明 細 書
ペルフルォロカルボン酸塩及びその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、ペルフルォロカルボン酸塩及びその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 従来より、フッ素系界面活性剤の表面張力低下能は、対応構造の炭化水素系界面 活性剤あるいはシリコーン系界面活性剤より優れていることが知られている。このため 、フッ素系界面活性剤は、広範な分野で使用されている。フッ素系界面活性剤の用 途としては、乳化重合における乳化剤(重合乳化剤)、ワックス等のレべリング剤、発 泡助剤、泡消化のための安定な泡沫生成および消火性能向上を目的とした添加剤 、洗浄剤、離型剤、防鯖剤、ラテックス安定剤、農業用フィルムの防霧剤、顔料分散 剤、インク ·塗料 'レジスト等の濡れ性 ·浸透性改良、硬化性樹脂への撥水撥油性付 与、防汚剤などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、含フッ素アルキル骨格を有する疎水基に親水基を付した 構造を有する化合物である。フッ素系界面活性剤の表面張力低下能は、含フッ素ァ ルキル骨格のフッ素化率に依存し、フッ素化率が高!/、ほど表面張力低下能が高!/、傾 向がある。そのため、フッ素系界面活性剤としては、ペルフルォロ化された含フッ素ァ ルキル骨格を有するものが望まし!/、とされて!/、る。
[0003] これまで、界面活性剤として有用な各種構造の含フッ素化合物が提案されており、 該フッ素化合物の 1つとして、エーテル性酸素原子含有ペルフルォロカルボン酸塩 力 sある。
該ペルフルォロカルボン酸塩を得る方法としては、テトラフルォロエチレンォキシド やへキサフルォロプロピレンォキシドの開環重合によって得られるペルフルォロカル ボン酸フルオリドを、加水分解することによってペルフルォロカルボン酸に変換し、さ らにこれをアンモニゥム塩、アルカリ金属塩等の塩にする方法が知られており、得られ たペルフルォロカルボン酸塩を界面活性剤として使用することが報告されて!/、る (特 許文献 1参照。)。
特許文献 1 :米国特許第 3, 271 , 341号明細書
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、前述した従来の方法で得られるペルフルォロカルボン酸塩は、表面張力低 下能が充分ではなかったり、製品ごとにその表面張力低下能にばらつき、着色等が 生じる問題がある。該問題は、当該ペルフルォロカルボン酸塩を用いて製造される製 品の品質の低下を引き起こすおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、表面張力低下能に優れたぺ ルフルォロカルボン酸塩及びその製造方法を提供する。 課題を解決するための手段
[0005] 本発明者らの検討により、前述した従来の方法で得られるペルフルォロカルボン酸 塩は、不純物として多量の金属分を含んでいることがわ力 た。そして、特定の金属 がペルフルォロカルボン酸塩の表面張力低下能に悪影響を与えること、さらに、当該 金属を一定量以上含有するペルフルォロカルボン酸塩を用いて含フッ素重合体の 製造を行うと、得られる重合体に着色が生じることを見出した。
本発明は以下を要旨とするものである。
( 1 )鉄の含有量が 10質量 ppm以下である下式( 1 )で表されるペルフルォロカルボン 酸塩。
(化 1)
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COO
2 k 1
[式中、 RFは炭素数 1〜10のペルフルォロ化された 1価の有機基であり、 X1および X2 は、それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルォロメチル基であり、 kは 1以上の整 数であり、 M+はアンモニゥムイオンまたはアルキル置換アンモニゥムイオンである。 ]
(2)ナトリウムおよびカリウムの含有量の合計が 50質量 ppm以下である上記(1)に記 載のペルフルォロカルボン酸塩。
(3)カルシウムおよびマグネシウムの含有量の合計が 10質量 ppm以下である上記( 1)または(2)に記載のペルフルォロカルボン酸塩。
(4)鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの含有
量の合計が 70質量 ppm以下である上記(1)〜(3)の!/、ずれかに記載のペルフルォ ロカルボン酸塩。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のペルフルォロカルボン酸塩力 水性媒体に 溶解または分散されてなるペルフルォロカルボン酸塩水溶液。
(6) pHが 2〜; 12の範囲内である上記(5)に記載のペルフルォロカルボン酸塩水溶 液。
(7)下式 (2)で表される化合物(2)を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反 応器を備えた反応装置を用いて加水分解することにより下式 (3)で表される化合物( 3)を得る工程と、前記化合物(3)を塩化する工程を経てペルフルォロカルボン酸塩 を得る上記(1)〜(4)のいずれかに記載のペルフルォロカルボン酸塩の製造方法。 (化 2)
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COF · ' · (2)
2 k 1
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COOH · ' · (3)
2 k 1
[式中、 RF、 X1、 X2および kは、それぞれ、前記式(1)中の RF、 X1、 X2および kと同じ である。 ]
(8)上記化合物(3)を得る工程で得られた反応生成物におけるフッ酸の含有量を、 該反応生成物の総質量中 1質量%以下とした後、化合物(3)を塩化する工程を行う 上記(7)に記載のペルフルォロカルボン酸塩の製造方法。
(9)テトラフルォロエチレンを単独または共重合可能な他のモノマーと共に水性媒体 中で乳化重合を行なう際に、重合乳化剤として上記(1)〜(4)のいずれかに記載の ペルフルォロカルボン酸塩を用いる、テトラフルォロエチレンの単独重合体または共 重合体の製造方法。
発明の効果
本発明により、表面張力低下能に優れたペルフルォロカルボン酸塩を提供できる。 これにより、このペルフルォロカルボン酸塩を界面活性剤としてテトラフルォロェチレ ンを重合させた場合に、重合体を高収率で得ることができる。また、当該ペルフルォ ロカルボン酸塩を用いて製造されるテトラフルォロエチレンの重合体は着色の問題が ない。
発明を実施するための最良の形態
[0007] <ペルフルォロカルボン酸塩〉
本発明のペルフルォロカルボン酸塩は、前記式( 1 )で表される化合物( 1 )からなる 。以下、本明細書においては、「式 (n)で表される化合物 (nは任意の符号。)」を単に 「化合物 (n)」と記載する。
式(1 )中、 RFは炭素数 1〜; 10のペルフルォロ化された 1価の有機基である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「有機基」とは、炭素原子と、炭 素原子以外の少なくとも 1種の原子とを含有する基を意味する。
「ペルフルォロ化された有機基」とは、フッ素化され得る部分を有する有機基をペル フルォロ化してなる構造の基である。
「フッ素化され得る部分」としては、たとえば C— H部分、炭素-炭素不飽和結合部 分 (C = C部分、 C≡C部分等)が挙げられる。
