図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画システム100の構成を示す図である。描画システム100は、液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)上の感光材料に光を照射してパターンを描画するシステムである。描画システム100は、パターンを示すベクトルデータである入力データをランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)データ変換装置7、および、データ変換装置7により生成された出力データに基づいて基板上にパターンを描画する描画装置1を備える。図1では、データ変換装置7の各機能も併せて示している。以下では、描画装置1について説明した後、データ変換装置7およびデータ変換装置7にて取り扱われるデータについて説明する。
図2および図3はそれぞれ、描画装置1の側面図および平面図である。図2および図3に示すように、描画装置1は、(+Z)側の主面91(以下、「上面91」という。)上に感光材料の層が形成された基板9を保持する基板保持部3、基台11上に設けられて基板保持部3をZ方向に垂直なX方向およびY方向に移動する保持部移動機構2、基板保持部3および保持部移動機構2を跨ぐように基台11に固定されるフレーム12、並びに、フレーム12に取り付けられて基板9上の感光材料に変調された光を照射する光照射部4を備える。また、描画装置1は、図2に示すように、保持部移動機構2や光照射部4等の各構成を制御する制御部6を備える。
基板保持部3は、基板9が載置されるステージ31、ステージ31を回転可能に支持する支持プレート33、および、支持プレート33上において、基板9の上面91に垂直な回転軸321を中心としてステージ31を回転するステージ回転機構32を備える。
保持部移動機構2は、基板保持部3を図2および図3中のX方向(以下、「副走査方向」という。)に移動する副走査機構23、副走査機構23を介して支持プレート33を支持するベースプレート24、並びに、基板保持部3をベースプレート24と共にX方向に垂直なY方向(以下、「主走査方向」という。)に移動する主走査機構25を備える。描画装置1では、保持部移動機構2により、基板9の上面91に平行な主走査方向および副走査方向に基板保持部3が移動される。
副走査機構23は、支持プレート33の下側(すなわち、(−Z)側)において、ステージ31の主面に平行、かつ、主走査方向に垂直な副走査方向に伸びるリニアモータ231、並びに、リニアモータ231の(+Y)側および(−Y)側において副走査方向に伸びる1対のリニアガイド232を備える。主走査機構25は、ベースプレート24の下側において、ステージ31の主面に平行な主走査方向に伸びるリニアモータ251、並びに、リニアモータ251の(+X)側および(−X)側において主走査方向に伸びる1対のエアスライダ252を備える。
図3に示すように、光照射部4は、副走査方向に沿って等ピッチにて配列されてフレーム12に取り付けられる複数(本実施の形態では、8つ)の光学ヘッド41を備える。また、光照射部4は、図2に示すように、各光学ヘッド41に接続される光源光学系42、並びに、紫外光を出射するUV光源43および光源駆動部44を備える。UV光源43は固体レーザであり、光源駆動部44が駆動されることにより、UV光源43から波長355nmの紫外光が出射され、光源光学系42を介して光学ヘッド41へと導かれる。
各光学ヘッド41は、UV光源43からの光を下方に向けて出射する出射部45、出射部45からの光を空間光変調器46へと導く光学系451、光学系451からの光を変調しつつ反射する空間光変調器46、および、空間光変調器46からの変調された光を基板9の上面91に設けられた感光材料上へと導く光学系47を備える。
図4は、空間光変調器46を拡大して示す図である。図4に示すように、空間光変調器46は、出射部45からの光を基板9の上面91へと導く回折格子型の複数の光変調素子461を備える。光変調素子461は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。光変調素子461には複数の可撓リボン461aおよび複数の固定リボン461bが交互に平行に配列形成され、複数の可撓リボン461aは背後の基準面に対して個別に昇降可能とされ、複数の固定リボン461bは基準面に対して固定される。回折格子型の光変調素子としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
図5.Aおよび図5.Bは、可撓リボン461aおよび固定リボン461bに対して垂直な面における光変調素子461の断面を示す図である。図5.Aに示すように可撓リボン461aおよび固定リボン461bが基準面461cに対して同じ高さに位置する(すなわち、可撓リボン461aが撓まない)場合には、光変調素子461の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、図5.Bに示すように可撓リボン461aが固定リボン461bよりも基準面461c側に撓む場合には、可撓リボン461aが回折格子の溝の底面となり、入射光L1が入射した光変調素子461から1次回折光L3(さらには、高次回折光)が導出され、0次光は消滅する。このように、光変調素子461は回折格子を利用した光変調を行う。
図2に示す光照射部4では、UV光源43からの光が光源光学系42により線状光(光束断面が線状の光)とされ、出射部45を介して空間光変調器46のライン状に配列された複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461b(図5.Aおよび図5.B参照)上に照射される。光変調素子461では、隣接する各1本の可撓リボン461aおよび固定リボン461bを1つのリボン対とすると、3つ以上のリボン対が描画されるパターンの1つの描画単位、すなわち、描画画素に対応する。
光変調素子461では、各空間光変調器46に接続される光変調素子制御部61からの信号に基づいてパターンの各画素に対応するリボン対の可撓リボン461aがそれぞれ制御され、各画素に対応するリボン対が0次光(正反射光)を出射する図5.Aに示す状態と、非0次回折光(主として1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射する図5.Bに示す状態との間で遷移可能とされる。また、光変調素子461は、可撓リボン461aが図5.Aに示す状態と図5.Bに示す状態との間の状態まで撓むことにより、図5.Aに示す状態よりも強度が小さい0次光を出射することも可能とされる。
光変調素子461から出射される0次光は光学系47へと導かれ、1次回折光は光学系47とは異なる方向へと導かれる。なお、迷光となることを防止するために1次回折光は図示を省略する遮光部により遮光される。光変調素子461からの0次光は、光学系47を介して基板9の上面91へと導かれ、これにより、基板9の上面91上においてX方向(すなわち、副走査方向)に並ぶ複数の照射位置のそれぞれに変調された光が照射される。
図2および図3に示す描画装置1では、主走査機構25により主走査方向に移動される基板9に対し、光照射部4の光変調素子461から変調された光が照射される。換言すれば、主走査機構25は、光変調素子461から基板9へと導かれた光の基板9上における照射位置を、基板9に対して主走査方向に相対的に移動する照射位置移動機構となっている。なお、描画装置1では、例えば、基板9を移動することなく、光変調素子461が主走査方向に移動することにより基板9上の照射位置が主走査方向に移動されてもよい。描画装置1では、データ変換装置7から描画装置1へと出力データが出力され、基板9を主走査方向に移動しつつ、図2に示す光変調素子制御部61により、光変調素子461からの光の変調が出力データに基づいて制御される。これにより、入力データが示すパターンが基板9上に描画される。
次に、データ変換装置7について説明する。図6は、データ変換装置7の構成を示す図である。データ変換装置7は、通常のコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPU701、実行されるプログラムを記憶したり演算処理の作業領域となるRAM702、基本プログラムを記憶するROM703、各種情報を記憶する固定ディスク704、作業者に各種情報を表示するディスプレイ705、および、キーボードやマウス等の入力部706等を接続した構成となっている。固定ディスク704内には、データ変換装置7により実行されるプログラム7041が記憶される。プログラム7041は、基板上に描画される予定のパターンを示すベクトルデータである入力データを、ランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)プログラムである。
図1では、データ変換装置7のCPU701(図6参照)等がプログラム7041に従って演算処理等を行うことにより(すなわち、プログラム7041がデータ変換装置7により実行されることにより)実現される機能をブロックにて示しており、データ受付部71、図形ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79が、CPU701等により実現される機能に相当する。なお、これらの機能は複数台のコンピュータにより実現されてもよい。
次に、データ変換装置7による入力データから出力データへの変換について説明する。図7は、データ変換装置7によるデータ変換の流れを示す図である。データ変換装置7では、まず、図1に示すデータ受付部71によりベクトルデータである入力データが受け付けられる(ステップS11)。
図8.Aは、入力データにより表されるパターンを示す図である。図8.Aに示すように、入力データでは、所定の配置領域80に描画されるパターンが複数の図形要素の集合となっている。複数の図形要素のそれぞれは、形状や基板9(図2および図3参照)上の位置等を示すベクトルデータである。図8.A中の図形要素81は長方形であり、図形要素82〜85は互いに同じ大きさの正方形である。図形要素86〜88は互いに同じ大きさの長方形である。なお、図8.Aでは、図の理解を容易にするために、図形要素81〜88にそれぞれ平行斜線を付している。また、実際の図形要素は複雑な形状をしており、後述するように傾斜した辺を含む場合もあるが、図8.Aでは、単純な図形要素のみを示している。入力データは通常、図8.Aおよび図8.Bに示すものよりも多種類かつ多数の図形要素を含む。
入力データでは、図形要素81〜88、並びに、配置領域80の背景領域805(すなわち、配置領域80の図形要素81〜88を除く領域)に濃度が設定されており、本実施の形態では、各図形要素に設定される濃度(以下、「図形濃度」という。)が「1」であり、背景領域805に設定される濃度(以下、「背景濃度」という。)が「0」である。
