JP2005061425A - 自動変速機の潤滑油路構造 - Google Patents

自動変速機の潤滑油路構造 Download PDF

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Masahiro Ida
将宏 井田
Yukio Hiramoto
幸生 平本
Shingo Uozumi
信悟 魚住
Kazunori Ishikawa
和典 石川
Satoru Kasuya
悟 糟谷
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
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    • F16H57/042Guidance of lubricant
    • F16H57/043Guidance of lubricant within rotary parts, e.g. axial channels or radial openings in shafts

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Abstract

【課題】入力軸の油路を介して変速機構に供給する潤滑油量を調整することが可能な自動変速機の潤滑油路構造を提供する。
【解決手段】オイルポンプからの潤滑油を、駆動源の回転に基づき一方向の回転方向ωで回転する入力軸3の油孔20,21に、固定されたスリーブ部材11の貫通孔11d,11dより受け渡す形で供給し、該油孔20,21を介して軸方向に配列された変速機構まで供給する。この貫通孔11d,11dを、軸心CTからの放射方向Bに対して、回転方向ωの順回転方向に傾斜した角度θ1の穿設方向Cで穿設すると、矢印H方向の潤滑油の油圧を受け止める方向の状態(油孔21から油孔21’の位置の状態)が長くなり、回転方向ωの逆回転方向に傾斜した角度θ2の穿設方向Dで穿設すると、矢印I方向の潤滑油の油圧から遠ざかる方向の状態(油孔21’から油孔21”の位置の状態)が長くなる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸方向に配列された変速機構の各部位を潤滑するために回転軸部材の油路を介して潤滑油を供給するような自動変速機に係り、詳しくは、該潤滑油の供給量を調節することを可能とする潤滑油路構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動変速機においては、駆動源の動力を伝達する入力軸を中心として、歯車機構、クラッチ、ブレーキなどから構成される変速機構が配置されている。この変速機構の各部位においては、各部材間における相対回転が生じるため、摩擦を抑えるように潤滑油を供給する必要がある。潤滑油は、例えば自動変速機の前方側(入力側)に配設されているオイルポンプより後方側(出力側)に位置する変速機構まで供給する必要がある。
【0003】
上記オイルポンプから供給されてくる潤滑油は、該オイルポンプからの油路が形成されたスリーブ部材に貫通して設けられた油孔(以下、「貫通孔」という)を介して入力軸の外周部に供給し、入力軸に内設された軸方向の油路(以下、「軸方向孔」という)から該入力軸の外周部まで放射方向に連通して設けられた油孔(以下、「排出孔」という)に受け渡す形で(つまり回転しない部材の油孔から回転する部材の油孔に受け渡す形で)、該軸方向孔まで潤滑油を供給している。また、入力軸の軸方向孔を介して軸方向後方側に供給された潤滑油は、該軸方向孔より該入力軸の外周部に連通するように放射方向に設けられた排出孔から上記変速機構の各部位に供給している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−166628号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記変速機構において潤滑が必要な部位であっても、潤滑油量が多く必要な部位と、潤滑油量が少なくても足り、反対に潤滑過多による引き摺り損失を生じてしまう部位とがある。そのため、供給する潤滑油量を調整することが可能な潤滑油路構造の案出が望まれていた。
【0006】
また、特に高速段や高車速の状態にあっては、上記変速機構において高回転となる部分が多くなり、それに伴い摩擦が高くなるため、それらの部分において冷却等のための潤滑油量が多く必要となる。しかしながら、このような高速段や高車速の状態にあっては、入力軸の回転も高回転となるため、潤滑油に作用する遠心力や慣性力、油圧応答性などの問題から、上記ボス部材の貫通孔から入力軸の排出孔へ受け渡す潤滑油量が減少してしまうという問題があり、そのため上記変速機構において高回転となる部分に供給する潤滑油量が減少してしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、回転軸部材の油路を介して変速機構に供給する潤滑油量を調整することが可能な自動変速機の潤滑油路構造を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図5参照)、駆動源の回転に基づき回転することで動力伝達し得ると共に、内設された油路(20,21,22,23,24)を介して油圧発生源(5)からの潤滑油を、軸方向に配列された変速機構(2)の各部位に供給し得る回転軸部材(3)と、該回転軸部材(3)に対して周設されるスリーブ部材(11)と、を備えた自動変速機(1)の潤滑油路構造において、
前記スリーブ部材(11)は、油圧発生源(5)から前記油路(20,21,22,23,24)に前記潤滑油を導通し、かつ穿設方向(C,D)に対して平行な側壁面(11e)を備えた貫通孔(11d)を有し、
前記貫通孔(11d)は、前記回転軸部材(3)の回転中心からの放射方向(B)に対して傾斜した角度(θ1、θ2)で穿設される、
ことを特徴とする自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0009】
