JP5376015B2 - レジスト下層膜形成方法及びそれに用いるレジスト下層膜用組成物並びにパターン形成方法 - Google Patents
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Description
一般にレジスト下層膜は、基板から反射した放射線を吸収する反射防止膜としての機能を有する。また、一般に基板直上のレジスト下層膜は炭素含有量の多い材料が用いられる。炭素含有量が多いと基板加工時のエッチング耐性が向上し、より正確なパターン転写が可能となる。このようなレジスト下層膜としては、特に熱硬化フェノールノボラックがよく知られている。また、アセナフチレン骨格を有する重合体を含有する組成物がレジスト下層膜として良好な特性を示すことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
本発明の課題は、反射防止膜としての機能を有するとともに、パターン転写性能及びエッチング耐性が良好なレジスト下層膜を形成することができ、微細化したパターン転写時においてもパターンが曲がらないレジスト下層膜形成方法及びそれに用いるレジスト下層膜用組成物並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
[1]レジスト下層膜用組成物を被加工基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を、酸素濃度が1容量%以上の酸化性雰囲気下において成膜させる成膜工程と、を備え、
前記レジスト下層膜用組成物は、ナフトール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂、及び溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
[2]前記レジスト下層膜用組成物は、更に、促進剤として、(a)第3〜第11族元素及び第13〜第15族元素から選ばれる金属元素を含む金属化合物、(b)過酸化物、(c)ジアゾ化合物、(d)ハロゲン又はハロゲン酸から選ばれる少なくとも1種を含有する前記[1]に記載のレジスト下層膜形成方法。
[3]前記促進剤における(b)過酸化物として、過酸、過酸化ジアシル、過酸エステル、過酸ケタール、ペルオキシ二炭酸塩、過酸化ジアルキル、過酸化ケトン及びアルキルヒドロキシペルオキシドから選ばれる過酸化物を少なくとも1種含む前記[2]に記載のレジスト下層膜形成方法。
[4]前記促進剤における(c)ジアゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを含む前記[2]に記載のレジスト下層膜形成方法。
[5]前記促進剤における(a)金属化合物として、セリウム、鉛、銀、マンガン、オスミウム、ルテニウム、バナジウム、タリウム、銅、鉄、ビスマス及びニッケルから選ばれる金属元素を含む金属化合物を少なくとも1種含む前記[2]に記載のレジスト下層膜形成方法。
[6]前記促進剤における(d)ハロゲン又はハロゲン酸として、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、過ハロゲン酸、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸及び次亜ハロゲン酸から選ばれる化合物もしくはその塩を少なくとも1種含む前記[2]に記載のレジスト下層膜形成方法。
[7](1)前記[1]乃至[6]のいずれかに記載のレジスト下層膜形成方法により、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程と、(2)レジスト組成物溶液を用いて、前記レジスト下層膜の上にレジスト被膜を形成する工程と、(3)前記レジスト被膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程と、(4)露光されたレジスト被膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、(5)前記レジストパターンをマスクとし、ドライエッチング法を用いて前記レジスト下層膜及び前記被加工基板を加工する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。
[1]レジスト下層膜形成方法
本発明のレジスト下層膜形成方法は、レジスト下層膜用組成物を被加工基板に塗布する塗布工程と、得られた塗膜を、酸化性雰囲気下において成膜させる成膜工程と、を備えることを特徴とする。
前記塗布工程では、被加工基板上にレジスト下層膜用組成物が塗布され、塗膜が形成される。
前記被加工基板としては、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆したウエハー等を使用することができる。
また、被加工基板へのレジスト下層膜用組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の方法で実施することができる。
また、前記レジスト下層膜用組成物としては、通常、樹脂等の化合物(樹脂でないものを含む)と、この化合物を溶解する溶剤と、を含む液状の組成物が用いられるが、本発明では、ナフトール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂、及び溶剤を含有する組成物が用いられる。
前記化合物としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物等(以下、「化合物(A)」ともいう。)を挙げることができるが、本発明では、ナフトール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂を用いる。
本発明におけるレジスト下層膜用組成物は、前記化合物(A)を溶解する溶剤(以下、「溶剤(B)」という。)を含有するものであり、通常、液状の組成物である。
この溶剤(B)としては、化合物(A)を溶解しうるものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル類;