「ペルフルォロ化」とは、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素 化され得る部分を、実質的に全てフッ素化することを意味する。たとえば、フッ素化さ れ得る部分として C— H部分を有する有機基をペルフルォロ化した基においては、 C H部分の実質的に全てが C Fになる。また、炭素 炭素不飽和結合が存在する 有機基をペルフルォロ化した基においては、実質的に全ての不飽和結合において、 当該不飽和結合を形成する炭素原子それぞれにフッ素原子が付加して C Fが形 成されるとともに、不飽和結合が単結合(C C)となる。
[0008] フッ素化され得る部分を有する有機基としては、 C H部分を有する有機基が好ま しぐ特に、不飽和結合を有さない飽和有機基が好ましい。
飽和有機基としては、飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素 基、部分ハロゲン化飽和炭化水素基、または部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子 含有飽和炭化水素)基が挙げられる。
1価の飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、または環構造を 有する 1価飽和炭化水素基 (たとえば、置換基としてアルキル基を有するシクロアル キル基、置換基としてシクロアルキル基を有するアルキル基、またはこれらの基を部 分構造とする基)等が挙げられ、アルキル基が好まし!/、。
「エーテル性酸素原子」とは、エーテル結合(c o C)を形成する酸素原子を意 味し、「エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基」とは、炭素数 2以上の飽和炭化 水素基において、その炭素 炭素原子間にエーテル性酸素原子が揷入された基を 意味する。
1価のエーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基としては、炭素数 2以上のアルキ ル基の炭素 炭素結合間にエーテル性酸素原子が揷入された基、シクロアルキル 基の炭素 炭素結合間にエーテル性酸素原子が揷入された基等が挙げられる。
「部分ハロゲン化飽和炭化水素基」とは、飽和炭化水素基が、水素原子が残る割合 でハロゲン化された基を意味する。「部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和 炭化水素)基」とは、エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基が、水素原子が残る 割合でハロゲン化された基を意味する。部分ハロゲン化飽和炭化水素基および部分 ノ、ロゲン化(エーテル性酸素原子含有飽和炭化水素)基におけるハロゲン原子とし ては、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
[0009] RFとしては、上述したフッ素化され得る部分を有する有機基のうち、炭素数;!〜 10 の 1価のものがペルフルォロ化された基が挙げられる。
RFの炭素数は、;!〜 5が好ましぐ 2 4がより好ましぐ 2または 3がさらに好ましい。
RFは、表面張力低下能に優れることから、直鎖状であることが好ましい。
RFとして、具体的には、たとえば、 CF -CF CF -CF CF CF CF CF
3 2 3 2 2 3 2
CF CF -CF (CF ) -CF CF (CF ) CF (CF ) CF CF C (CF ) 等
2 2 3 3 2 2 3 2 3 2 3 3 3 のペルフルォロアルキル基;— CF (CF ) [OCF CF (CF ) ] OCF CF CF (bは 1
3 2 3 b 2 2 3 以上の整数であり、;!〜 5の整数が好ましい。)、 - (CF ) OCF (dは 1以上の整数で
2 d 3
あり、;!〜 8の整数が好ましい。)等のエーテル性酸素原子含有ペルフルォロアルキ ル基が挙げられる。 RFとして、 -CF CFまたは一 CF CF CFが特に好ましい。
2 3 2 2 3
[0010] X1および X2は、それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフノレオロメチル基である。本 発明においては、 X1および X2が同じであることが好ましぐ特に、 X1および X2がとも にフッ素原子であることが好ましレ、。
kは 1以上の整数であり、;!〜 6の整数が好ましぐ;!〜 4の整数がより好ましぐ 2また は 3がさらに好ましい。
[0011] 化合物(1)は、総炭素数が、 5〜; 10であること力 S好ましく、 5〜8であることがより好ま しぐ 5〜6であることがさらに好ましい。
化合物(1)の好まし!/、具体例として、下記化合物(1 1)〜(; 1 7)が挙げられる。
[0012] (化 2' )
CF OCF CF OCF COO— (NH ) +
3 2 2 2 4
CF (OCF CF ) OCF COO— (NH ) + - - - (1 - 2)
3 2 2 2 2 4
CF CF OCF CF OCF COO— (NH
3 2 2 2 2 4 Γ …ひ一 3)
CF CF (OCF CF ) OCF COO— (NH ) + - - - (1 -4)
3 2 2 2 2 2 4
CF CF CF (OCF CF ) OCF COO— (NH
3 2 2 2 2 2 2 4 Γ - - - (1 ~ 5)
CF CF CF OCF CF OCF COO— (NH
3 2 2 2 2 2 4 Γ …ひ一 6)
CF (CF ) OCF CF OCF COO— (NH ) + · ' · (1 7)
3 2 3 2 2 2 4
[0013] 本発明のペルフルォロカルボン酸塩における、化合物(1)の含有割合は、ペルフ ルォロカルボン酸塩中の総固形分に対し、 90〜; 100質量%であることが好ましぐ 9 5〜; 100質量%がより好ましい。
[0014] 本発明のペルフルォロカルボン酸塩における鉄の含有量は 10質量 ppm以下であ る。上記鉄の含有量が 10質量 ppm以下である場合、ペルフルォロカルボン酸塩は 界面活性剤として効率よく機能する。さらに、当該ペルフルォロカルボン酸塩を界面 活性剤として用い、含フッ素単量体を重合させた場合は、得られる含フッ素重合体が 着色するとレ、う問題が発生しな!/、。
鉄の含有量は 5質量 ppm以下であるのが好ましぐさらには 3質量 ppm以下である のが好ましい。
また、本発明のペルフルォロカルボン酸塩においては、ナトリウムおよびカリウムの 含有量の合計は 50質量 ppm以下であるのが好ましい。ナトリウムおよびカリウムの含 有量が上記範囲である場合は、表面張力低下能がより優れるとともに、得られる含フ ッ素重合体がより着色しに《なる。ナトリウムおよびカリウムの含有量は、 25質量 pp m以下であるのが好ましぐさらには 10質量 pp以下であるのが好ましい。
さらに、本発明のペルフルォロカルボン酸塩においては、表面張力低下能をより高 めるとともに、得られる含フッ素重合体の着色を防ぐという観点から、カルシウムおよ
びマグネシウムの含有量の合計を 10質量 ppm以下とするのが好ましぐさらには 5質 量 ppm以下とするのが好まし!/、。
また、同様の観点から、ペルフルォロカルボン酸塩におけるクロムの含有量は 2質 量 ppm以下とするのが好ましぐペルフルォロカルボン酸塩におけるニッケルの含有 量は 1質量 ppm以下とするのが好ましい。
さらに、本発明のペルフルォロカルボン酸塩においては、鉄、ナトリウム、カリウム、 カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケルの含有量の合計は、 70質量 ppm以 下とするのが好ましぐさらには 30質量 ppm以下とするのがより好ましい。
上述した鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロムおよびニッケル の各々の含有量は、 ICP (誘導結合高周波プラズマ分光分析)法等により測定できる
