JP7474075B2 - 苗木の保護用筒状物および該保護用筒状物を用いた苗木の保護および育成方法 - Google Patents

苗木の保護用筒状物および該保護用筒状物を用いた苗木の保護および育成方法 Download PDF

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Description

本発明は作物、特に林業における苗木を食害する草食動物から、3年以上の長期間保護する為の保護用筒状物、および該保護用筒状物を用いた苗木の保護および育成方法に関する。
林業において、スギまたはヒノキ等の苗木を植栽後、ノネズミ、ノウサギ、ニホンカモシカ、ニホンジカ等の草食動物による苗木の食害から保護し健全な造林を行うことは、造林事業にとって重要なことであるが、近年苗木に食害を起こす草食動物の増加が問題となっている。また、食害を起こす草食動物として、野外造林地を主たる生息場所にしているニホンジカ等が激増していることから、被害を受ける樹齢もより大きな木へと変化することにより、被害の程度も増大し、食害期間もより長期化するようになった。
上記草食動物から作物、特に林業における苗木を保護する方法としては、動物の嫌がる忌避剤を塗布あるいは散布する方法、鹿(猪)柵や網などによる野外造林地を囲う方法、さらに個々の苗木を板や筒あるいはネットなどの様々な資材を用いた被覆物で覆う方法などが行われてきた。
忌避剤を塗布あるいは散布する方法については、ニホンジカ等に対する化学的忌避剤などによる処理があるが、残効期間が最長でも半年程度であること、処理後に春を迎え苗木の成長が始まれば、新しく伸びた部分には忌避剤が付着していないなどの基本的な問題がある。さらに、年2回以上の忌避剤の処理を必要とする手間があること、また、例えば、ニホンジカの成長点食害が一応問題とされなくなる植え付け後3年、苗木の高さで120~150cmに生育させるまでには、5~6回の忌避剤処理を繰り返さなければならないといった問題があり、それに要する人件費等の経費も大きい。
野外造林地の全体を囲う方法については、最近では新資材が使用されるようになり、ナイロン、テトロンなどの合成樹脂製の造林地囲いネットや細い鋼線を入れて動物に切られにくくした造林地囲いネットの使用、塩化ビニール板、ポリプロピレン板などの合成樹脂板を用いた苗木覆いなど、各種材料を用いた様々な方法が試みられている。
より高く強固な柵を設置すればニホンジカ等大型の草食動物の食害はほとんど防げるが、設置の経費、手間などの問題とノネズミ、ノウサギなどの中小型の草食動物の食害にはあまり効果がない。ネットによる簡易な柵では、経費は低減できるが、この場合もノネズミ、ノウサギの食害にはあまり効果がなく、また簡易であるだけ破損し易く、他の動物のネットへのからまりによる捕殺防止の必要性から保守点検の間隔を短くしなければならない等の問題も生じている。
個々の苗木を様々な資材の板や筒あるいはネットなどの被覆物で覆う方法は、古くから行われ、竹、板、トタン板などの金属板、あるいは金網などにて覆う場合もあるが、資材の重量、嵩、運搬設置の手間など多くの問題を含んでおり、設置される場所のほとんどが山間部の不便な場所にある野外造林地であるため、大量に使われることは無かった。
上述した通り、苗木を保護する方法は様々である。これらの方法の中でも、個々の苗木を様々な資材の板や筒あるいはネットなどの被覆物で覆う方法は、苗木を食害から保護する効果が高いと言える。例えば、ヒノキ科のスギやヒノキは、植えつけられた幹長40~70cmの苗木は3年で150cm程度に生育し、その後ニホンジカ等による成長点の食害はほとんど起こらなくなると言われており、特にこの期間の苗木の保護は非常に重要である。
このため、その期間の苗木の食害防止および健全な生育を確保するために、被覆物に要求される性能としては、苗木を収めやすい形状等であること、作業性が良いこと、通気性等の生育に適した性能を備えている材質であること、破損しにくいこと、自然条件に耐え得る3年程度の耐久性を有すること等、様々な課題がある。
例えば、硬質樹脂製の筒状物を被覆物として用いる方法(登録実用新案第3009585号、特開平10-327685号公報)があるが、硬質樹脂板を筒状にして使用しているため、構造物の嵩が大きく、強風による影響が懸念され、設置作業が容易ではないといった問題がある。また、通気性が少ないことにより苗ムレが起こることも考えられる。
さらに、苗木の被覆物の軽量化を図ったものとして、種籾を入れるネット袋や類似大型ネット等の筒状ネット類を苗木先端に被せて用いる方法なども行われたこともあるが、苗木の成長にネットの大きさが伴わないこと、ネットを大きくした場合にはそれを支える支柱等の大きさや長さなどの問題も発生し、設置のための手間まで含めれば多大な労力を要し、広く普及することは無かった。
