JP5381645B2 - 車輌用伝動装置の油路構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車輌に搭載される自動変速機等の車輌用伝動装置の油路構造に係り、詳しくは、一方向に軸回転する回転軸部材の内部に潤滑油路を形成し、該回転軸部材上に配置された伝動機構を潤滑する車輌用伝動装置の油路構造に関する。
従来、例えば車輌に搭載される自動変速機等の車輌用伝動装置にあっては、伝動装置としての自動変速機構(即ちプラネタリギヤ、クラッチ、ブレーキ等)の各部を潤滑するため、該伝動装置の中心を通る回転軸(例えば入力軸や中間軸)に潤滑油路を形成している(特許文献1参照)。該回転軸の潤滑油路は、潤滑油の供給部から潤滑油を導入するように穿設された導入孔と、回転軸の軸方向に穿設された軸方向孔と、該軸方向孔により軸方向に導通された潤滑油を軸方向の各部で排出する複数の排出孔と、を有して構成されており、例えば油圧制御装置からオイルポンプボディ等を介して回転軸を支持するボス部の内周側まで導かれた潤滑油は、回転軸の軸方向一端側に穿設された導入孔から軸方向孔に導入され、該軸方向孔を介して軸方向に導通されると共に、上記複数の排出孔から軸方向の各部で飛散される。
ところで、潤滑油を伝動装置の各部に対して充分に供給するためには、回転軸の軸方向一端側から供給される潤滑油を、軸方向他端側まで充分な流量で行き渡るようにすることが要求され、そのためには、導入孔を介して軸方向孔にできるだけ多量の潤滑油を取り入れることが要求される。そこで、特許文献1のように、導入孔を回転方向に対して下流側に向くようにオフセットして穿設する等の工夫も提案されている。
特開2007−147021号公報
しかしながら、上記特許文献1のように1本の導入孔で潤滑油を導入する導入量には限界があり、軸方向孔の軸方向他端側まで充分な潤滑油量を確保するまでには至らないという問題があった。そのため、導入孔を2本穿設することも考えられるが、その2本の導入孔の穿設方向によっては、反対に軸方向孔に導入する導入量が減ってしまうという問題があった。
そこで本発明は、回転軸部材に2本の導入孔を穿設すると共に、その2本の導入孔により必要な潤滑油の導入量を確保し得るようにそれらの穿設方向を設定し、もって上記課題を解決した車輌用伝動装置の油路構造を提供することを目的とするものである。
本発明は(例えば図1乃至図5参照)、一方向に軸回転することで動力を伝達し得る回転軸部材(12,13)の内部に潤滑油路(c1,c1,d1,d2,e1〜e19)を形成し、潤滑油の供給部(a5)から回転中の該潤滑油路(c1,c1,d1,d2,e1〜e19)に潤滑油を導入して、該潤滑油路(c1,c1,d1,d2,e1〜e19)を介して潤滑油を飛散させることで、該回転軸部材(12,13)外周に配置された伝動機構(2)を潤滑する車輌用伝動装置(10)の油路構造(1)において、
前記潤滑油路は、前記回転軸部材(12)の回転中心(CT12)から偏心した位置(CTd1)に穿設された軸方向孔(d1)と、前記潤滑油の供給部(a5)から潤滑油を該軸方向孔(d1)に導入するように穿設された2本の導入孔(c1,c1)と、該軸方向孔(d1)から外周側に向けて穿設されて前記伝動機構(2)に潤滑油を飛散する複数の排出孔(e1〜e19)と、を有してなり、
前記2本の導入孔(c1,c1)は、それぞれの穿設方向(即ちCTc1,CTc1)が前記回転軸部材(12)の回転中心(CT12)からの放射方向(Rd)よりも回転方向(ω)の上流側とならないように穿設され、
前記導入孔の一方(c1 )は、その穿設方向(即ちCTc1 )が前記回転軸部材(12)の回転中心(CT12)から前記軸方向孔(d1)の中心(CTd1)を通る放射方向(Rd)となるように穿設され、
前記導入孔の他方(c1 )は、その穿設方向(即ちCTc1 )が前記一方の導入孔(c1 )に対して回転方向(ω)の下流側に必要な導入量を確保し得る角度(θ1〜θ6)を成すように穿設されたことを特徴とする。
具体的に、本発明は(例えば図4及び図5参照)、前記必要な導入量を確保し得る角度(θ1〜θ6)は、37度から153度までの角度であることを特徴とする。
