図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の右側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行う。
リール制御手段1300は、停止操作に基づきステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。具体的には、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットされ(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
図4は、スロットマシンのステッピングモータの駆動回路のブロック図である。この図では、説明を簡単にするために2相のモータを示しているが、4相の場合でも同様である。なお、図4では、各リールの位置を検出するためのインデックスなど要素は省略している。
同図において、1310−1はステッピングモータ203M−1のコイル203(A相のコイル)A−1とコイル(B相のコイル)203B−1のオンオフ(電流を流すかどうか)を切り替える駆動回路である。1320−1は、駆動回路1310−1の出力に従いコイル203A−1と203B−1へ電流を流す励磁回路である。
ステッピングモータ203M−2及び−3はステッピングモータ203M−1と同じ構成を持つが、図面の簡略化のために、ステッピングモータ203M−2及び−3については、それぞれに内部に設けられているロータやA相のコイル、B相のコイルの表示は省略している。言い換えれば、図示しないが、ステッピングモータ203M−2及び−3は、ステッピングモータ203M−1と同様にロータやA相のコイル、B相のコイルを備えている。
駆動回路1301−2及び−3は、駆動回路130−1と同じものである。励磁回路1320−2及び−3は、励磁回路1320−1と同じものである。
コイル203A−1〜3はA相のコイルであり、Aと/Aの2種類のコイルを含む。各相は、A端子と/A端子の他に共通端子COMを含むが、その図示は省略している。コイル203B−1〜3はB相のコイルであり、Bと/Bの2種類のコイルを含む。A相のコイルとB相のコイルは、例えば、A,B、/A、/B、・・・のように交互に配置されている。A→B→・・・の順に励磁するとモータは正回転し、B→A→・・・の順に励磁すると逆回転を行う。各相の励磁を切り替える間隔を短くすればモータは速く回り、間隔を長くすると遅く回る。ここで励磁する相を切り替えずに同じステータに電流を流し続けると、ロータが同じステータの位置に固定され、モータが現在の位置を保持しつづけることになる。
図5は、スロットマシンのステッピングモータの駆動方法の説明図である。同図は一−二相励磁の例を示している。同図の表の○はコイルに電流を流していることを示す。同図の表のステップ1、2、・・・、8の順番でコイルに電流を流すとモータは回転し、逆の順番にするとモータは逆回転する。
リールを所望の位置に停止させる際は、所望の位置になった時点あるいはその直前で電流を流すコイルの切替を停止する。これでリールは停止するが、前述のように、二相に電流を流すことで一相励磁の約2倍の出力トルクが得られるから、停止位置を確実に保持するために二相に電流を流す。多相の場合は全ての相(コイル)に電流を流すとよいが、全ての相の2以上の相に電流を流しても、停止位置を確実に保持する点で一定の効果を奏する。以下、多数の相を備える場合においてその2以上の相に電流を流すことを全相励磁と呼ぶ(3つ以上の相を備えるときに2以上の相に電流を流しているときは、一部の相に電流を流していなくても「全」相励磁と呼ぶことにする)。図8〜図10で全相励磁のタイミングが示されている。全相励磁では、多くのコイルに電流を流すので、ステッピングモータの消費電流は最大になる。リール停止後、一定時間はステッピングモータに電流が流され続けている点に注意されたい(図8〜図10参照)。
なお、1相のみに電流を流しているのであれば、消費電流は最大にはならない。この状態では、メイン基板などに悪影響を与えないこともある。しかし、この場合でも、後述の図6及び図7の処理を適用するようにしてもよい。言い換えれば、図6及び図7の処理は、全相励磁だけでなく、ステッピングモータの固定子の少なくとも一部が励磁されているときにも適用できる。
リール制御手段1300の制御について、さらに説明を加える。
