JP2008203635A - 描画方法および描画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板に描画を行なうための描画データを作成する原画像の画像処理と、走査による基板の描画とを並行して行なう描画において、先に基板に描画した画像(下層の画像)と、これから基板に描画する画像との位置合わせを行なうアライメントを行なう際にも、描画データの作成が描画に間に合わずに走査を停止するオーバーランを確実に防止できる描画方法および装置を提供する。
【解決手段】画像処理に要する時間の予測を、原画像の回転量およびデータ量を用いて行なうことにより、前記課題を解決する。
【選択図】図5

Description

本発明は、プリント配線板やLCDパネルとなる被処理基板に露光等によって画像を記録する描画の技術分野に関し、詳しくは、被処理基板と描画系とを相対的に移動して描画する、走査による描画を行なう装置において、描画データの生成が描画に間に合わずに、相対的な移動(走査)が停止してしまうことを防止できる描画方法および描画装置に関する。
プリント配線板(PWB)、液晶表示装置(LCDパネル)やプラズマ表示装置(PDP)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)等の製造工程において、基板にTFT、配線パターン、フィルタパターンなどの所定の画像(パターン)を記録する装置として、フォトリソグラフの技術を利用した露光装置が種々提案されている。
このような露光装置は、絶縁層、導電層、半導体層などの上にフォトレジスト層を形成されてなる(被処理)基板に、記録する画像に応じて変調した記録光を入射することにより、基板を所定のパターンに露光して露光(画像を記録 描画)するものであり、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD(Digital Micromirror Device))等の空間光変調素子を利用し、所定のパターンを表す露光データに応じて空間光変調素子により変調された多数の記録光(光ビーム)を、フォトレジストが塗布された基板上に照射することにより、所定のパターンを基板上に形成している。
一例として、DMDを用いる露光装置であれば、記録するパターンに応じて変調した記録光を露光面に入射する光学系と、基板とを、所定の走査方向に相対的に移動(走査)させると共に、この走査に同期して、DMDのメモリセルに、DMDのマイクロミラーに対応する多数の描画点データからなる露光データ(フレームデータ)を、順次、入力し、DMDの各マイクロミラーを露光データに応じてon/offすることにより、露光するパターンに対応した露光点群を露光面に時系列に順次形成することにより、所望のパターンを基板に画像を露光する装置が提案されている(特許文献1等参照)。
このような露光装置を利用して多層配線基板等を製造する場合には、各層の画像すなわち配線パターンの位置を高精度に合わせる必要がある。また、LCDパネルを製造する際においても、TFTパターンとフィルタパターンなどの各層の画像すなわちパターンの位置を高精度に一致させる必要がある。
ここで、露光装置においては、露光に供される基板は、その製造工程において、導電層やフォトレジスト層の形成の際に、加熱やプレス等の処理を行なわれており、その結果、基板が面方向に歪みを生じてしまう場合がある。
そのため、予め、基板に貫通孔などの基準位置を示すマーク(基準マーク)を形成しておき、露光に先立って、露光ステージに載置した基板の基準マークを検出して、その位置に応じて、露光する画像を変形して、先に露光された画像(下層の画像)と、これから露光する画像との位置を合わせる処理(アライメント)を行なうことが、特許文献2に開示されている。
ところで、一般的に、PWBやLCDパネルの製造において、設計はCADシステム等を用いて設計ツールで行なわれる。この設計データは、一般的に、ベクトルで表記されたベクトルデータであるので、LCDパネル等の製造においては、設計データをRIP(Raster Image Processor)によって展開してラスターデータとし、必要に応じて圧縮して、その後、このラスターデータに所定の画像処理を行なうことによって、露光装置における画像の露光に対応する画像データ(露光データ)を作成する。
ここで、近年では、PWBやLCDパネルなどのパターンが、ますます高精細化する傾向にある。また、これらを製造するための基板も、年々、大型化している。例えば、LCDパネル用の基板であれば、G8(第8世代)の基板は、2200×2400mmものサイズ(シートサイズ)を有する。そのため、ラスターデータのデータ量は、非常に大きな量となってしまう。
このような膨大なデータ量のラスターデータからの露光データの作成は、非常に時間がかかる。しかも、露光データを格納するために膨大な容量のメモリも必要になる。
そのため、LCDパネルなどの露光装置では、処理時間の短縮を計り、また、大容量のメモリを不要とするために、ラスターデータを取得したら、ラスターデータを中間データとして保持して、ラスターデータからの露光データの作成と、基板の露光とを並行して行なうことが考えられる。
ところが、基板と光学系とを走査(相対的に移動)しつつ露光を行なう露光装置では、露光の終了前に走査を停止すると、スジムラや画素ピッチの変動等の画質の大幅な劣化が生じる可能性が極めて高く、また、露光再開のために手間や処理時間が大幅に増大する。すなわち、走査露光を行なう装置では、一旦、露光を開始したら、露光が終了するまで、走査を停止することは出来ない。
従って、露光データの作成と露光とを並行して行なう露光装置においては、露光に対して、常に露光データの作成が先行している必要がある。
このような問題を解決する手段として、特許文献3や特許文献4に示されるように、露光データを作成する画像処理に要する時間を予測して、この予測結果に応じて、必要な時間だけ画像処理開始から露光開始までの時間を確保(時間を調整)し、あるいは、露光データの作成が先行可能なように走査速度を遅く(調整)することが考えられる。
特開2004−233718号公報 特開2006−309200号公報 特許第2993411号公報 特開平8−183226号公報
具体的には、特許文献3には、電子写真プリンタにおいて、走査方向に画像(画像データ)を分割して、圧縮(符号化)して記憶手段に記憶し、他方、解凍(復号化)処理などを行なう供給手段によって、分割した画像を記憶手段から一次記憶手段に送り、一時的に記憶し、一次記憶手段に記憶した分割画像に基づいて露光を行なうに際し、予測手段が供給手段による画像の供給処理時間を予測し、この予測時間に応じて、露光開始に先立って、供給手段による画像の供給を開始するように制御を行なうことにより、分割した画像を連続して露光することを可能にすることが開示されている。
他方、特許文献4には、バンディング方式を利用して入力データをラスタデータに展開して、このラスターデータに応じて露光を行なう電子写真プリンタにおいて、バンド毎の展開時間を予測してプリンタ処理時間内に納まるか否かを判定し、この判定結果に応じて、走査速度を調整することが開示されている。
これらの方法によれば、圧縮した画像の解凍や、画像データ(ラスターデータ)等の処理と、露光とを並行して行い、走査を停止することなく最後まで露光を行なうことが可能である。
しかしながら、これらの方法では、前述のPWBやLCDパネル等を製造する露光装置で行なわれる、変倍や回転といった画像処理を含む前述のアライメントに対応することはできない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、プリント配線板、多層配線板、LCDパネル等の製造に用いられる被処理基板に、配線パターンやマトリクスパターンなどを露光等によって描画するに際し、原画像データに画像処理を行なって描画を行なうための描画データを生成しつつ、描画系と被処理基板とを走査することによって描画を行なう際に、先に描画した画像と、これから描画する画像の位置を一致させるアライメントを行なう場合にも、適正に画像処理時間を予測して、常に、被処理基板への描画に対して画像処理すなわち描画データの作成を先行させることができ、走査を停止することなく、最後まで連続的に描画が行なえる描画方法および描画装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の描画方法は、描画データに応じて被処理基板に描画を行なう描画系と被処理基板とを、所定の走査方向に相対的に移動しつつ、前記描画系によって前記被処理基板に描画を行なうに際し、原画像データを取得した後、この原画像データに画像の回転を含む画像処理を施して前記描画データの作成を開始し、その後、所定の時間を経過した後に、前記描画系と被処理基板との相対的な移動を開始して、前記画像処理と前記被処理基板への描画とを並行して行なう共に、前記画像の回転量を用いて、前記画像処理に要する時間を予想し、その予測結果に応じて、常に前記描画データの作成が描画に先行するように、前記描画データ作成の開始から相対的な移動の開始までの時間、および、前記相対的な移動速度の少なくとも一方を調整することを特徴とする描画方法を提供する。
