10の幅に対して狭い場合は、隣接する表示パネル搬送位置決め手段間における待機時の搬送時表示パネル保持手段10における高さ方向の位置に差を持たせる方法が有効である。この方法によれば、隣接する表示パネル搬送位置決め手段との非干渉領域14が狭い場合においても、確実に搬送時表示パネル保持手段10同士の接触を防止することが可能となる。図4では、待機位置に停止している搬送時表示パネル保持手段10(B−C)と上流側の搬送時表示パネル保持手段10(A−B)との間に段差を設けた状態の一例を示す。
搬送時表示パネル保持手段10の待機位置を、隣接する処理作業位置の中間の位置としても、各処理作業装置の処理作業終了タイミングに合わせて、早めに待機位置から搬送時表示パネル保持手段10が、表示パネル搬送方向下流側の表示パネル受取り位置に移動を開始させることで、時間ロスの発生を完全に防止することが可能であることは言うまでもない。
図1から図4で開示した本発明の一実施例における各表示パネル搬送位置決め手段では、独立したX軸可動手段6を千鳥配置としている。しかし、隣接する表示パネル搬送位置決め手段間でX軸可動手段6を共有する構成も考え得ることは前記したとおりである。
このような場合でも、各搬送時表示パネル保持手段10の可動許容範囲や隣接する表示パネル搬送位置決め手段との非干渉領域14は存在する。このため、処理作業装置の中間付近の位置にある非干渉領域14を搬送時表示パネル保持手段10の待機位置とする上記制御方法は、隣接する搬送時表示パネル保持手段10同士の接触防止策として、一定の効果が期待できる。これに加えて、隣接する表示パネル搬送位置決め手段間でX軸可動手段6を共有する構成では、機械的や電気的ストッパ機構により、各搬送時表示パネル保持手段10の可動範囲を制限しておくことが、隣接する搬送時表示パネル保持手段10同士の接触防止策として重要である。上記、機械的ストッパとは、物理的な突き当て部材設置によるオーバーラン防止機構などであり、電気的ストッパとは、センサによるオーバーランの検出フィードバックシステムやX軸可動手段を各表示パネル搬送位置決め手段間で独立にする方法などである。
図1から図4に示される本実施例の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10は、柱形状をしたZ軸回転可動手段8およびθ軸回転可動手段9の上に、放射状に張出したアーム11によって保持されている。
各処理作業位置に配置される前記非処理領域保持手段5は、前記柱形状部分が通過可能な空間を残して、搬送時表示パネル保持手段10の可動領域内に処理辺方向に直交方向に長く突出した片持梁構成とすることで、表示パネルの下面を広く保持することを可能としている。上流段の処理作業位置から搬送されてきた表示パネルを、下流の処理作業位置の処理辺保持固定手段3に受渡すために、搬送時表示パネル保持手段10が降下する位置においては、前記非処理領域保持手段5と前記搬送時表示パネル保持手段10は、表示パネル受渡し時の互いの接触を防止するための逃げ構造を有した形状に構成する必要があることは、言うまでもない。
次に、本実施例における処理作業装置位置における表示パネルの処理辺や各種表示パネルサイズへの対応方法について説明する。
図1に示した本実施例の表示パネルモジュール組立装置は、上流側の2つの処理作業装置A,Bは、表示パネルの長辺側(ソース側)の処理作業を行う装置であり、下流側の2つの処理作業装置C,Dは、表示パネルの短辺側(ゲート側)の処理作業を行う装置である。図に示されるように、各処理装置に配置される非処理領域保持手段5は、表示パネルの処理する向きに応じて、その保持位置が異なる。そこで、本実施例の装置では、非処理領域保持手段5を、処理辺保持固定手段に直交する方向、平行な方向に可動可能な構成としている。非処理領域保持手段5を位置可変が可能な構成とすれば、ひとつの処理装置で、異なる表示パネル辺の処理に対応することが容易に実現することもできる。つまり、図1の表示パネル4の長辺側(ソース側)の処理作業を行っている処理作業装置ABを、短辺側(ゲート側)の処理作業に切り換えて使用したり、逆に、表示パネルの短辺側(ゲート側)の処理作業を行っている処理作業装置CDで、長辺側(ソース側)の処理作業を行わせたりすることも可能となる。
さらに、この非処理領域保持手段5の位置変更動作を自動制御化すれば、ひとつの処理ユニットのみで、長辺側(ソース側)の処理作業と短辺側(ゲート側)の処理作業が可能となる。つまり、長辺側(ソース側)の処理作業後、搬送時表示パネル保持手段10で、表示パネルを持ち上げ回転させるとともに、非処理領域保持手段5の位置を短辺用に変更し、再度処理辺保持固定手段に、受渡すことで、ひとつの処理作業装置で、複数辺の処理が可能となる。この動作を繰返せば、原理的には、表示パネル4辺に対するひとつの処理作業を、一台の処理作業装置で完了させることも可能である。勿論、この場合4回の処理作業分の処理時間と3回の表示パネルの回転や再配置動作が必要となるために、処理作業時間は長くなる。このため、通常は、必要となる処理作業時間に合わせて複数の処理作業装置を連結することが好ましい。
非処理領域保持手段5の位置変更動作の自動化は、一般的な直動アクチュエータなどの組合せで比較的容易に実現できる。
さらに、本実施例の表示パネルモジュール組立装置において、小板から大板まで大きくサイズの異なる表示パネルへの対応方法について説明する。
本発明の表示パネルモジュール組立装置では、表示パネルの処理辺側には、処理領域における表示パネルのゆがみなどを補正するために、処理辺端から均一な距離内側を、処理辺に平行かつ処理辺方向に細長く、処理辺全域渡って保持する処理辺保持固定手段3を設ける。そして、前記非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10による表示パネル保持や受渡し動作は、処理辺および処理辺保持固定手段3での保持領域を除いた表示パネル4の下面領域を利用して行われる。
図5は、3種類のサイズの異なる表示パネル4について、処理辺(S1辺,S2辺,G1辺,G2辺の4辺)と処理時に表示パネルを保持固定するための処理辺保持固定手段3による保持固定領域幅15と非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10による表示パネル保持や受渡し動作に用いることが可能な表示パネルの保持可能領域16を模式的に示したものである。図5において、非処理領域保持手段や搬送時表示パネル保持手段による表示パネル保持や受渡し動作に用いることが可能な表示パネルの保持可能領域16をハッチングで示している。例えば、図中符号15a−S1は大型表示パネル基板(a)のS1辺側の保持固定領域幅を表す。また、15b−G1は中型表示パネル基板(b)のG1辺側の保持固定領域幅を示す。その他も同様である。
本発明で想定される処理辺保持固定手段3による保持固定領域幅15は、勿論、各処理作業の内容や処理する表示パネルの最大サイズなどの装置仕様の影響を受ける。しかし、一般的な表示パネルモジュール組立装置における処理作業を想定した場合、処理辺保持固定手段3で、処理辺端から100mm程度の位置を固定すれば可能となる。また、極端な構成を考慮したとしても、処理辺保持固定手段3による固定保持に必要な領域は、処理辺端から、数10〜200mm以下程度である。実際に、本実施例の表示パネルモジュール組立装置において、最大処理表示パネルサイズを50〜60インチ相当まで考慮しても処理辺保持固定手段3による保持固定位置を設計上の配置検討したところ、処理辺端から100mm弱程度となった。
