<遊技機の構造>
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。なお、以下の説明において、上、下、左又は右の方向は、特に断らない限り、スロットマシンに対向している遊技者から見た方向を指すものとする。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、スロットマシン筐体120と、このスロットマシン筐体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前扉130は、それぞれ独立に開閉可能な上扉130Uと下扉130Lとを備えている。
前記前扉130の前面の右上隅には、ゲーム表示部131を設けている。遊技者はゲーム表示部131を通してリールユニット203の3つのリールを見ることができる。
上扉130Uの上面の右側に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の左側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133を設けている。
上扉130Uの上面の左側にはゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設け、スタートスイッチ134とメダル投入口132の間に、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けている。
上扉130Uの中央には液晶パネルLCD1を設け、下扉130Lにはほぼその全面にわたって液晶パネルLCD2を設けている。
下扉130Lの上面の中央、すなわち、ストップスイッチ140の上、ベットスイッチBETとメダル投入口132の間には、操作部としてのスイッチ(十字キーユニット)SWを設けている。スイッチSWは、例えばカーソルを上下左右に動かすカーソルキー(スイッチ)や操作の確定ボタン・キャンセルボタンなどを含む。
スロットマシン100の左右端にはそれぞれ電飾DRU、DRL、DLU、DLLを設けている。すなわち、上扉130Uの左端に電飾DLUを設け、右端に電飾DRUを設けるとともに、下扉130Lの左端に電飾DLLを設け、右端に電飾DRLを設けている。電飾DRU、DRL、DLU、DLLは、それぞれその内部に発光素子(LED)を備えている。
スロットマシン筐体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを下扉130Lの前面下部に設けた払出し口に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に多数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン筐体120の内部には、上扉130Uを閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205を設けている。
図2に示すように、下扉130Lの背面にはメダル(コイン)セレクタ1が、下扉130L上面のメダル投入口132の下部に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って下扉130L下部の払出し口に連通する導出路136を設けている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口から遊技者に返却される。
スロットマシン筐体120の内部、リールユニット203の下側にはメイン基板10が取り付けられている。メイン基板10には、遊技に関する内部設定(例えば、複数の抽選テーブルのどれを使用するか)を行うための設定変更スイッチSSWを設けている。上扉130Uの背面中央下部にはサブ基板20が取り付けられている。
スロットマシン筐体120の内部の左上隅には低音スピーカSPLを設けるとともに、下扉130Lの下部には標準的な音域をカバーする2つのスピーカSPを設けている。
図3はスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図3では示していないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部(図2の電源部205)を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。メイン基板10やサブ基板を含む基板は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。具体的には、メイン基板10とサブ基板20はカシメにより一体となり取り付けられるとともに、メイン基板10とサブ基板20の全体を覆う一体のケースによりカバーされている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
以下、メイン基板とサブ基板について詳しく説明する。
<メイン基板>
