JP2021026159A - 露光方法及び露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パターンのエッジ部に発生するエイリアスを解消して、エッジ部の好適な直線性を得ることができる露光方法及び露光装置を提供する。【解決手段】本発明に係る露光方法は、複数の画素がマトリクス状に配列される空間光変調素子であって、画素列が走査方向に対して所定角度で傾斜するように配置される空間光変調素子を用い、被露光材にパターンを露光する露光方法であって、パターンの所定のエッジ部に対し、各画素に対応する単位セルにおける非パターン部分の割合の程度に応じて、各画素の露光量を段階的に減少させる階調処理を適用するものである。【選択図】図2

Description

本発明は、空間光変調素子を用いて露光を行う露光方法及び露光装置に関する。
近年、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device:DMD)を始めとする空間光変調素子(Spatial Light Modulator:SLM)は、解像度が高く、微細なパターンの形成が可能であるため、画像形成素子として普及してきており、その一例として、空間光変調素子を露光エンジンに搭載した露光装置がフォトリソグラフィーの分野で既に実用化されている。この種の露光装置は、半導体素子、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル等の回路パターンをフォトマスクを用いることなくフォトレジストに直接露光して形成することができるため、マスクレス露光装置と呼ばれる。また、フォトマスクの製造工程において、パターンの焼き付けを露光装置で行うことも行われている。
この種の露光装置は、図14(a)に示す如く、露光エンジンを内蔵した露光ヘッド(DMDタイプであれば、光源、DMD及び光学系で構成される)2と、露光ヘッド2からの出力が投射されるステージ5とを備える。ステージ5は、互いに直交するx方向とy方向とに可動なxyテーブルであり、ステージ5上に、表面にフォトレジスト層が積層された被露光材としての基板6が載置される。基板6は、ステージ5が駆動して、y方向の主走査(スキャン)と、x方向の副走査(ステップ)とを繰り返すことにより、全面が露光され、所定のパターンが形成される。
空間光変調素子の配置態様としては、空間光変調素子をx方向又はy方向と平行に配置する態様(空間光変調素子の画素列をx方向又はy方向に一致させて配置する態様)と、図14(a)に示す、空間光変調素子をx方向又はy方向に対して所定角度(通常、1°ないし5°)で傾斜させて配置する態様(空間光変調素子の画素列をx方向又はy方向に対して所定角度で傾斜させて配置する態様)とがある(特許文献1)。傾斜配置態様によれば、露光は、同図(b)に示す如く、y方向に延びる各ストライプ領域において、斜めに行われる。
特開2006−30966号公報
傾斜配置態様を採るのは、空間光変調素子を傾斜させることにより、各画素による走査軌跡(走査線)のピッチが、空間光変調素子を傾斜させない場合の走査線のピッチより狭くなり、解像度を大幅に向上させることができるからである。
しかしながら、傾斜配置態様を採ると、図15(a)に示す如く、パターンのエッジ部がy方向に沿ったものであったり(エッジ部E1,E2)、x方向に沿ったものである場合、エッジ部と空間光変調素子の画素列とが斜めに交わることになる。これにより、同図(b)及び図16に示す如く、エッジ部は直線状ではなく、画素のギザギザ(ジャギー)によって、エイリアスが発生する。一般的なパターンの設計は、x方向及びy方向に沿ったエッジ部を多く含むものである。このため、パターン全体におけるエイリアスの発生頻度は非常に高いものとなる。そして、エイリアスが発生すると、パターン幅(パターンが直線部である場合は線幅)が不均一になってしまう。これは、ミクロン単位の高精度なパターン形成が要求されるフォトリソグラフィーにおいては無視できない問題となる。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、パターンのエッジ部に発生するエイリアスを解消して、エッジ部の好適な直線性を得ることができる露光方法及び露光装置を提供することを課題とする。
本発明に係る露光方法は、
複数の画素がマトリクス状に配列される空間光変調素子であって、画素列が走査方向に対して所定角度で傾斜するように配置される空間光変調素子を用い、被露光材にパターンを露光する露光方法であって、
パターンの所定のエッジ部に対し、各画素に対応する単位セルにおける非パターン部分の割合の程度に応じて、各画素の露光量を段階的に減少させる階調処理を適用する
露光方法である。
ここで、本発明に係る露光方法の一態様として、
階調処理を適用するエッジ部に対し、露光量の減少の程度が異なる複数種類の階調処理を選択的に適用する
との構成を採用することができる。
この場合、本発明に係る露光方法として、