更に好ましくは、本発明は(例えば図4参照)、前記2本の導入孔が成す角度は、互いに重合しない角度(θ4〜θ6)からなることを特徴とする。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、例えば一方の導入孔が回転方向の上流側に向けて穿設されている場合は、他方の導入孔から導入された潤滑油が遠心力によって上記一方の導入孔から排出されてしまい、1本の導入孔を穿設した場合に比して潤滑油の導入量が減ってしまう虞があるが、2本の導入孔の穿設方向が回転軸部材の回転中心からの放射方向よりも回転方向の上流側とならないように穿設され、かつ導入孔の一方は、その穿設方向が回転軸部材の回転中心から軸方向孔の中心を通る放射方向となるように穿設され、導入孔の他方は、その穿設方向が一方の導入孔に対して回転方向の下流側に必要な導入量を確保し得る角度を成すように穿設されているので、他方の導入孔から導入された潤滑油が遠心力によって上記一方の導入孔から排出されてしまうことを防ぐことができ、1本の導入孔を穿設した場合に比して潤滑油の導入量を多くし、かつ必要な導入量を確保することができる。これにより、伝動機構を充分に潤滑することを可能とし、車輌用伝動装置の耐久性の向上を図ることができる。
請求項に係る本発明によると、必要な導入量を確保し得る角度は、37度から153度までの角度であるので、1本の導入孔を穿設した場合に比して1.3倍以上の潤滑油の導入量を確保することができる。
請求項に係る本発明によると、2本の導入孔が重合すると、2本の導入孔により鋭角部分が形成され、該鋭角部分に応力集中を招いて、回転軸部材の強度を低下させてしまう虞があるが、2本の導入孔が成す角度が互いに重合しない角度からなるので、応力集中を招く鋭角部分が形成されることがなく、回転軸部材の強度を低下させてしまうことを防ぐことができ、つまり車輌用伝動装置の耐久性の向上を図ることができる。
本発明を適用し得る自動変速機を示すスケルトン図。 本発明を適用し得る自動変速機の係合表。 自動変速機の油路構造を示す断面図。 本発明に係る2本の導入孔の角度を示す断面図で、(a)は角度θ2の図、(b)は角度θ3の図、(c)は角度θ4の図、(d)は角度θ5の図。 1本の導入孔の場合に対する2本の導入孔の潤滑流量比とそれら2本の導入孔の角度との関係を示す図。 1本の導入孔を穿設した場合の従来例を示す断面図。 2本の導入孔が角度θ7の場合の参考例を示す断面図。 導入孔の一方の穿設方向が回転方向の上流側の場合の参考例を示す断面図で、(a)は角度θ8の図、(b)は角度θ9の図。
以下、本発明に係る実施の形態を図に沿って説明する。まず、本発明を適用し得る自動変速機(車輌用伝動装置)の概略構成及び動作を図1及び図2に沿って説明する。
図1に示すように、例えばFRタイプ(フロントエンジン、リヤドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機10は、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機10の入力軸3を有しており、該入力軸3の軸方向を中心としてトルクコンバータ5と、自動変速機構(伝動機構)2とを備えている。
上記トルクコンバータ5は、自動変速機10の入力軸3に接続されたポンプインペラ5aと、作動流体を介して該ポンプインペラ5aの回転が伝達されるタービンランナ5bとを有しており、該タービンランナ5bは、上記入力軸3と同軸上に配設された上記自動変速機構2の入力軸(回転軸部材)12に接続されている。また、該トルクコンバータ5には、ロックアップクラッチ4が備えられており、該ロックアップクラッチ4が不図示の油圧制御装置の油圧制御によって係合されると、上記自動変速機10の入力軸3の回転が自動変速機構2の入力軸12に直接伝達される。
上記自動変速機構2には、入力軸12及びそれに連結された中間軸13(回転軸部材)の外周において、プラネタリギヤDPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤDPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1に噛合するピニオンP1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP2を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2(CR3)、及びリングギヤR3(R2)を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR3に噛合するロングピニオンP4と、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPのサンギヤS1は、詳しくは後述するケース11に一体的に固定されているボス部材11cに接続されて回転が固定されている。