リールを1回転(ステッピングモータの軸を1回転)させるためには多数のパルス(例えば504パルス)が必要である。リールの表面には、21個の図柄が均等に縦1列となるように配されているので、リールを図柄1個分回転させるためには、24パルスが必要である。その為、ある適正停止位置から、連続する次の適正停止位置までリールを回転させる為には24パルスの出力が必要になる。
遊技者によるスタートスイッチ134の操作があると、まず175ミリ秒経過するまで待機する。そして、175ミリ秒が経過したら、前回の遊技が終了してから4.1秒が経過しているか否かを判断する。スタートスイッチ134の操作から175ミリ秒が経過し、かつ前回の遊技が終了してから4.1秒が経過している条件を満たす場合に、リールの回転を全て同時に開始させるように、ステッピングモータ203M−1〜3へパルスを出力する。
次に、各リールについて、回転速度を徐々に速くする為に、加速処理を行う。この加速処理により、各リールが750ミリ秒で1回転する速度に達すると、加速処理を終了させる。そして、各リールを750ミリ秒で1回転する速度で回転させ続けるために、1パルスが出力される間隔が一定(約1.5ミリ秒)の定速処理が行われる。
インデックス信号とは、各リールに設けられたセンサ遮光片(図示せず)が、各リールに近接して設けられたフォトセンサ(図示せず)を通過したことを示す信号である。インデックス信号が出力されるときのリールの位置が基準位置とされる。
次に停止制御について述べる。
停止制御では、内部抽選手段1200の抽選結果と、各ストップスイッチ140が操作されて停止信号が出力されたときの各リールの回転タイミング位置とに基づいて、各リールが適正停止位置で停止するように滑りコマ数を決定し、各リールを決定された滑りコマ数に応じて回転させるとともに、適正停止位置に到達したとき全相励磁を行い、各リールを停止させる。
「滑りコマ数」とは、停止信号が出力されてから、対応するリールが適正停止位置で停止するまでに回転移動する図柄の数をいう。滑りコマ数は、予め定められた「停止テーブル」により決定される。この停止テーブルは、停止信号が出力されたときの各リールの基準位置からの回転量の状態に応じて直ぐに停止させるか、又は滑らせるかの停止位置を決定する為のものであり、出力された停止信号のタイミングを起点に各リールの停止時における滑りコマ数を予め定めたものである。
例えば、抽選結果が「ハズレ」になると、複数の停止テーブルの中から、ハズレ用の停止テーブルが選択され、例えば、抽選結果が「当選」になると、複数の停止テーブルの中から、当選用の停止テーブルが選択され、停止信号が出力されたときのリールの回転タイミング位置に基づいた滑りコマ数が設定される。
図6は、発明の実施の形態に係る遊技機のストップスイッチ140の押下(停止操作)を可能にするか又は不可能にするかのいずれかに設定するための処理フローチャートである。ストップスイッチ140は、リールの回転開始後において所定条件を満たした場合(具体的には、3つのリール全てについてインデックスを検知したとき)、有効となる(停止操作可能となる)が、3つのストップスイッチ140のいずれかを押下したときは、その後一定時間は無効となる(停止操作は不可能となる)。図6は後者の処理を示したものであり、前者の処理の表示は省略している。
遊技者は、3つのストップスイッチ140を任意の順番で押下することができる。押下された順番に第1停止、第2停止、第3停止と呼ぶことにする。3つのリールのうち、第1停止に係るストップスイッチ140に対応するものが第1停止に係るリールとなる。第2停止、第3停止についても同様である。1回の遊技においては、第1停止〜第3停止に係る3つのリールと3つのストップスイッチの関係は固定であるが、それらの関係は遊技毎に変動する。以下の説明においては、もっぱら1回の遊技における処理について述べる。
図6の処理は、第1停止〜第3停止の全てについて適用される。
S1:ストップスイッチが押下されたかどうか判定する。
3つのストップスイッチ140の出力信号に基づき、それらのいずれかが押下されたかどうか判定する。
S2:停止操作を不可とする。
任意のひとつのストップスイッチ140押下後は(S1でYES)、一定時間(約200ミリ秒)は他のストップスイッチ140による停止操作を不可とする。具体的には、リール制御手段1300は、他のストップスイッチ140からの信号を受けてもこれを無視する。あるいは、ストップスイッチ140からの配線をオフにする。このとき、ストップスイッチ140に内蔵されている照明(LED)を消灯させてもよい。
