JP5375510B2 - 蛍光放射性資材を用いた農作物栽培方法およびそれに用いる資材 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光放射性資材を用いた農作物栽培方法及びそれに用いる資材に関する。
最近、野菜等の農産物の安定供給を図るため、光源に発光ダイオード等を用いて、あたかも野菜を栽培する工場を設備する植物工場の建設が進められている。これは植物等の光合成に寄与する波長帯の光を照射する発光ダイオードを採用しており、計画栽培が図られている。
しかし、このような方法は、計画栽培が可能である反面、栽培を行うために大量の電力を消費し、地球温暖化や化石燃料の枯渇化等、環境・エネルギー問題に大きな影響を与えることが懸念されている。
また、路地栽培等では、野菜等の品質を管理するために農薬散布が一般に行われる。しかし、大量の農薬を使用することによる周辺の大気汚染や、雨水に農薬が混入することによる水質汚染が深刻になっている。
一方、光合成促進効果を狙いとした農業用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、光合成促進効果と防虫効果を狙いとした農業用光質変換資材が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、これらの方法では、蛍光色素を含有するフィルムで農作物を覆うことになるので、フィルムによって太陽光が遮蔽され、かえって農作物の成長にとってマイナスとなる場合もあった。
このような問題を解決するため、例えば特許文献3には、蛍光色素を含有するネットが光合成促進資材として提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開平5−227849号公報 特開平6−46685号公報 特開2007−135583号公報
上記特許文献3に記載されたネットを光合成促進資材として使用すれば、太陽光等に含まれる光の一部を蛍光という形で植物の光合成にとって好ましい波長の光へと変換することが可能であり、かつネットの開口部から太陽光等の光を直接農作物に照射させることができる。したがって、上記のようにフィルム状の光合成促進資材を使用した場合と異なり、太陽光等が遮蔽されることに伴う弊害は殆ど発生しない。しかし、さらに光合成を活性化して、農作物の重量や糖度等をさらに向上させるという観点からは、未だ改善の余地があった。
また、最近の健康志向の高まりにより、例えば、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツのような赤色系の野菜や果物に含まれるリコピン等の有効成分が注目され、こうした有効成分を多く含むような野菜や果物が強く求められるようになっている。しかし、これらの有効成分を多量に含むような野菜や果物を簡便な栽培方法で提供する技術は、未だ存在しないのが現状である。
そこで本発明は、蛍光放射性資材により農作物の光合成を活性化する農作物栽培方法において、農作物の重量をより向上させ、あるいは成長を早め、品質にバラツキが少ない栽培効率の高い農作物栽培方法を提供することを第一の目的とする。また、本発明は、蛍光放射性資材を使用する農作物栽培方法において、農作物の糖度などを高め、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ等の野菜や果物に含まれるリコピン等の成分の量をより増加させることのできる農作物栽培方法を提供することを第二の目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、蛍光を活用して農作物を栽培する場合に、自然光あるいは人工光(以後、これらを総称して単に「光」とも言う)と蛍光をバランス良く農産物に照射すると共に、特に蛍光を農作物に対して可能な限り一方向からではなく複数方向からかつ多量に照射することが、光合成が活性化されることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)農作物栽培用資材として、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートのいずれかを単独で又は両者を組合わせて、あるいは光反射性資材と蛍光放射性ネット及び/又は蛍光放射性シートとを組合わせて用いた農作物栽培方法であって、光を受けて前記蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートから放射される蛍光が農作物を複数方向から照射可能なように前記農作物栽培用資材を設置して光合成を促進させることを特徴とする農作物栽培方法である。
また本発明は、(2)前記光反射性資材として光反射性シートを用いて、農作物を栽培する農地に前記光反射性シートを敷き、かつ該農作物を覆うように前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを設置して、該蛍光放射性ネット又は該蛍光放射性シートが光を受けて放射される蛍光と透過する光とを、直接農作物に照射させると共に、前記光反射性シートに反射させて農作物に照射させるようにしたことを特徴とする(1)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(3)農作物を栽培する農地に前記蛍光放射性ネット(1)又は前記蛍光放射性シート(1)を敷き、かつ該農作物を覆うように前記蛍光放射性ネット(2)又は前記蛍光放射性シート(2)を設置して、前記蛍光放射性ネット(2)又は前記蛍光放射性シート(2)が光を受けて放射される蛍光と透過する光とを、農作物に直接照射させると共に、透過する光が前記蛍光放射性ネット(1)又は前記蛍光放射性シート(1)を照射し放射される蛍光を農作物に照射するようにしたことを特徴とする(1)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(4)農作物を覆う前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートをドーム型支持体で支持することを特徴とする(2)項又は(3)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(5)前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを素材としてなる袋状資材を用い、該袋状資材を生育途上の実あるいは果物に被せることによって、実あるいは果物が周囲から蛍光を受けるようにしたことを特徴とする(1)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(6)前記蛍光放射性シートを素材としてなる傘状資材を用い、前記袋状資材を被せた実あるいは果物の上方に前記傘状資材を取付けることを特徴とする(5)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(7)屋根部及び/又は壁部が前記蛍光放射性ネット及び/又は前記蛍光放射性シートで構成されたハウスを用い、前記蛍光放射性ネット及び/又は前記蛍光放射性シートが放射する蛍光を農作物に照射するようにしたことを特徴とする(1)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(8)屋根部及び/又は壁部がビニールシートで構成されたハウスを用い、ハウス内の農地で栽培される農作物を前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートで覆うように設置して、該蛍光放射性ネット又は該蛍光放射性シートが放射する蛍光を農作物に照射するようにしたことを特徴とする(1)項に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(9)農作物を栽培する農地に前記蛍光放射性ネット、前記蛍光放射性シート及び/又は前記光反射性資材を敷くことを特徴とする(5)項乃至(8)項のいずれか1に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(10)前記蛍光放射性シート及び前記蛍光放射性シートの、波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする(1)項乃至(9)項のいずれか1に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(11)前記蛍光放射性ネット及び前記蛍光放射性シートが、250〜650nmの波長域の光を吸収し、かつ450〜700nmの波長域の蛍光を放射するものであることを特徴とする(1)項乃至(10)項のいずれか1に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(12)前記蛍光放射性シートの光透過率が80〜95%であることを特徴とする(1)項乃至(11)項のいずれか1に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(13)前記光反射性シートの光反射率が95%以上であることを特徴とする(2)項乃至(12)項のいずれか1に記載の農作物栽培方法である。
また本発明は、(14)波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする蛍光放射性資材である。
また本発明は、(15)(14)項に記載の資材を素材としてなる袋状又は傘状の農業資材である。
また本発明は、(16)屋根部及び/又は壁部が(14)項に記載の資材で構成されたことを特徴とする農作物栽培用ハウスである。
本発明によれば、農作物の重量をより向上させ、あるいは成長を早め、品質にバラツキが少ない栽培効率の高い農作物栽培方法が提供される。また、本発明によれば、農作物の糖度などを高め、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ等の野菜や果物に含まれるリコピン等の成分の量をより増加させることのできる農作物栽培方法が提供される。
蛍光放射性資材を使用した従来の栽培方法を示す模式図である。 本発明の第一の実施態様を示す模式図であり、(a)は、蛍光放射性ネット様資材及び光反射性シートを組み合わせた例であり、(b)は、蛍光放射性ネット様資材及び蛍光放射性シートを組み合わせた例であり、(c)は、蛍光放射性ネット様資材並びに光反射性シート及び蛍光放射性シートを組み合わせた例である。 本発明の第二の実施態様を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
植物の光合成反応は、太陽光、CO、水の三要素によって行われることがよく知られている。ここで、太陽光は、幅広い波長帯域(約200〜4000nm)から成り立っているが、光合成反応に寄与する波長帯域は青色波長帯域(450〜550nm)と赤色波長帯域(550〜750nm)であると考えられている。
