JP5375095B2 - ペルフルオロカルボン酸塩の製造方法、ペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法、テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法 - Google Patents

ペルフルオロカルボン酸塩の製造方法、ペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法、テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ペルフルオロカルボン酸塩及びその製造方法に関する。
従来より、フッ素系界面活性剤の表面張力低下能は、対応構造の炭化水素系界面活性剤あるいはシリコーン系界面活性剤より優れていることが知られている。このため、フッ素系界面活性剤は、広範な分野で使用されている。フッ素系界面活性剤の用途としては、乳化重合における乳化剤(重合乳化剤)、ワックス等のレベリング剤、発泡助剤、泡消化のための安定な泡沫生成および消火性能向上を目的とした添加剤、洗浄剤、離型剤、防錆剤、ラテックス安定剤、農業用フィルムの防霧剤、顔料分散剤、インク・塗料・レジスト等の濡れ性・浸透性改良、硬化性樹脂への撥水撥油性付与、防汚剤などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、含フッ素アルキル骨格を有する疎水基に親水基を付した構造を有する化合物である。フッ素系界面活性剤の表面張力低下能は、含フッ素アルキル骨格のフッ素化率に依存し、フッ素化率が高いほど表面張力低下能が高い傾向がある。そのため、フッ素系界面活性剤としては、ペルフルオロ化された含フッ素アルキル骨格を有するものが望ましいとされている。
これまで、界面活性剤として有用な各種構造の含フッ素化合物が提案されており、該フッ素化合物の1つとして、エーテル性酸素原子含有ペルフルオロカルボン酸塩がある。
該ペルフルオロカルボン酸塩を得る方法としては、テトラフルオロエチレンオキシドやヘキサフルオロプロピレンオキシドの開環重合によって得られるペルフルオロカルボン酸フルオリドを、加水分解することによってペルフルオロカルボン酸に変換し、さらにこれをアンモニウム塩、アルカリ金属塩等の塩にする方法が知られており、得られたペルフルオロカルボン酸塩を界面活性剤として使用することが報告されている(特許文献1参照。)。
米国特許第3,271,341号明細書
しかし、前述した従来の方法で得られるペルフルオロカルボン酸塩は、表面張力低下能が充分ではなかったり、製品ごとにその表面張力低下能にばらつき、着色等が生じる問題がある。該問題は、当該ペルフルオロカルボン酸塩を用いて製造される製品の品質の低下を引き起こすおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、表面張力低下能に優れたペルフルオロカルボン酸塩及びその製造方法を提供する。
本発明者らの検討により、前述した従来の方法で得られるペルフルオロカルボン酸塩は、不純物として多量の金属分を含んでいることがわかった。そして、特定の金属がペルフルオロカルボン酸塩の表面張力低下能に悪影響を与えること、さらに、当該金属を一定量以上含有するペルフルオロカルボン酸塩を用いて含フッ素重合体の製造を行うと、得られる重合体に着色が生じることを見出した。
本発明は以下を要旨とするものである。
(1)鉄の含有量が10質量ppm以下である下式(1)で表されるペルフルオロカルボン酸塩 鉄の含有量が10質量ppm以下である下式(1)で表されるペルフルオロカルボン酸塩の製造方法であって、
下式(p1)で表される化合物(p1)と下式(p2)で表される化合物(p2)とのエステル化反応により下式(p3)で表される化合物(p3)を得、該化合物(p3)をペルフルオロ化することによって下式(p4)で表される化合物(p4)を得、該化合物(p4)におけるエステル結合の分解反応を行うことによって下式(p2)で表される化合物(2)を得る工程と、
前記化合物(2)を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器を備えた反応装置を用いて加水分解することにより下式(3)で表される化合物(3)を得る工程と、
前記化合物(3)を塩化する工程と、
を経て前記ペルフルオロカルボン酸塩を得ることを特徴とするペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
(化1)
R(OCH(X)CHOH …(p1)
Q(COF) …(p2)
Q[COO(CHCH(X)O)R] …(p3)
[COO(CFCF(X)O) …(p4)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COF …(2)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COOH …(3)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COO …(1)
[式中、Rは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価の有機基であり、XおよびXは、それぞれ独立に、フッ素原子であり、kは1以上の整数であり、Mはアンモニウムイオンまたはアルキル置換アンモニウムイオンである。Rは、フッ素化され得る部分を有する炭素数1〜10の1価の有機基であり、X は水素原子であり、Qはn価の含フッ素有機基であり、nは1〜4の整数であり、Q は、Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場合はQと同一であり、Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合はペルフルオロ化されたQであり、X はフッ素原子である。]
(2)上記化合物(3)を得る工程で得られた反応生成物におけるフッ酸の含有量を、該反応生成物の総質量中1質量%以下とした後、化合物(3)を塩化する工程を行う請求項1に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法。
前記ペルフルオロカルボン酸塩のナトリウムおよびカリウムの含有量の合計が50質量ppm以下である上記(1)または(2)に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
前記ペルフルオロカルボン酸塩のカルシウムおよびマグネシウムの含有量の合計が10質量ppm以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
前記ペルフルオロカルボン酸塩の鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの含有量の合計が70質量ppm以下である上記(1)〜()のいずれかに記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
ルフルオロカルボン酸塩が、水性媒体に溶解または分散されてなるペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法であって、
前記ペルフルオロカルボン酸塩を、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法により製造することを特徴とするペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法
前記ペルフルオロカルボン酸塩水溶液のpHが2〜12の範囲内である上記()に記載のペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法。
