JP3881507B2 - スロットマシンにおけるリールの停止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットマシンに関するものであり、尚詳しくは、スロットマシンにおける回転リールを停止させる際の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、スタートレバーにより複数のリールを回転させ、ストップボタンの操作により各リールを順次停止させ、停止したリールの図柄配置によりメダルなどを払い出すスロットマシンが数多く使用されている。
このスロットマシン10は、多くの場合、図4に示すように、正面の略中央に操作板11が設けられ、この操作板11には、クレジットメダルボタン13、スタートレバー15、第1ストップボタン21や第2ストップボタン22及び第3ストップボタン23、更に、メダル投入口12が設けられている。
【0003】
そして、操作板11の上方には、正面板31が取付けられ、この正面板31には、各リール47の図柄が3個づつ見える窓32が設けられている。
更に、スロットマシン10における操作板11の下方には、メダル払出口17やメダル受け18が設けられている。
又、前記正面板31には、入賞ライン33が設けられると共に、入賞ライン33中の有効ラインを表示する有効ランプ34やクレジットメダルの枚数を表示するクレジット枚数表示器36、更に、ボーナスゲームなどの状態を表示する演出表示ランプ38等が設けられている。
【0004】
そして、正面板31の内側には、3個の回胴ユニット40を一体としたリールカセットがスロットマシン10に組み込まれ、ストップボタンの数に合わせた3個のリール47が設けられている。
このリール47は、その周囲に21個の図柄が描かれており、有効ラインとされる入賞ライン33に停止した図柄の組み合わせによりゲームが進行するものである。
【0005】
そして、この各リール47は、取付板41に固定されるステッピングモータ43の回転軸に取付けられて回胴ユニット40とされている。
この回胴ユニット40は、図5に示すように、取付板41に固定されたステッピングモータ43の回転軸にナットなどを用いてリール47を取付け、このリール47は、図6に示すように、原点突起49を有し、取付板41に取付けた原点位置センサー45でリール47の原点位置を検出しつつステッピングモータ43によりリール47を回転させる構造としている。
【0006】
尚、近年では、3個の回胴ユニット40によるリールカセットを正面板31の内側に設けるのみでなく、補助リールとして第4のリール47を設けるものも有る。この第4のリールも、回胴ユニット40としては、ステッピングモータ43の回転軸に図柄の描かれたリールを取付け、他のリール47と同様に、中央制御装置によって回転及び停止の制御を行うものであるも、対応するストップボタンを備えておらず、スロットマシン10の中央制御装置により演出を行うように回転制御されているものである。
【0007】
そして、これらのリール47を回転させるステッピングモータ43として4相多極モータが使用される場合、図7に示すように、1−2相励磁により200ステップ乃至400ステップ程度でステッピングモータ43を1回転させ、1分間に80回転程度の一定速度で回転させつつ原点位置センサー45でリール47の原点位置を検出している。
【0008】
尚、リール47の回転開始に際しては、パルス幅を長くしてステッピングモータ43の起動を行い、順次パルス間隔を短くして加速を行い、0.4秒程度で定速回転に達するように加速し、原点位置センサー45で原点位置を検出し、駆動パルスのパルス数によってリール47の図柄位置を中央制御装置で検知しつつ各リール47の回転を制御している。
【0009】
そして、ストップボタンの操作によりリール47を停止させる制御を行うに際しては、図7に示したように、停止させるステッピングモータ43の4相全てに励磁電流を流して全相励磁による制動を行う全相励磁制動区間Xを設け、リール47の制動停止を行うこととしている(例えば実公平5−32145号公報)。
この全相励磁制動では、数十ミリ秒で確実にリール47を停止させることができ、回胴ユニット40によって多少は異なるも、通常は、リール47に描かれた図柄の半図柄程度、即ちステッピングモータ43の数ステップ乃至十ステップ程度で停止させることができる。
【0010】
尚、制動のために全相に加える制動パルスは、一般に200ミリ秒乃至300ミリ秒程度のパルス幅である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
