図1は、本発明の第1の実施の形態に係る描画システム100の構成を示す図である。描画システム100は、液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)上の感光材料に光を利用してパターンを描画するシステムである。図1に示すように、描画システム100は、パターンを示すベクトルデータである入力データをランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)データ変換装置7、および、データ変換装置7により生成された出力データに基づいて基板上にパターンを描画する描画装置1を備える。図1では、データ変換装置7の各機能も併せて示している(図12、図15、図18および図20においても同様)。以下では、描画装置1について説明した後、データ変換装置7およびデータ変換装置7にて取り扱われるデータについて説明する。
図2および図3はそれぞれ、描画装置1の側面図および平面図である。図2および図3に示すように、描画装置1は、(+Z)側の主面91(以下、「上面91」という。)上に感光材料の層が形成された基板9を保持する基板保持部3、基台11上に設けられて基板保持部3をZ方向に垂直なX方向およびY方向に移動する保持部移動機構2、基板保持部3および保持部移動機構2を跨ぐように基台11に固定されるフレーム12、並びに、フレーム12に取り付けられて基板9上の感光材料に変調された光を照射する光照射部4を備える。また、描画装置1は、図2に示すように、保持部移動機構2や光照射部4等の各構成を制御する制御部6を備える。
図2および図3に示すように、基板保持部3は、基板9が載置されるステージ31、ステージ31を回転可能に支持する支持プレート33、および、支持プレート33上において、基板9の上面91に垂直な回転軸321を中心としてステージ31を回転するステージ回転機構32を備える。
保持部移動機構2は、基板保持部3を図2および図3中のX方向(以下、「副走査方向」という。)に移動する副走査機構23、副走査機構23を介して支持プレート33を支持するベースプレート24、並びに、基板保持部3をベースプレート24と共にX方向に垂直なY方向(以下、「主走査方向」という。)に移動する主走査機構25を備える。描画装置1では、保持部移動機構2により、基板9の上面91に平行な主走査方向および副走査方向に基板保持部3が移動される。
図2および図3に示すように、副走査機構23は、支持プレート33の下側(すなわち、(−Z)側)において、ステージ31の主面に平行、かつ、主走査方向に垂直な副走査方向に伸びるリニアモータ231、並びに、リニアモータ231の(+Y)側および(−Y)側において副走査方向に伸びる1対のリニアガイド232を備える。主走査機構25は、ベースプレート24の下側において、ステージ31の主面に平行な主走査方向に伸びるリニアモータ251、並びに、リニアモータ251の(+X)側および(−X)側において主走査方向に伸びる1対のエアスライダ252を備える。
図3に示すように、光照射部4は、副走査方向に沿って等ピッチにて配列されてフレーム12に取り付けられる複数(本実施の形態では、8つ)の光学ヘッド41を備える。また、光照射部4は、図2に示すように、各光学ヘッド41に接続される光源光学系42、並びに、紫外光を出射するUV光源43および光源駆動部44を備える。UV光源43は固体レーザであり、光源駆動部44が駆動されることにより、UV光源43から波長355nmの紫外光が出射され、光源光学系42を介して光学ヘッド41へと導かれる。
各光学ヘッド41は、UV光源43からの光を下方に向けて出射する出射部45、出射部45からの光を反射して空間光変調器46へと導く光学系451、光学系451を介して照射された出射部45からの光を変調しつつ反射する空間光変調器46、および、空間光変調器46からの変調された光を基板9の上面91に設けられた感光材料上へと導く光学系47を備える。
図4は、空間光変調器46を拡大して示す図である。図4に示すように、空間光変調器46は、出射部45を介して照射されたUV光源43(図2参照)からの光を基板9の上面91へと導く回折格子型の複数の光変調素子461を備える。光変調素子461は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。光変調素子461には複数の可撓リボン461aおよび複数の固定リボン461bが交互に平行に配列形成され、複数の可撓リボン461aは背後の基準面に対して個別に昇降移動可能とされ、複数の固定リボン461bは基準面に対して固定される。回折格子型の光変調素子としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
図5.Aおよび図5.Bは、可撓リボン461aおよび固定リボン461bに対して垂直な面における光変調素子461の断面を示す図である。図5.Aに示すように可撓リボン461aおよび固定リボン461bが基準面461cに対して同じ高さに位置する(すなわち、可撓リボン461aが撓まない)場合には、光変調素子461の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、図5.Bに示すように可撓リボン461aが固定リボン461bよりも基準面461c側に撓む場合には、可撓リボン461aが回折格子の溝の底面となり、入射光L1が入射した光変調素子461から1次回折光L3(さらには、高次回折光)が導出され、0次光は消滅する。このように、光変調素子461は回折格子を利用した光変調を行う。
図2に示す光照射部4では、UV光源43からの光が光源光学系42により線状光(光束断面が線状の光)とされ、出射部45を介して空間光変調器46のライン状に配列された複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461b(図5.Aおよび図5.B参照)上に照射される。光変調素子461では、隣接する各1本の可撓リボン461aおよび固定リボン461bを1つのリボン対とすると、3つ以上のリボン対が描画されるパターンの1つの画素に対応する。光変調素子461では、各空間光変調器46に接続される光変調素子制御部61からの信号に基づいてパターンの各画素に対応するリボン対の可撓リボン461aがそれぞれ制御され、各画素に対応するリボン対が0次光(正反射光)を出射する状態と、非0次回折光(主として1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射する状態との間で遷移可能とされる。光変調素子461から出射される0次光は光学系47へと導かれ、1次回折光は光学系47とは異なる方向へと導かれる。なお、迷光となることを防止するために1次回折光は図示を省略する遮光部により遮光される。
光変調素子461からの0次光は、光学系47を介して基板9の上面91へと導かれ、これにより、基板9の上面91上においてX方向(すなわち、副走査方向)に並ぶ複数の照射位置のそれぞれに変調された光が照射される。すなわち、光変調素子461の各画素に対応するリボン対は0次光を出射する状態がON状態であり、1次回折光を出射する状態がOFF状態とされる。
図2および図3に示す描画装置1では、保持部移動機構2の主走査機構25により主走査方向に移動される基板9に対し、光照射部4の光変調素子461から変調された光が照射される。換言すれば、主走査機構25は、光変調素子461から基板9へと導かれた光の基板9上における照射位置を、基板9に対して主走査方向に相対的に移動する照射位置移動機構となっている。なお、描画装置1では、例えば、基板9を移動することなく、光変調素子461が主走査方向に移動することにより基板9上の照射位置が主走査方向に移動されてもよい。描画装置1では、基板9を主走査方向に移動しつつ、図2に示す制御部6の光変調素子制御部61により、光変調素子461からの光の変調がデータ変換装置7から描画装置1へと出力された出力データに基づいて制御されることにより、データ変換装置7に入力された入力データが示すパターンが基板9上に描画される。
次に、データ変換装置7について説明する。図6は、データ変換装置7の構成を示す図である。データ変換装置7は、通常のコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPU701、実行されるプログラムを記憶したり演算処理の作業領域となるRAM702、基本プログラムを記憶するROM703、各種情報を記憶する固定ディスク704、作業者に各種情報を表示するディスプレイ705、および、キーボードやマウス等の入力部706等を接続した構成となっている。固定ディスク704内には、データ変換装置7により実行されるプログラム7041が記憶される。プログラム7041は、基板上に描画される予定のパターンを示すベクトルデータである入力データを、ランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)プログラムである。