また、上記キャリヤCR1は、上記入力軸12に接続されて、該入力軸12の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4クラッチC−4に接続されている。更に、リングギヤR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、第1ブレーキB−1に接続されてケース11に対して固定自在となっていると共に、上記第4クラッチC−4及び上記第3クラッチC−3に接続されて、第4クラッチC−4を介して上記キャリヤCR1の入力回転が、第3クラッチC−3を介して上記リングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、第1クラッチC−1に接続されており、上記リングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、中間軸13を介して入力軸12の回転が入力される第2クラッチC−2に接続されて、該第2クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及び第2ブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してケース11に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR3は、不図示の駆動車輪に回転を出力する出力軸14に接続されている。
以上のように構成された自動変速機10は、図2に示す作動表のように前進1速段〜前進8速段及び後進2速段において、各クラッチC−1〜C−4、ブレーキB−1〜B−2、ワンウェイクラッチF−1が作動することにより、良好なステップ比をもって変速段のギヤ比を形成し、出力軸14から各ギヤ比に応じた出力回転を駆動車輪に出力する。
ついで、本発明に係る自動変速機(車輌用伝動装置)10の油路構造(以下、「潤滑油路構造」という)1について図3に沿って説明する。なお、本自動変速機10は、FRタイプの車輌に搭載されて好適であって、図中左方側である入力軸12側が該車輌の前方に、かつ図中右方側である出力軸14側が該車輌の後方に配置されるため、以下の説明において図中左方側を「前方側」、図中右方側を「後方側」とする。
図3に示すように、自動変速機10は、図3中にて図示省略した自動変速機構2を内包するミッションケース11aを備えており、該ミッションケース11aの前方側(図中左方)には、自動変速機構2と上記トルクコンバータ5との間を隔離する隔壁部材(オイルポンプボディ)11bが固着されて備えられている。該隔壁部材11b内には、上記自動変速機10としての入力軸3に連動するオイルポンプ15が配設されており、該オイルポンプ15を閉塞する形で該隔壁部材11bに固着されたボス部材11cが備えられている。更に、該ボス部材11cの内周側には、上記トルクコンバータ5のステータを固定するためのスリーブ状部材11eが固着されており、該スリーブ状部材11eの後端外周部分には、上記サンギヤS1と係合するスプライン歯11sが形成されている。一方、ミッションケース11aの後方側(図中右方)には、ミッションケース11aの内部と外部との間を隔離する隔壁部材11dが一体的に固着されて備えられており、これらミッションケース11a、隔壁部材11b、ボス部材11c、及び隔壁部材11dが一体的に構成され、自動変速機10のケース11を構成している。
上記スリーブ状部材11eの内周側には、入力軸12が該スリーブ状部材11eに被嵌されて回転自在に支持されており、該入力軸12の後端には、該入力軸12に対してスプライン係合されて該入力軸12と一体回転する中間軸13が備えられている。該中間軸13の更に後端外周側は、出力軸14が回転自在に被嵌しており、該出力軸14が上記隔壁部材11dに回転自在に支持されている。これにより、入力軸12及び中間軸13、出力軸14は、同軸上において、ケース11に対してそれぞれ回転自在に支持されている。