図5は、処理辺保持固定手段3による保持固定領域を処理辺端から100mmとした場合のa)大型表示パネル基板:32インチワイドクラス,b)中型パネルサイズ基板:20インチワイドクラス,c)小型パネルサイズ基板:13インチクラスで、搬送時表示パネル保持手段10で表示パネル4を保持可能なエリアを作図したものである。
図中のa)32インチワイドクラスでは、表示パネル4の中央を搬送時表示パネル保持手段10で保持することで、ソース側,ゲート側の4辺に、保持固定領域幅15を確保可能である。しかし、表示パネルサイズの小さい、b)20インチワイドクラス,c)13インチクラスでは、4辺すべてに、100mm幅の保持固定用エリアを確保すると非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10による表示パネル4の保持や受渡し動作に用いる表示パネルの保持可能領域16の確保が困難となる。
このような小さな表示パネル4における搬送では、図に示すように、b)20インチワイドクラスでは、ソース1辺とゲート2辺に、c)13インチクラスでは、ソース1辺とゲート1辺と処理辺の場所や数を規定すれば、本発明の表示パネルモジュール組立装置における非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10による表示パネル4の保持や受渡し動作に用いる表示パネルの保持可能領域16の確保が可能となる。
このように、本発明の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置は、特に大型や薄型の表示パネルに対して、高速高精度処理作業を目的したものであるが、処理辺の数に制限を加えることで、50〜60インチ相当までの超大型表示パネルから10数インチクラスの小型パネルまで対応可能範囲を拡張することが可能である。
非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10による表示パネル4の保持や受渡し動作に用いる表示パネルの保持可能領域16の必要面積は、各種動作時に表示パネルに負荷される加速度などによる外力や表示パネル4の吸着保持力によるが、概ね表示パネル4の半分以上の幅を吸着保持できれば、安定に表示パネル保持や受渡し動作が可能である。
図5のa)32インチワイドクラス,b)20インチワイドクラス,c)13インチクラスの表示パネルサイズは、100mm幅の保持固定用エリア確保を想定した場合に、表示パネルの半分の幅で保持可能な最小表示パネルサイズ付近である。
つまり、本実施例の表示パネルモジュール組立装置では、32インチワイドクラス以上の最大処理辺数を4辺、32〜20インチワイドクラスの最大処理辺数を3辺、20インチ以下の表示パネルサイズにおける最大処理辺数を2辺とすることで、13インチまでの処理作業に対応することが可能となる。現実的には、このような中小型クラスの表示パネル基板では、4辺処理や3辺処理などへの処理作業は、ほとんど必要なく、実用上、この処理辺数の制限が課題になることはない。
図6は、4辺処理まで可能な大型の表示パネル4の処理作業位置での受渡し時の処理辺保持固定手段3,非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10の配置関係の一実施例を説明する図である。搬送時表示パネル保持手段10は、処理辺保持固定手段3による保持される表示パネル4の周辺部を除いた領域16の4隅まで広く保持するように広げられている。非処理領域保持手段5は、前記したように、搬送時表示パネル保持手段10を支える前記柱形状部分が通過可能な隙間を確保するとともに、搬送時表示パネル保持手段10が保持する表示パネル4の保持領域を避けた位置に配置される。図6の矢印は、表示パネル搬入側の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17INおよび表示パネル搬出側の搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17OUTを示している。
図7は、3辺処理までが可能な中型の表示パネル4の処理作業位置での受渡し時の処理辺保持固定手段3,非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10の配置関係の一実施例を説明する図である。表示パネルサイズが小さいために、搬送時表示パネル保持手段10による保持可能領域16が狭いために、4つの搬送時表示パネル保持手段10は、図6よりも縮めている。また、表示パネルの長辺側処理作業時(図7a)は、処理辺保持固定手段3と非処理領域保持手段5による表示パネルの両側のみの保持となっているが、表示パネル4の短辺側幅が狭いために、図示の保持形態でも十分に安定した表示パネル4の保持ができる。表示パネルの短辺側処理作業時は、表示パネルの非処理領域が、処理辺保持固定手段3から長く張出すために、非処理辺側も非処理領域保持手段5による保持が必要となる。図7の矢印は、図6と同様に、表示パネル搬入側の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17INおよびと表示パネル搬出側の搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17OUTを示している。
図8は、2辺処理までが可能な小型の表示パネルの処理作業位置での受渡し時の処理辺保持固定手段3,非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10の配置関係の一実施例を説明する図である。表示パネルサイズが小さいために、4つの搬送時表示パネル保持手段10を密着させるとともに、処理を行う2つの処理辺側のみを、搬送時表示パネル保持手段10から突出させる様に保持する。図に示されるように、この場合の非処理領域保持手段5による保持領域は、処理を行っていない処理辺近傍領域部のみとなる。
しかし、小型表示パネルでは、自重による表示パネルのたわみも小さく、十分に安定した表示パネル4の保持が可能である。図8の矢印は、図6および図7と同様に、表示パネル搬入側の表示パネル搬送位置決め手段における搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17INおよびと表示パネル搬出側の搬送時表示パネル保持手段10を支える柱形状部分の進入出経路17OUTを示している。
このように、本発明の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置では、各処理作業装置もしくは処理作業位置に配置された非処理領域保持手段5や搬送時表示パネル保持手段10の位置を可変することで、小板から大板まで大きくサイズの異なる表示パネルへの対応も可能となる。この非処理領域保持手段5の可変機構は、前記した表示パネル処理辺の切り換え動作や各種表示パネルサイズへの対応以外にも、以下の効果が期待できる。
例えば、非処理領域保持手段5が上下方向への可動を可能に構成すれば、搬送時表示パネル保持手段10と非処理領域保持手段5間での表示パネル4の持ち替え動作時に必要となる搬送時表示パネル保持手段10の上下方向への可動距離を小さくすることが可能となり、表示パネル持ち替え動作速度の向上や可動機構の簡略化への効果が期待できる。