図1では、データ変換装置7のCPU701(図6参照)等がプログラム7041に従って演算処理等を行うことにより(すなわち、プログラム7041がデータ変換装置7により実行されることにより)実現される機能をブロックにて示しており、図1中のデータ受付部71、図形要素比較部72、代表図形要素記憶部73、部分ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79が、CPU701等により実現される機能に相当する。なお、これらの機能は複数台のコンピュータにより実現されてもよい。
次に、データ変換装置7による入力データから出力データへのデータ変換について説明する。図7.Aおよび図7.Bは、データ変換装置7によるデータ変換の流れを示す図である。データ変換装置7では、まず、図1に示すデータ受付部71によりベクトルデータである入力データが受け付けられる(ステップS11)。
図8.Aは、入力データにより表されるパターンを示す図である。図8.Aに示すように、入力データでは、所定の配置領域80に描画されるパターンを複数の図形要素として捉えた上で、複数の図形要素のそれぞれが、各図形要素の形状や基板9(図2および図3参照)上における位置等を示すベクトルデータの集合であるデータ要素として表現される。
図8.Aに示す複数の図形要素81〜88が配置される配置領域80では、配置領域80における図形要素81〜88の位置は、図形要素81〜88をそれぞれ内側に含む矩形領域810〜880の左下の頂点811〜881(以下、「固有原点」という。)の座標にて示される。図形要素81は台形であり、図形要素82と図形要素83とは同じ大きさの平行四辺形である。また、図形要素84と図形要素85とは同じ大きさの長方形であり、図形要素86〜88は互いに同じ大きさの六角形である。なお、図8.Aでは、図の理解を容易にするために、図形要素81〜88にそれぞれ平行斜線を付している。
図8.Aでは、図中の上側から下側へと向かう方向(以下、「第1の方向」という。)が、図2および図3に示す描画装置1における(+Y)側から(−Y)側へと向かう主走査方向に対応し、図中の左側から右側に向かう方向(すなわち、第1の方向に垂直な方向であり、以下、「第2の方向」という。)が、描画装置1における(+X)側から(−X)側へと向かう副走査方向に対応する。
後述するように、配置領域80は、図8.Bに示すように、第1の方向を向く複数の直線801(すなわち、描画装置1における主走査方向に平行な直線であり、以下、「走査線801」という。)にて所定幅毎に分割され、これにより、第2の方向に配列された上記所定幅(図1に示す描画装置1の描画の分解能に基づいて決定される幅であり、以下、「単位幅」という。)の複数の領域800が設定され、図形要素81〜88の固有原点811〜881は、これらの複数の走査線801のいずれかの上に設定される。したがって、図形要素88のように、図8.B中の最も左側の部位が走査線801上に位置しない場合、図形要素88の固有原点881は図形要素88から左側に離れた位置に位置し、固有原点881を一の頂点として有する矩形領域880の輪郭は、図形要素88の左側において図形要素88に外接しない。なお、本実施の形態では、図形要素88以外の各図形要素は、各図形要素の最も左側の部位が走査線801上に位置しており、各図形要素を含む矩形領域の左側のエッジに接する。
実際のデータ変換装置7では、後述する処理が、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88に対応するデータ要素に対して行われるが、以下の説明では、理解を容易とするために、図形要素81〜88を処理の取扱対象として説明する。なお、実際の入力データは通常、図8.Aに示すものよりも多種類かつ多様な形状の多数の図形要素を示すデータ要素を含む。
図1に示すデータ受付部71により入力データが受け付けられると、図形要素比較部72により、入力データに含まれる複数の図形要素のベクトルデータから図8.Aに示す一の図形要素81が選択され(ステップS12)、選択された図形要素81(以下、「選択図形要素81」と呼ぶ。)と代表図形要素記憶部73(図1参照)に格納される代表図形要素群とが比較される。代表図形要素群とは、代表的な形状を有する図形要素である代表図形要素の集合であり、最初の選択図形要素81が選択された段階では、代表図形要素群は1つの代表図形要素も含んでいない。
したがって、代表図形要素群には選択図形要素81の形状と同じ形状の代表図形要素は含まれていないと判断され(ステップS13)、選択図形要素81と同じ形状を有する新たな代表図形要素89a(を示すデータ要素)が生成されて代表図形要素記憶部73へと送られ、図9.Aに示すように、代表図形要素群890に追加される(ステップS14)。また、選択図形要素81には、代表図形要素89aを示す識別子である代表図形識別子が図形要素比較部72により関連付けられる(ステップS15)。図9.Aでは、図の理解を容易にするために、代表図形要素を囲む二点鎖線の矩形にて代表図形要素群890を描いている(図9.Bないし図9.E、並びに、図10においても同様)。
代表図形要素89aと代表図形要素89aの固有原点891aとの位置関係は、選択図形要素81と選択図形要素81の固有原点811(図8.A参照)との位置関係と同様とされるが、代表図形要素89aの固有原点891aの位置は、選択図形要素81の固有原点811の位置とは無関係に、予め定められた座標とされる。また、代表図形要素89aを内側に含む矩形領域890aは、選択図形要素81を内側に含む矩形領域810(図8.A参照)に対応している。なお、本段落の代表図形要素89aに関する記述は、後述する他の代表図形要素においても同様である。
図形要素81に代表図形識別子が関連付けられると、次の図形要素が存在するため(ステップS16)、ステップS12に戻り、図8.Aに示す図形要素82が次の選択図形要素として選択される(ステップS12)。本実施の形態では、図形要素の選択は各図形要素に付された符号の順に行われるが、当該選択の順序は適宜変更されてよい。図形要素82が選択されると、図形要素比較部72(図1参照)により、選択図形要素82と代表図形要素記憶部73(図1参照)に格納されている代表図形要素群890(図9.A参照)とが比較される。代表図形要素群890との比較では、選択図形要素82の固有原点821と代表図形要素群890に含まれる各代表図形要素(現段階では、代表図形要素89aのみ)の固有原点とを一致させた際に、選択図形要素82の形状と各代表図形要素の形状とが一致するか否かが確認され、一致する場合にのみ選択図形要素82の形状と各代表図形要素の形状とが同じと判断される。
この場合、選択図形要素82の固有原点821と代表図形要素89aの固有原点891a(図9.A参照)とを一致させた際に選択図形要素82の形状と代表図形要素89aの形状とは一致しないため、選択図形要素82の形状は代表図形要素89aの形状と異なると判断され、選択図形要素82の形状と同じ形状の代表図形要素は代表図形要素群890に含まれていないと判断される(ステップS13)。そして、選択図形要素82と同じ形状を有する新たな代表図形要素89bが生成され、図9.Bに示すように、代表図形要素群890に追加される(ステップS14)。また、選択図形要素82には、代表図形要素89bを示す代表図形識別子が図形要素比較部72により関連付けられる(ステップS15)。
代表図形要素89bと代表図形要素89bの固有原点891bとの位置関係は、選択図形要素82と選択図形要素82の固有原点821(図8.A参照)との位置関係と同様とされるが、代表図形要素89bの固有原点891bの位置は、選択図形要素82の固有原点821の位置とは無関係に、予め定められた座標とされる。なお、図9.Bでは、図の理解を容易にするために、代表図形要素89aの固有原点891aと代表図形要素89bの固有原点891bとが異なる位置に位置するものとして描いているが、固有原点891aと固有原点891bとは同じ位置に位置していてもよい(以下、他の代表図形要素においても同様)。
図形要素82に代表図形識別子が関連付けられると、次の図形要素が存在するため(ステップS16)、再度ステップS12に戻り、図8.Aに示す図形要素83が次の選択図形要素として選択され(ステップS12)、選択図形要素83と図9.Bに示す代表図形要素群890とが比較される。具体的には、まず、選択図形要素83と代表図形要素89aとの比較が行われ、選択図形要素83の形状と代表図形要素89aの形状とが一致しないと判断される。次に、選択図形要素83と代表図形要素89bとの比較が行われ、選択図形要素83の固有原点831と代表図形要素89bの固有原点891bとを一致させた際に選択図形要素83の形状と代表図形要素89bの形状とが一致する(すなわち選択図形要素83の形状と同じ形状の代表図形要素が代表図形要素群890に含まれる)と判断され、選択図形要素83に代表図形要素89bを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS13,S15)。本実施の形態では、図形要素83に、図形要素82に関連付けられた代表図形識別子と同じ代表図形識別子が関連付けられる。