続いて、潤滑油路構造1について詳細説明する。上記スリーブ部材11eの外周側には、ボス部材11cにより閉塞されることで油路a1が形成されており、該油路a1は、不図示の油圧制御装置に連通して、調圧された潤滑油が供給されている。該油路a1は、2本の油路a5(潤滑油の供給部)(図4参照)を介して、シールリングf1,f2によりスリーブ状部材11eと入力軸12との間がシールされて入力軸12の溝状油路b1、及び詳しくは後述する第1所定径(例えば直径6mm)の2本の導入孔c1,c1(潤滑油路)に連通しており、該導入孔c1,c1は、該入力軸12内の軸方向にあって、該入力軸12の中心と平行な異なる中心上に、つまり偏心した位置に穿設された第2所定径(例えば直径7mm)の軸方向孔d1(潤滑油路)に連通している。
なお、上記ボス部材11cには、油路a1に連通する油路a2,a3,a4が穿設されており、該ボス部材11cの外周側に向けても潤滑油が飛散・排出されている。また、ボス部材11c内の油路から不図示の油圧制御装置からの供給圧が、シールリングf2、f3によりシールされて、入力軸12内の油路c50,d50,e50に供給され、図示を省略したクラッチC−1の油圧サーボに供給されている。
上記軸方向孔d1の軸方向後端側は、中間軸13に向けて開口しており、入力軸12と中間軸13との間が嵌合面f4にシールされて、該軸方向孔d1と中間軸13内の中心に軸方向に穿設された軸方向孔d2とが連通している。そして、軸方向孔d1からは、入力軸12の外周側に向けて、排出孔e1,e2,e3,e4が、また、軸方向孔d2からは、中間軸13の外周側に向けて、複数の排出孔e5,e6,e7,e8,e9,e10,e11,e12,e13,e14,e15,e16,e17,e18(潤滑油路、排出孔)が、それぞれ穿設されて連通しており、図示を省略した自動変速機構2の各部に潤滑油を飛散・供給している。更に、軸方向孔d2の後端側からは、出力軸14の内周部に向けて傾斜した油路e19(潤滑油路、排出孔)が穿設されて、中間軸13と出力軸14との間にも潤滑油を供給している。
ついで、本発明の要部となる導入孔c1,c1について図4に沿って説明する。図4(a)〜(d)に示すように、上記スリーブ状部材11e内には、中心CT12上に入力軸12が回転自在に配設されており、該入力軸12は、不図示のエンジンの駆動力を伝動するため、回転方向ωの一方向だけに軸回転される。なお、この図4は、導入孔c1,c1が穿設された部分の断面図であるため、クラッチC−1の油圧サーボに供給するための油路d50が示されていないが(図3参照)、本自動変速機10の入力軸12においては、軸方向孔d1と該油路d50との2本の油孔が穿設されているため、それら軸方向孔d1及び油路d50がそれぞれ偏心した位置に穿設されて構成されている。
上記スリーブ部材11eには、上記油路a1に連通する2本の油路a5が穿設されており、該油路a5は、シールリングf1,f2にシールされると共に、入力軸12の外周に配設された溝状油路b1に向けて開口している(図3参照)。一方、入力軸12内には、該入力軸12の中心CT12に対して偏心した位置を中心CTd1とした軸方向孔d1が軸方向に向けて穿設されている。そして、2本の導入孔c1,c1が、該軸方向孔d1に向けて入力軸12の外周側より所定角度θを存して穿設されていると共に、該導入孔c1(一方の導入孔)の中心CTc1(即ち導入孔c1の穿設方向)は、入力軸12の中心CT12から軸方向孔d1の中心CTd1を通る放射方向Rdとなるように穿設されており、かつ該導入孔c1(他方の導入孔)の中心CTc1(即ち導入孔c1の穿設方向)は、導入孔c1の中心CTc1から回転方向ωの下流側(回転方向の前方側)に角度θ(図4(a)では角度θ2、図4(b)では角度θ3、図4(c)では角度θ4、図4(d)では角度θ5)を存するように穿設されている。