また、一時広く普及していた、ミカンネット様の筒状ネットを苗木の被覆物として被せてから植えつける方法も、植えつけ直後のノネズミ、ノウサギの食害には対応できたが、2~3年で1m以上に成長することが一般的なスギ、ヒノキなどの野外造林地ではネットの大きさが足りない事や、直接葉に触れていることによるネット脱落の問題、ネットに蔓性雑草がからまり易く苗木が蔓におおわれてしまう問題などもあり、カモシカやニホンジカ対策には有効な方法ではなかった。
その他にも、スフ、人絹、合成繊維などの生地中にシクロヘキシミド等の忌避成分を混入する方法(実公昭57-46322号公報)、生分解プラスチックと忌避剤等を組み合わせる方法(特開平7-25704号公報)、穴開きの円筒で土に差し込める足のついた苗木の食害保護用の被覆物(実開昭61-10651号公報)等も、ニホンジカなどの食害予防に対応できるサイズや、使用期間の長さから想定される材質劣化や耐久性の有無の問題には触れられていない。
特開平10-327685号公報 登録実用新案第3009585号 実公昭57-46322号公報 特開平7-25704号公報 実開昭61-10651号公報 特開2006-187256号公報 特開2001-190165号公報
Journal of Plant Research July 2016年,129巻,4号,pp 615-624
本発明が解決しようとする課題は、草食動物による主に食害による苗木の破損を防止し、被覆した状況でも苗木の生育に適した環境を実現することで苗木を育成し、さらに耐久性を有する実用的かつ作業性の良い苗木の被覆物として、苗木の保護用筒状物を提供することである。本発明はまた、該保護用筒状物を用いた苗木の保護および育成方法を提供することである。
上記課題を解決するため、発明者らは様々な検討を繰り返し、苗木の保護用筒状物として使用するのに最適な資材を見出した。また、野外造林地において、該資材を用いた保護用筒状物を苗木に設置することによって、草食動物による食害を抑制できること、被覆した状況でも苗木の成長を阻害することなく育成できることを見出した。即ち、本発明は以下の内容で構成されている。
1.通気性を有し、光透過性が30%以上である繊維の布あるいは不織布を用い、苗木を収めやすい円錐台または円柱とし、高さを50~200cmとした、内部を視認しにくい苗木の保護用筒状物であって、該保護用筒状物が筒の基部から先端までが支柱に固定されることを特徴とする、苗木の保護用筒状物。
2.前記繊維の布または不織布がポリオレフィン樹脂製であり、自然条件下で発生する破損等が少ないことを特徴とする、苗木の保護用筒状物。
3.前記繊維の布または不織布の単位面積当たりの重量が、20~100g/mであり、3年以上の耐久性を有することを特徴とする、苗木の保護用筒状物。
4.前記保護対象の苗木が野外造林地の苗木であり、草食動物による苗木の破損が少ないことを特徴とする、苗木の保護用筒状物。
5.前記した保護対象の苗木の成長を促進することを特徴とする、苗木の保護用筒状物。
6.前記記載の保護用筒状物を用いた、苗木の保護および育成方法。
本発明の苗木の保護用筒状物は、通気性および光透過性を保ちつつ内部を視認しにくいことから、主に草食動物による苗木の食害による破損が減少した。また、自然条件下で発生する保護用筒状物の破損が減少し、該保護用筒状物は、長期間、野外造林地での耐久性を有することがわかった。さらに、本発明では、苗木の健全な育成だけでなく、苗木の生育に適した環境を実現することにより苗木の成長を促進する効果があることがわかった。即ち、本発明は、主に草食動物による食害から保護しつつ、苗木の生育状態を損なうことなく成長を促進させることができるという点で優れている。また、該保護用筒状物は、耐久性を有しつつ軽量化したことにより作業性が向上した点においても優れている。
保護用筒状物設置例の部分破断斜視図 被覆物の内部視認性の比較写真 被覆物を樹木に使用した際の内部視認性の比較写真 被覆物の光透過性測定装置の断面図
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本願明細書にて、被覆物とは苗木を被覆し保護するものを示し、本発明の保護用筒状物もこれに含まれるものとする。
〈保護用筒状物〉
本発明の保護用筒状物は、通気性を有し、光透過性が30%以上である繊維の布または不織布の筒状物を用い、該筒状物が筒の基部から先端まで支柱を有するものである。該保護用筒状物を用いることで、草食動物の主に食害による苗木の破損、および自然条件下で発生する保護用筒状物自体の破損を減少させ、苗木を保護する効果を有するものである。また、苗木を被覆した状態でも苗木の生育に適した環境を実現できる効果を有するものである。
