以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、幅員方向とは、橋梁100の幅方向をいう。また、橋軸方向とは、橋梁100の長さ方向であって架設された橋桁101の長さ方向をいう。なお、橋桁101は、本実施の形態では、主として2主鈑桁を示すが、2主鈑桁以外を除外するものではない。
図1および図2に示すように、橋桁101の架設は、橋梁100を施工するにあたり、既設橋桁101Aに新設の橋桁部材101Bを橋軸方向に順次接合する。既設橋桁101Aに接合される橋桁部材101Bは、トレーラ102などで既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間に運搬され、この既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間からクレーンにより吊り上げられる。クレーンは、既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間に設置されたものでもよいが、本実施の形態では、図1に示すように既設橋桁101A上を移動可能に設けられたクレーン台車設備200が適用される。このクレーン台車設備200の詳細は後述する。
本実施の形態では、既設橋桁101Aに新設の橋桁部材101Bを橋軸方向に順次接合して橋桁101を架設するため、図3〜図8に示す橋桁架設装置300が適用される。橋桁架設装置300は、軸連結部301を備えている。軸連結部301は、図3に示すように、垂直方向に沿って設けられる垂直軸302を有している。そして、軸連結部301は、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側(本実施の形態では幅員方向の中央から離れる側である幅員方向外側)に並設した形態で、既設橋桁101Aの先端101Aa(図7参照)側と、橋桁部材101Bの一端101Ba(図7参照)側とを垂直軸302を介して回転可能に軸連結する。このため、橋桁部材101Bは、軸連結部301における垂直軸302の軸心302a(図6参照)の回りに水平方向で回転可能に設けられる。
また、橋桁架設装置300は、軸連結部301により既設橋桁101Aと橋桁部材101Bとを軸連結する場合、既設橋桁101Aに掛かる橋桁部材101Bの荷重を受けるため、図4に示す反力受梁310および連結梁311を備えることが好ましい。
反力受梁310は、既設橋桁101Aの先端101Aa側に固定されるもので、幅員方向で並設された一対の既設橋桁101Aに架けて設けられ、一対の既設橋桁101Aを連結する。反力受梁310は、既設橋桁101Aにおいて橋桁部材101Bに接合するためのボルト孔101Ab(図7参照)を用いて既設橋桁101Aにボルトにより固定される。この反力受梁310は、幅員方向で一対の既設橋桁101Aの外側にはみ出す長さに形成されている。また、反力受梁310は、既設橋桁101Aの上端側と下端側とにそれぞれ設けられ、既設橋桁101Aの上端側では、既設橋桁101Aのフランジの上面に固定され、既設橋桁101Aの下端側では既設橋桁101Aのフランジの下面に固定されている。なお、図4において、反力受梁310は、幅員方向の中央部分が傾斜して形成されているが、これは橋梁100の横断勾配に合わせたものである。横断勾配がない場合、上記傾斜部分は必要ない。
連結梁311は、橋桁部材101Bの一端101Ba側に固定されるものである。連結梁311は、橋桁部材101Bにおいて既設橋桁101Aに接合するためのボルト孔101Bb(図7参照)を用いて橋桁部材101Bにボルトにより固定される。この連結梁311は、幅員方向で橋桁部材101Bの内側にはみ出す長さに形成されている。また、連結梁311は、橋桁部材101Bの上端側と下端側とにそれぞれ設けられ、橋桁部材101Bの上端側では、橋桁部材101Bのフランジの下面に固定され、橋桁部材101Bの下端側では橋桁部材101Bのフランジの上面に固定されている。
そして、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側に並設した形態において、図3〜図8に示すように、幅員方向で既設橋桁101Aの外側にはみ出した反力受梁310と、橋桁部材101Bの内側にはみ出した連結梁311とが上下に向き合って配置される。軸連結部301の垂直軸302は、この上下に向き合って配置された反力受梁310と連結梁311とを上下方向に貫通し、反力受梁310と連結梁311とを介して既設橋桁101Aの先端101Aa側と橋桁部材101Bの一端101Ba側とを軸連結する。
なお、一例として、既設橋桁101Aに掛かる橋桁部材101Bの荷重(特に、回転時の水平荷重)を受け、既設橋桁101Aに荷重分配させるため、図4に示すように、幅員方向で一対の既設橋桁101Aを水平方向に繋ぐ反力受梁310と、斜めに繋ぐ斜材312と、主桁連結部の補強材313とを設けてもよい。また、既設橋桁101Aに掛かる橋桁部材101Bの荷重(特に、回転時の水平荷重)を受け、既設橋桁101Aに発生する面外方向の曲げモーメントに抵抗させるため、図5に示すように、幅員方向で一対の既設橋桁101Aを平行に繋ぐ仮横桁314を設けてもよい。仮横桁314は、既設橋桁101Aの上下方向に沿って設けられた垂直補剛材315を用い、この垂直補剛材315の上端側同士および下端側同士を繋ぐように上下に設けられる。さらに、仮横桁314と共に、上下の仮横桁314を斜めに繋ぐ斜材312を設けてもよい。さらにまた、上下の仮横桁314を相互に繋ぐ縦材316を設けてもよい。また、完成時において、仮横桁314および垂直補剛材315を、本体構造物として寄与させる場合は残置し、寄与させない場合には仮設構造物として撤去してもよい。
また、橋桁架設装置300は、図3、図4、図6〜図8に示すように、回転部303および移動部304を備えている。