S3:タイマーを起動する。
タイマーはソフトウエアで実現されるもの、例えばメイン基板10のCPUが所定のプログラムを実行することで実現されるものであるか、あるいは専用のタイマーICなどである。
S4:所定時間経過したかどうか判定する。
予め定められた一定時間(約200ミリ秒)を計時し、少なくとも、その間は停止操作を不可とする(S4でNO)。一定時間経過したら(S4でYES)、S5以降の処理を実行する。
S5:第1停止及び第2停止が既になされたかどうか判定する。
第1停止及び第2停止に係るストップスイッチ140に係る操作がなされたかどうか判定する。第1停止及び第2停止がまだなされていないとき、例えば、今回の停止操作が最初であるとき、S5でNOとなり、S9の処理に進む。
第1停止及び第2停止が既になされているとき、S5でYESとなる。
なお、3つのリール全部について全相励磁であることを問題にするときは、図6に示すように第1停止及び第2停止の両方がなされていることを判定するが、他の任意のひとつのリールについて全相励磁であることを問題にするときは、言い換えれば同時に2相励磁になることを問題にするときは、第1停止又は第2停止のいずれか一方がなされていることを判定するようにすればよい。後者の場合、S6で第1停止又は第2停止に係るモータの駆動状態を調べ、S7及びS8のいずれかで全相励磁(YES)のときにループを繰り返すようにすればよい。
S6:第1停止及び第2停止に係るモータの駆動状態を調べる。
リール制御手段1300は、図4の駆動回路1310−1〜1310−3に対し指令信号を送っているから、当該指令信号が何であるかを調べることで各モータの駆動状態を調べることができる。
S7:第1停止に係るモータが全相励磁であるかどうか判定する。
全相励磁であるとき(YES)、S8に進む。
全相励磁でないとき、3つのモータが同時に全相励磁にはならないから、電流を過大に消費するという問題は生じないので、S9に進みストップスイッチ140の操作を可能とする。
S8:第2停止に係るモータが全相励磁であるかどうか判定する。
全相励磁であるとき(YES)、S7に戻る。そして、第1停止及び第2停止に係るモータがいずれも全相励磁である限り、S7とS8の処理を繰り返す(ループする)。言い換えれば、S9に進むことはなく、ストップスイッチ140の操作は不可能のままである。
全相励磁でないとき、3つのモータが同時に全相励磁にはならないから、電流を過大に消費するという問題は生じないので、S9に進みストップスイッチ140の操作を可能とする。
図7は停止に係る処理フローチャートである。第1停止〜第3停止に係る処理は共通である。なお、図7は本願発明の実施の形態に係る遊技機の動作を説明するために必要な処理のみを示しており、例えば入賞判定・メダルの払い出しなどの処理の表示は省略している。
S10:ストップスイッチ140の操作が可能かどうか判断する。
具体的には、図6のS2からS5でYES、S7でYES、かつ、S8でYESである間(S9の直前までの間)が、ストップスイッチ140の操作が不可能である期間である。これに対し、図6のS9以降の期間がストップスイッチ140の操作が可能である期間である。
なお、図6の処理でストップスイッチ140の操作が可能/不可能を識別するためのフラグを用いるようにしてもよい。例えば、メモリに操作可/不可フラグを用意しておき、図6のS2で当該フラグをクリアし、同図のS9で当該フラグをセットするようにする。この例では、当該フラグがセットされていれば、図7のS10でYESとなる。
S11:ストップスイッチ140の操作が不可能(S10でNO)であれば、当該ストップスイッチの信号を受け付けない。
例えば、メイン基板10のCPUが、ストップスイッチ140の信号を読みに行くプログラムを実行しない、たとえ当該信号を読み込んだとしてもそれを無視(消去)する。あるいは、ストップスイッチ140から信号を出力しないようにするスイッチを設ける、又は出力された信号を切断するスイッチ(ストップスイッチ140からの信号がメイン基板10に伝播しないようにするスイッチ)を設けるなど、ハードウエア的にストップスイッチ140を無効にする。
S12:ストップスイッチ140の信号を受け付ける。
S13:ストップスイッチ140が押下されたかどうか判定する。
