図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画システム100の構成を示す図である。描画システム100は、液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)上の感光材料に光を利用してパターンを描画するシステムである。図1に示すように、描画システム100は、パターンを示すベクトルデータである入力データをランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)データ変換装置7、および、データ変換装置7により生成された出力データに基づいて基板上にパターンを描画する描画装置1を備える。図1では、データ変換装置7の各機能も併せて示している。以下では、描画装置1について説明した後、データ変換装置7およびデータ変換装置7にて取り扱われるデータについて説明する。
図2および図3はそれぞれ、描画装置1の側面図および平面図である。図2および図3に示すように、描画装置1は、(+Z)側の主面91(以下、「上面91」という。)上に感光材料の層が形成された基板9を保持する基板保持部3、基台11上に設けられて基板保持部3をZ方向に垂直なX方向およびY方向に移動する保持部移動機構2、基板保持部3および保持部移動機構2を跨ぐように基台11に固定されるフレーム12、並びに、フレーム12に取り付けられて基板9上の感光材料に変調された光を照射する光照射部4を備える。また、描画装置1は、図2に示すように、保持部移動機構2や光照射部4等の各構成を制御する制御部6を備える。
図2および図3に示すように、基板保持部3は、基板9が載置されるステージ31、ステージ31を回転可能に支持する支持プレート33、および、支持プレート33上において、基板9の上面91に垂直な回転軸321を中心としてステージ31を回転するステージ回転機構32を備える。
保持部移動機構2は、基板保持部3を図2および図3中のX方向(以下、「副走査方向」という。)に移動する副走査機構23、副走査機構23を介して支持プレート33を支持するベースプレート24、並びに、基板保持部3をベースプレート24と共にX方向に垂直なY方向(以下、「主走査方向」という。)に移動する主走査機構25を備える。描画装置1では、保持部移動機構2により、基板9の上面91に平行な主走査方向および副走査方向に基板保持部3が移動される。
図2および図3に示すように、副走査機構23は、支持プレート33の下側(すなわち、(−Z)側)において、ステージ31の主面に平行、かつ、主走査方向に垂直な副走査方向に伸びるリニアモータ231、並びに、リニアモータ231の(+Y)側および(−Y)側において副走査方向に伸びる1対のリニアガイド232を備える。主走査機構25は、ベースプレート24の下側において、ステージ31の主面に平行な主走査方向に伸びるリニアモータ251、並びに、リニアモータ251の(+X)側および(−X)側において主走査方向に伸びる1対のエアスライダ252を備える。
図3に示すように、光照射部4は、副走査方向に沿って等ピッチにて配列されてフレーム12に取り付けられる複数(本実施の形態では、8つ)の光学ヘッド41を備える。また、光照射部4は、図2に示すように、各光学ヘッド41に接続される光源光学系42、並びに、紫外光を出射するUV光源43および光源駆動部44を備える。UV光源43は固体レーザであり、光源駆動部44が駆動されることにより、UV光源43から波長355nmの紫外光が出射され、光源光学系42を介して光学ヘッド41へと導かれる。
各光学ヘッド41は、UV光源43からの光を下方に向けて出射する出射部45、出射部45からの光を反射して空間光変調器46へと導く光学系451、光学系451を介して照射された出射部45からの光を変調しつつ反射する空間光変調器46、および、空間光変調器46からの変調された光を基板9の上面91に設けられた感光材料上へと導く光学系47を備える。
図4は、空間光変調器46を拡大して示す図である。図4に示すように、空間光変調器46は、出射部45を介して照射されたUV光源43(図2参照)からの光を基板9の上面91へと導く回折格子型の複数の光変調素子461を備える。光変調素子461は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。光変調素子461には複数の可撓リボン461aおよび複数の固定リボン461bが交互に平行に配列形成され、複数の可撓リボン461aは背後の基準面に対して個別に昇降移動可能とされ、複数の固定リボン461bは基準面に対して固定される。回折格子型の光変調素子としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
図5.Aおよび図5.Bは、可撓リボン461aおよび固定リボン461bに対して垂直な面における光変調素子461の断面を示す図である。図5.Aに示すように可撓リボン461aおよび固定リボン461bが基準面461cに対して同じ高さに位置する(すなわち、可撓リボン461aが撓まない)場合には、光変調素子461の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、図5.Bに示すように可撓リボン461aが固定リボン461bよりも基準面461c側に撓む場合には、可撓リボン461aが回折格子の溝の底面となり、入射光L1が入射した光変調素子461から1次回折光L3(さらには、高次回折光)が導出され、0次光は消滅する。このように、光変調素子461は回折格子を利用した光変調を行う。