さらに、表示パネル4を保持していないときに、非処理領域保持手段5を可動退避させることで、搬送時表示パネル保持手段10の回転可能エリアが拡大するという効果がある。本発明の構成では、搬送時表示パネル保持手段10と非処理領域保持手段5が、動作時の接触を防ぐために、3次元的に入り組んだ構成をしている。このため、広い領域が必要な回転動作時においては、搬送時表示パネル保持手段10は、搬送時表示パネル保持手段自身やそれに保持される表示パネル4が、非処理領域保持手段5などの周辺部材との接触しないポジションまで、移動した後に、回転動作を行う必要がある。非処理領域保持手段5を退避させることで、搬送時表示パネル保持手段10の回転可能エリアを拡大させれば、搬送時表示パネル保持手段10の回転位置までの移動が必要なくなるか、少なくとも短くなる。しかし、非処理領域保持手段5の退避機構の搭載は、構成が複雑化につながることから、退避構造の複雑さや必要コストと、上記した効果を勘案して退避機構の採否は、決定することが必要である。
上記、図1から図8を使って説明した表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置は、本発明の一実施例である。本発明は、表示パネルの処理辺側近傍を処理辺保持固定手段3で固定保持するとともに、処理辺保持固定手段3による保持固定領域を除いた保持可能領域16を、搬送時表示パネル保持手段10と非処理領域保持手段5で持ち替えてながら搬送するところに特徴がある。また、搬送時表示パネル保持手段10と非処理領域保持手段5が、互いの干渉を防止した櫛様形状とすることで、処理作業時と搬送保持時ともに、表示パネルの安定保持を実現している。さらに、処理作業時の表示パネルを、処理辺保持固定手段3とともに、処理辺保持固定手段3に略直行した非処理領域保持手段5を用いることや、非処理領域保持手段5を可動させることで、幅広い表示パネルサイズへの対応を実現している。
図1から図8を使って説明した実施例は、あくまで一例であり、搬送時表示パネル保持手段10と非処理領域保持手段5の形状やそれら可動範囲などの構成は、図1から図8を使って説明した本実施例以外にも、各種考えられる。特に、対応する表示パネルサイズ範囲や処理辺の位置や数などの装置仕様は、その構成に影響を与える。実際の装置における詳細構造については、上記本発明の設計思想を適用して目的仕様に合わせた設計を行うことが必要となることは言うまでもない。
次に、本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置において、搬送時表示パネル保持手段10によって、処理辺保持固定手段3に表示パネル4を位置決めする方式について説明する。
一般に、表示パネル4の処理辺および処理箇所には、基準マークが設けられている。図9は、表示パネル4に設けられた基準マークの一例を示す図である。基準マークとしては、表示パネル端部の基準位置を示す端部マーク18とともに、TABやICなどの搭載位置を示す搭載位置マーク19などが形成されている。基準マークの形態は、様々であり、図に示されている「+」や「・」以外に、「■」,「T」,「−−」「V」など様々な形態がありえる。
本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置では、各処理作業装置もしくは処理作業位置間で、表示パネルを搬送する表示パネル搬送位置決め手段が、X,Y,Z,θ軸の可動手段を有している。表示パネル4を上流から下流の各処理作業装置もしくは処理作業位置に搬送した際に、符号18,19などの表示パネルの基準マークをCCDカメラなどで検出することで、表示パネル4の姿勢を算出し、表示パネル搬送位置決め手段で位置補正を行った上で、表示パネル4の処理辺を保持・固定する処理辺保持固定手段3に受渡すことにより、表示パネル4の処理作業位置への高精度な位置決め固定が可能となる。
図10および図11は、本発明における処理辺保持固定手段3に表示パネル4を位置決めする方式を説明するために、処理辺保持固定手段3近傍の構成の一実施例を示す図である。図10は上面図であり、図11は側面図である。
高精度に、表示パネル4を処理辺保持固定手段3に受渡し固定をするためには、できるだけ処理辺保持固定手段3近傍で表示パネル4に設けられた符号18,19で示す処理辺側の基準マークを検出することが好ましい。本実施例の装置では、各処理作業装置の処理作業機構部とその前面に設けられた処理辺保持固定手段3の間に、光源およびCCDカメラからなる表示パネル基準マーク検出手段20を設置し、表示パネル基板両端に配置された符号18で示す端部マークを検出するように構成している。表示パネル基準マーク検出手段20で検出された画像から基準マークをパターンマッチングで抽出し、その座標位置を演算によって、表示パネルの座標位置と姿勢を算出することができる。
各種表示パネルサイズに対応して、表示パネル処理辺側の符号18,19で示す基準マークを検出するためには、表示パネル基準マーク検出手段20が処理辺方向(X方向)に移動する必要がある。本実施例でも、表示パネル4の両端の符号18で示す端部マークを検出するための2組の検出手段に符号22で示すX方向の可動手段を設けた。図10a)では、表示パネルの左右に配置された符号18で示す端部マークを検出するために、左右に配置された表示パネル基準マーク検出手段20L/Rが、処理辺幅の狭い表示パネル4Nと処理辺幅の広い表示パネル4Wで位置を変更する状況を模式的に示した。
表示パネル搬送位置決め手段で運ばれた表示パネルの符号18で示す端部マークを、表示パネル基準マーク検出手段20で検出して、表示パネル姿勢を補正して、処理作業装置の処理作業位置に高精度に位置決めする工程の一実施例を説明する。
まず予め、表示パネル基準マーク検出手段20L/Rを、処理する表示パネルの左右にある符号18で示す端部マークの位置や幅に対応した場所に待機させておく。そして、表示パネル搬送位置決め手段によって、処理辺保持固定手段3に近接して設けられた表示パネル基準マーク検出手段20で符号18で示す端部マークを検出可能な位置まで、表示パネル4を搬送するとともに、処理辺保持固定手段3上に表示パネルを仮置きする。その後、表示パネル基準マーク検出手段20によって、表示パネル4の両端部に設けられた符号18で示す端部マーク位置を検出し、表示パネル4の正確な座標位置と姿勢を算出する。その算出結果に基づいて、表示パネルの位置や姿勢を補正するとともに、処理作業装置の所定の処理作業位置に、表示パネルを移動する。最後に、処理辺保持固定手段3の表面に設けられた表示パネル固定用吸着吸引口23によって、表示パネル4を吸着し、処理作業装置による処理作業を開始する。表示パネル搬送位置決め手段は、吸引吸着を開放し、表示パネルを分離した後、搬送時表示パネル保持手段10を、前記した待機位置に移動させる。
表示パネル4に設けられた端部マーク18は、図9に示したように、表示パネル処理辺の外縁部に存在する。このため、図10や図11に示すように、基準マークを検出するための表示パネルの配置位置と所定の処理作業を行うための表示パネル配置位置は異なる位置とする必要がある。しかし、端部マーク18の検出位置と処理作業を行う表示パネル位置は近いほうが、表示パネルの位置決め精度上は有利であることは言うまでもない。
そこで、本発明では、処理作業装置の処理作業機構部と処理辺保持固定手段3の間に、近接かつ挟み込んで、表示パネル基準マーク検出手段20を設置する構成としている。これによって、基準マークを検出後の表示パネルを、Y軸方向への最小限の移動距離で正確に処理作業位置に位置決めすることが可能となる。実際の移動距離は、表示パネル基準マーク検出手段20の実装サイズによるが、実在するCCDカメラなどの寸法を考慮すると、数10mm程度で十分である。
また、ICやTABの搭載処理など処理作業の種類によっては、表示パネル処理辺の一部にのみ処理作業を行う場合もある。このような処理辺の一部のみへの処理作業の場合は、表示パネル基準マーク検出手段20を、処理作業機構部内に組込むことが可能となる場合もある。この場合は、符号18,19で示す表示パネル4の基準マークを検出した後の表示パネルの移動を補正動作のみとできることから、さらに高精度な処理作業位置への表示パネル位置決め固定が可能となる。