複数種類が記述されたテーブルに基づき、適用する階調処理を選択する
との構成を採用することができる。
あるいは、本発明に係る露光方法として、
標準値に対する係数を選択することにより、適用する階調処理を選択する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る露光方法の他態様として、
走査方向に沿ったパターンの直線部の両側のエッジ部に対し、階調処理を適用するものであり、
一方のエッジ部に対し、複数種類の中の一つの階調処理を適用し、他方のエッジ部に対し、複数種類の中の他の階調処理を適用する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る露光方法の別の態様として、
走査方向に沿ったエッジ部に対し、階調処理を適用する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る露光方法のさらに別の態様として、
走査方向と交差する方向に沿ったエッジ部に対し、階調処理を適用する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る露光装置は、
複数の画素がマトリクス状に配列される空間光変調素子であって、画素列が走査方向に対して所定角度で傾斜するように配置される空間光変調素子を備える露光ヘッドと、被露光材を配置するステージとを備え、露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで、被露光材にパターンを露光する露光装置であって、
上記露光方法を行う
露光装置である。
以上の如く、本発明に係る露光方法及び露光装置によれば、パターンのエッジ部に発生するエイリアスを解消して、エッジ部の好適な直線性を得ることができ、ひいては、設計に忠実で高精度なパターンを形成(描画)することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置のブロック図である。 図2(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図15(a)の直線部と同じ直線部)の拡大図であり、図2(b)は、図2(a)に対応したDMDの出力信号であって、階調処理(アンチエイリアス処理)を適用した出力信号の第1例の拡大図である。 図3(a)は、図2(b)のa−a線位置における露光量を表すグラフであり、図3(b)は、図2(b)のb−b線位置における露光量を表すグラフであり、図3(c)は、図2(b)のc−c線位置における露光量を表すグラフであり、図3(d)は、図2(b)のd−d線位置における露光量を表すグラフであり、図3(e)は、図2(b)のe−e線位置における露光量を表すグラフである。 図4(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図2(a)、図15(a)の直線部と同じ直線部)の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)に対応したDMDの出力信号であって、階調処理を適用した出力信号の第2例の拡大図である。 図5(a)は、図4(b)のa−a線位置における露光量を表すグラフであり、図5(b)は、図4(b)のb−b線位置における露光量を表すグラフであり、図5(c)は、図4(b)のc−c線位置における露光量を表すグラフであり、図5(d)は、図4(b)のd−d線位置における露光量を表すグラフであり、図5(e)は、図4(b)のe−e線位置における露光量を表すグラフである。 図6(a)〜(i)は、出力信号の信号強度を弱める(露光量を減少させる)制御に関する説明図である。 図7(a)は、図2(b)の階調処理の第1例を適用した結果を表す説明図であり、図7(b)は、図4(b)の階調処理の第2例を適用した結果を表す説明図であり、図7(c)は、図15(b)の階調処理を適用しない場合の説明図である。 図8(a)は、露光しようとするパターンの拡大図であり、図8(b)は、図8(a)に対応したDMDの出力信号であって、階調処理を適用した出力信号の第3例の拡大図である。 図9(a)は、露光しようとするパターンの直線部の拡大図であり、図9(b)は、図9(a)に対応したDMDの出力信号であって、階調処理を適用した出力信号の第4例の拡大図である。 図10(a)は、高解像度(High Resolution:HR)処理に用いられるHRテーブルの第1例であり、図10(b)は、HRテーブルの第2例であり、図10(c)は、HR係数表である。 図11(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図2(a)、図4(a)の直線部よりも僅かに線幅が細い直線部)の拡大図であり、図11(b)は、図11(a)に対応したDMDの出力信号であって、HR処理を含む階調処理を適用した出力信号の第1例の拡大図である。 