本発明における、苗木としては具体的に、スギ、ヒノキ、ネズ等のヒノキ科;カナムグラなどのアサ科;コナラ、クリ、クヌギ、ウバメガシなどのブナ科;シラカンバ、ハンノキ、ヤシャブシなどのカバノキ科;テンサイなどのヒユ科;イチゴ、モモ、リンゴ、ウメ、ナシ、サクラなどのバラ科;タデ科;アカマツ、クロマツなどのマツ科;イラクサ科;ケヤキなどのニレ科;クルミ科;イチョウ科;マメ科;ヤナギ科;ブドウ科;ナデシコ科;ツバキ科;アブラナ科;ミカン科;セリ科;モクセイ科;イチイ科;マキ科;センダン科;などの植物があげられる。本発明の適用対象植物としては、林業において重要度の高いヒノキ科の苗木やブナ科、カバノキ科、バラ科、ヤナギ科、マツ科、ニレ科およびセンダン科の苗木が好ましく、特にスギまたはヒノキの苗木であることが好ましい。また、本発明の保護用筒状物は、野外造林地の苗木に使用されることが好ましいが、場所を限定せず使用することができる。
植物の育成には、光、温度、水分、通気等の環境が大きく影響することが知られており、植物を被覆物で覆う場合にも、健全な生育を確保するためにこれらの要因が重要となる。本発明において、保護用筒状物に用いられる被覆用の資材としても、これら要因を考慮し、適したものを選択する必要がある。
〈通気性〉
本発明の苗木の保護用筒状物は、長期間、野外造林地等に設置しなければならないが、通気性を有することで過剰な温室効果による、苗木の過剰な徒長を一定程度抑える効果を有する。また、市販されている通気孔を有する被覆物等(特許文献1、2等)と比較しても、本発明の保護用筒状物は通気性があり、温室効果を抑え、苗ムレを防ぐ効果が高くなったと言える。
〈光透過性〉
植物の生育には一定程度の透過光を確保する必要があり、被覆物に用いられる被覆用の資材により光透過性を調整することができる。被覆物の光透過性が下がることにより、内部に透過する透過光は減少する。つまり、遮光性が高くなり、植物の生育にとっても不利な環境となることが多いと言える。本発明の苗木の保護用筒状物は、苗木の正常な生育を阻害させないようにするため、光透過性が30%以上とすることが好ましい。また、本発明において、被覆用の資材の選択により光透過性を調整するだけでなく、被覆用の資材を二枚以上重ねて使うことによっても、光透過性を調整できる。本発明において、光透過性の評価は、図4に示す通り、遮光板により囲いを設けた内部に照度計を設置し、遮光板の上部に被覆用の資材を設置し、さらにその上部に設置した光源から被覆用の資材を透過した透過光を照度計にて測定し、光透過性を評価している。
本発明の保護用筒状物に用いられる被覆用の資材である、「通気性を有し、光透過性が30%以上である繊維の布あるいは不織布」としては、上記要因を考慮し検討をした結果、合成繊維を用いることが好ましいことを見出した。本発明においては、合成繊維として具体的に、ポリエステル系樹脂繊維やポリオレフィン系樹脂繊維などがあげられ、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンの樹脂繊維を用いた布あるいは不織布であることが好ましい。さらに、ポリエチレン樹脂繊維の布または不織布を用いることが特に好ましい。合成繊維の布あるいは不織布にすることで、通気性および光透過性を有し、健全成長の苗木とする効果を有する。また、保護用筒状物に用いられる被覆用の資材は、二重、三重、またはそれ以上に重ねて使う場合も含まれるものとする。
ニホンジカ等の草食動物は、一般的に人間と同程度の視力であることが知られ、また、慎重な性格であることが知られている。本発明において、「内部を視認しにくい」とは、図2の写真にて示した通り、本発明で使用した被覆用の資材(ワリフ明涼、JX ANCI株式会社製)に覆われた内部のものが、従来使われている比較例として使用した被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)の資材により被覆したものよりも文字等が判別しにくくなる状態をいう。即ち、植物に該資材を用いた本発明の保護用筒状物を設置することで、外観上、内部の植物の存在を、従来の資材を用いた被覆物よりも判別しにくくなる効果があるといえる。図3に、実際に保護用筒状物と上記比較例として使用した被覆物を、各々樹木に被せた写真を示す。比較例で使用した被覆物は、内部の樹木の葉の輪郭が判別できるのに対し、本発明の保護用筒状物は、内部の樹木の枝葉等の輪郭等が判別しにくいことがわかる。
前述した通り、造林業において一定の大きさまで苗木を動物等による被害から保護することは重要である。特に、植物の成長点の保護が重要であることが知られている。