請求項2に係る本発明は(例えば図1乃至図5参照)、前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸(3)であり、
前記貫通孔(11d)の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸(3)の回転方向(ω)の順回転方向に傾斜した角度(θ1)からなる、
請求項1記載の自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0010】
請求項3に係る本発明は(例えば図1乃至図5参照)、前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸(3)であり、
前記貫通孔(11d)の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸(3)の回転方向(ω)の逆回転方向に傾斜した角度(θ2)からなる、
請求項1記載の自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0011】
請求項4に係る本発明は(例えば図1乃至図3、及び図6参照)、駆動源の回転に基づき回転することで動力伝達し得ると共に、内設された油路(20、21,22,23,24)を介して油圧発生源(5)からの潤滑油を、軸方向に配列された変速機構(2)の各部位に供給し得る回転軸部材(3)を備えた自動変速機(1)の潤滑油路構造において、
前記油路は、前記軸方向でかつ前記回転軸部材(3)の回転中心(CT)に対して偏心した位置に設けられる軸方向孔(20)と、該軸方向孔(20)と前記回転軸部材(3)の外周部とを連通し、かつ穿設方向(E,F)に対して平行な側壁面(22a、23a、24a)を備えて該軸方向孔(20)から該回転軸部材(3)の外周部に前記潤滑油を排出し得る排出孔(22,23,24)と、を有し、
前記排出孔(22,23,24)は、前記回転軸部材(3)の回転中心(CT)からの放射方向(B)に対して傾斜した角度(θ3、θ4)で穿設される、
ことを特徴とする自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0012】
請求項5に係る本発明は(例えば図1乃至図3、及び図6参照)、前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸(3)であり、
前記排出孔(22,23,24)の放射方向(B)に対して傾斜した角度は、前記入力軸(3)の回転方向(ω)の順回転方向に傾斜した角度(θ3)からなる、
請求項4記載の自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0013】
請求項6に係る本発明は(例えば図1乃至図3、及び図6参照)、前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸(3)であり、
前記排出孔(22,23,24)の放射方向(B)に対して傾斜した角度は、前記入力軸(3)の回転方向(ω)の逆回転方向に傾斜した角度(θ4)からなる、
請求項4記載の自動変速機(1)の潤滑油路構造にある。
【0014】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、スリーブ部材は、油圧発生源から油路に潤滑油を導通し、かつ穿設方向に対して平行な側壁面を備えた貫通孔を有しており、該貫通孔は、回転軸部材の回転中心からの放射方向に対して傾斜した角度で穿設されるので、スリーブ部材の貫通孔から該回転軸部材の油路に供給する潤滑油量を該貫通孔の角度に基づき調整することができる。それにより、変速機構の各部位における潤滑不足や潤滑過多の防止を可能とすることができ、変速機構の各部位における耐久性の向上や引き摺り損失の減少を可能とすることができる。
【0016】
請求項2に係る本発明によると、貫通孔の放射方向に対して傾斜した角度が、入力軸の回転方向の順回転方向に傾斜した角度からなるので、入力軸の油路に供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態を一回転の比率として多く(長く)することができ、入力軸の油路に供給する潤滑油量を増加させることができ、変速機構の各部位に供給する潤滑油量を増加させることができる。それにより、自動変速機の耐久性の向上を図ることができる。また、入力軸が高回転となる場合にあっても、貫通孔からの潤滑油の油圧を入力軸の油路が受け止める方向に作用する時間、即ち油圧応答のための時間を増加させることができ、入力軸が高回転になることに伴う供給される潤滑油量の減少を抑えることができて、変速機構においても高回転となる各部位に供給する潤滑油量が減少してしまうことを抑えることができる。また、例えば入力軸が軸方向において配列された複数の排出孔を有している場合には、軸方向後方側の排出孔に供給する潤滑油量も増加させることができ、後方側の排出孔から排出される潤滑油量の不足を防ぐことができる。
【0017】