〇
[0015] 上記各金属の含有量の下限は、特に制限はなぐ 0であってもよい。
[0016] 本発明のペルフルォロカルボン酸塩は、さらに、水性媒体を含有してもよい。本発 明のペルフルォロカルボン酸塩は、固体として用いてもよぐ液体として用いてもよい 、水性媒体に溶解または分散させることにより、重合乳化剤等の用途における有用 性が向上する。たとえば、水性媒体に溶解または分散させた液は、粉末状等の固体 である場合と比較して、反応系中に素早く均一に分散させることができ、また、粉末状 のものに比べて、作業性、環境等に対する安全性等が向上する。
水性媒体としては、たとえばイオン交換水、純水、超純水等の水が挙げられる。 ワックス等のレべリング剤、発泡助剤、泡消火のための安定な泡沫生成および消火 性能向上を目的とした添加剤など、用途によっては、水性媒体は、水とともに、水溶 性の有機溶剤を含んでもよい。該有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エー テル類、エチレングリコール類、プロピレングリコール類などが挙げられる。
水性媒体中に有機溶剤を含有する場合には、その含有割合は、水 100質量部に 対して;!〜 50質量部が好ましぐ 3〜20質量部がより好ましい。前記範囲の下限値以 上であると、ペルフルォロカルボン酸塩組成物の水性媒体に対する溶解度が向上し 、上限値以下であると、経済性、不燃性が向上する。
重合乳化剤用途では、有機溶媒を含有しな!、水性組成物がより好まし!/、。
[0017] 本発明のペルフルォロカルボン酸塩水溶液中、水性媒体の含有量は、ペルフルォ ロカルボン酸塩の化合物(1)の濃度が 5〜50質量%となる量が好ましぐ 10〜40質 量%となる量がより好ましぐ 25〜35質量%となる量がさらに好ましい。上記範囲の 下限値以上であると、効果、経済性が良好であり、上限値以下であると、ペルフルォ ロカルボン酸塩の水性媒体に対する分散性が良好である。
[0018] 本発明のペルフルォロカルボン酸塩水溶液は、その pHが、 2〜; 12であることが好 ましぐ 4〜; 10がより好ましぐ 5〜7が特に好ましい。
pHが上記範囲内であると、水性媒体中における化合物(1)の安定性が高ぐ良好 な表面張力低下能が得られる。
一方、 pHが 2未満であると、水溶液がゲル状となったり、水性媒体中に沈殿が生じ るおそれがあり、また、それによつて、ペルフルォロカルボン酸塩の表面張力低下能 が低下したり、表面張力低下能にばらつきが生じるおそれがある。また、当該水溶液 を乳化重合における乳化剤として用いた場合に、その高い酸性が、反応や反応容器 に悪影響を及ぼすおそれがある。 pHが 12超であると、水性媒体中で化合物(1)が 分解するおそれがある。
[0019] <ペルフルォロカルボン酸塩の製造方法〉
本発明のペルフルォロカルボン酸塩は、たとえば下記化合物(2)を加水分解するこ とにより下記化合物(3)を得る工程と、前記化合物(3)を塩化して前記化合物(1)を 得る工程とを経て製造できる。
[0020] (化 3)
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COF …(2)
2 k 1
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COOH … )
2 k 1
[上記式中、 RF、 X1、 X2および kは、それぞれ、前記式(1)中の RF、 X1、 X2および kと 同じである。 ]
[0021] 化合物(2)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0022] (化 4)
CF OCF CF OCF COF
3 2 2 2
CF CF CF OCF CF OCF COF
CF (CF ) OCF CF OCF COF
3 2 3 2 2 2
CF (OCF CF ) OCF COF
3 2 2 2 2
CF CF OCF CF OCF COF
3 2 2 2 2
CF CF (OCF CF ) OCF COF
3 2 2 2 2 2
CF CF CF (OCF CF ) OCF COF
3 2 2 2 2 2 2
[0023] 化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0024] (化 5)
CF OCF CF OCF COOH
3 2 2 2
CF (OCF CF ) OCF COOH
3 2 2 2 2
CF CF OCF CF OCF COOH
3 2 2 2 2
CF (CF ) OCF CF OCF COOH
3 2 3 2 2 2
CF CF (OCF CF ) OCF COOH
3 2 2 2 2 2
CF CF CF (OCF CF ) OCF COOH
3 2 2 2 2 2 2
[0025] 化合物(2)としては、市販のものを用いてもよぐ公知の化合物に公知の手法を適 用することによって製造してもよい。該手法としては、たとえば下記化合物(pi)を原 料として用いる、本出願人による国際公開 00/56694号パンフレット等に記載の方 法が挙げられる。該方法においては、下記化合物(pi)と下記化合物(p2)とのエス テル化反応により下記化合物(p3)を得、該化合物(p3)をペルフルォロ化することに よって下記化合物(p4)を得、該化合物(p4)におけるエステル結合の分解反応を行 うことによって前記化合物(2) (ペルフルォロカルボン酸フルオリド)を得る。
[0026] (化 6)
R (OCH (X3) CH ) OH •••(pi)
2 k
Q (COF)。 · ' ·(ρ2)
Q [COO (CH CH (X3) O) R] · · · (p3)
2 k n
Qf [COO (CF CF (X4) 0) RF] · ' · (ρ4)
2 k n
^ (OCF CX^ CF ) OCF (X2) COF …(2)
2 k 1
[上記式中、 RF、 X1、 X2および kは、それぞれ、前記式(1)中の RF、 X1、 X2および kと 同じである。 Rは、フッ素化され得る部分を有する炭素数;!〜 10の 1価の有機基であ
り、 X3は水素原子またはメチル基であり、 Qは n価の含フッ素有機基であり、 nは;!〜 4 の整数であり、 Qfは、 Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場 合は Qと同一であり、 Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合 はペルフルォロ化された Qであり、 X4はフッ素原子またはトリフルォロメチル基である
[0027] Rの炭素数 1〜; 10の 1価の有機基としては、前記 RFにおいて、フッ素化され得る部 分を有する有機基として挙げたもの、たとえば飽和炭化水素基、エーテル性酸素原 子含有飽和炭化水素基、部分ハロゲン化飽和炭化水素基、部分ハロゲン化(エーテ ル性酸素原子含有飽和炭化水素)基等が挙げられる。
[0028] Qとしては、フッ素化され得る部分を有する n価の有機基がフッ素化された構造のも のが挙げられる。
フッ素化され得る部分を有する n価の有機基としては、 n価である以外は、前記 に おいて、フッ素化され得る部分を有する有機基として挙げたものと同様のもの、たとえ ば n価の飽和炭化水素基、 n価のエーテル性酸素原子含有飽和炭化水素基、 n価の 部分ハロゲン化飽和炭化水素基、 n価の部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有 飽和炭化水素)基等が挙げられる。
n価の飽和炭化水素基としては、飽和炭化水素(たとえば、アルカン、シクロアルカ ン)中の n個の水素原子が結合手になった基が挙げられる。たとえば、 2価の飽和炭 化水素基としては、アルキレン基が挙げられる。