図形要素83に代表図形識別子が関連付けられると、図8.Aに示す図形要素84が選択され(ステップS16,S12)、図9.Bに示す代表図形要素群890と比較される。選択図形要素84は、代表図形要素群890に含まれる代表図形要素89aおよび代表図形要素89bと形状が異なるため、選択図形要素84の形状と同じ形状の代表図形要素は代表図形要素群890に含まれていないと判断される(ステップS13)。そこで、選択図形要素84と同じ形状を有する新たな代表図形要素89cが生成され、図9.Cに示すように、代表図形要素群890に追加される(ステップS14)。また、選択図形要素84には、代表図形要素89cを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS15)。
図形要素84に代表図形識別子が関連付けられると、図8.Aに示す図形要素85が選択されて図9.Cに示す代表図形要素群890と比較され、選択図形要素85の形状と同じ形状の代表図形要素89cが代表図形要素群890に含まれると判断されることにより、選択図形要素85に代表図形要素89cを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS16,S12,S13,S15)。
図形要素85に代表図形識別子が関連付けられると、図8.Aに示す図形要素86が選択され、選択図形要素86の形状と同じ形状の代表図形要素が代表図形要素群890に含まれていないと判断されることにより、図9.Dに示すように、選択図形要素86と同じ形状を有する新たな代表図形要素89dが代表図形要素群890に追加され、選択図形要素86に代表図形要素89dを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS16,S12〜S15)。続いて、図8.Aに示す図形要素87が選択されて図9.Dに示す代表図形要素群890と比較され、選択図形要素87の形状と同じ形状の代表図形要素89dが代表図形要素群890に含まれると判断されることにより、選択図形要素87に代表図形要素89dを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS16,S12,S13,S15)。
次に、図8.Aに示す図形要素88が選択され(ステップS16,S12)、図9.Dに示す代表図形要素群890と比較され、まず、代表図形要素89a〜89cとは異なる形状を有すると判断される。上述のように、図形要素88は図形要素86,87と同じ大きさの六角形であるが、図8.Bに示すように、図形要素88と図形要素88の固有原点881との位置関係は、図形要素86,87とそれぞれの固有原点861,871との位置関係と異なるため、図形要素86,87と同じ形状である代表図形要素89dと代表図形要素89dの固有原点891dとの位置関係とも異なる。
したがって、選択図形要素88の固有原点881と代表図形要素89dの固有原点891dとを一致させた際に選択図形要素88の形状と代表図形要素89dの形状とは一致せず、選択図形要素88の形状と同じ形状の代表図形要素が代表図形要素群890に含まれていないと判断される(ステップS13)。そして、図9.Eに示すように、選択図形要素88と同じ形状を有する新たな代表図形要素89e(すなわち、代表図形要素89dと同じ大きさの六角形ではあるが、それぞれの固有原点との位置関係が異なる代表図形要素)が代表図形要素群890に追加され、選択図形要素88に代表図形要素89eを示す代表図形識別子が関連付けられる(ステップS14,S15)。
このように、データ変換装置7では、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88のベクトルデータに基づいて、上述のステップS12〜S16が図形要素81〜88に対して順次繰り返され、各図形要素が代表図形識別子と関連付けられる。本実施の形態では、全図形要素81〜88に対してステップS12〜S16が行われることにより、図9.Eに示すように、代表図形要素群890が5つの代表図形要素89a〜89eを有することとなる。
全図形要素81〜88に代表図形識別子が関連付けられると、部分ランレングスデータ生成部74(図1参照)により、代表図形要素群890に含まれる各代表図形要素(具体的には、代表図形要素89a〜89eをそれぞれ内側に含む矩形領域890a〜890e)が、図10に示すように、第1の方向を向く直線802にて上述の単位幅毎に分割され、第2の方向に配列された単位幅の複数の領域892が設定される。本実施の形態では、代表図形要素89a〜89dはそれぞれ、6つの領域892(以下、「代表図形分割領域892」という。)に分割されており、代表図形要素89eは7つの代表図形分割領域892に分割される。
そして、各代表図形要素の分割された代表図形分割領域892において、代表図形要素の各代表図形分割領域892と重なる部分の情報が各代表図形分割領域892のランレングスとして取得され、代表図形分割領域892のランレングスの集合として各代表図形要素を表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS17)。
本実施の形態では、代表図形分割領域892のランレングスは、代表図形要素の代表図形分割領域892と重なる部分の第1の方向における始点および長さにより表される。なお、代表図形分割領域892のランレングスは、例えば、代表図形要素の代表図形分割領域892と重なる部分の第1の方向における始点および終点により表されてもよい。また、図10では、代表図形要素89a〜89eの全ての固有原点891a〜891eが1本の直線802上に位置しているが、各代表図形要素の固有原点は、いずれかの直線802上に位置していればよい。
続いて、単位領域設定部75(図1参照)により、複数の図形要素81〜88が配置される配置領域80が、図8.Bに示すように、第1の方向を向く複数の走査線801にて単位幅に分割されることにより、第2の方向に配列された単位幅の複数の領域800(以下、「単位領域800」という。)が設定される(ステップS18)。なお、ステップS18における単位領域800の設定は、ステップS17における部分ランレングスデータの生成よりも前に行われてもよく、ステップS17と並行して行われてもよい。
単位領域800が設定されると、単位ランレングスデータ生成部76(図1参照)により、複数の単位領域800のうち一の単位領域800が注目単位領域として決定される。本実施の形態では、図11.Aにおいて太実線にて囲んで示すように、図中の最も左側の単位領域800が最初の注目単位領域800aとして決定され(ステップS19)、配置領域80における注目単位領域800aの位置と入力データが示す図形要素の位置とに基づいて、注目単位領域800aと重なる一または複数の図形要素が注目図形要素として抽出される(ステップS20)。注目図形要素の抽出は、各図形要素の形状を示すベクトルデータ、および、配置領域80における各図形要素の位置を示すデータに基づいて行われ、この場合、図形要素81が注目図形要素として抽出される。
1つ以上の注目図形要素が抽出されると、各注目図形要素の配置領域80における位置、および、各注目図形要素に関連付けられた代表図形識別子が示す代表図形要素の部分ランレングスデータに基づいて、各注目図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目ランレングスが取得される。具体的には、図形要素81に関連付けられた代表図形識別子が示す代表図形要素89a(図10参照)の部分ランレングスデータから、図形要素81の配置領域80における位置を示す固有原点811と注目単位領域800aとの位置関係に基づいて、最も左側の代表図形分割領域892(図10参照)のランレングスが注目ランレングスとして取得される。そして、当該注目ランレングスに基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成され、ランレングス記憶部77(図1参照)に記憶される(ステップS21)。