前記促進剤(C)は、後述する成膜工程において、脱水素反応を促進させることができる助剤である。具体的には、一電子酸化剤等が挙げられる。
一電子酸化剤とは、それ自身が1電子移動を受ける酸化剤を意味する。例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウムの場合では、セリウムイオン(IV)が一電子を得てセリウムイオン(III)へと変化する。また、ハロゲン等のラジカル性の酸化剤は、一電子を得てアニオンへと転化する。このように、一電子を被酸化物(基質や触媒等)から奪うことにより、被酸化物を酸化する現象を一電子酸化と称し、このとき一電子を受け取る成分を一電子酸化剤という。
前記(a)金属化合物としては、第3〜第11族元素[旧IIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIII族及びIB族元素(遷移元素)]、並びに第13〜第15族元素(旧IIIB族、IVB族及びVB族)から選ばれる金属元素等を含む金属化合物が挙げられる。例えば、セリウム、鉛、銀、マンガン、オスミウム、ルテニウム、バナジウム、タリウム、銅、鉄、ビスマス、ニッケルを含む金属化合物が挙げられる。具体的には、(a1)硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN;ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム)、酢酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)等のセリウム塩(例えば、四価のセリウム塩)、(a2)四酢酸鉛、酸化鉛(IV)等の鉛化合物(例えば、四価の鉛化合物)、(a3)酸化銀(I)、酸化銀(II)、炭酸銀(Fetizon試薬)、硝酸銀等の銀化合物、(a4)過マンガン酸塩、活性二酸化マンガン、マンガン(III)塩等のマンガン化合物、(a5)四酸化オスミウム等のオスミウム化合物、(a6)四酸化ルテニウム等のルテニウム化合物、(a7)VOCl3、VOF3、V2O5、NH4VO3、NaVO3等のバナジウム化合物、(a8)酢酸タリウム(III)、トリフルオロ酢酸タリウム(III)、硝酸タリウム(III)等のタリウム化合物、(a9)酢酸銅(II)、銅(II)トリフルオロメタンスルホネート、銅(II)トリフルオロボレート、塩化銅(II)、酢酸銅(I)等の銅化合物、(a10)塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の鉄化合物、(a11)ビスマス酸ナトリウム等のビスマス化合物、(a12)過酸化ニッケル等のニッケル化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記(c)ジアゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記(d)ハロゲン又はハロゲン酸としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンから選ばれる、過ハロゲン酸、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。具体的なハロゲン酸の塩としては、過塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
また、本発明におけるレジスト下層膜用組成物においては、前記促進剤(C)を2種以上含有するものとすることができる。特に、前記(a)金属化合物及び(b)過酸化物のうちから選ばれる一電子酸化剤を2種以上含有するものとすることができる。
本発明におけるレジスト下層膜用組成物には、所期の効果を損なわない限り、必要に応じて、酸発生剤〔以下、「酸発生剤(D)」ともいう。〕を含有させることができる。
この酸発生剤(D)は、露光或いは加熱により酸を発生する成分である。露光により酸を発生する酸発生剤(以下、「光酸発生剤」という。)としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、
尚、酸発生剤(D)として、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用することもできる。
本発明のレジスト下層膜用組成物は、光酸発生剤及び/又は熱酸発生剤を含有させることで、常温を含む比較的低温で各重合体の分子鎖間に有効に架橋反応を生起させることができる。
本発明におけるレジスト下層膜用組成物には、所期の効果を損なわない限り、必要に応じて、架橋剤〔以下、「架橋剤(E)」ともいう。〕を含有させることができる。この架橋剤(E)は、得られるレジスト下層膜と、その上に形成されるレジスト被膜との間のインターミキシングを防止し、更にはレジスト下層膜におけるクラックの発生を防止する作用を有する成分である。
前記多核フェノール類としては、例えば、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−メチレンビスフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA等の2核フェノール類;4,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、4,4’−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノール等の3核フェノール類;ノボラック等のポリフェノール類等が挙げられる。これらのなかでも、4,4’−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、ノボラック等が好ましい。尚、これらの多核フェノール類は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるレジスト下層膜用組成物には、所期の効果を損なわない限り、必要に応じて、バインダー樹脂、放射線吸収剤、界面活性剤等の各種の添加剤を配合することがでる。