特に赤色波長帯域の光は、植物の発芽、葉、球根、根、果実の成長促進に寄与するものとされている。人工光を用いた植物の光合成反応の促進のために、赤色波長帯域の光を強く照射する光源を開発し、植物に照射することが行われている。事例として、最近の植物工場ビジネスでは多数個の赤色発光ダイオードを用いて赤色波長帯域の光を照射することにより植物の光合成反応を積極的に行わせている。このように光合成反応は太陽光スペクトルのある範囲の光を特に利用していることが理解できる。
一般に植物の光合成反応は、太陽光の照射によって行われており、さらに光合成反応を積極的に促すには、赤色波長帯域の成分を重畳させることによって実現できる。
なお、りんご、ぶどう等の果物あるいは野菜の実の表皮には、光合成に大きく貢献するほど葉緑素を含んでいないものと考えられるが、葉緑素以外の前記表皮等に含まれていると考えられる光受容体が成長に寄与していることが推察されるため、本発明においては、このような成長への寄与も含めたあらゆる農作物の成長を一括して、「光合成」と表現し説明する。
本発明の農作物栽培方法は、先述したように、自然光あるいは人工光と蛍光とをバランス良く農作物に照射すると共に、特に蛍光を農作物に一方向からではなく可能な限り複数方向からかつ多量に照射すると、光合成を活性化させるのに極めて有効であるとの検証結果に基づいたものである。
すなわち、本発明の農作物栽培方法は、農作物栽培用資材として、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シート(このネットとシートを必要に応じて以後「蛍光放射性資材」と総称し、また蛍光ネット、蛍光シートとも言う)のいずれかを単独で又は両者を組合わせて、あるいは光反射性資材と蛍光放射性ネット及び/又は蛍光放射性シートとを組合わせて用いた農作物栽培方法であって、自然光あるいは人工光(総称して単に「光」とも言う)を受けて前記蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートから放射される蛍光を農作物に複数方向から照射し、また照射後、ネットの空隙部を通過し、あるいはシートを透過した「光」が光合成に有効に活かされるように上記資材を設置することを特徴とするものである。
3種類の資材のうちの2種類を組み合わせて用いる場合には、これら2種の資材の間に農作物が位置するように設置することが好ましい。
また、蛍光ネットまたは蛍光シートは、農地に敷く資材として、また農作物を覆う資材として、同種あるいは異種のものを2枚以上重ねて使用することもできる。
さらに、本発明においては、蛍光放射性資材を単独で設置し使用することができるが、例えば、一枚の蛍光放射性資材を角度を付けて折って設置したり、あるいは、農作物を中にしてその周囲を囲むように設置したりすることで、複数方向から蛍光を農作物に放射するようにすることができる。
本発明の農作物栽培方法に使用する前記蛍光放射性ネットと前記蛍光放射性シートは、有害な紫外線を有用な可視光線に変換する機能を有するものであり、250〜650nmの波長域の光を吸収し、かつ450〜700nmの波長域の蛍光を放射するものが好ましく用いられる。
また、これらの前記蛍光放射性ネットと前記蛍光放射性シートは、有害な波長域280〜320nm(UV−B)の紫外線ばかりでなく、特に有害な波長域250〜280nm(UV−C)の紫外線をカットするものであり、波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であるものが好ましく用いられる。
本発明は、前記蛍光放射性ネット及び前記蛍光放射性シートが有するこのような特性を有効に活かした農作物栽培方法である。
これらの蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートの使用場所に制限はなく、例えば、屋外又は温室の他、照明付きインキュベータ(植物栽培容器)の内部等でも使用することが可能である。
ここで、温室とは、一般的な意味としては、植物の栽培を目的とし、骨組みした外側をガラスやプラスチック、またはビニールシートで覆ってある建物であるが、本発明においてはこれらのガラス、プラスチック、ビニールシートに換えて、蛍光放射性資材を使用することも可能である。
本発明の前記農作物栽培方法を具体的に説明する前に、先ず従来の栽培方法について、図1を参照しながら説明する。
図1は、従来の栽培方法として、農作物を蛍光放射性資材で覆うことのみ行い、別の蛍光放射性資材や光反射性資材を併用しない場合を示す模式図である。図1に記載された栽培方法では、光(自然光又は人工光)を吸収して蛍光を放射する蛍光放射性資材1aで農作物4を覆うことによって、入射した光(図1及び後述する図2では、説明のために「太陽光」と表示している。以下、同様である。)の一部を農作物4の光合成や果実の成熟に好ましい波長の蛍光(赤色光)に変換することができる。
その結果、蛍光放射性資材を通過又は透過した透過光と波長変換されて放射された蛍光との和である光が農作物4の光合成や成熟のために利用されることになる。しかし、これらの光のうち、有効利用されるのは農作物4の表面に照射された光のみであり、農作物4に照射されなかった未利用光(太陽光と蛍光)は、地面に照射されることになる。地面に照射された未利用光は、大部分が地面に吸収されてしまうので農作物4の光合成や成熟に活用することができず、ロスとなる。
本発明は、このようなロスを低減して、与えられた自然光や人工光及び波長変換されて放射される蛍光の利用効率を高めることを可能にした栽培方法である。
本発明の第一の実施態様を説明する。
該第一の実施態様は、農作物を栽培する農地に前記光反射性資材としての光反射性シートあるいは蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートを敷き、かつ該農作物を覆うように前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを設置する方法であるが、図2の模式図を参照しながら説明する。
図2(a)は、農作物を覆う資材として蛍光放射性ネット及び農地に敷く資材として光反射性シートを組み合わせた例であり、(b)は、農作物を覆う資材として蛍光放射性ネット及び農地に敷く資材として蛍光放射性シートを組み合わせた例であり、(c)は、農作物を覆う資材として蛍光放射性ネット並びに農地に敷く資材として光反射性シート及び蛍光放射性シートを組み合わせた例である。
図2の(a)に示される栽培方法においては、光反射性シート2を農作物4が栽培されている農地表面に設置すると共に、該光反射性シート2の上方に、農作物4が生育するための間隔・空間を設けて蛍光放射性ネット1を設置して行われる。
このような状態で、蛍光放射性ネット1に太陽光があたると、蛍光放射性ネット1から蛍光が放射されると共に、該太陽光の一部は蛍光放射性ネット1の空隙部を通過し、この通過した太陽光と、農作物を照射しないで通過した蛍光(いずれも未利用光)とを、光反射性シート2が受けて反射すると、反射された光(太陽光と蛍光)は、農作物4を照射する。
従って、農作物は、蛍光放射性ネット1から放射される蛍光と、光反射性シート2で反射される蛍光とが照射され、すなわち、2方向から蛍光を受けることになり、こうして蛍光と太陽光が有効に活かされて、農作物の光合成を活性化することができる。
なお、本発明における「農地」とは、農作物の苗が植えられている農地、農作物の種が蒔かれている農地、果物の実がなる木が植えられている農地等を含み、何らかの農作物が栽培されていれば農地に該当するものとする。
本発明に使用される蛍光放射性ネット1は、図2の(a)に示される場合に限らず、蛍光発光という形で自然光や人工光を構成する光の一部を、植物が光合成に利用可能な光に変換する。したがって、ネット1を通過した光は、植物の光合成にとって好ましいスペクトルバランスを有することになる。本発明で使用される光反射性シート2は、このように植物の光合成にとって好ましいスペクトルバランスを有する光を反射して、農作物4に光を再度供給するものである。
したがって、図2の(a)に示されるような、光反射性シートと蛍光放射性ネットを組合せた場合は、蛍光放射性ネット1を使用せずに光反射性シート又は蛍光放射性シートのみを用いて農地に敷いた場合、あるいは光反射性シートを農地に敷かずに、蛍光放射性ネット1又は蛍光放射性シートで農作物を覆った場合に比較して、格段に光合成の効率を高めることができる。
また、本発明に用いられる光反射性シート2は、農地の表面に設置されるので、農作物4の下方に位置することになる。このため、前述したように、光反射性シート2は、上記のように農作物4に照射されなかった未利用光を上方に反射して、その反射光を農作物4に照射させることができる。このため、農作物4に降り注いだ光の利用率を向上させることができるので、本発明は、農作物4の光合成を活発化させて、農作物4の収量の増加をもたらす。また、実をつける農作物4にあっては、実の重量を増大させ、糖度や栄養分を増加させることができる。
本発明における前記光反射性シートの2としては、光反射率が95%以上であるものが好ましく用いられ、また、上記のように蛍光及び/又は太陽光を反射する機能を発揮しさえすれば、特に限定されない。
一般的には、農地に敷く場合にはその表面状態に合うような、柔軟性・可撓性の比較的薄膜のものを好ましく用いられ、少なくとも熱可塑性樹脂を含む原料組成物を成形したもの、熱可塑性樹脂に白色顔料を分散混合したものや、熱可塑性樹脂の表面にアルミ蒸着を施したものが例示される。また、白色のマルチングシートのような入手容易性やコストの面で好ましく使用される。
しかしながら、本発明においては、光反射性資材として、光反射率が95%以上でありさえすれば、柔軟性・可撓性のシート状のものに限らず、剛性の板状ものも使用することができる。例えば、剛性の光反射性シートを農地に立てて蛍光放射性資材と組み合わせて使用することにより、農作物に蛍光を複数方向から照射させ、図2(a)の栽培方法と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明の第一の実施態様の他の例を説明する。
この例は、農作物を栽培する農地に蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートを敷き、かつ該農作物を覆うのに用いる資材としても、蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートを使用する。この実施態様は、前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートが光を受けて放射される蛍光と農作物を覆う蛍光放射性資材を透過する光とを、農作物に直接照射させると共に、透過する光が前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを照射し放射される蛍光を農作物に照射するようにした方法である。