図8.Aでは、図中の上側から下側へと向かう方向(以下、「第1の方向」という。)が、図2および図3に示す描画装置1における(+Y)側から(−Y)側へと向かう主走査方向に対応し、図中の左側から右側に向かう方向(すなわち、第1の方向に垂直な方向であり、以下、「第2の方向」という。)が、描画装置1における(+X)側から(−X)側へと向かう副走査方向に対応する。
後述するように、配置領域80は、図8.Bに示すように、第1の方向を向く複数の直線801(すなわち、描画装置1における主走査方向に平行な直線であり、以下、「分割直線801」という。)にて所定幅毎に分割され、これにより、第2の方向に配列された上記所定幅の複数の領域800(以下、「単位領域800」という。)が設定される。単位領域800の幅は、図1に示す描画装置1の描画の分解能に基づいて決定される幅であり、以下、「単位幅」という。なお、実際には配置領域80は十分に広く、分割直線801は多数設けられる。
図8.Bに示すように、図形要素81〜84,87の左側のエッジ(第2の方向の一方側のエッジ)、並びに、図形要素85,86,88の右側のエッジ(第2の方向の他方側のエッジ)は配置領域80の輪郭上に位置しており、図形要素81の右側のエッジは分割直線801上に位置している。図形要素82〜84,87の右側のエッジ、並びに、図形要素85,86,88の左側のエッジは、左側から3番目の単位領域800において、当該単位領域800の両側の分割直線801の間に位置している。
図形要素83と図形要素86とは第2の方向において接しており、図形要素86の左側のエッジは図形要素83の右側のエッジに重なっている。また、図形要素87の上側の部位、および、図形要素88の上側の部位はそれぞれ、図形要素84の下側の部位、および、図形要素85の下側の部位と重なっている。
実際のデータ変換装置7では、後述する処理が、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88に対応するデータ要素に対して行われるが、以下の説明では、理解を容易とするために、図形要素81〜88自体に処理が施されるものとして説明する。
入力データが受け付けられると、図形ランレングスデータ生成部74(図1参照)により、複数の図形要素81〜88のベクトルデータに基づいて、各図形要素が分割直線801にて単位幅毎に分割され、第2の方向に配列された複数の領域が設定される。本実施の形態では、図形要素81〜88はそれぞれ3つの領域(以下、「分割領域」という。)に分割され、図形要素82〜84,87の最も右側の分割領域の幅、並びに、図形要素85,86,88の最も左側の分割領域の幅は、単位領域800の幅(すなわち、単位幅)の半分となり、他の分割領域の幅は単位幅に等しくなる。なお、図8.Bでは配置領域80を分割する直線と図形要素を分割する直線とを分割直線801にて表しているが、実際には配置領域80の分割と図形要素の分割とは個別に行われ、配置領域80を分割する直線と図形要素を分割する直線とは異なるものとして扱われてよい。
分割領域が生成されると、図形要素81〜88のそれぞれを3つの分割領域のランレングスの集合として表す図形ランレングスデータが生成される。なお、個々のランレングスは、実質的に、始点の位置、長さおよび濃度(または画素値)を有する情報であり、他の形式として、例えば、始点および終点の位置並びに濃度を有する情報であってもよい。図9は、図形要素81〜88の図形ランレングスデータにおける各分割領域のランレングス(以下、「部分ランレングス」という。)を示す図であり、以下の説明では、図形要素81〜88の左側の端部(第2の方向における一方の端部)に位置する部分ランレングス811〜881(部分ランレングス811,821,831,841,851,861,871,881)を「第1端部ランレングス」と呼ぶ。また、図形要素81〜88の右側の端部(第2の方向における他方の端部)に位置する部分ランレングス812〜882(部分ランレングス812,822,832,842,852,862,872,882)を「第2端部ランレングス」と呼び、第1端部ランレングスと第2端部ランレングスとの間に位置する第1端部ランレングスおよび第2端部ランレングス以外の部分ランレングス813〜883(部分ランレングス813,823,833,843,853,863,873,883)を「中間ランレングス」と呼ぶ。
図9では、各部分ランレングスに平行斜線を付して示す。図9における平行斜線の間隔の違いは濃度の違いを表しており、平行斜線の間隔が小さい方が大きい濃度を表す(以下の同様の表現を用いている図においても同様)。なお、図9の例では、1つの分割領域から1つのランレングスが生成されるため、このランレングスを「部分ランレングス」と表現するが、図形要素が複雑な形状を有する場合や、後述するように傾斜する辺を有する場合には、1つの分割領域から複数のランレングスの配列が生成される場合がある。したがって、「部分ランレングス」は、正確には、図形要素の2つの分割直線801の間における少なくとも1つのランレングスの配列である。後述する傾斜辺を有する図形要素の例の説明では、分割領域から生成されるデータを「部分ランレングスデータ」と表現している。
図形ランレングスデータ生成部74では、第1端部ランレングス811〜841,871、第2端部ランレングス812,852,862,882、並びに、全ての中間ランレングス813〜883に図形濃度「1」が付与される。また、単位幅の半分の幅を有する分割領域に対応する第1端部ランレングス851,861,881、並びに、第2端部ランレングス822,832,842,872には、図形濃度と背景濃度との間の中間濃度である「0.5」が付与される(ステップS12)。本実施の形態では、中間濃度の数(すなわち、中間濃度の値の個数であり、中間濃度の種類数)は1つとされ、分割領域の幅が単位幅の1/4以上、かつ、3/4未満である場合に、当該分割領域に対応する第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度「0.5」が付与される。また、分割領域の幅が単位幅の1/4未満である場合には、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに背景濃度「0」が付与され、分割領域の幅が単位幅の3/4以上である場合には、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに図形濃度「1」が付与される。
なお、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度が付与される分割領域の幅の上限および下限は適宜変更されてよく、例えば、分割領域の幅が0よりも大きく、かつ、単位幅よりも僅かでも小さければ、当該分割領域に対応する第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度が付与されてもよい。さらには、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度が付与される条件は、必ずしも、分割領域の幅の単位幅に対する割合には限定されず、例えば、分割領域が矩形ではない場合等、分割領域の第1の方向の両端部に外接するとともに分割領域を含む単位幅の矩形の面積に対する分割領域の面積の割合が上記条件とされてもよい。
実際には、背景濃度が付与された第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスは部分ランレングスとしては生成されない。もちろん、図形ランレングスデータが冗長となることが許容されるのであれば、背景濃度の部分ランレングスが生成されてもよい。
各部分ランレングスに付与される濃度は、後述する単位ランレングスデータを生成する際に、各単位ランレングスデータに含まれるランレングスに付与される値の決定に利用される。描画装置1による描画の際には、当該濃度に基づいて光照射部4の光変調素子461が制御され、光照射部4から基板9に照射される光の強度が変更される。本実施の形態では、中間濃度「0.5」が付与されたランレングスに対応する基板9上の部位に照射される光の強度は、図形濃度「1」が付与されたランレングスに対応する基板9上の部位に照射される光の強度の半分とされる。
図形ランレングスデータが生成されると、単位領域設定部75(図1参照)により、配置領域80が図8.Bに示すように、第1の方向を向く複数の分割直線801にて単位幅に分割されることにより、第2の方向に配列された単位幅の複数の単位領域800が設定される(ステップS13)。なお、ステップS13における単位領域800の設定は、ステップS12における図形ランレングスデータの生成よりも前に行われてもよく、ステップS12と並行して行われてもよい。
単位領域800が設定されると、単位ランレングスデータ生成部76(図1参照)により、複数の単位領域800のうち一の単位領域800が注目単位領域として決定される。本実施の形態では、図10.Aにおいて太実線にて囲んで示すように、図中の最も左側の単位領域800が最初の注目単位領域800aとして決定される(ステップS14)。
注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる一または複数の図形要素が注目図形要素として抽出され(ステップS15)、各注目図形要素の注目単位領域800aと重なる部分ランレングスである注目部分ランレングスが、各注目図形要素の図形ランレングスデータに基づいて取得される。そして、各注目図形要素の注目部分ランレングス、および、注目部分ランレングスに付与された濃度に基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77(図1参照)に記憶される(ステップS16)。
具体的には、最初の注目単位領域800aでは、図形要素81〜84,87が注目図形要素として抽出され、図形要素81〜84,87の第1端部ランレングス811〜841,871が注目部分ランレングスとして取得される。上述のように、第1端部ランレングス811〜841,871には図形濃度「1」が付与されているため、注目単位領域800aのうち第1端部ランレングス811〜841,871と重なる部位(第1端部ランレングス841,871の双方と重なる部位も含む。)に図形濃度「1」が付与される。これにより、濃度「1」が付与されたランレングスが生成される。また、注目単位領域800aのうちいずれの注目図形要素とも重ならない残りの部位には背景濃度「0」が付与され、濃度「0」のランレングスが生成される。以上の処理により、注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される。