前記バインダー樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。前記熱可塑性樹脂は、添加した熱可塑性樹脂の流動性や機械的特性などを下層膜に付与する作用を有する成分である。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−ヘプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリ−1−ドデセン、ポリ−1−テトラデセン、ポリ−1−ヘキサデセン、ポリ−1−オクダデセン、ポリビニルシクロアルカン等のα−オレフイン系重合体類;ポリ−1,4−ペンタジエン、ポリ−1,4−ヘキサジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン系重合体類;α,β−不飽和アルデヒド系重合体類;ポリ(メチルビニルケトン)、ポリ(芳香族ビニルケトン)、ポリ(環状ビニルケトン)等のα,β−不飽和ケトン系重合体類;(メタ)アクリル酸、α−クロルアクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物等のα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の重合体類;ポリ(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸の共重合体等のα,β−不飽和カルボン酸無水物の重合体類;メチレンマロン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和多塩基性カルボン酸エステルの重合体類;ソルビン酸エステル、ムコン酸エステル等のジオレフィンカルボン酸エステルの重合体類;(メタ)アクリル酸チオエステル、α−クロルアクリル酸チオエステル等のα,β−不飽和カルボン酸チオエステルの重合体類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル又はその誘導体の重合体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体の重合体類;スチリル金属化合物の重合体類;ビニルオキシ金属化合物の重合体類;ポリイミン類;ポリフェニレンオキシド、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリオキシラン、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラヒドロピラン等のポリエーテル類;ポリスルフィド類;ポリスルホンアミド類;ポリペプチド類;ナイロン66、ナイロン1〜ナイロン12等のポリアミド類;脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、脂環族ポリエステル、ポリ炭酸エステル等のポリエステル類;ポリ尿素類;ポリスルホン類;ポリアジン類;ポリアミン類;ポリ芳香族ケトン類;ポリイミド類;ポリベンゾイミダゾール類;ポリベンゾオキサゾール類;ポリベンゾチアゾール類;ポリアミノトリアゾール類;ポリオキサジアゾール類;ポリピラゾール類;ポリテトラゾール類;ポリキノキサリン類;ポリトリアジン類;ポリベンゾオキサジノン類;ポリキノリン類;ポリアントラゾリン類等が挙げられる。
尚、これらのバインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記成膜工程は、前記レジスト下層膜用組成物を塗布して得られた塗膜を、酸化性雰囲気下において成膜させる工程である。
この工程では、塗膜を形成しているレジスト下層膜用組成物中の化合物(A)の一電子酸化(例えば、化合物(A)が有するフェノール性水酸基の一電子酸化)により脱水素反応が起こり、化合物の分子量が増大すると考えられる。
前記成膜工程は、通常、酸化性雰囲気下で加熱することにより行われる。ここでいう、酸化性雰囲気とは、23℃、常圧において、1容量%以上の酸素と不活性ガスとの混合気体(空気を含む)、或いは酸素濃度100容量%を意味する。
前記不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのなかでも、窒素が経済的で好ましい。
また、この加熱時間は特に限定されないが、10〜900秒であることが好ましく、より好ましくは30〜600秒、更に好ましくは60〜300秒である。
予備加熱における加熱時間は特に限定されないが、10〜300秒であることが好ましく、より好ましくは30〜120秒である。
この予備加熱を行うことにより、溶剤を予め気化させて、膜を緻密にしておくことで、脱水素反応を効率良く進めることができる。
尚、この脱水素率の測定方法は、後述する実施例と同様である。
本発明のパターンの形成方法は、
(1)前記レジスト下層膜形成方法により、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程(以下、「工程(1)」という。)と、
(2)レジスト組成物溶液を用いて、前記レジスト下層膜の上にレジスト被膜を形成する工程(以下、「工程(2)」という。)と、
(3)前記レジスト被膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程(以下、「工程(3)」という。)と、
(4)露光されたレジスト被膜を現像し、レジストパターンを形成する工程(以下、「工程(4)」という。)と、
(5)前記レジストパターンをマスクとし、ドライエッチング法を用いて前記レジスト下層膜及び前記被加工基板を加工する工程(以下、「工程(5)」という。)と、を備えることを特徴とする。
この工程(1)で形成されるレジスト下層膜の膜厚は、通常、0.1〜5μmである。
この中間層は、レジストパターン形成において、レジスト下層膜及び/又はレジスト被膜が有する機能を更に補ったり、これらが有していない機能を得るために、これらの機能が付与された層のことである。例えば、反射防止膜を中間層として形成した場合、レジスト下層膜の反射防止機能を更に補うことができる。
具体的には、得られるレジスト被膜が所定の膜厚となるようにレジスト組成物溶液を塗布したのち、プレベークすることによって、塗膜中の溶剤を揮発させ、レジスト被膜が形成される。