本実施例の構成で高精度に各処理作業を行うためには、処理作業装置の処理作業位置と表示パネル4を固定する処理辺保持固定手段3との相対的位置関係が重要である。そこで、本実施例の装置では、処理辺保持固定手段3を処理作業装置の処理作業機構部と一体に構成した。
さらに、本実施例の装置では、表示パネル基準マーク検出手段20を、処理辺保持固定手段3を基準として校正するようにした。適用した方法は、処理辺保持固定手段3の両端部に基準マーク部25を設け、その基準マーク部25を表示パネル基準マーク検出手段で検出することで、表示パネル基準マーク検出手段20の検出位置座標を校正する方法を適用している。処理辺保持固定手段3を基準にした表示パネル基準マーク検出手段20の検出位置座標を校正手段として利用する方法など種々の方法が考えられる。
このように、処理辺保持固定手段3を処理作業装置の処理作業位置の絶対基準とすることで、表示パネル4を高精度に処理作業位置へ位置決め固定が可能となり、これに伴って、高精度な処理作業動作を実現できるものである。
さらに、本発明における処理辺保持固定手段3には、表示パネル4を、処理作業位置へ高精度に位置決め固定する以外の効果も期待できる。
本発明の処理辺保持固定手段3は、処理作業時の表示パネル処理辺近傍全域を固定保持するため、処理辺保持固定手段3に対して反処理辺側に位置する搬送時表示パネル保持手段10や非処理領域保持手段5の高さ方向などの位置精度誤差が、表示パネルの処理作業を施す処理辺に与える影響を遮断する効果がある。
これによって、搬送位置決め手段の搬送時表示パネル保持手段10や非処理領域保持手段5の高さ方向精度などを、比較的裕度を持って構成することが可能である。表示パネル4自身の弾性や搬送時表示パネル保持手段10や非処理領域保持手段5の保持部がもつ弾性変形の許容範囲内であれば高さ方向などの位置精度が許容される。搬送時表示パネル保持手段10は、エアー吸引などの方法で、表示パネル4を吸着保持する必要があるが、吸着部にゴムパッドなどの弾性体を用いることで、比較的容易に表示パネル4の弾性保持が可能となる。
表示パネルモジュール組立装置は大きな装置であるので、各種機構部をユニット化しその組合せで装置を構成する必要がある。しかし、相対的精度確保が必要な部位間でのユニット分割は、組立作業時の相対位置精度確保のための調整が難しいなどの課題が生じる。本発明を適用すれば、処理辺保持固定手段3を境にして、処理作業装置側と搬送装置側および反処理辺保持側の相対位置精度に裕度を確保することが可能となることから、処理作業装置側と搬送装置側および反処理辺保持側を別ユニットとして構成しても、組合せ時の位置合わせ調整作業などが比較的容易になるという利点も生まれる。勿論、処理辺保持固定手段3と処理装置側を一体構成にすることで、簡単な構成でありながら、各処理作業の必要な表示パネル処理辺側のうねりなどを補正し、平面性を確保したうえで高精度な処理作業が可能になることは、前記したとおりである。
次に、処理辺保持固定手段3による表示パネル4の固定保持方式について説明する。図12は、本発明の処理辺保持固定手段3による表示パネル4の固定保持方式の一実施例について説明するための図である。処理辺保持固定手段3は、規定範囲内の各種サイズの表示パネル4を固定保持する必要がある。図12中の一点鎖線は最大サイズの表示パネル基板4Wの長辺側が処理辺の場合、破線は最小サイズの表示パネル基板4Nの短辺側が処理辺となる場合の配置を示している。処理辺保持固定手段3は、固定される表示パネル基板の処理辺全域を平滑に保持するためにも、搬送する表示パネル基板の処理辺の最大長より長く構成する必要がある。
処理辺保持固定手段3の表面には、処理作業時に基板を吸着するための符号23で示す吸着孔が設けられている。処理辺保持固定手段3の吸着部は、搬送時表示パネル保持手段10などの吸着部とは異なり、表示パネル4のうねりなどを除去して処理辺を平滑化する必要性がある。このため、処理辺保持固定手段3は、平滑に加工した金属表面などの剛体に、符号23で示す吸着孔や溝などを直接加工して構成した。
小型の表示パネル4Nの場合、処理辺保持固定手段3に設けられた符号23で示す吸着孔の一部にしか表示パネル4Nは接触しない。この場合、表示パネル4Nの吸着しない符号23で示す吸着孔から、空気が大量に流れ込み、表示パネル4Nを吸着している符号23で示す吸着孔の吸着力が低下するという課題が生じる。そこで、本実施例では、図に示すように、処理辺保持固定手段3に形成される符号23で示す吸着孔の下の符号26で示す吸引チャンバを複数に分割する構成とした。吸引ポンプなどから供給される負圧系28は開閉バルブ27を通して、分割された吸引チャンバ26a〜26cと接続されている。そして、処理作業を行う表示パネルサイズによって、開閉バルブ27を制御し、負圧を発生させる符号26で示す吸着チャンバを選択し、表示パネル4Nの存在する領域の符号23で示す吸引孔のみ吸引させるように構成した。これによって、表示パネルサイズに合わせた領域のみでの吸着が可能となるので、安定した表示パネル4の保持力が得られる。図12において、開閉バルブ27は符号23で示す吸着孔直下の吸引チャンバ26に設置されているが、開閉バルブ27は、できるだけ符号23で示す吸着孔に近い吸引チャンバ26などに設置することが望ましい。配管などを介して、符号23で示す吸着孔や吸引チャンバ26から離れた位置に開閉バルブ27を設置した場合、バルブ切り換え後の吸着動作に時間遅れが生じるとともに、配管における圧損などのために、吸引圧力が不安定になりやすいなどの課題が生じやすい。
上記までに説明した処理辺保持固定手段3は、本発明における処理辺保持固定手段3の一形態を説明するものであり、処理作業プロセスでは、プロセスに必要な他の部材で代用することも可能である。たとえば、本圧着プロセスでは、表示パネル4の処理辺全体を上下から下刃と上刃で挟みこんで、加熱・加圧する。このような表示パネル4の処理辺を下面から全域支えるような固定部材を有するプロセスでは、下刃を本発明における処理辺保持固定手段3として代用することも可能である。この場合、下刃とは別に、前記吸着などの手段によって表示パネル4を固定することが必要である。但し、上刃で基板を挟むまで、搬送が保持するのであれば、表示パネル基板の固定手段を配置する必要さえ無くなる場合がある。
次に、本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置を応用した処理作業の高効率化や処理タクトの更なる高速化について説明する。表示パネルモジュール組立装置は、複数の処理作業を行う装置を連結し、連続して表示パネルに各種処理作業が行われる。当然のことながら、各処理作業工程の処理時間には差がある。時間の短い工程の処理作業装置は、時間のかかる工程の処理作業装置の終了を待つことになる。表示パネルの搬送間隔は、時間のかかる工程の処理作業装置に律速されるために、時間の短い工程の処理作業装置では作業停止している時間が発生することになる。
各処理作業装置をより効率よく稼動させるためには、時間のかかる工程の処理作業装置を、時間の短い工程の処理作業装置に対して、数を多く連結し、各処理工程のタクトバランスを取ることが考えられる。しかし、この方式では連結される処理作業装置の数が増加し、表示パネルモジュール組立装置全体の長さが非常に長くなるという課題が生じてしまう。