n価のエーテル性酸素原子を含む炭化水素基としては、エーテル性酸素原子を含 む飽和炭化水素中の n個の水素原子が結合手になった基が挙げられる。該基中の エーテル性酸素原子の数は特に限定されず、 1個または 2個以上であってもよい。た とえば、 2価の基としては、アルキレンォキシアルキレン基、ォキシアルキレン基等が 挙げられる。
Qにおいて、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され得る 部分は、その一部がフッ素化されていてもよぐ全部がフッ素化(すなわちペルフルォ 口化)されていてもよい。
[0029] nとしては、;!〜 4の整数が好ましぐ;!〜 2の整数がより好ましぐ 1が最も好ましい。
すなわち、 Qは 1価の含フッ素有機基であることが最も好ましい。
1価の含フッ素有機基としては、たとえば CF (CF ) 一(aは 1〜8の整数が好ましい
3 2 a
)、 CF CF (CF ) CF CF—等のぺノレフノレォロアノレキノレ基; CF CF CF OCF (CF
3 3 2 2 3 2 2 3
)一、 CF CF CF OCF (CF ) CF OCF (CF )一、 CF CF OCF CF OCF一等の
3 2 2 3 2 3 3 2 2 2 2 エーテル性酸素原子含有ペルフルォロアルキル基が挙げられる。
[0030] Qfは、 Qがフッ素化され得る部分を有さない含フッ素有機基である場合は Qと同一 であり、 Qがフッ素化され得る部分を有する含フッ素有機基である場合はペルフルォ 口化された Qである。
つまり、前記 Qが、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され 得る部分がペルフルォロ化されたものである場合は、 Qはそれ以上フッ素化され得る 部分を有さな!/、ため、化合物(p3)をペルフルォロ化しても変化しな!/、。
一方、前記 Qが、前記フッ素化され得る部分を有する有機基におけるフッ素化され 得る部分の一部がフッ素化されたものである場合は、 Qはフッ素化され得る部分を有 するため、化合物(p3)をペルフルォロ化する過程で、 Q中のフッ素化され得る部分 がペルフルォロ化される。
[0031] 化合物(2)の加水分解反応は公知の方法により実施でき、該反応の条件、操作、 手段等については、特に限定されない。
たとえば化合物(2)と水とを反応させることにより加水分解を行う場合には、反応温 度は— 10〜 + 100°Cが好ましぐ特に 0〜50°Cが好ましい。反応圧力は、常圧が好 ましぐ減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
反応は、無溶媒で行うことが好ましぐ生成物の融点によっては不活性な溶媒中で fiつても良い。
水の使用量は、化合物(2)に対して 0. 9〜; 1. 2倍モルが好ましぐ 0. 95-1. 05 倍モルが特に好ましい。
反応時間は反応温度によっても適宜変更でき、;!〜 5時間程度が好ましい。 加水分解反応では、フッ酸 (HF)が発生する。該 HFは、加水分解反応粗液に窒素 をパブリングさせ、 HFを窒素気流に同伴させることによって反応系外に排出できる。
[0032] 得られた反応生成物は、そのまま次の塩化工程に用いることができる力 必要に応
じて蒸留精製を行っても良い。蒸留精製を行うことにより、反応生成物中に残留する HFを除去できる。反応生成物中に HFが残留していると、塩化工程で使用する反応 装置、蒸留精製で使用する蒸留装置において、当該反応生成物と接触する部分の 材質が金属を含む場合に、当該材質が HFによって腐食して金属分が溶出し、結果 、得られる生成物中の金属含有量が増大する。
金属分の溶出を抑制するためには、塩化工程を行う前の段階において、反応生成 物に含まれる HFの量を、当該反応生成物の総質量中 1質量%以下とすることが好ま しぐ 0. 1質量%以下がより好ましぐ 0. 01質量%以下がとりわけ好ましい。
[0033] 化合物(3)の塩化反応は、カルボン酸の中和に用いられる公知の方法により実施 でき、たとえば化合物(3)に、アルカリ水溶液を添加し、中和することにより実施できる
〇
前記アルカリとしては、化合物(1)の M+に対応するものを用いればよぐたとえばァ ンモユア、テトラメチルアンモニゥムハイドロォキシド、モノェチルァミン、ジェチルアミ ン、トリェチルァミン等が挙げられる。
前記アルカリ水溶液の製造に使用される水性媒体としては、前記本発明のペルフ ノレオロカルボン酸塩が含有してもよい水性媒体として挙げたものと同じものが挙げら れる。
塩化反応は、常法に従って行えばよぐ該反応の条件、操作、手段等については、 特に限定されない。反応温度は— 10〜 + 100°Cが好ましぐ特に 0〜 + 50°Cが好ま しい。反応圧力は、常圧が好ましぐ減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
このようにして得られる反応生成物は、化合物(1)を含有する水性組成物である。 該水性組成物は、ペルフルォロカルボン酸塩組成物として、そのまま使用してもよぐ 必要に応じて乾燥し、固体としてもよい。そのまま使用する場合、該水性組成物の p Hは、上述したように、 2〜; 12とすることが好ましぐ 4〜; 10が特に好ましい。
[0034] M+がアンモニゥムイオンである場合、化合物(3)の塩化反応は、反応に不活性な 非水溶媒に化合物(3)が溶解した溶液中に、アンモニアガスを吹き込むことにより行 つても良い。この場合、反応生成物は、反応溶液中に固体として沈殿するため、ろ過 により単離できる。
該反応に用いる非水溶媒は、反応に不活性なものであればよぐジクロロメタン等の 塩素系溶媒、および/またはジクロロペンタフルォロプロパン等のフッ素系溶媒を用 いることが好ましい。
反応温度は— 10〜 + 100°Cが好ましぐ特に 0〜 + 50°Cが好ましい。反応圧力は 常圧が好ましぐ減圧、大気圧、加圧等も採用できる。
単離された反応生成物は、化合物(1)を含有する。該反応生成物は、固体のまま 用いてもよぐ水性媒体に溶解させ、水性組成物として用いてもよい。前述の理由か ら、当該反応生成物は、水性組成物として用いることが好ましぐその場合、 pHを、 前述と同様、 2〜; 12とすることが好ましぐ 4〜; 10が特に好ましい。
[0035] 本発明においては、上述のようにして得られるペルフルォロカルボン酸塩中の鉄の 含有量を 10質量 ppm以下とする。その方法としては、前記化合物(2)を加水分解す る工程において、該加水分解を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器を 備えた反応装置を用いる方法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のペルフルォ ロカルボン酸塩組成物は、化合物(2)を、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である 反応器を備えた反応装置を用いて加水分解することにより化合物(3)を得る工程と、 前記化合物(3)を塩化して前記化合物(1)を得る工程とを経て得られるものであるこ とが好ましい。
[0036] 前記反応装置を用いることにより、加水分解工程において、反応生成物中の各金 属の含有量が増大するのを容易かつ効果的に抑制できる。
すなわち、前述の化合物(2)を加水分解する工程では、化合物(3)と等モル量の H Fが副生する。 HFは腐食性が高ぐ金属製の反応器またはガラス製の反応器を用い た場合には、鉄、クロム、ュッケル、珪素、アルミユウム、銅、ナトリウム、ノ リウム、ホウ 素、カリウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、モリブデンおよびマグネシウムなどの金属 分が反応器材質から溶出する。さらに、反応系中に HFと水とが共存する場合には、 腐食性が著しく高くなり、金属分の溶出量が増大する。