請求項3に係る本発明によると、貫通孔の放射方向に対して傾斜した角度が、入力軸の回転方向の逆回転方向に傾斜した角度からなるので、入力軸の油路に供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態を一回転の比率として少なく(短く)することができ、入力軸の油路に供給する潤滑油量を減少させることができ、変速機構の各部位に供給する潤滑油量を減少させることができる。これにより、変速機構の各部位において潤滑過多となることを防ぐことができ、変速機構における引き摺り損失を減少させることができて、自動変速機として効率の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によると、回転軸部材の油路は、軸方向でかつ回転軸部材の回転中心に対して偏心した位置に設けられる軸方向孔と、該軸方向孔と回転軸部材の外周部とを連通する排出孔とを有しており、該排出孔は、回転軸部材の回転中心からの放射方向に対して傾斜した角度で穿設されるので、軸方向孔から排出孔を介して排出する潤滑油量を該排出孔の角度に基づき調整することができる。それにより、変速機構の各部位における潤滑不足や潤滑過多の防止を可能とすることができ、変速機構の各部位における耐久性の向上や引き摺り損失の減少を可能とすることができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によると、排出孔の放射方向に対して傾斜した角度が、入力軸の回転方向の順回転方向に傾斜した角度からなるので、特に入力軸の回転の加速中において、排出孔より入力軸の外周部に排出する潤滑油を出難くすることができ、排出する潤滑油量を減少させることができる。また、排出孔より変速機構の各部位に供給する潤滑油量も減少させることができるので、変速機構の各部位において潤滑過多となることを防ぐことができ、特に車輌の加速中に、変速機構における引き摺り損失を減少させることができて、自動変速機として効率の向上を図ることができる。更に、例えば入力軸が軸方向において配列された複数の排出孔を有している場合には、前方側の排出孔より排出する潤滑油量を減少させることができるので、後方側にある排出孔において排出する潤滑油量を増加させることができ、該後方側の排出孔から排出される潤滑油量の不足を防ぐことができる。
【0020】
請求項6に係る本発明によると、排出孔の放射方向に対して傾斜した角度が、入力軸の回転方向の逆回転方向に傾斜した角度からなるので、特に変速機構の各部位が高回転となっていく入力軸の回転の加速中において、排出孔より入力軸の外周部に排出する潤滑油を出易くすることができ、排出する潤滑油量を増加させることができる。また、排出孔より変速機構の各部位に供給する潤滑油量も増加させることができるので、変速機構の各部位に必要な潤滑油量を確保することができ、自動変速機の耐久性の向上を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図に沿って説明する。まず、本発明を適用し得る自動変速機1について図1及び図2に沿って説明する。図1は本発明を適用し得る自動変速機を示すスケルトン図、図2は自動変速機の作動表である。
【0022】
図1に示すように、例えばFRタイプの車輌に用いて最適である自動変速機1は、ミッションケース6内にトルクコンバータ12及び変速機構2を備えており、エンジン(駆動源)からの出力が、自動変速機1の入力軸14に入力され、該トルクコンバータ12を介して変速機構2の入力軸3に入力されている。また、該トルクコンバータ12には、ロックアップクラッチ16が備えられている。
【0023】
変速機構2には、シンプルプラネタリギヤPRと、2つのプラネタリギヤが連結されるような形であるラビニョタイプのプラネタリギヤユニットPUとが備えられている。該シンプルプラネタリギヤSPは、サンギヤS1と、ピニオンP1を介して該サンギヤS1に噛合するキャリヤCR1と、該キャリヤCR1に噛合するリングギヤR1とから構成されており、該シンプルプラネタリSPのリングギヤR1に上記入力軸3が連結されている。また、サンギヤS1は、詳しくは後述する上記入力軸3に周設されたスリーブ部材11を介して、上記ミッションケース6に固定されたボス部材10に回転不能に固定支持されており、キャリヤCRは、クラッチC−3及びクラッチC−1に連結されている。
【0024】
一方、上記プラネタリギヤユニットPUは、2つのサンギヤS2,S3と、ロングピニオンP2及びピニオンP3を有してサンギヤS2,S3に噛合するキャリヤCR2と、該キャリヤCR2に噛合するリングギヤR2とから構成されている。該サンギヤS2は、上記クラッチC−3に連結されていると共にブレーキB−1に連結されており、該クラッチC−3が係合すると上記キャリヤCR1に連結され、ブレーキB−1によりミッションケース6に対して係止されると回転不能に固定される。また、サンギヤS3は、クラッチC−1に連結されており、該クラッチC−1が係合すると上記キャリヤCR1に連結される。
【0025】
上記キャリヤCR2は、一端がクラッチC−2に連結されており、該クラッチC−2が係合すると入力軸3に連結され、また、他端がワンウェイクラッチF−1に連結されていると共にブレーキB−2に連結されており、該ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されていると共にブレーキB−1によりミッションケース6に対して係止されると回転不能に固定される。そして、上記リングギヤR3は、変速機構2の出力軸15に連結されており、クラッチC−1,C−2,C−3,及びブレーキB−1,B−2の係合状態により前進6速段、後進1速段の回転が該出力軸15に伝達されて、不図示の駆動車輪に出力される。
【0026】
つづいて、自動変速機1の作動について沿って説明する。図2に示すように、シフトレンジがP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジである場合、クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2は全て解放状態であり、特にクラッチC−1,C−2,C−3が解放されているので、入力軸3と出力軸15との動力伝達が切断されている状態である。
【0027】
前進1速段(1st)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−1が係合されると共にワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転が、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されているキャリヤCR2を介して更に減速されてリングギヤR3に入力され、1速段の減速回転として出力軸15に伝達される。なお、エンジンブレーキ時には、上記ワンウェイクラッチF−1に代わってブレーキB−2が係合され、キャリヤCR2の回転が固定される。
