図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(回胴40a〜回胴40c)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132のやや下側、イジェクトボタン133の裏面付近に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと(図4参照)、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
後述のように(図5及びその説明参照)、リールユニット203は、インデックス160と、これを検知するインデックスセンサ(インデックスセンサ:フォトインタラプタ)159とを備えており、回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度を求める(ステップモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップボタン140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
図4は、リールユニット203を示す斜視図である。
各回転リール(回胴)40a〜40cがリールユニット203の主要部である。各回転リール(回胴)40a〜40cは、フレーム151にブラケット152を介して取り付けられている。各回転リール(回胴)40a〜40cはそれぞれドラム153の外周に帯154が貼られたものである。帯154の外周面には21個の図柄(図示せず)が描かれている。また、各ブラケット152にはステッピングモータ155が設けられており、各回転リール(回胴)40a〜40cはこれらステッピングモータ155a〜155cで駆動されて回転する。
図5(a)は、回胴40a〜40cの構造を示す斜視図である。
帯154の背後のドラム153内部にはランプケース156が設けられており、このランプケース156の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ157a、157b、157cが取り付けられている。これらバックランプ157a〜157cは図5(b)に示すように基板158に実装されており、この基板158がランプケース156の背面側に取り付けられている。また、ブラケット152にはフォトインタラプタ(インデックスセンサ)159が取り付けられている。フォトインタラプタとは、1つのケースの中に発光素子(発光ダイオードなど)と受光素子(フォトトランジスタ、フォトダイオードなど)を対向配置し、その間に検出用の溝を設け、当該検出溝間を物体が通過したことを非接触で検知するものである。このフォトインタラプタ159は、ドラム153に設けられたインデックス(遮蔽板)160がドラム153の回転に伴ってフォトインタラプタ159を通過するのを検出する。
各バックランプ157a〜157cは図示しないランプ駆動回路によって個別に点灯制御される。各バックランプ157a〜157cの点灯により、帯154に描かれた図柄のうち、各バックランプ157の前部に位置する3個の図柄が背後から個別に照らし出され、図柄表示窓131にそれぞれ3個ずつの図柄が映し出される。
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a〜40cを使用することにする。
次に、遊技機筐体へのリールユニット203の具体的取付態様について説明を加える。
図6(a)はリールユニット203の正面図、図6(b)は同左側面図である。
図6(a)に示すように、各リール(回胴)40a〜40cは回転リール(回胴)ユニットとして構成されており、フレーム151に図示しないブラケットなどを介して取り付けられている。また、各リール40a〜40cにはステッピングモータ155が設けられており、各リール(回胴)40a〜40cはこれらモータ155で駆動されて回転する。
遊技機正面から見てフレーム151の下面の前面側の端部は図6中下方に向けてL字型に小さく折り曲げられており、その部分の両端にはリールユニット203の固定穴が設けられている。ここにネジ161bを挿入して、遊技機のフレームに連結された略水平の下側バー161のネジ穴にしっかりと締め付けることにより、リールユニット203は遊技機の内部に固定される。図6において、下側バー161と遊技機のフレーム(図示せず)の結合状態は示していないが、下側バー161の端部161aはそれぞれ遊技機筐体のフレームにしっかりと結合されている。
また、図6においては、リールユニット203の前面側の上端部にも同様に上側バー162が設けられており、フレーム151の背面上部の両端に設けられた固定穴にそれぞれネジ162bを挿入して上側バー162のネジ穴にしっかりと締め付けることにより、リールユニット203は遊技機の内部に固定される。図6において、上側バー162と遊技機のフレーム(図示せず)の結合状態は示していないが、上側バー162の端部162aはそれぞれ遊技機のフレームにしっかりと結合されている。