図2に示す光照射部4では、UV光源43からの光が光源光学系42により線状光(光束断面が線状の光)とされ、出射部45を介して空間光変調器46のライン状に配列された複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461b(図5.Aおよび図5.B参照)上に照射される。光変調素子461では、隣接する各1本の可撓リボン461aおよび固定リボン461bを1つのリボン対とすると、3つ以上のリボン対が描画されるパターンの1つの画素に対応する。光変調素子461では、各空間光変調器46に接続される光変調素子制御部61からの信号に基づいてパターンの各画素に対応するリボン対の可撓リボン461aがそれぞれ制御され、各画素に対応するリボン対が0次光(正反射光)を出射する状態と、非0次回折光(主として1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射する状態との間で遷移可能とされる。光変調素子461から出射される0次光は光学系47へと導かれ、1次回折光は光学系47とは異なる方向へと導かれる。なお、迷光となることを防止するために1次回折光は図示を省略する遮光部により遮光される。
光変調素子461からの0次光は、光学系47を介して基板9の上面91へと導かれ、これにより、基板9の上面91上においてX方向(すなわち、副走査方向)に並ぶ複数の照射位置のそれぞれに変調された光が照射される。すなわち、光変調素子461の各画素に対応するリボン対は0次光を出射する状態がON状態であり、1次回折光を出射する状態がOFF状態とされる。
図2および図3に示す描画装置1では、保持部移動機構2の主走査機構25により主走査方向に移動される基板9に対し、光照射部4の光変調素子461から変調された光が照射される。換言すれば、主走査機構25は、光変調素子461から基板9へと導かれた光の基板9上における照射位置を、基板9に対して主走査方向に相対的に移動する照射位置移動機構となっている。なお、描画装置1では、例えば、基板9を移動することなく、光変調素子461が主走査方向に移動することにより基板9上の照射位置が主走査方向に移動されてもよい。描画装置1では、基板9を主走査方向に移動しつつ、図2に示す制御部6の光変調素子制御部61により、光変調素子461からの光の変調がデータ変換装置7から描画装置1へと出力された出力データに基づいて制御されることにより、データ変換装置7に入力された入力データが示すパターンが基板9上に描画される。
次に、データ変換装置7について説明する。図6は、データ変換装置7の構成を示す図である。データ変換装置7は、通常のコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPU701、実行されるプログラムを記憶したり演算処理の作業領域となるRAM702、基本プログラムを記憶するROM703、各種情報を記憶する固定ディスク704、作業者に各種情報を表示するディスプレイ705、および、キーボードやマウス等の入力部706等を接続した構成となっている。固定ディスク704内には、データ変換装置7により実行されるプログラム7041が記憶される。プログラム7041は、基板上に描画される予定のパターンを示すベクトルデータである入力データを、ランレングスデータである出力データに変換する(すなわち、ラスタライズを行う)プログラムである。
図1では、データ変換装置7のCPU701(図6参照)等がプログラム7041に従って演算処理等を行うことにより(すなわち、プログラム7041がデータ変換装置7により実行されることにより)実現される機能をブロックにて示しており、図1中のデータ受付部71、第1収縮処理部72a、第2収縮処理部72b、膨張処理部73、部分ランレングスデータ生成部74、部分ランレングス記憶部741、単位領域設定部75、単位ランレングスデータ生成部76、ランレングス記憶部77、フォーマット変換部78およびデータ出力部79が、CPU701等により実現される機能に相当する。なお、これらの機能は複数台のコンピュータにより実現されてもよい。
次に、データ変換装置7による入力データから出力データへのデータ変換について説明する。図7.Aないし図7.Cは、データ変換装置7によるデータ変換の流れを示す図である。データ変換装置7では、まず、図1に示すデータ受付部71によりベクトルデータである入力データが受け付けられる(ステップS11)。
図8.Aは、入力データにより表されるパターンを示す図である。図8.Aに示すように、入力データでは、所定の配置領域80に描画されるパターンを複数の図形要素として捉えた上で、複数の図形要素のそれぞれが、各図形要素の形状や基板9(図2および図3参照)上における位置等を示すベクトルデータの集合であるデータ要素として表現される。図8.A中の図形要素81〜84は互いに同じ大きさの正方形であり、図形要素85〜88は互いに同じ大きさの長方形である。なお、図8.Aでは、図の理解を容易にするために、図形要素81〜88にそれぞれ平行斜線を付している(図8.B、図9.A、図9.B、図10、図11.Aないし図11.J、並びに、図12.Aないし図12.Eの各図形要素においても同様)。
図8.Aでは、図中の上側から下側へと向かう方向(以下、「第1の方向」という。)が、図2および図3に示す描画装置1における(+Y)側から(−Y)側へと向かう主走査方向に対応し、図中の左側から右側に向かう方向(すなわち、第1の方向に垂直な方向であり、以下、「第2の方向」という。)が、描画装置1における(+X)側から(−X)側へと向かう副走査方向に対応する。