最初の注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成されると、次の単位領域800(すなわち、単位ランレングスデータの生成が未了の単位領域800)があるためステップS19に戻り、図11.Bに示すように、図中の左側から2番目の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定される(ステップS22,S19)。そして、注目単位領域800aと重なる図形要素81,82,84が注目図形要素として抽出され(ステップS20)、各注目図形要素の配置領域80における位置、および、各注目図形要素に関連付けられた代表図形識別子が示す代表図形要素の部分ランレングスデータに基づいて、各注目図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目ランレングスが取得される。
具体的には、図形要素81に関連付けられた代表図形要素89aの図10中の左側から2番目の代表図形分割領域892のランレングス、図形要素82に関連付けられた代表図形要素89bの最も左側の代表図形分割領域892のランレングス、および、図形要素84に関連付けられた代表図形要素89cの最も左側の代表図形分割領域892のランレングスが注目ランレングスとして取得され、これらの注目ランレングスに基づいて図11.Bに示す注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成されてランレングス記憶部77(図1参照)に記憶される(ステップS21)。
データ変換装置7では、ステップS18において設定された複数の単位領域800に対して、上述のステップS19〜S22が順次繰り返される。例えば、図11.Cに示すように、左側から15番目の単位領域800が注目単位領域800aとなる状態では、注目単位領域800aと重なる図形要素86,88が注目図形要素として抽出され、図形要素86に関連付けられた代表図形要素89dの図10中の最も左側の代表図形分割領域892のランレングス、および、図形要素88に関連付けられた代表図形要素89eの最も左側の代表図形分割領域892のランレングスが注目ランレングスとして取得され、これらの注目ランレングスに基づいて図11.Cに示す注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される。
また、図11.Dに示すように、左側から26番目の単位領域800が注目単位領域800aとなる状態では、図11.Cと同様に、注目単位領域800aと重なる図形要素86,88が注目図形要素として抽出され、図形要素86に関連付けられた代表図形要素89dの図10中の最も右側の代表図形分割領域892のランレングス、および、図形要素88に関連付けられた代表図形要素89eの右側から2番目の代表図形分割領域892のランレングスが注目ランレングスとして取得され、これらの注目ランレングスに基づいて図11.Dに示す注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される。
さらには、図11.Eに示すように、左側から27番目の単位領域800が注目単位領域800aとなる状態では、注目単位領域800aと重なる図形要素88のみが注目図形要素として抽出され、図形要素88に関連付けられた代表図形要素89eの図10中の最も右側の代表図形分割領域892のランレングスが注目ランレングスとして取得され、当該注目ランレングスに基づいて図11.Eに示す注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される。
このように、データ変換装置7では、次の単位領域800が存在しなくなるまで、配置領域80の複数の単位領域800のそれぞれと重なる一または複数の図形要素のランレングスを示す単位ランレングスデータが、第2の方向に向かって順次生成されてランレングス記憶部77に記憶され、ランレングス記憶部77にてこれらの単位ランレングスデータが、対応する単位領域800の位置を示すデータと関連付けられることにより、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88のランレングスデータである出力データが生成される。
なお、上述のステップS20における注目図形要素の抽出では、配置領域80中の全ての図形要素について注目単位領域との重なりの判定が行われてもよいが、右側のエッジが注目単位領域よりも左側に位置する図形要素については、注目単位領域との重なりの判定が行われることなく、注目図形要素の候補から除外されることが好ましい。これにより、注目図形要素の抽出に要する時間が短縮される。
図1に示す描画システム100では、データ変換装置7において生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。そして、当該フォーマット変換後のデータに基づいて図2に示す制御部6の光変調素子制御部61から各空間光変調器46へと信号が送られるとともに、主走査機構25により基板9が主走査方向(すなわち、基板9上における上記第1の方向に対応する方向)に移動することにより、データ変換装置7に入力された入力データが示すパターンが基板9上の感光材料に描画される。描画システム100では、データ変換装置7において出力データがフォーマット変換されることなく描画装置1へと出力され、描画装置1においてフォーマット変換が行われてもよい。
以上に説明したように、データ変換装置7では、ベクトルデータである入力データからランレングスデータである出力データへの変換において、入力データに含まれる複数の図形要素がそれぞれ同じ形状を有する代表図形要素に関連付けられ、各代表図形要素を表す部分ランレングスデータが生成される。続いて、注目単位領域800a上の図形要素の注目単位領域800aに重なるランレングスが、当該図形要素に関連付けられた代表図形要素の部分ランレングスデータから取得されることにより、注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される。そして、各単位領域800の単位ランレングスデータを取得することにより出力データが生成される。
ここで、仮に、入力データに含まれる全ての図形要素についてベクトルデータからランレングスデータへの変換を行い、変換結果に基づいて出力データを生成するデータ変換装置を想定すると、このようなデータ変換装置では、入力データに同じ形状の図形要素が複数含まれる場合であっても、これら同形状の複数の図形要素のランレングスデータを個々に生成することとなり、その結果、出力データの生成に長時間を要することとなる。
この場合、同形状の複数の図形要素について、一の図形要素のランレングスデータのみを生成し、当該ランレングスデータを配置領域の同形状の他の図形要素の位置へと配置したデータ(以下、「全ランレングス配置データ」という。)に基づいて出力データを生成することにより、出力データの生成に要する時間を短縮することは可能である。しかしながら、全ランレングス配置データの容量は、入力データにより示されるパターンの高精細化に伴って増大するため、データ変換処理が全ランレングス配置データをメモリ上に保持した状態で行われる場合、全ランレングス配置データにより使用されるメモリ容量が大きくなってしまい、データ変換の処理速度が低下してしまうおそれがある。
また、全ランレングス配置データの容量が使用可能なメモリ容量に対して過大となる場合には、全ランレングス配置データをメモリ上でに保持するのではなく、中間ファイルとして保持することが必要になる。これにより、全ランレングス配置データへのアクセスに要する時間が、全ランレングス配置データがメモリ上に保持される場合に比べて増大し、その結果、データ変換処理による出力データの生成に要する時間がさらに増大してしまう。
これに対し、本実施の形態に係るデータ変換装置7では、入力データに含まれる全ての図形要素をランレングスデータに変換して配置領域に配置したデータを使用することなく、ベクトルデータである入力データと代表図形要素群を示すデータ(すなわち、各代表図形要素の部分ランレングスデータ)とに基づいて出力データが生成されるため、入力データおよび代表図形要素群のデータをメモリ上に保持した状態でデータ変換処理が行われる場合、入力データおよび代表図形要素群のデータにより使用されるメモリ容量を小さくすることができる。これにより、データ変換の処理速度を向上し、入力データから出力データへの変換に要する時間を短縮して出力データの生成を高速化することができる。また、入力データおよび代表図形要素群のデータをメモリ上に保持するのではなく、中間ファイルとして保持した状態でデータ変換処理が行われる場合には、中間ファイルのデータ容量を小さくすることができる。その結果、中間ファイルへのアクセス速度が向上され、出力データの生成を高速化することができる。
