JP5375825B2 - 導電性高分子のパターン形成方法及び基板の製造方法 - Google Patents
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Description
この導電性高分子は、導電性、透光性および発光性を有し、成膜後もITOよりフレキシビリティが高いという特徴を持っており、透明導電膜、電解コンデンサー、帯電防止膜、電池、有機EL素子等への応用が研究され、一部では実用化されている。
電解コンデンサーの場合、従来の電解液の代わりに、電荷移動錯体やポリチオフェン等の導電性固体を用いることが試みられているが、より導電性に優れた導電性高分子を使用することにより、周波数特性の良好な電解コンデンサーを作ることができる。電解コンデンサー用途の導電性高分子では化学的・物理的に安定であり、耐熱性に優れることも求められている。
また、導電性高分子をポリマーフィルム等の表面に薄く成膜することにより、透明性を保ったまま静電気を防止することができるため、使い勝手の良い帯電防止フィルムや帯電防止容器等として使用されている。
リチウムポリアニリン電池やリチウムイオンポリマー電池等では、導電性高分子が2次電池の正極として用いられている。
更に、発光層に導電性高分子を用いた有機ELがあり、基板として、ガラスではなく有機材料を用いることで、フレキシブルなディスプレイを作製することができる。また、導電性高分子は、有機ELの正孔輸送層にも用いることができる。有機ELディスプレイは自発光のディスプレイであり、視野角が広く、応答速度の速い軽量薄型のディスプレイを実現できるため、将来性のあるフラットパネルディスプレイとして盛んに開発が進められている。
このように、導電性高分子は、将来のエレクトロニクス産業にとって重要な材料であり、使用するに当たっては、ITOと同様に微細なパターンを形成することができる技術が必要不可欠である。
パターン形成が必要な分野として、例えば、タッチパネル、電子ペーパー、高分子ELディスプレイの電極として用いた場合の引き出し線等が挙げられる。
特許文献1には、スクリーン印刷法、インクジェット等を利用した印刷法が開示されている。印刷法は、パターン形成と同時に成膜も行うため生産工程は簡便だが、導電性高分子をインク化する必要がある。しかし、導電性高分子は、凝集しやすくインク化は難しい。また、パターンの精度や表面の平滑性に乏しい問題があった。
本発明は、フレキシブルな導電層を、フォトリソグラフ法によってパターン形成する際、高感度、高解像性、高密着性かつ高柔軟性の微細レジストパターンを形成することができるポジ型フォトレジスト組成物および特定の現像液を用いて、導電性高分子の微細パターンを効率よく形成する方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、以下に示される。
1.ナフトキノンジアジド化合物およびノボラック樹脂を含むポジ型フォトレジスト組成物を用いること、ならびに、該ポジ型フォトレジスト組成物を用いて得られたレジスト膜を、カリウムイオンの濃度が0.08mol/リットル〜0.20mol/リットルであり、共存するナトリウムイオンの濃度が0.1mol/リットル未満である現像液で現像する導電性高分子のパターン形成方法であって、基体の表面に、導電性高分子を含む導電層形成用組成物を用いて導電層を形成する導電層形成工程と、上記導電層の表面に、上記ポジ型フォトレジスト組成物を塗布し、ポジ型フォトレジスト膜を形成する膜形成工程と、上記ポジ型フォトレジスト膜を加熱するプリベーク工程と、上記プリベーク工程により得られたレジスト膜を露光する工程であって、該レジスト膜の表面のうち、上記導電層の表面に配された上記レジスト膜の少なくとも一部表面を未露光とする露光工程と、上記露光工程における露光部を上記現像液で除去し、導電層を露出させる現像工程と、露出している導電層部を除去する導電層部除去工程と、残存しているレジスト膜部を除去するレジスト膜部除去工程と、を、順次、備えることを特徴とする導電性高分子のパターン形成方法。
2.上記ポジ型フォトレジスト組成物が、ナフトキノンジアジド化合物、ノボラック樹脂およびポリビニルメチルエーテルを含む上記1に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
3.上記ポジ型フォトレジスト組成物において、上記ノボラック樹脂の軟化点A(℃)およびその含有量B(質量部)ならびにポリビニルメチルエーテルのガラス転移点温度C(℃)およびその含有量D(質量部)から、下記式(1)で算出される計算値E(℃)が60℃〜110℃である上記2に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
B/{100×(273+A)}+D/{100×(273+C)}=1/(273+E) ・・・(1)
(但し、B+D=100である。)
4.上記導電性高分子がポリチオフェンまたはポリピロールである上記1乃至3のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
5.上記ポリチオフェンがポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である上記4に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
6.上記現像液が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、アルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれた少なくとも1種を含む上記1乃至5のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