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップスイッチ140、リール(回胴)ユニット203、設定変更スイッチSSW、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2を設けている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に取り付けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(図示しないインデックスによって特定されるコマ)からの回転角度を求める(ステップモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップスイッチ140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a〜40cを使用することにする。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが操作されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が操作され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が操作され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの操作が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを操作しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
抽選テーブル選択処理により、抽選の内容は所定の範囲内で設定可能(当選の確率を高くしたり低くしたりできる)であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。この設定作業で使用するスイッチが設定変更スイッチSSWである。
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定の変更(以下、「設定変更」と記す)と称している。
従来、例えばスロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、メイン基板10に設けられた設定変更スイッチSSWのキースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更スイッチSSWの設定変更ボタン(押ボタン)を1回操作するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
回胴制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータにより回転駆動して、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップスイッチ140の操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップスイッチ140に対する操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップスイッチ140を操作することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップスイッチ140の各スイッチが操作される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち操作されたスイッチに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップスイッチの操作タイミングや操作順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップスイッチ140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(操作検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または操作検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。滑りコマ数とは、回胴停止時にゲーム表示部から視認できる特定の図柄を基準位置としたときのストップスイッチ140の操作から対応する回胴の回転停止までの間に当該基準位置を通過する図柄の数をいう。回胴制御手段1300は、各ストップスイッチ140の操作から190ms以内という条件下で各回胴を停止させるため、滑りコマ数は0以上4以下の範囲内となっている(ただし、80回転/分、図柄数=21個の条件において)。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
前述のように、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップスイッチ140の操作タイミング、操作順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップスイッチ140が操作された時点から190ms以内に、操作されたストップスイッチに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップスイッチ140の操作時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の操作)を待機する状態に設定される。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップスイッチ140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。