表示パネルモジュール組立装置における処理作業は、「一つの処理辺に複数回の処理が必要な処理作業工程」と「一つの処理辺について一括処理が可能な処理作業工程」に大別される。「一つの処理辺に複数回の処理が必要な処理作業工程」は、TABやICの搭載位置毎に個別の処理作業をする工程であり、ACFの小辺貼付けやTABやICの搭載工程などがそれに相当する。一方、「一つの処理辺について一括処理が可能な処理作業工程」としては、貼付領域に一括貼りするACF工程や搭載後の長尺の圧着刃によるTABやICの一括加熱圧着工程などである。
このうち、処理作業時間の長くなる工程は、基本的に一つの処理辺に複数回の処理が必要な処理作業工程である。このため、処理作業時間の長い処理作業装置を、高速化する方法としては、1つの処理作業装置内または処理作業位置に、複数の処理ユニット機構を配置し、それらによる表示パネル処理辺の同時処理が、簡単かつ有効である。
図1における処理作業装置Aは、一つの処理作業ユニット機構1(A)を移動して複数回の処理をする処理作業装置を示している。これに対して、処理作業装置Bは、2つの処理作業ユニット機構1a(B),1b(B)を配置し、同時に2箇所の作業処理が可能な処理作業装置を模式的に示したものである。処理作業装置Aの処理作業ユニット機構1(A)に対して、処理作業装置Bの各処理作業ユニット機構1a(B),1b(B)の処理作業時間が2倍の場合、このような構成にすることで、表示パネルモジュール組立装置全体の作業効率を向上させることが可能となる。
本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置では、このような1つの処理作業装置内または処理作業位置に複数の処理ユニットを配置しての同時処理作業が、比較的容易に実現できる。図13は、複数の処理作業ユニット機構1を配置した処理作業装置の一実施例を説明する図である。各処理作業ユニット機構1は、X軸方向への処理ユニットのX軸可動手段2のみを有する構成となっている。図13における実施例では、X軸方向の可動手段またはX軸可動ガイド2を2つの処理作業ユニット機構1で同一としている。勿論、各可動手段またはX軸可動ガイド2を、Y方向にずらして配置することで、各処理ユニット機構ごとの独立した可動手段またはX軸可動ガイド2を適用することも可能であるが、この方法はコスト面で不利となる。
前記のごとく、本発明の表示パネルモジュール組立装置では、各処理作業機構の前に、表示パネル4を位置決め固定する処理辺保持固定手段3が配置されている。表示パネル搬送位置決め手段29で搬送されてきた表示パネルは、規定の精度で処理辺保持固定手段3に固定保持される。
このため、本発明の表示パネルモジュール組立装置では、各処理作業ユニット機構1と処理辺保持固定手段3の相対的位置関係を予め調整さえしておけば、表示パネル4と各処理ユニットの位置関係を検出制御する必要は無い。つまり、各処理作業毎および各処理ユニット毎に、表示パネルとの相対位置検出の必要はない。このように、表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置は、1つの処理作業装置内または処理作業位置における複数の処理ユニットによる同時処理作業を、比較的簡単に実現できるものである。
次に、本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置において、更なる高精度処理を実施する方法について説明する。
先の図9で説明したように、一般に表示パネル4には、表示パネル端部を示す端部マーク18とともに、TABやICなどの搭載位置を示す搭載位置マーク19が形成されている。前記した本発明の実施例において、搭載位置マーク19ではなく端部マーク18を検出して、表示パネル4の処理辺保持固定手段3への位置決めを実施した。これには、以下の理由がある。
一般に、端部マーク18に対して、搭載位置マーク19は、小さいマークが用いられる。これは、TABやICなどの搭載位置を高精度に位置決めするためである。しかし、小さいマークを検出するためには、画像検出装置の分解能を高くする必要がある。一方、表示パネル4は、数100μm〜数mm程度の位置誤差を持って搬送されてくる。このため、処理辺保持固定手段3に表示パネル4を位置決め固定する際の表示パネル処理辺端のマーク位置は、この範囲で変動する。小さいマークを検出するための高分解能の画像検出装置で広い範囲の画像検出を行うと検出手段の必要画素数が多くなり、検出手段のコスト高になる。さらに、検出した画像処理におけるパターンマッチング処理や座標変換処理などの演算時間に多くの時間を要してしまう。この様に、コスト面や画像検出・座標変換の速度などを考慮すると処理辺両端の端部マーク18を検出するほうが、搭載位置マーク19するよりも好ましい場合が多い。そこで、前記の本実施例では、処理辺両端の端部マーク18を検出するように構成した。
勿論、処理辺両端の搭載位置マーク19を利用して、表示パネル搬送位置決め手段29で表示パネル位置を補正して、処理辺保持固定手段3に受渡し位置決め固定することは可能である。しかし、表示パネル搬送位置決め手段29の搬送時表示パネル保持手段から処理辺保持固定手段3への表示パネル受渡し動作でも、多少の受渡し誤差が生じる。この誤差以上の高精度検出は、実質的には意味がなくなってしまうので、機構側の搬送精度や受渡し精度および要求位置決め精度などを勘案して検出するマークの解像度を決定することが望ましい。
先の実施例の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置において、表示パネル処理辺両端の端部マーク18を検出制御して、表示パネル4を処理辺保持固定手段3に位置決め固定可能な精度は、100μm前後〜数10μm程度である。しかし、表示パネルモジュール組立装置における一部の処理作業(TABやICなどの高精度搭載処理作業など)においては、10μm前後〜数μm以下の極めて高い位置決め精度が要求される場合がある。以下に、本発明において、このような極めて高い位置精度での処理作業を実現する方法を以下に説明する。
図14は、10μm前後〜数μm以下の超高精度位置決め処理が必要な処理作業装置の一実施例を説明する図である。図14の実施例では、図13と同様に、処理作業ユニット機構1が2台配置された構成を示している。表示パネルモジュール組立装置において、一般に最も高い精度が要求されるTABやICなどを搭載する処理作業では、多数の処理箇所への処理を必要とすることから処理作業時間が長い場合が多い。そこで、図14の実施例では、処理作業ユニット機構1が2台配置された構成とした。勿論、前記したように、超高精度位置決めを必要とする処理作業装置においても、処理ユニット機構の数は各処理作業時間のバランスを考慮して決定すればよい。
本実施例の処理作業装置では、超高精度位置決めを達成するために、処理作業装置内の各処理作業ユニット機構1が、それぞれ独立して、表示パネルの搭載位置マーク19を検出し、各処理作業ユニット機構1ごとの処理すべき搭載位置を高精度に認識して、位置決めする機能を設けている。
図15は、このような機能を実現するための処理ユニット機構の一実施例を説明する図である。処理作業ユニット機構1は、表示パネル上の基準マークを検出する光源やCCDカメラなどからなる基準マーク検出手段30とXYZおよびθ方向へ処理ユニット全体を移動させるXYZθ可動手段31を備えている。処理ユニットは、CCDカメラから検出された基準マーク位置情報から、処理位置補正手段32によって、処理ユニットの補正量を算出し、XYZθ可動手段31によって、処理位置を補正することで、表示パネル処理辺上の規定の位置に、ACFの貼付けやTABの搭載などの処理動作を行う。