先ず、農作物を覆う資材として蛍光放射性ネット1及び農地に敷く資材として蛍光放射性シートを組み合わせた具体例について、図2の(b)を参照しながら説明する。
蛍光放射性ネット1が光照射されると、該ネット1から蛍光が放射され、ネット1の空隙を通過した光と共に農作物を照射する。さらに該ネット1から放射され農作物を照射しない蛍光と、ネット1の空隙部を通過した太陽光とが蛍光放射性シート3に到達すると、蛍光放射性シート3が太陽光を波長変換して新たな蛍光を放射し、該蛍光が農作物4を照射する。
従って、農作物は、2方向からの蛍光と蛍光放射性ネット1の空隙部を通過した太陽光とを受けて、光合成を活性化させている。さらに、蛍光放射性ネット1から放射され、農作物を照射しない蛍光が、農地に敷かれた蛍光放射性シート3に到達した後に反射して農作物を照射することも可能性として考えられる。
本発明で使用可能な蛍光放射性シート3は、詳しくは後述するが、所定量の蛍光色素を含有する熱可塑性樹脂をシート状に成形したものであるので、自然光や人工光が照射されると光合成に適した波長域の蛍光を放射することができる。このため、農地の表面に蛍光放射性シート3を設置すると、農作物4の上方に位置するネット1の空隙部を通過し波長変換されていない透過光が未利用光として農地の表面まで到達した場合に、そのような未利用光を農地の表面に存在する蛍光放射性シート3が吸収し、吸収された未利用光は、再度蛍光として上方に放射され、農作物4に照射される。したがって、農作物4に降り注いだ光の利用率を向上させることができるので、農作物4の光合成が活発化され農作物4の収量の増加がもたらされる。なお、蛍光放射性シート3として、既に述べた蛍光放射性ネットを使用してもよい。
次に、本発明の第一の実施態様の更なる他の例を説明する。
この例は、図2の(c)に示すように、光反射性シート2の上に蛍光放射性シート3を敷いたものである。この場合、図2の(a)で既に述べた光反射性シート2による光の有効活用効果と、図2の(b)で既に述べた蛍光放射性シート3による光の有効活用効果を併せて享受することができる。また、蛍光放射性シート3として、既に述べた蛍光放射性ネットを使用してもよい。
なお、図示していないが、上記図2の(a)(b)及び(c)は、農作物を覆う資材として蛍光放射性ネットを設置する例であるが、蛍光放射性ネットを蛍光放射性シートに換えて設置しも、同様な効果を得ることができる。
すなわち、蛍光放射性シートには蛍光放射性ネットのような空隙部はないが、後述するように、光透過率が80〜95%程度であるため、照射された光が全て蛍光に変換されるわけではなく、照射された光の一部が透過して、蛍光放射性ネットを用いた場合と同様に、農作物を直接照射しかつ農地に敷かれた資材に到達して、光合成の促進に有効に機能する。
蛍光放射性ネットあるいは蛍光放射性シートが農作物を覆うように設置する方法としては、農作物の上部を覆うようにネットを農作物に直接掛ける方法、農作物を覆うように設置されたドーム型支持体にネットを支持させる方法等が例示されるが、特に限定されない。なお、ドーム型支持体にネットを支持させるには、農作物が植えられている畝を跨ぐようなアーチ状の支持体を離間して複数設置し、それらの支持体にネットを被せる態様が例示される。このような態様では、畝の全体がトンネル状のネットに覆われた状態となる。この場合、ネットで形成されたトンネル内の農作物に均等に光が当たるように、トンネルの長手方向が南北方向と一致することが好ましい。このためには、ドーム型支持体の長手方向が南北方向と一致するように設置されることが好ましい。
また、蛍光放射性ネットあるいは蛍光放射性シートは、一枚のみで使用されてもよいし、複数枚を重ねて使用されてもよい。
また、農作物が栽培される農地の表面に保湿及び/又は保温用シートを敷き、当該保湿及び/又は保温用シートの上に蛍光放射性シート3を敷いてもよい。
次に、本発明の農作物栽培方法の第二の実施態様について説明する。
第二の実施態様は、蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートを素材とする円筒状又は袋状の資材(袋状資材と総称する)を用い、該袋状資材を生育途上の実あるいは果物に被せて、実あるいは果物が周囲から蛍光を受けるようにした栽培方法であり、さらに、前記蛍光放射性シートを素材としてなる傘状資材を用い、前記袋状資材を被せた実あるいは果物の上方に前記傘状資材を取付けて行う栽培方法である。
図3は、本発明の第二の実施態様を示す模式図であり、蛍光放射性ネットを素材とする袋状資材1’を被せた農作物4’の実の上方に蛍光放射性シートを素材としてなる傘状資材3’が設置される。
図3に示されるように、野菜、又は果物の実に蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートからなる袋状資材1’を被せると、野菜、又は果物の実4’(図3では、一例として葡萄が記載されている。)の熟成に寄与する波長に変換された蛍光と太陽光とが、バランス良く、野菜又は果物の実の周囲から照射される。
トマト、スイカ、キュウリ等の野菜の実や、リンゴ、桃、杏、葡萄、梨等の果物の実は、赤色帯の光が照射されると結実が向上し、実の重量、実の糖度、実に含まれる栄養分等を増加させることができると一般に言われており、本発明の栽培方法は、このような目的に対しても有効である。特に、例えば、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツのような赤色系の野菜や果物の栽培においてこのような袋状資材を使用することにより、これらの野菜や果物に含まれる抗酸化成分のリコピンを増加させることができるので、これらの野菜や果物の付加価値を高めることができる。
また、蛍光放射性シートを素材としてなる傘状資材3’は、袋状資材1’を被せた野菜又は果物の実4’の上方に設置されるか、袋状資材1’と別個に実4’等に取り付けられることにより、袋状資材1’及び傘状資材3’によって得られる光合成促進効果と合わせて、果物等に対する“日焼け防止効果”も期待される。
この傘状資材3’及び/又は袋状資材1’を用いる農作物栽培方法において、例えば、その農作物が樹木に付く実の場合には、その樹木が植わる農地表面に、第一の実施態様と同様な効果を得るために、光反射性シートあるいは蛍光放射性資材を敷くこともできる。
さらに、本発明の農作物栽培方法の第三の実施態様について説明する。
第三の実施態様は、蛍光放射性ネット及び/又は蛍光放射性シートを用いたハウス栽培である。
その一具体例として、蛍光放射性ネット及び/又は蛍光放射性シートを外壁材料として屋根部や壁面に設置したハウスを用いる方法が挙げられる。
本実施形態におけるハウスの躯体としては、亜鉛メッキが施されたパイプなどが例示されるが、特に限定されない。また、ハウスの構造、大きさ、形状などについても、特に限定されず、従来のビニールハウスに使用されているものを使用できる。
本発明のハウスの屋根部や壁面を構成する外壁材料として、蛍光放射性ネットと蛍光放射性シートのいずれを使用するかについては、環境、農作物の種類等に応じて、適宜選択することができる。
例えば、屋根部の材料として、雨雪を避けるためには空隙のない蛍光シートが適当であるが、空隙率の低い蛍光ネットを選択することもできる。このような例としては、ハウス内の通気性を考慮して蛍光ネットを使用する場合が挙げられる。
このようなハウス内に設けた農地には、蛍光放射性資材から放射される蛍光が屋根部や壁面の多方向から照射され、かつ太陽光もバランス良く照射されるため、光合成が活性化されて、所期の農産物を栽培することができる。
ハウス内の農地表面には、第一の実施態様と同様な効果を得るために、光反射性シートあるいは蛍光放射性資材を敷くこともできる。
第三の実施態様である、ハウスを用いた栽培に関する他の具体例を説明する。
この具体例は、従来のビニールハウスを使用し、その中で栽培される農作物あるいは農地を覆うように、蛍光放射性資材を設置して行なう栽培方法である。
この栽培方法は、前記第一の実施態様に類似するが、ハウス内に入る太陽光は、外壁のビニールを透過したものであるため、そうでない場合に較べて光量が低くなり、それに伴って、太陽光の照射によって蛍光放射性資材から放射されて農作物に到達する蛍光や、蛍光放射性資材を透過して農作物に到達する太陽光の量も総じて弱くなる。
従って、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートを選択するにも、この点を考慮し、さらに、蛍光放射性資材から放射される蛍光を最大限に有効に活かして、農作物に可能な限り多方向から蛍光が照射されるように、蛍光放射性資材を設置することが必要である。
例えば、大面積の蛍光放射性資材を折った上で農作物に向けて設置したり、複数枚の蛍光放射性資材を農作物に向けて設置したりするように、蛍光放射性資材に角度を付けて設置することが好ましい。
他の具体例として、農産物に太陽光が多量に照射するように、空隙率が比較的高い蛍光ネットを選択した上で、大面積の該蛍光ネットをハウスの天井から吊すように固定して、その固定部が頂点とするほぼ二等辺三角形を形造るようにネットの両端部を固定して、農地を覆うように取り付けると、二等辺三角形の2つの斜辺部のネットから、すなわち2方向から放射される蛍光が農産物を照射することができる。
次に、本発明で使用される蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートについて説明する。本発明に用いる蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートとしては、太陽光等の光が照射されると、特に有害な紫外線や青色光領域の光を吸収して有用な可視光線に変換する機能を有するもの、すなわち植物の光合成反応に特に利用される帯域の光を蛍光として放射するものが必要であり、このために、250〜650nmの波長域の光を吸収して、波長域450〜700nmの蛍光を発するものが好ましい。蛍光発光波長域がこの範囲内であれば、十分な光合成促進効果を得ることができる。
特に、本発明に用いる前記蛍光放射性ネットと前記蛍光放射性シートは、有害な紫外線の波長域280〜320nm(UV−B)ばかりでなく、特に有害な波長域250〜280nm(UV−C)の紫外線をカットするものであり、波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であるものが好ましく用いられる。
本発明の農作物栽培方法によって、特にトマト等の赤色系の野菜や果物に含まれるリコピン量が増加する要因は、このUV−Cが減衰されることによるものと推察される。