図12(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図2(a)、図4(a)の直線部よりも僅かに線幅が太い直線部)の拡大図であり、図12(b)は、図12(a)に対応したDMDの出力信号であって、HR処理を含む階調処理を適用した出力信号の第2例の拡大図である。 図13(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図2(a)、図4(a)の直線部よりも僅かに線幅が細い直線部)の拡大図であり、図13(b)は、図13(a)に対応したDMDの出力信号であって、HR処理を含む階調処理を適用した出力信号の第3例の拡大図である。 図14は、露光装置の説明図である。 図15(a)は、露光しようとするパターンの直線部(図2(a)、図4(a)の直線部と同じ直線部)の拡大図であり、図15(b)は、図15(a)に対応したDMDの出力信号の拡大図である。 図16(a)は、図15(b)のa−a線位置における露光量を表すグラフであり、図16(b)は、図15(b)のb−b線位置における露光量を表すグラフであり、図16(c)は、図15(b)のc−c線位置における露光量を表すグラフであり、図16(d)は、図15(b)のd−d線位置における露光量を表すグラフであり、図16(e)は、図15(b)のe−e線位置における露光量を表すグラフである。
以下、本発明に係る露光方法及び露光装置の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。なお、本実施形態に係る露光装置の基本構成は、従来の露光装置(図14参照)と同様なので、その説明は割愛する。
<露光装置の構成>
露光ヘッド2は、光源、DMD及び光学系で構成されるDMD露光ヘッドである。また、露光ヘッド2は、処理の高速化及びこれに伴う時間短縮を目的として、DMDを複数並べたマルチヘッドタイプである。露光装置1は、複数のDMDを備える露光ヘッド2及びステージ5の相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで複数のDMDを用いて露光を行う。
図1に示す如く、露光装置1は、制御装置10を備える。制御装置10は、制御部11、入力部12、記憶部13及び出力信号生成部14を備える。また、制御装置10には、光源3を駆動制御する光源駆動部15、DMD4を駆動制御するDMD駆動部16及びステージ3を駆動制御するステージ駆動部17が接続される。
制御部11は、CPU、RAM及びROMで構成され、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開して、CPUにより処理プログラムを実行する。入力部12は、キーボード、マウス等のインターフェイスで構成され、ユーザによって入力された信号を制御部11に出力する。記憶部13は、半導体メモリなどからなる記録用のメモリであり、入力部12から入力された情報等を記録する記録領域を有する。
出力信号生成部14は、入力部12から入力されたパターン像のデータ(ソースデータ)に基づき、DMD4の出力信号(DMD4の駆動信号)を生成する。DMD4は、一辺が十数μmのマイクロミラーを二百万個以上アレイ状に並べ、下部に設けた電極を駆動することにより、各マイクロミラーの傾きを個別にON(+約12度)とOFF(−約12度)のいずれかに切り替え、光源からの光をON状態のマイクロミラーで反射させて出力するものであり、出力信号は、DMD4の各画素のON/OFF切替えタイミング及びON時間(すなわち露光時間)を規定するものである。出力信号生成部14で生成された出力信号は、DMD駆動部16に転送される。DMD駆動部16は、この出力信号に基づき、DMD4の各画素をON/OFF制御する。
<階調処理(アンチエイリアス処理)>
出力信号の生成において、特徴的な点は、DMD4をx方向又はy方向に対して所定角度で傾斜させて配置することで発生するパターンのエッジ部に発生するエイリアスを解消するために、エイリアスが発生するパターンのエッジ部に対応する出力信号に対し、階調処理(アンチエイリアス処理)を適用する点である。階調処理(アンチエイリアス処理)とは、パターンのエッジ部を中間調露光することにより、パターンのエッジ部の画素のギザギザ(ジャギー)を目立たないようにして、パターンのエッジ部を直線状に仕上げる処理のことをいう。
<階調処理の第1例>
本例は、図2に示す如く、y方向に沿ったパターンの直線部Psの両側のエッジ部E1,E2に対し、階調処理を適用するものである。階調処理は、図2(b)及び図3に示す如く、パターンの直線部Psの各エッジ部E1,E2に対し、DMD4の各画素に対応する単位セルにおける非パターン部分の割合の程度に応じて、各画素の露光量を段階的に減少させるというものである。ここで、図2(b)において、グリッドに仕切られた各セルは、DMD4の各画素に対応しており、このグリッドとパターン像とを重ね合わせた状態において、「各画素に対応する単位セル」に該当する。なお、「減少」とは、ゼロにすること、すなわち、OFFにすることも含む概念である。