回転部303は、橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心302aの回りに回転させるもので、本実施の形態では軸連結部301に設けられている。この回転部303は、例えば円筒内に内蔵したモータにより円筒を回転させるプーリを用い、このプーリの回転を垂直軸302に伝達して垂直軸302を回転させる電動回転機構や、油圧により垂直軸302を回転させる油圧回転機構などがある。すなわち、回転部303は、橋桁部材101Bに固定した垂直軸302を回転させることで、既設橋桁101Aに対して橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心302aの回りに回転させる。
移動部304は、橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心方向に移動・調整させるもので、本実施の形態では軸連結部301に設けられている。この移動部304は、例えば、橋桁部材101Bに固定した垂直軸302を軸心方向に移動させることで、既設橋桁101Aに対して橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心方向に移動・調整させるセンターホールジャッキが適用される。
ここで、クレーン台車設備200について説明する。図9〜図11に示すように、クレーン台車設備200は、台車本体1を有している。台車本体1は、橋梁100の橋桁101間に架けて配置されるフレーム2に、各橋桁101上に載る車輪3が輪転可能に配置されている。
フレーム2は、前フレーム21と、後フレーム22とを備えている。前フレーム21は、主にH型鋼材を接合して構成されたもので、幅員方向に延在して橋桁101間に架かる2つの主横材21aと、各橋桁101の上で橋軸方向に延在する2つの主縦材21bとで矩形の枠状に形成されている。そして、主横材21aと主縦材21bとがなす枠内に、補強用の2つの副横材21cや4つの斜材21dが配置されている。後フレーム22は、前フレーム21と同様に、主にH型鋼材を接合して構成されたもので、幅員方向に延在して橋桁101間に架かる2つの主横材22aと、各橋桁101の上で橋軸方向に延在する2つの主縦材22bとで矩形の枠状に形成されている。そして、主横材22aと主縦材22bとがなす枠内に、補強用の2つの副横材22cや4つの斜材22dが配置されている。なお、前フレーム21および後フレーム22の枠内の補強構造は、上記副横材21c,22cや斜材21d,22dに限るものではない。これら、前フレーム21と後フレーム22とは、橋軸方向である前後方向で、後述する長さ調整機構6を介して連結されている。なお、後フレーム22の後端には、連結部材22eが設けられている。連結部材22eは、後フレーム22の後端から後方に延在された2枚の鋼板であり、当該鋼板には、ボルトやピンやフックなどを通す通穴が形成されている。
車輪3は、前フレーム21の各主縦材21bの橋軸方向に2つずつ、計4箇所に配置されていると共に、後フレーム22の各主縦材22bの橋軸方向に2つずつ、計4箇所に配置されている。この車輪3は、橋軸方向に輪転するように、主縦材21b,22bに支持されている。また、車輪3は、後述する無軌道設備8や有軌道設備10に対応して取替えが可能である。なお、車輪3を取り替える構成としては、車輪3を支持する軸を挿抜可能に設け、軸を抜くことにより車輪3を取り外して交換し、再び軸を挿すことにより車輪3が取り替えられる。
また、前フレーム21および後フレーム22には、伝達機構4が配置されている。伝達機構4は、2つの副横材21cの間に設けられた軸受41により、幅員方向に延在する軸心を基に回転可能に支持された転輪42を有している。転輪42は、橋軸方向(前後方向)に対向して一対配置され、かつ幅員方向に2組並べて設けられている。一対配置されたうちの各一方の転輪42は、前記軸心をなして幅員方向に延在された回転軸43に固定されている。回転軸43は、その両端に歯車44が設けられている。各歯車44は、各主縦材21b,22bに設けられたうちの各1つの車輪3と同軸心で回転する歯車45に噛み合っている。すなわち、一対配置されたうちの各一方の転輪42の回転は、回転軸43、歯車44、歯車45を介して車輪3に伝達される。
また、前フレーム21および後フレーム22には、台車本体1を幅員方向で伸縮調整するための幅調整機構5(51,52)が配置されている。幅調整機構5は、各主横材21a,22a、副横材21c,22cおよび伝達機構4の回転軸43において、その幅員方向の中央(図9で斜線で示す部位)に設けられている。
主横材21a,22aおよび副横材21c,22cに設けられた幅調整機構51は、図12に示すように、調整部51Aと、連結部51Bとで構成されている。
調整部51Aは、幅員方向に延在された角パイプ状に形成されている。連結部51Bは、幅員方向に延在された角パイプ状に形成されており、主横材21a,22aおよび副横材21c,22cが分割されて対向する端部をなす。
調整部51Aは、連結部51Bのパイプ内に挿通されるように構成され、その両端部に、ボルトまたはピン(本実施の形態ではボルト51Cとして図示する)を貫通させる複数の通穴51Aaが形成されている。連結部51Bの端部にもボルト51Cを貫通させる複数の通穴51Baが形成されている。連結部51Bの通穴51Baは、1組で構成されている。本実施の形態での通穴51Baは、連結部51Bの両側にそれぞれ、上下方向および幅員方向に2つずつの計4つで1組とされている。また、調整部51Aの通穴51Aaは、幅員方向で前記の1組を複数なすように、調整部51Aの両側のそれぞれ上下方向に2つで幅員方向に3つ以上(本実施の形態では6つ)設けられている。
この幅調整機構51では、連結部51Bにおける通穴51Baの組に、調整部51Aにおける複数組の通穴51Aaを選択的に合わせるように、調整部51Aと連結部51Bとを幅員方向に相対移動させることで、主横材21a,22aおよび副横材21c,22c全体の幅員方向の長さが伸縮調整される。そして、合致した通穴51Aaおよび通穴51Baに通したボルト51Cに、ナットまたはピン止め(本実施の形態ではナット51Caとして図示する)を取り付けることで、調整部51Aと連結部51Bとが締結され、調整された主横材21a,22aおよび副横材21c,22c全体の幅員方向の長さが固定される。なお、連結部51Bが調整部51Aのパイプ内に挿通されるように構成されていてもよい。