データ変換装置7では、図形要素86および図形要素88のように、同じ大きさであっても図形要素と固有原点との位置関係が互いに異なるものを、異なる代表図形要素に関連付けることにより、入力データにおける図形要素の走査線801からの第2の方向(すなわち、描画装置1における副走査方向)のずれが出力データに反映され、入力データが示すパターンと出力データが示すパターンとの相違を小さくすることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る描画システムについて説明する。図12は、第2の実施の形態に係る描画システム100aの構成を示す図であり、描画システム100aは、データ変換装置7aおよび描画装置1を備える。データ変換装置7aの構成は、図6に示すデータ変換装置7と同様であり、以下の説明では対応する構成に同符号を付す。また、描画装置1の構成は第1の実施の形態(図2および図3参照)と同様である。
データ変換装置7aは、CPU701(図6参照)等がプログラムに従って演算処理等を行うことにより実現される機能として、図1に示すデータ変換装置7と同様に、データ受付部71、図形要素比較部72、代表図形要素記憶部73、部分ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79を備える。データ変換装置7aでは、部分ランレングスデータ生成部74が長方形領域抽出部741を備える。
データ変換装置7aによる入力データから出力データへのデータ変換の流れは、第1の実施の形態(図7.Aおよび図7.B参照)とほぼ同様であり、図7.B中のステップS17における部分ランレングスデータの生成方法、および、ステップS21における単位ランレングスデータの生成方法が第1の実施の形態と異なる。以下、データ変換装置7aによるデータ変換処理について、図7.Aおよび図7.Bを参照しつつ説明を行う。
図12に示すデータ変換装置7aでは、まず、第1の実施の形態と同様に、データ受付部71により、図8.Aに示す複数の図形要素81〜88を含む入力データが受け付けられる(ステップS11)。続いて、図形要素比較部72(図12参照)により、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88が順次選択図形要素とされて代表図形要素群と比較され、選択図形要素の形状と同じ形状の代表図形要素が代表図形要素群に含まれていない場合には、選択図形要素の形状と同じ形状を有する新たな代表図形要素が代表図形要素群に追加されるとともに当該新たな代表図形要素を示す代表図形識別子が選択図形要素に関連付けられ、選択図形要素の形状と同じ形状の代表図形要素が代表図形要素群に含まれる場合には、同じ形状の代表図形要素を示す代表図形識別子が選択図形要素に関連付けられる(ステップS13〜S16)。
入力データに含まれる全ての図形要素に対して代表図形識別子が関連付けられると、図12に示す部分ランレングスデータ生成部74により、代表図形要素記憶部73に記憶されている代表図形要素群890の5つの代表図形要素89a〜89e(図9.E参照)をそれぞれ表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS17)。
図13.Aおよび図13.Bは、データ変換装置7aによる部分ランレングスデータの生成の詳細な流れ(すなわち、ステップS17の詳細な流れ)を示す図である。データ変換装置7aでは、まず、図9.Eに示す代表図形要素群890に含まれる一の代表図形要素89aが選択され(ステップS171)、長方形領域抽出部741により、第1の方向に平行な1対の辺(以下、「第1の辺」という。)を有するとともに第2の方向に平行であって代表図形要素89aのエッジ上に位置する1対の辺(以下、「第2の辺」)を有する長方形領域が代表図形要素89aに含まれるか否かが確認される(ステップS172)。
代表図形要素89aには上述の長方形領域は含まれていないため、図10に示すように、代表図形要素89aを内側に含む矩形領域890aが直線802にて単位幅毎に分割されて複数の代表図形分割領域892が設定される(ステップS173)。そして、代表図形要素89aの各代表図形分割領域892と重なる部分の情報が各代表図形分割領域892のランレングスとして取得され、代表図形分割領域892のランレングスの集合として代表図形要素89aを表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS174)。
代表図形要素89aの部分ランレングスデータが生成されると、次の代表図形要素である代表図形要素89bが選択され(ステップS175,S171)、代表図形要素89aの場合と同様に、代表図形要素89bに上述の長方形領域(すなわち、1対の第1の辺と1対の第2の辺とを有する長方形領域)が含まれていないと判断される(ステップS172)。そして、代表図形要素89bを内側に含む矩形領域890bが直線802により単位幅毎に分割されて複数の代表図形分割領域892が設定され、代表図形分割領域892のランレングスの集合として代表図形要素89bを表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS173,S174)。
代表図形要素89bの部分ランレングスデータが生成されると、図9.Eに示す代表図形要素89cが次の代表図形要素として選択され、代表図形要素89cが上述の長方形領域を含む(この場合、代表図形要素89c全体が一の長方形領域となる。)と判断される(ステップS175,S171,S172)。図14.Aは、代表図形要素89cを拡大して示す図である。続いて、長方形領域抽出部741により、図14.Aにおいて太実線にて囲んで示すように、代表図形要素89cから上記長方形領域893aが抽出される(ステップS1721)。本実施の形態では、代表図形要素89c全体が、長方形領域893aとして抽出される。
次に、長方形領域893aを直線802にて単位幅毎に複数の代表図形分割領域892に分割した場合に複数の代表図形分割領域892のうち第2の方向の一方の端に位置する一の代表図形分割領域892(本実施の形態では、最も左側の代表図形分割領域892)のランレングスが取得される(ステップS1722)。そして、ステップS1722にて取得されたランレングス(以下、「代表ランレングス」という。)、および、左側から右側へと向かう(すなわち、第2の方向における一方から他方へと向かう)長方形領域893aの第2の辺の長さが、長方形領域893aを実質的にランレングスの集合として表すデータとして代表図形要素89cの部分ランレングスデータに含められる(ステップS1723)。この場合、代表図形要素89cと長方形領域893aとが一致しているため、ステップS1723にて取得されたデータが、代表図形要素89cの部分ランレングスデータとされる。
長方形領域893aを表すデータが部分ランレングスデータに含められると、代表図形要素89cにおいて長方形領域として抽出されなかった領域(以下、「未抽出領域」という。)が存在するか否かが確認され(ステップS1724)、未抽出領域がないと判断された後、ステップS175にて次の代表図形要素の有無が確認される。
そして、代表図形要素89dが次の代表図形要素として選択され、図14.Bに示すように、代表図形要素89dが長方形領域893bおよび長方形領域893cを含むと判断されて長方形領域893bおよび長方形領域893cが代表図形要素89dから抽出される(ステップS175,S171,S172,S1721)。
代表図形要素89dでは、長方形領域893b,893cのそれぞれにおいて、代表ランレングスと第2の辺の長さが各長方形領域を実質的にランレングスの集合として表すデータとして代表図形要素89dの部分ランレングスデータに含められる(ステップS1723)。代表図形要素89dには未抽出領域がないため、代表図形要素89eが次の代表図形要素として選択され(ステップS1724,S175,S171)、代表図形要素89dと同様に、2つの長方形領域が抽出され、各長方形領域の代表ランレングスおよび第2の辺の長さが、代表図形要素89eの部分ランレングスデータに含められて代表図形要素89eの部分ランレングスデータの生成が終了する(ステップS172,S1721〜S1724)。
このように、データ変換装置7aでは、代表図形要素89a〜89eのそれぞれの部分ランレングスデータが、代表図形分割領域892のランレングスの集合、または、長方形領域の代表ランレングスおよび第2の辺の長さを示すデータとして生成される。換言すれば、各代表図形要素の部分ランレングスデータが、各代表図形要素の代表図形分割領域892のランレングスの実質的な集合として生成される。
データ変換装置7aでは、例えば、図14.Cに示すように、五角形の代表図形要素89fが代表図形要素群に含まれているとすると、代表図形要素89fから長方形領域893dが抽出され、長方形領域893dの代表ランレングスおよび第2の辺の長さが、代表図形要素89fの部分ランレングスデータに含められる(ステップS171,S172,S1721〜S1723)。
