<遊技機の構造>
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。なお、以下の説明において、上、下、左又は右の方向は、特に断らない限り、スロットマシンに対向している遊技者から見た方向を指すものとする。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、スロットマシン筐体120と、このスロットマシン筐体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前扉130は、それぞれ独立に開閉可能な上扉130Uと下扉130Lとを備えている。
前記前扉130の前面の右上隅には、ゲーム表示部131を設けている。遊技者はゲーム表示部131を通してリールユニット203の3つのリールを見ることができる。
上扉130Uの上面の右側に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の左側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133を設けている。
下扉130Lの上面の左側にはゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設け、スタートスイッチ134とメダル投入口132の間に、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けている。
上扉130Uの中央には液晶パネルLCD1を設け、下扉130Lにはほぼその全面にわたって液晶パネルLCD2を設けている。
下扉130Lの上面の中央、すなわち、ストップボタン140の上、ベットスイッチBETとメダル投入口132の間には、操作部としてのスイッチ(十字キーユニット)SWを設けている。スイッチSWは、例えばカーソルを上下左右に動かすカーソルキー(スイッチ)や操作の確定ボタン・キャンセルボタンなどを含む。
スロットマシン100の左右端にはそれぞれ電飾DRU、DRL、DLU、DLLを設けている。すなわち、上扉130Uの左端に電飾DLUを設け、右端に電飾DRUを設けるとともに、下扉130Lの左端に電飾DLLを設け、右端に電飾DRLを設けている。電飾DRU、DRL、DLU、DLLは、それぞれその内部に発光素子(LED)を備えている。
スロットマシン筐体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを下扉130Lの前面下部に設けた払出し口に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に多数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン筐体120の内部には、上扉130Uを閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205を設けている。
図2に示すように、下扉130Lの背面にはメダル(コイン)セレクタ1が、下扉130L上面のメダル投入口132の下部に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って下扉130L下部の払出し口に連通する導出路136を設けている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口から遊技者に返却される。
スロットマシン筐体120の内部、リールユニット203の下側にはメイン基板10が取り付けられている。メイン基板10には、遊技に関する内部設定(例えば、複数の抽選テーブルのどれを使用するか)を行うための設定変更スイッチSSWを設けている。上扉130Uの背面中央下部にはサブ基板20が取り付けられている。
スロットマシン筐体120の内部の左上隅には低音スピーカSPLを設けるとともに、下扉130Lの下部には標準的な音域をカバーする2つのスピーカSPを設けている。
図3はスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図3では示していないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部(図2の電源部205)を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。メイン基板10やサブ基板を含む基板は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。具体的には、メイン基板10とサブ基板20はカシメにより一体となり取り付けられるとともに、メイン基板10とサブ基板20の全体を覆う一体のケースによりカバーされている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。サブ基板20は、演出に用いる乱数を発生する手段を備えている。
以下、メイン基板とサブ基板について詳しく説明する。
<メイン基板>