7.上記導電層形成用組成物が、大気圧における沸点が100℃以上である有機溶剤を含む上記1乃至6のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
8.上記1乃至7のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法を用いて得られることを特徴とする、導電性高分子パターンを有する基板の製造方法。
本発明は、導電性高分子のパターンを形成する方法であって、図1に示すように、基体11の表面に配設された、所定の形状を有するパターン化導電層部121を形成する方法である。以下、「導電性高分子のパターン」を「導電パターン」という。
本発明においては、上記基体の表面に、上記導電性高分子を含む導電層形成用組成物を用いて導電層を形成する導電層形成工程と、この導電層の表面に、ポジ型フォトレジスト組成物を塗布し、膜を形成する膜形成工程と、この膜を加熱するプリベーク工程と、上記プリベーク工程により得られたレジスト膜を露光する工程であって、レジスト膜の表面のうち、上記導電層の表面に配された上記レジスト膜の少なくとも一部表面を未露光とする露光工程と、上記露光工程における露光部を上記現像液で除去し、上記導電層の少なくとも一部表面を露出させる現像工程と、露出している導電層部を除去する導電層部除去工程と、残存しているレジスト膜部を除去するレジスト膜部除去工程とを備える方法により、導電パターンを形成することができる。そして、上記ポジ型フォトレジスト組成物は、ナフトキノンジアジド化合物およびノボラック樹脂を含む組成物であり、上記現像液は、カリウムイオンの濃度が0.08〜0.20mol/リットルであり、共存するナトリウムイオンの濃度が0.1mol/リットル未満である液である。
B/{100×(273+A)}+D/{100×(273+C)}=1/(273+E) ・・・(1)
(但し、B+D=100である。)
1/Tg(計算値)=w(M1)/Tg(M1)+w(M2)/Tg(M2)
・・・(2)
上記基体としては、プリベーク工程、現像工程等において、変形、変質等を引き起こすものでなければ、特に限定されない。この基体は、通常、樹脂、金属、無機化合物等を含む材料からなるものである。例えば、樹脂を含むフィルム、シート、板や、金属、無機化合物等を含む箔、板等が挙げられる。本発明においては、フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、シクロオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を含むフィルムが特に好ましい。
上記導電層形成用組成物がドーパントを含有する場合、その含有量は、導電性高分子100質量部に対して、好ましくは50〜5,000質量部、より好ましくは100〜3,000質量部である。このドーパントが上記範囲の量で含有されると、導電性の向上効果が十分に発揮される。
また、帝人デュポンフィルム社により製造された「カレンファイン」(登録商標)の商品を用いることができる。この商品は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有し、ポリスチレンスルホン酸をドーパントとしている。
また、導電層の他の形成方法としては、導電層形成用組成物を、膜形成後にこれを剥離可能な基材に塗布し、その後、乾燥することにより得られた導電フィルムを、基体表面に密着させて、複合体とすることもできる。このとき、接着剤を用いてよいし、接着剤を用いずに、加熱等を利用してもよい。尚、導電層は、基体の全面に形成してよいし、所望の部分に形成してもよい。
尚、導電性高分子を含む導電層が、予め、基体の表面に形成されてなる積層体を用いることができる。例えば、樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの表面に形成された導電層とを備える積層フィルムを用いることができる。この積層フィルムとしては、ポリピロールを含有する導電層を備える「ST−PETシート」(アキレス社製)の「ST−8」(商品名)等を用いることができる。
上記膜形成工程により得られる膜(ポジ型フォトレジスト塗膜)の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
図2は、上記膜形成工程後の積層状態を示し、基体11、導電層12およびポジ型フォトレジスト塗膜)13を、順次、備える積層物の概略断面図である。
上記プリベーク工程により得られるレジスト膜の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。膜厚が上記範囲にあると、ピンホールによる歩留まり低下が抑えられ、露光、現像、剥離等の処理が短時間で終了できる上、現像不良や剥離不良が発生し難くなるために好ましい。
尚、上記現像液のpHは、好ましくは、pH12以上、より好ましくはpH13以上であり、上限は、通常、pHの上限として定義されるpH14である。
現像方法としては、浸漬法やスプレー法等の方法を適用することができる。
本発明においては、好ましくは1〜30%、より好ましくは3〜20%の(NH4)2Ce(NO3)6を含むエッチング液を用いることにより、パターン化レジスト膜部131の下方側の導電層を侵すことなく、露出している導電層部を効率よく除去することができる。
パターン化レジスト膜部131を剥離する方法は、以下の通りである。本発明で使用可能な剥離剤としては、化学構造中に酸素原子、硫黄原子またはその両方を含む非プロトン性有機溶剤(a)、ならびに、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物および有機第4アンモニウム塩以外であって、化学構造中に窒素原子を有する有機溶剤(b)が挙げられる。非プロトン性有機溶剤(a)および有機溶剤(b)は、組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、沸点が比較的低く乾燥性がよく、安全性が高く取扱しやすい点から、ジアルキルスルホキシド、炭酸アルキレンおよびアルキロラクトンが好ましく、ジメチルスルホキシド、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよびγ−ブチロラクトンがより好ましく、ジメチルスルホキシド、炭酸エチレンおよびγ−ブチロラクトンが特に好ましい。