ところで、図8(a)及び(b)に示すように、2本の導入孔c1,c1のうち、一方の導入孔c1が、入力軸12の中心CT12から軸方向孔d1の中心CTd1を通る放射方向Rdよりも回転方向ωの上流側(回転方向の後方側)に向くように配置され、他方の導入孔c1が該放射方向Rdよりも回転方向ωの下流側に向くように配置された参考例では(例えば図8(a)に示すθ8は140度、例えば図8(b)に示すθ9は220度)、上流側に向いた導入孔c1において排出方向に遠心力が発生するため、下流側に向いた導入孔c1から潤滑油が導入されるものの、その導入された潤滑油が導入孔c1から排出されてしまう。そのため、2本の導入孔c1,c1を穿設したとしても、導入孔c1から導入された潤滑油が導入孔c1から抜けてしまって逆効果となり、例えば図6に示す従来の1本の導入孔c1による潤滑油の導入量に比して、図8に示す2本の導入孔c1,c1の導入量の方が減ってしまう。つまり、2本の導入孔c1,c1は、両方とも、中心CT12から中心CTd1を通る放射方向Rdよりも回転方向ωの上流側とならないように、即ち、放射方向Rdに対して、回転方向に向かい、角度にして0度乃至180度の範囲に穿設されている必要があることが分かる。
また、ここで、図6に示す従来の1本の導入孔c1であって、その穿設方向が軸方向孔d1の中心CTd1を通る放射方向Rdと同方向である場合の軸方向孔d1に対する潤滑油の導入量を基準(即ち1倍)とすると、自動変速機構2の各部を充分に潤滑するために必要な潤滑油の導入量(以下、「必要流量」という)は1.3倍以上の流量が必要である。即ち、本自動変速機10の自動変速機構2は、例えば前進6速段及び後進1速段を達成する自動変速機に第4クラッチC−4を追加する形で前進8速段及び後進2速段を達成し得るように構成することができるが、自動変速機構2において第4クラッチC−4(摩擦板や油圧サーボを含む)が増えた分、発熱量が増加する。そのため、例えば前進6速段及び後進1速段を達成する自動変速機における潤滑油の必要流量を1とすると、1.3倍以上の潤滑油の流量が要求されることになる。
図5は、従来の1本の導入孔c1の場合を基準(即ち1倍)とした場合の軸方向孔d1に対する潤滑油の導入量の比率(以下、「潤滑流量比」という)と、上記2本の導入孔c1,c1の互いの角度との関係をコンピュータのシミュレーションにより求めた解析結果を示す図である。上述のように必要流量が、従来の1本の導入孔c1の場合を基準として1.3倍であるとし、導入孔c1の穿設方向が軸方向孔d1の中心CTd1を通る放射方向Rdであるとすると、該導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向の角度θ(つまり中心CTc1と中心CTc1との角度)が、図5中のθ1で示す37度から図5中のθ6で示す153度までの間(必要な導入量を確保し得る角度)であることが望ましいことが分かる。
従って、図4(a)に示すように導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ2(70度)のもの、図4(b)に示すように導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ3(90度)のもの、図4(c)に示すように導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ4(121度)のもの、図4(d)に示すように導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ5(140度)のものは、充分に上記必要流量を確保することができる。
また特に図5からは、導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ3(90度)である場合が最も潤滑流量比が高く(潤滑油の導入量が多く)、該角度θ3(90度)のものに比して、導入孔c1の穿設方向が上流側に向けて角度θが鋭角になるにつれて(つまり角度θが小さくなるにつれて)、回転方向ωに対して潤滑油を迎え入れる方向から外れていき、潤滑油の導入量が減っていくため、角度θ1(37度)よりも鋭角となると上記必要流量を確保できないことが分かる。また反対に、該角度θ3(90度)のものに比して、導入孔c1の穿設方向が下流側に向けて角度θが鈍角になるにつれて(つまり角度θが大きくなるにつれて)、回転方向ωに対して潤滑油を迎え入れる方向となるが、導入孔c1が長くなるにつれて遠心力を受け易くなって、潤滑油の導入量が減っていくため、角度θ6(153度)よりも鋭角となると上記必要流量を確保できないことが分かる。