エラー処理部1700は、図示しない扉開閉検知センサ、メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82の出力に基づき遊技機のエラー判定を行い、エラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(例えば、操作を受け付けない状態)にする。
図示しない扉開閉検知センサは、前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたことを検知するセンサであり、例えばマイクロスイッチや接点などの電気的スイッチである。当該スイッチは前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたときに、前扉130(上扉130U、下扉130L)の裏側にスイッチの作用部が当接することでオン(又はオフ)になり、前扉130(上扉130U、下扉130L)が開放されると作用部が離れてオフ(又はオン)になるものである。扉開閉検知センサは、フォトインタラプタのような光学式のものでもよい。メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82については前述した。
エラー処理部1700は、具体的には次のような動作を行う。
・図示しない扉開閉検知センサの出力に基づき前扉130(上扉130U、下扉130L)の開放を検知したとき、エラー処理を行う。
・メダルセンサS1及びS2の出力に基づきメダルの逆流(センサS1とS2の検知順序が反対になったこと)、メダル滞留(センサS1とS2の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)などを検知したとき、エラー処理を行う。
・メダル検出部82の出力に基づきメダル詰まり(メダル検出部82の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)、ホッパーエンプティ(ホッパ駆動部80を動作させているにもかかわらずメダル検出部82がメダルを検知しない)などを検知したとき、エラー処理を行う。
エラー処理部1700は、上記のようにエラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(エラー状態)にするが、この状態は図示しないリセットスイッチにより解除される。リセットスイッチは、例えば電源部205のパネルに設けられる。
なお、サブ基板20で生じるエラーもある。このエラーでは遊技不能状態にはならないが、サブ基板20自身の処理によりエラーが生じたことを液晶表示装置などにより報知することができる。当該エラーは例えば不正なコマンドを受信したとき(暗号化されたコマンドが正しく復号化できなかったときを含む)に発生し、当該エラーは上記リセットスイッチにより解除される(メイン基板10からサブ基板20へリセットコマンドが送られる)。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備えるが、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンの回胴40a〜40cの駆動に関して、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
10CGは、サブ基板20へ送るコマンドを送信するコマンド送信部である。このコマンドには、当選役の情報に関するコマンド、メダル投入枚数やクレジット枚数(貯留枚数)の情報に関するコマンドなどがある。コマンド送信部10CGは、具体的には、メイン基板10に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。コマンド送信については、後に説明を加える。
<サブ基板>
サブ基板20には、液晶パネルLCD1及びLCD2、LED基板202B及び202L、スピーカSP、低音スピーカSPL、ソレノイドSN、モータMU及びML、センサSENU及びSENL、スイッチSWが接続されている。LED基板202B、202Lは、データを取得し保持するラッチと電飾であるLEDを内蔵している(LEDは基板の外部に設けられることもある)。これらの構成要素は、サブ基板20により制御されるものであり、映像、光、音響、可動体の動作により演出を行う出力装置、あるいは、可動体の動作を検知するための入力装置または遊技者による操作を受け付ける入力装置である。
サブ基板20は、液晶パネルLCD1及びLCD2を制御するためのビデオコントローラ(VDC)、スピーカSP、低音スピーカSPLを駆動して音響を発生させるためのサウンドコントローラ、ソレノイドSN、モータMU及びMLを駆動するための駆動回路を内蔵している。
上述した液晶パネルなどの構成要素は、低音スピーカSPLを除き、スロットマシン筐体120に内蔵される機種固有ブロックBB、上扉130Uに対応して設けられる上扉ブロックBU、下扉130Lに対応して設けられる下扉ブロックBLの3つのいずれかに区別されて設けられる。