このような本発明の描画において、前記原画像データが圧縮されたものであり、前記画像処理に要する時間の予想に、この圧縮された原画像データのデータ量も用いるのが好ましい。
また、本発明の描画装置は、描画データに応じて被処理基板に描画を行なう描画装置であって、原画像データを取得して、画像の回転を含む画像処理を行なって、前記描画データを作成するデータ作成部と、前記被処理基板を保持する描画ステージと、前記データ作成部が作成した描画データに応じて、前記描画ステージに保持された被処理基板に描画を行なう描画系と、前記データ作成部が描画データの作成を開始して所定の時間を経過した後に、前記描画ステージと描画系とを所定の走査方向に相対的に移動する走査手段と、前記データ作成部での画像の回転量を用いて、前記データ作成部における画像処理の時間を予想し、その予測結果に応じて常に前記画像処理が描画に先行するように、前記描画データ作成開始から前記走査手段による相対的な移動の開始までの時間の調整、および、前記走査手段による移動速度の調整の、少なくとも一方を行なう調整手段とを有することを特徴とする描画装置を提供する。
このような本発明の描画装置において、前記原画像データが圧縮されたものであり、前記調整手段は、前記データ作成部における画像処理の時間の予想に、この圧縮された原画像データのデータ量も用いるのが好ましい。
このような本発明の描画装置、および、前記本発明の描画方法において、前記調整手段は、描画する画像を前記走査方向に分割して、分割した区域毎の原画像データの圧縮率を知見し、最も圧縮率の低い区域のデータ量に応じて、前記データ作成部における画像処理の時間の予想を行なうのが好ましく、また、前記調整手段は、前記描画データ作成開始から前記走査手段による相対的な移動の開始までの時間を調整した場合と、前記走査手段による移動速度を調整した場合とにおける、前記描画終了までの時間を予測し、この予測時間が短い方を調整するのが好ましい。
また、さらに、前記描画ステージ上における被処理基板の位置ズレ量を計測する手段と、前記描画ステージが保持した被処理基板の角度を変更する角度変更手段とを有し、
前記角度変更手段が被処理基板の角度変更を行なった場合と行なわない場合とで、角度変更を行なった方が描画終了までの時間が短い場合に、前記角度調整手段による角度調整を行なうのが好ましく、また、さらに、高速であるが被処理基板の位置精度が低い第1モード、および、低速であるが被処理基板の位置精度が高い第2モードの2つのモードが設定された、前記被処理基板を前記描画ステージの所定位置に供給する枚葉機構を有し、
かつ、この枚葉機構は、前記圧縮された原画像データのデータ量に応じて、このデータ量が所定量以下の場合には、前記第1モードで被処理基板を描画ステージに供給し、このデータ量が前記所定量を超える場合には、前記第2モードで被処理基板を描画ステージに供給するのが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、プリント配線板(PWB)や液晶表示装置(LCDパネル)等の製造に利用される被処理基板に、走査露光など、被処理基板と描画系とを走査しつつ配線パターンなどを描画するに際し、取得した原画像データに所定の画像処理を行なって、描画装置での描画に対応する描画データを作成しつつ、並行して基板への露光を行なうことによって、処理時間の低減やメモリ容量の低減を図ることができる。
また、画像処理の際に行なう画像の回転量を用いて画像処理に要する時間を予測して、この予測結果に応じて、描画に対して、常に露光データの作成が先行するように、描画データの作成開始から描画開始までの時間、および/または、走査速度を調整するので、多層配線基板やLCDパネルの製造において、先に描画(記録)された画像(下層の画像)と、これから描画する画像との位置を一致させるために、これから描画する画像を変形するアライメントを行なう場合にも、正確に画像処理の時間を予測することができ、適正に露光データの作成を先行させて、無駄なく、かつ、走査を停止することなく連続して描画を行なうことができる。
以下、本発明の描画方法および描画装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1に、本発明の描画方法および描画装置を利用する、露光装置の一例の概略構成の斜視図を示す。
図1に示す露光装置10は、液晶表示装置(LCDパネル)、多層配線板、プリント配線板(PWB)、CPU、各種のメモリ等の製造において、絶縁層、導電層、半導体層などの上にフォトレジスト層を形成してなる基板など、各種の被処理基板A(以下、基板Aとする)に、配線パターン、フィルタパターン、TFTパターン等を露光して露光(画像を記録)する装置である。
なお、本発明において、画像を露光する(露光の対象となる)基板Aには、特に限定は無く、前述のような、LCDパネルやPWB等の製造に用いられる、絶縁層や半導体層などの上にフォトレジスト層を形成してなる基板Aなど、露光によって画像記録(描画)が可能な各種の基板が利用可能である。
図1に示すように、露光装置10は、その長手方向がステージ移動方向(すなわち、後述する走査方向)を向くように配置され、吸着等によって基板Aを保持する矩形平板状の移動ステージ14と、ステージ移動方向に延在するように配置され、移動ステージ14をステージ移動方向に往復移動可能に支持する2本のガイド20と、その上面にステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド20が設置される厚い板状の設置台18と、設置台18を支持する4本の脚部16と、設置台18の中央部に移動ステージ14の移動経路を跨ぐように設けられ、その端部の各々が設置台18の両側面に固定される略C字状のゲート22とを有する。
また、ゲート22には、ゲート22をステージ移動方向に挟んで、一方の側(走査方向の下流側)には露光スキャナ24が、他方の側には複数のカメラ26が、それぞれ、固定される。露光スキャナ24は、基板Aに、配線パターン等の所定のパターンを露光するためのものであり、他方、カメラ26は、基板Aの先端および後端と、基板Aに予め設けられている円形状の複数の基準マーク12の位置を検出するためのものであり、共に、移動ステージ14の移動経路の上方に固定されている。
基板Aに形成された基準マーク12は、基板Aの下層に露光された画像(パターン)と、これから露光する画像との位置を一致させるために、予め、設定された基準マーク位置情報に基づいて基板A上に形成されているものであり、例えば貫通孔である。
なお、基準マーク12は、貫通孔に限定はされず、例えば、ランドやヴィアやエッチングマーク等を用いてもよい。あるいは、基板Aに形成された所定のパターン、たとえば、露光しようとする層の下層のパターンなどを基準マーク12として利用してもよい。また、図1においては、基準マーク12を6個しか図示していないが、実際には多数の基準マーク12が設けられている。
図示例において、露光スキャナ24は、図2および図3(B)に模式的に示すように、2行5列の略マトリックス状に配列された10個の露光ヘッド30(30A〜30J)を備えている。
各露光ヘッド30の内部には、図4に示すように、入射された光ビームを空間変調する空間光変調素子(SLM)であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD(Digital Micromirror Device))36が設けられている。
DMD36は、マイクロミラー38が直交する方向に2次元状に、多数、配列されたものであり、そのマイクロミラー38の列方向が走査方向と所定の設定傾斜角度θをなすように取り付けられている。したがって、各露光ヘッド30による露光エリア32は、走査方向に対して傾斜した矩形状のエリアとなる。ステージ14の移動に伴い、基板Aには露光ヘッド30毎に帯状の露光済み領域34が形成される。なお、各露光ヘッド30に記録光(光ビーム)を入射する光源については図示省略してあるが、たとえば、レーザ光源などを利用することができる。