後述するように、配置領域80は、図8.Bに示すように、第1の方向を向く複数の直線801(すなわち、描画装置1における主走査方向に平行な直線であり、以下、「走査線801」という。)にて所定幅毎に分割され、これにより、第2の方向に配列された上記所定幅(図1に示す描画装置1の描画の分解能に基づいて決定される幅であり、以下、「単位幅」という。)の複数の領域800が設定される。
図8.Bに示すように、図形要素85の左側の部位(すなわち、第2の方向の一方の部位)は図形要素81の右側の部位(すなわち、第2方向の他方の部位)と重なっており、図形要素81と図形要素85とが重なる部分の第2の方向の幅は、単位幅と等しくなっている。また、図形要素86の左側の第1の方向に平行な辺は図形要素82の右側の辺に接しており、図形要素87は、図形要素83の右側において図形要素83から単位幅の2倍だけ離間している。図形要素88の上側の部位は、図形要素84の下側の部位と重なっており、図形要素88の左右両側の辺はそれぞれ、図形要素84の左右両側の辺の同一線上に位置する。
実際のデータ変換装置7では、後述する処理が、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88に対応するデータ要素に対して行われるが、以下の説明では、理解を容易とするために、図形要素81〜88を処理の取扱対象として説明する。なお、実際の入力データは通常、図8.Aおよび図8.Bに示すものよりも多種類かつ多様な形状の多数の図形要素を示すデータ要素を含む。
図1に示すデータ受付部71により入力データが受け付けられると、第1収縮処理部72aにより、入力データに含まれる複数の図形要素のベクトルデータから図8.Aに示す一の図形要素81が選択され(ステップS12)、選択された図形要素81の左右両側(すなわち、第2の方向に関する両側)において所定の収縮幅の収縮処理が行われる。本実施の形態では、収縮幅は単位幅に等しくされ、図形要素81に対して第2の方向に関する収縮処理が行われることにより、図9.Aに示すように、図形要素81よりも第2の方向の幅が単位幅の2倍だけ小さい収縮図形要素81aが得られる(ステップS13)。図9.Aでは、収縮処理が行われる前の図形要素81の輪郭を二点鎖線にて示している(他の図形要素82〜88においても同様)。
続いて、膨張処理部73(図1参照)により、図9.Bに示すように、収縮図形要素81aの第2の方向の両側において、それぞれ収縮幅の2倍(すなわち、単位幅の2倍)だけ収縮図形要素81aを膨張させ、収縮図形要素81aの両側に新たに生成された部位が、収縮図形要素81aに第2の方向の一方および他方においてそれぞれ隣接する第1仮図形要素811および第2仮図形要素812として得られる(ステップS14)。
第1仮図形要素811および第2仮図形要素812が生成されると、次の図形要素が存在するため(ステップS15)、ステップS12に戻り、図8.Aに示す図形要素82が次の図形要素として選択される(ステップS12)。本実施の形態では、図形要素の選択は各図形要素に付された符号の順に行われるが、当該選択の順序は適宜変更されてよい。図形要素82が選択されると、図形要素82に対して上述の収縮処理が行われて図9.Aに示す収縮図形要素82aが取得され、収縮図形要素82aが収縮図形要素81aと同様に膨張されて図9.Bに示す第1仮図形要素821および第2仮図形要素822が取得される(ステップS13,S14)。
データ変換装置7では、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88(図8.A参照)のベクトルデータに基づいて、上述のステップS12〜S15が図形要素81〜88に対して順次繰り返され、図形要素81〜88に対応する収縮図形要素81a〜88a、第1仮図形要素811〜881(第1仮図形要素811,821,831,841,851,861,871,881)、並びに、第2仮図形要素812〜882(第1仮図形要素812,822,832,842,852,862,872,882)が取得される(図9.Aおよび図9.B参照)。
全ての収縮図形要素、第1仮図形要素および第2仮図形要素が取得されると、部分ランレングスデータ生成部74(図1参照)により、各収縮図形要素(すなわち、収縮図形要素81a〜88a)が、図10に示すように、第1の方向を向く走査線801にて上述の単位幅の領域に分割され、分割された各領域のランレングスが生成されて収縮図形ランレングスとして部分ランレングス記憶部741(図1参照)に記憶される(ステップS16)。また、各第1仮図形要素および各第2仮図形要素(すなわち、第1仮図形要素811〜881、並びに、第2仮図形要素812〜882)が、走査線801にて上述の単位幅の領域に分割され、分割された各領域のランレングスが生成されて第1仮ランレングスおよび第2仮ランレングスとして部分ランレングス記憶部741に記憶される(ステップS17,S18)。本実施の形態では、収縮図形ランレングス、第1仮ランレングスおよび第2仮ランレングスは、第1の方向における始点および長さにより表されるが、例えば、第1の方向における始点および終点により表されてもよい。なお、上記ステップS16〜S18は、いずれが先に行われてもよく、互いに並行して行われてもよい。
次に、単位領域設定部75(図1参照)により、配置領域80が図10に示すように、第1の方向を向く複数の走査線801にて単位幅に分割されることにより、第2の方向に配列された単位幅の複数の領域800(以下、「単位領域800」という。)が設定される(ステップS19)。なお、ステップS19における単位領域800の設定は、ステップS16〜S18における収縮図形ランレングス、第1仮ランレングスおよび第2仮ランレングスの生成よりも前に行われてもよく、ステップS16〜S18と並行して行われてもよい。