続いて、長方形領域893dの右側の三角形の領域が未抽出領域894aとして抽出され(ステップS1724,S1725)、代表図形要素89fを内側に含む矩形領域890fが直線802により単位幅毎に分割されて設定された複数の代表図形分割領域892において、未抽出領域894aの各代表図形分割領域892と重なる部分の情報が未抽出領域894aのランレングスとして取得されて代表図形要素89fの部分ランレングスデータに含められる(ステップS1726)。
全ての代表図形要素の部分ランレングスデータが生成されると(ステップS175)、第1の実施の形態と同様に、配置領域80が直線801(図8.B参照)により分割されて複数の単位領域800が設定された後(ステップS18)、一の単位領域800を注目単位領域800aとし、注目単位領域800aと重なる各注目図形要素の注目ランレングスに基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される(ステップS19〜S22)。そして、全ての単位領域800に対して、ステップS19〜S22が順次繰り返されることにより、出力データが生成される。
上述のステップS21における単位ランレングスデータの生成では、注目単位領域800aと重なる注目図形要素が、例えば、長方形領域893b,893cを含む代表図形要素89dと同じ形状を有する図形要素86である場合、図形要素86の固有原点861、並びに、代表図形要素89dの長方形領域893b,893cのそれぞれの第2の辺の長さ、および、それぞれの固有原点891dに対する相対位置に基づいて、図形要素86の長方形領域893b,893cにそれぞれ対応する領域が、注目単位領域800aと重なるか否かが判断される。
そして、図形要素86の長方形領域893bと対応する領域が注目単位領域800aと重なる場合には、長方形領域893bの代表ランレングスが、図形要素86の注目単位領域800aと重なる注目ランレングスとされる。また、図形要素の長方形領域893cと対応する領域が注目単位領域800aと重なる場合には、長方形領域893cの代表ランレングスが、図形要素86の注目ランレングスとされる。
図12に示す描画システム100aでは、第1の実施の形態と同様に、データ変換装置7aにおいて生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。
以上に説明したように、データ変換装置7aでは、第1の実施の形態と同様に、ベクトルデータである入力データと代表図形要素群を示すデータとに基づいて出力データが生成されるため、入力データおよび代表図形要素群のデータをメモリ上に保持した状態でデータ変換処理が行われる場合、および、入力データおよび代表図形要素群のデータを中間ファイルとして保持した状態でデータ変換処理が行われる場合の双方において、出力データの生成を高速化することができる。
また、第2の実施の形態に係るデータ変換装置7aでは、代表図形要素の部分ランレングスデータを生成する際に、代表図形要素から長方形領域が抽出され、長方形領域の左側の端の代表図形分割領域892のランレングスと長方形領域の第2の辺の長さとが、長方形領域を実質的にランレングスの集合として表すデータとして部分ランレングスデータに含められる。そして、単位ランレングスデータの生成において、代表図形要素の代表ランレングスおよび第2の辺の長さに基づいて、当該代表図形要素に関連付けられた注目図形要素の長方形領域に対応する領域と注目単位領域800aとの重なりが判断され、重なる場合に、長方形領域の代表ランレングスが注目図形要素の注目ランレングスとされる。このように、長方形領域を含む代表図形要素の部分ランレングスデータの生成を簡素化することにより、出力データの生成をより高速化することができる。さらに、代表図形要素群890に含まれる複数の代表図形要素の部分ランレングスデータの容量を小さくすることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る描画システムについて説明する。図15は、第3の実施の形態に係る描画システム100bの構成を示す図であり、描画システム100bは、データ変換装置7bおよび描画装置1を備える。データ変換装置7bの構成は、図6に示すデータ変換装置7と同様であり、以下の説明では対応する構成に同符号を付す。また、描画装置1の構成は第1の実施の形態(図2および図3参照)と同様である。
データ変換装置7bは、CPU701(図6参照)等がプログラムに従って演算処理等を行うことにより実現される機能として、図12に示すデータ変換装置7aと同様に、データ受付部71、図形要素比較部72、代表図形要素記憶部73、部分ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79を備える。データ変換装置7bでは、部分ランレングスデータ生成部74が長方形領域抽出部741に加えて平行四辺形領域抽出部742を備える。
図16.Aないし図16.Cは、データ変換装置7bによる入力データから出力データへのデータ変換の流れの一部を示す図である。データ変換装置7bによるデータ変換の流れは、第2の実施の形態(図7.Aおよび図7.B、並びに、図13.Aおよび図13.B参照)とほぼ同様であり、代表図形要素の部分ランレングスデータが生成される際に各代表図形要素から長方形領域のみならず平行四辺形領域も抽出される点、および、各単位領域の単位ランレングスデータの生成の際に代表図形要素から抽出された平行四辺形領域が利用される点で異なる。
データ変換装置7bにおいて部分ランレングスデータが生成される際には、一の代表図形要素が選択され、当該代表図形要素に上述の長方形領域(すなわち、第1の方向に平行な1対の第1の辺を有するとともに第2の方向に平行であって代表図形要素のエッジ上に位置する1対の第2の辺を有する長方形領域)が含まれるか否かが確認される(ステップS271,S272)。選択された代表図形要素に長方形領域が含まれている場合には、当該代表図形要素から長方形領域が抽出され、長方形領域の代表ランレングスと第2の辺の長さが、当該長方形領域を実質的にランレングスの集合として表すデータとして代表図形要素の部分ランレングスデータに含められる(ステップS2721〜S2723)。
長方形領域を表すデータが部分ランレングスデータに含められると、あるいは、選択された代表図形要素に長方形領域が含まれていない場合、第1の方向に平行な1対の第1の辺を有するとともに第2の方向に非平行であって代表図形要素のエッジ上に位置する1対の平行な第2の辺を有する平行四辺形領域が、代表図形要素に含まれるか否かが確認される(ステップS273)。例えば、ステップS271にて代表図形要素89b(図9.E参照)が選択された場合、ステップS273にて代表図形要素89bに平行四辺形領域が含まれると判断され、代表図形要素89bから図17.Aにおいて太実線にて囲んで示すように平行四辺形領域895aが抽出される(ステップS2731)。本実施の形態では、代表図形要素89b全体が、平行四辺形領域895aとして抽出される。
次に、平行四辺形領域895aを直線802にて単位幅毎に複数の代表図形分割領域892に分割した場合に複数の代表図形分割領域892のうち第2の方向の一方の端に位置する一の代表図形分割領域892(本実施の形態では、最も左側の代表図形分割領域892)のランレングスが代表ランレングスとして取得される(ステップS2732)。そして、当該代表ランレングス、並びに、左側から右側へと向かう(すなわち、第2の方向における一方から他方へと向かう)平行四辺形領域895aの第2の辺の第2の方向における長さ、および、第2の辺の第2の方向に対する傾きが、平行四辺形領域895aを実質的にランレングスの集合として表すデータとして代表図形要素89bの部分ランレングスデータに含められる(ステップS2733)。この場合、代表図形要素89bと平行四辺形領域895aとが一致しているため、ステップS2733にて取得されたデータが、代表図形要素89bの部分ランレングスデータとされる。
平行四辺形領域895aを表すデータが部分ランレングスデータに含められると、代表図形要素89bにおいて平行四辺形領域として抽出されなかった未抽出領域が存在するか否かが確認され(ステップS2734)、未抽出領域がないと判断された後、ステップS276にて次の代表図形要素の有無が確認される。
ここで、例えば、図17.Bに示すように、五角形の代表図形要素89gが代表図形要素群に含まれているとすると、代表図形要素89gから平行四辺形領域895bが抽出され、平行四辺形領域895bの代表ランレングス、第2の辺の第2の方向における長さ(すなわち、第2の方向における第2の辺の両端間の距離)、および、第2の辺の第2の方向に対する傾きが、代表図形要素89gの部分ランレングスデータに含められる(ステップS2731〜S2733)。