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リール(回胴)ユニット203、設定変更スイッチSSW、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2を設けている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に取り付けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(図示しないインデックスによって特定されるコマ)からの回転角度を求める(ステップモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップボタン140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a〜40cを使用することにする。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定してもよく、通常状態およびボーナス成立状態及びボーナス状態では規定投入数を3枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップボタン140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨の判定結果を設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
抽選テーブル選択処理により、抽選の内容は所定の範囲内で設定可能(当選の確率を高くしたり低くしたりできる)であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。この設定作業で使用するスイッチが設定変更スイッチSSWである。
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定の変更(以下、「設定変更」と記す)と称している。
従来、例えばスロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、メイン基板10に設けられた設定変更スイッチSSWのキースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更スイッチSSWの設定変更ボタン(押ボタン)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
回胴制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータにより回転駆動して、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。滑りコマ数とは、回胴停止時にゲーム表示部から視認できる特定の図柄を基準位置としたときのストップボタン140の操作から対応する回胴の回転停止までの間に当該基準位置を通過する図柄の数をいう。回胴制御手段1300は、各ストップボタン140の操作から190ms以内という条件下で各回胴を停止させるため、滑りコマ数は0以上4以下の範囲内となっている(ただし、80回転/分、図柄数=21個の条件において)。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
前述のように、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップボタン140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。
エラー処理部1700は、図示しない扉開閉検知センサ、メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82の出力に基づき遊技機のエラー判定を行い、エラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(例えば、操作を受け付けない状態)にする。
図示しない扉開閉検知センサは、前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたことを検知するセンサであり、例えばマイクロスイッチや接点などの電気的スイッチである。当該スイッチは前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたときに、前扉130(上扉130U、下扉130L)の裏側にスイッチの作用部が当接することでオン(又はオフ)になり、前扉130(上扉130U、下扉130L)が開放されると作用部が離れてオフ(又はオン)になるものである。扉開閉検知センサは、フォトインタラプタのような光学式のものでもよい。メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82については前述した。
エラー処理部1700は、具体的には次のような動作を行う。
・図示しない扉開閉検知センサの出力に基づき前扉130(上扉130U、下扉130L)の開放を検知したとき、エラー処理を行う。
・メダルセンサS1及びS2の出力に基づきメダルの逆流(センサS1とS2の検知順序が反対になったこと)、メダル滞留(センサS1とS2の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)などを検知したとき、エラー処理を行う。
・メダル検出部82の出力に基づきメダル詰まり(メダル検出部82の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)、ホッパーエンプティ(ホッパ駆動部80を動作させているにもかかわらずメダル検出部82がメダルを検知しない)などを検知したとき、エラー処理を行う。
エラー処理部1700は、上記のようにエラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(エラー状態)にするが、この状態は図示しないリセットスイッチにより解除される。リセットスイッチは、例えば電源部205のパネルに設けられる。