そのため、図7に示す導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ7(160度)の参考例は、上記図5に示す角度θ1(37度)から角度θ6(153度)までの間から外れており、つまり導入孔c1が長くて遠心力を受けるものであるため、潤滑油の導入量が減って上記必要流量を確保できないものであるといえる。
ところで、上記図5に示す解析結果から、導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ3(90度)である場合が最も潤滑油の導入量が多く、自動変速機構2の各部を潤滑する潤滑流量の観点からは好ましいが、図4(a)や図4(b)に示すように、特に導入孔c1と導入孔c1との軸方向孔d1に連通する付根部分が互いに重合してしまうと、それら導入孔c1及び導入孔c1の重合部分により鋭角部分が形成され、該鋭角部分に応力集中を招いて、該入力軸12の強度を低下させてしまう虞がある。
即ち、導入孔c1及び導入孔c1が穿設された際に互いに重合せずに、一方の導入孔c1と他方の導入孔c1が軸方向孔d1に連通する夫々の付根部分間に距離を有するためには、2本の導入孔c1,c1が成す角度が、図4(c)に示す角度θ4(121度)以上であることが必要であって、かつ必要流量を確保し得る角度θ6(153度)以下であることが好ましい(図5参照)。つまり、導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ4(121度)から角度θ6(153度)までの間であると、導入孔c1,c1が重合せず、かつ必要流量を確保し得るという2つの条件を満たすことになる。
そして、このように導入孔c1に対する導入孔c1の穿設方向が角度θ4(121度)から角度θ6(153度)までの間(互いに重合しない角度)にあって、最も潤滑油の導入量が多くなるのは、図4(c)に示す角度θ4(121度)のものである(図5参照)。従って、導入孔c1,c1が重合せず、かつ最も潤滑油の導入量が多くなる角度θ4(121度)が、最も好ましい形態であるといえる。
以上説明したように本潤滑油路構造1によると、例えば図8に示すように一方の導入孔c1が回転方向ωの上流側に向けて穿設されている場合は、他方の導入孔c1から導入された潤滑油が遠心力によって上記一方の導入孔c1から排出されてしまい、図6に示すように1本の導入孔c1を穿設した場合に比して潤滑油の導入量が減ってしまう虞があるが、図4に示すように2本の導入孔c1,c1の穿設方向が入力軸12の回転中心CT12からの放射方向Rdよりも回転方向ωの上流側とならないように穿設され、かつ互いの穿設方向が必要な導入量を確保し得る角度θ1〜θ6を成すように配置されているので(図5参照)、図6に示すように1本の導入孔c1を穿設した場合に比して潤滑油の導入量を多くし、かつ必要な導入量を確保することができる。これにより、自動変速機構2を充分に潤滑することを可能とし、自動変速機10の耐久性の向上を図ることができる。
また、導入孔c1は、その穿設方向が入力軸12の回転中心CT12から軸方向孔d1の中心CTd1を通る放射方向Rdとなるように穿設され、導入孔c1は、その穿設方向が導入孔c1に対して回転方向ωの下流側に必要な導入量(即ち潤滑流量比1.3以上)を確保し得る角度θ1〜θ6を成すように穿設されているので(図5参照)、導入孔c1から導入された潤滑油が遠心力によって上記導入孔c1から排出されてしまうことを防ぐことができ、かつ必要な導入量を確保することができる。
即ち、必要な導入量を確保し得る角度は、図5に示すように37度から153度までの角度であると、図6に示すように1本の導入孔c1だけを穿設した場合に比して1.3倍以上の潤滑油の導入量を確保することができる。
そして、2本の導入孔c1,c1が重合すると、2本の導入孔c1,c1により鋭角部分が形成され、該鋭角部分に応力集中を招いて、入力軸12の強度を低下させてしまう虞があるが、2本の導入孔c1,c1が成す角度が互いに重合しない角度θ4(121度)以上となるように穿設されるので、応力集中を招く鋭角部分が形成されることがなく、入力軸12の強度を低下させてしまうことを防ぐことができ、つまり自動変速機10の耐久性の向上を図ることができる。