本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置では、表示パネル搬送位置決め手段29によって、表示パネル4は処理辺保持固定手段3に100μm前後〜数10μm程度の精度で位置決め固定されている。そのため、高精度位置決めをする処理ユニット機構に搭載される基準マーク検出手段30の画像検出範囲を、それほど大きくする必要はなくなる。つまり、高精度位置決めを実現するために、高解像度で表示パネルの基準マークを検出する場合においても、必要画素数を極端に多くする必要がなくなる。このことは、検出手段のコスト面で有利になるとともに、画像処理の演算時間を短くする効果もあり、高速処理の点でも有利となる。
このように、表示パネル搬送位置決め手段29や処理辺保持固定手段3を用いた本発明の表示パネル搬送装置および表示パネルモジュール組立装置は、処理作業装置24の複数処理ユニット化や超高精度位置決め化への対応でも多くの利点を有するものである。
図14および図15を用いて説明した基準マーク検出手段30と処理位置補正手段32およびXYZθ可動手段31を具備してなる処理ユニットを有する処理作業装置においては、基本的には、処理作業装置内の処理ユニットのみで、表示パネル4の搭載位置マーク19を検出し、位置補正して処理できる。このため、図11,図12などを用いて説明した表示パネル4の端部マーク18を検出し、表示パネル搬送位置決め手段29によって処理辺保持固定手段3に、表示パネル4を位置決めする構成を、省くことも可能である。
しかし、この場合、表示パネル搬送位置決め手段29により処理辺保持固定手段3に搬送される表示パネル姿勢、つまり処理位置での表示パネル姿勢は、ばらついてしまう。これにより、処理ユニット側に搭載される搭載マーク検出用の基準マーク検出手段30に要求される画像検出範囲は広くなる。表示パネル4の端部マーク18に比べて、小さい搭載マーク19を検出する処理ユニットの基準マーク検出手段30では、必要となる画素数が極端に多くなる可能性もある。このことは、処理ユニット側に搭載される基準マーク検出手段30のコストや画像処理の演算時間などに悪影響を与える。
表示パネル4の端部マーク18を検出し、表示パネル搬送位置決め手段29によって処理辺保持固定手段3に、表示パネル4を位置決めする構成を省くか否かは、コスト面や処理速度などを総合的に評価判断する必要がある。
次に、図13および図14,図15で説明した1つの処理作業装置内または処理作業位置に、複数の処理ユニット機構を配置した表示パネル処理辺の同時処理方式について、X軸の構成や制御方式などについて、さらに詳しく説明する。
図15の実施例では、X軸稼動手段を最も下に配置している。これは、X軸が表示パネル基板の処理辺と並行な方向の可動手段であるため、移動距離が最も長くなるためである。また、このような構成にすることで、符号2で示されうX軸ガイドレールは、処理作業装置内に備えられる複数の処理作業ユニット機構1で共通化することが可能となる。
図15の実施例では、X軸可動手段2は、処理作業ユニット機構1を表示パネルの処理辺の各処理位置間を移動させる目的と各処理位置での位置決めをする目的の両方に使用される。高速移動が要求される処理位置間の移動と高精度移動が要求される処理位置への位置決めを両立するために、処理作業ユニット機構1を表示パネル処理辺の処理位置間で移動させるための可動距離の大きなX軸のうえに、高精度な処理位置への位置決めのための微調用X軸可動手段を、他の軸の可動手段とともに設ける方法も考えられる。現実的には、X軸の可動手段が複数必要となるので、コスト面と必要精度や必要移動速度など勘案して構成を選択する必要がある。
次に、複数処理ユニットの制御手法について説明する。
一つの表示パネル4に対して複数の処理作業ユニット機構1が同時に処理作業を行う方式では、処理ユニットを近い距離で動作させることが必要となる。特に、小さい表示パネルや処理辺の長さの短い表示パネルの処理作業時には、処理ユニットをできるだけ近接させた状態で動作させることが必要となる。このため、処理動作中に処理ユニット間の干渉や衝突などの不具合が発生する可能性がある。そこで、本実施例の装置では、処理ユニット同士の衝突を避けるために、同一の表示パネルの処理辺に処理作業を行う複数の処理ユニットの動作タイミングを同期制御して駆動するように、複数の処理ユニット機構の動作タイミングを統括して制御する処理ユニット動作タイミング制御手段を設けた。処理ユニット動作タイミング制御手段による各処理ユニットへの基本的制御手順の一実施例は以下のとおりである。
(1)処理ユニット動作タイミング制御手段より、各処理ユニットに処理位置情報と移動指令を送信。(2)各処理ユニットは、移動が完了したら、移動完了を処理ユニット動作タイミング制御手段に報告。(3)処理ユニット動作タイミング制御手段は、各処理ユニットに処理ユニットに処理作業開始を指令。(4)各処理ユニットは、規定の処理作業を終了したら、作業終了を処理ユニット動作タイミング制御手段に報告。(5)処理ユニット動作タイミング制御手段は、各処理ユニットに次の処理位置への移動を指令。各処理作業や移動動作中に、異常が起こった場合は、その旨を処理ユニット動作タイミング制御手段に報告することで、処理ユニット動作タイミング制御手段は、次の作業や移動処理を停止し、各処理ユニットの衝突などを防止することができる。
上記したように、各処理ユニットに基板マーク検出および処理位置補正手段とともに、各処理ユニットの処理ユニット動作タイミング制御手段を備えることで、はじめて、処理作業装置内に複数の処理ユニットを配し、一つの表示パネル4の処理効率を向上させることが可能となる。
図16および図17は、本発明の表示パネル搬送装置およびそれを用いた表示パネルモジュール組立装置の制御方式の一実施例を説明するための図である。図16において、A−1〜A−4は各処理作業装置46を示しており、B−1〜B−4は、各表示パネル処理作業装置46の前に保持された表示パネルを搬送する搬送時表示パネル保持手段10を表している。破線で示したB−1〜B−4は、表示パネル搬送後の搬送時表示パネル保持手段10の位置を示している。前記したように、搬送時表示パネル保持手段10は、処理作業装置46の前を概ね直線的に移動するが、図示の都合上、破線で示した搬送後の搬送時表示パネル保持手段10の位置は、搬送前の搬送時表示パネル保持手段10位置の下側に図示した。実際は、搬送前後の搬送時表示パネル保持手段10の中心に書かれた一点鎖線は一致する。
各表示パネル搬送位置決め手段29における各搬送時表示パネル保持手段10は、独立の駆動装置44(M−1〜M−5)のよって駆動される。駆動装置としては、リニアモータやボールネジ方式などの一般的な直線駆動手段が利用できる。図中のS−1〜S−5は、搬送時表示パネル保持手段10(B−1〜B−5)の座標位置などを検出するセンサ45である。
本実施例の制御装置は、最上位に装置システム全体の基本動作タイミングを制御するためのシステム動作タイミング制御手段37(MC)を配置している。その下位に、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)および各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)を配置した。