植物の成長点とは、茎と根の先端にあって、細胞の増殖、器官形成といった顕著な形成活動を行う部分をいい、多くの場合、植物体はその一生を通じてこうした活動を続けていく。生長点も同意義語である。成長点は単なる「点」ではなく、活発に分裂する細胞からなる頂端分裂組織である。茎の成長点は茎頂ともよばれ、外側を若い葉で囲まれ、一般に半球状で側面に葉、枝、花などの原基を形成し、主に先端部にある。従って、苗木の成長点の食害を防ぐことは、造林業において重要である。例えば、山間部の野外造林地において植えつけられる苗木の樹高は約40~70cmであり、3年で150cm程度に生育する。その後ニホンジカ等による成長点の食害はほとんど起こらなくなると言われており、特にこの3年間の苗木を保護する必要がある。
本発明においては、保護用筒状物の太さおよび形状は具体的に、苗木が収めやすい太さの円錐台または円柱であることが好ましいが、対象の動物の種類や苗木の成長見込み量によりこの大きさは調節する必要がある。本発明においては、円錐台であることが好ましい。
本発明の保護用筒状物の製造方法としては、裁断した布または不織布を縫製、融着、あるいは接着することにより作製することができる。
本発明において、保護用筒状物の大きさとしては、保護対象の植物および対象となる草食動物等により調整することができるが、長期間保護するために、保護用筒状物の大きさとしては、図1に示す通り、苗木の性質、特に成長量から、裾部の直径が20~45cm、頂上部では直径が10~35cmで、その高さとして50~200cmであることが好ましい。特に好ましくは、高さ50~190cmであり、保護育成用筒状物の裾部は苗木の下枝の拡がりを考慮して幹を中心とした最低半径30cm程度であることが好ましい。図1に示す保護用筒状物は、一例であり、形状や大きさなどこれに限定されるものではない。なお、図は理解を資することを優先とするため、実際の忠実な縮尺ではない。
本発明において、保護用筒状物は図1に示す通り、筒の基部から先端までが支柱に固定される。支柱の芯部の材質としては具体的に、先を細くした木、竹、樹脂、ガラス繊維強化樹脂、または炭素繊維強化樹脂の棒があげられ、本発明においては芯部がガラス繊維強化樹脂の棒であることが好ましい。支柱の材質は、同程度の機能を有するものであればよくこれらに限定されるものではない。
〈設置方法〉
本発明の保護用筒状物を筒状のまま長期間保持させる為の設置方法としては、例えば、図1に示すように、支柱1を苗木5のすぐ横に一本以上設置し、保護用筒状物を一箇所以上で支柱1に直線状に固定して筒状物2の直立性を保たせる必要がある。さらに、その保護用筒状物の裾は苗木を筒中に入れた状態で、苗木と独立して地面6に固定させる必要がある。保護用筒状物と苗木を独立させて固定することにより、支柱と筒状物とが風に対して同調して揺れ、地面に差し込まれた支柱の基部振幅が極小となることで、特に強風に耐える作用を発揮する。また、保護用筒状物の裾と苗木が巻き付いたり絡んだりする事を防止するため、ペグ3(裾止め杭)等を用いて固定することが好ましい。
本発明において、保護用筒状物に用いる被覆用の資材は、軽量で通気性もあり、光透過性が30%以上であり、さらに苗木の正常生育を阻害させない為には、通気性を有する布あるいは不織布で、単位面積当たりの重量(目付量)が150g/m以下であることが好ましい。一方、主に山間部の造林地で使用するため、なるべく軽量化したいが、3年以上の長期間の耐久性を持たせるためには、単位面積当たりの重量(目付量)20g/m以上が好ましい。
長期間、苗木の食害防止および健全な生育を確保するために、被覆物の資材に要求される性能としては、耐久性があげられる。本発明において、保護用筒状物に用いられる資材および保護用筒状物自体は、長期間の経過観察により、自然条件下で発生する破損等に耐え得る耐久性を要することが確認された。また、合成繊維の布あるいは不織布にすることで、紫外線に対する耐久性能を持たせることができる。
本発明に用いた被覆用の資材の合成繊維の目付量は47g/m以下であり、該資材を用いた保護用筒状物は、苗木保護用の市販の被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)と比べても軽量化が図られ、前記被覆物と同等以上に作業能率が上がる効果を有する。また、コンパクト化、使用部品総数の少なさ、設置作業簡便化による運搬総重量、設置の手間等においても山間部造林地での作業性がよいことが言える。
本発明において、「自然条件下にて発生する破損等」としては具体的に、ノイバラやササ等の灌木の棘や枝葉による被覆物自体の破損、草食動物による食いちぎりによる被覆物自体の破損、杭等による被覆物自体の破損、袋止め金具部付近の被覆物自体の破損、風雨等による被覆物の倒壊等があげられる。