すなわち、図6によれば、リールユニット203はその前面の上端及び下端の両方で固定されている。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する回胴40a〜回胴40cの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、回胴40a〜回胴40cの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされる。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップボタン140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
回胴制御手段1300は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、回胴40a〜回胴40cをステッピングモータにより回転駆動させ、回胴40a〜回胴40cの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている回胴40a〜回胴40cを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
回胴制御手段1300は、各回胴を上記所定速度(約80rpm)で回転させるとき(定常回転)には所定の速度(例えば668pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えている。また、脱調現象を回避するために起動時において加速シーケンスを行うが、これは、定常回転シーケンスの励磁パターンの切換速度よりも低い速度(例えば、222ppsや167pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えている。この後、所定の速度(例えば668pps)で励磁パターンを切り換えて生成した駆動信号をステッピングモータに与えるようにしている。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、回胴40a〜回胴40cの各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、回胴40a〜回胴40cのうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた回胴40a〜回胴40cの停止位置を決定し、決定された停止位置で回胴40a〜回胴40cを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における回胴40a〜回胴40cの位置(押下検出位置)と、回胴40a〜回胴40cの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、回胴40a〜回胴40cの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサを備えており、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように回胴40a〜回胴40cを停止させる制御を行っている。
遊技機では、回胴40a〜回胴40cが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、回胴40a〜回胴40cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、回胴40a〜回胴40cの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
上述のように、リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備え、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
また、ステッピングモータには、ユニポーラ型とバイポーラ型がある。
ユニポーラ型とは、センタタップの設けられた巻線を備えるもので、ひとつの巻線に対し常に一定方向に電流を流す方式(ユニポーラ駆動)に適するものである。この駆動方式は、駆動回路がシンプルになるというメリットがあるが、反面、巻線の利用効率が悪く(下記のバイポーラ駆動に対して1/2)、低速回転時の出力トルクが低くなるというデメリットがある。
バイポーラ型とは、センタタップのない通常の巻線を備え、ひとつの巻線に対し双方向に電流を流す方式(バイポーラ駆動)に適するものである。この駆動方式は、駆動回路が複雑になるというデメリットがあるが、巻線の利用効率がよく、低速回転時の出力トルクは高くなるというメリットがある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンでは、例えば、2相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
図7は、スロットマシンのステッピングモータの駆動回路のブロック図である。なお、図7では、各回胴の位置を検出するためのインデックスなど要素は省略している。