このように、本発明の蛍光放射性資材は紫外線遮蔽効果を有するものである。近年、オゾン層の破壊に伴い地表に降り注ぐ紫外線の量の増加が懸念されている。紫外線は、細胞内の染色体に悪影響を与えるとされており、これは植物においても例外ではない。紫外線によって染色体に悪影響を受けた細胞は破壊され、そのような影響を受けた農作物は成長が阻害されるので、農作物の成長を促進させるためには紫外線対策も必要である。
本発明者らは、本発明で用いる蛍光放射性資材が持つ上記紫外線減衰の効果を検証するために、前記蛍光シートを使って、(1)一方は昼光蛍光灯を使い、(2)他方は該昼光蛍光灯とブラックライトを組み合わせて使って、廿日大根の成長を観察したところ、(1)のケースは、(2)の紫外線を含むブラックライトを用いたケースに対して、総重量と糖度共に高い結果を示し、紫外線を含まない光が農作物の成長に有効であり、本発明の有用性が確認できた。これについては、後述の参考例1で具体的に説明する。
また、本発明者らは、(1)従来のビニールハウスと、(2)本発明に用いる蛍光シートで屋根部と壁面の全てを構成するハウスを用いて、ハウス内の温度を測定したところ、外気温度が約30℃、太陽の日射強度が約800W/mの場合、(1)の場合には約35℃になったのに対して、(2)の場合には約27℃であった。
これは、本発明に用いる蛍光シートが短波長領域の光を減衰するために、ハウス内に取り込むエネルギーを大幅に減少させていることが考えられ、約30〜40%のエネルギーが減少されるものと推察される。
さらに、本発明に用いる前記蛍光放射性資材は、光が照射されると、表面から光合成に有効な450〜700nmの蛍光ばかりでなく、実際にはさらに長波長の遠赤外線も発する。このことから、本発明に用いる蛍光放射性資材は、遠赤外線に対する内側表面の反射率が高く、逆に遠赤外線を外部に放射する放射率は小さいものと考えられる。従って、特に蛍光シートで構成されるハウスの場合には、この特性によって、従来のビニールハウスに較べて、高い保温性を有するものと推察される。
また、農作物を食害する害虫の視覚は、一般に赤色領域に強い感度を有するので、上記のような波長域の蛍光を発することにより、害虫の視覚に強い刺激を与えることができる。このため、害虫は、このような刺激を忌避するような行動をとるようになり、防虫効果を発揮することができる。さらに、植物の細胞にダメージを与える紫外線領域の光が吸収(カット)されるので、農作物の成長に好ましい影響を与えることができる。
さらに、本発明者等の検証によれば、この蛍光放射性資材は、土壌の殺菌効果を有し、例えば、パセリのうどんこ病の駆除の効果があることを確認した。
本発明は、蛍光と太陽光とを使って光合成を促進する方法であり、そのために上記蛍光放射性資材は、照射された太陽光の全部を蛍光に変換させるのではなく、蛍光ネットの場合には太陽光の一部は空隙部を通過させ、蛍光シートの場合には太陽光の一部を透過させる必要がある。従って、蛍光シートの場合には、80〜95%程度の透過率であることが好ましい。
本発明で使用される蛍光放射性資材は、それらを構成する素材の内部で発生した蛍光を効率良く外部に放出させるために、表面が光学的に平滑ではなく微細な凹凸状態を有する粗表面を形成していることが好ましい。表面がこのような粗表面であることにより、素材の内部で発生した蛍光が粗表面で乱反射し、その乱反射によって素材の外部に放射される蛍光の光量が増加するので、本発明の目的とする効果を一層高めることができる。
本発明で使用される蛍光放射性資材は、後述するように、薄い又は細い素材であるので元から表面には微細な凹凸が存在するものであるが、蛍光をさらに効率良く外部に取り出すために、意図的にこれらを構成する素材の表面に凹凸を設けてもよい。
本発明で使用される蛍光放射性資材は、自然光や人工光を吸収して、波長変換された蛍光を上面(表面)及び下面(裏面)から放射して光合成促進効果をもたらすものである。ここで、蛍光放射性ネットのような織編布を使用した場合、織編布は横糸と縦糸とを隙間(空隙部という)を空けて編まれているため、照射された光を全て蛍光に変換するわけではない。そのため、この空隙部から光合成に必要な光を通過させ、また、この空隙部が通気性を確保して、過剰な湿気を放出するなど、農作物の生育に寄与する。
本発明における蛍光ネットの空隙率について説明する。
空隙率とは、ネット全体の面積に占める空隙部の面積の割合をいう。
空隙率を小さくして、すなわちネットの網目を狭めてネット素材量を多くすれば、放射される蛍光量が多くなる反面、ネットを透過する自然光あるいは人工光の量が少なくなることになるため、空隙率は、農作物の栽培地、環境、種類に応じて適宜選定することが好ましい。
例えば、蛍光ネットで直接農作物を覆ってあるいはドーム状の支持体で支持して農作物を覆って栽培するような場合には、空隙率を70〜90%に設計することが好ましい。その一方で、先述のハウス栽培のように大規模に蛍光ネットを使用する場合には、風雪、通気性等を考慮して、空隙率を30〜50%としても良い。
本発明で使用される蛍光放射性資材は、必要に応じて複数枚重ねて使用することができる。蛍光ネットの場合には、ネットの空隙率を調整することができるので、農作物に合わせて、ネットを透過する光と波長変換された蛍光とのバランスを調整することができる。
本発明で使用される蛍光放射性ネットは、少なくとも熱可塑性樹脂と蛍光色素とから構成される組成物を原材料として作製され、例えば、このような組成物を成形することによって得られるフィルムを裁断及び加工して得られるフラットヤーン、モノフィラメント、複合モノフィラメント等を素材として作製された織編布が挙げられる。このような織編布としては、特に限定されないが、ネット(網)を例示することができる。
本発明に使用される蛍光放射性ネットを作製するための上記素材のうち、フラットヤーンについては、厚みが5〜150μm程度であることが好ましく、10〜100μm程度であることがより好ましい。また、モノフィラメントについては、繊維径が140〜1000μmであることが好ましく、220〜700μm程度であることがより好ましい。なお、フラットヤーンの素材として用いるフィルムの厚みは、0.2〜0.7mm程度であることが好ましく、0.1〜0.5mm程度であることがより好ましい。
一方、蛍光放射性シートは、蛍光放射性ネットと同様に、少なくとも熱可塑性樹脂と蛍光色素とから構成される組成物を原材料として、例えば成形することによって得られる。成形法としては、特に限定されないが、押し出し成形、射出成形、圧縮成形等を使用することができ、特に押し出し成形が好ましく使用される。シートの厚みとしては、0.2〜0.7mm程度が例示されるがこれに限定されるものではなく、必要とされる強度やコスト等といった要素を考慮して適宜決定すればよい。
蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートに使用される蛍光色素は、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートに太陽光等の光が照射されることによって発生する放射光(蛍光)が光合成促進効果を呈しさえすれば特に限定されない。
したがって、放射光として黄色系、オレンジ系及び赤色系のいずれもが所望される場合には、光吸収波長領域が好ましくは400〜600nm、より好ましくは470〜600nmに存在し、かつ太陽光等の光を照射したときに発生する放射光の波長領域が450〜700nmに存在するような蛍光色素が光合成促進効果を得るのに好ましく使用される。また、そのような蛍光色素を使用することにより、上記の様々な効果を得ることもできる。
また、放射光として赤色系が所望される場合には、光吸収波長領域が好ましくは250〜650nmに存在し、かつ太陽光等の光を照射したときに発生する放射光の波長領域が450〜700nmに存在するような蛍光色素が好ましく使用される。
上記蛍光色素には、蛍光染料や蛍光顔料が包含される。蛍光色素としては、非イオン性の蛍光色素、例えば、ビオラントロン系色素、ビラントロン系色素、フラバントロン系色素、ペリレン系色素及びピレン系色素等の多環系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、ナフタルイミド色素、ナフトラクタム色素、アントラキノン色素、ベンゾアントロン色素、クマリン色素等が挙げられ、これらの中から、上記の吸収波長域を有し、かつ上記の波長域の光を放射する蛍光色素を適宜選択使用することができるが、中でも、ペリレン系色素あるいはナフタルイミド系色素が好ましく、特にペリレン系色素が好ましく用いることができる。
上記ペリレン系色素としては、例えば、ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製の商品名Lumogen FシリーズのYellow 083、Orange 240、Red 305等が挙げられる。
また、ナフタルイミド系色素としては、例えば、ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製の商品名Lumogen FシリーズのViolet 570、Blue 650等が挙げられる。
これらの蛍光色素は、例えば、グリコール類、芳香族炭化水素、塩素系炭化水素、エステル類、ケトン類若しくはアミド類等のような有機溶剤又は水に溶解して使用される。
本発明で使用される蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートに含まれる上記蛍光色素の濃度は、これらの蛍光放射性ネットや蛍光放射性シートを構成する熱可塑性樹脂に対して、0.001〜0.03質量%であることが好ましく、0.015〜0.02質量%であることがより好ましい。
蛍光色素の含有量が不十分な場合には、太陽光等の光の吸収量が少なくなるのに伴って放射(蛍光)光量が少なくなるので好ましくない。また、蛍光色素の含有量が過剰である場合には、太陽光等の光の吸収量が増大する反面、濃度消光によって放射(蛍光)光量が少なくなるので好ましくない。
なお、本発明で使用される蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートには、一種類の蛍光色素を含有させることが好ましい。複数の蛍光色素を含有させた場合には、相互に吸収光を分割し蛍光量が減じる傾向にあるため好ましくない。そのため、複数の蛍光色素を含有させる必要がある場合には、複数の蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートを使用し、それぞれに異種の蛍光色素を含有させればよい。