なお、幅調整機構51は、図には明示しないが、主横材21a,22aおよび副横材21c,22c側の連結部がH型鋼材からなる場合、H型鋼の両フランジに、調整部としての鋼板を合わせる構成とする。そして、フランジにおける通穴の組に、鋼板における複数組の通穴を選択的に合わせるように、調整部51Aと連結部51Bとを幅員方向に相対移動させつつ、相互をボルトで締結する。また、図には明示しないが、主横材21a,22aおよび副横材21c,22c側の連結部がH型鋼材からなる場合、H型鋼のウェブに、調整部としての鋼板を合わせる構成とする。そして、ウェブにおける通穴の組に、鋼板における複数組の通穴を選択的に合わせるように、調整部51Aと連結部51Bとを幅員方向に相対移動させつつ、相互をボルトで締結する。
一方、伝達機構4の回転軸43に設けられた幅調整機構52は、図13に示すように、調整部52Aと、連結部52Bと、微調整部52Cとで構成されている。
調整部52Aは、幅員方向に延在された棒状に形成されている。この調整部52Aは、長手方向の一端部に、小径雄型結合部52Aaが設けられている。また、調整部52Aは、長手方向の他端部に、大径雄型結合部52Abが設けられている。各雄型結合部52Aa,52Abの側部には、幅員方向に交差(直交)して設けられたボルト穴52Acが形成されている。
連結部52Bは、幅員方向に延在され、一端側と他端側とを十字軸で接合し、一端側と他端側とが幅員方向に角度を有した場合でも、相互の回転を伝達し得る、いわゆる自在継手をなしている。なお、自在継手としては、十字軸で接合される構成に限らない。連結部52Bには、回転軸43が分割されて対向する一方の端部に固定される一方の連結部52Bと、回転軸43が分割されて対向する他方の端部に固定される他方の連結部52Bがある。これら連結部52Bにおいて、回転軸43に固定される端には、回転軸43のフランジ(図示せず)にボルト結合されるフランジ部52Baが設けられている。また、フランジ部52Baが設けられた端の反対側の端には、小径雌型結合部52Bbが設けられている。小径雌型結合部52Bbの側部には、幅員方向に交差(直交)して設けられたボルト穴52Bcが形成されている。
微調整部52Cは、幅員方向に延在された筒状の外筒52C1と、幅員方向に延在された棒状の内軸52C2とを有している。外筒52C1は、その内面に、幅員方向に延在する凹凸状の嵌合部52C1aが形成されている。また、外筒52C1は、一方の端に、大径雌型結合部52C1bが設けられている。大径雌型結合部52C1bの側部には、幅員方向に交差(直交)して設けられたボルト穴52C1cが形成されている。また、内軸52C2は、その外面に、幅員方向に延在する凹凸状の嵌合部52C2aが形成されている。また、内軸52C2は、一方の端に、小径雄型結合部52C2bが設けられている。小径雄型結合部52C2bの側部には、幅員方向に交差(直交)して設けられたボルト穴52C2cが形成されている。
この幅調整機構52では、各連結部52Bを、回転軸43が分割されて対向する一方の端部に固定する。一方の連結部52Bの小径雌型結合部52Bbには、調整部52Aの小径雄型結合部52Aaが挿通される。そして、合致した相互のボルト穴52Bc,52Acにボルト(図示せず)が締め込まれることで、一方の連結部52Bと調整部52Aとが締結される。また、他方の連結部52Bの小径雌型結合部52Bbには、微調整部52Cにおける内軸52C2の小径雄型結合部52C2bが挿通される。そして、合致した相互のボルト穴52Bc,52C2cにボルト(図示せず)が締め込まれることで、他方の連結部52Bと微調整部52Cの内軸52C2とが締結される。さらに、微調整部52Cにおける内軸52C2の嵌合部52C2aは、微調整部52Cにおける外筒52C1の嵌合部52C1aに嵌挿される。微調整部52Cにおいて、外筒52C1と内軸52C2とは、嵌合部52C1a,52C2aにより嵌合状態を維持されつつ幅員方向にのみ相対移動可能となる。さらにまた、微調整部52Cにおける外筒52C1の大径雌型結合部52C1bには、一方の連結部52Bと締結された調整部52Aの大径雄型結合部52Abが挿通される。そして、合致した相互のボルト穴52C1c,52Acにボルト(図示せず)が締め込まれることで微調整部52Cと調整部52Aとが締結される。これにより、幅調整機構52は、分割された回転軸43の間に介在され、回転軸43を一連に連結する。
このように、回転軸43を一連に連結した幅調整機構52は、調整部52Aを幅員方向に長さの異なるものに変更することで、回転軸43全体の幅員方向の長さが伸縮調整される。微調整部52Cは、上述した幅調整機構51による主横材21a,22aおよび副横材21c,22c全体の幅員方向の長さの調整に対応して回転軸43全体の長さを合わせるように、外筒52C1と内軸52C2とが幅員方向に相対移動する。また、連結部52Bは、各部52A,52B,52Cの締結に誤差があっても、自在継手により回転軸43の回転を車輪3に伝える。
なお、微調整部52Cがなくても、調整部52Aの変更により回転軸43全体の幅員方向の長さは伸縮調整できる。つまり、微調整部52Cは設けなくてもよい。微調整部52Cを設けない場合、調整部52Aの両端に、連結部52Bの小径雌型結合部52Bbに結合される小径雄型結合部52Aaを設ける。
このように、主横材21a,22aおよび副横材21c,22c全体の幅員方向の長さを伸縮調整する幅調整機構51と、回転軸43全体の幅員方向の長さを伸縮調整する幅調整機構52とを有する幅調整機構5により、台車本体1の幅員方向の全幅Wが伸縮調整される。