本発明において、主に食害による苗木の破損の要因となる草食動物としては具体的に、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ノウサギ、ノネズミ等があげられる。ニホンジカの体長(頭胴長)は、約90~190cm(肩高オス70~130cm)であり、ニホンカモシカの体長は約100~120cm(肩高68~75cm)であり、ノウサギ(二ホンノウサギ、エゾユキウサギなど)の体長は約40~55cmであり、ノネズミ(エゾヤチネズミ、ハタネズミなど)の体長は約10~13cmであり、本発明において対象とする草食動物の体長(または肩高)や対象植物により、保護用筒状物を設計することが必要になる。
〈被覆物の破損数の評価〉
本発明において、被覆物の破損の状況を、「被覆物の破損数」として目視にて経過観察し、評価している。本発明において、破損とは、苗木を造林地に植栽後、被覆物を設置し、1年以経過した後、被覆物自体に生じた穴や引き裂かれによる損傷をいう。破損数とは、苗木に被覆物を設置後1年以上経過した後、一定区域内に設置された本発明の保護用筒状物および比較例として用いた被覆物の設置数各10~20本程度における、被覆物自体の破損の数である。主な破損原因としては、自然条件下での破損等のうち、ノイバラやササ等の灌木の棘や枝葉による被覆物自体の破損、草食動物による食いちぎりによる被覆物自体の破損、杭等による被覆物自体の破損、袋止め金具部付近の被覆物自体の破損等があげられる。
〈苗木の被害状況の評価〉
本発明において、草食動物の主に食害による苗木の破損を、「苗木の被害状況」として評価している。苗木を造林地に植栽し、被覆物を設置した苗木と、被覆物を設置してない苗木(無処理)とを経過観察している。苗木の被害状況として、苗木に被覆物を設置後1年以上経過した後、一定区域内に設置された本発明の保護用筒状物および設置していないもの数各10~20本における枝葉の食害率を目視にて確認し、評価している。
〈樹高測定〉
本発明において、苗木を造林地に植栽後1年以上経過した後、一定区域内に設置された本発明の保護用筒状物および比較例として用いた被覆物の各10~20本程度における樹高を測定し、平均樹高(cm)の数値により比較している。また、被覆物を設置していない苗木(無処理)の樹高とも比較を行っている。樹高測定は、図1に示した通り、被覆物の基部(無処理の場合は根元)から苗木の頂上部の先端までを測定している。
造林地おける苗木への被覆物の設置試験の結果、本発明の保護用筒状物を用いることにより、従来品の被覆物を設置した場合と比べて成長が早いことが確認された。植物の成長と散乱光の増加による関係は、非特許文献1にも示唆されており、散乱光の有効利用により、作物の収穫を増やすことへの利用が期待できることが報告されている。本発明においても、通気性、光透過性、草食動物による破損の減少等以外に、さらに被覆物内部の散乱光の増加が一要因ではないかと考えられる。
〈散乱光〉
野外において植物が受ける光は、直達光と散乱光の二種類に分けることがでる。直達光は太陽から直接届く光で、散乱光はそれ以外の光であり、直達光が大気中の塵などにより方向を変えられ散乱し、太陽がない方向から光が届くことをいう。一般的に日射量が多い時期には光強度が強すぎることによって、トマト等の垂直方向に長い作物の成長点付近のしおれや、花卉栽培等では花弁の焼け等の問題が作物に生じることが知られている。そのような場合、強すぎる光を散乱光とすることにより、作物の光利用効率を高めることができ、このようなダメージから作物を守ることができることが知られている。
本発明の保護用筒状物に用いた被覆用の資材は、赤外線をはじく効果を有する事からビニールハウス等に使用する場合、作物の苗ムレを防止する効果が示されているが、太陽光を乱反射する事で、直達光を散乱光にする効果については触れられていない(特許文献6参照)。本発明に用いた被覆用の資材および比較例として用いた被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)の被覆用の資材は、繊維幅約1mmのポリエチレン樹脂がおよそ1.5mm~2mmの格子状を形成するように熱圧着された不織布であるが、比較例として用いた被覆用の資材は黒~灰色の不織布であり、光を透過、または吸収する性質を持つ。一方、本発明に用いた被覆用の資材は、光沢のある白色の不織布であり、これは光を乱反射する事を意味している。
本発明になる苗木の保護用筒状物は、主たる目的のニホンジカ、ニホンカモシカ等の食害に対する効果のみならず、苗木基部まで覆い得ることにより、ノウサギ、ノネズミなどの中小型草食動物食害からも、一度の設置で長期間守り得る作用を有する。また、例えば、ノウサギやノネズミなどの中小型動物に対応した大きさで保護用筒状物を作製することでも、苗木を保護することができる。