本発明者らは、発明を創出する過程において、上記蛍光放射性ネットや蛍光放射性シートを繰り返し使用していくと蛍光色素がこれらから徐々に溶出して、放射(蛍光)強度が減少し、短期間のうちに所期の効果が消失してしまう現象を確認した。このような現象が起こる原因は、熱可塑性樹脂と蛍光色素との相溶性、あるいは蛍光色素の分散性が不足するためと推測されるため、熱可塑性樹脂と蛍光色素との組合せとして相溶性の良いものを選択することが好ましい。
本発明に用いる蛍光放射性資材は、光合成促進効果や防虫効果を長期間発揮可能なものであるためには、風雨、気温変化などに対する長期間安定なものであることが必要であり、そのために、熱可塑性樹脂と蛍光色素との分散性及び相溶性が良く、成形体からの蛍光色素の離出のないことが望ましい。
従って、熱可塑性樹脂として、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等が挙げられるが、上記の観点からは、上記の熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン系樹脂が好ましく使用され、ポリエステルが特に好ましく使用される。
一般的なビニールハウスの外壁材料には、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などが使用されるが、本発明のような蛍光色素が含有する蛍光放射性シートあるいは蛍光ネットの場合には、上記のように、熱可塑性樹脂と蛍光色素との分散性及び相溶性を検討した上で、適宜選択使用することができる。
ポリエステルについては、ポリエステルを構成する酸成分とグリコール成分とを上記目的のために適宜選択して合成したものを使用することが望ましい。
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等のグリコール成分とを縮合重合させて得られる重合体や、その酸成分及び/又はグリコール成分の一部を共重合成分で置き換えた共重合体が例示される。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい材料として例示される。
また、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/11、ナイロン6/12等が例示される。
さらに、ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が例示される。
前記熱可塑性樹脂は、生分解性の樹脂であってもよい。
本発明で使用される蛍光放射性資材には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、退色防止剤及び/又は耐光性添加剤を含有させることができる。また、酸化防止剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合することができる。
次に、本発明で使用される蛍光放射性資材を使用した場合の波長変換特性について説明する。植物の生育に関する照射光の強さの指標としてはPPFD(光合成有効光量子束密度)値が使用される。PPFD値は、入射光の赤色波長帯域(580〜780nm)、及び青色波長帯域(380〜580nm)のそれぞれの光について単位時間単位面積に入射する光量子数をアボガドロ数で除し、それぞれの波長帯域で積分した値で定義される。
すなわち、Eλを波長λにおける単位時間当たりのエネルギー、hをプランク定数、νλを波長λにおける振動数、及びNをアボガドロ数とすると、青色帯のPPFD値(IλB)は、
Figure 0005375510
で表され、赤色帯のPPFD値(IλR)は、
Figure 0005375510
で表される。
本発明者らは、式 R/B=IλR/IλB で定義されるR/B比に注目し、光合成を促進し、かつ防虫効果をもたらすのに有効な蛍光放射性ネット様資材及び蛍光放射性シートの条件として、照射光自体(蛍光放射性ネット様資材や蛍光放射性シートを用いずに、農作物に直接照射される光)のR/B値(X)に対する蛍光放射性ネット様資材や蛍光放射性シートを通過した光のR/B値(Y)の比(R/B相対値と言う)が、1.1〜1.5であることが好ましいことを確認した。
R/B相対値が小さ過ぎると、赤色帯のPPFD値が小さくなり過ぎて十分な光合成の促進効果が得られなくなる。蛍光放射性ネット様資材を重ねて用いる場合も同様であり、重ねたネットを通過した光のR/B値(Y)を使用してR/B相対値を算出すればよい。既に述べたように、蛍光放射性ネットは、必要に応じて複数枚重ねて使用することができ、枚数が多くなるほど赤色帯のPPFD値を高くすることができるが、同時に照射光が強く遮蔽される状態となるため、R/B相対値が大きすぎても、所期の効果が得られないことになる。
また、R/B値についていえば、農作物を育成するのに用いる照射光が太陽光のような自然光の場合には、蛍光放射性ネットを通過した光(蛍光により波長変換を受けた光)のR/B値は0.90〜1.25程度が好ましく、また、蛍光灯のような人工光の場合には蛍光放射性ネットを通過した光のR/B値は1.00〜1.40程度が好ましいことを確認した。蛍光放射性ネットを重ねて用いる場合には、その重ねたネットを通過した光のR/B値が上記範囲であることが好ましい。
なお、自然光(太陽光)の強さ(日射強度という)が1m当たり1kWのときを基準日射強度といい、太陽光のスペクトル分布の基準とされる。このときの自然光自体のR/B値は、0.8(±5%)であり、蛍光灯のような人工光のR/B値は、0.94である。太陽光のような自然光の場合、日によって強さに変化があるため、±5%はその変化程度を意味する。
本発明では、このような特性を持つ蛍光放射性資材を用いることによって、これらを用いない場合に比べて、農作物の収穫量を1.2〜2.0倍以上増加させることができる。
なお、蛍光放射性資材を用いると、当然のことながら農作物に到達する自然光あるいは人工光の照射光量が最大20%程度減少するが、本発明者らの実験結果によれば、この程度照射光が減少(減光)しても、収穫量が大きく減ることがないことが確認された。
本発明に使用される蛍光放射性ネット資材は、防虫(害虫駆除)効果を付随的に有するものである。
(1)赤色の蛍光色素を使用した場合
本発明者らは、赤色の蛍光色素を含む蛍光放射性ネット様資材や蛍光放射性シートを用いた場合には、赤色の普通色素(非蛍光色素)を含むネット様資材やシートを使用した場合に比べて、ヒトの目に与える刺激(明るい場所での刺激でヒトの明所視の特性)は、約3.0倍になることを確認した。
従って、害虫が感じる波長範囲の蛍光を放射する蛍光色素を選択して蛍光放射性ネット様資材や蛍光放射性シートに使用すれば、害虫にとって刺激が強くなるので、害虫が野菜や果実に寄ってくることを防止することができる。
(2)黄色、橙色の蛍光色素を使用した場合
黄色、橙色の蛍光染料を使用した蛍光放射性ネット様資材や蛍光放射性シートを使用した場合も同様で、ヒトの目に与える刺激(明るい場所での刺激でヒトの明所視の特性)は、約3.2倍になることが本発明者らによって確認されている。
このような防虫(害虫駆除)効果を効果的に発揮させる蛍光放射性ネットの例として、縦糸横糸の素材の一方に、光合成促進効果に寄与する波長域の蛍光を発生させる蛍光色素を、他方の素材に、防虫効果に寄与する波長域(約450〜600nm)の蛍光を発生させる蛍光色素を含有させることができ、光合成促進効果に寄与する蛍光色素を、農作物の種類に応じて選択使用することができる。
次に、本発明の蛍光放射性ネットのうち、蛍光放射性の織編布、特に蛍光放射性のネットについて詳述する。
蛍光放射性のネットを製造するのに用いられる原料糸としては、各種成形機によって作製されたフィルムをスリットした後、延伸して得られるフラットヤーン、フラットヤーンを割繊したスプリットヤーン、円形又は異形ノズルから押し出したフィラメントを延伸したモノフィラメント若しくは低繊度フィラメントを集束したマルチフィラメント等の単層型、多層型、芯鞘型、並列型等の複合糸条等、制限なく使用できる。
また、上記フィルムをスリットして得られた長尺フィルムから、直径約0.3〜0.5mmの縒り糸を作り、この縒り糸を3〜5本束ねて、蛍光放射性のネットを製造するための素材とすることもできる。
フラットヤーンを作製するために用いられるフィルムは、熱可塑性樹脂に所定割合の蛍光色素を予めヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合して得られた混合物を押出機に供給して混練し、又は所定割合の熱可塑性樹脂と蛍光色素とをそれぞれ直接押出機に供給して混練した後、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法等のような公知の方法を使用して作製することができる。他に、ベースとなる熱可塑性樹脂と同種又は同系の樹脂に予め高濃度の蛍光色素を含有させたマスターバッチを作製し、フィルム成形時に蛍光色素が所定の含有量になるように調整してフィルム成形を行う、いわゆるマスターバッチ法を採用してもよい。
押出成形法によって得られたフィルムを用いる場合を例にとって説明すると、フラットヤーンは、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル又はナイロン等のような上記熱可塑性樹脂と、蛍光色素とからなる混練物を押出機に投入して、Tダイ法又はインフレーション法により無定形状態で押出した後冷却固化し、得られたフィルムを約2〜50mm、好ましくは約5〜30mm幅にスリットした後延伸し、次いで熱処理して作製される。この際の延伸処理は、高融点の熱可塑性樹脂の融点以下又は低融点の熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度にて行われるが、加熱法としては、熱ロール式、熱板式、熱風式等いずれの方法を採用してもよい。
スリットされた熱可塑性フィルムは、加熱され、前後ロールの間で周速度差を有するロールにより延伸されることにより、延伸糸とされる。延伸倍率は、3〜15倍の範囲が好ましく、4〜12倍の範囲がより好ましく、5〜10倍の範囲が最も好ましい。延伸倍率が3倍以上であればフラットヤーンの十分な強度が得られる。また、延伸倍率が15倍以下であれば延伸方向の配向が強すぎることによるフラットヤーンの割れを防止することができる。また、延伸糸の単糸繊度は、通常200〜10000デシテクス(以下、dtと略す)、好ましくは500〜5000dtの範囲内である。
こうして得られた熱可塑性樹脂製の延伸糸を経緯糸として用いて織成してネット状の織編布を作製する。