同図において、1310−1〜3はステッピングモータ155a〜155cのコイル155(A相のコイル)A−1〜3とコイル(B相のコイル)155B−1〜3のオンオフ(電流を流すかどうか)を切り替える駆動回路である。1320−1〜3は、駆動回路1310−1〜3の出力に従いコイル155A−1〜3と155B−1〜3へ電流を流す励磁回路である。なお、コイル155A−2、3と155B−2、3の表示は省略している。
駆動回路1310−1〜3及び励磁回路1320−1〜3は、回胴制御手段1300に含まれる。
コイル155A−1〜3はA相のコイルであり、Aと/Aの2種類のコイルを含むユニポーラ型である。各相は、A端子と/A端子の他に共通端子COMを含むが、その図示は省略している。なお、バイポーラ型を使用することもできる。バイポーラ型の場合は、/AではAと逆方向に電流を流すようにする。/Bについても同様である。
コイル155B−1〜3はB相のコイルであり、Bと/Bの2種類のコイルを含む。A相のコイルとB相のコイルは、例えば、A、B、/A、/B、・・・のように交互に配置されている。A→B→・・・の順に励磁するとモータは正回転し、B→A→・・・の順に励磁すると逆回転を行う。各相の励磁を切り替える間隔を短くすればモータは速く回り、間隔を長くすると遅く回る。ここで励磁する相を切り替えずに同じステータに電流を流し続けると、ロータが同じステータの位置に固定され、モータが現在の位置を保持しつづけることになる。
図8は、スロットマシンのステッピングモータの駆動方法の説明図である。同図は一−二相励磁の例を示している。同図の表の○はコイルに電流を流していることを示す。同図の表のステップ1、2、・・・、8の順番でコイルに電流を流すとモータは回転し、逆の順番にするとモータは逆回転する。
図9は、発明の実施の形態に係る遊技機において、停止の際に行われる減速シーケンスを示す。減速シーケンスとは、減速の際に行われる一連の励磁パターンのことである(例えば図9の符号オ乃至キ)。図9では、上から下へ向かって時間順に励磁パターンを並べている。符号アが前であり、符号クが後(最後)である。符号アの前においても1相励磁と2相励磁が繰り返されてモータ155は定常回転しているが、その表示は省略している。
このシーケンスは、遊技者の興趣を高めるためにバウンドストップ(停止位置の前後で回胴が揺れる現象)を生じさせ、回胴の停止態様を通常とは異なるもの(通常の停止態様とは、全相励磁による停止であり、揺れながら停止することのないもの)とするためのものである。このシーケンスは、予め定められた特定の役に入賞した(例えばボーナスに入賞した)ときなどに選択される。図9によれば、回胴の定常回転時は前述のように一定周波数(668pps)で1相励磁と2相励磁を繰り返しているが、回胴を停止させる際は、2度の3相励磁を行うようにしている。図9によれば、減速がスムーズに行われ、回胴はバウンドストップしつつ綺麗に停止する。しかも、他の回胴との図柄のズレはほとんど生じない。
符号ア〜エは、定常回転のシーケンスを示す。符号エにおいて回胴が所定の停止図柄に到達したものとする。符号エでは2相励磁を行っている。
符号オ〜クは、減速シーケンスを示す。符号オの3相励磁は回胴を順方向(定常回転時の回転方向と同じ方向)へ回転させるように作用し、符号カの3相励磁は回胴を逆方向へ回転させるように作用する。符号キは、回胴を図柄停止位置に止めるように作用する(その保持力は3相励磁あるいは2相励磁に比べて小さい)。符号クは、回胴に力を加えることなくその動きを自然に減衰させるように作用する(回胴はやがて停止する)。
図10は、図9の励磁パターンを、モータ155のコイルA、B、/A、/Bに対応付けたものである。図10の○印は当該コイルに電流が流れていることを示す。図10の符号エ〜クは、図9の同符号に対応している。
図10(a)の符号エは、コイル/Aと/Bの両方を励磁しているときに停止図柄に到達した場合を示す。同様に、図10(b)、(c)、(d)の符号エは、それぞれコイルA、/B、A、B、コイル/A、Bを励磁しているときに停止図柄に到達した場合を示す。
符号オで3相励磁を行う。図10(a)ではA、/A、/Bを、図10(b)ではA、B、/Bを、図10(c)ではA、B、/Aを、図10(d)ではB、/A、/Bを励磁する。
符号カで、符号オとは異なるコイルに電流を流して減速させる。図10(a)ではB、/A、/Bを、図10(b)ではA、/A、/Bを、図10(c)ではA、B、/Bを、図10(d)ではA、B、/Aを励磁する。符号カで励磁されているコイルは、符号オの場合と比較して順方向の回転(A、B、/A、/Bの順番)とは逆方向のものである。図10(a)を例にとると、符号オのA、/A、/Bの次にA、B、/Bと選択されれば順方向と言えるが、同図の符号カではB、/A、/Bとなっているので逆方向になっている。このように、符号カでは回胴を逆回転方向へ駆動するような励磁パターンとなる。
回胴を図柄停止位置に止めるようにするために、符号キで、停止図柄に到達したときに励磁されていた2つのコイルのうち、順方向側のコイルに電流を流す。図10(a)では/Bを、図10(b)ではAを、図10(c)ではBを、図10(d)では/Aを励磁する。