スロットマシンにおけるリール駆動用のステッピングモータでは、全相励磁制動を行うことにより、ステッピングモータの数ステップ程度の回転角で極めて短時間にリールを停止させている。
しかし、制動時における印加電圧の変化により、リール停止までのステップ数が常に一定とならず、リールが目的の停止位置からステッピングモータの1ステップだけずれてしまうことが有り、リールに描かれた図柄の中心位置が所定の停止位置、例えば中央の入賞ラインから僅かにずれて停止することが有った。
【0012】
又、全相励磁制動によってリールの回転を停止させた後、ステッピングモータに印加している制動のための励磁電流を遮断したとき、ステッピングモータが半ステップ程度回転し、一旦停止したリールが停止直後に僅かに揺れて違和感を与えることも有った。
本発明は、このような欠点を排除し、リールの停止位置を常に確実に目的の停止位置とするようにステッピングモータを制御し、又、制動のための励磁電流を遮断したときにリールが僅かに揺れて違和感を与えることことがないようにすることができるリールの停止制御を行うものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多相多極型のステッピングモータ(43)の回転軸に取付けられ、周囲に複数の図柄が描かれたリール(47)を停止させるスロットマシン(10)のリール停止させるに際し、ステッピングモータ(43)の全相に制動パルスを印加する全相励磁制動による第1のステップと、第1のステップの後に行われるステップであって、全相励磁制動とは異なり、全相のうちでリールの停止位置に対応する相の逆相への励磁を遮断した状態で残りの相へ制動パルスを印加する第2のステップとを含むことを特徴とする。
特に、ステッピングモータ(43)の全相に制動パルスを印加する全相励磁制動を行った後、リール(47)の停止位置に対応する1相の逆相に印加している制動パルスを先ず遮断し、その後、制動パルスの全てを遮断する制動停止制御を行うものである。
【0014】
このように、全相励磁制動によりリール(47)の回転を停止させ、リール(47)の回転停止時には停止位置に対応する1相の逆相に印加する制動パルスを遮断するため、停止位置に対応する1相によってステッピングモータ(43)の界磁に所定の磁束を発生させ、他の各相は磁束を打ち消してローターに制動を加える故、ステッピングモータ(43)の停止位置、即ちリール(47)の停止位置を常に設定に合わせた所定の位置とすることができる。
【0015】
尚、4相多極型のステッピングモータ(43)では、制動パルスによる全相励磁制動として4相励磁を行い、停止位置に対応する1相の逆相に印加する制動パルスを遮断して3相励磁制動を行うに際しては、リール(47)の停止位置とする位置にローターを吸引することとなる1相と、この1相に対して90度位相のずれた2相との3相にのみ励磁を行うものである。
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、各リール47を各々1個のステッピングモータ43で回転させる回胴ユニット40を備えたスロットマシン10における各リール駆動用モータの制御であり、特に、リール47の回転を停止させる際の各ステッピングモータ43の制御方法である。
【0019】
このリール駆動用モータには4相多極型のステッピングモータ43を用いており、図1に示すように、ステッピングモータ43や原点位置センサー45を備える回胴ユニット40の3個を結線しているリールカセット基板の端子を、スロットマシン10の制御基板の端子に各々接して各回胴ユニット40のリール47を中央制御装置とするマイクロコンピュータにより制御するものである。
【0020】
尚、リールカセット基板では、各原点位置センサー45の電源端子に接続される2個の入出力端子である入出力端子+Vs,−Vsや、各原点位置センサー45の信号出力端子に各々接続される3個の信号出力端子S1,S2,S3、及び、各ステッピングモータ43における4相の端子に各々接続される12個の入力端子を備え、各ステッピングモータ43の共通端子は原点位置センサー45の電源端子の一つと共に入出力端子−Vsに接続されている。
【0021】
この各回胴ユニット40のステッピングモータ43を駆動制御するに際しては、メダルが投入され、スタートレバー15が操作されたとき、中央制御装置としたマイクロコンピュータにより3個の各ステッピングモータ43に駆動パルスを入力する制御を行い、一斉に3個のステッピングモータ43の回転を開始させる。