前記レジスト組成物溶液としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。また、レジスト下層膜や中間層上に塗布する際のレジスト組成物溶液の固形分濃度は、通常、5〜50質量%程度であり一般に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過したものが用いられる。尚、前記レジスト組成物溶液は、市販のものをそのまま使用することもできる。
また、プレベークの温度は、使用されるレジスト組成物溶液の種類等に応じて適宜調整されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。
前記露光に用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて、
可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択されるが、遠紫外線であることが好ましく、特にKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)、Kr2エキシマレーザー(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)等が好ましい。
前記現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択される。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が用いられる。また、これらのアルカリ性水溶液には、水溶性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加することもできる。
尚、この工程では、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、現像前の前記露光後に、ポストベークを行うことができる。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常、50〜200℃程度、好ましくは80〜150℃である。
(合成例1)
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、及びパラホルムアルデヒド50部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温、5時間反応させることにより、下記構造を有する重合体(Mw=1500)を得た。この重合体を化合物(A−1)とする。
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、フェノール100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、及びパラホルムアルデヒド50部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温、5時間反応させることにより、下記構造を有する重合体(Mw=1300)を得た。この重合体を化合物(A−2)とする。
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、パラホルムアルデヒド30部、及びフルフリルアルデヒド20部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温、5時間反応させることにより、下記構造を有する重合体(Mw=1600)を得た。この重合体を化合物(A−3)とする。
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、レゾルシノール100部、エタノール200部を仕込み、塩酸68部を加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、1,5−ペンタンジアールの50%水溶液45部をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、濁った黄色の懸濁液を得た。この懸濁液をメタノール中に注いだ後、ろ過し、沈殿物を得た。その後、得られた沈殿物をメタノールで3回洗浄した。洗浄した沈殿物を室温で24時間減圧乾燥し、粉末状の淡黄色固体を得た。ここで得られた淡黄色固体100部にテトラブチルアンモニウムブロマイド23部、脱水ピリジン350部を加え、1時間攪拌した。その後、ジ−t−ブチルジカーボネイト185部を徐々に加え、室温で48時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を3%のシュウ酸水溶液300mlに注ぎ、固体を析出させた。その後、得られた固体を塩化メチレンに溶解させ、3%のシュウ酸水100mlで3回洗浄した後、水100mlで2回洗浄した。水層を廃棄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比)を溶離液としたシリカゲルカラムで精製して、下記構造を有する化合物(A−4)を得た。
この化合物(A−4)について1H−NMR分析を行ったところ、化合物(A−4)は、全てのRのうち50モル%が下記式(R−1)で表される基(t−ブトキシカルボニル基)であり、残りのRが水素原子であった。
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素下で、アセナフチレン100部、トルエン78部、ジオキサン52部、及びアゾビスイソブチロニトリル3部を仕込み、70℃で5時間攪拌した。その後、p−トルエンスルホン酸1水和物5.2部、パラホルムアルデヒド40部を添加して、120℃に昇温し、更に6時間攪拌した。その後、反応溶液を多量のイソプロパノール中に投入し、沈殿した樹脂をろ過することにより、下記構造を有する重合体(Mw=20000)を得た。この重合体を化合物(A−5)とする。
また、化合物(A)の1H−NMR分析は、日本電子社製、型番「JNM−ECA−500型」を用い、測定溶媒としてDMSO−d6を使用して実施した。
(合成例6)