)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法によりペルフルオロカルボン酸塩を製造し、得られたペルフルオロカルボン酸塩を重合乳化剤として用いて、テトラフルオロエチレンを単独または共重合可能な他のモノマーと共に水性媒体中で乳化重合する、テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法。
本発明により、表面張力低下能に優れたペルフルオロカルボン酸塩を提供できる。これにより、このペルフルオロカルボン酸塩を界面活性剤としてテトラフルオロエチレンを重合させた場合に、重合体を高収率で得ることができる。また、当該ペルフルオロカルボン酸塩を用いて製造されるテトラフルオロエチレンの重合体は着色の問題がない。
<ペルフルオロカルボン酸塩>
本発明のペルフルオロカルボン酸塩は、前記式(1)で表される化合物(1)からなる。以下、本明細書においては、「式(n)で表される化合物(nは任意の符号。)」を単に「化合物(n)」と記載する。
式(1)中、Rは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価の有機基である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「有機基」とは、炭素原子と、炭素原子以外の少なくとも1種の原子とを含有する基を意味する。
「ペルフルオロ化された有機基」とは、フッ素化され得る部分を有する有機基をペルフルオロ化してなる構造の基である。
「フッ素化され得る部分」としては、たとえばC−H部分、炭素−炭素不飽和結合部分(C=C部分、C≡C部分等)が挙げられる。
「ペルフルオロ化」とは、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され得る部分を、実質的に全てフッ素化することを意味する。たとえば、フッ素化され得る部分としてC−H部分を有する有機基をペルフルオロ化した基においては、C−H部分の実質的に全てがC−Fになる。また、炭素−炭素不飽和結合が存在する有機基をペルフルオロ化した基においては、実質的に全ての不飽和結合において、当該不飽和結合を形成する炭素原子それぞれにフッ素原子が付加してC−Fが形成されるとともに、不飽和結合が単結合(C−C)となる。
フッ素化され得る部分を有する有機基としては、C−H部分を有する有機基が好ましく、特に、不飽和結合を有さない飽和有機基が好ましい。
飽和有機基としては、飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基、部分ハロゲン化飽和炭化水素基、または部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基が挙げられる。
1価の飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、または環構造を有する1価飽和炭化水素基(たとえば、置換基としてアルキル基を有するシクロアルキル基、置換基としてシクロアルキル基を有するアルキル基、またはこれらの基を部分構造とする基)等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
「エーテル性酸素原子」とは、エーテル結合(C−O−C)を形成する酸素原子を意味し、「エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基」とは、炭素数2以上の飽和炭化水素基において、その炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基を意味する。
1価のエーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基としては、炭素数2以上のアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された基、シクロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された基等が挙げられる。
「部分ハロゲン化飽和炭化水素基」とは、飽和炭化水素基が、水素原子が残る割合でハロゲン化された基を意味する。「部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基」とは、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基が、水素原子が残る割合でハロゲン化された基を意味する。部分ハロゲン化飽和炭化水素基および部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
としては、上述したフッ素化され得る部分を有する有機基のうち、炭素数1〜10の1価のものがペルフルオロ化された基が挙げられる。
の炭素数は、1〜5が好ましく、2〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましい。
は、表面張力低下能に優れることから、直鎖状であることが好ましい。
として、具体的には、たとえば、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CFCFCFCF、−CF(CF、−CFCF(CF、−CF(CF)CFCF、−C(CF等のペルフルオロアルキル基;−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCFCFCF(bは1以上の整数であり、1〜5の整数が好ましい。)、−(CFOCF(dは1以上の整数であり、1〜8の整数が好ましい。)等のエーテル性酸素原子含有ペルフルオロアルキル基が挙げられる。Rとして、−CFCFまたは−CFCFCFが特に好ましい。
およびXは、それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。本発明においては、XおよびXが同じであることが好ましく、特に、XおよびXがともにフッ素原子であることが好ましい。
kは1以上の整数であり、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、2または3がさらに好ましい。
化合物(1)は、総炭素数が、5〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、5〜6であることがさらに好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例として、下記化合物(1−1)〜(1−7)が挙げられる。
(化2’)
CFOCFCFOCFCOO(NH …(1−1)
CF(OCFCFOCFCOO(NH …(1−2)
CFCFOCFCFOCFCOO(NH …(1−3)
CFCF(OCFCFOCFCOO(NH …(1−4)
CFCFCF(OCFCFOCFCOO(NH …(1−5)
CFCFCFOCFCFOCFCOO(NH …(1−6)
CF(CFOCFCFOCFCOO(NH …(1−7)
本発明のペルフルオロカルボン酸塩における、化合物(1)の含有割合は、ペルフルオロカルボン酸塩中の総固形分に対し、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%がより好ましい。
本発明のペルフルオロカルボン酸塩における鉄の含有量は10質量ppm以下である。上記鉄の含有量が10質量ppm以下である場合、ペルフルオロカルボン酸塩は界面活性剤として効率よく機能する。さらに、当該ペルフルオロカルボン酸塩を界面活性剤として用い、含フッ素単量体を重合させた場合は、得られる含フッ素重合体が着色するという問題が発生しない。