露光ヘッド30の各々に設けられたDMD36は、マイクロミラー38単位でオン(on)/オフ(off)制御され、オン(もしくはオフ)状態のマイクロミラー38で反射された記録光が、基板Aに入射して、基板Aを露光する。これにより、基板Aには、DMD36のマイクロミラー38の像(ビームスポット)に対応したドットパターン(黒/白)が露光される。
前述した帯状の露光済み領域34は、図4に示すマイクロミラー38に対応した2次元配列されたドット(露光点)によって形成される。二次元配列のドットパターンは、走査方向に対して傾斜されていることで、走査方向に並ぶドットが、走査方向と交差する方向に並ぶドット間を通過するようになっており、高解像度化を図ることができる。なお、傾斜角度の調整のバラツキによって、利用しないドットが存在する場合もあり、たとえば、図4では、斜線としたドットは利用しないドットとなり、このドットに対応するDMD36におけるマイクロミラー38は、常にオフ状態となる。
また、図3(A)および(B)に示すように、帯状の露光済み領域34のそれぞれが、隣接する露光済み領域34と部分的に重なるように、ライン状に配列された各行の露光ヘッド30の各々は、その配列方向に所定間隔ずらして配置されている。
このため、たとえば、1行目の最も左側に位置する露光エリア32A、露光エリア32Aの右隣に位置する露光エリア32Cとの間の露光できない部分は、2行目の最も左側に位置する露光エリア32Bにより露光される。同様に、露光エリア32Bと、露光エリア32Bの右隣に位置する露光エリア32Dとの間の露光できない部分は、露光エリア32Cにより露光される。
図5に、露光装置10の制御系統の概略をブロック図で示す。
図5に示す例において、露光装置10が基板Aに露光する画像は、データ作成装置50によって作成され、RIP54によってラスターデータに展開されて、露光装置10に供給される。
データ作成装置50は、LCDパネルやPWB等の設計を行なう公知のCAD(computer-aided design)システムである。
データ作成装置50は、各種の設計ツールを用いて、製造するLCDパネル等を設計し、あるいはさらに、設計した製品を、露光装置10が露光を行なう基板Aのサイズに応じて、複数、割り付け(レイアウト)して、露光装置10が基板Aに露光する画像のデータ(設計データ)として、RIP54に出力する。データ作成装置50が出力する設計データは、通常、ベクトルで記述されたデータ(ベクトル形式の画像データ)であり、例えば、GDIIIやODB++等の公知のデータフォーマットによるものである。
RIP(Raster Image Processor)52は、データ作成装置50が作成した設計データを、ベクトル形式からラスターデータ(ビットマップデータ)に展開して、露光装置10(データ処理部56のメモリ65)に送るものである。なお、RIP52によるベクトルデータのビットマップ展開は、公知の方法によればよい。
また、RIP52は、好ましい態様として、生成したラスターデータを圧縮する。圧縮の方法には、特に限定はなく、ランレングス圧縮等の公知の方法によればよい。
さらに、RIP52は、より好ましくは、ラスターデータへの変換に先立ち、設計データを構成する各種の構成要素のうち、繰り返し記述されている構成要素の少なくとも1種を抽出する。すなわち、基板Aに同じ構成要素が複数個、露光される場合には、この構成要素の少なくとも1種を抽出する。
RIP52は、抽出した構成要素と、それ以外の構成要素(抽出の残部)とを、別々にラスターデータに変換する。ここで、抽出した構成要素に関しては、1個のみをラスターデータに展開して、あるいはさらに圧縮し、また、設計データから、この構成要素の基板A上における位置を示すレイアウト情報を生成する。さらに、1個分のラスターデータとレイアウト情報とを、抽出した構成要素のラスターデータとし、抽出しなかった構成要素のラスターデータと対応付して、露光装置10(データ処理部56)に送る。
これにより、ラスターデータの生成時間、および、圧縮にかかる時間を大幅に低減して、すなわちデータの処理時間を短縮して生産性を向上できる。
例えば、G5(第5世代 1300×1100mm)の基板Aを用いた15インチ(300×240mm)のLCDパネルの製造において、データ作成装置50によって、設計したLCDパネルのデータを4×4で16個を基板Aに割り付けてなる設計データを作成した場合であれば、一例として、RIP52は、設計データから繰り返し記述されている構成要素としてLCDパネルを抽出する。さらに、RIP52は、抽出したLCDパネルに関しては、16個全てをラスターデータに展開するのではなく、LCDパネルの1個のみをラスターデータに展開し、あるいはさらに圧縮する。加えて、RIP52は、設計データから、16個のLCDパネルの基板A上での位置を検出し、LCDパネルの位置を示す情報であるレイアウト情報を生成する。RIP52は、この1個のLCDパネルのラスターデータとレイアウト情報とを対応付けして、LCDパネルのラスターデータとする。
なお、1つの設計データから抽出する構成要素は1種に限定はされず、2種以上の複数であってもよい。複数の構成要素を抽出した際には、抽出した構成要素の種類数と同数のラスターデータとレイアウト情報が生成される。
このような設計データからの構成要素の抽出を行なう場合において、どの構成要素を抽出するかは、オペレータによる入力/指示に応じて行なってもよく、あるいは、予め設定された抽出条件に応じて、RIP52(あるいは、専用の抽出装置)が自動的に行なうようにしてもよい。
なお、構成要素の抽出条件としては、構成要素のサイズや、設計データ上における繰り返し数等が例示される。
RIP52が生成した圧縮ラスターデータ(あるいはさらにレイアウト情報)は、露光装置10が基板Aに露光する画像の原画像(原画像データ)として、露光装置10の制御系に供給される。
露光装置10の制御系は、基本的に、データ処理部56と、前記露光ヘッド30を含む露光部58と、前記カメラ26を含む基板変形測定部60と、前記移動ステージ14を含むステージ移動部62と、コントローラ64とからなる。
このような制御系において、コントローラ62は、露光装置10の全体の動作等の制御および管理を行なうものである。
データ処理部56は、RIP52から供給された原画像(基板Aに露光する画像の圧縮ラスターデータ)を処理して露光データを生成するものである。露光部58は、データ処理部56で作成された露光データに基づいて露光ヘッド30により基板Aを露光するものである。基板変形測定部44は、カメラ26によって、これから画像を露光する(画像露光に供される)基板Aを撮影し、その撮影結果から、基板Aの傾きや変形を測定/算出するものある。ステージ移動部62は、移動ステージ14を走査方向および逆方向に移動するものである。
データ処理部56は、メモリ65と、処理時間予測部66と、画像処理部68とを有して構成される。また、画像処理部68は、回転・変倍部70と、露光データ作成部71とを有して構成される。
メモリ65は、RIP52が生成した、基板Aに露光する画像の原画像を記憶する、公知のメモリである。
処理時間予測部66は、基板変形算出部90が算出した原画像の回転量、および、RIP52が生成した原画像のデータ量を用いて、画像処理部68における画像処理の時間を予測して、この予測結果に応じて、画像処理部68が画像処理を開始してから、露光部58が基板Aの露光を開始するまでの時間を設定するものである。言い換えれば、処理時間予測部66は、画像処理時間を予測して、その結果に応じて画基板Aの露光開始に対して、画像処理部68による画像処理の開始を先行させる時間を設定するものである。以下、この時間を、便宜的に「先行時間」とする。
ここで、後に詳述するが、処理時間予測部66は、原画像を走査方向に複数に分割して、最もデータ量の多い(すなわち、圧縮率が低い)領域のデータ量を基準として、原画像のデータ量を算出して、先行時間を設定する。
さらに、処理時間予測部66は、先行時間を設定したら、画像処理部68に、画像処理開始の指示を出し、かつ、ステージ移動部62の先行時間の情報を供給する。
なお、RIP52が、ラスターデータを圧縮せず、さらに、前記構成要素の抽出を行なわない場合には、原画像のデータ量は一定であるので、処理時間予測部66は、回転設定部66における画像処理時間の予測は、画像の回転量のみを用いて行なう。
言い換えれば、RIP52において、ラスターデータの圧縮、および、前記構成要素の抽出の少なくとも一方が行なわれる場合には、画像処理時間の予測は、原画像の回転量およびデータ量の両者を用いて行なう。