これらのうち、取り扱いの容易さと安全性の点から、N−アルキルピロリドンおよびジアルキルカルボアミドが好ましく、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドが特に好ましい。
1−1.ナフトキノンジアジド化合物
トリエチルアミンの存在下、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと、その3倍モル量のナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとを縮合反応させ、黄色固体のスルホン酸エステル(以下、「NQD」という)を得た。高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、ピーク面積でトリエステル体が全ピーク面積の95%以上であった。
高速液体クロマトグラフィーの測定は、装置として日本分光社製のGULLIVER900シリーズ、分離カラムとしてGLサイエンス社製Inertsil ODS−3(4.6mmID×150mm)、検出器としてUV検出器(測定波長254nm)を使用し、体積比で水/アセトニトリル/トリエチルアミン/リン酸=68.6/30.0/0.7/0.7のキャリア溶媒を1.0ml/分の流速で流して行った。
(1)クレゾールノボラック樹脂
m−クレゾールとp−クレゾールとをホルムアルデヒドで縮合させて得られたクレゾールノボラック樹脂(商品名「MER7969」、明和化成社製)を用いた。軟化点は145℃である。
(2)クレゾールノボラック樹脂
クレゾールノボラック樹脂(商品名「フェノライトKA−1053」、大日本インキ化学工業社製)を用いた。軟化点は164℃である。
ポリビニルメチルエーテル(商品名「ルトナールM−40」、BASF社製)を用いた。ガラス転移温度は−31℃である。
クレゾールノボラック樹脂のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度50%)160質量部(すなわち固形分として80質量部)に、NQD20質量部を加えて、ポジ型フォトレジスト組成物(C−1およびC−7)を得た。また、必要に応じて、更に、ポリビニルメチルエーテル(PVM)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を、表1および表2に従って加え、ポジ型フォトレジスト組成物(C−2〜C−6およびC−8〜C−12)を得た。尚、組成物全体の固形分濃度が20%となるように、希釈溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、適宜、加えて均一に溶解した。表1および表2に、ノボラック樹脂およびPVMの添加量を基にして、式(1)から求めた計算値Eを示す。
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)を塗布し、その後、乾燥することにより、膜厚500nmの導電膜を形成させた。次いで、上記で得られたポジ型フォトレジスト組成物を、導電膜の表面に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で10分間プリベークすることで、膜厚3μmのレジスト膜を形成し、積層フィルムを得た。この積層フィルムを用いて、JIS K5600−5−1に準じて、レジスト膜の耐屈曲性を評価した。その結果を表1および表2に示す。耐屈曲性Rは、角度90度および180度で折り曲げたとき、レジスト膜にクラックが発生しなかった最小の直径(mm)を示す。
実験例1
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)を塗布し、その後、乾燥することにより、膜厚500nmの導電膜を形成させた。次いで、ポジ型フォトレジスト組成物C−4を、導電膜の表面に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で10分間プリベークすることで、膜厚1μmのレジスト膜を形成し、積層フィルムを得た。
その後、レジスト膜に対して、超高圧水銀ランプを光源とするマスクアライナー(型式「MA−10」、ミカサ社製)を用いて、フォトマスクを介して、露光量100mJ/cm2で露光した。
次に、レジスト膜の露光部を溶出させ、残存レジスト膜からなるレジストパターンを形成させるために、水酸化カリウムを表3に記載の濃度に溶解させたアルカリ水溶液を現像液として用い、現像処理を行った。現像液の温度は、23℃〜25℃の範囲となるように、温調ジャケットをコントロールした。温度測定は、棒状温度計により行った。
表3に示す組成の現像液を用いた以外は、実験例1と同様にして、レジストパターンを形成させ、導電パターンを得た。そして、現像性の評価を行った。その結果を表3に示す。実験例3および実験例4では水酸化カリウムを、実験例2では水酸化カリウムおよび炭酸ナトリウムを使用した。実験例5ではカリウムイオンの濃度がそれぞれ0.100mol/リットルと0.094mol/リットルとなるように、水酸化カリウムおよび炭酸カリウムを使用した。
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)に代えて、ポリピロールを含む導電膜付きPETフィルム(商品名「ST−PETシート」、アキレス社製)を用いた以外は、実験例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。そして、現像性の評価を行った。その結果を表3に示す。