野外に直接さらされる植林苗木では、植えつけ初年度に冬の乾燥した寒風による枝枯れなど、いわゆる寒風害を受けやすいが、本発明の苗木の保護用筒状物は、苗木が直接寒風を受けることが無いことと、苗木の植えられた基部土壌が被覆されていることから土壌の乾燥防止にも効果があり、こうした寒風害からも守る作用を有する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
発明の実施の形態を被覆物製作例、及び実施例に基づき図面を参照しながら説明する。
[実施例1]被覆物の光透過性の評価
室内にて、図4(なお、図は理解を資することを優先とするため、実際の忠実な縮尺ではない)に示すようにハロゲンランプ(100V,500W)の光源4-1を、照度計4-3(竹村製作所製)上、約1m上に設置し、その下に被覆用の資材4-2として用いる目付量47g/mのポリエチレン製繊維の不織布(ワリフ明涼30w、JX ANCI株式会社製)1枚を照度計上、高さ約10cm上に広げて(一重)水平に設置した。さらに、当該不織布の下に照度計(竹村製作所製)を置き、照度計は遮光板4-4で周囲を覆った状態にし、被覆用の資材を透過してくる光の照度(lx:ルクス)を測定し、被覆用の資材の光透過性の評価を行った。同様の測定条件下で、被覆用の資材がない状態での照度は2100ルクスであった。本実施例において、光透過性(%)は、下記式(a-1)を用いて算出した。照度測定の結果を表1に示す。
Figure 0007474075000001
[実施例2]被覆物の光透過性の評価
実施例1の被覆用の資材を二枚重ねて二重にした以外は実施例1と同様に照度測定を行った。照度測定の結果を表1に示す。
[実施例3]被覆物の光透過性の評価
実施例1の被覆用の資材を三枚重ねて三重にした以外は実施例1と同様に照度測定を行った。照度測定の結果を表1に示す。
[比較例1]被覆物の光透過性の評価
被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)の被覆用の資材を使用した以外は実施例1と同様に照度測定を行った。照度測定の結果を表1に示す。
Figure 0007474075000002
実施例の光透過性は、比較例に比べて低くなることがわかった。光透過性が低いことにより、内部への透過光が減少することが考えられる。
[被覆物作製例1]
被覆用の資材である目付量47g/mのポリエチレン製繊維の不織布(ワリフ明涼30w、JX ANCI株式会社製)を、上辺が52cm、下辺が102cm、高さが170cmに切断した台形の不織布を折り重ね、端を縫い代1cmで縫製し、上部直径16cm,下部直径32cmの円錐台状の筒状物を作製した。
[実施例4]
1ヘクタール当たり3000本植栽された滋賀県のヒノキ植林地(滋賀県試験場)にて、樹高50~70(cm)の苗木を植栽し、被覆物作製例1で作製した用筒状物を図1に示す設置例のように苗木5に設置した。筒状物2を、直径で8mm、長さ2.1mのグラスポール(宇部エクシモ株式会社製)1本に、袋止め金具4をもって上下2箇所で固定し、グラスポール(支柱1)を地面に、土中50~60cm差し込んで動かないよう固定した。さらに、保護用筒状物の裾はペグ3(2本)で地面6に固定した。設置から1年4ヶ月経過後および設置から2年経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。被覆物の破損数は、1年4ヶ月経過後および2年経過後、一定区域内に設置された本発明の保護用筒状物15本における保護用筒状物自体の破損数により評価し、また、主に草食動物の食害による苗木の破損状況を、苗木の被害状況として、目視にて観察し評価した。被覆物の破損数および苗木の被害状況の結果を表2に示す。また、1年4ヶ月経過後および2年経過後の平均樹高(cm)の測定結果を表3に示す。苗木の被害状況は、下記のように3段階で評価した。
×:枝葉の食害率50~100%
△:枝葉の食害率20~50%
○:枝葉の食害率0~20%
[比較例2]
実施例4と同様に、実施例4の保護用筒状物の代わりに、被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)を苗木に設置し、1年4ヶ月経過後および2年経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を観察し、樹高の測定を行った。被覆物の破損数および苗木の被害状況の結果を表2に、平均樹高(cm)の測定結果を表3に示す。
[比較例3]
被覆物を使用しない無処理の苗木を、実施例4と同様に、1年4ヶ月経過後および2年経過後に苗木の被害状況を観察し、樹高の測定を行った。苗木の被害状況の結果を表2に、平均樹高(cm)の測定結果を表3に示す。
Figure 0007474075000003
Figure 0007474075000004