また、前フレーム21と後フレーム22とは、図9および図10に示すように、橋軸方向である前後方向で、長さ調整機構6により連結されている。長さ調整機構6は、前フレーム21と後フレーム22とを幅員方向の2箇所で連結するように2つ設けられている。この長さ調整機構6は、前フレーム21の後端から後方に延在された2枚の前鋼板61と、後フレーム22の前端から前方に延在された1枚の後鋼板62とを有し、前鋼板61の間に後鋼板62を配置し、それぞれをボルトおよびナット(図示せず)により締結する。前鋼板61は、前フレーム21の後端にボルト(図示せず)により締結されるフランジ61aを有している。すなわち、ボルトを緩めることにより、前鋼板61は前フレーム21から取り外せる。また、後鋼板62は、後フレーム22の前端にボルト(図示せず)により締結されるフランジ62aを有している。すなわち、ボルトを緩めることにより、後鋼板62は後フレーム22から取り外せる。そして、前フレーム21のみ、後フレーム22のみ、または前フレーム21および後フレーム22を台車本体1から取り外し、これらを橋軸方向に長さの異なるものに変更することで、前フレーム21と後フレーム22との間隔、すなわち台車本体1の橋軸方向の長さLが伸縮調整される。
また、台車本体1である前フレーム21と後フレーム22との少なくとも一方には、図11に示すように、取り外し可能なガイドローラ7が設けられている。ガイドローラ7は、鉛直方向に延在する軸心を基に回転可能に設けられ、橋桁101の内側に当接するものである。このガイドローラ7は、台車本体1である前フレーム21と後フレーム22との少なくとも一方から、鉛直下方に延在されたローラ支持部材71に支持されている。ガイドローラ7は、その軸心をなす回転軸72の両端が、弾性機構73を介してローラ支持部材71に支持されている。弾性機構73は、例えば圧縮コイルバネなどからなり、ガイドローラ7を橋桁101の内側に向けて押圧する弾性力を生じる。ガイドローラ7は、弾性機構73により、常に橋桁101の内側に当接するように付勢される。
また、橋桁101の上面には、図10および図11に示すように、無軌道設備8が敷設される。無軌道設備8は、台車本体1が橋桁101上を無軌道で走行する際の緩衝機能を備えるもので、例えば、木材や発泡ポリスチレン(EPS)を適用する。
この無軌道設備8は、図10、図14および図15に示すように、床版を施工する際に用いるスタッドボルト(橋梁構造体)9を利用し橋桁101に固定する。具体的に、図14に示す無軌道設備8は、緩衝機能を備える木材からなり、橋軸方向に沿って形成されており、一部(中央)のスタッドボルト9の一部を挿通する孔8aを有すると共に、その幅がスタッドボルト9を避けつつ、その厚さが橋桁101上面からのスタッドボルト9の突出長さを超えるように形成されている。そして、無軌道設備8の孔8aにスタッドボルト9を通すことで、無軌道設備8が橋桁101に固定され、かつ一部のスタッドボルト9を覆い隠すことになる。なお、無軌道設備8を適用する場合、フレーム2に取り付ける車輪3は、無軌道設備8の上面に接触する平面3aを外周に有したゴム製の車輪を用いる。また、図15に示す無軌道設備8は、緩衝機能を備える発泡ポリスチレン(EPS)からなり、橋軸方向に沿って形成されており、各スタッドボルト9を挿通する孔8aを有すると共に、その厚さが橋桁101上面からのスタッドボルト9の突出長さを超えるように形成されている。そして、無軌道設備8の孔8aにスタッドボルト9を通すことで、無軌道設備8が橋桁101に固定され、かつスタッドボルト9を覆い隠すことになる。なお、無軌道設備8を適用する場合、フレーム2に取り付ける車輪3は、無軌道設備8の上面に接触する平面3aを外周に有したゴム製の車輪を用いる。
一方、橋桁101の上面には、図16および図17に示すように、有軌道設備10が敷設される。有軌道設備10は、台車本体1が橋桁101上を軌道に沿って走行する際の軌条10aを備えるものである。この有軌道設備10は、床版を施工する際に用いるスタッドボルト9を利用し橋桁101に固定する。具体的に、有軌道設備10は、橋桁101の上面であってスタッドボルト9の近傍に、緩衝機能を備える木板(例えばアピトン材)10bが敷かれる。そして、木板10bの上に、軌条10aを支持する枕木であるサンドル材10cが載置される。このサンドル材10cは、その周囲がスタッドボルト9と共に鋼線10dにより巻かれて移動防止されている。また、軌条10aは、サンドル材10cの上面に対し、固定部材10eにより固定されている。なお、有軌道設備10を適用する場合、フレーム2に取り付ける車輪3は、有軌道設備10の軌条10aに嵌合する凹部3bを外周に有した鋼製の車輪を用いる。また、有軌道設備10を適用する場合、軌条10aに車輪3が嵌合するため、上述したガイドローラ7は不用となり取り外される。
上述した台車本体1には、図9〜図11に示すように、クレーン車両Cが載せられる。クレーン車両Cは、例えば、タイヤ付油圧伸縮ジブ型クレーンが適用される。このクレーン車両Cは、空気入りタイヤTが装着され、道路を走行するための駆動力を生じる駆動部(エンジンなど)と、走行を停止するための制動部(ブレーキ)とを備える。かかるクレーン車両Cは、台車本体1に載せられた場合、各空気入りタイヤTが、一対の転輪42の上に接触した状態とされる。そして、道路を走行するようにクレーン車両Cの駆動部から空気入りタイヤTに駆動力を生じさせると、空気入りタイヤTの回転に伴って転輪42が回転し、上述した伝達機構4により台車本体1の車輪3に駆動力が伝達される。このため、台車本体1は、橋桁101の上を走行することが可能になる。一方、走行を停止するようにクレーン車両Cの制動部により空気入りタイヤTに制動力を生じさせると、空気入りタイヤTの停止に伴って転輪42が停止し、上述した伝達機構4により台車本体1の車輪3に制動力が伝達される。このため、台車本体1は、走行を停止することが可能になる。
また、クレーン車両Cのクレーン機能を用いる場合、クレーン車両Cに装備されているアウトリガーRをクレーン車両Cの両側に展開させ、フレーム2の上でクレーン車両Cを支持することにより、クレーン機能が用いられる。