次に、本制御システムでの表示パネル搬送動作制御方式について説明する。基本動作として、まず、システム動作タイミング制御手段37(MC)は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)に、搬送動作開始信号40を送信する。それを受けて、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、各表示パネル搬送位置決め手段29における各搬送時表示パネル保持手段10を駆動し、下流側処理作業位置にある表示パネルの搬送動作を開始する。表示パネル4の上流側処理作業位置への搬送と処理辺保持固定手段3への位置決め固定動作が終了した後に、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、システム動作タイミング制御手段37(MC)に表示パネル搬送終了信号38を送信する。その後、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送時表示パネル保持手段10を前記待機位置に移動させた後停止させる。
表示パネル搬送終了信号38を受けて、システム動作タイミング制御手段37(MC)は、各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)に、各処理作業開始信号36を同時に送信する。各処理作業開始信号36を受信した各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)は、規定の各処理作業を開始する。各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)は、既定の各処理作業が完全に終了するより、規定時間前に、処理作業の終了予告信号35pを、システム動作タイミング制御手段37(MC)に送信する。
システム動作タイミング制御手段37(MC)は、各処理作業終了予告信号35pを受けて、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)に、搬送動作開始予告信号40Pを送信する。それを受けて、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、待機位置から下流側処理作業位置へ搬送時表示パネル保持手段10を事前移動させる。搬送時表示パネル保持手段10の下流側処理作業位置へ事前移動完了後、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、システム動作タイミング制御手段37(MC)に、事前移動完了信号38Pを送信する。
また、各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)は、既定の各処理作業が終了した後に、システム動作タイミング制御手段37(MC)に各処理作業了信号35を送信する。
事前移動完了信号38Pと各処理作業終了信号35を受けて、システム動作タイミング制御手段37(MC)は、次の、搬送動作開始信号40を表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)に送信する。これを繰返すことで、表示パネル搬送位置決め手段29による表示パネル搬送と各処理作業装置における処理作業動作を連続的に実施制御する。
搬送時表示パネル保持手段10の待機位置から下流側処理作業位置への事前移動に必要な時間に合わせて、処理作業終了予告信号35pのタイミングを決定することで、効率的な連続搬送と連続処理作業が実現できる。
本実施例の表示パネルモジュール組立装置の制御手段では、上記以外に、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)や各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)は、搬送作業中や処理作業中における様々なステータス信号や異常発生時のエラー情報などを、システム動作タイミング制御手段37(MC)に送信するように構成した。
表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)のステータス信号としては、下流側の処理辺保持固定手段3からの表示パネル4の受取完了,表示パネル搬送中,表示パネル位置決め中,上流側の処理辺保持固定手段3への表示パネル固定完了,待機位置への搬送時表示パネル保持手段10移動中,待機位置での待機中,待機位置から下流側処理作業位置への移動中などである。また、各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)のステータス信号は、処理作業終了予告信号35pのほかに、各処理作業の内容に合わせた種々のステータス信号を、システム動作タイミング制御手段37(MC)に送信するように構成した。
表示パネルモジュール組立装置は、多くの各種作業処理装置や多くの表示パネル搬送位置決め手段29によって構成されている。表示パネルモジュール組立装置を安全かつ高効率に運用するためには、これら多くの処理作業装置46や表示パネル搬送位置決め手段29の動作タイミングなどを、リアルタイムで総合的に監視・管理することが必要である。
本実施例の構成では、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)や各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−4)からの様々なステータス信号やエラー情報を、一括管理してシステム全体の動作を監視制御するシステム動作タイミング制御手段37(MC)を配置することで、安全かつ高効率な表示パネルモジュール組立装置の運転動作を実現している。
また、前記した各搬送手段間の加減速タイミングをずらす処理は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)で容易に実施することが可能である。その他の各種動作状況における通信信号の詳細は、各処理作業装置の機能や動作モードに依存するために割愛するが、必要機能や動作モードをよく吟味の上、決定することが重要であることは言うまでもない。
図16において、処理作業装置46のA−2の中には、UC−1〜UC−3のブロックが記載されている。図の処理作業装置46のA−2は、図13から図15などを用いて説明した処理作業装置内に複数の処理ユニット機構を有した構成を示している。UC−1〜UC−3のブロックはこれら処理ユニット機構の制御手段39である。本実施例では、処理作業装置A−2は内部に3台の処理ユニット機構を配置可能な構成を想定している。
このように、処理作業装置46内に複数の処理作業ユニット機構1を有した構成では、各処理作業装置制御手段34(AC−2)の下位に、各処理ユニット機構制御手段39(UC−1〜UC−3)が配置され、各処理作業装置制御手段34(AC−2)によって、動作タイミングなどの制御が実施される。
図17は、前記した図16の実施例におけるシステム動作タイミング制御手段37(MC),表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1),各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)の間の基本的な制御信号のやり取りに関する一実施例を説明する図である。
まず、システム動作タイミング制御手段37の搬送・位置決め動作制御信号47の立上りを受けて、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送・位置決め動作信号49を立上げて、表示パネル4の搬送・位置決め動作を開始する。表示パネルの搬送・位置決め動作終了後、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送・位置決め動作信号49を立下る。その後、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送時表示パネル保持手段10を待機位置まで移動させる。