設置から1年4ヶ月経過後、さらに設置から2年経過後の本発明の保護用筒状物は、比較例2の被覆物と比べても破損数が大きく減少し、苗木の被害状況からも、草食動物による食害を抑制させることが可能であることがわかった。また、倒壊等の被害もないことから、用いた資材および保護用筒状物自体の高い耐久性も確認できた。
設置から1年4ヶ月経過後、さらに設置から2年経過後の本発明の保護用筒状物を設置した苗木は、比較例2の被覆物を設置した苗木と比べても平均樹高が高い結果となり、平均以上の生育を示す効果が認められた。一方、被覆物を設置しなかった比較例3の苗木(無処理)は全てニホンジカ等の食害を受けていた。主にニホンジカによる枝葉食害が多発して、主幹を残すのみとなり、植え直しを行わなければならない状態となった。
[実施例5]
1ヘクタール当たり3000本植栽された高知県のヒノキ植林地(高知県試験場)にて平均樹高50~70(cm)の苗木を植栽し、実施例4と同様に、被覆物作製例1で作製した保護用筒状物を図1に示す設置例のように苗木に設置した。1年7ヶ月経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。平均樹高(cm)の測定結果を表4に示す。
[比較例4]
実施例2の保護用筒状物の代わりに、被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)を苗木に設置し、実施例2と同様に、1年7ヶ月経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。平均樹高(cm)の測定結果を表4に示す。
Figure 0007474075000005
設置から1年7ヶ月経過後、本発明の保護用筒状物を設置した苗木は、比較例4の被覆物を設置した苗木と比べても平均樹高が高い結果となり、平均以上の生育を示す効果が認められた。
[実施例6]
1ヘクタール当たり3000本植栽された栃木県のスギ植林地(栃木県試験場)にて平均樹高50~70(cm)の苗木を植栽し、被覆物作製例1で作製した保護用筒状物を図1に示す設置例のように苗木に設置した。実施例4と同様に、3年経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。被覆物の破損数は、3年経過後、一定区域内に設置された本発明の保護用筒状物15本における保護用筒状物自体の破損数により評価し、また、主に草食動物の食害による苗木の破損状況を、苗木の被害状況として、目視にて観察し評価した。被覆物の破損数および苗木の被害状況の結果を表5に示す。また、3年経過後の平均樹高(cm)の測定結果を表6に示す。
[比較例5]
実施例6の保護用筒状物の代わりに、被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)を苗木に設置し、実施例6と同様に、3年経過後に被覆物の破損数および苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。被覆物の破損数および苗木の被害状況の結果を表5に、平均樹高(cm)の測定結果を表6に示す。
[比較例6]
被覆物を使用しない無処理の苗木を、実施例6と同様に、3年経過後に苗木の被害状況を確認し、樹高の測定を行った。3年経過後の平均樹高(cm)の結果を表6に示す。
Figure 0007474075000006
Figure 0007474075000007
設置から3年間経過後、本発明の保護用筒状物は、比較例5の被覆物と比べても破損数が少なく、苗木の被害状況からも、草食動物による食害を抑制させることが可能であることがわかった。また、3年間経過後でも、倒壊等の被害もないことから、用いた資材および保護用筒状物自体の長期間における高い耐久性も確認できた。
設置から3年経過後、本発明の保護用筒状物を設置した苗木は、比較例5の被覆物を設置した苗木と比べても平均樹高が高い結果となり、平均以上の生育を示す効果が認められた。一方、被覆物を設置しなかった苗木(無処理)は、主にニホンジカによる枝葉食害が多発して、主幹を残すのみとなったが、本発明の保護用筒状物は、ほぼ全ての苗木において主にニホンジカおよびノウサギ等による食害は見られなかった。
本発明の保護用筒状物は、実施例4においては、2年以上、さらには実施例6においては3年もの長期間、苗木の生育を阻害することなく、草食動物の食害を予想以上に防止できることが確認された。これは、内部が視認しにくいことによる、視覚的な忌避作用による効果が大きいことが推察される。一方、内部を視認しにくくさせるために、光透過性を下げて遮光率を上げた場合でも、樹高測定の結果から、本発明の保護用筒状物を用いた苗木は平均以上に生育することがわかった。これより、本発明の保護用筒状物は透過光を補完する被覆物内部の散乱光による効果があることが推測され、苗木を草食動物による食害等から保護するだけでなく、苗木を育成する効果も有することが確認された。さらに、軽量化が図られているため、山間部造林地での作業性が向上する効果も有する。