鉄の含有量は5質量ppm以下であるのが好ましく、さらには3質量ppm以下であるのが好ましい。
また、本発明のペルフルオロカルボン酸塩においては、ナトリウムおよびカリウムの含有量の合計は50質量ppm以下であるのが好ましい。ナトリウムおよびカリウムの含有量が上記範囲である場合は、表面張力低下能がより優れるとともに、得られる含フッ素重合体がより着色しにくくなる。ナトリウムおよびカリウムの含有量は、25質量ppm以下であるのが好ましく、さらには10質量pp以下であるのが好ましい。
さらに、本発明のペルフルオロカルボン酸塩においては、表面張力低下能をより高めるとともに、得られる含フッ素重合体の着色を防ぐという観点から、カルシウムおよびマグネシウムの含有量の合計を10質量ppm以下とするのが好ましく、さらには5質量ppm以下とするのが好ましい。
また、同様の観点から、ペルフルオロカルボン酸塩におけるクロムの含有量は2質量ppm以下とするのが好ましく、ペルフルオロカルボン酸塩におけるニッケルの含有量は1質量ppm以下とするのが好ましい。
さらに、本発明のペルフルオロカルボン酸塩においては、鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの含有量の合計は、70質量ppm以下とするのが好ましく、さらには30質量ppm以下とするのがより好ましい。
上述した鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの各々の含有量は、ICP(誘導結合高周波プラズマ分光分析)法等により測定できる。
上記各金属の含有量の下限は、特に制限はなく、0であってもよい。
本発明のペルフルオロカルボン酸塩は、さらに、水性媒体を含有してもよい。本発明のペルフルオロカルボン酸塩は、固体として用いてもよく、液体として用いてもよいが、水性媒体に溶解または分散させることにより、重合乳化剤等の用途における有用性が向上する。たとえば、水性媒体に溶解または分散させた液は、粉末状等の固体である場合と比較して、反応系中に素早く均一に分散させることができ、また、粉末状のものに比べて、作業性、環境等に対する安全性等が向上する。
水性媒体としては、たとえばイオン交換水、純水、超純水等の水が挙げられる。
ワックス等のレベリング剤、発泡助剤、泡消火のための安定な泡沫生成および消火性能向上を目的とした添加剤など、用途によっては、水性媒体は、水とともに、水溶性の有機溶剤を含んでもよい。該有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エチレングリコール類、プロピレングリコール類などが挙げられる。
水性媒体中に有機溶剤を含有する場合には、その含有割合は、水100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。前記範囲の下限値以上であると、ペルフルオロカルボン酸塩組成物の水性媒体に対する溶解度が向上し、上限値以下であると、経済性、不燃性が向上する。
重合乳化剤用途では、有機溶媒を含有しない水性組成物がより好ましい。
本発明のペルフルオロカルボン酸塩水溶液中、水性媒体の含有量は、ペルフルオロカルボン酸塩の化合物(1)の濃度が5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましく、25〜35質量%となる量がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、効果、経済性が良好であり、上限値以下であると、ペルフルオロカルボン酸塩の水性媒体に対する分散性が良好である。
本発明のペルフルオロカルボン酸塩水溶液は、そのpHが、2〜12であることが好ましく、4〜10がより好ましく、5〜7が特に好ましい。
pHが上記範囲内であると、水性媒体中における化合物(1)の安定性が高く、良好な表面張力低下能が得られる。
一方、pHが2未満であると、水溶液がゲル状となったり、水性媒体中に沈殿が生じるおそれがあり、また、それによって、ペルフルオロカルボン酸塩の表面張力低下能が低下したり、表面張力低下能にばらつきが生じるおそれがある。また、当該水溶液を乳化重合における乳化剤として用いた場合に、その高い酸性が、反応や反応容器に悪影響を及ぼすおそれがある。pHが12超であると、水性媒体中で化合物(1)が分解するおそれがある。
<ペルフルオロカルボン酸塩の製造方法>
本発明のペルフルオロカルボン酸塩は、たとえば下記化合物(2)を加水分解することにより下記化合物(3)を得る工程と、前記化合物(3)を塩化して前記化合物(1)を得る工程とを経て製造できる。
(化3)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COF …(2)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COOH …(3)
[上記式中、R、X、Xおよびkは、それぞれ、前記式(1)中のR、X、Xおよびkと同じである。]
化合物(2)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(化4)
CFOCFCFOCFCOF
CFCFCFOCFCFOCFCOF
CF(CFOCFCFOCFCOF
CF(OCFCFOCFCOF
CFCFOCFCFOCFCOF
CFCF(OCFCFOCFCOF
CFCFCF(OCFCFOCFCOF
化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(化5)
CFOCFCFOCFCOOH
CF(OCFCFOCFCOOH
CFCFOCFCFOCFCOOH
CF(CFOCFCFOCFCOOH
CFCF(OCFCFOCFCOOH
CFCFCF(OCFCFOCFCOOH
化合物(2)としては、市販のものを用いてもよく、公知の化合物に公知の手法を適用することによって製造してもよい。該手法としては、たとえば下記化合物(p1)を原料として用いる、本出願人による国際公開00/56694号パンフレット等に記載の方法が挙げられる。該方法においては、下記化合物(p1)と下記化合物(p2)とのエステル化反応により下記化合物(p3)を得、該化合物(p3)をペルフルオロ化することによって下記化合物(p4)を得、該化合物(p4)におけるエステル結合の分解反応を行うことによって前記化合物(2)(ペルフルオロカルボン酸フルオリド)を得る。
(化6)
R(OCH(X)CHOH …(p1)
Q(COF) …(p2)
Q[COO(CHCH(X)O)R] …(p3)
[COO(CFCF(X)O) …(p4)
(OCF(X)CFk−1OCF(X)COF …(2)
[上記式中、R、X、Xおよびkは、それぞれ、前記式(1)中のR、X、Xおよびkと同じである。Rは、フッ素化され得る部分を有する炭素数1〜10の1価の有機基であり、Xは水素原子またはメチル基であり、Qはn価の含フッ素有機基であり、nは1〜4の整数であり、Qは、Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場合はQと同一であり、Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合はペルフルオロ化されたQであり、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。]
Rの炭素数1〜10の1価の有機基としては、前記Rにおいて、フッ素化され得る部分を有する有機基として挙げたもの、たとえば飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基、部分ハロゲン化飽和炭化水素基、部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基等が挙げられる。