上述したクレーン台車設備200および橋桁架設装置300を用いた橋桁架設方法は、先ず、図18および図19に示すように、既設橋桁101Aの上に、無軌道設備8または有軌道設備10を敷設し、その上に台車本体1を組み立てて載せる。そして、この台車本体1の上にクレーン車両Cを載せる。クレーン車両Cを台車本体1の上に載せるには、台車本体1における後フレーム22の後端に設けられている連結部材22eを介してスロープSを連結し、このスロープSにクレーン車両Cを走行させて台車本体1の上まで至らせる。また、図18に示すように、後フレーム22における転輪42の上側には、鋼板Bが設置される。これは、クレーン車両Cの前輪が後フレーム22の転輪42を乗り越えやすくするためのものである。クレーン車両Cの前輪が、前フレーム21の転輪42に接触する位置に至ったとき、クレーン車両Cの走行を停止する。そして、アウトリガーRを展開させ、このアウトリガーRでクレーン車両Cを支持する。すると、クレーン車両Cの後輪が上昇して鋼板Bから離れるので、鋼板Bを取り外す。そして、アウトリガーRによるクレーン車両Cの支持を止めることで、クレーン車両Cの後輪が後フレーム22の転輪42に接触し、搭載できる。これにより、搭載用の重機を別途必要とせず、作業コストが低減できる。
スロープSは、上述したように、台車本体1に至るまでの段差をなくしてクレーン車両Cを台車本体1の上まで走行させるものであるが、図1に示すように、クレーン車両Cを台車本体1の上に載せた後は、自走台車Pの天板として適用される。そして、スロープSを用いて自走台車Pを組み立てて、橋桁101の上に載せる。自走台車Pの上には、台車本体1に載せられたクレーン車両Cのクレーンにより、トレーラ102などで既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間に運搬された橋桁部材101Bが載せられる。なお、自走台車Pに橋桁部材101Bを載せる場合、既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間に設置されたクレーンを利用してもよい。そして、その後、クレーン車両Cの空気入りタイヤTに働く駆動力および制動力を台車本体1の車輪3に伝達させ、台車本体1を橋桁101の上で移動させる。また、橋桁部材101Bは、台車本体1に続き、自走台車Pにより橋桁101の上で移動させる。
次に、既設橋桁101Aと橋桁部材101Bとの連結手順について、2主鈑桁の場合の一例を図20のフローチャート、および図21〜図30の工程図に示す。図21〜図23に示すように、最も先端の既設橋桁101Aの幅員方向であって、橋桁部材101Bを配置する反対側(すなわち既設橋桁101Aの幅員方向内側)に、作業足場305を設置するとともに、垂直補剛材315を用いて仮横桁314を設置する(ステップS1)。
次に、最も先端の既設橋桁101Aの先端101Aa側に、反力受梁310および補強材313を固定するとともに、橋桁部材101Bの一端101Ba側に、連結梁311を固定する。そして、軸連結する際に上側となる反力受梁310または連結梁311に、軸連結部301を取り付けておく(ステップS2)。
次に、2主鈑桁のうち、片側の橋桁部材101Bをクレーン車両Cのクレーンなどにより吊持し、橋軸方向に沿って配置させ、かつ最も先端の既設橋桁101Aの幅員方向外側に並設する(ステップS3)。
次に、反力受梁310と連結梁311とに垂直軸302を挿入して橋桁部材101Bを既設橋桁101Aに軸連結部301で軸連結する(ステップS4)。この場合、連結梁311が固定された橋桁部材101Bを、クレーン車両Cのクレーンにより橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側に並設しつつ、橋軸方向および幅員方向の位置をクレーン車両Cのクレーンの移動設備により調整して、反力受梁310と連結梁311とを軸連結部301で軸連結する。
次に、図24および図27に示すように、回転部303により連結梁311と共に橋桁部材101Bを180°水平回転させる(ステップS5)。これにより、既設橋桁101Aの先端101Aaと橋桁部材101Bの一端101Baとが向き合うと共に、橋桁部材101Bが橋軸方向に沿って配置される。なお、回転部303を備えない場合は、既設橋桁101Aを吊持しているクレーンにより回転させてもよい。
次に、図27に示すように、既設橋桁101Aの先端101Aa側のウェブと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のウェブとをシャープレート317を介してボルトにより接合する(ステップS6)。ここで、シャープレート317を介して接合する前に、既設橋桁101Aに対し橋桁部材101Bの上下位置が接合位置からずれている場合、移動部304により、橋桁部材101Bを上下方向に移動・調整させることで、接合位置を合わせる。
次に、2主鈑桁のうち、もう片側の橋桁部材101Bを、上記ステップS3〜ステップS6と同様に架設する(ステップS7〜ステップS10)。なお、このステップS7〜ステップS10の工程は、上記ステップS3〜ステップS6と同時であってもよく、または同時でなくてもよい。
次に、図28〜図30に示すように、軸連結部301、反力受梁310、連結梁311および補強材313を撤去する(ステップS11)。
次に、既設橋桁101Aの先端101Aa側のウェブと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のウェブとをモーメントプレート318を介してボルトにより接合(2主鈑桁の両側の連結部)する(ステップS12およびステップS13)。
次に、既設橋桁101Aの先端101Aa側のフランジと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のフランジとをスプライスプレート319を介してボルトにより接合(2主鈑桁の両側の連結部)する(ステップS14およびステップS15)。