前述の特許文献 1では、ペルフルォロカルボン酸フルオリド(化合物(2)に相当する 。)を加水分解する際、ペルフルォロカルボン酸フルオリドに対して過剰の水を加えて おり、腐食性が著しく高い加水分解条件である。一方、反応器材質の種類や、金属
分除去のための精製工程に関する記載はなぐ得られるペルフルォロカルボン酸塩 には多量の金属が含まれると推測される。本発明者らの知見によれば、化合物(1)と ともに多量の金属が共存すると、化合物(1)の表面張力低下能が阻害され、また、そ の安定性も低下する。
前述した、少なくとも内側表面がフッ素樹脂製である反応器としては、全体がフッ素 樹脂製である反応器、フッ素樹脂以外の材質の反応器の内側表面をフッ素樹脂でコ 一ティングした反応器 (以下、フッ素樹脂ライニング反応器という。)等が挙げられる。 該反応器は、 HFに対する耐腐食性が高ぐ加水分解時に発生する HFによる反応 器の腐食と、それに伴う金属分の溶出を、水と HFとが共存する著しく腐食性が高い 条件であっても防止でき、化合物(1)を構成しない金属の含有量が増加するのを防 止できる。
上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフノレォロエチレン (PTFE)、テトラフルォロェチ レン/エチレン共重合体(COP)、テトラフルォロエチレン/ペルフルォロ(アルキル ビュルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルォロエチレン/へキサフルォロプロピ レン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルォロエチレン共重合体(ETFE)、ポリク ロロトリフルォロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロ口トリフルォロエチレン共重合体( ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビュルフルオライド(PVF)等が 挙げられる。上記フッ素樹脂としては、 PTFEまたは COPまたは PFAが好ましい。 該反応装置は、反応器以外の付帯設備を備えていてもよい。該付帯設備としては、 撹拌翼、コンデンサー、配管などの付帯設備の接ガス部、接液部等が挙げられる。 本発明においては、金属分の溶出を最小限にするため、反応器だけでなぐ付帯設 備のすべてが、フッ素樹脂でコーティングされた反応装置を用いることが好ましい。
<テトラフルォロエチレンの単独重合体または共重合体の製造方法〉
本発明においては、上記ペルフルォロカルボン酸塩を重合乳化剤として用い、テト ラフルォロエチレンを単独または共重合可能な他のモノマーと共に水性媒体中で乳 化重合を行う。
ここで、重合乳化剤は、モノマーの合計量 100質量部に対し、 0. ;!〜 10質量部添 加するのが好ましい。
テトラフルォロエチレンを単独で重合させた場合は、ポリテトラフルォロエチレン(P TFE)が得られる。
テトラフルォロエチレンと共重合可能な他のモノマーとしては、フッ化ビニリデン、へ キサフルォロプロピレン、クロ口トリフルォロエチレン、 CF =CFOR (式中、 Rは、ェ
2 f f 一テル性の酸素原子を含んでもよ!/、炭素数;!〜 16のペルフルォロアルキル基)で表 されるペルフルォロ(アルキルビュルエーテル)などの含フッ素モノマーが挙げられる
〇
テトラフルォロエチレンとこれらの他のモノマーとを共重合させることにより、ポリビニ リデンフルオライド(PVDF)、テトラフルォロエチレン/へキサフルォロプロピレン共 重合体(FEP)、テトラフルォロエチレン/ペルフルォロ(アルキルビュルエーテル) 共重合体 (PFA)などのフッ素樹脂が得られる
これらのフッ素樹脂は、その優れた耐薬品性と高純度性により、極めて清浄度が要 求される半導体の製造プロセスに広く使用されている。ここ数年の半導体デバイスの 高集積化、微細化は加速状態にあり、より微細なデバイス実現のためには、半導体 デバイス製造プロセス中に混入される金属不純物を極限まで低減することが求めら れている。この観点からも、本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂は好ましいも のであると言える。
実施例
[0038] 以下に、本発明を実施例によって詳細に説明する力 本発明はこれらに限定され ない。
なお、以下 ίこおレヽて、 1 , 1 , 2—トリクロロー 1 , 2, 2—トリフノレ才ロェタンを R— 113 と記す。
ガスクロマトグラフィを GCと記し、 GC分析における結果はピーク面積比で示す。 ガスクロマトグラフ質量分析を GC— MSと記す。
核磁気共鳴を NMRと記す。
以下の製造例において、室温とは、 20〜30°Cである。
[0039] 各実施例および比較例で製造した生成物(試料)中のペルフルォロカルボン酸塩 の純度は、試料をメチルエステル化した後、 GCで分析することにより測定した。
また、各実施例および比較例で製造した生成物中の各金属の含有量は、試料を灰 化した後、硝酸水溶液で溶解させて調製した試料溶液につ!、て、 ICP法により測定 した。
[0040] (A-1) CF CF OCF CF OCF COO— (NH )+の製造例
3 2 2 2 2 4
[実施例 1]
< (工程 1— 1):エステル化反応による CH CH 0(CH ) 0(CH ) OCOCF(CF )
3 2 2 2 2 2 3
OCF CF(CF )OCF CF CFの製造工程〉
2 3 2 2 3
ハステロィ C製の 2Lのオートクレーブに、 CH CH 0(CH ) 0(CH ) OHの 300g
3 2 2 2 2 2
を入れ、オートクレープを冷却し、密閉撹拌下、内温が 30°C以下に保たれるようにゆ つくりと CF CF CF OCF(CF )CF OCF(CF ) COFの 1339gを導入した。全量を
3 2 2 3 2 3
導入後、さらに 30°Cで 3時間の撹拌を行った後、反応で生じた HFを窒素ガスのパブ リングによって系外に追い出して生成物を得た。
生成物を GC分析した結果、 CH CH 0(CH ) 0(CH ) OCOCF(CF )OCF C
3 2 2 2 2 2 3 2
F(CF )OCF CF CF力 99.6%の収率で生成しており、未反応の CH CH 0(C
3 2 2 3 3 2
H ) 0(CH ) OHは検出されな力、つた。この生成物は精製することなぐ次の(工程
2 2 2 2
1 2)に使用した。
[0041] < (工程 1— 2):フッ素化反応による CF CF 0(CF ) 0(CF ) OCOCF(CF )OC
3 2 2 2 2 2 3
F CF(CF )OCF CF CFの製造工程〉
2 3 2 2 3
500m:Lのュッゲノレ製才ートクレーブに、 R— 113の 312gをカロ免た後に携持して 25 °Cに保った。オートクレーブガス出口には、 20°Cに保持した冷却器、 NaFペレット充 填層、および— 10°Cに保持した冷却器を直列に設置した。また— 10°Cに保持した 冷却器からは凝集した液をオートクレープに戻すための液体返送ラインを設置した。 オートクレーブに、窒素ガスを室温で 1時間吹き込んだ後、窒素ガスで 20容積%に 希釈したフッ素ガス(以下、 20%希釈フッ素ガスと記す。)を、室温で、流速 17.04L /hにて 1時間吹き込んだ。つぎに、 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みなが ら、(工程 1— 1)で得た生成物の 10gを R— 113の 150gに溶解した溶液を、 4· 1時 間かけて注入した。
続いて、 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を