単位領域800が設定されると、単位ランレングスデータ生成部76(図1参照)により、複数の単位領域800のうち一の単位領域800が注目単位領域として決定される。本実施の形態では、図11.Aにおいて太実線にて囲んで示すように、図中の最も左側の単位領域800が最初の注目単位領域800aとして決定される(ステップS20)。
注目単位領域800aが決定されると、注目単位領域800aと重なる一または複数の収縮図形要素が注目収縮図形要素として抽出され、各注目収縮図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目収縮ランレングスが、部分ランレングス記憶部741(図1参照)に記憶されている各注目収縮図形要素の収縮図形ランレングスに基づいて取得される(ステップS21)。最初の注目単位領域800aでは、注目単位領域800aと重なる収縮図形要素は存在しないため、注目収縮ランレングスとして取得されるデータは存在しない。換言すれば、最初の注目単位領域800aにおける注目収縮ランレングスの取得は、注目収縮ランレングスがないことを確認することとなる。
続いて、注目単位領域800aと重なる一または複数の第1仮図形要素が注目第1仮図形要素として抽出され、各注目第1仮図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目第1仮ランレングスが、部分ランレングス記憶部741に記憶されている各注目第1仮図形要素の第1仮ランレングスに基づいて取得される(ステップS22)。図11.Aに示すように、配置領域80では、第1仮図形要素811〜841,881が注目単位領域800aと重なっており、第1仮図形要素811〜841,881のそれぞれの最も左側の単位幅の領域のランレングスが、注目第1仮ランレングスとして取得される。
注目第1仮ランレングスが取得されると、注目単位領域800aと重なる一または複数の第2仮図形要素が注目第2仮図形要素として抽出され、各注目第2仮図形要素の注目単位領域800aと重なるランレングスである注目第2仮ランレングスが、部分ランレングス記憶部741に記憶されている各注目第2仮図形要素の第2仮ランレングスに基づいて取得される(ステップS23)。最初の注目単位領域800aでは、収縮図形要素と同様に、注目単位領域800aと重なる第2仮図形要素は存在しないため、注目第2仮ランレングスとして取得されるデータは存在しないことが確認される。
次の処理では、注目単位領域800aに係る注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積(すなわち、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとが重なる部分)が求められ、当該論理積と注目単位領域800aに係る注目収縮ランレングスとの論理和が求められ、当該論理和が注目単位領域800aの単位ランレングスデータとされるが(ステップS24)、上述のように、最初の注目単位領域800aでは、注目収縮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスが存在しないため、ランレングスを含まない単位ランレングスデータが生成される。なお、図11.Aに示すように、第1仮図形要素841の注目第1仮ランレングスは、第1仮図形要素881の注目第1仮ランレングスの一部と重なっているが、どちらも注目第1仮ランレングスであるため、ステップS24においてこれらのランレングスの論理積は求められない。
単位ランレングスデータが生成されると、単位ランレングスデータにランレングスが含まれているか否かが確認され、最初の注目単位領域800aの単位ランレングスデータにはランレングスは含まれていないと判断される(ステップS25)。そして、単位ランレングスデータがランレングス記憶部77(図1参照)に記憶された後(ステップS27)、次の単位領域800(すなわち、単位ランレングスデータの生成が未了の単位領域800)が存在することが確認されてステップS20に戻り、図11.A中の左側から2番目の単位領域800が次の注目単位領域として決定される(ステップS28,S20)。
2番目の注目単位領域が決定されると、最初の注目単位領域と同様に、注目収縮ランレングス、注目第1仮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスの取得、並びに、単位ランレングスデータの生成が行われ(ステップS21〜S24)、ランレングスを含まない単位ランレングスデータがランレングス記憶部77に記憶された後(ステップS25,S27)、ステップS20に戻り、図11.Bに示すように、図中の左側から3番目の単位領域800が次の注目単位領域として決定される(ステップS28,S20)。
3番目の注目単位領域が決定されると、注目単位領域800aと重なる収縮図形要素81a〜84a,88aが注目収縮図形要素として抽出され、各注目収縮図形要素の最も左側の単位幅の領域のランレングスが、注目収縮ランレングスとして取得される(ステップS21)。また、注目第1仮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスとして取得されるデータは存在しないことが確認される(ステップS22,S23)。