【0028】
前進2速段(2nd)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−1及びブレーキB−1が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース6に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とサンギヤS3の減速回転によりキャリヤCR2が減速回転し、該サンギヤS3の減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、2速段の減速回転として出力軸15に伝達される。
【0029】
前進3速段(3rd)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力され、更に、クラッチC−3を介してサンギヤS2にも同じ減速回転が入力される。そして、サンギヤS2及びサンギヤS3の減速回転によりキャリヤCR2及びリングギヤR3が同じ減速回転となって該リングギヤR3より出力され、3速段の減速回転として出力軸15に伝達される。
【0030】
前進4速段(4th)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸3の回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転とキャリヤCR2の入力軸3の回転とにより、僅かに減速される減速回転としてリングギヤR3に出力され、4速段の減速回転として出力軸15に伝達される。
【0031】
前進5速段(5th)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸3の回転が入力される。そして、サンギヤS2の減速回転とキャリヤCR2の入力軸3の回転とにより、僅かに増速される増速回転としてリングギヤR3に出力され、5速段の増速回転として出力軸15に伝達される。
【0032】
前進6速段(6th)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−2及びブレーキB−1が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がクラッチC−2を介してキャリヤCR2に入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース6に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とキャリヤCR2の入力軸3の回転とにより増速回転としてリングギヤR3に出力され、6速段の増速回転として出力軸15に伝達される。
【0033】
後進1速段(R)の状態においては、図2に示すように、不図示の油圧制御装置によりクラッチC−3及びブレーキB−2が係合される。すると、図1に示すように、入力軸3の回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−2によりキャリヤCR2の回転がミッションケース6に対して固定される。そして、固定されたキャリヤCR2によりサンギヤS2の減速回転が逆転回転としてリングギヤR3に出力され、後進1速段の逆転回転として出力軸15に伝達される。
【0034】
ついで、本発明の第1の実施の形態に係る自動変速機1の潤滑油路構造について図3乃至図5に沿って説明する。図3は自動変速機の一部拡大断面図、図4は図3におけるX部分を示す一部省略拡大図、図5は図4におけるA−A断面を示す図で、(a)は貫通孔を順回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図、(b)は貫通孔を逆回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図である。
【0035】
自動変速機1は、図3に示すように、ミッションケース6及び該ケース6に固定された蓋状部材7内において、軸心(回転中心)CTを中心とした入力軸3上に、軸方向に配列される形で上記変速機構2を有している。該入力軸3は、トルクコンバータ12を介してエンジンに接続されており、該エンジンの回転に基づき一方向に対してのみ回転する。
【0036】
また、該変速機構2は、入力軸3上に、ブレーキB1及びブレーキB1用油圧サーボ50と、クラッチC3及びクラッチC3用油圧サーボ60とを有しており、該クラッチC3の内周側には、サンギヤS1とキャリヤCR1とリングギヤR1とを有するプラネタリギヤPRが配設されている。なお、このような変速機構2は、一般的な変速機構であり、公知の変速機構と同様な構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0037】
上記蓋状部材7は上記ミッションケース6に固定されており、該蓋状部材7には、内周側がボス部分として形成されているボス部材10がボルト8を介して固定されている。また、蓋状部財7とボス部材10との間には、例えばエンジンに連動するベーンポンプ等からなるオイルポンプ5が配設されている。該ボス部材10の内周側には、一端側がサンギヤS1として形成されているスリーブ状のスリーブ部材11が嵌合する形で固定されており、更にスリーブ部材11の内周側には、上記入力軸3が回転自在に支持されている。
【0038】
該スリーブ部材11の外周側には、溝11a,11b,11cが形成されており、該スリーブ部材11が上記ボス部材10に嵌合することにより塞がれる形で油路を構成している(以下、これらをそれぞれ「油路11a,11b,11c」とする)。また、図3及び図4に示すように、入力軸3の外周側には環状溝3a,3b,3cがそれぞれ形成されており、環状溝3aはシールリング81,82によりシールされて詳しくは後述する貫通孔11dを介して上記油路11aに、環状溝3bはシールリング81,83によりシールされて上記油路11bに、環状溝3cはシールリング82,84によりシールされて上記油路11cに、それぞれ連通している。