続いて、平行四辺形領域895aの右側の三角形の領域が未抽出領域894bとして抽出され(ステップS2734,S2735)、代表図形要素89gを内側に含む矩形領域890gが直線802により単位幅毎に分割されて設定された複数の代表図形分割領域892において、未抽出領域894bの各代表図形分割領域892と重なる部分の情報が未抽出領域894bのランレングスとして取得されて代表図形要素89gの部分ランレングスデータに含められ(ステップS2736)、その後、ステップS276にて次の代表図形要素の有無が確認される。
一方、選択された代表図形要素に平行四辺形領域が含まれていない場合(ステップS273)、代表図形要素を内側に含む上述の矩形領域(図10中の矩形領域890a参照)が直線802にて単位幅毎に分割されて複数の代表図形分割領域892が設定される(ステップS274)。そして、代表図形要素の各代表図形分割領域892と重なる部分の情報が各代表図形分割領域892のランレングスとして取得され、代表図形分割領域892のランレングスの集合として代表図形要素を表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS275)。
全ての代表図形要素の部分ランレングスデータが生成されると、第1および第2の実施の形態と同様に、配置領域80が直線801(図8.B参照)により分割されて複数の単位領域800が設定された後(図7.A:ステップS18)、一の単位領域800を注目単位領域800aとし、注目単位領域800aと重なる各注目図形要素の注目ランレングスに基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される(ステップS19〜S22)。そして、全ての単位領域800に対して、ステップS19〜S22が順次繰り返されることにより、出力データが生成される。
上述のステップS21における単位ランレングスデータの生成では、注目単位領域800aと重なる注目図形要素が、平行四辺形領域895aを含む代表図形要素89bと同じ形状を有する図形要素82である場合、図形要素82の固有原点821、並びに、代表図形要素89bの平行四辺形領域895aの第2の辺の第2の方向における長さ、および、平行四辺形領域895aの固有原点891bに対する相対位置に基づいて、図形要素82の平行四辺形領域895aに対応する領域(この場合は、図形要素82全体)が、注目単位領域800aと重なるか否かが判断される。
そして、図形要素82の平行四辺形領域895aと対応する領域が注目単位領域800aと重なる場合には、平行四辺形領域895aの代表ランレングス、および、平行四辺形領域895aの第2の辺の第2の方向に対する傾きに基づいて、図形要素82の注目単位領域800aと重なる注目ランレングスが取得される。具体的には、図形要素82の平行四辺形領域895aと対応する領域における左端の代表図形分割領域892と注目単位領域800aとの間の距離に、平行四辺形領域895aの第2の辺の傾きを乗算した値だけ代表ランレングスの第1の方向における位置をずらすことにより、図形要素82の注目ランレングスが取得される。
図15に示す描画システム100bでは、第1および第2の実施の形態と同様に、データ変換装置7bにおいて生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。
以上に説明したように、データ変換装置7bでは、第1の実施の形態と同様に、ベクトルデータである入力データと代表図形要素群を示すデータとに基づいて出力データが生成されるため、入力データおよび代表図形要素群のデータをメモリ上に保持した状態でデータ変換処理が行われる場合、および、入力データおよび代表図形要素群のデータを中間ファイルとして保持した状態でデータ変換処理が行われる場合の双方において、出力データの生成を高速化することができる。
第3の実施の形態に係るデータ変換装置7bでは、第2の実施の形態と同様に、長方形領域を含む代表図形要素の部分ランレングスデータの生成を簡素化し、さらに、平行四辺形領域を含む代表図形要素の部分ランレングスデータの生成をも簡素化することにより、出力データの生成をさらに高速化することができる。また、代表図形要素群890に含まれる複数の代表図形要素の部分ランレングスデータの容量をさらに小さくすることができる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る描画システムについて説明する。図18は、第4の実施の形態に係る描画システム100cの構成を示す図であり、描画システム100cは、データ変換装置7cおよび描画装置1を備える。データ変換装置7cの構成は、図6に示すデータ変換装置7と同様であり、以下の説明では対応する構成に同符号を付す。また、描画装置1の構成は第1の実施の形態(図2および図3参照)と同様である。
データ変換装置7cは、CPU701(図6参照)等がプログラムに従って演算処理等を行うことにより実現される機能として、図16に示すデータ変換装置7bと同様に、データ受付部71、図形要素比較部72、代表図形要素記憶部73、部分ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79を備える。データ変換装置7cでは、部分ランレングスデータ生成部74が平行四辺形領域抽出部742を備え、図16に示す長方形領域抽出部741は部分ランレングスデータ生成部74から省略される。
図19.Aおよび図19.Bは、データ変換装置7cによる入力データから出力データへのデータ変換の流れの一部を示す図である。データ変換装置7cによるデータ変換の流れは、第2の実施の形態(図7.Aおよび図7.B、並びに、図13.Aおよび図13.B参照)とほぼ同様であり、代表図形要素の部分ランレングスデータが生成される際に各代表図形要素から平行四辺形領域が抽出される点、および、各単位領域の単位ランレングスデータの生成の際に代表図形要素から抽出された平行四辺形領域が利用される点で異なる。
データ変換装置7cにおいて部分ランレングスデータが生成される際には、一の代表図形要素が選択され、当該代表図形要素に、第1の方向に平行な1対の第1の辺を有するとともに代表図形要素のエッジ上に位置する1対の平行な第2の辺を有する平行四辺形領域が含まれるか否かが確認される(ステップS371,S372)。選択された代表図形要素に平行四辺形領域が含まれている場合には、第3の実施の形態と同様に、当該代表図形要素から平行四辺形領域が抽出され、平行四辺形領域の代表ランレングス、第2の辺の第2の方向における長さ、および、第2の辺の第2の方向に対する傾きが、当該平行四辺形領域を実質的にランレングスの集合として表すデータとして代表図形要素の部分ランレングスデータに含められる(ステップS3721〜S3723)。
データ変換装置7cにおいて代表図形要素から抽出される平行四辺形領域では、1対の第2の辺は、第2の方向に平行であっても平行でなくてもよい。したがって、第1の方向に平行な1対の第1の辺を有するとともに第2の方向に平行であって代表図形要素のエッジ上に位置する1対の第2の辺を有する長方形領域も、上記平行四辺形領域として抽出される。代表図形要素の部分ランレングスデータに含められる長方形領域を表すデータでは、第2の辺の第2の方向における長さは第2の辺の長さに等しく、第2の辺の第2の方向に対する傾きは0とされる。
平行四辺形領域を表すデータが部分ランレングスデータに含められると、代表図形要素において平行四辺形領域として抽出されなかった未抽出領域が存在するか否かが確認され(ステップS3724)、未抽出領域がないと判断された場合、ステップS375にて次の代表図形要素の有無が確認される。逆に、未抽出領域が存在すると判断された場合は、未抽出領域のランレングスが取得されて部分ランレングスデータに含められた後(ステップS3725,S3726)、ステップS375にて次の代表図形要素の有無が確認される。
一方、選択された代表図形要素に平行四辺形領域が含まれていない場合(ステップS372)、代表図形要素を内側に含む上述の矩形領域(図10中の矩形領域890a参照)が単位幅毎に分割されて複数の代表図形分割領域が設定され、代表図形要素の各代表図形分割領域と重なる部分の情報が各代表図形分割領域のランレングスとして取得され、代表図形分割領域のランレングスの集合として代表図形要素を表す部分ランレングスデータが生成される(ステップS373,S374)。
全ての代表図形要素の部分ランレングスデータが生成されると、第1ないし第3の実施の形態と同様に、配置領域80が直線801(図8.B参照)により分割されて複数の単位領域800が設定された後(図7.A:ステップS18)、一の単位領域800を注目単位領域800aとし、注目単位領域800aと重なる各注目図形要素の注目ランレングスに基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される(ステップS19〜S22)。そして、全ての単位領域800に対して、ステップS19〜S22が順次繰り返されることにより、出力データが生成される。