図11は、図10の励磁パターンを、停止図柄に到達したコイルを基準として書きなおしたものである。停止図柄に到達したコイルを基準とすれば、図10(a)〜(d)は図11のようなひとつのパターンとして記述できる。第1巻線乃至第4巻線は、回転子の回転方向に沿って順番に配置されているものとする(ただし、前記第1巻線と前記第2巻線は前記回胴を停止させるべき所定の位置に到達したときに励磁されていたものとする)。回転子が回転していくと、順番に第4巻線、第3巻線、第2巻線、第1巻線の位置に到達する。
図11においても、符号エにおいて停止図柄に到達したものとする。このときに励磁されているコイルを第1巻線と第2巻線と定める。これらの相対的位置関係は、第1巻線が順方向側に位置し、第2巻線が順方向とは反対方向に位置しているものとする(図10(a)の例ではコイル/Bが第1巻線に相当し、コイル/Aが第2巻線に相当する)。
また、上述のように、第2巻線の隣に位置する巻線であって順方向とは反対方向に位置しているものを第3巻線とし、第1巻線の隣(第1巻線と第3巻線の間)に位置する巻線を第4巻線とする(図10(a)の例ではコイルBが第3巻線に相当し、コイルAが第4巻線に相当する)。
そして、回胴制御手段1300は次の減速シーケンスを実行する。
(符号オ)第1巻線、第2巻線、第4巻線を1.496ms(第1時間)励磁する第1ステップ
符号オは回胴を順方向(定常回転時の回転方向と同じ方向)へ回転させるように作用する。
(符号カ)第1巻線、第2巻線、第3巻線を1.496ms(第1時間)励磁する第2ステップ
符号カは回胴を逆方向へ回転させるように作用する。
(符号キ)第1巻線を1.496ms(第1時間)よりも長い368.016ms(第2時間)励磁する第3ステップ
符号キは、符号オと符号カ(3相励磁)に比べて弱い制動力(1相)の態様で長時間(符号オと符号カの246倍)で励磁し、しかも符号カと反対方向(符号オと同じ方向)に回転させることにより、振幅をゆるやかに減衰させ、きれいなバウンドストップを実現する(後述の図12参照)。長時間励磁することにより、制動力が弱くても回胴を確実に停止させることができる。これに対し、符号オとカを行わないときれいなバウンドストップが得られない(後述の図14のように上下のバランスが崩れる)。
上記第2時間の368.016msは一例であるが、これは例えば設定し得る励磁期間の最大値となっている。励磁期間はタイマーで計時され、その時間はデジタル値(1バイト)で設定されるため上限が存在している。ここでは便宜上その上限を採用している。第2時間はこの値に限定されず、もっと長い時間であってもよい。
(符号ク)前記第3ステップの励磁が終了した後に、4つの巻線の全てについて励磁を解除する第4ステップ
図12は、図9乃至図11による減速シーケンスを実行したときの回胴の挙動を実際に測定したグラフを示す。このグラフの縦軸は回転速度(角速度)であり、横軸は時間である。図12のグラフを積分すれば回転位置のグラフを得ることができる。図12の横軸の1目盛は100msである。符号エ、キ、クは図9乃至図11の符号に対応しており、符号エで停止図柄に到達し、この時点で減速シーケンスが開始される。なお、符号オとカの3相励磁の時間は相対的に短くグラフ上に表現することが難しいので、その表示は省略している(符号オとカのみを示す)。
図12によれば、停止図柄位置に到達したときに減速が始まり(ここでは、定常回転を止めて所定位置に停止させる際の動きを減速とし、これにバウンドを含むものとする。すなわち前記減速は、一旦速度がゼロになりその後マイナスの速度(逆方向への動き)になるという態様も含むことがある)、当該停止図柄位置で停止するまでの間に回胴の回転速度の符号(+と−)を交互に変化させている。このことは停止図柄位置の前後で回胴が揺れている(バウンドしている)ことを示している。
図12のグラフは綺麗な減衰正弦波を示しており、横軸に対して上下対称であるのでオフセット(図柄ズレ)がほとんど生じない。
発明の実施の形態によれば、3相励磁と1相励磁を含む減速シーケンスにより回胴を停止させるので、回胴を綺麗にバウンドストップさせつつ停止図柄位置に正しく停止させることのできる。
以下、比較例について説明を加える。
図13は、減速シーケンスとして全相励磁を約150ms行ったものを示す。図13によれば回胴は急停止し、ほとんどバウンドしない。
図14は、減速シーケンスとして従来の全相励磁に代えて1相励磁のみを約220ms行ったものを示す。図14によればバウンドは発生しているものの綺麗な減衰正弦波ではなく、また1相励磁を停止した際に波形が不連続に変化するので、綺麗なバウンドとは言えない。また、上下の対称性も不足している。このグラフの縦軸は回転速度(角速度)であり、横軸は時間であるから、グラフを積分することにより停止位置がわかるが、上下の対称性も不足しているから所定の停止位置からずれて停止することが予想され、オフセット(図柄ズレ)が生じてしまう。
図15は、減速シーケンスとして従来の全相励磁に代えて2相励磁のみを約160ms行ったものを示す。図14と同様に綺麗なバウンドとは言えず、また、オフセット(図柄ズレ)が生じてしまう。バウンドが生じている期間も短い。