S14:ストップスイッチ140が押下されたら(S13でYES)、滑り制御を行い、対応するリールを停止させる。この処理は公知であるので、その説明は省略する。
次に、図8〜図10のタイミングチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る遊技機の動作について説明を加える。
図8は、3つのリールの全相励磁が重ならないケースを示す。
同図において、時刻t1で3つのリール全ての回転が同時開始し、時刻t2で所定回転速度に達し、以後一定速度で回転する。そして、時刻t3で3つのリール全てについてインデックスを検出する。これにより、リール制御手段1300は各リールの回転位置を把握できるので、これ以降に各リールの停止操作が可能となる。時刻t3でストップスイッチ140が操作可能となる。
時刻t4において、任意のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第1停止に係るリールとなる)。第1停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs1である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz1である。
他方、時刻t4においてストップスイッチ140の操作が不可能になる。そしてこの状態が期間TAだけ継続する。その後、再びストップスイッチ140の操作が可能になる(時刻t41)。これは、図6のS1でYESとなり、S2とS3を実行し、S4でYES、S5でYES、S6を実行し、S7でYES、S8でNOとなり、S9を実行する、ことに相当する。なお、図6のS3のタイマーで計測する時間はTAである。
次に、時刻t5において、他のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第2停止に係るリールとなる)。第2停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs2である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz2である。
他方、時刻t5においてストップスイッチ140の操作が再度不可能になる。そしてこの状態が期間TAだけ継続する。その後、再びストップスイッチ140の操作が可能になる(時刻t51)。これは、図6のS1でYESとなり、S2とS3を実行し、S4でYES、S5でYES、S6を実行し、S7でNOとなり、S9を実行する、ことに相当する。
次に、時刻t6において、他のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第3停止に係るリールとなる)。第3停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs3である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz3である。時刻t6以降はストップスイッチ140の操作はずっと不可能のままである。
なお、滑り時間Ts1〜Ts3はストップスイッチの操作タイミング毎に変化し、概ね1.5ミリ秒〜180ミリ秒の範囲にある。また、全相励磁の時間Tz1〜Tz3は同じであり、概ね250ミリ秒である。また、タイマーで計測する時間TAは概ね200ミリ秒である。TAが短いほどストップスイッチ140の押下間隔を短くできるが、反面、全相励磁の重なる可能性が高まる。
図9は、3つのリールの全相励磁が重ならないように、図6の処理で対応したケースを示す。
同図において、時刻t1で3つのリール全ての回転が同時開始し、時刻t2で所定回転速度に達し、以後一定速度で回転する。そして、時刻t3で3つのリール全てについてインデックスを検出する。これにより、リール制御手段1300は各リールの回転位置を把握できるので、これ以降に各リールの停止操作が可能となる。時刻t3でストップスイッチ140が操作可能となる。
時刻t4において、任意のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第1停止に係るリールとなる)。第1停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs1である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz1である。