なお、サブ基板20で生じるエラーもある。このエラーでは遊技不能状態にはならないが、サブ基板20自身の処理によりエラーが生じたことを液晶表示装置などにより報知することができる。当該エラーは例えば不正なコマンドを受信したとき(暗号化されたコマンドが正しく復号化できなかったときを含む)に発生し、当該エラーは上記リセットスイッチにより解除される(メイン基板10からサブ基板20へリセットコマンドが送られる)。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備えるが、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンの回胴40a〜40cの駆動に関して、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
10CGは、サブ基板20へ送るコマンドを送信するコマンド送信部である。このコマンドには、当選役の情報に関するコマンド、メダル投入枚数やクレジット枚数(貯留枚数)の情報に関するコマンドなどがある。コマンド送信部10CGは、具体的には、メイン基板10に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。コマンド送信については、後に説明を加える。
<サブ基板>
サブ基板20には、液晶パネルLCD1及びLCD2、LED基板202B、202U及び202L、スピーカSP、低音スピーカSPL、ソレノイドSN、モータMU及びML、センサSENU及びSENL、スイッチSWが接続されている。LED基板202B、202L、202Uは、データを取得し保持するラッチと電飾であるLEDを内蔵している(LEDは基板の外部に設けられることもある)。これらの構成要素は、サブ基板20により制御されるものであり、映像、光、音響、可動体の動作により演出を行う出力装置、あるいは、可動体の動作を検知するための入力装置または遊技者による操作を受け付ける入力装置である。
図示は省略しているが、機種固有ブロックBB及び下扉ブロックBLには、液晶パネルLCD2を制御するためのビデオコントローラ(VDC)、スピーカSP、スピーカSPを駆動して音響を発生させるためのサウンドコントローラ、ソレノイドSN、モータMU及びMLを駆動するための駆動回路を(図示しない)内蔵している。
上述した液晶パネルなどの構成要素は、低音スピーカSPLを除き、スロットマシン筐体120に内蔵される機種固有ブロックBB、上扉130Uに対応して設けられる上扉ブロックBU、下扉130Lに対応して設けられる下扉ブロックBLの3つのいずれかに区別されて設けられる。
図3の例では、機種固有ブロックBBはソレノイドSN、スピーカSP及びLED202Bを含み、上扉ブロックBUは、液晶パネルLCD1、LED203U、モータMU及びこれによる可動体の動作を検知するセンサSENUを含み、下扉ブロックBLは、液晶パネルLCD2、スピーカSP、LED基板202L、モータML、モータMLによる可動体の動作を検知するセンサSENL、カーソルキーなどのスイッチSWを含む。なお、液晶パネルLCD2全体がモータMLにより若干前後に移動可能に構成され、液晶パネルLCD2が前に出た状態で遊技者がこれを押すという操作が可能な場合がある。この場合、下扉ブロックBLのスイッチSWは液晶パネルLCD2の押下を検知するスイッチを含む。
<メイン基板からサブ基板へのコマンド伝送>
サブ基板20はメイン基板10からコマンドをうけ、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、例えば、予め定められた画面を液晶パネルLCD1、LCD2に表示させるためのコマンド(表示コマンド、描画コマンド)を発生させる。例えば、アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する。
図3において、20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信するコマンド受信部である。コマンド受信部20CRは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
上記コマンドとして、サブ基板20側のソフトウエアで当選内容を示唆する演出を行うためのものがある。例えば、下記ATのように、出玉を得るための示唆を液晶表示装置等の表示装置に表示して遊技者の操作の便宜の提供(アシスト)を図っている。当該示唆は常時出されるわけではなく、特定の場合に出される。なお、メイン基板からのコマンドに基づきサブ基板がATの表示(報知)を行う形態に限定されない。例えばメイン基板が、メイン基板の管理下にある表示器(報知手段)によりATの表示(報知)を行うこともある。以下の説明は、そのような形態についても適用される。
遊技機は、液晶表示装置、スピーカや表示ランプ等からなる演出表示装置を備える。この演出表示装置はサブ基板20により制御され、遊技者に入賞等を報知したり、いわゆるアシストタイム(AT)において、一定ゲーム間に特定の小役を遊技機自体が何らかのアクションを伴ってユーザに教えたりするためのものである。(アシストタイム(AT):特定の小役が当選しても遊技者がこの小役に対応する図柄組合せを入賞判定ライン上に揃えないと払い出しがない。小役による払い出しを確実にするために、ビッグボーナス終了後(もしくは当選時)あるいはその他の任意の契機にアシストタイムを抽選し、これに当選すると一定ゲーム間は特定の小役に対応する図柄組合せを入賞判定ライン上に揃えさせるための停止操作を何らかのアクションを伴って遊技者に教えるという機能)