図16は、減速シーケンスとして従来の全相励磁に代えて3相励磁のみを約150ms行ったものを示す。図13と同様に回胴は急停止し、ほとんどバウンドしない。また、上下の対称性も不足しており、オフセット(図柄ズレ)が生じてしまう。バウンドが生じている期間も短い。
図12は、図13乃至図16を比較して、バウンドの持続時間及び回数が長い、変化態様が上下対称で綺麗であり、オフセットが少ないという特徴がある。したがって、本発明の実施の形態に係る上述の減速シーケンスは、綺麗でありかつ正確な停止位置のバウンドストップの実現に好適なものである。
(減速シーケンスについての変形例)
まず、この変形例に係る、遊技機筐体へのリールユニット203の具体的取付態様について説明を加える。
図17は、図6とは異なるリールユニット203の取り付け態様を示す。図17では、フレーム151の前面折り曲げ部のリールユニット203の固定穴にスナップラッチ(プラスチック製の止め具)161cを挿入して、遊技機のフレームに連結された略水平の下側バー161の図示しない取付穴に嵌め込むことにより、リールユニット203は遊技機の内部に固定される。なお、図17においても、図6と同様にネジ止めで固定するようにしてもよい。
すなわち、図17によれば、リールユニット203はその前面の下側でのみ固定されている。
図6と図17を比較すると、前者は後者よりも遊技機内部に強固に固定されていると言える。言い換えれば、その取り付け状態において、前者は後者よりも剛性が高い。
バウンドストップを実現するためになされるモータのコイルの励磁パターン(減速シーケンス)として、図9及び図10の例の他に、この変形例に係る図18及び図19に示すものがある。
図18は、停止の際に行われる減速シーケンスの例を示す。図18では、上から下へ向かって時間順に励磁パターンを並べている。
このシーケンスは、遊技者の興趣を高めるためにバウンドストップ(停止位置の前後で回胴が揺れる現象)を生じさせ、回胴の停止態様を通常とは異なるものとするためのものである。これを実現するために停止の際の制動力を小さくしている。すなわち、回胴が停止図柄に到達したときに全相励磁によりブレーキを強力に効かせて当該停止図柄で停止させることに代えて、2相励磁と1相励磁によりゆるやかにブレーキをかけ、バウンドストップを実現しようとしている。
図19は、図18の励磁パターンを、ステッピングモータのコイルA、/A、B、/Bに対応付けたものである(コイルの符号については図6及びその説明を参照)。図19の○印は当該コイルに電流が流れていることを示す。
先に説明した第1巻線乃至第4巻線という用語を使用すれば、図18及び図19の制御手順は次のようになる。
少なくとも1つの前記モータについて、回胴を停止させるべき前記所定の位置に到達した後において、
(第1ステップ)第1巻線及び第2巻線を第1時間励磁する。
(第2ステップ)第1巻線を第1時間よりも長い第2時間励磁する。
図18及び図19の減速シーケンスを遊技機の回胴の停止制御に適用することにより、バウンドストップを実現できる。
この変形例によれば、2相励磁と1相励磁を含む減速シーケンスにより回胴を停止させるので、回胴を綺麗にバウンドストップさせつつ停止図柄位置に正しく停止させることのできる。
上述の発明の実施の形態及び変形例が示すように、リールユニット203の取付態様の違いに応じて適切な励磁パターンを採用することにより、回胴を綺麗にバウンドストップさせつつ停止図柄位置に正しく停止させることができる。
上述の発明の実施の形態及び変形例は、回胴を綺麗にバウンドストップさせつつ停止図柄位置に正しく停止させることができるが、「停止図柄位置に正しく停止させる」ことの意味について説明を補足する。
バウンドストップに係る停止制御において、バウンドストップを生じさせるとともに、回胴を所定図柄(停止図柄)の位置に正確に停止させる必要がある。停止図柄との間に位置のズレ(図柄ズレ)が生じることは問題である。
図20はバウンドストップ時の回胴の位置変化を模式的に示したものである。図20(a)は停止図柄の位置に正しく停止したときの位置の時間変化を示し、図20(b)は図柄ズレ(符号δ)が生じたときの例を示す。符号δがゼロであることが、停止図柄位置に正しく停止していることを意味している。
正しいバウンドストップは、図20(a)のように、停止図柄位置に到達したときに、その位置を行きつ戻りつしながら徐々にその振幅が小さくなり、最終的に停止図柄位置に停止するというものである。図20(b)に示すように最終的な停止位置と停止図柄位置の間にズレδが生じてしまうことは問題である。
このズレδは、図柄ひとつの幅よりは小さい。しかし、この程度の誤差であっても、他の回胴の図柄とズレていることは遊技者により容易に認識される。このズレにより、遊技者に対して遊技結果を誤認させる、あるいは遊技機の故障であると誤解させてしまうおそれがある。したがって、バウンドストップ時においても、通常の場合と同じ程度の精度で回胴を正しい停止図柄位置に停止させる必要がある。
本発明の実施の形態は、回胴を備える他の遊技機(例えばパチンコ機)にも適用できる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。