他方、時刻t4においてストップスイッチ140の操作が不可能になる。そしてこの状態が期間TAだけ継続する。その後、再びストップスイッチ140の操作が可能になる(時刻t41)。これは、図6のS1でYESとなり、S2とS3を実行し、S4でYES、S5でYES、S6を実行し、S7でNOとなり(図9では第1停止のリールの滑りTs1が長くなっていて、タイマーによるタイムアウトの時点t41で当該リールのモータは全相励磁とはなっていない)、S9を実行する、ことに相当する。
次に、時刻t5において、他のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第2停止に係るリールとなる)。第2停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs2である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz2である。
他方、時刻t5においてストップスイッチ140の操作が再度不可能になる。そしてこの状態が期間TBだけ継続する。その後、再びストップスイッチ140の操作が可能になる(時刻t51’)。これは、図6のS1でYESとなり、S2とS3を実行し、S4でYES、S5でYES、S6を実行し、図9の時刻t50とt51’の間TzzにおいてS7及びS8でYESとなるが、時刻t51’以降においてはS7でNOとなり、S9を実行する、ことに相当する。S7及びS8により、第1停止と第2停止のリールの全相励磁の重複期間Tzzの間においてストップスイッチ140の操作を不可能にしている。
次に、時刻t6’において、他のひとつのストップスイッチ140が押下される(これに対応するリールが第3停止に係るリールとなる)。第3停止に係るリールは、所定の滑りの後に停止する。滑りの期間はTs3である。当該リールが停止した時点で全相励磁が行われる。全相励磁の期間はTz3である。
図9において点線で示しているものは、図8におけるタイミングチャートである。両図を対比することで容易にわかるように、TB=TA+ΔT、ΔT=t51’−t51である。ΔTは、ストップスイッチ操作不可延長時間とでも呼ぶべきものである。
図6の処理により、図9のようにストップスイッチ操作不可期間が延長されるので、3つのリール全てについてそれらのモータの全相励磁が重なることがない。したがって、モータで電流を過度に消費することがなくなる。これにより、メイン基板やサブ基板に与える影響を軽減するとともに、電源部への負担を軽減することができる。
図10は、図9の比較例である。図9は従来の遊技機が実行する処理(図6のS5〜S8を備えない処理)に相当する。
図10では、ストップスイッチ操作不可延長時間ΔTが存在しないので、時刻t51においてストップスイッチ140の押下が可能となる。その直後のt6でストップスイッチ140が押下され、第3停止に係るリールが短時間(例えば最小の滑り時間)で停止したとすると、その直後から第1停止又は第2停止に係るリールの全相励磁が解除される時刻(Tz1又はTz2の経過後)までの間(符号Txx)において、3つのモータ全部が全相励磁となる。この期間Txxにおいて過度の電流が消費される。このため電源電圧が降下してメイン基板やサブ基板に悪影響が生じるおそれがある(ICの印加電圧が定格値を下回りその動作が不安定になったり、リセットICでリセット信号は発生して処理が初期化されるなど)。
これに対し、図9によれば、ストップスイッチ操作不可延長時間ΔTが存在するので、上記のような問題は生じない。
図6の処理では、第1停止及び第2停止に係るリールのモータの駆動状況を調べ、それが継続している限り、ストップスイッチ140の操作を不可能にしていた。これは励磁状態の監視処理を何度も繰り返すというものである(図6のS7及びS8をループしていた)。他の処理例を図11に示す。
図11は、第1停止及び第2停止に係るリールのモータのいずれもが全相励磁のとき、タイマーを起動し(S20)、それがタイムアウトしてから(S21でYES)、ストップスイッチ140の操作を可能にするというものである。図11の処理は、ストップスイッチ操作不可時間TAを予め定められたストップスイッチ操作不可延長時間ΔTだけ延長する処理と言える。なお、図6の処理においてはΔTは結果として遊技毎に変動したが、図11の処理においてはΔTは一定である。