【0039】
また、該入力軸3には、前方側(入力側、図中左方側)において軸方向に穿設された形の油孔40と、後方側(出力側、図中右方側)において軸方向に穿設された形の油孔(軸方向孔)20と油孔30とが形成されており、該油孔20と油孔30とは軸方向においてオーバーラップする位置に形成されているため、軸心CTに対して偏心した位置にそれぞれが形成されている。更に、入力軸3には、該油孔40と上記環状溝3bとを連通する油孔41、該油孔30と上記環状溝3cとを連通する油孔31、該油孔20と上記環状溝3aとを連通する油孔21がそれぞれ形成されている。また、該入力軸3には、該入力軸3の外周部と油孔20とを連通し、即ち該入力軸3の外周側に開口している排出孔22,23,24が、軸方向において順次配列された形でそれぞれ形成されている。
【0040】
上記油路11bは不図示の油圧制御装置の油圧回路に連通しており、該油圧制御装置からの制御圧を油孔41,40を介して不図示のロックアップクラッチの油圧サーボの油室に供給する。また、上記油路11cも不図示の油圧制御装置の油圧回路に連通しており、該油圧制御装置からの制御圧を油孔31,30を介して不図示(後方側にある)のクラッチ用油圧サーボの油室に供給する。そして、上記油路11aは上記オイルポンプ5に連通しており、該オイルポンプ5により発生する油圧に基づき潤滑油が上記環状溝3a、油孔21を介して油孔20に供給され、更に油孔20に供給された潤滑油は、排出孔22,23,24を介して遠心力に基づき飛散される形で排出され、上記プラネタリギヤ、クラッチC3、各ベアリングなどの変速機構2の各部位に供給される。
【0041】
ついで、本発明の要部となるスリーブ部材11の貫通孔11dについて図5に沿って説明する。図5(a)に示すように、上述したスリーブ部材11には、外周側の一部分に上記油路11aが形成されており、該油路11aから内周側の入力軸3に向けて貫通する形の2つの貫通孔11d,11dが所定間隔を存して形成されている。該貫通孔11d,11dのそれぞれは、穿設方向Cに対して平行な側壁面11eを有しており、つまり内径が略々均一な孔となっている。そして、該貫通孔11d,11dの穿設方向Cは、入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して、入力軸3の回転方向ωの順回転方向に角度θ1で傾斜した方向となっており、つまり貫通孔11d,11dは、該放射方向Bに対して傾斜した角度θ1で穿設されている。
【0042】
つづいて、潤滑油の供給について図に沿って説明する。例えば上記オイルポンプ5において油圧が発生すると、図4に示すように、上記油路11aに矢印Gで示すように潤滑油が供給され、図4及び図5に示すように、矢印Hで示すように貫通孔11d,11dに潤滑油が供給される。この貫通孔11d,11dまで供給された潤滑油は、エンジンの回転に基づきω方向に回転している入力軸3の油孔21が何れの位置にある状態でも環状溝3aを介して該油路21に僅かに供給されるが、主に該油孔21が貫通孔11d,11dに対向している状態で上記オイルポンプ5が発生する油圧に基づき該貫通孔11d,11dから受圧する形で供給され、即ち固定されているスリーブ部材11から回転している入力軸3の油孔20まで潤滑油の受け渡しが行われる。
【0043】
この油孔21が貫通孔11d,11dに対向している状態とは、図5(a)中に示すように貫通孔11d,11dに対向し始める油孔21の位置から、該貫通孔11d,11dに対して略正面向きとなる油孔21’の位置を介して、該貫通孔11d,11dへの対向を終える油孔21”の位置までの状態である。油孔21から油孔21’までの位置にある状態では、貫通孔11d,11dからの上記矢印Hの方向で供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態であり、反対に油孔21’から油孔21”までの位置にある状態では、貫通孔11d,11dからの上記矢印Hの方向で供給される潤滑油の油圧から遠ざかる方向(逃げる方向)の状態である。
【0044】
即ち、上述のように貫通孔11d,11dを、入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して入力軸3の回転方向ωの順回転方向に角度θ1で傾斜した穿設方向Cで穿設することで、供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態(油孔21から油孔21’までの位置の状態)を一回転の比率として多く(長く)することができる。これにより、入力軸3の油孔20に供給する潤滑油量を増加させることができ、排出孔22,23,24より変速機構2の各部位に供給(排出)する潤滑油量も増加させることができ、自動変速機1の耐久性の向上を図ることができる。
【0045】
また、上述のように入力軸3の油孔20に供給された潤滑油は、排出孔22,23,24より変速機構2の各部位に供給(排出)されるが、図1に示すように前方側にある入力軸3の油孔21より供給される潤滑油が後方側に順に位置する排出孔22、排出孔23、排出孔24より排出されるため、排出孔22から排出される潤滑油量に比して順に排出孔23、排出孔24から排出される潤滑油量が減少してしまい、特に排出孔24から排出される潤滑油量が不足する虞がある。また、本実施の形態に係る自動変速機1に限らず、軸方向に比較的長い入力軸を有し、該入力軸に設けられた複数の排出孔を介して潤滑油を排出するものにあっては、後方側の排出孔であるほど排出される潤滑油量が減少し、不足してしまう虞がある。
【0046】