Qとしては、フッ素化され得る部分を有するn価の有機基がフッ素化された構造のものが挙げられる。
フッ素化され得る部分を有するn価の有機基としては、n価である以外は、前記Rにおいて、フッ素化され得る部分を有する有機基として挙げたものと同様のもの、たとえばn価の飽和炭化水素基、n価のエーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基、n価の部分ハロゲン化飽和炭化水素基、n価の部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基等が挙げられる。
n価の飽和炭化水素基としては、飽和炭化水素(たとえば、アルカン、シクロアルカン)中のn個の水素原子が結合手になった基が挙げられる。たとえば、2価の飽和炭化水素基としては、アルキレン基が挙げられる。
n価のエーテル性酸素原子を含む炭化水素基としては、エーテル性酸素原子を含む飽和炭化水素中のn個の水素原子が結合手になった基が挙げられる。該基中のエーテル性酸素原子の数は特に限定されず、1個または2個以上であってもよい。たとえば、2価の基としては、アルキレンオキシアルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
Qにおいて、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され得る部分は、その一部がフッ素化されていてもよく、全部がフッ素化(すなわちペルフルオロ化)されていてもよい。
nとしては、1〜4の整数が好ましく、1〜2の整数がより好ましく、1が最も好ましい。すなわち、Qは1価の含フッ素有機基であることが最も好ましい。
1価の含フッ素有機基としては、たとえばCF(CF−(aは1〜8の整数が好ましい)、CFCF(CF)CFCF−等のペルフルオロアルキル基;CFCFCFOCF(CF)−、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−、CFCFOCFCFOCF−等のエーテル性酸素原子含有ペルフルオロアルキル基が挙げられる。
は、Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場合はQと同一であり、Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合はペルフルオロ化されたQである。
つまり、前記Qが、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され得る部分がペルフルオロ化されたものである場合は、Qはそれ以上フッ素化され得る部分を有さないため、化合物(p3)をペルフルオロ化しても変化しない。
一方、前記Qが、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され得る部分の一部がフッ素化されたものである場合は、Qはフッ素化され得る部分を有するため、化合物(p3)をペルフルオロ化する過程で、Q中のフッ素化され得る部分がペルフルオロ化される。
化合物(2)の加水分解反応は公知の方法により実施でき、該反応の条件、操作、手段等については、特に限定されない。
たとえば化合物(2)と水とを反応させることにより加水分解を行う場合には、反応温度は−10〜+100℃が好ましく、特に0〜50℃が好ましい。反応圧力は、常圧が好ましく、減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
反応は、無溶媒で行うことが好ましく、生成物の融点によっては不活性な溶媒中で行っても良い。
水の使用量は、化合物(2)に対して0.9〜1.2倍モルが好ましく、0.95〜1.05倍モルが特に好ましい。
反応時間は反応温度によっても適宜変更でき、1〜5時間程度が好ましい。
加水分解反応では、フッ酸(HF)が発生する。該HFは、加水分解反応粗液に窒素をバブリングさせ、HFを窒素気流に同伴させることによって反応系外に排出できる。
得られた反応生成物は、そのまま次の塩化工程に用いることができるが、必要に応じて蒸留精製を行っても良い。蒸留精製を行うことにより、反応生成物中に残留するHFを除去できる。反応生成物中にHFが残留していると、塩化工程で使用する反応装置、蒸留精製で使用する蒸留装置において、当該反応生成物と接触する部分の材質が金属を含む場合に、当該材質がHFによって腐食して金属分が溶出し、結果、得られる生成物中の金属含有量が増大する。
金属分の溶出を抑制するためには、塩化工程を行う前の段階において、反応生成物に含まれるHFの量を、当該反応生成物の総質量中1質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がとりわけ好ましい。
化合物(3)の塩化反応は、カルボン酸の中和に用いられる公知の方法により実施でき、たとえば化合物(3)に、アルカリ水溶液を添加し、中和することにより実施できる。
前記アルカリとしては、化合物(1)のMに対応するものを用いればよく、たとえばアンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
前記アルカリ水溶液の製造に使用される水性媒体としては、前記本発明のペルフルオロカルボン酸塩が含有してもよい水性媒体として挙げたものと同じものが挙げられる。
塩化反応は、常法に従って行えばよく、該反応の条件、操作、手段等については、特に限定されない。反応温度は−10〜+100℃が好ましく、特に0〜+50℃が好ましい。反応圧力は、常圧が好ましく、減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
このようにして得られる反応生成物は、化合物(1)を含有する水性組成物である。該水性組成物は、ペルフルオロカルボン酸塩組成物として、そのまま使用してもよく、必要に応じて乾燥し、固体としてもよい。そのまま使用する場合、該水性組成物のpHは、上述したように、2〜12とすることが好ましく、4〜10が特に好ましい。
がアンモニウムイオンである場合、化合物(3)の塩化反応は、反応に不活性な非水溶媒に化合物(3)が溶解した溶液中に、アンモニアガスを吹き込むことにより行っても良い。この場合、反応生成物は、反応溶液中に固体として沈殿するため、ろ過により単離できる。
該反応に用いる非水溶媒は、反応に不活性なものであればよく、ジクロロメタン等の塩素系溶媒、および/またはジクロロペンタフルオロプロパン等のフッ素系溶媒を用いることが好ましい。
反応温度は−10〜+100℃が好ましく、特に0〜+50℃が好ましい。反応圧力は常圧が好ましく、減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
単離された反応生成物は、化合物(1)を含有する。該反応生成物は、固体のまま用いてもよく、水性媒体に溶解させ、水性組成物として用いてもよい。前述の理由から、当該反応生成物は、水性組成物として用いることが好ましく、その場合、pHを、前述と同様、2〜12とすることが好ましく、4〜10が特に好ましい。
本発明においては、上述のようにして得られるペルフルオロカルボン酸塩中の鉄の含有量を10質量ppm以下とする。その方法としては、前記化合物(2)を加水分解する工程において、該加水分解を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器を備えた反応装置を用いる方法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のペルフルオロカルボン酸塩組成物は、化合物(2)を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器を備えた反応装置を用いて加水分解することにより化合物(3)を得る工程と、前記化合物(3)を塩化して前記化合物(1)を得る工程とを経て得られるものであることが好ましい。