コマンド受信部20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信する。例えば、シリアルデータとして受けたコマンドを直列−並列変換器(シフトレジスタ)に入力し、一定のデータ(例えば8ビット)ごとに出力する。この出力されたデータがコマンドとしてサブ基板20のCPUに渡され、解釈・実行される。
次に、メイン基板10における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄組合せが入賞判定ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞判定ライン上に揃った入賞図柄組合せに相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
図5は、サブ基板20のハードウエア構成の説明図である。複数のビット(配線)からなるBUSに、CPU(処理装置)、ROM(不揮発性記憶部)、RWM(読み出し及び書き込み可能なメモリ)及びI/O(入出力装置)などが接続されている。
I/Oは、例えば通信処理用のICであり、所定のプロトコルにしたがってデータ通信を行う。図示しないレジスタにアドレス及びデータを設定することで、複数の可動体の駆動部及びセンサなど、具体的にはセンサSENU、SENL、モータMU、ML、ソレノイドSNなどとの通信を行う。
図6は、遊技機の可動体(役物)の制御系統のブロック図である。この発明の実施の形態は、さまざまな形態の可動体(役物)に適用することができるものであるから、これに対応して図6は共通の構成を抽象的に表現するものとし、その各要素の符号はあえて図3などのものとは違ったものとしている。
CONTは、可動体の制御を行う制御部(可動体制御部)である。制御部CONTは図3のサブ基板20に設けられている。制御部CONTは、サブ基板20のCPUがROMに記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現される。この動作については後述する。
DRVは、可動体を駆動する駆動手段(駆動部)である。駆動手段DRVは、図3のモータ(ステッピングモータ)MU、MLやソレノイドSNに相当する。駆動手段DRVは、その駆動力を役物の可動要素51に伝達する駆動機構(図示せず)を含む。
可動要素51は、演出に用いられるバーやシャッターなどの役物の可動要素である。
SENは、可動要素51を検知して信号(検知信号)を出力するセンサである。センサSENは、図3のセンサSENU、SENLに相当する。センサSENは、予め定められた可動体の原点の近傍であって、そこ少しから離れた位置に設けられている(図9〜図11参照)。
センサSENの検知信号は、例えば次のようなものである。センサSENは、可動要素51を検知しているときはLレベル(第1状態)の検知信号を出力し、可動要素51を検知していないときはHレベル(第2状態)の検知信号を出力する。可動要素51(少なくともその一部)がセンサSENの位置を通過中であるときはLレベル(第1状態)の検知信号を出力する。
センサSENは、例えば光学式のセンサであり、フォトインタラプタのようなものである。フォトインタラプタは、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成されたもので、当該断面に可動要素51が割り込んで光を遮蔽しているかどうかに応じて検知信号を出力するものである。
あるいは、センサSENは、例えばリードスイッチのような磁気で動作するものである。この場合、可動要素51は磁石であり(あるいは磁性を帯びた部材が取り付けられている)、磁石がリードスイッチであるセンサSENに近づくことでスイッチがオンとなる(短絡信号が出力される)。あるいは、マイクロスイッチのような接触式のセンサも用いることができる。
制御部CONTは、可動要素51を所望の距離だけ移動させる処理を行う。例えば、メイン基板10から所定の信号を受けてサブ基板20が所定の演出を行うときに、制御部CONTは可動要素51を所定位置へ動かす。例えば、原点Oの位置=0、他端RLPの位置=100、センサの位置=30として、可動要素51を「全開にせよ(ステップ数=70)」「全閉にせよ(ステップ数=−30)」、「途中の位置(ステップ数=20)で停止せよ」など動きを行うための駆動信号が生成され送られる。
同時に、制御部CONTは、可動要素51が目的地(上記例では、ステップ数=70、ステップ数=−30、ステップ数=20)に到達したと判断したら駆動信号の出力をやめて、その動きを停止させる。制御部CONTは、駆動手段DRVの図示しないステッピングモータの移動ステップ数(与えるパルス数)、回転方向、回転速度(パルスの周波数)、などの情報(動作情報)を生成する。動作情報とは、可動体の動きを指示するための情報である。例えば、可動要素51を特定の位置まで動かしてそこで止める場合は、現在位置と目標位置の差に基づき移動ステップ数を決定し、現在位置と目標位置の位置関係に基づき回転方向を設定し(前記差が小さくなるように回転方向を設定する)、素早い演出であればパルス周波数を高い周波数fHとし、ゆっくりとした演出であればそれを低い周波数fLとする(fH>fL)。
可動体の制御命令は、駆動手段DRVの駆動方向(可動要素の移動方向)、当該制御命令を適用すべき論理(指定がなければ正論理、負論理であるときは所定のフラグをセットする)、駆動手段DRVの駆動速度及び駆動ステップ数を指定する情報(ビット)を含む。
発明の実施の形態に係る可動体について図9〜図11を参照して説明を加える。これらの図は、発明の実施の形態に係る可動体の概略の説明図(正面図)である。
発明の実施の形態に係る可動体は、予め定められた原点Oと他端RLPの間を動くように構成された可動要素51と、可動要素51を左右移動自在に保持しているレール55とを備える。