しかしながら、上述のように貫通孔11d,11dを、入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して入力軸3の回転方向ωの順回転方向に角度θ1で傾斜した穿設方向Cで穿設することで、供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態を一回転の比率として多く(長く)することができ、入力軸3の油孔20に供給する潤滑油量を増加させることができるので、後方側の排出孔24に供給する潤滑油量も増加させることができ、該排出孔24から排出される潤滑油量の不足を防ぐことができる。
【0047】
また、一般に入力軸3の回転数が高回転となると、上記潤滑油の油圧から遠ざかる方向(逃げる方向)の状態(油孔21’から油孔21”までの位置にある状態)では、その潤滑油の油圧が作用し難くなる。更に、上記潤滑油の油圧を受け止める方向の状態(油孔21から油孔21’までの位置の状態)も、上記貫通孔11d,11dと油孔21との対向する(一回転における)時間が短くなるため、上記矢印Hの方向で供給される潤滑油の油圧を受圧する際の油圧応答性の問題などから、該貫通孔11d,11dから油孔20,21に供給される潤滑油の供給量が減少する。
【0048】
しかしながら、上述のように貫通孔11d,11dを放射方向Bに対して角度θ1で傾斜した穿設方向Cで穿設することで、上記潤滑油の油圧が作用し難い状態を(一回転において)短くすると共に、潤滑油の油圧を受け止める方向の状態(油孔21から油孔21’までの位置の状態)を(一回転において)長くすることができ、特に潤滑油の受圧を受け止める方向に作用する時間、即ち油圧応答のための時間を増加させることができるため、入力軸3の回転数が高回転になることに伴う潤滑油の供給量の減少を抑えることができる。これにより、変速機構2においても高回転となる各部位に供給する潤滑油の供給量が減少してしまうことを抑えることができる。
【0049】
一方反対に、図5(b)に示すように、同様の貫通孔11d,11dの穿設方向Dを、入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して入力軸3の回転方向ωの逆回転方向に角度θ2で傾斜した方向で穿設する。すると、油孔21から油孔21’までの位置にある状態、即ち貫通孔11d,11dからの矢印Iの方向で供給される潤滑油の油圧を受け止める方向の状態を一回転の比率として少なく(短く)することができ、油孔21’から油孔21”までの位置にある状態、即ち貫通孔11d,11dからの矢印Iの方向で供給される潤滑油の油圧から遠ざかる方向(逃げる方向)の状態を一回転の比率として多く(長く)することができる。
【0050】
これにより、入力軸3の油孔20に供給する潤滑油量を減少させることができ、排出孔22,23,24より上記変速機構2の各部位に供給する潤滑油の供給量も減少させることができるので、変速機構2の各部位において潤滑過多となることを防ぐことができ、変速機構2における引き摺り損失を減少させることができて、自動変速機1として効率の向上を図ることができる。
【0051】
以上のように本発明に係る自動変速機1の潤滑油路構造によると、スリーブ部材11の貫通孔11dを入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して傾斜した角度で穿設することで、スリーブ部材11の貫通孔11dから入力軸20の油孔20,21に供給する(受け渡す)潤滑油量の調整を可能とすることができ、それにより変速機構2の各部位に供給する潤滑油量を調整することを可能にできる。
【0052】
なお、スリーブ部材11の貫通孔11dから入力軸3の油孔20,21に供給する潤滑油の供給量を増加させたい場合又は減少させたい場合の、該貫通孔11dの放射方向Bに対する傾斜した角度θ1又は角度θ2は、変速機構2の各部位に供給するために必要な潤滑油量に応じて決定することが好ましく、つまり自動変速機の構成によってどのような角度に設定してもよい。
【0053】
<第2の実施の形態>
ついで、以下に本発明に係る第2の実施の形態を図3及び図6に沿って説明する。図6は排出孔を示す断面模式図で、(a)は角度が傾斜していない排出孔を示す図、(b)は排出孔を順回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図、(c)は排出孔を逆回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図である。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
図3に示すように、入力軸3には、上述したように軸方向に形成された油孔20及び油孔30は、軸方向においてオーバーラップする位置に形成されているため、それぞれ軸心CTに対して偏心した位置にそれぞれが形成されている。
【0055】
一般に、図6(a)に示すように、軸心CTに対して偏心した位置にある油孔20と、入力軸3の外周部とを連通する排出孔22,23,24は、平行な側壁面22a,23a,24aを有する形で内径が略々均一な孔となっており、軸心CTからの放射方向B上に、つまり入力軸3の中心に向けて穿設されている。
【0056】
例えば排出孔22、23,24からは、主にエンジンの回転に基づき回転方向ωで回転する入力軸3における遠心力によって矢印J方向に潤滑油が排出されるが、該入力軸3の回転に伴い排出孔22,23,24も回転方向ωで回転するため、放射方向Bに対して遠心力を受けながら排出される潤滑油は、排出孔22,23,24の側壁面22a,23a,24aが覆い被さる形で(即ち、図6(a)中の上方向に進もうとした潤滑油に対して、油孔22が回転して左横向きとなっていくので)抵抗を受けながら排出されている状態である。
【0057】
そこで本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機1の潤滑油路構造においては、図6(b)及び図6(c)に示すように、例えば入力軸3の排出孔22、或いは排出孔23、或いは排出孔24の角度を、軸心CTからの放射方向Bに対して傾斜した角度θ3,θ4で穿設する。なお、排出孔22、排出孔23、排出孔24の角度は、何れのものを角度θ3、又は角度θ4で傾斜させてもよい。