続いて、次の単位領域800(すなわち、単位ランレングスデータの生成が未了の単位領域800)が存在することが確認されてステップS14に戻り、図10.Bに示すように、図中の左側から2番目の単位領域800が次の注目単位領域として決定される(ステップS17,S14)。図10.Bでは、単位ランレングスデータの生成が終了している単位領域800(この場合、図中の最も左側の単位領域800)については、当該単位ランレングスデータに含まれるランレングスを示している(図10.Cないし図10.Fにおいても同様)。
2番目の注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる図形要素81〜84,87が注目図形要素として抽出され、図形要素81〜84,87の中間ランレングス813〜843,873が注目部分ランレングスとして取得される。そして、注目単位領域800aのうち、図形濃度「1」が付与された中間ランレングス813〜843,873と重なる部位(注目部分ランレングス843,873の双方と重なる部位も含む。)に図形濃度「1」が付与され、いずれの注目図形要素とも重ならない残りの部位に背景濃度「0」が付与される。これにより、単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77に記憶され、図10.Cに示すように、図中の左から3番目の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定される(ステップS15〜S17,S14)。
3番目の注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる図形要素81〜88が注目図形要素として抽出され、図形要素81〜84,87の第2端部ランレングス812〜842,872、並びに、図形要素85,86,88の第1端部ランレングス851,861,881が注目部分ランレングスとして取得される。上述のように、第2端部ランレングス812は図形濃度「1」を有しているため、注目単位領域800aの第2端部ランレングス812と重なる部位に図形濃度「1」が付与される。また、第2端部ランレングス822は中間濃度「0.5」を有しているため、注目単位領域800aのうち第2端部ランレングス822と重なる部位に中間濃度「0.5」が付与される。
第2端部ランレングス832は中間濃度「0.5」を有しており、注目単位領域800aのうち、第2端部ランレングス832のみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス832の第1端部ランレングス861よりも上側の部位と重なる部位)に中間濃度「0.5」が付与される。第1端部ランレングス861は、第2端部ランレングス832と同様に中間濃度「0.5」を有しており、注目単位領域800aのうち、第1端部ランレングス861および第2端部ランレングス832と重なる部位(すなわち、第1端部ランレングス861と第2端部ランレングス832との重複部と重なる部位)には、第1端部ランレングス861の中間濃度「0.5」と第2端部ランレングス832の中間濃度「0.5」との和である「1」(すなわち、図形濃度)が付与される。
第2端部ランレングス842および第2端部ランレングス872は中間濃度「0.5」を有しており、注目単位領域800aのうち、第2端部ランレングス842,872のみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス842のみと重なる部位、第2端部ランレングス872のみと重なる部位、並びに、第2端部ランレングス842,872の双方と重なる部位)に、第2端部ランレングス842,872が有する中間濃度「0.5」が付与される。
また、第1端部ランレングス851および第1端部ランレングス881は中間濃度「0.5」を有しており、注目単位領域800aのうち、第1端部ランレングス851,881のみと重なる部位(すなわち、第1端部ランレングス851のみと重なる部位、第1端部ランレングス881のみと重なる部位、並びに、第1端部ランレングス851,881の双方と重なる部位)に、第1端部ランレングス851,881が有する中間濃度「0.5」が付与される。
注目単位領域800aのうち、いずれの注目図形要素とも重ならない残りの部位には背景濃度「0」が付与され、これにより、単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77に記憶され、図10.Dに示すように、図中の左から4番目の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定される(ステップS15〜S17,S14)。
4番目の注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる図形要素85,86,88が注目図形要素として抽出され、図形要素85,86,88の中間ランレングス853,863,883が注目部分ランレングスとして取得される。そして、注目単位領域800aのうち、図形濃度「1」が付与された中間ランレングス853,863,883と重なる部位(中間ランレングス853,883の双方と重なる部位も含む。)に図形濃度「1」が付与され、いずれの注目図形要素とも重ならない残りの部位に背景濃度「0」が付与される。これにより、単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77に記憶され、図10.Eに示すように、図中の最も右側の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定される(ステップS15〜S17,S14)。
5番目の注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる図形要素85,86,88が注目図形要素として抽出され、図形要素85,86,88の第2端部ランレングス852,862,882が注目部分ランレングスとして取得される。続いて、注目単位領域800aのうち、図形濃度「1」が付与された第2端部ランレングス852,862,882と重なる部位(第2端部ランレングス852,882の双方と重なる部位も含む。)に図形濃度「1」が付与され、いずれの注目図形要素とも重ならない残りの部位に背景濃度「0」が付与される。これにより、単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77に記憶される(ステップS15〜S17)。
このように、データ変換装置7では、次の単位領域800が存在しなくなるまで、配置領域80の複数の単位領域800に対してステップS14〜S17を順次繰り返すことにより、図10.Fに示すように、複数の単位領域800の単位ランレングスデータが、第2の方向に向かって順次生成されてランレングス記憶部77に記憶される。そして、これらの単位ランレングスデータが、対応する単位領域の位置を示すデータと関連付けられることにより、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88(図8.A参照)を第1の方向を向くランレングスの集合として表すランレングスデータである出力データが生成される。
なお、上述のステップS15における注目図形要素の抽出では、配置領域80中の全ての図形要素について注目単位領域との重なりの判定が行われてもよいが、最も右側のエッジが注目単位領域よりも左側に位置する図形要素については、注目単位領域との重なりの判定が行われることなく、注目図形要素の候補から除外されることが好ましい。これにより、注目図形要素の抽出に要する時間が短縮される。
図1に示す描画システム100では、データ変換装置7において生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットに変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。そして、当該フォーマット変換後のデータに基づいて図2に示す制御部6の光変調素子制御部61から各空間光変調器46へと信号が送られるとともに、主走査機構25により基板9が主走査方向(すなわち、基板9上における上記第1の方向に対応する方向)に移動することにより、データ変換装置7に入力された入力データが示すパターンが基板9上の感光材料に描画される。
このとき、出力データの各単位ランレングスデータにおいて背景濃度「0」が付与された部位であるランレングスに対応する基板9上の領域には、光照射部4から光は照射されず、図形濃度「1」が付与された付与されたランレングスに対応する基板9上の領域、および、中間濃度「0.5」が付与されたランレングスに対応する基板9上の領域には、光照射部4からの光が照射される。また、中間濃度「0.5」が付与されたランレングスに対応する領域に照射される光の強度は、図形濃度「1」が付与されたランレングスに対応する領域に照射される光の強度の半分とされる。
描画装置1では、上述のように、光変調素子461の複数のリボン対が描画されるパターンの一の画素列に対応している(すなわち、一の単位領域800に対応している)が、実際には、当該複数のリボン対からの光は、対応する一の単位領域800の幅方向(すなわち、上記第2の方向に対応する副走査方向)の両側の単位領域800まで広がって照射される。このとき、上記複数のリボン対から基板9に照射される光の強度は、対応する単位領域800の幅方向の中心で最大値となり、中心から離れるに従って小さくなるように分布しており、対応する単位領域800と隣接する単位領域800との境界に照射される光量は、基板9上の感光材料の感光閾値に等しくなる。
したがって、上述のように、一の単位領域800の図形濃度「1」が付与された部位(正確には、図形濃度「1」が付与されたランレングスに対応する基板9上の部位、以下、光の照射に関する説明において同様)に光が照射され、当該部位に隣接する単位領域800の中間濃度「0.5」が付与された部位に強度が半分の光が照射されると、これらの光の強度が重ね合わされることにより、中間濃度「0.5」が付与された部位の幅方向の中央において、光の強度が感光材料の感光閾値となる。
これにより、光照射部4から基板9上に照射される光のON/OFFの切替可能な最小幅が単位領域800の幅である単位幅に等しいにもかかわらず(すなわち、図10.Fにて平行斜線が付された部位に対応する基板9上の領域全体に光が照射されるにもかかわらず)、図8.Bに示すように、図形要素82〜84,87の右側のエッジ、並びに、図形要素85,88の左側のエッジを、単位領域800の左右両側の境界のおよそ中央に位置させることができる。換言すれば、描画システム100では、データ変換装置7によるデータ変換により、描画装置1による描画の分解能が向上される。