0. 15MPaGまで昇圧した。つぎに、オートクレーブに、ベンゼン濃度が 0. 01g/m Lである R— 113溶液を、 25°Cから 40°Cにまで昇温しながら 9mL注入し、オートタレ ーブのベンゼン溶液注入口を閉め、 0. 3時間撹拌を続けた。
つぎに、オートクレーブ内圧力を 0. 15MPaGに、オートクレーブ内温度を 40°Cに 保ちながら、前記ベンゼン濃度が 0. Olg/mLである R— 113溶液の 6mLを注入し 、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、 0. 3時間撹拌を続けた。さらに同様 の操作を 1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は 0. 22g、 R— 113の注入総量は 21 mLであつに。
さらに 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら 1時間撹拌を続けた。つぎ に、オートクレープ内圧力を常圧にして、窒素ガスを 1時間吹き込んだ。
生成物を19 F— NMRで分析した結果、標記化合物が収率 99%で含まれて!/、た。 また1 H— NMRおよび GC— MSで分析した結果、 C H結合を有する化合物は確 認されなかった。
[0042] < (工程 1— 3):エステル結合の分解反応による CF CF 0 (CF ) OCF COFの製
3 2 2 2 2 造工程〉
10°Cの還流器を備えた蒸留塔の釜 (容量 2Uに、 CF CF 0 (CF ) 0 (CF ) OC
3 2 2 2 2 2
〇CF (CF )〇CF CF (CF )〇CF CF CFの 4273gを仕込み、フッ化カリウムの 12
3 2 3 2 2 3
. 6gを加えて、 12時間の加熱撹拌 (熱媒温度: 100〜; 130°C)を行いながら、分解反 応を行った。次いで、蒸留を行い、主留として純度 99%以上の留分 1273gを回収し た。
この留分は、沸点 66. 5°C、収率 84. 5%であった。また、該留分を1 H— NMRおよ び GC— MSで分析した結果、 C H結合を有する化合物は確認されなかった。生成 物の19 F— NMRの分析結果は下記である。
19F-NMR(282. 7MHz、溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm) : 16. 3 (1F)、
3 3
- 75. 4 (2F)、 - 85. 5 (3F)、—86. 5 (2F)、—87. 4 (4F)。
[0043] < (工程 1—4):加水分解による CF CF 0 (CF ) OCF COOHの製造工程〉
3 2 2 2 2
200mLのフッ素樹脂ライニング反応器に、(工程 1— 3)で得られた CF CF 0 (CF
3 2
) OCF COFの 133gを仕込み、氷冷下、激しく撹拌しながら水の 6· 7gをゆっくり滴
下して加水分解を行った。滴下後、徐々に室温まで昇温し、さらに 5時間撹拌を続け た。次いで、反応で生じた HFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出しながら 、さらに 15時間の撹拌を行った。
その結果、純度 99· 2%の CF CF 0 (CF ) OCF COOHが、収率 94%で得られ
3 2 2 2 2
た。また、得られた CF CF 0 (CF ) OCF COOHに含まれる HFの量を、 Fイオンメ
3 2 2 2 2
一ターで分析したところ、 77質量 ppmであった。生成物の19 F— NMRの分析結果は 下 dでめる。
19F-NMR(282. 7MHz、溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm) :— 78. 7 (2F)
3 3
、 - 87. 3 (3F)、 - 88. 8 (2F)、—89. 1 (4F)。
[0044] < (工程 1— 5)アンモニゥム塩化による CF CF OCF CF OCF COO— (NH ) +の
3 2 2 2 2 4 製造工程〉
撹拌機および還流コンデンサーを備えた 200mLのガラス製反応器に、市販のアン モニァ水(28質量0 /0)を 10倍に稀釈することで調整した 2. 8質量%アンモニア水の 5 8gを仕込んだ。次に、これを撹拌しながら、氷冷下、(工程 1 4)で得られた CF CF
3
〇(CF ) OCF C〇〇Hの 33gをゆっくり滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、 40
2 2 2 2
°Cで 5時間保持した。その後、固形物濃度 (蒸発乾固により測定)と pH (pHメーター により測定)を測定しながら、 2. 8質量%アンモニア水と、水とを少量ずつ加えて撹拌 し、固形物濃度 = 30· 0%、 pH = 5. 7に調整することで、 115gの CF CF 0 (CF )
3 2 2 2
OCF COO (NH ) +水溶液を得た。
2 4
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、得られた固形物の純度を上述した測定方法に より測定したところ、 99%であった。また、該固形物に含まれる金属の含有量を ICP 法により分析した。分析結果を表 1に示す。
[0045] [比較例 1]
実施例 1の(工程 1—4)で用いたフッ素樹脂ライニング反応器を SUS304製反応 器に変更し、水の 6. 7gを水の 10. Ogに変更した以外は実施例 1と同様にして、 115 gの CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 = 30· 0%
3 2 2 2 2 4 、 pH =
5. 7)を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例 1と同様にして金属の含有量を分析し
た。分析結果を表 1に示す。
[0046] [実施例 2]
実施例 1の(工程 1 - 5)で用いたガラス製反応器を SUS304製反応器に変更した 以外は実施例 1と同様にして、 115gの CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶
3 2 2 2 2 4 液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)を得た。
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例 1と同様にして金属の含有量を分析し た。分析結果を表 1に示す。
(A- 2) CF (CF ) 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +の製造例
3 2 3 2 2 2 4
[実施例 3]
実施例 1の(工程 1— 1)で用いた CH CH 0 (CH ) 0 (CH ) OHを、 CH (CH )
3 2 2 2 2 2 3 2
0 (CH ) 0 (CH ) OHに変更した以外は実施例 1と同様にして、 CF (CF ) 0 (C
3 2 2 2 2 3 2 3
F ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 = 30· 0%、ρΗ = 5· 7)を得た。
2 2 2 4
この水溶液の一部を蒸発乾固させ、実施例 1と同様にして金属の含有量を分析し た。分析結果を表 1に示す。
[0047] [表 1]
実施例 1 ¾S例 2 実施例 3
Fe 0.6 1.8 4.1 46.6
Cr 0.1 1.8 1.7 21.4
Na Z4 1.7 19.8 67.3
Al 0.1 0.7 0.8 28.8