【0058】
詳細には、図6(b)に示すように、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)を、入力軸3の軸心CTに対して偏心した位置にある油孔20から、該軸心CTからの放射方向Bに対して入力軸3の回転方向ωの順回転方向に角度θ3で傾斜した穿設方向Eで穿設する。すると、特に入力軸3の回転の加速中(回転数の上昇中)において、油孔20及び排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)内にある潤滑油は、放射方向Bに対して遠心力を受けながら排出される際に、慣性力によって回転方向ωとは反対方向の力を受け、即ち排出孔22の側壁面22a(或いは排出孔23の側壁面23a、或いは排出孔24の側壁面24a)に沿って矢印K方向とは反対方向の力を受ける。また、放射方向Bに対して遠心力を受けながら排出される潤滑油は、排出孔22の側壁面22a(或いは排出孔23の側壁面23a、或いは排出孔24の側壁面24a)が覆い被さる形で排出され、更に排出孔22の側壁面22a(或いは排出孔23の側壁面23a、或いは排出孔24の側壁面24a)が回転して覆い被さる形となる(即ち、図6(b)中の上方向に進もうとした潤滑油に対して、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)が回転し、矢印Kが下向きとなっていく)。そのため、潤滑油は、比較的大きな抵抗を受けながら排出されていく状態となる。
【0059】
これにより、特に入力軸3の回転の加速中(回転数の上昇中)において、油孔20より入力軸3の外周部に排出する潤滑油を出難くすることができ、排出する潤滑油量を減少させることができる。また、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)より上記変速機構2の各部位に供給する潤滑油量も減少させることができるので、変速機構2の各部位において潤滑過多となることを防ぐことができ、特に上記入力軸3の回転の加速に伴う車輌の加速状態にあって、変速機構2における引き摺り損失を減少させることができて、自動変速機1として効率の向上を図ることができる。
【0060】
また、上述したように後方側の排出孔(例えば排出孔24)であるほど排出される潤滑油量が減少し、不足してしまう虞があるが、前方側の排出孔(例えば排出孔22)より排出する潤滑油量を減少させることができるので、後方側の排出孔において排出する潤滑油量を増加させることができ、該後方側の排出孔から排出される潤滑油量の不足を防ぐことができる。
【0061】
なお、入力軸3の回転の減速中(回転数の下降中)においては、油孔20及び排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)内にある潤滑油の受ける抵抗が比較的少ない状態となるが、該入力軸3の回転数が下がるのに伴って遠心力も低下するため、排出される潤滑油量が大幅に増える虞は少ない。
【0062】
一方、図6(c)に示すように、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)を、入力軸3の軸心CTに対して偏心した位置にある油孔20から、該軸心CTからの放射方向Bに対して入力軸3の回転方向ωの逆回転方向に角度θ4で傾斜した穿設方向Fで穿設する。すると、特に変速機構2の各部位が高回転となっていく入力軸3の回転の加速中(回転数の上昇中)において、油孔20及び排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)内にある潤滑油は、放射方向Bに対して遠心力を受けながら排出される際に、慣性力によって回転方向ωと同方向の力を受け、即ち排出孔22の側壁面22a(或いは排出孔23の側壁面23a、或いは排出孔24の側壁面24a)に沿って矢印L方向の力を受ける。また、放射方向Bに対して遠心力を受けながら排出される潤滑油は、排出孔22の側壁面22a(或いは排出孔23の側壁面23a、或いは排出孔24の側壁面24a)が回転して開口していく形となる(即ち、図6(c)中の上方向に進もうとした潤滑油に対して、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)が回転し、矢印Lが上向きとなっていく)。そのため、潤滑油は、比較的小さな抵抗だけを受けながら排出されていく状態となる。
【0063】
これにより、特に変速機構2の各部位が高回転となっていく入力軸3の回転の加速中(回転数の上昇中)において、油孔20より入力軸3の外周部に排出する潤滑油を出易くすることができ、排出する潤滑油量を増加させることができる。また、排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)より上記変速機構2の各部位に供給する潤滑油量も増加させることができるので、変速機構2の各部位に必要な潤滑油量を確保することができ、自動変速機1の耐久性の向上を図ることができる。
【0064】
なお、入力軸3の回転の減速中(回転数の下降中)においては、油孔20及び排出孔22(或いは排出孔23、或いは排出孔24)内にある潤滑油の受ける抵抗が比較的大きい状態となるが、該入力軸3の回転数が下がるのに伴って変速機構2の各部位の回転数も低下するため、変速機構2の各部位に供給される潤滑油量が減少しても潤滑不足になる虞は少ない。
【0065】
以上のように本発明に係る自動変速機1の潤滑油路構造によると、排出孔22,23,24を入力軸3の軸心CTからの放射方向Bに対して傾斜した角度で穿設することで、排出孔22,23,24から入力軸20の外周部に排出する潤滑油量の調整を可能とすることができ、それにより変速機構2の各部位に供給する潤滑油量を調整することを可能にできる。
【0066】