前記反応装置を用いることにより、加水分解工程において、反応生成物中の各金属の含有量が増大するのを容易かつ効果的に抑制できる。
すなわち、前述の化合物(2)を加水分解する工程では、化合物(3)と等モル量のHFが副生する。HFは腐食性が高く、金属製の反応器またはガラス製の反応器を用いた場合には、鉄、クロム、ニッケル、珪素、アルミニウム、銅、ナトリウム、バリウム、ホウ素、カリウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、モリブデンおよびマグネシウムなどの金属分が反応器材質から溶出する。さらに、反応系中にHFと水とが共存する場合には、腐食性が著しく高くなり、金属分の溶出量が増大する。
前述の特許文献1では、ペルフルオロカルボン酸フルオリド(化合物(2)に相当する。)を加水分解する際、ペルフルオロカルボン酸フルオリドに対して過剰の水を加えており、腐食性が著しく高い加水分解条件である。一方、反応器材質の種類や、金属分除去のための精製工程に関する記載はなく、得られるペルフルオロカルボン酸塩には多量の金属が含まれると推測される。本発明者らの知見によれば、化合物(1)とともに多量の金属が共存すると、化合物(1)の表面張力低下能が阻害され、また、その安定性も低下する。
前述した、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器としては、全体がフッ素樹脂製である反応器、フッ素樹脂以外の材質の反応器の内側表面をフッ素樹脂でコーティングした反応器(以下、フッ素樹脂ライニング反応器という。)等が挙げられる。該反応器は、HFに対する耐腐食性が高く、加水分解時に発生するHFによる反応器の腐食と、それに伴う金属分の溶出を、水とHFとが共存する著しく腐食性が高い条件であっても防止でき、化合物(1)を構成しない金属の含有量が増加するのを防止できる。
上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(COP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等が挙げられる。上記フッ素樹脂としては、PTFEまたはCOPまたはPFAが好ましい。
該反応装置は、反応器以外の付帯設備を備えていてもよい。該付帯設備としては、撹拌翼、コンデンサー、配管などの付帯設備の接ガス部、接液部等が挙げられる。本発明においては、金属分の溶出を最小限にするため、反応器だけでなく、付帯設備のすべてが、フッ素樹脂でコーティングされた反応装置を用いることが好ましい。
<テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法>
本発明においては、上記ペルフルオロカルボン酸塩を重合乳化剤として用い、テトラフルオロエチレンを単独または共重合可能な他のモノマーと共に水性媒体中で乳化重合を行う。
ここで、重合乳化剤は、モノマーの合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部添加するのが好ましい。
テトラフルオロエチレンを単独で重合させた場合は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が得られる。
テトラフルオロエチレンと共重合可能な他のモノマーとしては、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、CF=CFOR(式中、Rは、エーテル性の酸素原子を含んでもよい炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基)で表されるペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの含フッ素モノマーが挙げられる。
テトラフルオロエチレンとこれらの他のモノマーとを共重合させることにより、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)などのフッ素樹脂が得られる
これらのフッ素樹脂は、その優れた耐薬品性と高純度性により、極めて清浄度が要求される半導体の製造プロセスに広く使用されている。ここ数年の半導体デバイスの高集積化、微細化は加速状態にあり、より微細なデバイス実現のためには、半導体デバイス製造プロセス中に混入される金属不純物を極限まで低減することが求められている。この観点からも、本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂は好ましいものであると言える。
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下において、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンをR−113と記す。
ガスクロマトグラフィをGCと記し、GC分析における結果はピーク面積比で示す。
ガスクロマトグラフ質量分析をGC−MSと記す。
核磁気共鳴をNMRと記す。
以下の製造例において、室温とは、20〜30℃である。
各実施例および比較例で製造した生成物(試料)中のペルフルオロカルボン酸塩の純度は、試料をメチルエステル化した後、GCで分析することにより測定した。
また、各実施例および比較例で製造した生成物中の各金属の含有量は、試料を灰化した後、硝酸水溶液で溶解させて調製した試料溶液について、ICP法により測定した。
(A−1) CFCFOCFCFOCFCOO(NHの製造例
[実施例1]
<(工程1−1):エステル化反応によるCHCHO(CHO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの製造工程>
ハステロイC製の2Lのオートクレーブに、CHCHO(CHO(CHOHの300gを入れ、オートクレーブを冷却し、密閉撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりとCFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COFの1339gを導入した。全量を導入後、さらに30℃で3時間の撹拌を行った後、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出して生成物を得た。
生成物をGC分析した結果、CHCHO(CHO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFが99.6%の収率で生成しており、未反応のCHCHO(CHO(CHOHは検出されなかった。この生成物は精製することなく、次の(工程1−2)に使用した。
<(工程1−2):フッ素化反応によるCFCFO(CFO(CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの製造工程>
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113の312gを加えた後に撹拌して25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。