図3の例では、機種固有ブロックBBはソレノイドSN及びLED基板202Bを含み、上扉ブロックBUは、液晶パネルLCD1、モータMU及びこれによる可動体の動作を検知するセンサSENUを含み、下扉ブロックBLは、液晶パネルLCD2、スピーカSP、LED基板202L、モータML、これによる可動体の動作を検知するセンサSENL、カーソルキーなどのスイッチSWを含む。なお、液晶パネルLCD2全体がモータMLにより若干前後に移動可能に構成され、液晶パネルLCD2が前に出た状態で遊技者がこれを押すという操作が可能な場合がある。この場合、下扉ブロックBLのスイッチSWは液晶パネルLCD2の操作を検知するスイッチを含む。
<メイン基板からサブ基板へのコマンド伝送>
サブ基板20はメイン基板10からコマンドをうけ、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、例えば、予め定められた画面を液晶パネルLCD1、LCD2に表示させるためのコマンド(表示コマンド、描画コマンド)を生成する。例えば、アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する。
図3において、20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信するコマンド受信部である。コマンド受信部20CRは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
上記コマンドとして、サブ基板20側のソフトウエアで当選内容を示唆する演出を行うためのものがある。例えば、下記ATのように、出玉を得るための示唆を液晶表示装置に表示して遊技者の操作の便宜の提供(アシスト)を図っている。当該示唆は常時出されるわけではなく、特定の場合に出される。
遊技機は、液晶表示装置、スピーカや表示ランプ等からなる演出表示装置を備える。この演出表示装置はサブ基板20により制御され、遊技者に入賞等を報知したり、いわゆるアシストタイム(AT)において、一定ゲーム間に特定の小役を台自体が何らかのアクションを伴ってユーザに教えたりするためのものである。(アシストタイム(AT):特定の小役が成立しても遊技者がリールの図柄を揃えないと払い戻しがない。小役による払い出しを確実にするために、ビッグボーナス終了後(もしくは成立時)あるいはその他の任意の契機にアシストタイムを抽選し、これに当選すると一定ゲーム間は特定の小役を揃えさせるための操作を何らかのアクションを伴って遊技者に教えるという機能)
コマンド受信部20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信する。例えば、シリアルデータとして受けたコマンドを直列−並列変換器(シフトレジスタ)に入力し、一定のデータ(例えば8ビット)ごとに出力する。この出力されたデータがコマンドとしてサブ基板20のCPUに渡され、解釈・実行される。
次に、メイン基板10における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップスイッチ140が操作されることにより、ストップスイッチ140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち操作されたストップスイッチ140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個のリールに対応するストップスイッチ140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップスイッチ140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
図5は、発明の実施の形態に係るスロットマシンのコマンド送信系統を示すブロック図である。図5は、図3のブロック図のうちで発明の実施の形態に係るコマンド送信系統を抜き出したものである。図5の各要素のうち、コマンドバッファ2200はメモリICなどのハードウエアで実現されるものであるが、その他はハードウエアで実現することもできるが、主にメイン基板10又はサブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
1020は、スタートスイッチ134、ストップスイッチ140及びベットスイッチBET(以下、これらを「第1入力操作部」)からの操作信号をコマンドに変換する第1入力操作コマンド変換部である。コマンド変換は公知であるので、その詳細な説明は省略する。
10CGは、コマンドをサブ基板20へ送信するコマンド送信部である。
20CRは、メイン基板10からコマンドを受信するコマンド受信部である。以下、コマンド受信部20CRで受信したコマンドを「第1入力操作コマンド」と記すことがある。
2200は、前記第1入力操作コマンド及び後述の第2入力操作コマンドを保存するコマンドバッファである。コマンドバッファ2200は例えば図7(a)に示すような一次元配列の記憶手段であり、書き込まれた順に読み出される先入れ先出しメモリ(FIFO : first-in first-out)である。図7(a)のように、コマンドバッファ2200には第1入力操作コマンドと第2入力操作コマンドが、それらの到着順に書き込まれている。到着順は遊技者の操作によるから、次に読みだすコマンドが第1入力操作コマンドと第2入力操作コマンドのいずれであるか予測はできない。このためコマンド振分部2300が必要となる。