ストップスイッチ操作不可延長時間ΔTとして、次のような時間を採用することができる。
3つのリールのモータ全てについて全相励磁になるというケースは、図8からもわかるように、常に存在するわけではない。むしろ、図10は例外的なケースである。図10のケースは次の条件が満たされたときに生じる。
・第1停止の滑りが最長
・ストップスイッチ操作可能になってすぐに第2停止が行われる。
・ストップスイッチ操作可能になってすぐに第3停止が行われ、かつ、第3停止の滑りが最短
次に、上記最悪のケースにおいて、どの程度で3つのリールのモータ全てについて全相励磁が重なるか計算する。以下の例において、第1停止操作のタイミングt4を基準とする。
(1)時刻t4から第1停止に係るリールのモータの全相励磁の終了までの時間は、(Ts1の最大値)+(全相励磁の期間)=182.51ミリ秒+248.336ミリ秒=430.846ミリ秒、である。t4+430.846ミリ秒=t51’である。
(2)時刻t4から第3停止に係るリールのモータの全相励磁の開始までの時間は、(期間TA)+(期間TA)+(滑りTs3の最小値)=203.456ミリ秒+203.456ミリ秒+1.496ミリ秒=408.408ミリ秒、である。t4+408.408ミリ秒=図10のt7である。ただし、t5−t41=0、t6−t51=0とする。
上記(2)から(1)までの時間において、3つのリールのモータ全てについて全相励磁が重なる。この時間は、(1)−(2)=22.438ミリ秒、である。
ストップスイッチ操作不可延長時間ΔTとして、(1)−(2)=22.438ミリ秒≒23ミリ秒、を採用すればよい。
なお、上記議論から分かるように、第3停止の滑りが、最短よりも上記(1)−(2)=23ミリ秒よりも長くなるときは、ストップスイッチ操作不可時間を延長しなくてもよい。また、上記(1)−(2)が負になる場合もストップスイッチ操作不可時間を延長しなくてもよい。上記(2)から分かるように、期間TAがある程度大きければ、3つのリールのモータ全てについて全相励磁が重なることがなくなる。例えば、期間TA=220ミリ秒であれば、(1)−(2)<0である。本発明の実施の形態に係る技術は、ストップスイッチ140の連続操作可能な時間間隔を短くする場合に有意義である。
なお、いずれか2つのリールのモータの全相励磁が重なる条件についても検討する。
(3)時刻t4から第1停止に係るリールのモータの全相励磁の終了までの時間は、(Ts1の最大値)+(全相励磁の期間)=182.51ミリ秒+248.336ミリ秒=430.846ミリ秒、である。
(4)時刻t4から第2停止に係るリールのモータの全相励磁の開始までの時間は、(期間TA)+(滑りTs2の最小値)=203.456ミリ秒+1.496ミリ秒=204.952ミリ秒、である。
上記(4)から(3)までの時間において、2つのリールのモータについて全相励磁が重なり得る。この時間は、(4)−(3)=225.894ミリ秒、である。
この場合、ストップスイッチ操作不可延長時間ΔTとして、上記(4)−(3)を採用することで、言い換えれば、期間TAに上記(4)−(3)に加えたものを新たなインターバルTBとすることで、任意の2つのステッピングモータの組み合わせに関して全相励磁が重なることはなくなる。
なお、図6において、所定の条件(S7又はS8でNO)のときに停止操作可能(S9)としていたが、停止操作自体は受け付け、それを前記所定の条件を満たしたときに有効とするようにしてもよい。このやり方では、ストップスイッチ140は任意のタイミングで操作できるが、前記所定の条件を満たしたときにそれが有効とされ、リール制御手段1300によりリールの停止操作が開始されるようになる。この処理は、いわば停止操作(ストップスイッチ140の信号)を上記ΔTだけ遅延させることに相当する。この処理によれば、停止操作自体は有効なので、遊技者は停止操作を繰り返す必要がない。図6の例では、停止操作が無視されたときは、遊技者は再度停止操作を行う必要がある。
発明の実施の形態によれば、複数のステッピングモータを同時に全相励磁することがないので、電源部に負担をかけることがなくなる。したがって、電源電圧の低下(電圧降下)が生じてメイン基板やサブ基板に悪影響を与えることがなくなり、遊技機を安定して動作させることができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。