続いて、3番目の注目単位領域800aに係る注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が求められ、注目第1仮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスが存在しないため、論理積として求められるデータはない。次に、注目第1仮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスの論理積と3番目の注目単位領域800aに係る注目収縮ランレングスとの論理和が求められ、上記論理積が存在しないため、図11.Cにて黒く塗りつぶして示す注目収縮ランレングスの論理和が、注目単位領域800aの単位ランレングスデータとされる(ステップS24)。
単位ランレングスデータが生成されると、単位ランレングスデータにランレングスが含まれていることが確認され(ステップS25)、第2収縮処理部72b(図1参照)により、当該ランレングスに対して第1の方向に関する所定の収縮長さの収縮処理が第1の方向の両側にて行われる(ステップS26)。そして、注目単位領域800aの単位ランレングスデータとして、図11.Dにて黒く塗りつぶして示す収縮処理後のランレングスの集合がランレングス記憶部77(図1参照)に記憶された後(ステップS27)、ステップS20に戻り、図11.B中の左側から4番目の単位領域800が次の注目単位領域として決定される(ステップS28,S20)。
データ変換装置7では、4番目ないし10番目の注目単位領域に対して、3番目の注目単位領域に対する処理と同様の処理が順次行われ、第1の方向に関する収縮処理後のランレングスの集合である単位ランレングスデータがランレングス記憶部77に記憶される(ステップS20〜S28)。なお、10番目の注目単位領域(すなわち、図11.B中の左側から10番目の単位領域800)に対する処理は、ステップS22において第1仮図形要素851の最も左側の単位幅の領域のランレングスが注目第1仮ランレングスとして取得される点で、3番目の注目単位領域に対する処理とは多少異なるが、ステップS23において注目第2仮ランレングスが取得されないため、ステップS24において生成される単位ランレングスデータは、3番目ないし9番目の注目単位領域と同様に、注目収縮ランレングスの論理和とされる。
次に、図11.Eに示すように、図中の左側から11番目の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定され(ステップS28,S20)、注目収縮ランレングスが存在しないことが確認された後(ステップS21)、注目単位領域800aと重なる第1仮図形要素851,861が注目第1仮図形要素として抽出され、第1仮図形要素851の左側から2番目の単位幅の領域のランレングス、および、第1仮図形要素861の最も左側の単位幅の領域のランレングスが、注目第1仮ランレングスとして取得される(ステップS22)。
続いて、注目単位領域800aと重なる第2仮図形要素812〜842,882が注目第2仮図形要素として抽出され、第2仮図形要素812〜842,882のそれぞれの最も左側の単位幅の領域のランレングスが、注目第2仮ランレングスとして取得される(ステップS23)。
注目第2仮ランレングスが取得されると、単位ランレングスデータ生成部76(図1参照)により、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が求められる。具体的には、図11.Fにて黒く塗りつぶして示すように、第1仮図形要素851の左側から2番目の領域のランレングスと第2仮図形要素812の最も左側のランレングスとの論理積であるランレングスが求められ、また、第1仮図形要素861の最も左側の領域のランレングスと第2仮図形要素822の最も左側のランレングスとの論理積であるランレングスが求められる。
上述のように、11番目の注目単位領域800aでは、注目収縮ランレングスが存在しないため、図11.Fに示す注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が、当該論理積と注目収縮ランレングスとの論理和である単位ランレングスデータとされる(ステップS24)。なお、図11.Eに示すように、第2仮図形要素842の注目第2仮ランレングスは、第2仮図形要素882の注目第2仮ランレングスの一部と重なっているが、どちらも注目第2仮ランレングスであるため、ステップS24においてこれらのランレングスの論理積は求められない。
単位ランレングスデータが生成されると、単位ランレングスデータにランレングスが含まれていることが確認され、図11.Gにて黒く塗りつぶして示すように、当該ランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われた後、注目単位領域800aの収縮処理後の単位ランレングスデータがランレングス記憶部77(図1参照)に記憶される(ステップS25〜S27)。
単位ランレングスデータが記憶されると、ステップS20に戻り、図11.Hに示すように、図中の左側から12番目の単位領域800が次の注目単位領域800aとして決定され(ステップS28,S20)、収縮図形要素85aの最も左側の単位幅の領域が注目収縮ランレングスとして取得される(ステップS21)。また、第1仮図形要素861の左側から2番目の単位幅の領域のランレングスが、注目第1仮ランレングスとして取得され、第2仮図形要素812〜842,882のそれぞれの左側から2番目の単位幅の領域のランレングスが、注目第2仮ランレングスとして取得される(ステップS22,S23)。