Ba 0.5 0.3 5.3 14.8
Cu 0.0 0.2 0.3 24.4 金属含有量
B 0.4 0.2 7.4 16.3
(質量 ppm)
Ni 0.1 0.2 0.7 5.9
K 0.4 0.2 4.7 9.6
Ca 0.4 0.2 4.4 10.4
Zn 0.0 0.0 0.4 2.2
Mn 0.0 0.0 0.1 1.5
Mg 0.0 0.0 0.2 0.7 鉄、ナトリウム、カリウム、カルシ
ゥム、マグネシウム、クロムおよ 口。T 4.1 6.0 35.7 162.0 びニッケルの含有量の合計
ICP法により、鉄、クロム、ニッケ
ル、珪素、アルミニウム、銅、ナト
リウム ヽ 'リウム、ホウ素、力リウ
ム、カルシウム、亜 マンガン 口。+T 5.2 7.6 50.0 250.0 およびマグネシウムについて、そ
れぞれ、 ¾*中の含有量を測定し
、その合計量
(B)ペルフルォロカルボン酸塩水溶液の調製と表面張力の測定
[試験例 1]
実施例:!〜 3および比較例 1で得られた CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +の
3 2 2 2 2 4 水溶液に、それぞれ、 2. 8質量。/。アンモニア水と水とを、表 1に示す固形物濃度と p Hとなるように添加して撹拌することにより、表 1に示す実施例サンプル 1〜; 15および 比較例サンプル;!〜 3を調製した。
次いで、これらのサンプルについて、固形物濃度 30質量%における性状 (外観、物 性)と、固形物濃度 0. 1質量%および 1. 0質量%における表面張力低下能とを評価 した。表面張力低下能は、白金プレートを用い、ウィルヘルミ一法により、表面張力を 測定することにより行った。該表面張力が小さいほど、表面張力低下能が高いことを 示す。評価結果を表 2に示す。なお、表 2において、カルボン酸塩の金属含量は、鉄 、クロム、ナトリウム、ァノレミニゥム、バリウム、銅、ホウ素、ニッケル、カリウム、カルシゥ ム、亜鉛、マンガンおよびマグネシウムの含有量の合計である。
[0048] [表 2]
[0049] 上記結果から明らかなように、金属含量が 5ppmまたは 50ppmの CF CF 〇(CF )
3 2 2
OCF COO— (NH ) +水溶液を用いた実施例サンプル;!〜 15は、表面張力低下能
2 2 4
が高ぐまた、透明なものであった。特に、 pHが 2〜; 12の範囲内である実施例サンプ ノレ 4〜; 18は、固形物濃度が 30. 0質量%であっても液状であるなど、良好な性状を 有していた。
一方、金属含量が 250ppmの CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH +)水溶液を用
3 2 2 2 2 4
いた比較例サンプル;!〜 3は、金属含量以外は同じ条件である実施例サンプル 4 6 に比べて、表面張力低下能が低かった。
[0050] (C 1) PTFEの製造試験
[実施例 ]
邪魔板、撹拌機を備えた、 100Lのステンレス鋼製オートクレープに、実施例 1で得
た CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH 水溶液(固形物濃度 = 30. 0%、 pH = 5
3 2 2 2 2 4
. 7)の 233g、パラフィンワックス(融点 52°C)の 872g、脱イオン水の 59Lを仕込んだ 。オートクレーブを窒素置換した後減圧にして、テトラフルォロエチレン (TFE)で加 圧し、撹拌しながら 70°Cに昇温した。次いで TFEで 1. 765MPaまで昇圧し、ジコハ ク酸パーォキシド(濃度 80質量%、残りは水分)の 5. Ogを約 70°Cの温水 1Lに溶解 して注入した。 3分ほどで内圧が 1. 746MPaまで降下した。
オートクレーブ内圧を 1. 765MPaに保つように TFEを添加しながら重合を進行さ せた。重合途中で、前述の CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液を合計 4
3 2 2 2 2 4
17g添加した。また亜硫酸アンモニゥムを水に溶解して重合途中で亜硫酸アンモニ ゥムとして合計 4g添加した。温度は途中 64°Cまで下げ、重合後半は 80°Cまで昇温し た。 TFEの添加量が 23kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中の TF Eを大気放出した。重合時間は 155分であった。得られた PTFEの水性乳化液を冷 却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。水性乳化液の固形分濃度は約 26質 量%であった。また、 PTFE微粒子の平均一次粒径は 0. 275 mであった。反応器 中の凝固物は痕跡程度であった。
この水性乳化液を純水で濃度 10質量%に希釈し 20°Cに調整した後、撹拌して PT FE微粒子を凝集させた。得られた PTFEパウダーをオーブン中、 180°Cで 6時間乾 燥した。得られた PTFEパウダーは、着色のない白色で、標準比重(SSG)は 2. 151 であり、平均粒子径は 550 a mであった。
次いで、 PTFEパウダーの 50gを 13· 6%硝酸溶液 40mLに入れて、 80°Cで 2時間 加熱した。さらに溶出液 30mLを蒸発乾固させ、残渣を硝酸溶液に溶解して、溶液 中の金属濃度を ICP— MS法により定量したところ、該金属濃度は 15ng/gであった
[比較例 cl]
実施例 clにおける CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 =
3 2 2 2 2 4
30. 0%、pH = 5. 7)を、比較例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF C〇〇—(NH ) +水
3 2 2 2 2 4 溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)に変更した以外は実施例 clと同様の反応 を行い、 PTFEパウダーを得た。得られた PTFEパウダーは若干着色していた。得ら
れた PTFEパウダーの 50gを 13. 6%硝酸溶液 40mLに入れて、 80°Cで 2時間加熱 した。さらに溶出液 30mLを蒸発乾固させ、残渣を硝酸溶液に溶解して、溶液中の 金属濃度を ICP— MS法により定量したところ、該金属濃度は 80ng/gであった。
(C 2) TFE/PPVE共重合体の製造試験
[実施例 c2]
1. 3Lの攪拌機付き重合槽を脱気し、実施例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF CO
3 2 2 2 2
O— (NH ) +水溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)の 3gを溶力もたイオン交換
4
水 600g、メタノールの 1 · 0g、 CF =CFOCF CF CF (ペルフルォロ(プロピルビニ
2 2 2 3
ルエーテル)、以下、 PPVEという。)の 35g、及び過流酸アンモニゥム塩(以下、 APS という。)の 0. lgを仕込み、攪拌回転数を 300rpmとして攪拌した。重合槽内を 65°C に昇温し、テトラフルォロエチレン (以下、 TFEという。)を仕込み、重合槽内の圧力を 1. OMPaとして、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるように TFEを連続的 に仕込み、 TFEの連続仕込み量が 200gになった時点で重合槽内を室温に冷却し、 未反応 TFEをパージした。重合槽を開放し、得られた水性乳化液を凍結させて、破 壊して共重合体を析出させた後 1000mlのイオン交換水(25°C)で洗浄を三回繰り 返した。次いで、 150°Cで 12時間乾燥させて、 205gの TFE/PPVE共重合体を得 た。得られた共重合体は、融点が 305°C、 MFR (Melt Flow Rate) (372°C、荷重 5kg)が 15g/分、共重合体中の PPVEに基づく重合単位の含有量が 3. 9質量%( 1. 47モル%)であり、溶融成形可能なフッ素樹脂であった。これを 340°Cで加圧プ レスし、得られたシート(厚み 1 · 5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用い て測定すると、 YI値 =ー6であり、着色の無い白色であることが認められる。