本例においては、DMD4を約11°傾斜させているため、エイリアスは5画素ごとに発生する。このため、階調処理は、5段階で行う。具体的には、信号強度(露光量)100%を標準のON信号として、そのほかに、信号強度(露光量)80%、60%、40%、20%の4階調を設ける。そして、単位セルにおける非パターン部分の割合が0%であれば、信号強度100%の信号を出力し、単位セルにおける非パターン部分の割合が増えるごとに、信号強度を弱めていく(露光量を減少させていく)。具体的には、パターン部分と非パターン部分の境界(すなわち、エッジ部のエッジライン)に内接又は略内接し、かつ、非パターン部分の割合が約0%の単位セルに対する信号強度を80%(図2(b)、図3(a)のa−a線の左側、及び、図2(b)、図3(b)のb−b線の右側を参照)、非パターン部分の割合が約10%の単位セルに対する信号強度を60%(図2(b)、図3(b)のb−b線の左側、及び、図2(b)、図3(a)のa−a線の右側を参照)、非パターン部分の割合が約30%の単位セルに対する信号強度を40%(図2(b)、図3(c)のc−c線の左側、及び、図2(b)、図3(e)のe−e線の右側を参照)、非パターン部分の割合が約50%の単位セルに対する信号強度を20%(図2(b)、図3(d)のd−d線の左側及び右側を参照)とする。なお、非パターン部分の割合が約70%の単位セルと、非パターン部分の割合が約90%の単位セルに対しては、中間調露光を行わない。
信号強度を弱める(露光量を減少させる)には、図6(a)〜(e)に示す如く、画素のONの時間を短くすればよい。なお、画素のONの時間を短くする上で、図6(f)に示す如く、画素のONのタイミングを遅延させるようにしてもよいし、図6(g)に示す如く、画素のOFFのタイミングを一致させるようにしてもよい。また、図6(h)、(i)に示す如く、ON/OFFを複数回切り替え、ONの積算時間で信号強度(露光量)を調整するようにしてもよい。また、その他の公知の方法も採用できることはいうまでもない。
このように、階調処理を適用すれば、露光されたパターンの直線部の両側のエッジ部の画素のギザギザ(ジャギー)を目立たないようにして、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。これは、図7を参酌するとより明らかとなる。図7(a)は、本例の階調処理を適用したもの、図7(c)は、階調処理を適用しないものである。それぞれ、二点鎖線は、設計上のパターンの直線部の両側のエッジ部のエッジラインを表し、実線は、露光されたパターンの直線部の両側のエッジ部のエッジラインを表す。本例の階調処理を適用したもの(図7(a))は、階調処理を適用しないもの(図7(c))に比べて、二点鎖線に対する実線の相関性が極めて高いことから、階調処理を適用すれば、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができるということが理解できる。また、これにより、y方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。
<階調処理の第2例>
本例は、図4及び図5に示す如く、第1例と信号強度(露光量)の減少の程度を異ならせたものである。具体的には、非パターン部分の割合が約10%の単位セルに対する信号強度を80%(図4(b)、図5(b)のb−b線の左側、及び、図4(b)、図5(a)のa−a線の右側を参照)、非パターン部分の割合が約30%の単位セルに対する信号強度を60%(図4(b)、図5(c)のc−c線の左側、及び、図4(b)、図5(e)のe−e線の右側を参照)、非パターン部分の割合が約50%の単位セルに対する信号強度を40%(図4(b)、図5(d)のd−d線の左側及び右側を参照)、非パターン部分の割合が約70%の単位セルに対する信号強度を20%(図4(b)、図5(e)のe−e線の左側、及び、図4(b)、図5(c)のc−c線の右側を参照)とする。なお、非パターン部分の割合が約90%に対しては、中間調露光を行わない。
すなわち、階調処理の第1例は、非パターン部分の割合が0%を含め、50%までの単位セルに対して中間調露光を行うのに対し、本例の階調処理は、非パターン部分の割合が10%以上70%以下の単位セルに対して中間調露光を行うものである。
図7(b)は、本例の階調処理を適用したものである。二点鎖線は、設計上のパターンの直線部の両側のエッジ部のエッジラインを表し、実線は、露光されたパターンの直線部の両側のエッジ部のエッジラインを表す。本例の階調処理を適用したもの(図7(b))は、階調処理を適用しないもの(図7(c))に比べて、二点鎖線に対する実線の相関性が極めて高いことから、本例の階調処理によっても、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができるということが理解できる。しかも、相関性は、階調処理の第1例を適用したもの(図7(a))よりも高くなっている。このことから、本例の階調処理は、階調処理の第1例よりも適合性がさらに優れているといえる。
<階調処理の第3例>