図示例の露光装置10においては、データ処理部56の画像処理部68における画像処理(露光データの生成)を開始した後、所定の時間が経過した後、露光部58における基板Aの露光を開始し、その後、露光データの生成が終了するまで、画像処理と基板Aの露光とを並行して行なう。これにより、露光データを記憶するメモリの容量の低減や、処理時間の短縮等を図れるのは、前述のとおりである。
ここで、走査露光を行なう露光装置では、露光を開始したら、基板Aの走査を停止することは出来ないので、このような並行処理を行なう装置においては、常に、露光に対して、画像処理すなわち露光データの作成が先行している必要がある。すなわち、画像処理が間に合わずに露光(走査)を停止する、オーバーランを回避する必要がある。
処理時間予測部66は、原画像の回転量および原画像のデータ量から、画像処理時間を予測して、オーバーランが生じないように、露光に対して画像処理の開始を先行させる先行時間を算出して、前述のように、画像処理部68に画像処理開始の指示を出し、ステージ移動部62(あるいはさらに露光部58)に、先行時間の情報を供給する。なお、この態様では、走査速度は調整しないので、走査速度は、画像処理時間の予測結果によらず、常に所定速度となる。
なお、図示例においては、オーバーランを回避するために、画像処理時間の予測結果に応じて、走査速度は調整せずに、露光開始に対して画像処理の開始を先行させる先行時間を調整したが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、先行時間は一定として、画像処理に係る時間の予測結果に応じて、移動ステージ14の移動速度、すなわち、基板Aの走査速度を調整して、オーバーランを回避するようにしてもよい。この際には、処理時間予測部66は、画像処理時間の予測結果に応じて、常に、露光に対して画像処理が先行できる走査速度を設定して、この走査速度の情報をステージ移動機構94に供給し、ステージ移動機構94は、供給された走査速度に応じて、移動ステージ14を移動させる。あるいは、先行時間の調整と、走査速度の調整とを併用してもよい。
より好ましくは、先行時間を調整した場合と、走査速度を調整した場合とで、画像処理部68による画像処理開始から、基板Aの露光終了までのトータルの時間を予測し、このトータルの時間が短いと予測される方を選択して、実施することにより、オーバーランを回避する。
画像処理部68は、メモリ65が記憶している原画像に画像処理を施して、露光部58(露光ヘッド30)における画像の露光に対応する画像データである露光データ(描画データ)を作成するものである。
前述のように、画像処理部68は、回転・変倍部70と、露光データ作成部71とを有する。
回転・変倍部70は、基板変形測定部60の基板変形算出部99が算出した原画像の回転量、および、画像の変倍率に応じて、原画像の回転および変倍処理を行い、処理済の原画像(変形した原画像)を、露光データ作成部71に供給するものである。すなわち、回転・変倍部70は、原画像の回転および変倍処理を行なうことにより、基板Aに先に露光(記録)された画像(下層の画像)と、これから露光する原画像との位置合わせを行なう、前述のアライメント(原画像の変形)を行なうものである。
なお、回転・変倍部70は、ラスターデータが圧縮されている場合には、処理時間を短縮できる好ましい態様として、圧縮状態のままで原画像の回転・変倍を行い、露光データ作成部71に送る。
他方、露光データ作成部71は、回転・変倍部70が処理した原画像に、所定の処理を施して、露光部58での露光に対応する露光データとするものである。
露光データ作成部71における処理には、特に限定はなく、回転/変倍処理を施した原画像を、露光部58での画像露光に対応する露光データとする、各種の処理が利用可能である。一例として、図示例の露光ユニット24は、10個の露光ヘッド30で基板Aの露光を行なうので、画像を走査方向と直交する方向に10分割する分割処理、原画像をDMD36の各マイクロミラー38に対応するデータ(DMD36による描画点データ)とするマッピング処理、原画像が圧縮されたものである場合には、伸長(解凍)処理等が例示される。
なお、露光装置10においては、処理能力の向上等を図るために、回転・変倍部70での処理はソフトウエアで行い、固定的な処理が多い露光データ作成部71での処理は、ハードウエアで行なうようにしてもよい。
ここで、RIP52が、前述の部品の抽出、および、レイアウト情報の生成を行なった場合には、画像処理部68では、画像の回転・変倍に先立ち、レイアウト情報に応じて、抽出した構成要素の再配置(再レイアウト)、ならびに、再配置した各構成要素、および、抽出しなかった構成要素の合成を行なって、基板Aに露光する原画像を再生し、その後、回転・変倍部68による回転および変倍処理を行なう。
回転・変倍部68による回転処理や変倍処理の方法には、特に限定はなく、公知の各種の画像の回転方法、および、画像の変倍方法が、全て、利用可能である。
図示例においては、高速な処理が可能な好ましい態様として、本件出願人による特開2006−287534号および同2006−309200号の各公報に開示される画像の処理方法を利用している。
図6に、この方法を実施する回転・変倍部68のブロック図を示す。
この回転・変倍部68は、変形後ベクトル情報設定部72と、画素位置情報取得部74と、逆変換演算部76と、入力ベクトル情報設定部78と、入力画素データ取得部80と、変形済画像データ取得部84とを有して構成される。
変形後ベクトル情報設定部72は、回転・変倍処理を施された画像(以下、変形済画像とする)における、画素(画素データ)の配置位置を示す画素位置情報を結ぶ変形後ベクトル情報を設定するものである。画素位置情報取得部74は、変形後ベクトル情報設定部72により設定された変形後ベクトル情報が表わす変形後ベクトル上における画素位置情報のうちの一部の画素位置情報を取得するものである。逆変換演算部76は、画素位置情報取得部74により取得された一部の画素位置情報に対してのみ逆変換演算を施して、一部の画素位置情報に対応する原画像上における逆変換画素位置情報を取得するものである。原画像ベクトル情報設定部78は、逆変換演算部76により取得された逆変換画素位置情報を結ぶ、原画像上における原画像ベクトル情報を設定するものである。原画像画素取得部80は、原画像ベクトル情報設定部78により設定された原画像ベクトル情報が表わす原画像ベクトル上における原画像画素(原画像画素データ)を原画像から取得するものである。変形済画像取得部84は、原画像画素取得部80が取得した原画像画素を変形後ベクトル上における画素位置情報が示す位置の画素として取得して変形済画像(変形済画像データ)を取得するものである。
以下、図7(A)に示す原画像を時計周りに回転し、図7(B)に示す変形済画像を取得する処理を例に、この回転・変倍部68について、より詳細に説明する。
前述のように、RIP52が作成した原画像が、メモリ65に記憶される。これと共に、変形後ベクトル情報設定部72において変形後ベクトル情報が設定される。この変形後ベクトル情報設定部72には、取得される変形済画像の各画素位置を示す画素位置情報が設定されている。画素位置情報としては、たとえば、各画素位置の座標値を設定するようにすればよい。
変形後ベクトル情報設定部72において、図7(B)に示すような、左端の画素位置情報と右端の画素位置情報とをそれぞれ水平な直線で結んだ変形後ベクトル情報V1が設定される。なお、図7(B)においては、上記左端の画素位置情報と右端の画素位置情報とを斜線で示している。
設定された変形後ベクトル情報V1は、画素位置情報取得部74に出力される。
画素位置情報取得部74は、入力された変形後ベクトル情報が表わす変形後ベクトル上における画素位置情報のうちの一部の画素位置情報を取得する。本例では、図7(B)において斜線で示す画素位置情報が、上記一部の画素位置情報として取得される。
画素位置情報取得部74によって取得された一部の画素位置情報は、逆変換演算部76に出力される
逆変換演算部76は、この上記一部の画素位置情報にのみ逆変換演算を施す。図示例においては、原画像を時計周りに回転させる変形を行うので、この変形の逆、つまり反時計周りに回転させる逆変換演算が、上記一部の画素位置情報に施される。具体的には、図7(B)に示す左側の始端の斜線部分の画素位置情報(sx’,sy’)および右側の終端の斜線部分の画素位置情報(ex’,ey’)に対して、下記式に示す逆変換演算が施されて、図7(A)に示す逆変換画素位置情報(sx,sy)および(ex,ey)が取得される。ここで、回転角度θは、反時計回りに取るものとする。
sx=sx’cosθ+sy’sinθ
sy=−sx’sinθ+sy’cosθ
ex=ex’cosθ+ey’sinθ