オートクレーブに、窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20容積%に希釈したフッ素ガス(以下、20%希釈フッ素ガスと記す。)を、室温で、流速17.04L/hにて1時間吹き込んだ。つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、(工程1−1)で得た生成物の10gをR−113の150gに溶解した溶液を、4.1時間かけて注入した。
続いて、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を0.15MPaGまで昇圧した。つぎに、オートクレーブに、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を、25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。
つぎに、オートクレーブ内圧力を0.15MPaGに、オートクレーブ内温度を40℃に保ちながら、前記ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液の6mLを注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。さらに同様の操作を1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.22g、R−113の注入総量は21mLであった。
さらに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら1時間撹拌を続けた。つぎに、オートクレーブ内圧力を常圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。
生成物を19F−NMRで分析した結果、標記化合物が収率99%で含まれていた。またH−NMRおよびGC−MSで分析した結果、C−H結合を有する化合物は確認されなかった。
<(工程1−3):エステル結合の分解反応によるCFCFO(CFOCFCOFの製造工程>
10℃の還流器を備えた蒸留塔の釜(容量2L)に、CFCFO(CFO(CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの4273gを仕込み、フッ化カリウムの12.6gを加えて、12時間の加熱撹拌(熱媒温度:100〜130℃)を行いながら、分解反応を行った。次いで、蒸留を行い、主留として純度99%以上の留分1273gを回収した。
この留分は、沸点66.5℃、収率84.5%であった。また、該留分をH−NMRおよびGC−MSで分析した結果、C−H結合を有する化合物は確認されなかった。生成物の19F−NMRの分析結果は下記である。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):16.3(1F)、−75.4(2F)、−85.5(3F)、−86.5(2F)、−87.4(4F)。
<(工程1−4):加水分解によるCFCFO(CFOCFCOOHの製造工程>
200mLのフッ素樹脂ライニング反応器に、(工程1−3)で得られたCFCFO(CFOCFCOFの133gを仕込み、氷冷下、激しく撹拌しながら水の6.7gをゆっくり滴下して加水分解を行った。滴下後、徐々に室温まで昇温し、さらに5時間撹拌を続けた。次いで、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出しながら、さらに15時間の撹拌を行った。
その結果、純度99.2%のCFCFO(CFOCFCOOHが、収率94%で得られた。また、得られたCFCFO(CFOCFCOOHに含まれるHFの量を、Fイオンメーターで分析したところ、77質量ppmであった。生成物の19F−NMRの分析結果は下記である。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−78.7(2F)、−87.3(3F)、−88.8(2F)、−89.1(4F)。
<(工程1−5)アンモニウム塩化によるCFCFOCFCFOCFCOO(NHの製造工程>
撹拌機および還流コンデンサーを備えた200mLのガラス製反応器に、市販のアンモニア水(28質量%)を10倍に稀釈することで調整した2.8質量%アンモニア水の58gを仕込んだ。次に、これを撹拌しながら、氷冷下、(工程1−4)で得られたCFCFO(CFOCFCOOHの33gをゆっくり滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、40℃で5時間保持した。その後、固形物濃度(蒸発乾固により測定)とpH(pHメーターにより測定)を測定しながら、2.8質量%アンモニア水と、水とを少量ずつ加えて撹拌し、固形物濃度=30.0%、pH=5.7に調整することで、115gのCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、得られた固形物の純度を上述した測定方法により測定したところ、99%であった。また、該固形物に含まれる金属の含有量をICP法により分析した。分析結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の(工程1−4)で用いたフッ素樹脂ライニング反応器をSUS304製反応器に変更し、水の6.7gを水の10.0gに変更した以外は実施例1と同様にして、115gのCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例1と同様にして金属の含有量を分析した。分析結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の(工程1−5)で用いたガラス製反応器をSUS304製反応器に変更した以外は実施例1と同様にして、115gのCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例1と同様にして金属の含有量を分析した。分析結果を表1に示す。
(A−2) CF(CFO(CFOCFCOO(NHの製造例
[実施例3]
実施例1の(工程1−1)で用いたCHCHO(CHO(CHOHを、CH(CHO(CHO(CHOHに変更した以外は実施例1と同様にして、CF(CFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例1と同様にして金属の含有量を分析した。分析結果を表1に示す。
Figure 0005375095
(B)ペルフルオロカルボン酸塩水溶液の調製と表面張力の測定
[試験例1]
実施例1〜3および比較例1で得られたCFCFO(CFOCFCOO(NHの水溶液に、それぞれ、2.8質量%アンモニア水と水とを、表1に示す固形物濃度とpHとなるように添加して撹拌することにより、表1に示す実施例サンプル1〜15および比較例サンプル1〜3を調製した。
次いで、これらのサンプルについて、固形物濃度30質量%における性状(外観、物性)と、固形物濃度0.1質量%および1.0質量%における表面張力低下能とを評価した。表面張力低下能は、白金プレートを用い、ウィルヘルミー法により、表面張力を測定することにより行った。該表面張力が小さいほど、表面張力低下能が高いことを示す。評価結果を表2に示す。なお、表2において、カルボン酸塩の金属含量は、鉄、クロム、ナトリウム、アルミニウム、バリウム、銅、ホウ素、ニッケル、カリウム、カルシウム、亜鉛、マンガンおよびマグネシウムの含有量の合計である。
Figure 0005375095
上記結果から明らかなように、金属含量が5ppmまたは50ppmのCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液を用いた実施例サンプル1〜15は、表面張力低下能が高く、また、透明なものであった。特に、pHが2〜12の範囲内である実施例サンプル4〜18は、固形物濃度が30.0質量%であっても液状であるなど、良好な性状を有していた。