この各ステッピングモータ43の回転開始に際しては、各ステッピングモータ43を順次加速し、0.4秒程度で定速回転とする制御を行う。尚、各リール47が回転を開始して原点突起49が原点位置センサー45を通過し、原点位置センサー45が原点位置を検出すると各ステッピングモータ43に印加する駆動パルスのパルス数により中央制御装置では各リール47の回転位置を検知している。
【0022】
そして、第1ストップボタン21乃至第3ストップボタン23の内の何れかのストップボタンが操作されたとき、中央制御装置では、ストップボタンに対応したリール47の回転位置に合わせてこのリール47の停止位置を定め、停止位置の数ステップ程度前の回転位置にリール47の回転が位置したとき、図2に示すように、4相全てに制動パルスとしての励磁電流を加える全相励磁制動を行う全相励磁制動区間Xを設ける。
【0023】
この全相励磁制動区間Xでは、数十ミリ秒乃至50ミリ秒程度のパルス幅による全相励磁制動を行う。この後、リール47の停止位置に合わせた1相(例えばA相)と、この1相と90度位相の異なる2相(例えばB相と逆B相)との励磁を残すように1相(逆A相)の励磁電流を遮断して3相励磁による制動を行う3相励磁制動区間Yを設けている。
【0024】
このように、相反する2相(例えばB相と逆B相)に励磁電流を流して制動を行うと共に、ステッピングモータ43の停止位置とする位置にローターを吸引することとなる1相(例えばA相)を加えた3相励磁制動による3相励磁制動区間Yを設けることにより、ステッピングモータ43におけるローターの停止位置、即ちリール47の停止位置を確実に所定の位置とすることができる。
【0025】
又、逆位相となる2相の励磁で磁束を打ち消しつつ制動を行い、停止位置を定める1相の励磁でローターの磁極を吸引して停止させている故、3相励磁制動を終了し、全ての相への励磁電流を遮断したとき、ローターが半ステップ程度回転し、リール47が僅かに揺れることも防止できる。
【0026】
又、対応したストップボタンを有しない第4のリールを停止させるに際しても、中央制御装置で定める停止位置の数ステップ程度前から全相に制動パルスを加える4相励磁制動を行う4相励磁制動区間Xを設け、リールの停止時に3相励磁制動を行う3相励磁制動区間Yを設ける場合、又は全相励磁制動を行うこと無く3相励磁制動区間Yのみを設けてリールを停止させることもできる。
【0027】
更に、上記の実施の形態は、4相多極型のステッピングモータ43を制御してリール47の回転を停止させるものであるも、6相多極型などの多相多極型のステッピングモータ43を用いた回胴ユニット40においても、リール47の回転停止に際し、全相への励磁による制動と停止位置に対応した相の逆相を除く全ての相へ制動パルスとしての励磁電流を流すことによって同様にリール47を停止させることができる。
【0028】
(実験例)
リールカセットの内、リール47の回転モーメントが大きな回胴ユニットAと、リール47の回転モーメントが小さな回胴ユニットBとを抜き出し、スロットマシン10への交流商用電源からの入力電圧を100V及び110Vとして各々50回の制動停止試験を行った。
【0029】
この結果、図3の表に示すように、従来の制動パルスによる全相励磁制動として4相励磁による制動停止を250ミリ秒行ったとき、回胴ユニットAでは、電圧が100Vの場合、50回中の37回が所定の停止位置よりも1ステップ進んだ位置でリールが停止し、電圧が110Vのときでも50回中の9回が所定の停止位置よりも1ステップ進んだ位置で停止した。
【0030】
又、同様に250ミリ秒の全相励磁制動のみを行った回胴ユニットBでは、電源電圧が100Vのとき、50回中の16回が所定の停止位置よりも1ステップ進んだ位置で停止した。他方、同一の2個の回胴ユニットでリールの停止位置の1相とこの1相に対して位相が90度異なる2相を加えた3相に制動パルスとして250ミリ秒幅のパルスを加えて3相励磁制動のみを行うと、電源電圧が100Vの場合も110Vの場合も、50回全てにおいて、回胴ユニットA及び回胴ユニットBの何れの場合も目的の停止位置で停止させることができた。このことにより、3相励磁による停止は全相励磁による停止に比べ、停止位置選択性において優れていることがわかる。又、回胴ユニットのモーメントのばらつき、供給電圧の変化に対しても強いことがわかる。
【0031】
しかしながら、停止の際にリール47が震えながら停止する現象が観察された。そこで、制動パルスとして全ての相に50ミリ秒幅のパルスと更に3相に対して200ミリ秒幅を追加したパルスを印加することにより、全相励磁制動を50ミリ秒行った後に3相励磁制動を200ミリ秒行った。この場合も、電源電圧が100Vの場合も110Vの場合も、50回全てにおいて、回胴ユニットA及び回胴ユニットBは、目的の停止位置に停止させることができた。