続いて、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積として、第1仮図形要素861の左側から2番目の領域のランレングスと第2仮図形要素822の左側から2番目の領域のランレングスとの論理積が求められ、図11.Iにて黒く塗りつぶして示すように、当該論理積と注目収縮ランレングスとの論理和である上記論理積のランレングス、および、収縮図形要素85aの最も左側の領域のランレングスが、注目単位領域800aの単位ランレングスデータとして取得される(ステップS24)。そして、図11.Jにて黒く塗りつぶして示すように、単位ランレングスデータに含まれる各ランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われた後、注目単位領域800aの収縮処理後の単位ランレングスデータが記憶される(ステップS25〜S27)。
その後、図11.H中の左側から13番目および14番目の単位領域800に対して上述の処理(ステップS20〜S28)が順次行われ、収縮図形要素85a,86aの該当する領域のランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われたものが単位ランレングスデータとして記憶される。また、図11.H中の左側から15番目ないし19番目の単位領域800に対して上述の処理が順次行われ、収縮図形要素85a〜87aの該当する領域のランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われたものが単位ランレングスデータとして記憶される。
さらに、図11.H中の左側から20番目の単位領域800では、収縮図形要素86a,87aの該当する領域のランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われたものが単位ランレングスデータとして記憶され、左側から21番目および22番目の単位領域800では、収縮図形要素87aの該当する領域のランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われたものが単位ランレングスデータとして記憶される。また、左側から23番目および24番目の単位領域800の単位ランレングスデータは、ランレングスを含んでいないものとされる。
このように、データ変換装置7では、次の単位領域800が存在しなくなるまで、配置領域80の複数の単位領域800のそれぞれの単位ランレングスデータが、第2の方向に向かって順次生成され、ランレングス記憶部77に記憶される。図11.Kは、これらの単位ランレングスデータに含まれる全てのランレングスを黒く塗りつぶして示す図であり、図中では、入力データに含まれる図形要素81〜88の輪郭も二点鎖線にて併せて示している。そして、これらの単位ランレングスデータが、ランレングス記憶部77にて、対応する単位領域の位置を示すデータと関連付けられることにより、入力データに含まれる複数の図形要素81〜88を第1の方向を向くランレングスの集合として表すランレングスデータである出力データが生成される。
なお、上述のステップS21〜S23における注目収縮図形要素、注目第1仮図形要素および注目第2仮図形要素の抽出では、配置領域80中の全ての収縮図形要素、第1仮図形要素および第2仮図形要素について注目単位領域との重なりの判定が行われてもよいが、最も右側のエッジが注目単位領域よりも左側に位置する収縮図形要素、第1仮図形要素および第2仮図形要素については、注目単位領域との重なりの判定が行われることなく、注目収縮図形要素、注目第1仮図形要素および注目第2仮図形要素の候補から除外されることが好ましい。これにより、注目収縮図形要素、注目第1仮図形要素および注目第2仮図形要素の抽出に要する時間が短縮される。
図1に示す描画システム100では、データ変換装置7において生成された出力データが、フォーマット変換部78により描画装置1における処理に適合するフォーマットにフォーマット変換された後、データ出力部79により描画装置1へと出力される。そして、当該フォーマット変換後のデータに基づいて図2に示す制御部6の光変調素子制御部61から各空間光変調器46へと信号が送られるとともに、主走査機構25により基板9が主走査方向(すなわち、基板9上における上記第1の方向に対応する方向)に移動することにより、データ変換装置7に入力された入力データが示すパターンに収縮処理が施されたものが基板9上の感光材料に描画される。描画システム100では、データ変換装置7において出力データがフォーマット変換されることなく描画装置1へと出力され、描画装置1においてフォーマット変換が行われてもよい。
以上に説明したように、データ変換装置7では、入力データが示すパターン(すなわち、入力データに含まれる複数の図形要素)に対する収縮処理を行いつつ、ベクトルデータである入力データからランレングスデータである出力データへ変換する際に、入力データに含まれる複数の図形要素のベクトルデータに基づいて、第2の方向に関する収縮処理が行われた収縮図形要素、並びに、収縮図形要素の第2の方向の一方および他方にそれぞれ隣接する第1仮図形要素および第2仮図形要素が生成される。
続いて、収縮図形要素、第1仮図形要素および第2仮図形要素を表す収縮図形ランレングス、第1仮ランレングスおよび第2仮ランレングスが生成され、注目単位領域と重なる注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が求められる。次に、当該論理積と注目収縮ランレングスとの論理和が単位ランレングスデータとして求められ、単位ランレングスデータに含まれる各ランレングスに対して第1の方向に関する収縮処理が行われる。そして、各単位領域800の収縮処理後の単位ランレングスデータを取得することにより出力データが生成される。