[実施例7]照度測定
被覆物作製例1で作製した保護用筒状物を、冬場の明るい曇天下(午後13時頃)、地面に対して水平に置き、被覆物内部の照度(lx:ルクス)を照度計(竹村製作所製)にて測定した。照度計のセンサーを被覆物内部側面に向け、直達光を0度として基準とし、-45度、-90度、45度、90度となるように照度計のセンサーを傾け、各々の角度にて保護用筒状物内部の照度を測定した。照度測定の結果を表7に示す。
[実施例8]照度測定
被覆物作製例1で作製した保護用筒状物を二重にした以外は、同様に作製した保護用筒状物を、実施例7と同様に保護用筒状物内部の照度を測定した。照度測定の結果を表7に示す。
[実施例9]照度測定
被覆物作製例1で作製した保護用筒状物を三重にした以外は、同様に作製した保護用筒状物を、実施例7と同様に保護用筒状物内部の照度を測定した。照度測定の結果を表7に示す。
[比較例7]照度測定
実施例7と同様に、被覆物(登録商標 くわんたいM:保土谷アグロテック株式会社製)の内部を測定した照度測定の結果を表7に示す。
Figure 0007474075000008
照度測定の結果、本発明の保護用筒状物の内部は、比較例の被覆物よりも測定した全角度において照度が高いことが確認された。また、保護用筒状物を二重および三重にした場合は、表1より光透過性が低下することがわかったが、実施例7の保護用筒状物(一重)と同等に内部の明るさが保たれていることが確認された。このため、本発明の保護用筒状物は、比較例の被覆物より被覆物の内部が明るいことがわかった。
光透過性を有する被覆物で苗木を覆い、直射日光下に設置すると、内部の苗木には直達光が当たる。一方、本発明の保護用筒状物の内部は、直達光のみならず日射を受ける被覆物内部の反対面での直達光の乱反射によって、比較例の被覆物内部よりも散乱光が多く存在する。このため、苗木に当たる透過光だけでなく、散乱光によるある程度均一な光が当たることが推測され、成長促進の効果に寄与していることが考えられる。
本発明の保護用筒状物を用いること、および該保護用筒状物を用いた苗木の保護および育成方法により、造林地における植栽後の苗木の草食動物による食害を防止し、苗木の生育を保護することで健全な造林を行うことができる。
1 支柱
2 筒状物
3 ペグ
4 袋止め金具
5 苗木
6 地面
4-1 光源
4-2 被覆用の資材
4-3 照度計
4-4 遮光板
4-5 台

Claims (6)

  1. 通気性及び光透過性を有する繊維製の被覆用資材で構成され、土中に植栽された苗木を内部に収めることが可能な筒状物と、前記筒状物が直線状に固定され、前記土中に差し込むことによって、前記筒状物の直立性を保つことが可能な支柱と、を備えた苗木の保護用筒状物であって、
    前記被覆用資材は、繊維幅が約1mmの光沢のある白色の樹脂繊維を約1.5mm~2.0mmの格子状を形成するように熱圧着した、30%以上の光透過性を有する不織布であり、
    前記筒状物は、高さが50cm~200cmの円錐台又は円柱であり、前記筒状物の基部及び先端が前記支柱に固定され、前記筒状物を構成する前記被覆用資材が太陽からの直達光を乱反射させて散乱光にする、
    ことを特徴とする苗木の保護用筒状物。
  2. 前記被覆用資材、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかの樹脂繊維で構成されることを特徴とする、請求項1に記載苗木の保護用筒状物。
  3. 前記被覆用資材の単位面積当たりの重量が、20g/m 以上0g/m 以下であことを特徴とする、請求項2に記載の苗木の保護用筒状物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の保護用筒状物を用いた苗木の保護及び育成方法であって、
    土中に苗木を植栽する工程と、
    前記苗木が内部に収まるように前記保護用筒状物を設置する工程と、
    前記支柱の基部を前記土中に差し込み、前記保護用筒状物を前記苗木と独立させて固定する工程と、
    前記保護用筒状物の裾をペグによって地面に固定する工程と、
    を含む苗木の保護及び育成方法。
  5. 前記苗木が野外造林地の土中に植栽されたものである請求項4に記載の苗木の保護及び育成方法。
  6. 前記保護用筒状物が、前記苗木を野外造林地の土中に植栽してから3年以上にわたって設置される請求項5に記載の苗木の保護及び育成方法。
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