なお、これら既設橋桁101Aと橋桁部材101Bとの連結には、既存の部材を利用するが、施工条件に応じて断面を補強してもよい。また、完成時において、仮横桁314および垂直補剛材315を、本体構造物として寄与させる場合は残置し、または本体構造物として寄与させない場合には仮設構造物として撤去してもよい。
なお、既設橋桁101A間に設けられる横桁などの橋桁部材101B以外の架設に際し、クレーン台車Cのクレーンを用いれば、橋桁に係る全構成をクレーン台車Cにより架設することが可能である。
これにより、橋桁部材101Bの架設が完了する(ステップS16)。そして、以降、繰り返し作業することにより、既設橋桁101Aに対して橋桁部材101Bを橋軸方向に順次接合できる(ステップS17)。
ところで、本実施の形態の橋桁架設方法では、上記クレーン台車設備200に代えて、吊持移動台車401を適用することも可能である。図31〜図34に示すように、吊持移動台車401は、1対の既設橋桁101A間に架けて幅員方向に沿って長手状に配置されるフレーム402(前フレーム4021および後フレーム4022)に、各既設橋桁101A上に載る車輪403が配置されている。車輪403は、自走装置4031により既設橋桁101A上で輪転可能に構成されている。また、フレーム402(前フレーム4021および後フレーム4022)には、吊持設備404が設けられている。この吊持設備404は、例えば、トロリー設備などからなり、フレーム402(前フレーム4021および後フレーム4022)の長手方向である幅員方向に移動可能に設けられている。
なお、図には明示しないが、吊持移動台車401は、上述したクレーン台車設備200の台車本体1のように、既設各橋桁101Aの内側に当接するガイドローラ7が設けられていることが好ましい。また、吊持移動台車401が走行する既設橋桁101Aの上面には、上述したクレーン台車設備200と同様に、橋梁構造体(スタッドボルト9など)を用いて敷設される無軌道設備8または有軌道設備10を備えることが好ましい。
この吊持移動台車401が適用された橋桁架設方法は、図20のフローチャート、および図21〜図30の工程図で示すものと基本的に同じであり、自走装置4031で車輪403を輪転させ、吊持移動台車401を既設橋桁101A上で橋軸方向に移動させ、最も先端の既設橋桁101Aの位置にて吊持設備404を用い、橋桁部材101Bを配置する反対側(すなわち既設橋桁101Aの幅員方向内側)に、作業足場305を設置するとともに、垂直補剛材315を用いて仮横桁314を設置する(ステップS1)。
次に、吊持設備404を用い、最も先端の既設橋桁101Aの先端101Aa側に、反力受梁310および補強材313を固定するとともに、橋桁部材101Bの一端101Ba側に、連結梁311を固定する。そして、軸連結する際に上側となる反力受梁310または連結梁311に、軸連結部301を取り付けておく(ステップS2)。
次に、トレーラ102などで既設橋桁101Aのアンカースパン101Aaの下側空間に運搬された2主鈑桁の両側の橋桁部材101Bを、各既設橋桁101Aの幅員方向外側にて橋軸方向に沿わせるように、吊持設備404で吊り上げる。そして、自走装置4031で車輪403を輪転させ、吊持移動台車401を既設橋桁101A上で橋軸方向に移動させ、最も先端の既設橋桁101Aの位置まで橋桁部材101Bを搬送する。そして、橋桁部材101Bを、最も先端の既設橋桁101Aの幅員方向外側に並設する(ステップS3およびステップS7)。
次に、反力受梁310と連結梁311とに垂直軸302を挿入して橋桁部材101Bを既設橋桁101Aに軸連結部301で軸連結する(ステップS4およびステップS8)。この場合、吊持移動台車401を橋軸方向に移動させるとともに、吊持設備404をフレーム402に沿って幅員方向に移動させることで、連結梁311が固定された橋桁部材101Bの橋軸方向および幅員方向の位置を調整して、反力受梁310と連結梁311とを軸連結部301で軸連結する。
次に、回転部303により連結梁311と共に橋桁部材101Bを180°水平回転させる(ステップS5およびステップS9)。これにより、既設橋桁101Aの先端101Aaと橋桁部材101Bの一端101Baとが向き合うと共に、橋桁部材101Bが橋軸方向に沿って配置される。
次に、既設橋桁101Aの先端101Aa側のウェブと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のウェブとをシャープレート317を介してボルトにより接合する(ステップS6およびステップS10)。ここで、既設橋桁101Aに対し橋桁部材101Bの上下位置が接合位置からずれている場合、移動部304により、橋桁部材101Bを上下方向に移動・調整させることで、接合位置を合わせる。
次に、軸連結部301、反力受梁310、連結梁311および補強材313を撤去する(ステップS11)。
次に、既設橋桁101Aの先端101Aa側のウェブと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のウェブとをモーメントプレート318を介してボルトにより接合(2主鈑桁の両側の連結部)する(ステップS12およびステップS13)。
次に、既設橋桁101Aの先端101Aa側のフランジと、橋桁部材101Bの一端101Ba側のフランジとをスプライスプレートを介してボルトにより接合(2主鈑桁の両側の連結部)する(ステップS14およびステップS15)。
なお、既設橋桁101A間に設けられる横桁などの橋桁部材101B以外の架設に際し、吊持設備404を用いれば、橋桁に係る全構成を吊持移動台車401により架設することが可能である(図34参照)。
これにより、橋桁部材101Bの架設が完了する(ステップS16)。そして、以降、繰り返し作業することにより、既設橋桁101Aに対して橋桁部材101Bを橋軸方向に順次接合できる(ステップS17)。