ここで、仮に、ベクトルデータである入力データに対して第2の方向に関する収縮処理を行い、収縮処理後の図形要素をランレングスデータに変換することのみにより出力データを生成するデータ変換装置を想定すると、このようなデータ変換装置において上述と同様の入力データを変換した場合、図9.Aにて平行斜線を付して示す部分(すなわち、収縮図形要素81a〜88a)のみに対応するランレングスが出力データとされる。このため、出力データにおいて、本来1つの出力図形要素として表されるはずの図形要素81および図形要素85(図8.A参照)に対応する図形要素が、互いに離間する2つの出力図形要素として表され、また、本来1つの出力図形要素として表されるはずの図形要素82および図形要素86(図8.A参照)に対応する図形要素も、互いに離間する2つの出力図形要素として表されてしまう。
また、上記図形要素の離間を防止するために、入力データに含まれる複数の図形要素のベクトルデータに対して、収縮処理を行う前にOR処理(すなわち、図形要素間の境界における図形要素同士の接触や重なりを除去する処理であり、マージ処理ともいう。)を行うことも考えられるが、液晶表示装置用の基板や半導体基板に描画されるパターンでは多数の図形要素が連続していることが多く、このようなパターンにOR処理を行うと、処理に要する時間やメモリの使用量が膨大なものとなってしまい、データ変換装置の処理能力を超えてしまうことも考えられる。
これに対し、本実施の形態に係るデータ変換装置7では、上述のように、入力データに含まれる複数の図形要素に対するOR処理を行うことなく、収縮図形要素の第2方向の両側に隣接する第1仮図形要素および第2仮図形要素を利用することにより、入力データ中の第2の方向に隣接して配列された複数の図形要素、または、第2の方向にて僅かに重なって配列された複数の図形要素に対する第2の方向の収縮処理において、図11.Kに示すように、これら複数の図形要素間に隙間が生じることを防止しつつ当該収縮処理を迅速に行うことができる。
上述のように、データ変換装置7では、第1の方向に関する収縮処理が、配置領域80の各単位領域800の単位ランレングスデータが生成された後に行われる。このため、単位ランレングスデータに含まれる各ランレングスの長さを変更することにより、第1の方向に関する収縮処理を容易かつ迅速に行うことができる。
一方、仮に、ベクトルデータである入力データに対して第2の方向の収縮処理を行うことなく、入力データをランレングスデータに変換した後に第2の方向の収縮処理を行って出力データを生成するデータ変換装置を想定すると、このようなデータ変換装置では、ランレングスデータに対する第2の方向の収縮処理は、幅方向に隣接する複数のランレングスの端部に位置するランレングスを削除することににより行われるため、各ランレングスについて、当該ランレングスに第2の方向において隣接する他のランレングスが存在するか否かの情報が必要となり、第2の方向に関する収縮処理を迅速に行うことが困難である。
これに対し、本実施の形態に係るデータ変換装置7では、第2の方向に関する収縮処理が行われた出力データを生成する際に、一の単位領域800の単位ランレングスデータを、他の単位領域800の単位ランレングスデータとの関係を考慮することなく迅速に生成することができる。これにより、第2の方向に関する収縮処理を迅速に行うことができる。
ところで、データ変換装置7により出力データに変換される入力データでは、通常、入力データの生成時等におけるデザインルールチェック等により、図12.Aに示す図形要素981,982のように、第2の方向に関する収縮処理の収縮幅以下の距離(本実施の形態では、単位幅に等しい距離)だけ第2の方向において離間している2つの図形要素が入力データに含まれることが防止される。ただし、上述のデータ変換装置7は、上記のような位置関係を有する2つの図形要素が含まれる可能性がある入力データの変換にも利用可能である。以下、図12.Aに示す配置領域980に図形要素981,982が配置された入力データのデータ変換装置7による変換について説明する。
データ変換装置7では、上述の変換の流れ(図7.Aないし図7.C参照)と同様に、受け付けられた入力データに含まれる図形要素981,982のそれぞれに対して第2の方向に関する単位幅の収縮処理が行われることにより、図12.Bに示すように収縮図形要素981a,982aが得られ、収縮図形要素981a,982aが、第2の方向の両側において単位幅の2倍だけ膨張されることにより、図12.Cに示すように、第1仮図形要素9811,9821および第2仮図形要素9812,9822が得られる(ステップS11〜S15)。
続いて、収縮図形要素981a,982a、第1仮図形要素9811,9821、並びに、第2仮図形要素9812,9822が単位幅の領域に分割されて収縮図形ランレングス、第1仮ランレングスおよび第2仮ランレングス生成され、配置領域980に設定された複数の単位領域800のうち一の注目単位領域と重なる注目収縮ランレングス、注目第1仮ランレングスおよび注目第2仮ランレングスが取得される(ステップS16〜S23)。
次に、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が求められ、ここで、当該論理積が、収縮処理前の元の図形要素981,982(図12.A参照)の少なくとも一方に含まれているか否かを確認する処理が追加される。そして、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積が、図形要素981,982のどちらにも含まれていないと判断されると、当該論理積は単位ランレングスデータには含められず、図形要素981,982の少なくとも一方に含まれていると判断された場合のみ、当該論理積と注目収縮ランレングスとの論理和が単位ランレングスデータとされる(ステップS24)。換言すれば、注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積と収縮処理前の元の図形要素との論理積が新たに求められた上で、新たに求められた論理積と注目収縮ランレングスとの論理和が単位ランレングスデータとされる。