なお、本発明で使用される蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートには、例えば、熱可塑性樹脂を含むフィルム若しくはその長尺フィルム、フラットヤーン、モノフィラメント及び/又は複合モノフィラメント等の素材の表面に蛍光色素を付着させたものから作製されるものも含まれる。この場合、素材の表面に蛍光色素を付着させること以外の材料・製法等の条件については、熱可塑性樹脂と蛍光色素とを主成分とする組成物から作製する蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートと同様であり、省略する。ここで「素材表面への蛍光色素の付着」とは、素材の表面に蛍光色素の塗布液を塗布して蛍光色素からなる膜が形成された場合や、染料タイプの蛍光色素を用いて染色する場合のように、表面処理によって蛍光色素が付着された状態を意味する。
しかしながら、前述のような、色素を樹脂に混練して作製したものの方が「付着したもの」より耐久性の面で好ましい。
次に、本発明で使用される蛍光放射性ネットのうち、特に、織編布を作製する際の好ましい条件について説明する。
織編布の作製には、縦糸用と横糸用の少なくとも2種類の材料が使用される。このような材料としては、例えば、長尺フィルム、フラットヤーン、モノフィラメント等、及びそれらの二次加工体の中から選択されるが、2種類の材料は同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。したがって、本発明で使用される織編布には、縦糸と横糸に異種の材料を使用して織られたものが含まれる。
また、縦糸と横糸に用いる2種類の素材がそれぞれ同じ発光波長範囲を有する蛍光色素を含有してもよいし、異なる発光波長範囲を有する蛍光色素を含有してもよい。異なる発光波長範囲を有する蛍光色素としては、置換基が異なるのみで同じ色素骨格を有する同系統の蛍光色素や、異なる色素骨格を有する異系統の蛍光色素が例示される。
また、縦糸と横糸を構成するそれぞれの素材の一方にのみ蛍光色素を含有させ、他方に蛍光色素を含有させないこともできる。このような手法は、太陽光等の光の透過率を調整するのに好ましく利用される。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
<蛍光放射性ネットA及びBの作製>
(1)蛍光放射性ネットの素材フィルムの作製
熱可塑性樹脂として、グリコール成分としてエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=60/40(質量比)と、酸性分としてテレフタル酸とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂(SK Chemicals社製、商品名:PET−G、銘柄:S2008)を用意した。このポリエステル樹脂に、蛍光色素としてペリレン系色素(ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製、商品名:Lumogen F Red300)をポリエステル樹脂に対して0.02質量%配合し、ヘンシェルミキサーで混練して樹脂組成物を作製した。次いで、65mmφ押出機を用いて、Tダイ法(溶融温度260℃)により得られた樹脂組成物をフィルム状に成形し、30℃にて冷却固化して厚さ60μmのフィルムを作製した。なお、使用したペリレン系蛍光色素は、約520〜約590nmの波長領域の光を吸収し(最大吸収波長は578nm)、約600〜約680nmの波長領域の蛍光を発するものである(最大蛍光波長は613nm)。
(2)蛍光放射性ネットの作製
上記(1)のフィルムをスリットして得られた長尺フィルムから、直径約0.4mmの縒り糸を作製し、この縒り糸を3本束ねたものをネット作製用の素材とした。次に、この素材を縦糸と横糸として用いて、ラッセル編機により、網目が1.5cm×1.5cm(空隙率約83%)である蛍光放射性ネットAと、網目が0.5cm×0.5cmの蛍光放射性ネットB(空隙率約40%)を作製した。
<蛍光放射性ネットCの作製>
蛍光色素としてペリレン系色素(ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製、商品名:Lumogen F Red305)を用いる以外、上記(1)と同様にしてフィルムを作製した。作製したフィルムを巾5mmにスリットした後延伸し、繊度が600dtのフラットヤーン(蛍光色素含有)を得た。
一方、高密度ポリエチレン(MFR=0.7g/10分、密度=0.957g/cm、Tm=129℃)をモノフィラメント成形ダイスにより溶融押出し、次いで20℃で冷却固化した後に延伸処理して繊度700dtのモノフィラメント(蛍光色素不含)を得た。
得られた上記モノフィラメントを鎖編糸とし、得られた上記フラットヤーンを挿入糸として、ラッセル編機を使用して、網目が2.0×2.0cm、面積が1.5mのラッセル網の蛍光放射性ネットCを作製した。
<蛍光放射性シートSの作製>
ポリエステル樹脂として東洋紡社製のバイロンSI−173を用い、これに蛍光色素として上記蛍光放射性ネットA、Bの作製に用いたペリレン系色素を0.02質量%配合した後、インフレーション成形法によってフィルム化し、蛍光放射性シートSを作製した。この蛍光放射性シートSの光透過率は約85%であった。
<蛍光放射性ネットAの紫外線遮蔽効果>
上記製法で作製した蛍光放射性ネットAの紫外線遮蔽効果を測定するために、キセノンランプを光源として、1枚のネットAを透過する前後のUV−B及びUV−Cの積算光量を測定し、ネットAによるUV−B及びUV−Cのカット率(減衰率%)を算出した。
使用ネット : ネットA
光源 : キセノンランプ 10秒100発
積算光量測定装置 : EIT社製 PowerPuck
上記測定の結果、ネットAを通過した後のキセノンランプに含まれるUV−B及びUV−Cの強度は、ネットAを通過する前に比べて、それぞれ6.7%及び18.5%減衰することが分かった。このことから、本発明で使用される蛍光放射性ネットは、有害な紫外線であるUV−B及びUV−Cを遮蔽し、紫外線による農作物の成長阻害を防止できることが確認された。なお、ネットAを二重にした場合のUV−B及びUV−Cのカット率は、それぞれ13.5%及び29.7%だった。
<実施例1〜2、比較例1〜2>
(蛍光放射性ネットと光反射性シートとの組合わせによる、廿日大根の露地栽培試験)
長野県茅野市宮川西山地区の農地に、東西方向約120cm、南北方向約90cmの畝を140cmあるいは200cmの間隔を設けて4つ(以下、畝A、畝B、畝C、畝Dという。)準備して、廿日大根の露地栽培試験を行った。栽培期間は、平成20年5月28日〜平成20年6月21日の25日間で、その間の平均気温は18.0℃、平均日照時間は5.9時間、入射光の積算値は114.3kWh/mだった。
栽培試験は、約3cm×約3cmの大きさの穴を約18cmの間隔で24箇所開けて行った。また、光反射性シートとして、24株栽培可能な白マルチングシート(以下、「白マルチ」ともいう。)を畝A、畝B及び畝Dに1枚ずつ敷いた。その後、白マルチを敷いた畝A、畝B及び畝Dの24箇所の穴に、廿日大根の種(サカタのタネ社製、アブラナ科ダイコン属)を蒔いた。白マルチを敷いていない畝Cについても、同様に24箇所の穴を開けて種を蒔いた。
次に、約2m×2mの大きさの、蛍光放射性ネットA(網目:約1.5cm×1.5cm、空隙率:約83%)を用意し、3つの畝A、畝B、畝Cについて、東西方向の両端部と中央部に計3本の半円弧型アルミ製支持体を固定した後、畝Aと畝Cにはそれぞれ1枚の蛍光放射性ネットAで覆い、また畝Bには3枚の蛍光放射性ネットAを重ねて覆い、高さ約1.5mのドーム型とした。
その後、各畝から収穫された廿日大根の実の重量を計量し、重量の大きい上位6個について、平均値を算出した。結果を表1に示す。なお、表1において、「○」は、その資材が使用されていることを示し、「×」は、その資材が使用されていないことを示す。
Figure 0005375510
表1に示すように、蛍光放射性ネットと白マルチを使用して栽培した廿日大根では、蛍光放射性ネットのみおよび白マルチのみを使用して栽培した廿日大根に比べて実の平均重量がそれぞれ24%および30%増加していることがわかる。これは、廿日大根の栽培農業において画期的な結果である。
<実施例3〜6、比較例3〜6>
(廿日大根の栽培試験)
長野県茅野市にある諏訪東京理科大学キャンパス内で平成21年6月3日〜6月30日の28日間に廿日大根の栽培試験を行った。その間の平均外気温度は23.0℃、平均日照時間は6.1時間、入射光の積算値は105Wh/mであった。
栽培試験は、幅約50cm、長さ約120cm、高さ約50cmのプランターを8つ準備し(プランターA、B、C、D、E、F、G、Hという。)、また、農業資材として蛍光放射性ネットB(網目:約0.5cm×0.5cm、空隙率:約40%。蛍光ネットBともいう。)、蛍光放射性シートS(蛍光シートSともいう。)および実施例1で用いたものと同じ光反射性シート(白マルチともいう。)を用いた。
また、プランターA、B、C、D及びE内の土壌の表面に敷く資材として、白マルチ又は蛍光シートSのそれぞれ12箇所に約3cm×約3cmの大きさの穴をほぼ等間隔で開けたもの(表2に示す)を準備した。各プランター内の土壌の表面に各資材を敷いた後、各穴に廿日大根の種(アメリカ産、アブラナ科ダイコン属、発芽率85%以上)を蒔いた。
次に、種を蒔いたプランターA、B、C、及びDについては、実施例1と同様にして、アルミ製支持体を固定した後、表2に示す資材で覆った(実施例3、4、5、6)。
プランターEには、覆う資材を用いなかった(比較例3)。
またプランターF、Gには、土壌の表面に敷く資材を用いず、12箇所に上記の種を蒔いた後、アルミ製支持体を固定した後、表2に示す資材で覆い(比較例4、5)、さらに。プランターHには、敷く資材も覆う資材も用いず、12箇所に上記の種を蒔いた(比較例6)。なお、プランターF,G及びHには、土壌の表面に資材が敷かれていないが、土壌の表面に資材が敷かれたプランターと同様の間隔にて上記の種を蒔いた。
収穫した廿日大根について実と葉を含む総重量を計量し、重量の大きい上位10株について、平均値を算出した。また、当該上位10株について、実の糖度を測定した上、糖度の平均値を算出し、さらに糖度についてのバラツキ(当該上位10株について、実の最小及び最大糖度、並びに最大糖度に対する最小糖度の比)を観察した。
糖度(レフブリックス)は、Abbe屈折計法によって測定した。
結果を表2に示す。なお、表1において、「○」は、その資材が使用されていることを示し、「×」は、その資材が使用されていないことを示す。
Figure 0005375510
実施例3は、白マルチと蛍光ネットBとを組み合わせて行った栽培試験であるが、蛍光ネットB単独で行った結果(比較例4)と比較すると、総重量が22%増加しており、実施例1における結果と同じ傾向を示している。また、実施例3では、白マルチ単独で行った結果(比較例3)に対する増加率は29%に達し、白マルチと蛍光ネットとの組み合わせによって極めて高い相乗効果が得られていることが分かる。