データ変換装置7では、上述のように、2つの図形要素83,86が接する単位領域800(すなわち、図8.B中の左から3番目の単位領域800)の単位ランレングスデータを求める際に、注目単位領域のうち、それぞれ中間濃度「0.5」を有する第1端部ランレングス861および第2端部ランレングス832と重なる部位に、第1端部ランレングス861の中間濃度「0.5」と第2端部ランレングス832の中間濃度「0.5」との和である図形濃度「1」が付与される。
ここで、比較例として、注目単位領域の単位ランレングスデータを求める際に各注目図形要素の注目部分ランレングスの論理和をとるだけのデータ変換装置を想定すると、このようなデータ変換装置において上述と同様の入力データを変換した場合、図形要素83と図形要素86との隣接部を含むランレングスの濃度が、図11の中央に位置するランレングスのように中間濃度「0.5」となり、図形濃度「1」を有する2つの図形要素83,86の間に中間濃度「0.5」の筋が生じてしまう。その結果、描画装置による実際の描画において2つの図形要素83,86が離間してしまうおそれがある。
これに対し、本実施の形態に係るデータ変換装置7では、図形要素83と図形要素86との隣接部を含むランレングス(すなわち、それぞれが中間濃度「0.5」である第1端部ランレングス861と第2端部ランレングス832とが重なる部分)の濃度が図形濃度「1」とされることにより、図10.Fに示すように、第2の方向に隣接して配列された図形要素83と図形要素86との間に、中間濃度の筋が生じることを防止することができる。
ところで、図1に示すデータ変換装置7では、図形ランレングスデータ生成部74による図形ランレングスデータの生成(図7:ステップS12)において、第1端部ランレングスや第2端部ランレングスに付与される中間濃度の数を複数とすることもできる。以下では、中間濃度を「0.25」「0.5」「0.75」の3つとした場合について説明する。
図12.Aは、上記入力データとは異なる入力データに含まれる複数の図形要素81a〜81cを示す図である。図形要素81a〜81cは互いに同じ大きさの正方形であり、第2の方向の位置が単位幅の1/4ずつずれている。図形要素81a〜81cのそれぞれの最も左側の分割領域の幅は、単位幅の3/4、1/2および1/4となっており、図形要素81a〜81cのそれぞれの最も右側の分割領域の幅は、単位幅の1/4、1/2および3/4となっている。
ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、分割領域の幅が単位幅の1/8未満である場合には、当該分割領域に対応する第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに背景濃度「0」が付与され(すなわち、最終的には部分ランレングスは生成されない。)、分割領域の幅が単位幅の1/8以上、かつ、3/8未満である場合には、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度「0.25」が付与される。また、分割領域の幅が単位幅の3/8以上、かつ、5/8未満である場合には、第1端部ランレングスまたは第2端部ランレングスに中間濃度「0.5」が付与され、分割領域の幅が単位幅の5/8以上、かつ、7/8未満である場合には、中間濃度「0.75」が付与され、分割領域の幅が単位幅の7/8以上である場合には、図形濃度「1」が付与される。図形要素81a〜81cでは、図12.Bに示すように、第1端部ランレングス811a〜811cにそれぞれ、分割領域の幅に応じて中間濃度「0.75」「0.5」「0.25」が付与される。また、図形要素81a〜81cの第2端部ランレングス812a〜812cにも同様に、中間濃度「0.25」「0.5」「0.75」がそれぞれ付与される。
そして、描画装置1による描画の際に、光照射部4から基板9に照射される光の強度が、各ランレングスに付与された濃度に比例するように制御されることにより、基板9上に描画される各図形要素のエッジが、単位領域800の左右両側の境界の間において、図12.Aに示す位置にほぼ位置する。このように、データ変換装置7では、中間濃度の数を複数とすることにより、描画装置1による描画の分解能をさらに向上することができる。一方、中間濃度の数を1つとする場合には、入力データから出力データへのデータ変換を簡素化することができる。
図13.Aに示す図形要素82a,82bでは、図形要素82aの下側の部位が図形要素82bの上側の部位と重なっており、図形要素82a,82bのそれぞれの最も左側の分割領域の幅が、単位幅の1/2および3/4とされ、図形要素82a,82bのそれぞれの最も右側の分割領域の幅が、単位幅の1/2および3/4とされる。ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図13.Bに示すように、図形要素82aの第1端部ランレングス821aおよび第2端部ランレングス822aに中間濃度「0.5」が付与され、図形要素82bの第1端部ランレングス821bおよび第2端部ランレングス822bに中間濃度「0.75」が付与される。
図13.Cは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータであるランレングスの配列を示す図である。図13.Bおよび図13.Cに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の最も左側の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち、中間濃度「0.5」を有する第1端部ランレングス821aのみと重なる部位(すなわち、第1端部ランレングス821aの第1端部ランレングス821bよりも上側の部位)に、中間濃度「0.5」が付与され、中間濃度「0.75」を有する第1端部ランレングス821bのみと重なる部位(すなわち、第1端部ランレングス821bの第1端部ランレングス821aよりも下側の部位)に、中間濃度「0.75」が付与される。
また、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス821aおよび第1端部ランレングス821bの双方と重なる部位には、第1端部ランレングス821a,821bが有する中間濃度の最大値(すなわち、図形濃度に最も近い中間濃度)である「0.75」が付与される。これにより、描画装置1における描画において、図形要素82a,82bが重なる部位のエッジの位置を、幅が大きい方の図形要素82bのエッジの位置とすることができ、入力データにより忠実な描画を行うことができる。
ただし、描画結果において、図形要素82a,82bが重なる部位のエッジの位置に対して厳密な精度が要求されておらず、当該エッジが、図形要素82aのエッジと図形要素82bのエッジとの間に位置していればよい場合には、他の方法により濃度が決定されてもよい。一般的には、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス821aおよび第1端部ランレングス821bの双方と重なる部位に付与される濃度は、第1端部ランレングス821a,821bが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度(すなわち、第1端部ランレングス821a,821bが有する中間濃度のうち、背景濃度に最も近い中間濃度、図形濃度に最も近い中間濃度、および、両中間濃度の間の中間濃度のうちのいずれか)とされてよい。
このように、データ変換装置7(図1参照)では、第1端部ランレングスが少なくとも1つの中間濃度のいずれかを有している場合、ステップS16において、注目単位領域のうち、少なくとも1つの第1端部ランレングスのみと重なる部位に、当該少なくとも1つの第1端部ランレングスが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度が付与される。
ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、また、図中の最も右側の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち、中間濃度「0.5」を有する第2端部ランレングス822aのみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス822aの第2端部ランレングス822bよりも上側の部位)に、中間濃度「0.5」が付与され、中間濃度「0.75」を有する第2端部ランレングス822bのみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス822bの第2端部ランレングス822aよりも下側の部位)に、中間濃度「0.75」が付与される。
また、注目単位領域のうち、第2端部ランレングス822aおよび第2端部ランレングス822bの双方と重なる部位には、第2端部ランレングス822a,822bが有する中間濃度の最大値である「0.75」が付与される。これにより、上記と同様に、入力データにより忠実な描画を行うことができる。データ変換装置7では、注目単位領域のうち、第2端部ランレングス822aおよび第2端部ランレングス822bの双方と重なる部位に付与される濃度は、上記と同様に、第2端部ランレングス822a,822bが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度(すなわち、第2端部ランレングス822a,822bが有する中間濃度のうち、背景濃度に最も近い中間濃度、図形濃度に最も近い中間濃度、および、両中間濃度の間の中間濃度のいずれか)が付与されてよい。
このように、データ変換装置7では、第2端部ランレングスが少なくとも1つの中間濃度のいずれかを有している場合、ステップS16において、注目単位領域のうち、少なくとも1つの第2端部ランレングスのみと重なる部位に、当該少なくとも1つの第2端部ランレングスが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度が付与される。
図14.Aに示す図形要素83a,83bは第2の方向に接しており、図形要素83bの左側のエッジは図形要素83aの右側のエッジに重なっている。図形要素83aの最も右側の分割領域の幅は単位幅の3/4とされ、図形要素83bの最も左側の分割領域の幅は単位幅の1/4とされる。ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図14.Bに示すように、図形要素83aの第2端部ランレングス832aに中間濃度「0.75」が付与され、図形要素83bの第1端部ランレングス831bに中間濃度「0.25」が付与される。