ey=−ex’sinθ+ey’cosθ
なお、本例においては、原画像を時計周りに回転させた変形済画像を取得するために、逆変換演算として反時計周りの回転を示す演算を行うようにしたが、逆変換演算としてはこれに限らず、変形の方法に応じてその変形の逆を示す演算を、適宜、選択するようにすればよい。
例えば、原画像を所定の拡大率で拡大した変形済画像を取得するためには、上記拡大率に対応した縮小率の縮小演算を逆変換演算とすればよい。具体的には、原画像データを2倍に拡大する場合には、同じベクトル情報に属する画素位置情報同士の距離が1/2になるような縮小演算を逆変換演算として採用するようにすればよい。
このようにして図7(B)の斜線部分の画素位置情報に対応する逆変換画素位置情報が取得され、この逆変換画素位置情報が、原画像ベクトル情報設定部78に出力される。
原画像ベクトル情報設定部78においては、図7(A)に示すように、原画像上における原画像ベクトル情報V2が設定される。具体的には、変形後ベクトル情報が表わす変形後ベクトルの両端に配置する画素位置情報に対応する逆変換画素位置情報が直線により結ばれ、図7(A)に示すような原画像ベクトル情報V2が取得される。
この原画像ベクトル情報V2は原画像画素取得部80に出力される。
原画像画素取得部80は、入力された原画像ベクトル情報V2が表わす原画像ベクトル上における原画像画素dを、原画像から取得する。具体的には、原画像画素取得部80は、入力された入力ベクトル情報に基づいて、原画像におけるM行目のN番目からL番目の画素(画素データ)をどのようなピッチで読み出すかを示す読出情報を設定し、その読出情報に基づいて、メモリ65に記憶された原画像の原画像画素を読み出す(再サンプリング)。
図8に、図7(A)の一部拡大図を示す。たとえば、原画像ベクトル情報V2が図8に示すような原画像ベクトルを表わすものである場合には、3行目の1番目から3番目の原画像画素dと、2行目の4番目から10番目までの原画像画素dと、1行目の11番目から12番目までの原画像画素dとをそれぞれ1画素ピッチで連続的に読み出す読出情報を設定し、その読出情報に基づいて、図8の斜線部分の原画像画素dを原画像データから読み出す。すなわち、図8に示す例では、12画素からなる1行の変形済画像を取得する際に、原画像画素dの読出行(位置)の変更が、3行目の3番目から2行目の4番目へと、2行目の10番目から1行目の11番目へとの2箇所において不連続となり、不連続アドレッシングとなる編集箇所が2箇所存在することになる。
このようにして原画像画素取得部80により読み出された原画像画素は、変形済画像取得部84に出力される。
変形済画像取得部84は、このようにして原画像ベクトル情報V2に基づいて取得された原画像画素dを、この原画像ベクトル情報V2に対応する変形後ベクトル情報V1が示す変形後ベクトル上の画素位置情報の画素とする。原画像ベクトル情報V2に対応する変形後ベクトル情報V1とは、所定の原画像ベクトル情報V2の逆変換演算前の変形後ベクトル情報V1である。
上記のようにして各原画像ベクトル情報V2に対応する各変形後ベクトル情報の各画素位置情報の画素が取得され、全ての変形後ベクトル情報の全ての画素位置情報の画素が取得されて変形済画像が取得される。
この処理方法によれば、変形済画像上で変形後ベクトル情報V1を設定し、この変形後ベクトル情報V1上における一部の画素位置情報を取得し、取得した一部の画素位置情報に対してのみ、目的とする変形とは逆の変形を示す逆変換演算を施して、原画像上における逆変換画素位置情報を取得し、取得した逆変換画素位置情報を結ぶ原画像ベクトル情報V2を設定し、設定した原画像ベクトル情報V2上における原画像画素dを原画像から取得し、取得した原画像画素dを変形後ベクトル上における画素位置情報が示す位置の画素タとして取得して変形済画像を取得するようにしたので、変形済画像における一部の画素位置情報にのみ逆変換演算を施せばよく、従来のように全ての画素位置情報に逆変換演算を施した場合と比較するとより高速に変形済画像を取得することができる。
以上の例においては、原画像を回転させて変形する場合について説明したが、回転に加えて、変倍も同時に行う場合には、以下のように処理を行なえばよい。
例えば、図7(A)に示す画像と図7(B)に示す画像との間に変倍変形処理が成されているとして、回転角度をθ(時計回り)、X方向の変倍率をmx、Y方向の変倍率をmyとするとき、図7(B)に示す両端の斜線部分の画素位置情報(sx’,sy’)、(ex’,ey’)に対して、下記式に示す逆変換演算が施されて逆変換画素位置情報(sx,sy)、(ex,ey)が取得される。
sx=(sx’cosθ+sy’sinθ)/mx
sy=(−sx’sinθ+sy’cosθ)/my
ex=(ex’cosθ+ey’sinθ)/mx
ey=(−ex’sinθ+ey’cosθ)/my
Y方向の変倍では、Y方向の画素数の過不足、すなわち、ライン(行)数(ベクトル情報V2の数)の過不足は、(ey’−sy’−ey+sy)画素(ライン)となるので、この過不足ライン数に応じて、読出ライン(ベクトル情報V2)を増減すればよい。また、X方向の変倍では、X方向の画素数の過不足は、(ex’−sx’−ex+sx)画素となるので、この過不足画素数に応じて、読出画素を増減すればよい。
例えば、図7(A)から図7(B)への変形において得られた1ラインが図9(A)に示される13画素の並びであり、X方向の過不足画素数が2画素であるとすると、図9(A)に示すように、5画素目毎に、すなわち5画素目と6画素目との間および10画素目と11画素目との間の挿入箇所に、挿入指定箇所の画素(ここでは5画素目および10画素目)を複製して導入する。こうして、図9(B)に示すようなX方向に変倍されて、処理が完了した1ラインを得ることができる。図9(B)に示す1ラインにおいて、斜線で塗りつぶされている箇所が挿入された画素を示す。
露光装置10の制御系において、基板変形測定部44は、基板変形算出部90と、前述のカメラ26とを有する。
カメラ26は、前述のように、走査方向と直交する方向の所定位置において、基板Aの表面(移動ステージ14表面)を撮影して、基板A上に形成された基準マーク12や、基板Aの先端および後端の画像を撮影するものである。
基板変形算出部90は、カメラ26により撮影された基準マーク12の画像、あるいはさらに基板Aの先端および後端の画像に基づいて、実際に露光に供される基板Aの基準位置およびサイズに対する変形量を検出する。さらに、この検出結果に応じて、基準位置に対する基板Aの回転角度、基準サイズに対する基板Aの拡大率または縮小率などの変倍率を算出し、これに応じて、基板Aに先に露光(記録)されている画像と、これから露光しようとする画像(メモリ65が記憶している画像)とを一致させるアライメントを行なうために、画像の回転量および変倍率を算出して、画像処理部68に送る。
露光部48は、露光ヘッド制御部92と、前述の露光ヘッド30とを有する。
露光ヘッド制御部92は、露光データ作成部46の露光データ作成部64で作成された、露光ヘッド30のDMD36(全マイクロミラー38)に与える露光データ(フレームデータ)に基づいて、露光ヘッド30のDMD36により露光されるよう露光ヘッド30を制御する。
露光ヘッド30は、露光ヘッド制御部68の制御下で、前述のように、DMD36の各マイクロミラー38をon/offし、各マイクロミラー38によりレーザビームなどの記録光を変調し、変調された記録光により基板Aに所望のパターンを露光する。
さらに、ステージ移動部62は、ステージ移動機構94と、前述の移動ステージ14とを有する。
ステージ移動機構94は、コントローラ64の制御の下で、移動ステージ14を所定の走査速度でステージ移動方向へ移動させる。なお、ステージ移動機構94は、移動ステージ14をガイド20に沿って往復移動させるものであれば、如何なる既知の構成を採用してもよい。なお、図示例の露光装置10は、移動ステージ14を移動することにより、基板Aと、露光する画像に応じて変調した記録光を基板Aに照射する光学系(露光ユニット24(露光ヘッド30))とを走査(相対的に移動)するものであるが、本発明は、これに限定はされず、基板Aを固定して、ゲート22を移動することにより、基板Aと光学系とを走査するものであってもよい。
以下、図10のフローチャートを参照して、露光装置10の作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
前述のように、データ作成装置50によって作成された製品の設計データが、データ作成装置50からRIP52に供給される。