上述した本実施の形態の橋桁架設方法では、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置させ、かつ既設橋桁101Aの幅員方向外側に並設する工程と、既設橋桁101Aの先端101Aa側と橋桁部材101Bの一端101Ba側とを垂直軸302を介して回転可能に軸連結する工程と、橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心302aの回りに回転させ、既設橋桁101Aの先端101Aa側で橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置する工程と、既設橋桁101Aの先端101Aaと橋桁部材101Bの一端101Baとを接合し、軸連結を撤去する工程とを含む。
この橋桁架設方法によれば、垂直軸302の軸心302aの回りに橋桁部材101Bを水平回転させることで、既設橋桁101Aの先端101Aa側に橋軸方向に沿って配置し接合している。このため、橋桁部材101Bの架設位置の下側空間に制約があっても、この制約を回避して橋桁部材101Bの架設を行うことができる。しかも、既設橋桁101Aに橋桁部材101Bを接合する際、既設橋桁101Aの先端101Aa側で、橋軸方向に沿って橋桁部材101Bを簡素な構成の軸連結で支持するため、支持装置の輸送および組み立て解体などに係る設備コストを低減することが可能になる。しかも、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側に並設した形態とすることで、クレーン作業半径が小さくなり、クレーンの小型化ができるため、クレーンに係る設備コストを低減することが可能になる。
また、本実施の形態の橋桁架設方法では、1対の既設橋桁101A間に架けて配置されるフレーム2(前フレーム21および後フレーム22)に、各既設橋桁101A上に載る車輪3が輪転可能に配置された台車本体1と、台車本体1に設けられ、台車本体1に載せられるクレーン車両Cの空気入りタイヤTに働く駆動力および制動力を車輪3に伝達する伝達機構4と、既設橋桁101A間に対応するフレーム2の幅、車輪3の位置および伝達機構4の位置を、幅員方向で伸縮移動させる幅調整機構5と、を備えたクレーン台車設備200を用いる。そして、クレーン車両Cの空気入りタイヤTに働く駆動力および制動力を台車本体1の車輪3に伝達させて台車本体1を既設橋桁101A上で移動させると共に、クレーン車両Cのクレーンにより橋桁部材101Bを吊持して橋軸方向に沿って配置させ、かつ既設橋桁101Aの幅員方向外側に並設する。
クレーン台車設備200は、駆動力および制動力を生じる機能を全てクレーン車両C側に持たせたことで、台車本体1側の走行に係る設備を極力低減することができ、設備コストの低減化を図るものである。しかも、幅調整機構5を備えたことで、施工する橋梁100ごとに既設橋桁101Aの間隔が異なっても対応することができ、橋桁架設工事に好適に用いることができる。また、幅調整機構5は、既設橋桁101Aの間隔に対応するだけでなく、幅員方向におけるクレーン車両Cの幅や空気入りタイヤTの間隔が異なっても対応できる。
さらに、クレーン台車設備200は、道路の走行が可能なタイヤ付油圧伸縮ジブ型クレーンなどのクレーン車両Cを適用している。このため、クローラクレーンのように組み立てや解体が必要ないので、工事の工程短縮に寄与することができる。また、施工地域にてクレーン車両Cが調達でき、機材輸送のコストを低減できる。また、タイヤ付油圧伸縮ジブ型クレーンは、定格荷重範囲内の作業において、アウトリガーRに負反力が生じないため、アップリフト止め金具や補強構造を取り付ける必要がなく、設備コストを低減できると共に、クレーンの作業位置が限定されず現場条件の変化に応じた作業を行うことができる。また、タイヤ付油圧伸縮ジブ型クレーンなどのクレーン車両Cは、既設橋桁101A上での使用に際し、クレーン落成検査が必要ないことから、検査準備の作業がなく、工事の工程短縮に寄与できる。
また、クレーン台車設備200は、台車本体1を橋軸方向で伸縮調整する長さ調整機構6をさらに備えているため、クレーン車両CにおけるホイールベースL1が異なっても対応できる。
また、クレーン台車設備200は、台車本体1に、各橋桁101の内側に当接する取り外し可能なガイドローラ7が設けられており、このガイドローラ7が橋桁101の内側に当接し、台車本体1の脱輪防止をするので、橋桁101上に軌道を設置することなく橋桁101上での台車本体1の安定した走行を可能にできる。このため、軌道設備に係る設備コストを低減できる。
また、クレーン台車設備200は、台車本体1に、ガイドローラ7を各橋桁101の内側に向けて押圧する弾性力を生じる弾性機構73が設けられているため、橋桁101の幅員誤差があっても、これに対応してガイドローラ7を橋桁101の内側に当接させ、台車本体1の走行を案内できる。
また、クレーン台車設備200は、各橋桁101の上面に、橋梁構造体(スタッドボルト9など)を用いて敷設される無軌道設備8または有軌道設備10を備えると共に、無軌道設備8または有軌道設備10に載る車輪3を、無軌道設備8または有軌道設備10に対応して取り替え可能に備えている。このため、無軌道設備8または有軌道設備10により、橋梁構造体としてのスタッドボルト9や連結板による橋桁101上面の段差を回避、あるいは利用して、台車本体1を安定して走行させることができる。
また、クレーン台車設備200は、クレーン車両Cを台車本体1に搭載する際に用いられ、かつクレーン車両Cの搭載後に他の自走台車Pの部品として適用されるスロープSを備えているため、スロープSをクレーン車両Cの搭載に用いた後に邪魔にならず利用できる。
このように、クレーン台車設備200を用いた橋桁架設方法によれば、橋桁部材101Bを配置する地点までのアクセスは、クレーン車両Cを搭載した台車本体1が既設橋桁101A上を走行する。これにより、橋桁101の下側空間を使う必要がなくなり工事用道路造成工事や仮桟橋設置・撤去工事が削減でき、その工程とコストを低減することが可能になる。また、クレーン台車設備200を用いた橋桁架設方法によれば、クレーン車両Cのクレーンにより、既設橋桁101A上からベント設備の組立・解体作業ができるため、施工条件(桁断面・ブロック割り・支間長等)に応じて最適に橋桁101の架設を行うことが可能になる。