図14.Cは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータを示す図である。図14.Bおよび図14.Cに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の左側から3番目の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち、中間濃度「0.75」を有する第2端部ランレングス832aのみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス832aの第1端部ランレングス831bよりも上側の部位)に、中間濃度「0.75」が付与される。また、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス831bおよび第2端部ランレングス832aの双方と重なる部位には、第1端部ランレングス831bの中間濃度「0.25」と第2端部ランレングス832aの中間濃度「0.75」との和が「1」となることから、図形濃度「1」が付与される。
図15.Aに示す図形要素84a,84bでは、図形要素84bの左側のエッジ近傍の部位が図形要素84aの右側のエッジ近傍の部位に重なっており、図形要素84aの最も右側の分割領域の幅は単位幅の3/4とされ、図形要素84bの最も左側の分割領域の幅は単位幅の1/2とされる。ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図15.Bに示すように、図形要素84aの第2端部ランレングス842aに中間濃度「0.75」が付与され、図形要素84bの第1端部ランレングス841bに中間濃度「0.5」が付与される。
図15.Cは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータを示す図である。図15.Bおよび図15.Cに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の左側から3番目の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち、中間濃度「0.75」を有する第2端部ランレングス842aのみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス842aの第1端部ランレングス841bよりも上側の部位)に、中間濃度「0.75」が付与される。また、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス841bおよび第2端部ランレングス842aの双方と重なる部位には、第1端部ランレングス841bの中間濃度「0.5」と第2端部ランレングス842aの中間濃度「0.75」との和が図形濃度「1」よりも大きくなることから、図形濃度「1」が付与される。
図14.Aないし図14.C、並びに、図15.Aないし図15.Cに示すように、データ変換装置7では、第2の方向に隣接して、または、重なって配列された2つの図形要素のそれぞれの隣接部または重複部を含む部分ランレングス(すなわち、右側の図形要素の第1端部ランレングス、および、左側の図形要素の第2端部ランレングス)が中間濃度であり、第1端部ランレングスの中間濃度と第2端部ランレングスの中間濃度との和が図形濃度以上である場合、ステップS16において、注目単位領域のうち、2つの図形要素の隣接部または重複部の部分ランレングスと重なる部位に図形濃度が付与される。これにより、第2の方向に隣接して、または、重なって配列された2つの図形要素の間に、中間濃度の筋や図形濃度を超える濃度の筋が生じることを防止することができる。
図16.Aに示す図形要素85a,85bは、一の単位領域800において第2の方向に関して単位幅よりも小さい僅かな距離(本実施の形態では、単位幅の1/2)だけ離間しつつ配列されており、図形要素85aの最も右側の分割領域、および、図形要素85bの最も左側の分割領域の幅はそれぞれ、単位幅の1/4とされる。ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図16.Bに示すように、図形要素85aの第2端部ランレングス852a、および、図形要素85bの第1端部ランレングス851bに中間濃度「0.25」が付与される。
図16.Cは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータを示す図である。図16.Bおよび図16.Cに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の左側から3番目の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち、中間濃度「0.25」を有する第2端部ランレングス852aのみと重なる部位(すなわち、第2端部ランレングス852aの第1端部ランレングス851bよりも上側の部位)に、中間濃度「0.25」が付与される。
また、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス851bおよび第2端部ランレングス852aの双方と重なる部位には、第1端部ランレングス851bの中間濃度「0.25」と第2端部ランレングス852aの中間濃度「0.25」との和が、図形濃度「1」を下回る「0.5」となる(すなわち、背景濃度「0」と図形濃度「1」との間の値となる)ことから、当該和に最も近い中間濃度「0.5」が付与される。これにより、第2の方向に僅かに離間しつつ配列された2つの図形要素の間に、中間濃度のランレングスが生じ、その結果、描画装置1による描画において、図形要素85a,85bを確実に離間させつつ入力データにより忠実な描画を行うことができる。
描画装置1における描画において、図形要素85a,85bの離間がより重要であり、図形要素85a,85bの互いに対向するエッジの位置がそれほど重要でない場合には、注目単位領域のうち、第1端部ランレングス851bおよび第2端部ランレングス852aの双方と重なる部位に付与される濃度は、第1端部ランレングス851bの中間濃度「0.25」と第2端部ランレングス852aの中間濃度「0.25」との和に最も近い中間濃度「0.5」以下の中間濃度(すなわち、上記和に最も近い中間濃度、および、当該中間濃度と背景濃度との間の中間濃度である「0.5」若しくは「0.25」)、または、背景濃度「0」が付与されてよい。特に、背景濃度「0」が付与された場合には、描画における図形要素85a,85bの離間がより確実に実現される。
図17.Aに示す図形要素86a,86bは、一の単位領域800において第2の方向に関して単位幅よりも小さい僅かな距離(本実施の形態では、単位幅の1/2)だけ離間しつつ配列されており、図形要素86c,86dは、上記単位領域800において第2の方向に関して単位幅よりも小さい僅かな距離(本実施の形態では、単位幅の1/4)だけ離間しつつ配列されている。図形要素86a,86cの最も右側の分割領域、並びに、図形要素86bの最も左側の分割領域の幅はそれぞれ、単位幅の1/4とされ、図形要素86dの最も左側の分割領域の幅は単位幅の1/2とされる。また、図形要素86aの下側の部位は図形要素86cの上側の部位と重なっており、図形要素86bの下側の部位は図形要素86dの上側の部位と重なっている。
ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図17.Bに示すように、図形要素86a,86cの第2端部ランレングス862a,862c、並びに、図形要素86bの第1端部ランレングス861bに中間濃度「0.25」が付与され、図形要素86dの第1端部ランレングス861dに中間濃度「0.5」が付与される。
図17.Cは、図17.B中の左側から3番目の単位領域800の各端部ランレングスを示す図であり、図中の最も上側の領域865には、中間濃度「0.25」を有する図形要素86aの第2端部ランレングス862a(図17.B参照)のみが存在し、領域866には、中間濃度「0.25」をそれぞれ有する図形要素86aの第2端部ランレングス862aおよび図形要素86bの第1端部ランレングス861b(図17.B参照)が存在する。
領域867には、中間濃度「0.25」をそれぞれ有する図形要素86a,86cの第2端部ランレングス862a,862c、並びに、図形要素86bの第1端部ランレングス861b(図17.B参照)が存在し、さらに、中間濃度「0.5」を有する図形要素86dの第1端部ランレングス861d(図17.B参照)が存在する。また、領域868には、中間濃度「0.25」を有する図形要素86cの第2端部ランレングス862c、および、中間濃度「0.5」を有する図形要素86dの第1端部ランレングス861dが存在し、領域869には、中間濃度「0.25」を有する図形要素86cの第2端部ランレングス862cのみが存在する。
図17.Dは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータを示す図である。図17.Bおよび図17.Dに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の左側から3番目の単位領域800が注目単位領域とされる際に、図17.Dに示すように、注目単位領域のうち、領域865および領域869(図17.C参照)にはそれぞれ中間濃度「0.25」が付与され、領域866および領域868(図17.C参照)にはそれぞれ、図16.Aないし図16.Cに示す例と同様に、第1端部ランレングスの中間濃度と第2端部ランレングスの中間濃度との和(に最も近い中間濃度)である「0.5」および「0.75」が付与される。
また、注目単位領域のうち領域867(図17.C参照)では、第1端部ランレングス861b,861dの中間濃度のうち最も図形濃度「1」に近い濃度である第1端部ランレングス861dの中間濃度「0.5」と、第2端部ランレングス862a,862cの中間濃度のうち最も図形濃度「1」に近い濃度である中間濃度「0.25」との和が「0.75」となり、図形濃度「1」を下回る。このため、領域867には、上記和に最も近い中間濃度である「0.75」が付与される。なお、図16.Aないし図16.Cに示す例と同様に、領域867には、上記和に最も近い中間濃度「0.75」以下の中間濃度、または、背景濃度「0」が付与されてもよい。