設計データはベクトルで記述されたデータであるので、RIP52は、供給された設計データをラスターデータに展開し、さらに圧縮する。RIP52は、この圧縮したラスターデータを、露光装置10が基板Aに露光(記録)する画像の原画像として、露光装置10に供給する。
ここで、このRIP52によるラスターデータの圧縮中に、処理時間予測部66は、RIP52から、原画像の走査方向の圧縮率の情報を取得する。
処理時間予測部66は、この圧縮率の情報から、画像を走査方向に一定の長さで分割した領域毎に圧縮率を知見し、この圧縮済のラスターデータにおいて、圧縮率の最も低い領域すなわちデータ量の最も多い領域を検出しておく。なお、この走査方向の分割長さには、特に限定は無いが、一例として、露光部58に設けられる、露光データを一次的に記憶するメモリ(図示省略)の容量などに応じて、このメモリに記憶できる露光データ量に対応する走査方向の長さとすればよい。
露光装置10は、取得した原画像をデータ処理部56のメモリ65に記憶する(S100)。
原画像をメモリ65に記憶したら、コントローラ64がステージ移動機構94に制御信号を出力し、ステージ移動機構94は、その制御信号に応じて移動ステージ14を図1に示す位置から、ガイド20に沿って、一旦、上流側の所定の初期位置まで移動させた後に停止させ、移動ステージ14上に基板Aの受け入れを行い、移動ステージ14は、載置された基板Aを固定する(S102)。
なお、上流側とは、図1における右側、つまりゲート22に対してスキャナ24が設置されている側のことであり、下流側とは、図1における左側、つまりゲート22に対してカメラ26が設置されている側のことである。また、移動ステージ14への基板Aの載置(基板Aの枚葉)は、手動であっても、シート状物を所定位置に供給するロボット等を用いる自動の枚葉機構を用いるものであってもよい。
このように移動ステージ14上に基板Aが固定されると、コントローラ64がステージ移動機構94に制御信号を出力し、ステージ移動機構94は、上流側の所定の初期位置から、下流側(走査方向と逆方向)に向けて所定の速度で移動させる。
この移動ステージ14すなわち基板Aの移動に同期して、基板Aに先に露光された画像(下層の画像)と、次に露光する画像(メモリ65が記憶している原画像)との位置を合わせるアライメントのための測定を行なう(S104)。すなわち、移動ステージ14が移動を開始すると、これに同期して、カメラ26が所定の時間間隔で撮影を行い、撮影した画像(画像データ)を、基板変形算出部90に送る。
カメラ26から基板Aの画像を受けた基板変形算出部90は、この撮影結果から、画像処理条件(原画像の回転量および変倍率)を算出する(S106)。
具体的には、カメラ26からの画像を受けた基板変形算出部90は、まず、撮影画像を解析して、画像のエッジ抽出や円形抽出等の公知の手段で、基板Aに形成された基準マーク12の位置、あるいはさらに基板Aの先端および後端(走査方向)を知見する。
前述のように、基準マーク12は、基板Aの所定位置に形成されている(所定位置に形成されている筈である)。従って、基準マーク12の位置が、所定の位置に無い場合には、基板Aが変形しており、および/または、基板Aの枚葉が不適正で、所定の載置位置に対して曲がった状態で移動ステージ14に載置されている(すなわち、所定の載置位置に対して、基板Aが角度を有するようにズレて載置されている)。この場合には、原画像をそのまま露光しても、先に露光されている画像と位置が一致せず、適正な製品を得ることができない。
基板変形算出部90は、次いで、検出した基準マーク12の位置等から、基板Aの変形状態(拡大/縮小)や載置状態(所定の載置位置(あるいは走査方向)に対して、基板Aが、どの程度曲がって載置されているか)を知見する。さらに、知見した基板Aの変形や載置状態に応じて、先に基板Aに露光されている画像と、これから露光する原画像との位置を一致させることができる画像処理条件(原画像の回転量(基板面方向の回転量)および変倍率)を算出し、データ処理部56の処理時間予測部66および画像処理部68(回転・変倍部70)に送る。
次いで、処理時間予測部66が、基板変形算出部90が算出した原画像の回転量、およびメモリ65が記憶している原画像のデータ量を用いて、画像処理部68における画像処理時間を予測する(S108)。
前述のように、LCDパネルを製造する基板Aは、次第に大型化しており(前述のようにG8であれば2200×2400mm)、このような大型の基板に、サブミクロンの解像度で露光を行なうため、たとえ圧縮を行なっていても、原画像のデータ量は、非常に膨大な量となる。近年のマルチコア化されたCPUでは、データ量が多い処理では、演算処理の内容よりも、メモリアクセス量すなわちデータ量が処理時間を左右する。
また、図8で例示したように、原画像を回転すると、1行分の画素において連続的に画素を読み出すことができなくなる点、すなわち非連続点(不連続アドレッシング)となる個所が生じる。このような非連続点は、メモリから読み出しを連続的に行なうことが出来ないので、メモリアクセス量が増加する。このような非連続点は、原画像の回転量が多くなる程、増加し、すなわち、メモリアクセス量が増加する。
すなわち、原画像の回転量およびデータ量と、画像処理時間とは、ほぼ線形の特性を有する関係にある。
そのため原画像の回転量、あるいはさらに圧縮を行なった場合には原画像のデータ量を用いることにより、簡単な演算で、高精度に画像処理の時間を予測できる。
従って、本発明によれば、基板Aの下層に露光された画像と、次いで露光する画像(メモリ65の原画像)との位置を合わせるために画像の回転や変倍を行なうアライメントを行なう場合でも、画像処理に必要な時間を正確に予測して、適正な先行時間(および/または走査速度)を設定することができ、画像処理すなわち露光データの生成と、露光都を並行して行なう際において、画像処理が露光に追いつかずに露光を停止するオーバーランを確実に回避すると共に、先行時間を不要に長くすることも防止して、安全かつ確実に、効率の良い基板Aの露光を行なうことが可能となる。
ここで、前述のように、処理時間予測部66は、RIP52から供給された圧縮率の情報に応じて、走査方向に分割した各領域毎に圧縮率を算出し、最も圧縮率の低い領域を検出している。処理時間予測部66は、この圧縮率の最も低い領域、すなわちデータ量の最も多い領域を基準として、画像処理時間の予測を行なう。言い換えれば、走査方向の圧縮率のローカリティを利用して、画像処理時間の予測を行なう。
原画像の圧縮率は、全域で均一ではなく、当然、場所によって異なる。例えば、前述のG5の基板AにLCDパネルを4×4で配列する場合には、通常、LCDパネル内は、比較的圧縮率が高く、LCDパネルのエッジ部分が、最も圧縮率が低くなる。
ここで、圧縮率を高く見て、すなわち原画像のデータ量を少なく見て画像処理時間を予測すると、圧縮率が低い領域での画像処理に予想外の時間が掛かってしまい、画像処理が間に合わずにオーバーランしてしまう可能性がある。
これに対し、走査方向に所定幅に領域を分割し、その中で、最も圧縮率の悪い領域を基準とし、これに応じて画像処理時間を予測することにより、より確実に、オーバーランを防止できる。
なお、前述のように構成要素を部品として抽出した場合には、レイアウト情報を用いて、各分割領域に位置する部品の圧縮率(データ量)を加味して、圧縮率が最も悪い領域を知見して、画像処理時間の予測を行なう。
処理時間予測部66は、画像処理部68における画像処理時間を予測したら、次いで、移動ステージ62の移動速度すなわち基板Aの走査速度と、予測した処理時間とから、画像処理部68による画像処理を開始した後、露光を開始するまでの時間、すなわち先行時間を算出する(S110)。
先行時間を算出したら、処理時間予測部66は、画像処理部68に画像処理開始の指示を出し、さらに、ステージ移動部62に、先行時間の情報を供給する。
なお、予測した画像処理時間が予め設定された限界時間を超えた場合には(すなわち、先行時間が、予め設定された限界時間を超え、また、走査速度を調整する場合には、走査速度が限界速度を下回った場合には)、処理時間予測部66は、エラー情報をコントローラ64に発し、コントローラ64が処理を中止する。
また、必要に応じて、コントローラ64は、エラー発生、さらに、基板Aを移動ステージ14に置き直す旨の警告を発する。あるいは、基板Aの枚葉を自動で行なう装置であれば、枚葉手段に、枚葉のやり直しを指示してもよい。
画像処理開始の指示を受けた画像処理部68は、メモリ65が記憶している原画像を走査方向の上流側から読み出し、順次、画像処理を行なう(S112)。また、画像処理を開始した旨の情報をステージ移動部62に送る。