具体的には、図12.Dに示すように、図中の左側から12番目の単位領域800が注目単位領域800aとされる場合に、図12.E中にて黒く塗りつぶして示す注目第1仮ランレングスと注目第2仮ランレングスとの論理積(すなわち、第1仮図形要素9821の最も左側の単位幅の領域と第2仮図形要素9812の左側から2番目の単位幅の領域との論理積)が、元の図形要素981,982(図12.A参照)のどちらにも含まれていないと判断され、単位ランレングスデータに含められない。
ステップS24よりも後の処理は、図7.Aないし図7.Cに示す処理と同様であり、注目単位領域の単位ランレングスデータに含まれるランレングスに第1の方向に関する収縮処理が行われた後、当該収縮処理後の単位ランレングスデータが記憶される(ステップS25〜S28)。データ変換装置7では、全ての単位領域800に対してステップS20〜S28が順次繰り返され、各単位領域800の単位ランレングスデータが生成されて記憶される。図12.Fは、各単位ランレングスデータに含まれる全てのランレングスを黒く塗りつぶして示す図であり、図中では、入力データに含まれる図形要素981,982の輪郭も二点鎖線にて併せて示している。そして、これらの単位ランレングスデータに基づいて出力データが生成される。
このように、データ変換装置7では、第2の方向に関する収縮処理の収縮幅以下だけ第2の方向において離間している複数の図形要素に対して第2の方向の収縮処理を行う際においても、上述と同様に、これら複数の図形要素間に隙間が生じることを防止しつつ当該収縮処理を迅速に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
データ変換装置7にて行われる第2の方向に関する収縮処理の収縮幅は、必ずしも単位幅に等しくされる必要はなく、例えば、単位幅の2倍や3倍であってもよい。この場合であっても、データ変換装置7では、上記実施の形態と同様に、入力データ中の第2の方向に隣接して配列された複数の図形要素、または、第2の方向にて僅かに重なって配列された複数の図形要素に対する第2の方向の収縮処理において、これら複数の図形要素間に隙間が生じることを防止しつつ当該収縮処理を迅速に行うことができる。
データ変換装置7にて扱われる入力データに含まれる図形要素は、上述のように、矩形以外の多様な形状であってもよい。例えば、図13.Aに示すように、長方形の上側に小さい正方形が突出する凸状の八角形の図形要素983に対する第2の方向に関する収縮処理では、図13.Bに示すように、上側の正方形の部分(以下、「図形上部9833」という。)、および、下側の長方形の部分(以下、「図形下部9834」という。)の左右両側(すなわち、第2の方向の両側)において収縮処理が行われて収縮図形要素983aが得られる。そして、図13.Cに示すように、収縮図形要素983aの左右両側(すなわち、図形上部9833および図形下部9834に対応する図形上部9833aおよび図形下部9834aの第2の方向の両側)において膨張処理が行われることにより、2つの第1仮図形要素9831、および、2つの第2仮図形要素9832が得られる。
また、図14.Aに示すように、第2の方向に平行な一対の辺、および、第1の方向に対して傾斜する一対の辺を有する平行四辺形である図形要素984に対する第2の方向に関する収縮処理では、図14.Bに示すように、図形要素984の左右両側において、左右両側の辺に平行に収縮処理が行われることにより、第2の方向に平行な一対の辺、および、第1の方向に対して傾斜する一対の辺を有する平行四辺形である収縮図形要素984aが得られる。そして、図14.Cに示すように、収縮図形要素984aの左右両側において、左右両側の辺に平行に膨張処理が行われることにより、第2の方向に平行な一対の辺、および、第1の方向に対して傾斜する一対の辺を有する平行四辺形である第1仮図形要素9841および第2仮図形要素9842が得られる。このように、データ変換装置7では、第2の方向に関する収縮処理が、図形要素の第2の方向の両側において、第2の方向に非平行な全ての辺に対して行われ、第2の方向に関する膨張処理が、収縮図形要素の第2の方向の両側において、第2の方向に非平行な全ての辺に対して行われる。
上記実施の形態に係るデータ変換装置7では、入力データに含まれる図形要素は、複数のサブ図形要素を含むサブ図形要素群であってもよい。また、入力データは、一の図形要素が他の図形要素を参照する階層構造とされてもよい。
データ変換装置7により出力データに変換される入力データは、必ずしも液晶表示装置用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータには限定されず、例えば、プラズマ表示装置等の他のフラットパネル表示装置またはフォトマスク用のガラス基板上に描画されるパターンを示すデータであってもよく、LSI用のパターンデータであってもよい。また、他の様々な目的に利用される入力データがデータ変換装置により出力データに変換されてもよい。
描画装置1は、上述の構造を備えるものには限定されず、ランレングスデータである出力データに基づいて描画を行う装置であればよい。例えば、描画装置1の光照射部4は、GLV以外の他の光変調素子を備える空間光変調器を備えてもよい。