また、本実施の形態の橋桁架設方法では、1対の既設橋桁101A間に架けて幅員方向に沿って長手状に配置されるフレーム402(前フレーム4021および後フレーム4022)に、各既設橋桁101A上に載る車輪403および車輪403を輪転させる自走装置4031と、吊持設備404と、を備えた吊持移動台車401を用い、自走装置4031により車輪403を輪転させて吊持移動台車401を既設橋桁101A上で移動させると共に、吊持設備404により橋桁部材101Bを吊持して橋軸方向に沿って配置させ、かつ既設橋桁101Aの幅員方向側に並設する。
吊持移動台車401は、吊持設備404を適用している。このため、トラベラクレーンのように組み立てや解体が必要ないので、工事の工程短縮に寄与することができる。また、吊持設備404は、トラベラクレーンのようにアップリフト止め金具や補強構造を取り付ける必要がなく、設備コストを低減できる。
このように、吊持移動台車401を用いた橋桁架設方法によれば、橋桁部材101Bを配置する地点までのアクセスは、自走装置4031により輪転される車輪403で既設橋桁101A上を走行する。これにより、橋桁101の下側空間を使う必要がなくなり工事用道路造成工事や仮桟橋設置・撤去工事が削減でき、その工程とコストを低減することが可能になる。また、吊持移動台車401を用いた橋桁架設方法によれば、吊持設備404を有することで、既設橋桁101A上からベント設備の組立・解体作業ができるため、施工条件(桁断面・ブロック割り・支間長等)に応じて最適に橋桁101の架設を行うことが可能になるとともに、クレーンなどを既設橋桁101A上に設置する必要がなく、既設橋桁101Aへの載荷重が少なくなるので、既設橋桁の断面補強を低減することが可能になる。
また、本実施の形態の橋桁架設方法では、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置させ、かつ既設橋桁101Aの幅員方向外側に並設する工程の以前に、既設橋桁101Aの幅員方向であって、橋桁部材101Bを配置する反対側(既設橋桁101Aの幅員方向内側)に、作業足場305を設置する工程を含む。
この橋桁架設方法によれば、橋桁部材101Bの設置、回転および既設橋桁101Aへの接合に際して、墜落を防止して作業者の安全を確保することが可能になる。
上述した本実施の形態の橋桁架設装置300では、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側に並設した形態で、既設橋桁101Aの先端101Aa側と橋桁部材101Bの一端101Ba側とを垂直軸302を介して回転可能に軸連結する軸連結部301を備えている。
この橋桁架設装置300によれば、垂直軸302の軸心302aの回りに橋桁部材101Bを水平回転させ、既設橋桁101Aの先端101Aa側に橋軸方向に沿って配置できる。このため、橋桁部材101Bの架設位置の下側空間に制約があっても、この制約を回避して橋桁部材101Bの架設を行うことができる。しかも、既設橋桁101Aに橋桁部材101Bを接合する際、既設橋桁101Aの先端101Aa側で、橋軸方向に沿って橋桁部材101Bを支持するための構成が軸連結部301を主とした簡素な構成であるため、装置の輸送および組み立て解体などに係る設備コストを低減することが可能になる。しかも、橋桁部材101Bを橋軸方向に沿って配置し、かつ既設橋桁101Aの橋幅方向側に並設した形態とすることで、クレーン作業半径が小さくなり、クレーンの小型化ができるため、クレーンに係る設備コストを低減することが可能になる。
また、本実施の形態の橋桁架設装置300では、橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心302aの回りに回転させる回転部303をさらに備えている。
この橋桁架設装置300によれば、橋桁部材101Bの回転を容易かつ安全に行うことが可能になる。
また、本実施の形態の橋桁架設装置300では、幅員方向で並設された一対の既設橋桁101Aを連結して既設橋桁101Aの先端101Aa側に固定されると共に、垂直軸302を介して橋桁部材101Bと軸連結される反力受梁310をさらに備えている。
この橋桁架設装置300によれば、既設橋桁101A側に掛かる橋桁部材101Bの反力(重量)を反力受梁310で適宜受けることが可能になる。橋桁部材101Bの反力は、特に、橋桁部材101Bが90°回転したときに既設橋桁101A側に掛かる。
また、本実施の形態の橋桁架設装置300では、橋桁部材101Bを垂直軸302の軸心302a方向に移動・調整させる移動部304をさらに備えている。
この橋桁架設装置300によれば、橋桁部材101Bを180°回転させて既設橋桁101Aに接合する際、既設橋桁101Aに対し橋桁部材101Bの上下位置が接合位置からずれている場合、移動部304により、橋桁部材101Bを上下方向に移動・調整させることで、接合位置を合わせることができる。このため、橋桁架設作業の施工性を向上することが可能になる。
なお、図35および図36に示すように、既設橋桁101Aと反力受梁310との間にスペーサ320を配置し、連結梁311を、橋桁部材101Bの上側のフランジ上面および下側のフランジ下面に接合するように構成してもよい。このように構成することにより、橋桁部材101Bへの連結梁311の接合位置を移動させ、既設橋桁101Aおよび橋桁部材101Bのウェブに被さる事態を回避できる。この結果、上述した橋桁架設方法では、既設橋桁101Aと橋桁部材101Bとの接合に際してシャープレート317とモーメントプレート318とに分割して別々に取り付けていたものを、1つのウェブスプライスプレート321として構成することができ、部品点数を低減することが可能になる。