図18.Aでは、図17.Aに示す図形要素86a〜86dの図形要素86cに代えて、図形要素86cよりも幅が大きい図形要素86eが配置される。図形要素86e,86dは第2の方向に隣接しており、図形要素86dの左側のエッジは図形要素86eの右側のエッジに重なっている。図形要素86eの最も右側の分割領域の幅は単位幅の1/2とされ、ステップS12における図形ランレングスデータの生成では、図18.Bに示すように、図形要素86eの第2端部ランレングス862eに中間濃度「0.5」が付与される。
図18.Cは、ステップS16において生成された単位ランレングスデータを示す図である。図18.Bおよび図18.Cに示すように、ステップS16における単位ランレングスデータの生成では、図中の左側から3番目の単位領域800が注目単位領域とされる際に、注目単位領域のうち領域867(図17.C参照)では、第1端部ランレングス861b,861dの中間濃度のうち最も図形濃度「1」に近い濃度である第1端部ランレングス861dの中間濃度「0.5」と、第2端部ランレングス862a,862eの中間濃度のうち最も図形濃度「1」に近い濃度である第2端部ランレングス862eの中間濃度「0.5」との和が「1」となり、図形濃度「1」以上となる。このため、領域867には、図形濃度「1」が付与される。なお、図形要素86eに代えて、図形要素86eよりもさらに幅が大きい図形要素が、図形要素86dと互いの一部が重なるように配置された場合であっても、上記と同様に、領域867には図形濃度「1」が付与される。
図17.Aないし図17.D、並びに、図18.Aないし図18.Cに示すように、データ変換装置7では、注目単位領域のうち、中間濃度を有する少なくとも1つの第1端部ランレングスおよび中間濃度を有する少なくとも1つの第2端部ランレングスと重なる部位に付与される中間濃度が、当該少なくとも1つの第1端部ランレングスの中間濃度のうち最も図形濃度に近い濃度と当該少なくとも1つの第2端部ランレングスの中間濃度のうち最も図形濃度に近い濃度との和が図形濃度を下回る場合には、当該和に最も近い中間濃度以下の中間濃度または背景濃度とされ、上記和が図形濃度以上の場合には図形濃度とされる。これにより、第2の方向に僅かに離間しつつ配列された複数の図形要素の間に、中間濃度のランレングスを生じさせることができるとともに、第2の方向に隣接して、または、重なって配列された複数の図形要素の間に、中間濃度の筋や図形濃度を超える濃度の筋が生じることを防止することができる。
次に、図形要素が第1の方向に対して傾斜する(かつ、第2の方向に対しても傾斜する)傾斜辺を有する場合の部分ランレングスの生成(図7:ステップS12)について説明する。なお、既述のように、この例では、図形要素の1つの分割領域から少なくとも1つのランレングスの配列が生成されるため、以下、このランレングスの配列を「部分ランレングスデータ」と表現する。
図19は傾斜辺8910を有する図形要素891を例示する図である。傾斜辺8910は図19の上下方向である第1の方向に対して僅かに傾斜する。図20は、ランレングスの濃度として、図形濃度「1」および背景濃度「0」のみが与えられる場合の傾斜辺8910近傍の部分ランレングスデータ8911,8912および単位領域800を示す図である。傾斜片8910は太い破線にて示されている。なお、既述のように、単位領域800は、図形要素が配置される領域の分割の単位、かつ、単位ランレングスデータの生成の単位であり、図形要素の分割は、単位領域800の生成と同時に行われるのではなく、単位領域800の幅に合わせて個別に行われるが、説明の都合上、部分ランレングスデータの生成が単位領域800上で行われるものとして説明する。
図20において、第1の方向に伸びる破線は分割直線801であり、第2の方向に伸びる破線は、描画の際に光のON/OFFを制御する単位を示している。すなわち、縦方向および横方向に伸びる破線にて囲まれる矩形802は、描画の単位を示しており、以下、「描画画素802」と呼ぶ。描画画素802の第1の方向の幅および第2の方向の長さは適宜定められてよいが、図20では、説明の便宜上、描画画素802は正方形であるものとする。
描画画素802に「1」または「0」の濃度のみが与えられる場合、図形要素891の占める面積が半分以上の描画画素802に図形濃度「1」が与えられ、半分未満の描画画素802に背景濃度「0」が与えられる。そして、図形濃度「1」の描画画素802により部分ランレングスデータ8911,8912が生成される。図20に示すように、傾斜辺8910の傾きが8(第1の方向に8進み、第2の方向に1進む方向)である場合は、隣接する部分ランレングスデータにて図形濃度「1」の描画画素802が第1の方向に8個だけずれることとなる。その結果、図21に太い実線9910にて示すように、基板9上に描画されるパターンにジャギー、すなわち、大きな段差が生じ、傾斜辺8910は滑らかには描画されない。
これに対し、データ変換装置7(図1参照)では、ジャギーを抑制するために中間濃度のランレングスを含む部分ランレングスデータが生成される。図22は、データ変換装置7にて生成される部分ランレングスデータ8911,8912を示す図である。各単位領域800では、2つの分割直線801の間にて第1の方向に並ぶ複数の描画画素802に対して、描画画素802中の図形要素891が占める面積の割合に従って、図形濃度「1」、中間濃度「0.5」および背景濃度「0」のいずれかが付与される。
これにより、傾斜辺8910を有する図形要素891では、部分ランレングスデータ8911,8912はそれぞれ、多階調の濃度が与えられた複数のランレングスの配列として生成される。ただし、本実施の形態では、背景濃度「0」のランレングスは部分ランレングスデータに含めないものとして説明する。
以下、図形濃度のランレングスおよび中間濃度のランレングスを含む部分ランレングスデータを「多階調の部分ランレングスデータ」という。図22では、図9と同様に、中間濃度「0.5」のランレングスに間隔が広い平行斜線を付し、図形濃度「1」のランレングスに間隔が狭い平行斜線を付している。
次に、多階調の部分ランレングスデータの生成方法について、部分ランレングスデータ8912を参照して説明する。
まず、図20の場合と同様に、図形要素の占める割合が半分以上の描画画素802に図形濃度「1」が付与され、半分未満の描画画素802に図形濃度「0」が付与されることにより、図形濃度「1」のランレングスが生成される。実際には、各描画画素802に濃度を直接付与する処理は行われず、例えば、単位領域800の中心線と傾斜辺8910との交点や単位領域800の両側の分割直線801との交点を基準に、ランレングスの始点および長さの決定が行われ、ランレングスが直接生成される。ランレングスが直接生成される場合は、「ランレングスの生成」により各描画画素に特定の濃度が実質的に付与されることとなるが、この処理自体は、描画画素に特定の濃度を付与することにより同じランレングスを生成することと実質的に同である。
次に、図22に示すように、互いに隣接する2つの分割直線801と傾斜辺8910との2つの交点803が求められ、2つの交点803の第1の方向における中央の位置(以下、「中央位置804」と呼ぶ。)が求められる。もちろん、図20の段階で交点803が求められている場合は、交点を求める処理は省略されてよい。ここで、2つの交点803の第1の方向における距離がLである場合(以下、他の図においても同様)、中央位置804から第1の方向に(±L/4)の範囲にある4つの描画画素802に対して、濃度「1」および「0」に代えて中間濃度「0.5」が付与される。当該4つの描画画素802では、図形要素891の占める面積がおよそ25%以上75%以下となっている。
上記4つの描画画素802よりも下方のL/4の範囲にある2つの描画画素802では、図形濃度「1」が維持され、上方のL/4の範囲にある2つの描画画素802では、背景濃度「0」が維持される。その結果、中間濃度のランレングス8912aおよび図形濃度のランレングス8912bを有する多階調の部分ランレングスデータ8912が生成される。実際の処理では、描画画素802の濃度が直接変更されるのではなく、図形濃度「1」のランレングスの始点の位置や長さが修正され、中間濃度「0.5」のランレングスの始点の位置および長さが直接生成される。これにより、描画画素802毎に階調を決定する場合に比べて、中間濃度のランレングス8912aが容易かつ速やかに生成される。
部分ランレングスデータ8912の左側に位置する単位領域800においても、同様の処理により中間濃度のランレングス8911aおよび図形濃度のランレングス8911bを有する多階調の部分ランレングスデータ8911が生成される。他の部分ランレングスデータも同様に順次生成され、これにより、多階調の部分ランレングスデータを含む図形ランレングスデータが生成される。以下の説明では、多階調の部分ランレングスデータにおいて、中間濃度のランレングスを「中間濃度ランレングス」といい、図形濃度のランレングスを「図形濃度ランレングス」という。
以上のように、傾斜辺8910、すなわち、図形要素891の一辺である線分が2つの分割直線801と2つの交点803にて交差する場合、2つの交点803の第1の方向における位置を基準として2つの交点803の間の中央位置804が求められることにより、中間濃度ランレングス8911a,8912aが容易に生成される。
図23は、図22に示す図形ランレングスデータにより描画が行われたパターンを示す図である。多階調の部分ランレングスデータが生成されることにより、図23では、太い実線9910にて示すように、図21に示すものに比べて多段の傾斜辺が描かれる。その結果、ジャギーの発生が抑制され、傾斜辺8910に対応する滑らかな描画が実現される。実際には、角の部位が鈍るため、極めて滑らかなに傾斜辺が高品質にて描画されることとなる。また、このような多階調の部分ランレングスデータの生成は、傾斜辺が第1の方向に対して5°以下の角度にて交差する場合に特に適している。
次に、図形要素891の傾斜辺8910が1つの単位領域800の一方側の分割直線801とのみ交差する場合の部分ランレングスデータの生成について説明する。図24は、図19の傾斜辺8910と下側の第2の方向に伸びる辺との間の角部891a近傍における部分ランレングスデータ8911を示す図である。ただし、説明の都合上、傾斜辺8910の傾きは図20に示すものから変更している。部分ランレングスデータ8911が生成される際には、まず、図20と同様に、図形要素の占める割合が半分以上の描画画素802に図形濃度「1」が付与されるように、図形濃度のランレングスが生成される。これにより、角部891aの上側の5つの描画画素802に対して図形濃度「1」が付与される(図示省略)。