なお、以上説明した本実施の形態においては、潤滑油路構造1をFRタイプの多段式自動変速機10に適用した場合を一例に説明したが、これに限らず、FFタイプの自動変速機、ベルト式やトロイダル式の無段変速機、各種のハイブリッド駆動装置等にあっても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態においては、入力軸12、中間軸13が回転軸部材であるものを説明したが、これに限らず、カウンタシャフト等の回転軸であってもよく、つまり軸回転し、かつ軸方向孔とその軸方向孔に連通する2本の導入孔とを備えているものであれば、どのようなものであってもよい。
また、本実施の形態においては、2本の導入孔c1,c1がそれぞれ第1所定径(例えば直径6mm)で、かつ軸方向孔d1が第2所定径(例えば7mm)である場合であって、2本の導入孔c1,c1が軸方向孔d1に連通する付根部分で重合しない角度θ4(121度)以上であるものを説明したが、これに限らず、2本の導入孔c1,c1のそれぞれの直径と、軸方向孔d1の直径との関係が異なれば、自ずと重合しない角度が異なるが、2本の導入孔c1,c1が互いに重合せず、かつ必要流量が確保し得る角度のものであれば良いことは言うまでもない。
また、本実施の形態においては、耐久性上の観点から、2本の導入孔c1,c1が重合しない角度であることが好ましいとしたが、耐久性に問題がなければ、たとえ2本の導入孔c1,c1が重合したとしても、必要流量を確保し得る角度であれば良いことは、勿論のことである。
そして、本実施の形態においては、自動変速機構2の軸方向の長さ(軸方向孔d1の長さ)等に起因して、必要流量を、従来の1本の導入孔c1だけを穿設した場合に比して1.3倍以上に設定したが、これに限らず、必要流量は潤滑する伝動機構に応じて適宜に設定されるべきものである。
本発明に係る発進装置の油圧制御装置は、乗用車、トラック等に搭載される車輌用伝動装置の油路構造として用いることが可能であり、特に回転軸部材の潤滑油路を介して軸方向に潤滑油を導き、該回転軸部材上に配置された伝動機構を潤滑するものにあって、1本の導入孔で導入する潤滑油の導入量よりも多くの必要流量を導入して伝動機構の各部を充分に潤滑することが求められる車輌用伝動装置の油路構造に用いて好適である。
1 車輌用伝動装置の油路構造(潤滑油路構造)
2 伝動機構(自動変速機構)
10 車輌用伝動装置(自動変速機)
12 回転軸部材(入力軸)
13 回転軸部材(中間軸)
a5 潤滑油の供給部(油路)
c1 導入孔、一方の導入孔
c1 潤滑油路、導入孔、他方の導入孔
d1 潤滑油路、軸方向孔
e1〜e19 潤滑油路、排出孔
CT12 回転軸部材の回転中心(入力軸の中心)
CTc1 穿設方向(導入孔の中心)
CTc1 穿設方向(導入孔の中心)
CTd1 偏心した位置、軸方向孔の中心
Rd 放射方向
ω 回転方向
θ1〜θ6 必要な導入量を確保し得る角度
θ4〜θ6 互いに重合しない角度

Claims (3)

  1. 一方向に軸回転することで動力を伝達し得る回転軸部材の内部に潤滑油路を形成し、潤滑油の供給部から回転中の該潤滑油路に潤滑油を導入して、該潤滑油路を介して潤滑油を飛散させることで、該回転軸部材外周に配置された伝動機構を潤滑する車輌用伝動装置の油路構造において、
    前記潤滑油路は、前記回転軸部材の回転中心から偏心した位置に穿設された軸方向孔と、前記潤滑油の供給部から潤滑油を該軸方向孔に導入するように穿設された2本の導入孔と、該軸方向孔から外周側に向けて穿設されて前記伝動機構に潤滑油を飛散する複数の排出孔と、を有してなり、
    前記2本の導入孔は、それぞれの穿設方向が前記回転軸部材の回転中心からの放射方向よりも回転方向の上流側とならないように穿設され
    前記導入孔の一方は、その穿設方向が前記回転軸部材の回転中心から前記軸方向孔の中心を通る放射方向となるように穿設され、
    前記導入孔の他方は、その穿設方向が前記一方の導入孔に対して回転方向の下流側に必要な導入量を確保し得る角度を成すように穿設された、
    ことを特徴とする車輌用伝動装置の油路構造。
  2. 前記必要な導入量を確保し得る角度は、37度から153度までの角度である、
    ことを特徴とする請求項記載の車輌用伝動装置の油路構造。
  3. 前記2本の導入孔が成す角度は、互いに重合しない角度からなる、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の車輌用伝動装置の油路構造。
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