センサSENは、原点Oから離れた位置に設けられている。可動要素51の左端51Lが原点(レール55の左端)に達し、それ以上左側に進めない状態であるときに、可動要素51の右端51RはセンサSENから離れていて、センサSENは可動要素51を検知しない(図9(c))。可動要素51の左端51Lが原点にあるときに右端51RはセンサSENの近傍にあるので、センサSENは原点Oの近傍にある、と言うことができる。
他方、センサSENは、他端RLPから離れた位置に設けられている。可動要素51の右端51Rが他端RLP(レール55の右端)に達し、それ以上右側に進めない状態であるときに(図11(a)の点線)、可動要素51の左端51LはセンサSENから離れていて、センサSENは可動要素51を検知しない。
可動要素51は、図9〜図11のように左右に動く。可動要素51の動作については後述する。
図7(a)(b)は、発明の実施の形態に係る遊技機における起動時の処理の説明図である(可動体に係る処理のみを示す)。
制御部CONTは、起動時に予め定められた初期動作を行い、その後に可動要素51を動かして演出を行う。起動時の可動要素51の原点復帰動作R、イニシャル動作Sはいずれも演出とは異なる動きである。遊技機の起動時には可動体の制御部CONTの初期設定の他にさまざまな初期設定が行われるが、これらの説明は省略する。
遊技機を起動するための操作手段として、次のようなものがある。
(1)第1操作手段
第1操作手段は設定変更スイッチ(図3の符号SSW)である。設定変更スイッチSSWは設定変更を行うためのスイッチである(設定変更については前述した)。
あるいは、図示しない、遊技機筐体内部に設けられているスイッチが該当する。これの操作のためには遊技機の前扉130U及び/又は130Lを開けなければならない。操作後に扉を閉じるので衝撃が生じる。
(2)第2操作手段
第2操作手段は電源スイッチPSWやリセットスイッチ(図3のRSW)である。これらはいずれも遊技機筐体内部の下側に設けられているので、それらの操作の際には下扉130Lを開けるだけで足りる。操作終了後に下扉を閉じるが、上扉130Uはそのままなので衝撃が比較的小さい。
あるいは、図示しない、遊技機筐体外部に設けられているスイッチが該当する(例示であり実際の遊技機が外部にスイッチを備えているとは限らない)。これの操作のためには遊技機の前扉130Uと130Lのいずれも開ける必要がない。操作後に扉を閉じないので衝撃が生じない。
図7(a)に示すように、制御部CONTは初期立ち上げ(起動)Pを開始するとともに、イニシャルウエイト処理(初期待機)Qを行う。
初期待機処理Qは、センサSENが有効になるまでの時間待機するものである。待機時間は起動後の初期設定(RAMチェックなど)に要する時間に基づき定められる。例えば、200ms程度に設定される。
図8は、初期待機処理Qの説明図である。起動後において制御部CONTは予め定められた初期設定を行うが、この間はセンサSENの信号が無効になる。可動要素51の左端51L又は右端51RがセンサSENの位置に達しても、あるいはセンサSENの位置から離れても制御部CONTはこれを検知できない。図8の時刻t1までこのような状態が続く。そこで、起動から時刻t1よりも後の時刻t2までの間をイニシャルウエイト処理の期間とし、この期間においてイニシャル動作と原点復帰動作のいずれも行わないようにする。時刻t2になったら、すなわち待ち時間が0になったら原点復帰動作R又はイニシャル動作(初期設定)Sへ遷移する。
初期待機処理Qの後に、原点復帰動作R又はイニシャル動作(初期設定)Sのいずれかを行う。
制御部CONTは、第1操作手段に基づき起動(設定変更時)したときは、センサSENが検知するように可動要素51を動かす原点復帰動作(第1初期動作)Rを行う。原点復帰動作Rの終了後500msの待ち時間が設定され、この後に通常状態に遷移する。
制御部CONTは、第2操作手段に基づき起動(コールドスタート、電断、リセット時)したときは、可動範囲(0〜RLP)で可動要素51を動かすイニシャル動作(図7の初期動作(第2初期動作)、可動要素51を可動範囲で動かすという最大動作)Sを行う。イニシャル動作Sの終了後500msの待ち時間が設定され、この後に通常状態に遷移する。
制御部CONTは、原点復帰動作R又はイニシャル動作Sの後に通常状態Tとなり(通常の制御を行い)、予め定められた演出内容に従って可動要素51を動かす。イニシャル状態での待ち時間が0になったら、通常状態へ遷移させる。
図7(b)は他の例を示す。この例では制御部CONTは初期立ち上げ(起動)Pを開始し、その直後に処理を分岐する。
すなわち、制御部CONTは、第1操作手段に基づき起動したときは、まずイニシャルウエイト処理(初期待機)Qを行い、その後、センサSENが検知するように可動要素51を動かす原点復帰動作(第1初期動作)Rを行う。
これに対し、第2操作手段に基づき起動したときは、イニシャルウエイト処理(初期待機)Qを行うことなく、可動範囲(0〜RLP)で可動要素51を動かすイニシャル動作Sを行う。
第1操作手段に基づき起動したときは、制御部CONTはセンサSENが検知するように可動要素51を動かす原点復帰動作(第1初期動作)Rを行うが、この動作は可動要素51を原点に向かわせるものなので可動要素の位置によってはすぐに(例えば図8の時刻t1よりも前に)センサSENを切ることも考えられる。これでは制御部CONTは検知できないので可動要素51の位置を把握できなくなるおそれがある。そこで、第1操作手段に基づき起動したときは、まずイニシャルウエイト処理(初期待機)Qを行う。