一方、金属含量が250ppmのCFCFO(CFOCFCOO(NH )水溶液を用いた比較例サンプル1〜3は、金属含量以外は同じ条件である実施例サンプル4〜6に比べて、表面張力低下能が低かった。
(C−1)PTFEの製造試験
[実施例c1]
邪魔板、撹拌機を備えた、100Lのステンレス鋼製オートクレーブに、実施例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)の233g、パラフィンワックス(融点52℃)の872g、脱イオン水の59Lを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後減圧にして、テトラフルオロエチレン(TFE)で加圧し、撹拌しながら70℃に昇温した。次いでTFEで1.765MPaまで昇圧し、ジコハク酸パーオキシド(濃度80質量%、残りは水分)の5.0gを約70℃の温水1Lに溶解して注入した。3分ほどで内圧が1.746MPaまで降下した。
オートクレーブ内圧を1.765MPaに保つようにTFEを添加しながら重合を進行させた。重合途中で、前述のCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液を合計417g添加した。また亜硫酸アンモニウムを水に溶解して重合途中で亜硫酸アンモニウムとして合計4g添加した。温度は途中64℃まで下げ、重合後半は80℃まで昇温した。TFEの添加量が23kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は155分であった。得られたPTFEの水性乳化液を冷却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。水性乳化液の固形分濃度は約26質量%であった。また、PTFE微粒子の平均一次粒径は0.275μmであった。反応器中の凝固物は痕跡程度であった。
この水性乳化液を純水で濃度10質量%に希釈し20℃に調整した後、撹拌してPTFE微粒子を凝集させた。得られたPTFEパウダーをオーブン中、180℃で6時間乾燥した。得られたPTFEパウダーは、着色のない白色で、標準比重(SSG)は2.151であり、平均粒子径は550μmであった。
次いで、PTFEパウダーの50gを13.6%硝酸溶液40mLに入れて、80℃で2時間加熱した。さらに溶出液30mLを蒸発乾固させ、残渣を硝酸溶液に溶解して、溶液中の金属濃度をICP−MS法により定量したところ、該金属濃度は15ng/gであった。
[比較例c1]
実施例c1におけるCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を、比較例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)に変更した以外は実施例c1と同様の反応を行い、PTFEパウダーを得た。得られたPTFEパウダーは若干着色していた。得られたPTFEパウダーの50gを13.6%硝酸溶液40mLに入れて、80℃で2時間加熱した。さらに溶出液30mLを蒸発乾固させ、残渣を硝酸溶液に溶解して、溶液中の金属濃度をICP−MS法により定量したところ、該金属濃度は80ng/gであった。
(C−2)TFE/PPVE共重合体の製造試験
[実施例c2]
1.3Lの攪拌機付き重合槽を脱気し、実施例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)の3gを溶かしたイオン交換水600g、メタノールの1.0g、CF=CFOCFCFCF(ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、以下、PPVEという。)の35g、及び過流酸アンモニウム塩(以下、APSという。)の0.1gを仕込み、攪拌回転数を300rpmとして攪拌した。重合槽内を65℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)を仕込み、重合槽内の圧力を1.0MPaとして、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFEを連続的に仕込み、TFEの連続仕込み量が200gになった時点で重合槽内を室温に冷却し、未反応TFEをパージした。重合槽を開放し、得られた水性乳化液を凍結させて、破壊して共重合体を析出させた後1000mlのイオン交換水(25℃)で洗浄を三回繰り返した。次いで、150℃で12時間乾燥させて、205gのTFE/PPVE共重合体を得た。得られた共重合体は、融点が305℃、MFR(Melt Flow Rate)(372℃、荷重5kg)が15g/分、共重合体中のPPVEに基づく重合単位の含有量が3.9質量%(1.47モル%)であり、溶融成形可能なフッ素樹脂であった。これを340℃で加圧プレスし、得られたシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=−6であり、着色の無い白色であることが認められる。
[比較例c2]
実施例c2におけるCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を、比較例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)に変更した以外は実施例c2と同様の反応を行い、得られたフッ素樹脂を340℃で加圧プレスし、得られるシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=+3であり、褐色の着色が認められる。
(C−3)TFE/HFP共重合体の製造試験
[実施例c3]
実施例c2と同じ重合槽を脱気し、実施例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)の3g溶かしたイオン交換水600g、ヘキサフロロプロピレン(以下、HFPという。)の200gおよびAPSの0.3gを仕込み、攪拌回転数を300rpmとして攪拌した。重合槽内を65℃に昇温し、TFEを仕込み、重合槽内の圧力を1.5MPaとして重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFEを連続的に仕込み、TFEの連続仕込みが150gになった時点で重合槽内を室温に冷却し、未反応モノマーをパージした。重合槽を開放し、得られた水性乳化液を凍結させて、破壊して共重合体を析出させた後、1000mlのイオン交換水(25℃)で洗浄を三回繰り返した。次いで、150℃で12時間乾燥させて、160gのTFE/HFP共重合体が得られた。得られた共重合体は、融点が261℃、MFR(372℃、荷重5kg)が17g/分、共重合体中のHFPに基づく重合単位の含有量が11.8質量%(7.9モル%)であり、溶融成形可能なフッ素樹脂であった。これを340℃で加圧プレスし、得られたシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=−6であり、着色の無い白色であることが認められる。
[比較例c3]
実施例c3におけるCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を、比較例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7に変更した以外は実施例c3と同様の反応を行い、得られるフッ素樹脂を340℃で加圧プレスし、得られるシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=+3であり、褐色の着色が認められる。
(C−4)TFE/エチレン/PFBE共重合体の製造試験