表3に示す組成の現像液を用いた以外は、実験例1と同様にして、レジストパターンを形成させ、導電パターンを得た。そして、現像性の評価を行った。その結果を表3に示す。実験例10は、水酸化カリウムを使用してカリウムイオンの濃度が低すぎる例である。実験例11は、水酸化カリウムを使用してカリウムイオンの濃度が高すぎる例である。実験例12〜15は、水酸化ナトリウムのみを使用した例である。実験例16は、ナトリウムイオンの濃度が0.100mol/リットルとなる水酸化ナトリウムと、0.094mol/リットルとなる炭酸ナトリウムとを併用した例である。実験例17は、水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムを併用したものである。
現像液として、カリウムイオン濃度が0である金属フリーのTMAH水溶液を用いた以外は、実験例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。そして、現像性の評価を行った。その結果を表4に示す。
また、ナトリウムイオンのみを含むアルカリ水溶液(実験例12〜16)やTMAH水溶液(実験例18〜21)を用いた場合、水酸化カリウム水溶液を用いる場合であって現像液のカリウムイオンの濃度が0.08mol/リットル〜0.20mol/リットルの範囲を越える場合には、現像性が不十分であったり、あるいは「現像残りもレジストパターンの脱落もない」すなわち、表3および表4において、上段および下段の両方が○になる現像時間条件が少ないために、実用的でないことが示された。
実験例22〜27
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)を塗布し、その後、乾燥することにより、膜厚約500nmの導電膜を形成させた。その後、ポジ型フォトレジスト組成物C−1〜C−6を、導電膜の表面に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で10分間プリベークすることで、膜厚3μmのレジスト膜を形成し、積層フィルムを得た。
次いで、このレジスト膜に対して、超高圧水銀ランプを光源とするマスクアライナー(型式「MA−10」、ミカサ社製)を用いて、フォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2で露光した。その後、0.7%水酸化カリウム水溶液(カリウムイオン濃度0.125mol/リットル)を現像液として用いて、23℃〜25℃の温度で現像した。そして、水洗、乾燥してレジストパターンを形成した。
実施例1〜3
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)を塗布し、その後、乾燥することにより、膜厚約500nmの導電膜を形成させた。その後、導電膜の表面に、実施例1ではポジ型フォトレジスト組成物C−3、実施例2では、ポジ型フォトレジスト組成物C−4、実施例3ではポジ型フォトレジスト組成物C−5を、スピンコーターを用いて塗布し、90℃で15分間、プリベークして膜厚3μmのレジスト膜を形成させた。
次いで、このレジスト膜に対して、超高圧水銀ランプを光源とするマスクアライナー(型式「MA−10」、ミカサ社製)を用いて、フォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2で露光した。その後、カリウムイオンの濃度がそれぞれ0.100mol/リットルと0.094mol/リットルとなるよう水酸化カリウムと炭酸カリウムを溶解させた水溶液(カリウムイオン濃度0.194mol/リットル)を現像液として用いて、23℃〜25℃の温度で現像した。そして、水洗、乾燥して、図3に示すような断面構造を有するレジストパターンを形成した。
そして、このレジストパターンをマスクとして、10%の硝酸セリウムアンモニウムと10%の硝酸の混合物であるエッチング液を用いて、30℃にて1分間、露出している導電膜部をエッチング処理した。その後、剥離剤として、γ−ブチロラクトンを用いて、残存しているレジスト膜部を除去した。次いで、水洗および乾燥させることで、図1に示すような断面構造を有する、導電性高分子のパターンが形成された基板を得ることができた。形成された導電性高分子のパターンを顕微鏡で観察したところ、いずれも良好なパターンが形成されていた。
尚、ポジ型フォトレジスト組成物C−9、C−10、C−11およびC−12を用いた場合にも、カリウムイオンの濃度が0.08mol/リットル〜0.20mol/リットルであり、共存するナトリウムイオンの濃度が0.1mol/リットル未満である現像液を用いることにより、導電性高分子のパターンを好適に形成することができる。
実験例28
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)を、バーコーターで塗布し、その後、乾燥することで、膜厚500nmの導電膜を形成させ、導電膜付きフィルム(s)を得た。
その後、導電膜付きフィルム(s)における導電膜の表面に、ポジ型フォトレジスト組成物C−1を、スピンコーターを用いて塗布し、90℃で15分間、プリベークして膜厚3μmのレジスト膜を形成させた。
次いで、このレジスト膜に対して、超高圧水銀ランプを光源とするマスクアライナー(型式「MA−10」、ミカサ社製)を用いて、フォトマスクを介して、露光量200mJ/cm2で露光した。その後、カリウムイオンの濃度が0.100mol/リットルである水溶液を現像液として用いて、25℃で10秒間現像し、導電膜を露出させ、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。
その後、導電膜付きフィルム(s)の中心部分で、JIS−K6911に準拠した絶縁抵抗測定法により、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表6に示す。尚、フィルム(t)における露出導電膜の導電率は未測定である。