本例は、図8に示す如く、x方向に沿ったパターンPのエッジ部E3に対し、階調処理を適用するものである。階調処理の内容は、第1例や第2例と同様である。本例の階調処理によれば、x方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。また、これにより、x方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。
<階調処理の第4例>
本例は、図9に示す如く、y方向に沿ったパターンの直線部Psの両側のエッジ部E1,E2及び端部のエッジ部E3に対し、階調処理を適用するものである。階調処理の内容は、第1例や第2例と同様である。本例の階調処理によれば、y方向及びx方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。また、これにより、y方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。
<高解像度(High Resolution:HR)処理>
HR処理とは、DMDの画素間ピッチの整数倍でないために、エッジラインがグリッドから外れて位置するエッジ部を露光する場合に、当該エッジ部の出力にHRを掛ける処理のことである。HRを掛ける方法は、図10(a)や(b)に示す如く、HRテーブルを用いる方法や、同図(c)に示す如く、標準値にHR係数を乗じる方法がある。
図10(a)のHRテーブルは、標準(本例では、階調処理の第1例の信号強度(露光量)を標準として用いる。)に対し、全体的に信号強度を強めた(露光量を増加させた)上方シフト(over)と、標準に対し、全体的に信号強度を弱めた(露光量を減少させた)下方シフト(under)の2種類が記述されている。なお、このテーブルでは、標準に対し、±10%となっているが、値はこれに限定されるものではない。また、値は一律に同じものでなく、階調ごとに異ならせるようにしてもよい。
図10(b)のHRテーブルは、標準に対し、全体的に信号強度を強めた(露光量を増加させた)第1上方シフト(over1)と、第1上方シフトよりもさらに全体的に信号強度を強めた(露光量を増加させた)第2上方シフト(over2)と、標準に対し、全体的に信号強度を弱めた(露光量を減少させた)第1下方シフト(under1)と、第1下方シフトよりもさらに全体的に信号強度を弱めた(露光量を減少させた)第2下方シフト(under2)の4種類が記述されている。なお、このテーブルでは、標準に対し、±5%及び±10%となっているが、値はこれらに限定されるものではない。また、値は一律に同じものでなく、階調ごとに異ならせるようにしてもよい。
図10(c)の表は、テーブルではなく、標準に対し、120%のHR係数を乗じた上方シフト(over)と、標準に対し、80%のHR係数を乗じた下方シフト(under)の2種類のHR係数があることを表している。なお、値は、これらに限定されるものではない。また、値は一律に同じものでなく、階調ごとに異ならせるようにしてもよい。
<HR処理を含む階調処理の第1例>
本例は、図11に示す如く、y方向に沿ったパターンの直線部Psの左側のエッジ部E1に対しては、HR処理を含む階調処理を適用し、右側のエッジ部E2に対しては、標準の階調処理を適用するものである。具体的には、左側のエッジ部E1に対しては、図10(a)のHRテーブルの下方シフト(under)を適用している。本例のHR処理を含む階調処理によれば、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。また、これにより、y方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。さらに、HR処理により、標準の露光では描画できない線幅を描画することができる。
<HR処理を含む階調処理の第2例>
本例は、図12に示す如く、y方向に沿ったパターンの直線部Psの左側のエッジ部E1に対しては、標準の階調処理を適用し、右側のエッジ部E2に対しては、HR処理を含む階調処理を適用するものである。具体的には、右側のエッジ部E2に対しては、図10(a)のHRテーブルの上方シフト(over)を適用している。本例のHR処理を含む階調処理によれば、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。また、これにより、y方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。さらに、HR処理により、標準の露光では描画できない線幅を描画することができる。
<HR処理を含む階調処理の第3例>
本例は、図13に示す如く、y方向に沿ったパターンの直線部Psの両側のエッジ部E1,E2に対し、HR処理を含む階調処理を適用するものである。具体的には、両側のエッジ部E1,E2に対し、図10(a)のHRテーブルの下方シフト(under)を適用している。本例のHR処理を含む階調処理によれば、y方向に沿ったエッジ部を直線状に仕上げることができる。また、これにより、y方向に沿ったパターンの直線部のパターン幅(線幅)を均一に仕上げることができる。さらに、HR処理により、標準の露光では描画できない線幅を描画することができる。