システム動作タイミング制御手段37は、搬送・位置決め動作信号49の立下りを受けて、搬送・位置決め動作制御信号47を立下げるとともに、各処理作業装置制御信号48を立上げる。
各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)は、各処理作業装置制御信号48の立上がりを受けて、処理作業中信号50(AC−1〜AC−3・・・)を立上げて、各処理作業動作を開始する。各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)は、処理作業が終了するt秒まえに、処理作業終了予告信号50P(AC−1〜AC−3・・・)を立上げておく。各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)は、各処理作業動作が終了後、処理作業終了予告信号50P(AC−1〜AC−3・・・)と処理作業中信号50(AC−1〜AC−3・・・)をともに立下げる。
システム動作タイミング制御手段37は、各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)の処理作業終了予告信号50P(AC−1〜AC−3・・・)の立上がりを受けて、搬送系事前移動制御信号47Pを立上げる。
表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送系事前移動制御信号47Pの立上げを受けて、搬送系事前移動動作信号49Pを立上げるとともに、待機位置の搬送時表示パネル保持手段10を、下流側の処理作業装置の表示パネル受取り位置まで移動させる。移動完了後、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)は、搬送系事前移動動作信号49Pを立下げる。
システム動作タイミング制御手段37は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)の搬送系事前移動動作信号49Pと各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)の各処理作業中信号50(AC−1〜AC−3・・・)の立下りを確認の後、搬送・位置決め動作制御信号47を立上げ、次の表示パネル4の搬送・位置決め動作を開始させる。これを繰返すことで、一連の搬送と各処理動作を連続的に制御する。
表示パネル搬送位置決め手段29(搬送時表示パネル保持手段10)や各処理作業装置46に動作不良が発生した場合は、システム動作タイミング制御手段37に、エラー発生情報を含む各処理作業終了信号35を送信する。また、システム動作タイミング制御手段37(MC)は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)からの表示パネル搬送終了信号38や各処理作業装置制御手段34(AC−1〜AC−3・・・)からの各処理作業終了信号35が規定時間内に送信されない場合は、システムエラーと判定するなどの方法も考えられる。
図16,図17で説明した本発明の実施例以外に、各処理作業装置制御手段34が、表示パネル搬送位置決め手段29各々の駆動制御を独立に行う方法も考えられる。この場合、複数の表示パネル搬送位置決め手段29を複数の各処理作業装置制御手段34が制御するために、各表示パネル搬送位置決め手段29間の移動タイミングを正確に合わせることが難しい。このため、隣接する表示パネル搬送位置決め手段29における搬送時表示パネル保持手段10間での衝突を防止する方策が必要となる。
各処理作業装置制御手段34が、表示パネル搬送位置決め手段29各々の駆動制御を独立に行う場合において、隣接する表示パネル搬送位置決め手段29における搬送時表示パネル保持手段10間の衝突防止を簡単に実現できる制御方法の一実施例について、以下に説明する。
表示パネル搬送位置決め手段29の動作時において、搬送時表示パネル保持手段10を下流側に移動させる場合は、最下流側の搬送時表示パネル保持手段10から、上流側に移動させる場合は、最上流側の搬送時表示パネル保持手段10から、順次移動させることで、簡便かつ確実に隣接する搬送時表示パネル保持手段10同士の衝突を防止することができる。つまり、下流側に搬送時表示パネル保持手段10を移動させる場合は、まず、最下流側の表示パネル搬送位置決め手段29を制御する処理作業装置制御手段34が、搬送時表示パネル保持手段10を下流側に移動させ、その移動情報を、隣接する上流側の表示パネル搬送位置決め手段29を制御する処理作業装置制御手段34′に送信し、順次、下流側に向かって搬送時表示パネル保持手段10の移動をする方式である。上流側に搬送時表示パネル保持手段10を移動させる場合も同様で、最上流側の表示パネル搬送位置決め手段29を制御する処理作業装置制御手段34から、搬送時表示パネル保持手段10を上流側に移動させ、その移動情報を、隣接する下流側の表示パネル搬送位置決め手段29を制御する処理作業装置制御手段34′に送信し、順次、上流側に向かって搬送時表示パネル保持手段10の移動をする方式である。
処理作業装置制御手段34が送信する移動情報は、搬送時表示パネル保持手段10の移動完了情報でも良いが、この場合、表示パネルモジュール全体での搬送時表示パネル保持手段10の移動動作に時間がかかってしまう。表示パネルモジュール全体での搬送時表示パネル保持手段10の移動動作をより高速に実現するには、処理作業装置制御手段34が送信する移動情報を、搬送時表示パネル保持手段10の移動開始情報とするほうが良い。これにより、処理作業装置制御手段34は、隣接する搬送時表示パネル保持手段10との衝突の危険が無い範囲で、搬送時表示パネル保持手段10の移動を開始できることから、表示パネルモジュール全体での搬送時表示パネル保持手段10の移動動作時間を短く抑えることが可能となる。
この方式では、搬送時表示パネル保持手段10が、同時に動くことが無いので、前記した搬送時表示パネル保持手段10の加減速時の必要最大電流が極端に大きくなる懸念は無い。さらに、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)も不要になる。
しかしながら、この方式は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)を用いる方式に比較して、表示パネル搬送位置決め手段29の動作待ち時間が不確定となり、表示パネル搬送位置決め手段29の動作遅れ時間も長くなる傾向がある。多数の処理作業装置からなる表示パネルモジュール組立装置や表示パネル搬送位置決め手段29をより、短い時間での往復動作させる必要がある場合、さらには、表示パネルの搬送時間を保障する必要がある場合などは、本方式は、表示パネル搬送動作制御手段41(BC−1)を用いる方式と比較して不利となる。
以上、本発明によれば、表示パネルモジュール組立装置における表示パネルの搬送や位置決め動作を、簡単な装置構成で高速に実現できる。また、本発明の表示パネルモジュール組立装置では、小板から大板まで幅広い表示パネルサイズへの対応も比較的容易である。さらに、本発明の表示パネルモジュール組立装置では、各処理作業装置の処理ユニット機構の複数化や高精度化への拡張性も高い。
本発明は、各種パネルへの適応性が高く、高速に、高精度処理が可能な表示パネルモジュール組立装置を提供するものである。
本発明の実施の形態は、上記記載に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内において種々変形可能である。