2300は、コマンドバッファ2200から読み出される第1入力操作コマンドを第1処理部2400に与え、第2入力操作コマンドを第2処理部2500に与えるコマンド振分部である。コマンド振分部2300は、コマンドバッファ2200から書き込み(例えば500μs)よりも長い所定間隔(例えば16ms〜32ms)でコマンドを読み出す。
コマンド振分部2300は読み出したコマンドの種類に応じ、対応する処理部へコマンドを渡すという能動的な処理を行うものであるが、これに限らず、処理部が自分に必要なコマンドを受けて処理するようにしてもよい。例えば、第1処理部2400及び第2処理部2500が能動的にコマンドバッファ2200からコマンドを読み出し、自分に必要なコマンドであれば所定の処理を行い、そうでなければ当該コマンドを無視するようなものでもよい。この場合、コマンド振分部2300は独立した要素ではなく、第1処理部2400及び第2処理部2500のプログラムに含まれていると考えることができる。コマンド振分部2300が独立して、あるいは明示的な機能として存在することは必須ではない。
2400は、第1入力操作コマンドに基づき予め定められた処理、例えば液晶パネルの画像表示、音響の発生、電飾の点滅などを行う第1処理部である。
2500は、下記の第2入力操作コマンド変換部2600で変換した第2入力操作コマンドに基づき予め定められた処理、例えば液晶パネルの画像表示、音響の発生、電飾の点滅などを行う第2処理部である。
2600は、図3でサブ基板20に接続されているスイッチSW(以下、これを「第2入力操作部」)からの操作信号をコマンドに変換する第2入力操作コマンド変換部である。以下、第2入力操作コマンド変換部2600で変換したコマンドを「第2入力操作コマンド」と記すことがある。
第1処理部2400と第2処理部2500は演出に係る処理を行う点で共通するが、第1処理部2400は第1入力操作部の操作信号に基づき処理を行い、第2処理部2500は第2入力操作部の操作信号に基づき処理を行う点で相違する。なお、第1処理部2400と第2処理部2500の区別は、コマンド振り分けを説明するための便宜上のものであって、ひとつの処理が第1処理部2400と第2処理部2500を兼ねることもある。例えば、ある処理で第1入力操作コマンドと第2入力操作コマンドの両方を必要とすることもある。また、あるタイミングでは第1処理部2400として動作するが、他のタイミングでは第2処理部2500として動作するというものでもよい。
図6は、発明の実施の形態に係るスロットマシンのコマンド送信系統の処理フローチャートである。この図を参照して、図5の装置の動作について説明を加える。
図6では省略しているが、メイン基板10の第1入力操作コマンド変換部1020が、第1入力操作部からの操作信号を予め定められた形式のコマンド(例えば5バイト)に変換し、メイン基板10のコマンド送信部10CGがコマンドを送信する。これらの処理は公知であるので、その詳細な説明は省略する。そして、サブ基板20のコマンド受信部20CRが、メイン基板10からのコマンドを受信する。
以下のST10以降の処理は、全てサブ基板20の処理である。
ST10:コマンド判別部2100が、コマンド受信部20CRで受信したコマンドを判別する。すなわちコマンドが適正なものであるかどうか、ノイズなどによりデータに異常が生じていないか、不正に作成されたものではないか、などを判別する。この処理には所定の時間を要するので、判別処理はコマンド送信とともに遅延時間(図8の符号TD)の原因となる。
ST11:コマンドが適正であれば、コマンド判別部2100は当該コマンドをコマンドバッファ2200に書き込む。この書き込みは例えば500μs間隔で行われる。適正でなければ当該コマンドは破棄(無視)する。
ST20:第2入力操作コマンド変換部2600が、第2入力操作部からの操作信号を予め定められた形式のコマンド(例えば5バイト)に変換する。操作信号をデータとしてコマンドバッファ2200に書き込むだけであれば1バイトですむ(データ送信のためのヘッダなどは不要)。しかし、コマンドの形式は同じであるほうがコマンド振分部2300などにおける処理が簡単になるので、第1入力操作コマンド及び第2入力操作コマンドは同じ形式としている。
ST21:第2入力操作コマンド変換部2600が、第1操作コマンドが書き込み中(コマンドバッファ2200がビジー)であるかどうか調べ、書き込み中であれば、生成した第2入力操作コマンドを破棄する(ST23)。メイン基板10からの第1入力操作コマンドのほうが、サブ基板20の第2入力操作コマンドよりも優先度が高いので、両者が競合したときは第1入力操作コマンドを優先している。
ST22:第2入力操作コマンド変換部2600が、コマンドバッファ2200が満杯(フル)であるかどうか調べ、書き込み中であれば、生成した第2入力操作コマンドを破棄する(ST23)。
ST23:書き込み可能であれば、第2入力操作コマンド変換部2600で生成した第2入力操作コマンドをコマンドバッファ2200に書き込む。
図7は、ST10〜ST23による処理の例を示す。図7(b)の時刻1でコマンド判別部2100がコマンド「第1操作a」を書き込み、時刻1の後の時刻2で第2入力操作コマンド変換部2600がコマンド「第2操作a」を書き込み、時刻2の後の時刻3でコマンド判別部2100がコマンド「第1操作b」を書き込む。この結果、図7(a)に示すように、コマンドバッファ2200の先頭から順に「第1操作a」「第2操作a」「第1操作b」が書き込まれる。