なお、本発明に係る露光方法及び露光装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態においては、中間調の階調数は4である。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。中間調の階調数を5以上としてもよいし、3としてもよい。階調数はアンチエイリアスの効果が有効に認められるものを適宜選択することができる。
また、上記実施形態においては、空間光変調素子は、DMDである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。複数の画素がマトリクス状に配列され、傾斜するように配置され得るものであれば、他の空間光変調素子であってもよい。
また、上記実施形態においては、露光ヘッドは、複数の空間光変調素子を複数並べたマルチヘッドタイプである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。露光ヘッドは、空間光変調素子を一つ備えるシングルヘッドタイプであってもよい。
また、上記実施形態においては、階調処理は、x方向又はy方向に沿ったパターンのエッジ部に適用するものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、x方向又はy方向に対して傾斜する方向に沿ったパターンのエッジ部であっても、空間光変調素子の画素列と斜めに交わるようであれば、エイリアスが発生するので、このようなエッジ部に対しても階調処理は有効となる。
また、上記実施形態においては、階調処理又はHR処理を含む階調処理を適用した出力信号は、露光装置1の制御装置10の出力信号生成部14が生成するものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、階調処理又はHR処理を含む階調処理を適用した出力信号を露光装置1外で生成し、これを制御装置10の入力部12に入力して、露光処理を行うようにしてもよい。
1…露光装置、10…制御装置、11…制御部、12…入力部、13…記憶部、14…出力信号生成部、15…光源駆動部、16…DMD駆動部、17…ステージ駆動部、2…露光ヘッド、3…光源、4…DMD、5…ステージ、6…基板(被露光材)、E1〜E3…エッジ部、P…パターン、Ps…パターンの直線部

Claims (8)

  1. 複数の画素がマトリクス状に配列される空間光変調素子であって、画素列が走査方向に対して所定角度で傾斜するように配置される空間光変調素子を用い、被露光材にパターンを露光する露光方法であって、
    パターンの所定のエッジ部に対し、各画素に対応する単位セルにおける非パターン部分の割合の程度に応じて、各画素の露光量を段階的に減少させる階調処理を適用する
    露光方法。
  2. 階調処理を適用するエッジ部に対し、露光量の減少の程度が異なる複数種類の階調処理を選択的に適用する
    請求項1に記載の露光方法。
  3. 複数種類が記述されたテーブルに基づき、適用する階調処理を選択する
    請求項2に記載の露光方法。
  4. 標準値に対する係数を選択することにより、適用する階調処理を選択する
    請求項2に記載の露光方法。
  5. 走査方向に沿ったパターンの直線部の両側のエッジ部に対し、階調処理を適用するものであり、
    一方のエッジ部に対し、複数種類の中の一つの階調処理を適用し、他方のエッジ部に対し、複数種類の中の他の階調処理を適用する
    請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の露光方法。
  6. 走査方向に沿ったエッジ部に対し、階調処理を適用する
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の露光方法。
  7. 走査方向と交差する方向に沿ったエッジ部に対し、階調処理を適用する
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の露光方法。
  8. 複数の画素がマトリクス状に配列される空間光変調素子であって、画素列が走査方向に対して所定角度で傾斜するように配置される空間光変調素子を備える露光ヘッドと、被露光材を配置するステージとを備え、露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで、被露光材にパターンを露光する露光装置であって、
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の露光方法を行う
    露光装置。
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