上述のステップS21における単位ランレングスデータの生成では、注目単位領域800aと重なる注目図形要素が、平行四辺形領域を含む代表図形要素と同じ形状を有する図形要素である場合、第3の実施の形態と同様に、図形要素の固有原点、並びに、対応する代表図形要素の平行四辺形領域の第2の辺の第2の方向における長さ、および、代表図形要素の固有原点に対する平行四辺形領域の相対位置に基づいて、図形要素の平行四辺形領域に対応する領域が注目単位領域800aと重なるか否かが判断される。そして、図形要素の平行四辺形領域と対応する領域が注目単位領域と重なる場合には、平行四辺形領域の代表ランレングス、および、平行四辺形領域の第2の辺の第2の方向に対する傾きに基づいて、図形要素の注目単位領域800aと重なる注目ランレングスが取得される。
図18に示す描画システム100cでは、第1ないし第3の実施の形態と同様に、データ変換装置7cにおいて生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。
以上に説明したように、データ変換装置7cでは、第1の実施の形態と同様に、ベクトルデータである入力データと代表図形要素群を示すデータとに基づいて出力データが生成されるため、出力データの生成を高速化することができる。また、第3の実施の形態と同様に、平行四辺形領域を含む代表図形要素の部分ランレングスデータの生成を簡素化することにより、出力データの生成をさらに高速化することができる。さらには、代表図形要素群に含まれる複数の代表図形要素の部分ランレングスデータの容量を小さくすることができる。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る描画システムについて説明する。図20は、第5の実施の形態に係る描画システム100dの構成を示す図であり、描画システム100dは、データ変換装置7dおよび描画装置1を備える。データ変換装置7dの構成は、図6に示すデータ変換装置7と同様であり、以下の説明では対応する構成に同符号を付す。また、描画装置1の構成は第1の実施の形態(図2および図3参照)と同様である。
データ変換装置7dは、CPU701(図6参照)等がプログラムに従って演算処理等を行うことにより実現される機能として、データ受付部71、部分ランレングスデータ生成部74、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79を備え、部分ランレングスデータ生成部74は、長方形領域抽出部741を備える。
図21.Aないし図21.Cは、データ変換装置7dによる入力データから出力データへのデータ変換の流れを示す図である。データ変換装置7dでは、入力データから出力データへのデータ変換において、上述の代表図形要素群を利用することなく、入力データに含まれる複数の図形要素のそれぞれに対して、長方形領域の抽出や部分ランレングスデータの生成が行われる。
データ変換装置7dによりデータ変換が行われる際には、まず、図20に示すデータ受付部71によりベクトルデータである入力データが受け付けられ、部分ランレングスデータ生成部74により、入力データに含まれる複数の図形要素から一の図形要素が選択される(ステップS41,S42)。続いて、選択された図形要素(すなわち、選択図形要素)に、第1の方向に平行な1対の第1の辺を有するとともに第2の方向に平行であって図形要素のエッジ上に位置する1対の第2の辺を有する長方形領域が含まれているか否かが確認される(ステップS43)。
選択図形要素に長方形領域が含まれている場合、第2の実施の形態に係るデータ変換装置7aにおいて代表図形要素に対して行われるステップS1721〜S1726(図13.B参照)と同様に、当該選択図形要素から長方形領域が抽出され、長方形領域の代表ランレングス、および、第2の辺の長さが、当該長方形領域を実質的にランレングスの集合として表すデータとして選択図形要素の部分ランレングスデータに含められる(ステップS431〜S433)。
長方形領域を表すデータが部分ランレングスデータに含められると、選択図形要素において長方形領域として抽出されなかった未抽出領域が存在するか否かが確認され(ステップS434)、未抽出領域がないと判断された場合、ステップS46にて次の図形要素の有無が確認される。逆に、未抽出領域が存在すると判断された場合は、未抽出領域のランレングスが取得されて部分ランレングスデータに含められた後(ステップS435,S436)、ステップS46にて次の図形要素の有無が確認される。
一方、選択図形要素に長方形領域が含まれていない場合(ステップS43)、図形要素を内側に含む上述の矩形領域(図8.B中の矩形領域810,820,830参照)が複数の走査線801により単位幅毎に分割されて第2の方向に配列された複数の領域(以下、「図形分割領域」という。)が設定され、選択図形要素の各図形分割領域と重なる部分の情報が各図形分割領域のランレングスとして取得される。そして、図形分割領域のランレングスの集合として図形要素を表す部分ランレングスデータが生成された後(ステップS44,S45)、ステップS46にて次の図形要素の有無が確認され、入力データに含まれる複数の図形要素に対して上述の部分ランレングスデータの生成が行われる。
全ての図形要素に対して、分割図形領域のランレングスの実質的な集合として各図形要素を表す部分ランレングスデータが生成されると、第1ないし第4の実施の形態と同様に、配置領域80が直線801(図8.B参照)により分割されて複数の単位領域800が設定された後(ステップS47)、一の単位領域800を注目単位領域800aとし、注目単位領域800aと重なる一または複数の図形要素が注目図形要素として抽出される(ステップS48,S49)。続いて、各注目図形要素の部分ランレングスデータに基づいて、各注目図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目ランレングスが取得され、各注目図形要素の注目ランレングスに基づいて注目単位領域800aの単位ランレングスデータが生成される(ステップS50,S51)。その後、全ての単位領域800に対して、ステップS48〜S51が順次繰り返されることにより、出力データが生成される。
上述のステップS50における単位ランレングスデータの生成では、注目単位領域800aと重なる注目図形要素が上述の長方形領域を含んでいる場合、第2の実施の形態とほぼ同様に、図形要素の固有原点、並びに、長方形領域の第2の辺の長さおよび固有原点に対する相対位置に基づいて、長方形領域が注目単位領域800aと重なるか否かが判断される。そして、図形要素の長方形領域が注目単位領域と重なる場合には、長方形領域の代表ランレングスが、図形要素の注目単位領域800aと重なる注目ランレングスとされる。
図20に示す描画システム100dでは、第1ないし第4の実施の形態と同様に、データ変換装置7dにおいて生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。
以上に説明したように、データ変換装置7dでは、長方形領域を含む図形要素の部分ランレングスデータの生成を簡素化することにより、出力データの生成を高速化することができる。また、複数の図形要素の部分ランレングスデータの容量を小さくすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
第1ないし第4の実施の形態に係るデータ変換装置では、最初の選択図形要素と同じ形状の代表図形要素が追加されるまでは、代表図形要素群は代表図形要素を有していないが、代表図形要素群は、最初の選択図形要素が選択されるよりも前の段階で、例えば、汎用される代表的な図形要素の形状と同じ形状を有する一または複数の代表図形要素を予め有していてもよい。
上記実施の形態に係るデータ変換装置では、入力データに含まれる図形要素は、複数のサブ図形要素を含むサブ図形要素群であってもよい。また、入力データは、一の図形要素が他の図形要素を参照する階層構造とされてもよい。
データ変換装置により出力データに変換される入力データは、必ずしも液晶表示装置用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータには限定されず、例えば、プラズマ表示装置等の他のフラットパネル表示装置またはフォトマスク用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータであってもよく、LSI用のパターンデータであってもよい。また、他の様々な目的に利用される入力データがデータ変換装置により出力データに変換されてもよい。
描画装置1は、上述の構造を備えるものには限定されず、ランレングスデータである出力データに基づいて描画を行う装置であればよい。例えば、描画装置1の光照射部4は、GLV以外の他の光変調素子を備える空間光変調器を備えてもよい。