なお、排出孔22,23,24から入力軸3の外周部に排出する潤滑油の供給量を増加させたい場合又は減少させたい場合の、該排出孔22,23,24の放射方向Bに対する傾斜した角度θ3又は角度θ4は、変速機構2の各部位に供給するために必要な潤滑油量に応じて決定することが好ましく、つまり自動変速機の構成によってどのような角度に設定してもよい。
【0067】
また、以上に説明した本発明に係る実施の形態においては、例えばFRタイプの車輌に用いて最適な自動変速機1を一例に説明したが、これに限らず、例えばFFタイプの車輌に用いて最適な自動変速機であってもよく、つまり本発明をどのような自動変速機の潤滑油路構成に適用してもよい。
【0068】
また、本実施の形態に係る自動変速機1において、スリーブ部材11はミッションケース6に対して固定されたものについて説明したが、これに限らず、スリーブ部材と回転軸部材とが互いに相対回転し、かつ潤滑油を受け渡しするようなものに、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る自動変速機を示すスケルトン図。
【図2】自動変速機の作動表。
【図3】自動変速機の一部拡大断面図。
【図4】図3におけるX部分を示す一部省略拡大図。
【図5】図4におけるA−A断面を示す図で、(a)は貫通孔を順回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図、(b)は貫通孔を逆回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図。
【図6】排出孔を示す断面模式図で、(a)は角度が傾斜していない排出孔を示す図、(b)は排出孔を順回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図、(c)は排出孔を逆回転方向の角度に傾斜させた一例を示す図。
【符号の説明】
1 自動変速機
2 変速機構
3 回転軸部材、入力軸
5 油圧発生源(オイルポンプ)
11 スリーブ部材(ボス部材)
11d 貫通孔
11e 側壁面
20 油路、軸方向孔
22 油路、排出孔
22a 側壁面
23 油路、排出孔
23a 側壁面
24 油路、排出孔
24a 側壁面
B 放射方向
C 穿設方向
D 穿設方向
E 穿設方向
F 穿設方向
CT 回転中心(軸心)
θ1 (順回転方向に)傾斜した角度
θ2 (逆回転方向に)傾斜した角度
θ3 (順回転方向に)傾斜した角度
θ4 (逆回転方向に)傾斜した角度
ω 回転方向

Claims (6)

  1. 駆動源の回転に基づき回転することで動力伝達し得ると共に、内設された油路を介して油圧発生源からの潤滑油を、軸方向に配列された変速機構の各部位に供給し得る回転軸部材と、該回転軸部材に対して周設されるスリーブ部材と、を備えた自動変速機の潤滑油路構造において、
    前記スリーブ部材は、油圧発生源から前記油路に前記潤滑油を導通し、かつ穿設方向に対して平行な側壁面を備えた貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、前記回転軸部材の回転中心からの放射方向に対して傾斜した角度で穿設される、
    ことを特徴とする自動変速機の潤滑油路構造。
  2. 前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸であり、
    前記貫通孔の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸の回転方向の順回転方向に傾斜した角度からなる、
    請求項1記載の自動変速機の潤滑油路構造。
  3. 前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸であり、
    前記貫通孔の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸の回転方向の逆回転方向に傾斜した角度からなる、
    請求項1記載の自動変速機の潤滑油路構造。
  4. 駆動源の回転に基づき回転することで動力伝達し得ると共に、内設された油路を介して油圧発生源からの潤滑油を、軸方向に配列された変速機構の各部位に供給し得る回転軸部材を備えた自動変速機の潤滑油路構造において、
    前記油路は、前記軸方向でかつ前記回転軸部材の回転中心に対して偏心した位置に設けられる軸方向孔と、該軸方向孔と前記回転軸部材の外周部とを連通し、かつ穿設方向に対して平行な側壁面を備えて該軸方向孔から該回転軸部材の外周部に前記潤滑油を排出し得る排出孔と、を有し、
    前記排出孔は、前記回転軸部材の回転中心からの放射方向に対して傾斜した角度で穿設される、
    ことを特徴とする自動変速機の潤滑油路構造。
  5. 前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸であり、
    前記排出孔の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸の回転方向の順回転方向に傾斜した角度からなる、
    請求項4記載の自動変速機の潤滑油路構造。
  6. 前記回転軸部材は、前記駆動源の回転に基づき一方向に回転する入力軸であり、
    前記排出孔の放射方向に対して傾斜した角度は、前記入力軸の回転方向の逆回転方向に傾斜した角度からなる、
    請求項4記載の自動変速機の潤滑油路構造。
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JP2007147021A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Aisin Aw Co Ltd 車輌用伝動装置の油路構造
JP2011112125A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Aisin Aw Co Ltd 車輌用伝動装置の油路構造

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