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する導電層形成用組成物(商品名「CLEVIOS PH500」、スタルク社製)に、エンハンサーとしてNMPまたはDMSOを、組成物全体に対して5%となるように加えた組成物を用いた。
表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)に、上記導電層形成用組成物を、バーコーターで塗布し、その後、乾燥することにより、膜厚500nmの導電膜を形成させ、導電膜付きフィルム(s)を得た。
その後、実験例28と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表6に示す。
カリウムイオンを含まず、ナトリウムイオン濃度が0.100mol/リットルである現像液を用いた以外は、実験例30と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表6に示す。
カリウムイオンを含まず、TMAHの濃度が0.90%である現像液を用いた以外は、実験例30と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表6に示す。
現像液に、保護剤として、塩化カルシウムを添加した以外は、実験例30と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表7に示す。
現像液に、保護剤として、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名「ニューコールN1305」、日本乳化剤社製)を添加した以外は、実験例30と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表7に示す。
現像液に、保護剤として、塩化カルシウムを添加した以外は、実験例32と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表7に示す。
現像液に、保護剤として、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名「ニューコールN1305」、日本乳化剤社製)を添加した以外は、実験例32と同様にして、レジスト膜および導電膜を有するフィルム(t)を得た。そして、導電膜付きフィルム(s)およびフィルム(t)の中心部分で、導電膜の体積抵抗率を測定し、導電率(S/cm)を算出した。その結果を表7に示す。
Claims (8)
- ナフトキノンジアジド化合物およびノボラック樹脂を含むポジ型フォトレジスト組成物を用いること、ならびに、該ポジ型フォトレジスト組成物を用いて得られたレジスト膜を、カリウムイオンの濃度が0.08mol/リットル〜0.20mol/リットルであり、共存するナトリウムイオンの濃度が0.1mol/リットル未満である現像液で現像する導電性高分子のパターン形成方法であって、
基体の表面に、導電性高分子を含む導電層形成用組成物を用いて導電層を形成する導電層形成工程と、
上記導電層の表面に、上記ポジ型フォトレジスト組成物を塗布し、ポジ型フォトレジスト膜を形成する膜形成工程と、
上記ポジ型フォトレジスト膜を加熱するプリベーク工程と、
上記プリベーク工程により得られたレジスト膜を露光する工程であって、該レジスト膜の表面のうち、上記導電層の表面に配された上記レジスト膜の少なくとも一部表面を未露光とする露光工程と、
上記露光工程における露光部を上記現像液で除去し、導電層を露出させる現像工程と、
露出している導電層部を除去する導電層部除去工程と、
残存しているレジスト膜部を除去するレジスト膜部除去工程と、
を、順次、備えることを特徴とする導電性高分子のパターン形成方法。 - 上記ポジ型フォトレジスト組成物が、ナフトキノンジアジド化合物、ノボラック樹脂およびポリビニルメチルエーテルを含む請求項1に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
- 上記ポジ型フォトレジスト組成物において、上記ノボラック樹脂の軟化点A(℃)およびその含有量B(質量部)ならびにポリビニルメチルエーテルのガラス転移点温度C(℃)およびその含有量D(質量部)から、下記式(1)で算出される計算値E(℃)が60℃〜110℃である請求項2に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
B/{100×(273+A)}+D/{100×(273+C)}=1/(273+E) ・・・(1)
(但し、B+D=100である。) - 上記導電性高分子がポリチオフェンまたはポリピロールである請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
- 上記ポリチオフェンがポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である請求項4に記載の導電性高分子のパターン形成方法。
- 上記現像液が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、アルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
- 上記導電層形成用組成物が、大気圧における沸点が100℃以上である有機溶剤を含む請求項1乃至6のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性高分子のパターン形成方法を用いて得られることを特徴とする、導電性高分子パターンを有する基板の製造方法。
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