【0032】
即ち、全相励磁制動を行った後に3相励磁制動を行った場合においても、3相励磁のみの制動を行うときと同様に、モーメントのばらつきや供給電圧の変化に対しても安定している。更に、3相励磁のみの制動を行ったときとは異なり、停止の際におけるリールの震えも観察されなかった。又、2相励磁及び1相励磁の制動についても、同様の実験を行った。2相励磁のみ及び1相励磁のみの場合は、2ステップ以上進んだところで止まることがあり、且つ、停止挙動も不安定であった。
【0033】
しかし、全相励磁制動の後に2相励磁又は1相励磁による制動を行った場合は、3相励磁制動の場合と同様に、停止位置を安定させることができた。但し、この場合は、全相励磁制動区間Xの時間を厳密に調整する必要があった。以上を纏めると、3相励磁制動のみ、及び全相励磁制動の後に1相又は2相や3相励磁を行う制動により、目的の停止位置で確実に停止させることができる。
【0034】
更に、3相励磁制動のみを行う場合や、全相励磁制動を行った後に3相励磁制動を行う場合には、リールのモーメントのばらつき、供給電圧の変化、及び、制動時間に対する許容度が高い。そして、全相励磁後に3相励磁を行う制動の場合は、リールの停止挙動も安定している。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、リールの停止に際し、リールの停止位置に対応する相の逆相への制動パルスを印加することなく停止位置に応じた相への制動パルスによってステッピングモータにおけるローターの吸引位置を定めてから全ての制動パルスを遮断するリールの停止方法としているため、常に、目的の停止位置へ正確にリールの図柄を停止させることができる。
【0036】
更に、停止位置に応じた相への制動パルスによってステッピングモータにおけるローターの位置を定めて制動パルスを遮断するから、制動パルスの遮断時にリールが揺れることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リールカセットにおけるステッピングモータの回路模式図。
【図2】 本発明における励磁電流の状態を示すタイムチャート図。
【図3】 制動条件による停止状態の比較を示す表図。
【図4】 スロットマシンの正面外観を示す図。
【図5】 スロットマシンにおける回胴ユニットの一例を示す分解斜視図。
【図6】 スロットマシンのリールを示す斜視図。
【図7】 従来のリールの停止制御を示す励磁電流のタイムチャート図。
【符号の説明】
10 スロットマシン
11 操作板 12 メダル投入口
13 クレジットメダルボタン 15 スタートレバー
17 メダル払出口 18 メダル受け
21,22,23 ストップボタン
31 正面板 32 窓
33 入賞ライン 34 有効ランプ
36 クレジット枚数表示器 38 演出表示ランプ
40 回胴ユニット
41 取付板 43 ステッピングモータ
45 原点位置センサー
47 リール 49 原点突起

Claims (3)

  1. 多相多極型のステッピングモータの回転軸に取付けられ、周囲に複数の図柄が配置されたリールを停止させるに際し、ステッピングモータの全相に制動パルスを印加する全相励磁制動による第1のステップと、第1のステップの後に行われるステップであって、全相励磁制動とは異なり、全相のうちでリールの停止位置に対応する相の逆相への励磁を遮断した状態で残りの相へ制動パルスを印加する第2のステップとを含むことを特徴とするスロットマシンにおけるリールの停止方法。
  2. 多相多極型のステッピングモータの回転軸に取付けられ、周囲に複数の図柄が配置されたリールを停止させるに際し、ステッピングモータの全相に制動パルスを印加する全相励磁制動を行い、その後全相の相のうちでリールの停止位置に対応する相の逆相に印加している制動パルスを遮断した状態で残りの相へ制動パルスを印加して停止させ、更に、その後にすべての相への制動パルスを遮断する制動停止制御を行うことを特徴とするスロットマシンにおけるリールの停止方法。
  3. 4相多極型のステッピングモータでは、全相励磁制動としては4相励磁を行う第1のステップを行い、
    その後全4相ある相のうちでリールの停止位置に対応する相の逆相に印加している制動パルスを遮断し、リールの停止位置となる1相と、この1相に対して90度位相のずれた1相との3相による励磁を行って3相励磁制動を行う第2のステップを行ってリール停止制御を完了することを特徴とするスロットマシンにおけるリールの停止方法。
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