次に、傾斜辺8910を含む直線と2つの分割直線801との2つの交点803が求められる。図24では、傾斜辺8910の延長部分を符号8910aを付す破線にて示している。そして、図22の場合と同様に、2つの交点803の第1の方向における中央位置804が求められ、中央位置804から第1の方向に(±L/4)の範囲内(かつ、図形要素が存在する範囲内)に中間濃度「0.5」のランレングスが生成される。すなわち、図形要素891の占める面積がおよそ25%以上75%以下の8個の描画画素802に、濃度「1」および「0」に代えて中間濃度「0.5」が付与される。また、図形濃度「1」のランレングスの始点および長さが変更され、中間濃度ランレングスの下側のL/4の範囲内(かつ、図形要素が存在する範囲内)に位置する1つの描画画素802では図形濃度「1」が維持される。
これにより、単位領域800では、中間濃度ランレングス8911aおよび図形濃度ランレングス8911bを有する多階調の部分ランレングスデータ8911が生成され、感光材料上に描画されたパターンでは、傾斜辺8910におけるジャギーの発生が抑制される。また、描画画素802毎に濃度を決定する場合に比べて、中間濃度ランレングス8911aが容易かつ速やかに生成される。なお、図24に示す例において、角部891aが1つの描画画素802内において中央よりも上側に位置する場合は、当該描画画素802に濃度「0」が付与され、描画画素802の中央よりも下側に位置する場合は、当該描画画素802に濃度「1」が付与される。
図25は、図24に示す場合よりも傾斜辺8910がさらに短い例を示す図である。傾斜辺8910は、1つの単位領域800内に位置し、単位領域800の両側の分割直線801とは交差しない。部分ランレングスデータ8911が生成される際にも、まず、図20と同様に描画画素802毎に図形要素の占める面積に従って図形濃度「1」および背景濃度「0」が付与されるように図形濃度「1」のランレングスが生成される。これにより、傾斜辺8910の下側の端部よりも上の5つの描画画素802に図形濃度「1」が付与される。
次に、傾斜辺8910を含む直線と2つの分割直線801との2つの交点803が求められ、2つの交点803の第1の方向における中央位置804が求められる。図25では、傾斜辺8910の延長部分を、符号8910a,8910bを付す破線にて示している。そして、中央位置804から第1の方向に(±L/4)の範囲内(かつ図形要素が存在する範囲内)に中間濃度ランレングス8911aが生成される。これにより、この範囲内の8つの描画画素802に、濃度「1」および「0」に代えて中間濃度「0.5」が付与される。中間濃度ランレングス8911aの下側のL/4の範囲内(かつ、図形要素が存在する範囲内)に位置する1つの描画画素802では図形濃度「1」が維持され、この描画画素802が図形濃度ランレングス8911bとなる。これにより、感光材料上において、ジャギーの発生を抑えた傾斜辺8910の描画が可能となる。
図24および図25を参照して説明したように、傾斜辺8910が、2つの分割直線801の一方のみと交差する場合、または、いずれとも交差しない場合、傾斜辺8910を含む直線と2つの分割直線801との2つの交点803が求められ、2つの交点803の第1の方向における位置を基準として中間濃度ランレングス8911aが容易に生成される。これにより、傾斜辺の端点の一方または両方が一対の分割直線801の間に位置する場合であっても、適切に多階調のランレングスの配列が生成される。
以上に説明した多階調の部分ランレングスデータから図7のステップS16において単位ランレングスデータを生成する方法は、図8.A〜図18.Cを参照して説明した規則と同様の規則にて生成される。ただし、図8.A〜図18.Cに関する説明では、図形要素の左側の端部に位置するランレングスを第1端部ランレングスと呼び、右側の端部に位置するランレングスを第2端部ランレングスと呼んでいるが、図形要素が傾斜辺を有する場合は、第1の方向のいずれかの位置において図形要素の最も左側に位置する部位を有するランレングスが全て、最も左側に位置する第1端部ランレングスとみなされ、最も右側に位置する部位を有するランレングスが全て、最も右側に位置する第2端部ランレングスとみなされる。
例えば、図22に示す例では、中間濃度ランレングス8911a,8912aだけでなく、上側の4つの描画画素802が図形要素891の左側の端部に位置する図形濃度ランレングス8911b,8912bも第1端部ランレングスとして扱われる。なお、図形濃度ランレングス8911b,8912bでは、上側の4つの描画画素802が別のランレングスへと分割されて第1端部ランレングスとして扱われてもよい。
図26は、2つ図形要素891,892が重ねられたパターンを示す図である。単位ランレングスデータの生成では、上述の方法により図形要素891,892毎に多階調の部分ランレングスデータを含む図形ランレングスデータが生成されると、図7のステップS13〜S17が実行される。図27.Aは、図形要素891から生成される図形ランレングスデータの一部を示し、傾斜辺8910近傍において左から順に並ぶ3つの部分ランレングスデータ8911,8912,8913を示している。
図22と同様に、部分ランレングスデータ8911〜8913では、傾斜辺8910と分割直線801との交点を基準として中間濃度ランレングスが設定される。これにより、上側から順に、中間濃度ランレングス8911a〜8913aおよび図形濃度ランレングス8911b〜8913bが設定される。ランレング8911a〜8913a,8911b〜8913bは、上下方向のいずれかの位置において図形要素891の最も左側に位置する部位を有する第1端部ランレングスである。
図27.Bは、図26に示す図形要素892から生成される図形ランレングスデータの一部を示し、傾斜辺8920近傍において左から順に並ぶ3つの部分ランレングスデータ8921,8922,8923を示している。図形要素892においても、図22と同様に、傾斜辺8920と分割直線801との交点を基準として中間濃度ランレングスが設定される。これにより、部分ランレングスデータ8921〜8923は、下から順に中間濃度ランレングス8921a〜8923aおよび図形濃度ランレングス8921b〜8923bを有する。ランレングス8921a〜8923a,8921b〜8923bは、上下方向のいずれかの位置において図形要素93の最も左側に位置する部位を有する第1端部ランレングスである。
図27.Cは、図27.Aおよび図27.Bの図形ランレングスデータが重ね合わされた様子を示す図である。図27.Cの中央の単位領域800では、中間濃度の第1端部ランレングス8912a,8922aが一致する。図10.Cの第1端部ランレングス851,881の重なりについての説明と同様に、中間濃度の第1端部ランレングス8912a,8922aが重なる部位には、中間濃度「0.5」のランレングスが生成される。また、図形濃度の第1端部ランレングス8912bまたは第1端部ランレングス8922bと重なる部位には、図形濃度「1」のランレングスが生成される。
図27.Cの右側の単位領域800では、各描画画素802に図形濃度の第1端部ランレングス8913bまたは第1端部ランレングス8923bが存在するため、全ての描画画素802に図形濃度「1」を付与するランレングスが生成される。なお、中間濃度の第1端部ランレングス8913a,8923aの位置を太い破線にて囲んで示している。
図27.Cの左側の単位領域800では、2つの図形要素891,892が重ならないため、中間濃度の第1端部ランレングス8911a,8921aが位置する部位に中間濃度のランレングスが生成され、図形濃度の第1端部ランレングス8911b,8921bが位置する部位に図形濃度のランレングスが生成され、いずれの第1端部ランレングスも位置しない部位に背景濃度のランレングスが生成される。
以上の処理により、ベクトルデータ同士を合成してから単位ランレングスデータを順次生成する場合に比べて、演算量を減らして単位ランレングスデータを速やかに生成することが実現される。
図28は、図27.Cの単位ランレングスデータに基づいて描画が行われたパターンを示す図である。中間濃度ランレングスに対応する領域では、描画画素802の第2の方向における半分のみが感光し、これにより、パターンの輪郭9920が滑らかに描画される。
3以上の第1端部ランレングが重なる場合においても、第1端部ランレングスの全てに中間濃度「0.5」が付与されている場合には、単位領域800のうちこれらの第1端部ランレングスのみと重なる部位に中間濃度「0.5」のランレングスが生成される。また、同様の処理は、第2端部ランレングスに関しても行われ、3以上の中間濃度「0.5」が付与された第2端部ランレングスのみと重なる部位に中間濃度「0.5」が付与される。もちろん、図形濃度「1」のいずれかのランレングスと重なる部位には、図形濃度「1」が付与される。
図29は、傾斜辺を有する複数の図形要素の他の例を示す図であり、傾斜辺8910を有する図形要素891と、図形要素891と対向し、傾斜辺8910と重なる傾斜辺8930を有する図形要素893とを示している。
図30は、図29の傾斜辺8910,8930近傍において単位ランレングスデータが生成される様子を示す図である。図30では、図形要素891に関して、図27.Aと同様に左から多階調の部分ランレングスデータ8911,8912,8913が生成されており、部分ランレングスデータ8911は上から順に中間濃度の第1端部ランレングス8911aおよび図形濃度の第1端部ランレングス8911bを有し、部分ランレングスデータ8912は上から順に中間濃度の第1端部ランレングス8912aおよび図形濃度の第1端部ランレングス8912bを有し、部分ランレングスデータ8913は上から順に中間濃度の第1端部ランレングス8913aおよび図形濃度の第1端部ランレングス8913bを有する。
図形要素893に対応する部分ランレングスデータは、図27.Bに示すものを左右反転したものと同様である。したがって、各部分ランレングスデータは、第2端部ランレングスの配列となっている。すなわち、図形要素893に関して、左から多階調の部分ランレングスデータ8931,8932,8933が生成されており、部分ランレングスデータ8931は上から順に図形濃度の第2端部ランレングス8931bおよび中間濃度の第2端部ランレングス8931aを有し、部分ランレングスデータ8932は上から順に図形濃度の第2端部ランレングス8932bおよび中間濃度の第2端部ランレングス8932aを有し、部分ランレングスデータ8933は上から順に図形濃度の第2端部ランレングス8933bおよび中間濃度の第2端部ランレングス8933aを有する。