[実施例c4]
実施例c2と同じ重合槽を脱気し、実施例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)の6g溶かしたイオン交換水600g、ターシャリーブタノールの60g、(ペルフルオロブチル)エチレン(以下、PFBEという。)の2.4g、APSの0.15gを仕込み、攪拌回転数を300rpmとして攪拌した。TFEの111g、エチレン(以下、Eという。)の8gを仕込み重合槽内を65℃に昇温して重合を開始させた。重合圧力は2.9MPaであった。重合中圧力が一定になるようにTFE/E=53/47モル比の混合モノマーを連続的に仕込み、混合モノマーを10g仕込むごとに0.3gのPFBEを仕込んだ。混合モノマーの連続仕込みが270gになった時点で重合槽内を室温に冷却し、未反応モノマーをパージした。重合槽を開放し、得られた水性乳化液を凍結させて、破壊して共重合体を析出させた後、1000mlのイオン交換水(25℃)で洗浄を三回繰り返した。次いで、150℃で12時間乾燥させて、285gのTFE/E共重合体が得られた。得られた共重合体は、融点が262℃、MFR(297℃、荷重5kg)が8g/分、共重合体のTFEに基づく重合単位/Eに基く重合単位/PFBEに基く重合単位のモル比が52.5/46.7/0.8であり、溶融成形可能なフッ素樹脂であった。これを300℃で加圧プレスし、得られたシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=−6であり、着色の無い白色であることが認められる。
[比較例c4]
実施例c4におけるCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)を、比較例1で得たCFCFO(CFOCFCOO(NH水溶液(固形物濃度=30.0%、pH=5.7)に変更した以外は実施例c4と同様の反応を行い、得られるフッ素樹脂を300℃で加圧プレスし、得られたシート(厚み1.5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、YI値=+3であり、褐色の着色が認められる。
本発明のペルフルオロカルボン酸塩は、表面張力低下能が高く、その安定性にも優れており、界面活性剤としての機能に優れている。また、鉄を初めとする金属の含有量が低い。そのため、本発明のペルフルオロカルボン酸塩組成物は、重合乳化剤、ワックス等のレベリング剤、発泡助剤、泡消化のための安定な泡沫生成および消火性能向上を目的とした添加剤、洗浄剤、離型剤、防錆剤、ラテックス安定剤、農業用フィルムの防霧剤、顔料分散剤、インク・塗料・レジスト等の濡れ性・浸透性改良、硬化性樹脂への撥水撥油性付与、防汚剤等の種々の用途に有用である。

なお、2006年8月31日に出願された日本特許出願2006−236515号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. 鉄の含有量が10質量ppm以下である下式(1)で表されるペルフルオロカルボン酸塩の製造方法であって、
    下式(p1)で表される化合物(p1)と下式(p2)で表される化合物(p2)とのエステル化反応により下式(p3)で表される化合物(p3)を得、該化合物(p3)をペルフルオロ化することによって下式(p4)で表される化合物(p4)を得、該化合物(p4)におけるエステル結合の分解反応を行うことによって下式(p2)で表される化合物(2)を得る工程と、
    前記化合物(2)を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器を備えた反応装置を用いて加水分解することにより下式(3)で表される化合物(3)を得る工程と、
    前記化合物(3)を塩化する工程と、
    を経て前記ペルフルオロカルボン酸塩を得ることを特徴とするペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
    (化1)
    R(OCH(X)CHOH …(p1)
    Q(COF) …(p2)
    Q[COO(CHCH(X)O)R] …(p3)
    [COO(CFCF(X)O) …(p4)
    (OCF(X)CFk−1OCF(X)COF …(2)
    (OCF(X)CFk−1OCF(X)COOH …(3)
    (OCF(X)CFk−1OCF(X)COO …(1)
    [式中、Rは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価の有機基であり、XおよびXは、それぞれ独立に、フッ素原子であり、kは1以上の整数であり、Mはアンモニウムイオンまたはアルキル置換アンモニウムイオンである。Rは、フッ素化され得る部分を有する炭素数1〜10の1価の有機基であり、X は水素原子であり、Qはn価の含フッ素有機基であり、nは1〜4の整数であり、Q は、Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場合はQと同一であり、Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合はペルフルオロ化されたQであり、X はフッ素原子である。
  2. 上記化合物(3)を得る工程で得られた反応生成物におけるフッ酸の含有量を、該反応生成物の総質量中1質量%以下とした後、化合物(3)を塩化する工程を行う請求項1に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法。
  3. 前記ペルフルオロカルボン酸塩のナトリウムおよびカリウムの含有量の合計が50質量ppm以下である請求項1または2に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
  4. 前記ペルフルオロカルボン酸塩のカルシウムおよびマグネシウムの含有量の合計が10質量ppm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
  5. 前記ペルフルオロカルボン酸塩の鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの含有量の合計が70質量ppm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法
  6. ルフルオロカルボン酸塩が、水性媒体に溶解または分散されてなるペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法であって、
    前記ペルフルオロカルボン酸塩を、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法により製造することを特徴とするペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法
  7. 前記ペルフルオロカルボン酸塩水溶液のpHが2〜12の範囲内である請求項に記載のペルフルオロカルボン酸塩水溶液の製造方法
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のペルフルオロカルボン酸塩の製造方法によりペルフルオロカルボン酸塩を製造し、得られたペルフルオロカルボン酸塩を重合乳化剤として用いて、テトラフルオロエチレンを単独または共重合可能な他のモノマーと共に水性媒体中で乳化重合する、テトラフルオロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法。
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