画像処理部68では、メモリ65から読み出した原画像に、まず、回転・変倍部70において、前述のようにして、圧縮状態のままで原画像に回転および変倍処理を施して、変形済の原画像を露光データ作成部71に送る。すなわち、基板Aに先に露光されている画像と、これから露光を行なう原画像との位置合わせを行なうためのアライメントを行なって、アライメント済(変形済)の原画像を露光データ作成部71に送る。
露光データ作成部71は、変形された原画像に、各露光ヘッド30に応じた原画像の分割処理、露光ヘッド30のDMD38の各マイクロミラーに応じた画素のマッピング、解凍処理等を行なって、露光ヘッド30での画像露光に対応する露光データとして、露光部58に供給する。
画像処理部68が画像処理を開始した後、先行時間が経過したら、ステージ移動部62において、ステージ移動機構94が走査方向(上流)に向けて所定の走査速度で移動ステージ14の移動を開始し、かつ、基板変形測定部60のカメラ26が、撮影を開始する。
基板12の先端がカメラ26によって検出されると(あるいは、センサによって検出された移動ステージ14の位置から基板12の露光領域の位置が特定されると)、露光が開始される。具体的には、露光ヘッド制御部92から各露光ヘッド30のDMD36に露光データに基づいた制御信号が出力され、露光ヘッド30は、入力された制御信号に基づいてDMD36のマイクロミラーをon/offさせて基板12を露光する(S114)。
なお、露光ヘッド制御部68から各露光ヘッド30へ制御信号が出力される際には、基板12に対する各露光ヘッド30の各位置に対応した制御信号が、移動ステージ14の移動にともなって順次露光ヘッド制御部68から各露光ヘッド30に出力される。
そして、移動ステージ14の移動にともなって順次各露光ヘッド30に制御信号が出力されて露光が行われ、基板12の後端がカメラ12により検出されると露光が終了する。
基板Aの露光が終了して、移動ステージ14が所定の初期位置まで移動したら、ステージ移動機構94が移動ステージ14の移動を停止して、露光済の基板Aが移動ステージ14から排出される(S116)。
前述のように、露光装置10においては、基板変形算出部90が算出した原画像の回転量、および、原画像のデータ量を用いて画像処理部70における画像処理時間を予測し、この予測した画像処理時間から先行時間を設定して、この先行時間だけ露光に対して画像処理の開始を先行させているので、常に、露光データの作成が露光よりも先行しており、すなわちオーバーランを確実に回避することができ、かつ、露光開始を余分に先行させることなく、良好な効率で基板Aの露光を行なうことができる。
以上の例では、基板Aに先に露光された画像と、これから露光する原画像との位置合わせを行なうためのアライメントにおいて、原画像の回転および変倍のみを行なっている。
しかしながら、基板Aは、先に行なわれているプレス工程等で、拡大や縮小のみならず、歪むように変形している場合もある。本発明においては、これに対応して、先に露光された画像と、これから露光する画像との位置を合わせるアライメントにおいて、前述の画像の回転/変倍に加え、原画像を歪ませるように変形してもよい。
このような、歪ませるような原画像の変形方法(画像変形方法)には、特に限定は無く、各種の公知の方法が利用可能であるが、好ましい方法として、本件出願人による、特開2006−309200号公報に開示される方法が例示される。
この方法は、原画像上における露光点(記録光)の軌跡の情報を取得し、この露光点の軌跡の情報に基づいて、露光点の軌跡に対応する複数の画素を原画像から取得することにより、基板Aの歪みに応じて原画像を歪ませて変形させるものである。
このような原画像の変形を行なう際には、カメラ26による基板の撮影によって検出した基準マーク12の位置情報(検出位置情報)に基づいて、実際の露光の際における基板A上の画像上における各マイクロミラー38毎の露光軌跡の情報を取得する。
具体的には、各露光ヘッド30のDMD36の各マイクロミラー38の像が通過する位置を示す通過位置情報を、各マイクロミラー38毎に予め設定しておく。この通過位置情報は、基板12の位置に対する、各露光ヘッド30の位置によって予め設定されているものであり、基準マーク12の位置情報および検出位置情報と同じ点を原点として、ベクトルまたは複数点の座標値で表わされる。
図11に、歪などの変形が生じておらず、基準マーク12が予め設定された基準マーク位置情報12aの示す位置に配置している基板Aと、所定のマイクロミラー38の通過位置情報12bとの関係とを模式図で示す。
次いで、図12(A)に示すように、走査方向に直交する方向について隣接する検出位置情報12cを結ぶ直線と、各マイクロミラー38の通過位置情報12bを表わす直線との交点の座標値を求める。
つまり、図12(A)における×印の点の座標値を求め、さらに、×印とその×印に上記直交する方向に隣接する各検出位置情報12cとの距離を求め、隣接する検出位置情報12cのうちの一方の検出位置情報12cと×印との距離と、他方の検出位置情報12cと×印との距離との比を求める。具体的には、図12(A)におけるa1:b1、a2:b2、a3:b3およびa4:b4が、露光軌跡情報として求められる。すなわち、この比が、変形後の基板A上におけるマイクロミラー38の露光軌跡を表わしている。
ここで、各基準マーク位置情報12aを、基板Aに先に露光された画像(下層)の位置を示すものとして捉えた場合、求めた露光軌跡は、実際の露光の際の基板A上の画像上における記録光の露光軌跡を表わしていることになる。なお、通過位置情報12bが、検出位置情報12cで囲まれる範囲外に位置する場合には、図12(B)に示すように、検出位置情報12cと×印との比を求める。
このようにして求めた記録光の露光軌跡に基づいて、原画像(ラスターデータ)から各マイクロミラー38毎の原画像画素(各画素の画像データ)を取得する。
具体的には、原画像に、図13(A)に示すように、基準マーク位置情報12aが示す位置に対応した位置に配置された原画像基準位置情報12dを付しておき、走査方向に直交する方向に隣接する原画像基準位置情報12dを結ぶ直線を、前記露光軌跡情報の示す比に基づいて分割した点の座標値を求める。すなわち、以下の式を満たすような点の座標値を求める。なお、図13(A)におけるハッチング部分は、露光すべき画像の一例を表している。
a1:b1=A1:B1
a2:b2=A2:B2
a3:b3=A3:B3
a4:b4=A4:B4
このようにして求めた点を結ぶ線(原画像読み出し軌跡または原画像軌跡)上にある原画像の画素e(原画像画素e)が、原画像において、実際にマイクロミラー38の露光軌跡情報に対応した画素である。これに応じて、原画像上において、この直線が通過する点の原画像画素eを、対応するマイクロミラー38が露光する画素として取得する(再サンプリング)。
このような画素の取得を、前述の原画像の回転および変倍処理における再サンプリングに組み合わせることにより、原画像の回転および変倍処理、さらには、原画像を歪ませる変形を一括して行なうことができる。
図13(A)で太線で囲まれた範囲を抽出した図を図13(B)に示す。
具体的には、図13(B)のハッチングされた部分の画素(その画像データ)が取得される。なお、露光軌跡情報の示す比に基づいて分割した点を結んだ直線が、原画像上に存在しない場合には、その直線上の画素は0として取得される。
なお、露光軌跡情報の示す比に基づいて分割した点を結ぶ線は、図示例のように直線でもよいが、図13(C)に示すように、上記点をスプライン補間などによって曲線で結び、その曲線上にある画素を取得するようにしてもよい。
上記のようにスプライン補間などによって曲線で結ぶようにすれば、より基板12の変形に忠実な画素を取得できる。また、上記スプライン補間などの演算方法に基板12の材質の特性(たとえば、特定の方向にしか伸縮しないなど)を反映するようにすれば、さらに、より基板12の変形に忠実な露光点データを取得することができる。
前述のように、露光装置10においては、移動ステージ14への基板Aの枚葉は、手動で行なっても、ロボットなどを利用する枚葉機構を備えて、基板Aの枚葉を自動で行うようにしてもよい。
さらに、露光装置10においては、基板Aの枚葉を適正に行なうことができず、走査方向に対して傾くなど、基板Aが所定位置からズレて移動ステージ14に載置される場合も有る。これに対応して、基板Aの角度変更手段として、移動ステージ14を回転(基板Aの載置面を回転)する回転機構を備え、枚葉が不適正で所定の載置位置に対して曲がっている等、基板Aがズレて移動ステージ14に載置された場合でも、移動ステージ14を回転することにより基板Aの角度を変更して、画像処理での原画像の回転量を低減できるようにするのが好ましい。これにより、回転・変倍部70での画像処理時間を短縮できる。