前記化合物(A−1)10部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)90部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(I)を調製した。
前記化合物(A−2)10部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)90部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(II)を調製した。
前記化合物(A−3)10部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)90部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(III)を調製した。
前記化合物(A−4)10部を、シクロヘキサノン(溶剤)65部とγ−ブチロラクトン(溶剤)25部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(IV)を調製した。
前記化合物(A−1)10部、及び、一電子酸化剤〔促進剤(C−1)〕としてt−ブチルヒドロペルオキシド1.0部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)89部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(V)を調製した。
前記化合物(A−2)10部、及び、一電子酸化剤〔促進剤(C−1)〕としてt−ブチルヒドロペルオキシド1.0部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)89部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(VI)を調製した。
前記化合物(A−3)10部、及び、一電子酸化剤〔促進剤(C−1)〕としてt−ブチルヒドロペルオキシド1.0部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)89部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(VII)を調製した。
前記化合物(A−5)10部、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート0.5部、及び、4,4‘−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1―メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノール0.5部をシクロヘキサノン(溶剤)89部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜用組成物(VIII)を調製した。
各レジスト下層膜用組成物により形成されるレジスト下層膜の評価を行うため、以下のように、ArF用ポジ型レジスト組成物溶液を調製した。
還流管を装着したセパラブルフラスコに、窒素気流下で、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン〔単量体(イ)〕29部、8−メチル−8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン〔単量体(ロ)〕10部、無水マレイン酸〔単量体(ハ)〕18部、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジアクリレート4部、t−ドデシルメルカプタン1部、アゾビスイソブチロニトリル4部、及び1,2−ジエトキシエタン60部を仕込み、攪拌しつつ70℃で6時間重合した。その後、反応溶液を大量のn−ヘキサン/i−プロピルアルコール(質量比=1/1)混合溶媒中に注いで樹脂を凝固させた。凝固した樹脂を前記混合溶媒で数回洗浄した後、真空乾燥して、前記単量体(イ)、(ロ)及び(ハ)のそれぞれに由来する下記構造の繰り返し単位(a)、(b)及び(c)を有する樹脂を得た(収率60%)。尚、この樹脂は、モル比が64:18:18であり、Mwが27,000であった。また、この樹脂の分子量(Mw)は、前記[1]で調製された化合物(A)と同様の方法により測定した。
以下、実験例1−27について記載するが、実験例1,3,5,7,8,10,11,13,14,16,17,18,19,20,22,23,25,26,27は実施例であり、実験例2,4,6,9,12,15,21,24は参考例である。
(実験例1)
直径8インチのシリコンウエハー上に、レジスト下層膜用組成物(I)をスピンコート法により塗布した後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて、180℃で60秒間、引き続き、350℃で120秒間加熱して成膜し、膜厚0.3μmの実験例1のレジスト下層膜を形成した。
直径8インチのシリコンウエハー上に、表1に示す各レジスト下層膜用組成物をスピンコート法により塗布した後、表1に示す酸素濃度のホットプレート内にて、180℃で60秒間、引き続き、表1に示す条件(温度及び時間)で加熱して成膜し、膜厚0.3μmの実験例2〜27の各レジスト下層膜を形成した。
直径8インチのシリコンウエハー上に、表2に示す各レジスト下層膜用組成物をスピンコート法により塗布した後、表2に示す酸素濃度のホットプレート内にて、180℃で60秒間、引き続き、表2に示す条件(温度及び時間)で加熱して成膜し、膜厚0.3μmの比較例1〜16の各レジスト下層膜を形成した。
実験例1〜27及び比較例1〜16の各レジスト下層膜について、以下の評価を行った。その結果を表3及び表4に示す。
<脱水素反応後の水素含量>
実験例1〜27及び比較例1〜16の各レジスト下層膜において、炭素・水素・窒素同時定量装置JM10(ジェイ・サイエンス・ラボ社製)を用いて、各元素の重量換算値を算出した。その後、膜中に含まれる各元素の原子数を、[各元素の重量換算値(重量%)/各元素の質量(g)]により算出し、次いで、[膜中の水素原子数/膜中の全原子数]により、脱水素反応後の水素含量(atom%)を求めた。