これに対し、第2操作手段に基づき起動したときは、制御部CONTは可動範囲(0〜RLP)で可動要素51を動かすイニシャル動作Sを行うが、可動要素51がより時間を要するイニシャル動作Sを行っている間に起動から時刻t1までの期間が経過するので、イニシャルウエイト処理(初期待機)Qを行う必要はない。
図7(c)は比較例である。この例は起動の契機となる操作がなんであっても初期立ち上げ(起動)P、イニシャル動作(初期設定)S、通常状態Tの順で処理を行う。イニシャルウエイト処理(初期待機)Qも行われない。この例では前述のようにイニシャル動作Sが正常に行われず、可動要素51が脱調するおそれがある。
図9は、原点復帰動作の際の可動要素51の動きの一例である。
起動直後の図9(a)では可動要素51がセンサSENと右側の他端RLP(最大可動範囲)の間にある。原点復帰動作Rにより可動要素51は左側の原点Oに向かって移動する(矢印)。
その後、図9(b)でセンサSENが可動要素51の「通過」を検知して信号を出力する。
センサSENの信号に基づき制御部CONTが可動要素51を所定距離駆動して静止させ、可動要素51を原点に復帰させる。
図10は、原点復帰動作の際の可動要素51の動きの他の例である。
起動直後の図10(a)では可動要素51がセンサSENの位置にある。原点復帰動作Rにより可動要素51は左側の原点に向かって移動する(矢印)。
その後、図10(b)でセンサSENが可動要素51の「通過」を検知して信号を出力するが、図10(a)の可動要素51の位置から図10(b)の位置に移動する時間は比較的短く、仮にイニシャルウエイト処理(初期待機)Qがないと制御部CONTはセンサSENの信号を受け取れない可能性がある。
図11は、イニシャル動作Sの際の可動要素51の動きの一例である。
起動直後の図11(a)では可動要素51がセンサSENの右側にある。イニシャル動作Sにより可動要素51は右側の他端RLP(最大可動範囲)に向かって移動する(矢印)。そして可動要素51は他端RLP到達する(点線)。
その後、図11(b)では可動要素51は左側の原点に向かって移動する(矢印)。
センサSENが可動要素51の通過を検知して信号を出力し、センサSENの信号に基づき制御部CONTが可動要素51を所定距離駆動して静止させ、可動要素51を原点に復帰させる(図11(c))。
前述のように、原点復帰動作Rは可動要素51を原点に戻すだけなので、イニシャル動作Sよりも所与時間が短い。このため前扉130を閉じることによる衝撃が発生したときには可動要素51が原点に復帰している可能性が高く(少なくとも原点近傍に位置している)、当該衝撃による不具合発生の可能性は低くなる。これに対し、イニシャル動作Sは可動要素51がその全可動範囲を往復するので原点から離れた位置で当該衝撃を受ける可能性がある。これが脱調という不具合の原因となりえている。
図12は、発明の実施の形態に係る可動体制御処理の起動時のフローチャートである。この処理は、図7(a)に対応するものである。
S10:起動時において、制御部CONTは前述のイニシャルウエイト処理を行う。
S11:イニシャルウエイト処理の後に、制御部CONTは起動の原因に応じて処理を分岐する。第1操作手段である設定変更スイッチSSWによる起動の場合は原点復帰動作(S12)を行い、その他の第2操作手段による起動の場合はイニシャル動作(S13)を行う。
前記第1操作手段及び前記第2操作手段に基づき起動したときは(設定変更スイッチSSWと電源スイッチPSWの両方が操作されて起動したときは)、前記第1操作手段の操作による影響のほうが大きいのでこれを優先して判断し、前記第1初期動作(原点復帰動作)を行うようにする。
S12:制御部CONTは前述の原点復帰動作を行う。
S13:制御部CONTは前述のイニシャル動作を行う。
S14:制御部CONTは通常の状態に復帰する。可動要素51が原点に復帰したら、あるいは500msの待ち時間が0になったら、通常状態へ遷移させる。
図7(b)に対応するフローチャートは省略するが、条件分岐の位置を除き図12と同様である。図12のS10を、同図のS11とS12の間に移動させると図7(b)に対応するフローチャートになる。
発明の実施の形態によれば、起動の原因に応じて原点復帰動作を行う又はイニシャル動作を行うのいずれかを切り替えている。これにより、起動の際に可動体の可動要素が脱調することを防止することができる。第1操作手段である設定変更スイッチSSWによる起動の場合はセンサ検知を行ったうえで原点いなければ原点復帰をさせるために、起動後から正常にセンサ検知ができるようになるまで所定の時間の経過を待つイニシャルウエイト処理を行っている。これにより原点復帰動作においてセンサ検知を確実に行うことができる。
要するに、起動の原因(設定変更であるか、コールドスタート、電断、リセットであるか)によって処理を分岐し、例えば設定変更直後は可動要素を最大可動させないようにしている。これは、設定変更直後のドア閉めで筐体に衝撃が掛かった際の可動体の脱調を防ぐ目的で行っている。
なお、図示しない扉開閉検知センサの信号に基づき、制御部CONTは扉が閉まった後に図7(c)のイニシャル動作Sを開始するようにしてもよい。扉を閉じた時には可動要素51が動いていないから、扉を閉めた時の衝撃により可動要素51が脱調することがない。この場合、イニシャルウエイト処理Qと原点復帰動作Rのいずれも不要である。
以上の説明において、遊技機としてスロットマシンを例に挙げ説明を加えたが、これに限らず、本発明の実施の形態は他の遊技機(例えばパチンコ機)にも適用することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。