そして、傾斜辺8910,8930上において、中間濃度「0.5」の第1端部ランレングス8911aと第2端部ランレングス8931aとが重なり、中間濃度「0.5」の第1端部ランレングス8912aと第2端部ランレングス8932aとが重なり、中間濃度「0.5」の第1端部ランレングス8913aと第2端部ランレングス8933aとが重なる。第1端部ランレングスと第2端部ランレングスとが重なる部位には、図14.Bにおける第1端部ランレングス832aと第2端部ランレングス831bとの重なりについての説明と同様に、第1端部ランレングスと第2端部ランレングスとの中間濃度「0.5」の和である図形濃度「1」が付与される。また、他の領域では図形濃度「1」のいずれかのランレングスと重なることから図形濃度「1」が付与される。
以上の処理により、図30では、全ての描画画素802に図形濃度「1」を付与する単位ランレングスデータが生成される。その結果、図形要素891と図形要素893との境界において、中間濃度のランレングスが生成されてしまうことが防止され、感光材料上に描画されたパターンには、中間濃度の筋が生じることが防止される。
次に、図7のステップS12において、複数の中間濃度を有する多階調の部分ランレングスデータが生成される例について説明する。図31は、傾き16の傾斜辺8910近傍における多階調の部分ランレングスデータ8911を示す図である。部分ランレングスデータ8911が生成される際には、図20の場合と同様に、まず、描画画素802に対する図形要素が占める面積の割合が50%以上の描画画素802に図形濃度「1」が付与される。なお、既述のように実際には各描画画素に図形濃度を与える処理が行われるのではなく、図形濃度「1」のランレングスが生成される。
次に、互いに隣接する2つの分割直線801と傾斜辺8910との2つの交点803が求められ、2つの交点803の第1の方向における中央位置804が求められる。ここで、2つの交点803の第1の方向における距離がLである場合、中央位置804から第1の方向に(±L/8)の範囲に中間濃度「0.5」の中間濃度ランレングス8911bが生成される。これにより、この範囲に存在する4つの描画画素802に中間濃度「0.5」が与えられる。
上記4つの描画画素802よりも下方のL/4の範囲、および、上方のL/4の範囲にはそれぞれ、中間濃度「0.75」および「0.25」の中間濃度ランレングス8911c,8911aが生成される。すなわち、上から順に4つの描画画素802毎に、中間濃度「0.25」、「0.5」、「0.75」が順に与えられる。また、下側の交点803近傍のL/8の範囲に位置する2つの描画画素802では、図形濃度「1」が維持されるように図形濃度ランレングス8911dが生成される。以上のようにして、上から順に、3つの中間濃度ランレングス8911a,8911b,8911cおよび図形濃度ランレングス8911dを有する多階調の部分ランレングスデータ8911が生成される。
図32は、部分ランレングスデータ8911を含む図形ランレングスデータに基づいて感光材料上に描画されたパターンの傾斜辺8910近傍を示す図である。複数濃度の中間濃度ランレングスが生成されることにより、図32では、太い実線9910にて示すように、図23に示すものに比べてより細かい多段の傾斜辺が描かれる。その結果、ジャギーの発生がより抑制され、滑らかな描画が実現される。
なお、傾斜辺8910が、分割直線801の一方のみと交差する場合、または、いずれとも交差しない場合は、図24や図25と同様の手法により複数の中間濃度を有する多階調の部分ランレングスデータが生成される。すなわち、各単位領域800では、傾斜辺8910を含む直線と2つの分割直線801との2つの交点803が求められ、2つの交点803の第1の方向における位置を基準に複数の中間濃度ランレングスが生成される。
図7のステップS13〜S17において単位ランレングスデータを生成する際に、複数の中間濃度を有する部分ランレングスデータが重なる場合は、図12.A〜図18.Cを参照して説明した規則と同様の規則にて処理が行われる。これにより、複数の図形要素の重なりを反映した出力データが速やかに生成される。
すなわち、注目単位領域のうち、中間濃度を有する少なくとも1つの第1端部ランレングスのみと重なる部位には、当該少なくとも1つの第1端部ランレングスが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度(1つの第1端部ランレングスのみと重なる部位にはその中間濃度)が付与される。好ましくは、これらの中間濃度のうち図形濃度に最も近い中間濃度が付与される。同様に、注目単位領域のうち、中間濃度を有する少なくとも1つの第2端部ランレングスのみと重なる部位には、当該少なくとも1つの第2端部ランレングスが有する中間濃度のうち最小値以上最大値以下の中間濃度(1つの第2端部ランレングスのみと重なる部位にはその中間濃度)が付与される。好ましくは、これらの中間濃度のうち図形濃度に最も近い中間濃度が付与される。
そして、注目単位領域のうち、中間濃度を有する少なくとも1つの第1端部ランレングスおよび中間濃度を有する少なくとも1つの第2端部ランレングスのみと重なる部位には、当該少なくとも1つの第1端部ランレングスの中間濃度のうち最も図形濃度に近い濃度と当該少なくとも1つの第2端部ランレングスの中間濃度うち最も前記図形濃度に近い濃度との和が図形濃度以上の場合には図形濃度が付与され、和が図形濃度を下回る場合には背景濃度または和に最も近い中間濃度以下の中間濃度が付与される。なお、好ましくは、和に最も近い中間濃度が付与される。
もちろん、注目単位領域のうち、いずれかの図形濃度を有するランレングスと重なる部位には図形濃度が付与され、いずれの図形要素とも重ならない部位には背景濃度が付与される。
上記実施の形態では説明を省略したが、実際の描画装置1では、光の変調速度がソフトウェア的またはハードウェア的に制限されており、同一の濃度の描画画素が最低限連続する個数(以下、「最小描画長さ」と呼ぶ。)が定められている。例えば、1つの描画画素の第1の方向の長さが0.25μmであり、描画画素が最低限連続する個数が6個の場合、最小描画長さは1.5μm(=0.25μm×6)となる。データ変換装置7では、最小描画長さ未満の長さのランレングスを生成することが禁止される。したがって、上述の中間濃度ランレングスの設定において、演算により中間濃度ランレングスの長さが求められた後に、長さが最小描画長さ未満の場合には、この設定予定の中間濃度ランレングスの設定が取り消される。
すなわち、設定予定の中間濃度ランレングスの長さが最小描画長さ以上の場合に、部分ランレングスデータにこの中間濃度ランレングスが含められ、最小描画長さ未満の場合には部分ランレングスデータに含められない。最小描画長さは描画装置1の性能の限界にて設定される必要はなく、例えば、最小描画長さは、描画装置1が描画できる最小長さに一定の長さを加えたものであってもよい。
ただし、図31に示す例のように、中間濃度が多数存在する場合には、中間濃度の数を減らして長さの長い中間濃度ランレングスを生成する処理と、中間濃度ランレングスの長さが最小描画長さ以上であるか否かの確認とが繰り返し行われた上で、部分ランレングスデータが生成される。
最短描画長さ以上の中間濃度ランレングスを部分ランレングスデータに含めるか否かの判断方法、換言すれば、傾斜辺がスムージング対象か否かを判断する他の手法として、例えば、図22に示す例において、2つの交点803の間の第1の方向における距離が最短描画長さの2倍以下の場合に中間濃度「0.5」の中間濃度ランレングスを発生させないという手法が採用されてもよい。この場合は、傾斜辺がスムージング対象ではなくなることにより、設定予定の中間濃度ランレングス自体が求められないこととなる。
上記実施の形態は、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、データ変換装置7にて取り扱われる図形要素の中間ランレングスが1つであるが、第2の方向に配列される複数の中間ランレングスを有する図形要素も当然入力データに含まれてよい。また、図形要素に設定される図形濃度は、必ずしも「1」である必要はなく、例えば、図形濃度が「0.5」である複数の図形要素が第2の方向において隣接する場合には、複数の図形要素の隣接部を含むランレングスの濃度が図形濃度「0.5」とされる。なお、データ変換装置7にて取り扱われる入力データでは、異なる図形濃度が設定されている図形要素が隣接することはなく、また、重なることもない。
図19ないし図32では、傾斜辺と分割直線801との2つの交点803から中央位置804が求められて中間濃度ランレングスが生成されるが、中間濃度ランレングスが実質的に描画画素内の図形要素の割合に従うように設定されるのであれば、他の様々な手法が採用されてよい。例えば、第1の方向において、上記2つの交点803の間を予め定められた比で内分する位置から他の比で内分する位置までの範囲に中間濃度が付与されてもよい。このように、2つの交点803の第1の方向における位置を基準に中間濃度が設定されることにより、中間濃度ランレングスが容易かつ速やかに生成される。
上記実施の形態では、背景濃度「0」のランレングスを含む部分ランレングスデータが生成されてもよい。すなわち、第1の方向に並ぶ複数の描画画素802に図形濃度、背景濃度および少なくとも1つの中間濃度のいずれかが割り当てられることにより、背景濃度を含む多階調の部分ランレングスデータが生成されてもよく、背景濃度のランレングスを除いた多階調の部分ランレングスデータが生成されてもよい。図形ランレングスデータでは、1つの多階調の部分ランレングスデータが含まれるのみであってもよい。
上記実施の形態に係るデータ変換装置7では、入力データに含まれる図形要素は、複数のサブ図形要素を含むサブ図形要素群であってもよい。また、入力データは、一の図形要素が他の図形要素を参照する階層構造であってもよい。
描画システム100では、データ変換装置7において出力データがフォーマット変換されることなく描画装置1へと出力され、描画装置1においてフォーマット変換が行われてもよい。
データ変換装置7により変換される入力データは、必ずしも液晶表示装置用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータには限定されず、例えば、プラズマ表示装置等の他のフラットパネル表示装置またはフォトマスク用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータであってもよく、LSI用のパターンデータであってもよい。また、他の様々な目的に利用される入力データがデータ変換装置により出力データに変換されてもよい。
描画装置1は、上述の構造を備えるものには限定されず、ランレングスデータである出力データに基づいて描画を行う装置であればよい。感光材料を感光させて図形を描画するエネルギービームとして光以外に電子ビーム等が採用されてもよい。例えば、描画装置1の光照射部4は、GLV以外の他の光変調素子を備える空間光変調器を備えてもよい。エネルギービームを変調する変調素子として、さらに他の様々なものが用いられてよい。