直径8インチのシリコンウエハー上に、前記[2]で調製した各レジスト下層膜用組成物(I)〜(VIII)を、それぞれ、スピンコートした後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて200℃で60秒間加熱して形成した被膜を用いた際に、前記レジスト下層膜と同様にして算出された値を、脱水素反応前の水素含量とした。
前記脱水素反応前後の各水素含量から、脱水素反応前の水素含量に対する脱水素反応後の水素含量の減少率を求めた。
実験例1〜27及び比較例1〜16の各レジスト下層膜上に、3層レジストプロセス用中間層形成組成物溶液〔JSR(株)製、商品名「NFC SOG080」〕をスピンコートし、200℃のホットプレート上で60秒間加熱し、引き続き、300℃のホットプレート上で60秒間加熱して、膜厚0.05μmの中間層被膜を形成した。その後、中間層被膜上に、前記[3]で調製したArF用レジスト組成物溶液をスピンコートし、130℃のホットプレート上で90秒間プレベークして、膜厚0.2μmのレジスト被膜を形成した。その後、ArFエキシマレーザー露光装置(NIKON社製、レンズ開口数:0.78、露光波長:193nm)を用い、マスクパターンを介して、最適露光時間だけ露光した。その後、130℃のホットプレート上で90秒間ポストベークした後、2.38%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で1分間現像し、水洗し、乾燥して、ArF用ポジ型レジストパターンを得た。このレジストパターンをマスクとし、中間被膜を加工し、続いて、加工した中間被膜をマスクとして、レジスト下層膜の加工を行った。その後、加工したレジスト下層膜をマスクとして、基板の加工を行った。
前記のようにして形成されたパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、以下の基準にて評価した。
○:レジスト下層膜のパターンが立っている状態
×:レジスト下層膜のパターンが倒れたり、曲がったりしている状態
実験例1〜27及び比較例1〜16の各レジスト下層膜を、エッチング装置〔神鋼精機社製、「EXAM」〕を使用して、CF4/Ar/O2(CF4:40mL/min、Ar:20mL/min、O2:5mL/min;圧力:20Pa;RFパワー:200W;処理時間:40秒;温度:15℃)でエッチング処理し、エッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、エッチング耐性を評価した。尚、評価基準は、以下のとおりである。
○;エッチングレートが150nm/min以下の場合
△;エッチングレートが150nm/minを超え、200nm/min未満の場合
×:エッチングレートが200nm/min以上の場合
表3及び4から明らかなように、脱水素反応工程を経て形成された実験例1〜27のレジスト下層膜はパターン転写性能及びエッチング耐性に優れていることが確認できた。
Claims (7)
- レジスト下層膜用組成物を被加工基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を、酸素濃度が1容量%以上の酸化性雰囲気下において成膜させる成膜工程と、を備え、
前記レジスト下層膜用組成物は、ナフトール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂、及び溶剤を含有することを特徴とするレジスト下層膜形成方法。 - 前記レジスト下層膜用組成物は、更に、促進剤として、(a)第3〜第11族元素及び第13〜第15族元素から選ばれる金属元素を含む金属化合物、(b)過酸化物、(c)ジアゾ化合物、(d)ハロゲン又はハロゲン酸から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。
- 前記促進剤における(b)過酸化物として、過酸、過酸化ジアシル、過酸エステル、過酸ケタール、ペルオキシ二炭酸塩、過酸化ジアルキル、過酸化ケトン及びアルキルヒドロキシペルオキシドから選ばれる過酸化物を少なくとも1種含む請求項2に記載のレジスト下層膜形成方法。
- 前記促進剤における(c)ジアゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを含む請求項2に記載のレジスト下層膜形成方法。
- 前記促進剤における(a)金属化合物として、セリウム、鉛、銀、マンガン、オスミウム、ルテニウム、バナジウム、タリウム、銅、鉄、ビスマス及びニッケルから選ばれる金属元素を含む金属化合物を少なくとも1種含む請求項2に記載のレジスト下層膜形成方法。
- 前記促進剤における(d)ハロゲン又はハロゲン酸として、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、過ハロゲン酸、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸及び次亜ハロゲン酸から選ばれる化合物もしくはその塩を少なくとも1種含む請求項2に記載のレジスト下層膜形成方法。
- (1)請求項1乃至6のいずれかに記載のレジスト下層膜形成方法により、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程と、
(2)レジスト組成物溶液を用いて、前記レジスト下層膜の上にレジスト被膜を形成する工程と、
(3)前記レジスト被膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程と、
(4)露光されたレジスト被膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、
(5)前記レジストパターンをマスクとし、ドライエッチング法を用いて前記レジスト下層膜及び前記被加工基板を加工する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。
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