実施例4は、白マルチと蛍光シートSとを組み合わせて行った栽培試験であるが、蛍光シートS単独で行った結果(比較例5)と比較すると、総重量が18%増加しており、また、白マルチ単独で行った結果(比較例3)と比較しても、総重量が27%増加しており、白マルチと蛍光シートSとの組み合わせによって相乗効果が得られていることが分かる。
また、実施例5は、蛍光ネットBと蛍光シートSとを組み合わせて行った栽培試験であるが、蛍光ネットB又は蛍光シートSをそれぞれ単独で用いて行った結果(比較例4、比較例5)と比較すると、総重量が前者に対して25%、後者に対して22%増加しており、また、糖度については、比較例3又は6に対して30%以上増加しており、蛍光ネットBと蛍光シートSとの組み合わせによる相乗効果が得られていることが分かる。
さらに実施例6は、プランターに蛍光シートSを敷き、蛍光シートSで作物を覆って行った栽培試験であるが、蛍光シートSで作物を覆うだけで行った試験(比較例5)に比べて、27%総重量が増加していることが分かる。
以上述べた結果から、本発明の栽培方法によると、同一の栽培期間では実の重量の大きいものが得られるが、これは成長が早いため早期収穫ができることを示している。
また、表2の糖度についてのデータから、本発明の実施例3〜6では、白マルチだけを用いプランターに敷いて行った比較例3およびプランターに何も敷かないで蛍光ネットBだけを用いて農作物を覆った比較例4に比べて、いずれも50%以上高い糖度の廿日大根が得られていることが分かる。
さらに、糖度のバラツキを観ると、比較例3(白マルチだけを用いプランターに敷く)が極端に悪く、本発明の栽培方法によると、比較的バラツキが少なく品質の高いものが得られていることがわかる。
<実施例7、比較例7>
(ほうれん草の露地栽培試験(1))
廿日大根をほうれん草(タキイ交配種)に替え、蛍光放射性ネットB(網目:約2.0cm×約2.0cm、空隙率:約86%)を用いる以外、実施例1及び比較例1と同様にして実施例7及び比較例7の栽培試験を行った。ただし、このほうれん草の露地栽培試験(1)では、蛍光放射性ネットを1枚用いる試験のみを行い、3枚用いる試験は行わなかった。
なお、栽培地は長野県箕輪町、栽培期間は、平成19年5月28日〜平成19年6月21日の25日間で、その間の平均気温は23.0℃、平均日照時間は6.0時間、入射光の積算値は154.6kWh/mだった。
各畝に設けた24箇所の穴から収穫されたほうれん草の上位10株についての質量の平均値を算出し比較したところ、1枚の蛍光放射性ネットB及び白マルチを組み合わせて栽培した場合(実施例7)には147.0g、白マルチを使用せず蛍光放射性ネットBだけを用いて栽培した場合(比較例7)には61.9gだった。
その結果、蛍光放射性ネットBと白マルチを組み合わせることにより、蛍光放射性ネットBだけを用いた場合よりも2.3倍質量の大きなほうれん草が栽培できることがわかり、両者を併用することによって光合成の促進効果が著しく高くなることがわかった。
<実施例8、9及び比較例8、9>
(ほうれん草の露地栽培試験(2))
栽培地は長野県箕輪町、栽培期間は、平成19年9月19日〜平成19年11月7日の50日間で、その間の平均気温は14.2℃、平均日照時間は4.8時間、入射光の積算値は118.1kWh/mの条件にて、下記1)〜4)の条件で行う以外、ほうれん草の露地栽培試験(1)と同様にして、ほうれん草(タキイ交配種)の栽培試験を行った。
1)蛍光放射性ネットBを1枚及び白マルチを使用した。(実施例8)
2)蛍光放射性ネットBを3枚及び白マルチを使用した。(実施例9)
3)蛍光放射性ネットBを不使用で、白マルチのみを使用した。(比較例8)
4)蛍光放射性ネットB及び白マルチ共に不使用とした。(比較例9)
1)〜4)のそれぞれについて、各畝に設けた24箇所から収穫されたほうれん草の上位10株についての質量の平均値を算出し比較したところ、1)73.7g、2)86.4g、3)33.6g、4)27.8gの結果となった。
このことから、蛍光放射性ネットBを1枚及び白マルチを使用した1)は、白マルチのみを使用した3)に比べて約2.2倍多量に収穫できることがわかる。露地栽培試験(1)の結果を併せて考慮に入れると、蛍光放射性ネットと白マルチとを併用することが重要であり、それらのうちいずれか一つが欠けると、収量が大きく減少することがわかる。
<実施例10及び比較例10>
(ジュース用トマトの露地栽培試験)
長野県千曲市の農地に設けた長さ25m、巾1.8mの畝を使用して、下記1)及び2)に示すようなジュース用トマトの露地栽培試験を行った。
1)(実施例10)平成20年5月中旬に、栽培用の畝全面に黒色マルチングシート(以下、「黒マルチ」とも言う。)及び蛍光放射性シートSを順次重ねて敷き、50〜60cmの間隔で開けた穴にジュース用トマトの苗50本を植えつけた。苗が成長して、青い実が付いた頃の平成20年7月3日に、畝の巾方向の中央付近において、畝の長さ方向約1m間隔になるように長さ約80cmのアルミ製の棒を支柱として立て、その支柱を使用して上から畝全体を蛍光放射性ネットAで覆った。平成20年7月28日から収穫を開始し、以降、8月16日と8月18日の3回収穫した。
2)(比較例10)蛍光放射性ネットAと蛍光放射性シートSを使用しないこと以外は、1)と同様に栽培し同じ日に収穫した。
この栽培試験1)及び2)で収穫したジュース用トマトのリコピン含有量及び糖度(レフブリックス)を、それぞれ高速液体クロマトグラフ法とAbbe屈折計法によって、トマトの損傷部とへた部を除いて測定し、その平均値を算出した。
その結果、平成20年8月16日収穫のトマトは、1)の場合リコピン含有量が7.91mg/100g、糖度が6.1度であるのに対して、2)の場合にはリコピン含有量が7.42mg/100g、糖度が5.5度であった。
また、平成20年8月18日収穫のトマトは、1)の場合(実施例10)リコピン含有量が7.48mg/100g、糖度が4.7度であるのに対して、2)の場合(比較例10)にはリコピン含有量が6.42mg/100g、糖度が4.5度であった。
このように、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートを組み合わせて用いることにより、リコピン含有量と糖度が増加し、特にリコピン含有量についてはその効果が極めて顕著に表れていることがわかる。
なお、ジュース用トマトの商品出荷基準は、リコピン含有量が7.00mg/100g以上、糖度が5度以上であり、本発明によって栽培されたものはこの基準を十分満たしている。
<実施例11及び比較例11>
(スイカの露地栽培試験)
長野県東筑魔郡並田町の農地に設けた長さ100m、巾2.0mの畝を使用して、平成20年3月初旬に蒔いた種から育てた苗8つを選定して、下記1)及び2)に示すようなスイカの露地栽培試験を行った。
1)(実施例11)平成20年5月31日に、畝全面に黒マルチ及び蛍光放射性シートSを順次重ねて敷き、8箇所の穴を開けて上記苗を1本ずつ植えつけた。苗が成長して実を付け始めた頃の平成20年6月末に、畝全体を蛍光放射性ネットBで覆った。そして、平成20年8月8日に収穫した。
2)(比較例11)蛍光放射性シートSと蛍光放射性ネットBを使用しないこと以外は、1)と同様に栽培し同日に収穫した。
収穫した8個のスイカの糖度を測りその平均値を算出したところ、蛍光放射性ネットBと蛍光放射性シートSとを組み合わせて用いた1)の場合(実施例11)には、糖度が13.8度であるのに対し、蛍光放射性シートS及び蛍光放射性ネットBの両方を使用しなかった2)の場合(比較例11)には、糖度が11.4度であった。
このように、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートを組み合わせて用いることにより、スイカの糖度が増加することがわかる。
<実施例12及び比較例12>
(葡萄(巨峰ピオーネ)の露地栽培試験)
長野県千曲市の畑に植えられている17本の葡萄の木を用いて、下記1)及び2)に示すような葡萄の露地栽培試験を行なった。
1)(実施例12)平成20年5月下旬に実が付きはじめ、その後、実が成長した葡萄の木について、平成20年7月3日に同じ木に着いた10個の葡萄の房をランダムに選んで、葡萄の房毎に、袋状に加工した蛍光放射性ネットAを被せるとともに房の上方に直径20cm程度の傘状に加工した蛍光放射性シートSを取り付けた。
2)(比較例12)1)と同じ木についた10個の葡萄の房をランダムに選んで、蛍光放射性袋状ネットも蛍光放射性傘状シートを用いずに栽培試験を行なった。
成熟状態を見計らって平成20年9月9日に収穫した後、10個の各房について、房の上部、中部、下部の位置からランダムに1個ずつの実を採り、1)と2)で栽培されたそれぞれ計30個について、その質量及び輝度を測定し、平均値を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 0005375510
表2から、本発明に係る試験1)(実施例12)の方が比較試験2)(比較例12)より、質量及び輝度が高い値を示し、さらに本発明に係る1)の標準偏差値が2)よりも小さいことから、葡萄の粒の大きさのバラツキが少ないことが分かる。
巨峰葡萄の商品基準として、1房に36個以上の実が付いていることが要求されるが、1)(実施例12)によれば、1粒の実が大きいにも拘わらず割れることもなく、バラツキの少ない36個以上の実が付いており、商品価値として優れたものである。
<実施例13及び比較例13>
(セロリのハウス栽培試験)
長野県諏訪郡原村の農地にある東西方向幅約8m、南北方向長さ約60m、高さ3mのハウスを使って、セロリのハウス栽培試験を行った。
該ハウスの長さ方向北側約20mの屋根部と壁部に蛍光放射性シートSを張り(ハウスAと言う)、残りの南側約40mの屋根部と壁部に白色透明のハウス用ビニールシートを張った(ハウスBと言う)。
ハウスAとハウスBのそれぞれに、約18mの畝を40cmの間隔を開けて6つ準備した。
栽培試験として径3cmの穴を約45cm間隔で、それぞれのハウスに40箇所開け、それぞれに苗(JA信州諏訪で育苗.約高さ15cmのもの)を植えた。なお、ハウスAで行った栽培試験を実施例13の栽培試験とし、ハウスBで行った栽培試験を比較例13の栽培試験とした。
栽培試験は、平成21年4月26日〜7月9日の45日間で、その間の平均気温は22.2℃、平均日照時間は6.15時間であった。
ハウスA、ハウスBで収穫したセロリから無作為に20株ずつ選んだ後、重量等6項目について検量し、平均値を算出した。その結果は表4に示す通りである。
Figure 0005375510
表4から、ハウスA(実施例13)で収穫されたセロリは、ハウスB(比較例13)のものより、6項目の数値がすべて上回っている。これは、ハウスAでは作物が屋根部と両側壁部の多方向からの蛍光を受けたことによるものと考えられる。