[比較例 c2]
実施例 c2における CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 =
3 2 2 2 2 4
30. 0%、pH = 5. 7)を、比較例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF C〇〇—(NH ) +水
3 2 2 2 2 4 溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)に変更した以外は実施例 c2と同様の反応 を行い、得られたフッ素樹脂を 340°Cで加圧プレスし、得られるシート(厚み 1. 5mm )の黄変度 (Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、 YI値 = + 3であり、褐 色の着色が認められる。
(C 3) TFE/HFP共重合体の製造試験
[実施例 c3]
実施例 c2と同じ重合槽を脱気し、実施例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF COO (
3 2 2 2 2
NH ) +水溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)の 3g溶力、したイオン交換水 600
4
g、へキサフロロプロピレン(以下、 HFPという。)の 200gおよび APSの 0. 3gを仕込 み、攪拌回転数を 300rpmとして攪拌した。重合槽内を 65°Cに昇温し、 TFEを仕込 み、重合槽内の圧力を 1. 5MPaとして重合を開始させた。重合中圧力が一定になる ように TFEを連続的に仕込み、 TFEの連続仕込みが 150gになった時点で重合槽内 を室温に冷却し、未反応モノマーをパージした。重合槽を開放し、得られた水性乳化 液を凍結させて、破壊して共重合体を析出させた後、 1000mlのイオン交換水(25°C )で洗浄を三回繰り返した。次いで、 150°Cで 12時間乾燥させて、 160gの TFE/H FP共重合体が得られた。得られた共重合体は、融点が 261°C、 MFR(372°C、荷重 5kg)が 17g/分、共重合体中の HFPに基づく重合単位の含有量が 11. 8質量%( 7. 9モル%)であり、溶融成形可能なフッ素樹脂であった。これを 340°Cで加圧プレ スし、得られたシート(厚み 1 · 5mm)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて 測定すると、 YI値 =ー6であり、着色の無い白色であることが認められる。
[比較例 c3]
実施例 c3における CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 =
3 2 2 2 2 4
30. 0%、pH = 5. 7)を、比較例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF C〇〇—(NH ) +水
3 2 2 2 2 4 溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7に変更した以外は実施例 c3と同様の反応 を行い、得られるフッ素樹脂を 340°Cで加圧プレスし、得られるシート(厚み 1. 5mm )の黄変度 (Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、 YI値 = + 3であり、褐 色の着色が認められる。
(C 4) TFE/エチレン/ PFBE共重合体の製造試験
[実施例 c4]
実施例 c2と同じ重合槽を脱気し、実施例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF COO (
3 2 2 2 2
NH ) +水溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)の 6g溶かしたイオン交換水 600
4
g、ターシャリーブタノールの 60g、 (ペルフルォロブチノレ)エチレン(以下、 PFBEとい
う。)の 2· 4g、 APSの 0. 15gを仕込み、攪拌回転数を 300rpmとして攪拌した。 TF Eの l l lg、エチレン(以下、 Eという。)の 8gを仕込み重合槽内を 65°Cに昇温して重 合を開始させた。重合圧力は 2. 9MPaであった。重合中圧力が一定になるように TF E/E = 53/47モル比の混合モノマーを連続的に仕込み、混合モノマーを 10g仕 込むごとに 0. 3gの PFBEを仕込んだ。混合モノマーの連続仕込みが 270gになった 時点で重合槽内を室温に冷却し、未反応モノマーをパージした。重合槽を開放し、 得られた水性乳化液を凍結させて、破壊して共重合体を析出させた後、 1000mlの イオン交換水(25°C)で洗浄を三回繰り返した。次いで、 150°Cで 12時間乾燥させて 、 285gの TFE/E共重合体が得られた。得られた共重合体は、融点が 262°C、 MF R (297°C、荷重 5kg)が 8g/分、共重合体の TFEに基づく重合単位/ Eに基く重合 単位/ PFBEに基く重合単位のモル比が 52. 5/46. 7/0. 8であり、溶融成形可 能なフッ素樹脂であった。これを 300°Cで加圧プレスし、得られたシート(厚み 1 · 5m m)の黄変度(Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、 YI値 =ー6であり、 着色の無い白色であることが認められる。
[比較例 c4]
実施例 c4における CF CF 0 (CF ) OCF COO— (NH ) +水溶液(固形物濃度 =
3 2 2 2 2 4
30. 0%、pH = 5. 7)を、比較例 1で得た CF CF 0 (CF ) OCF C〇〇—(NH ) +水
3 2 2 2 2 4 溶液(固形物濃度 = 30. 0%、pH = 5. 7)に変更した以外は実施例 c4と同様の反応 を行い、得られるフッ素樹脂を 300°Cで加圧プレスし、得られたシート(厚み 1. 5mm )の黄変度 (Yellow Index)を、色差計を用いて測定すると、 YI値 = + 3であり、褐 色の着色が認められる。
産業上の利用可能性
本発明のペルフルォロカルボン酸塩は、表面張力低下能が高ぐその安定性にも 優れており、界面活性剤としての機能に優れている。また、鉄を初めとする金属の含 有量が低い。そのため、本発明のペルフルォロカルボン酸塩組成物は、重合乳化剤 、ワックス等のレべリング剤、発泡助剤、泡消化のための安定な泡沫生成および消火 性能向上を目的とした添加剤、洗浄剤、離型剤、防鯖剤、ラテックス安定剤、農業用 フィルムの防霧剤、顔料分散剤、インク ·塗料 'レジスト等の濡れ性 ·浸透性改良、硬
化性樹脂への撥水撥油性付与、防汚剤等の種々の用途に有用である。 なお、 2006年 8月 31曰に出願された曰本特許出願 2006— 236515号の明細書 、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示とし て、取り入れるものである。