なお、基板Aのズレ量は、前述のカメラ26による基準マーク12の検出で知見すればよいのは、もちろんである。また、枚葉を自動で行なう枚葉機構を有する場合には、移動ステージ14の回転に変えて(あるいは加えて)、基板Aの枚葉をやり直す再枚葉(基板Aの置き直し)の機能を持たせてもよい。
ここで移動ステージ14を回転することにより、画像処理時間は低減できるが、反面、移動ステージ14を回転する時間等が必要となる。
そのため、露光装置10が、移動ステージ14の回転機構(再枚葉機能)を有する場合には、移動ステージ14を回転して基板Aの角度を調整した場合における処理時間と、回転しないで画像処理を行なった場合における処理時間とを比較し、移動ステージ14を回転した方が処理時間を短く(露光終了を早く)できる場合に、移動ステージ14を回転するようにするのが好ましい。
また、基板Aを移動ステージ14に自動枚葉する枚葉機構を有する場合には、動作モードとして、低速であるが高精度に基板Aの枚葉ができる高精度モード(第1モード)と、精度は低いが短時間で枚葉が可能な高速モード(第2モード)とを有してもよい。
さらに、枚葉機構が、このような高精度モードおよび高速モードを有する場合には、原画像のデータ量(圧縮率)に応じて、データ量が或る閾値よりも大きい(圧縮率が閾値よりも低い)場合には、高精度モードで枚葉を行ない、データ量が或る閾値以下で有る場合には、高速モードで枚葉を行なうように、自動的に枚葉のモードを切り換えるようにしてもよい。
以上の例においては、原画像から露光データを作成して、並行して、実際に基板Aの露光を行なっているが、例えば、サーバ等に多数の原画像を記憶しておき、適宜、読み出して処理を行なうような場合には、画像処理のみを実施して、画像処理に掛かる時間を測定/記憶しておき、実際に基板Aの露光を行なう際に、記憶した画像処理時間に応じて、先行時間あるいは走査速度を決定するようにしてもよい。
以上、本発明の描画方法および描画装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
例えば、以上の例は、本発明を被処理基板(感光材料)の露光によって描画を行なう露光装置(露光方法)に利用した例であるが、本発明は、これに限定はされず、インクジェットヘッドを描画系として用いて描画を行なうインクジェットによる描画、サーマルヘッドを描画系として用いて描画を行なう感熱記録による描画など、走査によって描画を行なう各種の描画方法および描画装置に利用可能である。
本発明を利用する露光装置の一例の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す露光装置の露光スキャナの概略構成を示す斜視図である。 (A)は、図2に示す露光スキャナの露光ヘッドによって基板に形成される露光済み領域の概念的に示す平面図であり、(B)は、各露光ヘッドによる露光エリアの配列を概念的に示す平面図である。 図1に示す露光装置の露光ヘッドにおけるDMDの配置を示す平面模式図である。 図1に示す露光装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 図5に示す制御系の回転・変倍部の概略構成を示すブロック図である。 (A)および(B)は、それぞれ図6に示す回転・変形部の作用を説明するための概念図である。 図7(A)の部分拡大図である。 (A)および(B)は、それぞれ図6に示す回転・変形部の他の作用を説明するための概念図である。 図1に示す露光装置の作用を説明するためのフローチャートである。 図6に示す回転・変形部の他の作用を説明するための概念図である。 (A)および(B)は、それぞれ図6に示す回転・変形部の他の作用を説明するための概念図である。 (A),(B)および(C)は、それぞれ図6に示す回転・変形部の他の作用を説明するための概念図である。
符号の説明
10 露光装置
12 基準マーク
14 移動ステージ
18 設置台
20 ガイド
22 ゲート
24 スキャナ
26 カメラ
30 露光ヘッド
32 露光エリア
34 露光済み領域
36 DMD
38 マイクロミラー
50 データ作成装置
52 RIP
56 データ処理部
58 露光部
60 基板変形測定部
62 ステージ移動部
64 コントローラ
65 メモリ
66 処理時間予測部
68 画像処理部
70 回転・変倍部
71 露光データ作成部
72 変形後ベクトル設定部
74 画素位置情報取得部
76 逆変換演算部
78 原画像ベクトル情報設定部
80 原画像画素取得部
84 変形済画像取得部
90 基板変形算出部
92 露光ヘッド制御部
94 ステージ移動機構
A 基板

Claims (8)

  1. 描画データに応じて被処理基板に描画を行なう描画系と被処理基板とを、所定の走査方向に相対的に移動しつつ、前記描画系によって前記被処理基板に描画を行なうに際し、
    原画像データを取得した後、この原画像データに画像の回転を含む画像処理を施して前記描画データの作成を開始し、その後、所定の時間を経過した後に、前記描画系と被処理基板との相対的な移動を開始して、前記画像処理と前記被処理基板への描画とを並行して行なう共に、
    前記画像の回転量を用いて、前記画像処理に要する時間を予想し、その予測結果に応じて、常に前記描画データの作成が描画に先行するように、前記描画データ作成の開始から相対的な移動の開始までの時間、および、前記相対的な移動速度の少なくとも一方を調整することを特徴とする描画方法。
  2. 前記原画像データが圧縮されたものであり、前記画像処理に要する時間の予想に、この圧縮された原画像データのデータ量も用いる請求項1に記載の描画方法。
  3. 描画データに応じて被処理基板に描画を行なう描画装置であって、
    原画像データを取得して、画像の回転を含む画像処理を行なって、前記描画データを作成するデータ作成部と、
    前記被処理基板を保持する描画ステージと、
    前記データ作成部が作成した描画データに応じて、前記描画ステージに保持された被処理基板に描画を行なう描画系と、
    前記データ作成部が描画データの作成を開始して所定の時間を経過した後に、前記描画ステージと描画系とを所定の走査方向に相対的に移動する走査手段と、
    前記データ作成部での画像の回転量を用いて、前記データ作成部における画像処理の時間を予想し、その予測結果に応じて常に前記画像処理が描画に先行するように、前記描画データ作成開始から前記走査手段による相対的な移動の開始までの時間の調整、および、前記走査手段による移動速度の調整の、少なくとも一方を行なう調整手段とを有することを特徴とする描画装置。
  4. 前記原画像データが圧縮されたものであり、前記調整手段は、前記データ作成部における画像処理の時間の予想に、この圧縮された原画像データのデータ量も用いる請求項3に記載の描画装置。
  5. 前記調整手段は、描画する画像を前記走査方向に分割して、分割した区域毎の原画像データの圧縮率を知見し、最も圧縮率の低い区域のデータ量に応じて、前記データ作成部における画像処理の時間の予想を行なう請求項4に記載の描画装置。
  6. 前記調整手段は、前記描画データ作成開始から前記走査手段による相対的な移動の開始までの時間を調整した場合と、前記走査手段による移動速度を調整した場合とにおける、前記描画終了までの時間を予測し、この予測時間が短い方を調整する請求項3〜5のいずれかに記載の描画装置。
  7. さらに、前記描画ステージ上における被処理基板の位置ズレ量を計測する手段と、前記描画ステージが保持した被処理基板の角度を変更する角度変更手段とを有し、
    前記角度変更手段が被処理基板の角度変更を行なった場合と行なわない場合とで、角度変更を行なった方が描画終了までの時間が短い場合に、前記角度調整手段による角度調整を行なう請求項3〜6のいずれかに記載の描画装置。
  8. さらに、高速であるが被処理基板の位置精度が低い第1モード、および、低速であるが被処理基板の位置精度が高い第2モードの2つのモードが設定された、前記被処理基板を前記描画ステージの所定位置に供給する枚葉機構を有し、
    かつ、この枚葉機構は、前記圧縮された原画像データのデータ量に応じて、このデータ量が所定量以下の場合には、前記第1モードで被処理基板を描画ステージに供給し、このデータ量が前記所定量を超える場合には、前記第2モードで被処理基板を描画ステージに供給する請求項4〜7のいずれかに記載の描画装置。
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