<実施例14及び比較例14>
(ほうれん草のハウス栽培試験)
長野県諏訪郡原村の農地にある東西方向幅約8m、南北方向長さ約34m、高さ3.0mのハウスを2つ使って、ほうれん草のハウス栽培試験を行った。
1つのハウスCは、外壁材料として屋根部と壁部に蛍光放射性シートSを張り(実施例14)、他方のハウスDは既存のビニールハウスを使った(比較例14)。
2つのハウス(ハウスC及びハウスD)の農地に、東西方向約7m、南北方向約30mの畝を40cmの間隔を設けて4つ準備し、夏蒔き用のほうれん草の種(サカタのタネ社製、品種ブライトン)を約12cmの間隔で機械蒔きをした。
栽培期間は平成21年7月1日〜平成21年8月3日の34日間で、その間の平均気温22.0℃、平均日照時間は6.0時間だった。
ハウスC及びハウスDで収穫したほうれん草からそれぞれ無作為に15株ずつ選んだ後、重量等4項目について検量し、平均値を算出した。その結果は表5に示す通りである。
Figure 0005375510
表5から、ハウスC(実施例14)で収穫されたほうれん草は、ハウスD(比較例14)のものより、4項目の数値がすべて上回っている。これは、実施例13と同様に、ハウスCでは作物が屋根部と両側壁部の多方向からの蛍光を受けたことによるものと考えられる。
さらに、検量に使用したほうれん草について公的検査機関に成分分析を依頼した。公的検査機関は、水洗後、ハウスCのほうれん草230g、ハウスDのほうれん草240gについてそれぞれ検査し、含まれる成分を分析した。その結果は表6に示す通りであった(データは、ほうれん草100g当たりの数値に換算したものである)。
Figure 0005375510
(注1)窒素・蛋白質換算係数:6.25
(注2)100−(水分+蛋白質+脂質+灰分+硝酸イオン)
ここで、硝酸イオンは、ハウスC(実施例14)の場合には0.3g/100g
とし、ハウスD(比較例14)場合には0.5g/100gとした。
表6から、ハウスCで収穫されたほうれん草は、ハウスDのものより、すべての成分が上回っていることがわかる。
<実施例15及び比較例15>
(トルコキキョウのハウス栽培試験)
長野県諏訪郡原村にある農地にて、東西方向約6m、南北方向約33m、高さ約3mのドーム型のハウスを使い、トルコキキョウのハウス栽培試験を行った。
先ず該ハウス全体を白色半透明のハウス用ビニールシートで覆った。
その後、約10m×約8.5mのほぼ長方形の蛍光放射性ネットAを準備し、ハウスの南側約3分の1の部分に、天井から約80cm下方で東西方向のほぼ中央の位置を頂点とし、ハウスの東西方向約6mを底辺とするほぼ二等辺三角形状を形造り、このネットAの約10mの辺部が南北方向の長さ部分となるように設置した(ここで、栽培試験に使用したハウスのうち、この蛍光放射性ネットAを設置した部分をハウスE、その以外の部分をハウスFと言う)。
ハウス内に東西方向約1m、南北方向約30mの畝を約40cmの間隔を設けて、4つ作製した後、約3cm×約3cmの大きさの穴を約12cmの間隔で穴を開け、トルコキキョウの苗、高さ約1cm(サカタのタネ社製で約60日間育苗したもの)を定植した。
栽培期間は平成21年5月10日〜平成21年9月20日であった。なお、ハウスEで行った栽培試験を実施例15の栽培試験とし、ハウスFで行った栽培試験を比較例15の栽培試験とした。
その結果、ハウスE(実施例15)では出荷10日程前から急に成長し、高さを測ったところ、ハウスF(比較例15)で栽培したものに比べて、平均約10cm長い商品価値の高いトルコキキョウを収穫することができた。
これは、蛍光放射性ネットAが二等辺三角形状に設置され、その2つ斜辺部の2方向から蛍光が苗に照射されるので、成長を促進しているものと考えられる。
<参考例1>
(蛍光放射性ネットによる紫外線減衰効果試験)
本発明に用いる蛍光放射性資材が持つ紫外線減衰の効果を、次のようにして観察した。
インキュベータ内に、光源として(1)40Wの昼光蛍光灯15本、(2)40Wの昼光蛍光灯13本とブラックライト2本を設置して、それぞれに廿日大根の種を蒔いた後、蛍光放射性ネット2枚を重ねて覆った。
収穫後、実と葉を合わせた総重量の大きいもの上位6株選んだ後、その平均値を算出し、また糖度を計りその平均値を算出した。
その結果は、表7に示す通りである。
Figure 0005375510
表7から明らかなように、(1)のケースは、(2)の紫外線を含むブラックライトを用いたケースに対して、総重量と糖度共に高い結果を示し、紫外線を含まない光が農作物の成長に有効であることを示している。
1 蛍光放射性ネット
2 光反射性シート
3 蛍光放射性シート
4 農作物

Claims (13)

  1. 農作物栽培用資材として、蛍光放射性ネット及び蛍光放射性シートのいずれかを単独で又は両者を組合わせて、あるいは光反射性資材と蛍光放射性ネット及び/又は蛍光放射性シートとを組合わせて用いた農作物栽培方法であって、
    前記蛍光放射性ネット及び前記蛍光放射性シートは、ペリレン系蛍光色素と熱可塑性樹脂とを含み、且つ、前記ペリレン系蛍光色素の濃度が前記熱可塑性樹脂に対して0.015〜0.03質量%であり、
    光を受けて前記蛍光放射性ネット又は蛍光放射性シートから放射される蛍光が農作物を複数方向から照射可能なように前記農作物栽培用資材を設置して光合成を促進させることを特徴とする農作物栽培方法。
  2. 前記光反射性資材として光反射性シートを用い、農作物を栽培する農地に前記光反射性シートを敷き、かつ該農作物を覆うように前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを設置して、該蛍光放射性ネット又は該蛍光放射性シートが光を受けて放射される蛍光と透過する光とを、直接農作物に照射させると共に、前記光反射性シートに反射させて農作物に照射させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の農作物栽培方法。
  3. 農作物を栽培する農地に前記蛍光放射性ネット(1)又は前記蛍光放射性シート(1)を敷き、かつ該農作物を覆うように前記蛍光放射性ネット(2)又は前記蛍光放射性シート(2)を設置して、前記蛍光放射性ネット(2)又は前記蛍光放射性シート(2)が光を受けて放射される蛍光と透過する光とを、農作物に直接照射させると共に、透過する光が前記蛍光放射性ネット(1)又は前記蛍光放射性シート(1)を照射し放射される蛍光を農作物に照射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の農作物栽培方法。
  4. 前記蛍光放射性ネット又は前記蛍光放射性シートを素材としてなる袋状資材を用い、該袋状資材を生育途上の実あるいは果物に被せることによって、実あるいは果物が周囲から蛍光を受けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の農作物栽培方法。
  5. 屋根部及び/又は壁部が前記蛍光放射性ネット及び/又は前記蛍光放射性シートで構成されたハウスを用い、太陽光の照射を受けて前記蛍光放射性ネット及び/又は前記蛍光放射性シートが放射する蛍光を、前記ハウス内の農地で栽培する農作物に照射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の農作物栽培方法。
  6. 屋根部及び/又は壁部がビニールシートで構成されたハウスを用い、前記ビニールシートを透過する光によって蛍光が放射されるように、前記ハウス内に前記蛍光放射性ネット及び/又は前記蛍光放射性シートを設置して、前記ハウス内の農地で栽培する農作物に前記蛍光を照射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の農作物栽培方法。
  7. 前記蛍光放射性シート及び前記蛍光放射性シートの、波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の農作物栽培方法。
  8. 前記蛍光放射性ネット及び前記蛍光放射性シートが、250〜650nmの波長域の光を吸収し、かつ450〜700nmの波長域の蛍光を放射するものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の農作物栽培方法。
  9. 前記蛍光放射性シートの光透過率が80〜95%であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の農作物栽培方法。
  10. ペリレン系蛍光色素と熱可塑性樹脂とを含む蛍光放射性資材であって、
    前記ペリレン系蛍光色素の濃度が前記熱可塑性樹脂に対して0.015〜0.03質量%であり、波長域280〜320nm(UV−B)の減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nm(UV−C)の減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする蛍光放射性資材。
  11. 屋根部及び/又は壁部が請求項10に記載の蛍光放射性資材で構成されたことを特徴とする農作物栽培用ハウス。
  12. 屋根部及び壁部が蛍光放射性シートで構成された農作物栽培用ハウスを用い、前記蛍光放射性シートが放射する蛍光を前記農作物栽培用ハウス内の農地で栽培する農作物に複数方向から照射するようにした農作物栽培方法であって、
    前記蛍光放射性シートはペリレン系蛍光色素と熱可塑性樹脂とを含み、前記ペリレン系蛍光色素の濃度が前記熱可塑性樹脂に対して0.015〜0.03質量%であり、且つ、前記蛍光放射性シートが250〜650nmの波長域の光を吸収し、450〜700nmの波長域の蛍光を放射し、波長域280〜320nmの紫外線減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nmの紫外線減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする農作物栽培方法。
  13. 請求項12に記載の農作物栽培方法に用いられる温度降下効果及び保温性効果を有する農作物栽培用ハウスであって、
    屋根部及び壁部が蛍光放射性シートで構成され、該蛍光放射性シートはペリレン系蛍光色素と熱可塑性樹脂とを含み、前記ペリレン系蛍光色素の濃度が前記熱可塑性樹脂に対して0.015〜0.03質量%であり、且つ、前記蛍光放射性シートが250〜650nmの波長域の光を吸収し、450〜700nmの波長域の蛍光を放射し、波長域280〜320nmの紫外線減衰率が5.5〜12.0%で、波長域250〜280nmの紫外線減衰率が17.5〜28.0%であることを特徴とする農作物栽培用ハウス。
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