図7(b)の時刻4でコマンドバッファ2200に対して「第1操作c」と「第2操作b」が競合している。このとき、図6のST21でYESとなり「第2操作b」は破棄される。この結果、図7(a)に示すように、コマンドバッファ2200の「第1操作b」の後に「第1操作c」が書き込まれる。
次にST30〜ST33について説明を加える。
ST30:コマンド振分部2300が、コマンドバッファ2200の先頭のコマンド(最古のコマンド)を読み出す。
ST31:コマンド振分部2300が、コマンドの種別、すなわち、第1処理部2400が処理すべきコマンド、第2処理部2500が処理すべきコマンドのいずれであるかを判別する。判別結果に応じ、対応する処理部へコマンドを渡す(ST32、ST33)。上記例によれば、「第1操作」であれば第1処理部2400へ、「第2操作」であれば第2処理部2500へコマンドを送る。
図8は、発明の実施の形態に係るスロットマシンのコマンド送信系統の動作説明図(タイミングチャート)である。この図を参照して発明の実施の形態による作用効果を説明する。
第1入力操作信号が第1処理部2400に渡されるまでに上記のような手順を踏むのでコマンド変換・送信に所定の時間を要する(図8の符号TD)。これに対し、第2入力操作信号が第2処理部2500に渡されるまでの時間も同じ時間TDを要する。これは第2入力操作コマンド変換部2600が第2入力操作信号をコマンドに変換する際に所定の時間を要することに対応する。第1入力操作コマンド変換部1020と第2入力操作コマンド変換部2600におけるコマンド変換に要する時間が同じであるとすると、第1入力操作コマンドについてはメイン基板10からサブ基板へのコマンド伝送、及び、コマンド判別部2100によるチェックの時間の分、余計に時間がかかる。したがって、第2入力操作コマンド変換部2600による第2入力操作コマンドの生成に要する時間を、第1入力操作コマンド変換部1020による第1入力操作コマンドの生成に要する時間よりもメイン基板10からサブ基板20へのコマンドの送信に要する時間(加えてコマンド判別に要する時間)程度長くすると、両者の時間TDが一致する。
なお、コマンドの送信に要する時間がコマンドの変換に要する時間よりも短く、無視できるのであれば、第1入力操作コマンド変換部1020の処理時間と第2入力操作コマンド変換部2600の処理時間を同じにしてもよい。
図8(a)のように、第1入力操作信号が時刻t1で発生し、その後、第2入力操作信号が時刻t3で発生したような場合、いずれも時間TDだけ遅れ、第1処理部2400の処理は時刻t2、第2処理部2500の処理は時刻t4(>t2)で行われる。すなわち、第1処理部2400、第2処理部2500という正しい順序で処理が行われる。
図8(b)は、操作の間隔が短い場合を示す。第1入力操作信号が時刻t1で発生し、その後、第2入力操作信号が時刻t5で発生し、いずれも時間TDだけ遅れ、第1処理部2400の処理は時刻t2、第2処理部2500の処理は時刻t6(>t2)で行われる。この場合も、第1処理部2400、第2処理部2500という正しい順序で処理が行われる。したがって、発明の実施の形態によれば、処理の順序が逆になることがない(従来例については図13(b)及びその説明参照)。
発明の実施の形態によれば、サブ基板に操作信号を入力する第2入力操作部からの操作信号をコマンドに変換する第2入力操作コマンド変換部を備え、メイン基板に操作信号を入力する第1入力操作部からの操作信号(コマンド)とタイミングを合わせるようにしたので、遊技者の操作順序に従ってサブ基板に操作信号を入力することができ、当該操作信号に関する処理を簡単にでき、プログラムが作成しやすく、コスト削減にもつながる。
図9は、発明の実施の形態に係る他のスロットマシンのコマンド送信系統を示すブロック図である。
図5のコマンドバッファ2200は一次元配列の記憶手段であり、コマンドを一列に記憶していたが、図9のコマンドバッファ2200は第1入力操作コマンドと第2入力操作コマンドそれぞれを記憶する2つのコマンドバッファ2200aと2200bを備える。このような構成ではコマンド保存の競合が生じることがなく、したがってコマンド(第2入力操作コマンド)が失われることがなくなる。反面、読み出しタイミングがずれると、例えば第1処理部2400又は第2処理部2500の一方の処理が遅れた時などに第1入力操作コマンドと第2入力操作コマンドの順序が逆転する可能性が生じる。コマンドの順序の逆転が低頻度であれば許容できる場合には、図9の構成を採用することができる。
図10は、発明の実施の形態に係る他のスロットマシンのコマンド送信系統を示すブロック図である。図11は、発明の実施の形態に係る他のスロットマシンのコマンド送信系統の処理フローチャートである。
図10及び図11において、図5及び図6と同一又は相当する部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
2700は、第1入力操作コマンドの保存と第2入力操作コマンドの保存が競合したときに(図11のST21でYES)、第2入力操作コマンドを補助コマンドバッファ2800に保存するとともに、第1入力操作コマンドの保存が終了した後に補助コマンドバッファ2800から第2入力操作コマンドを読み出してコマンドバッファ2200に保存する同時アクセス回避処理部である。
2800は、第2入力操作コマンドを一時的に保存する補助コマンドバッファである。
図6の処理では、コマンド保存の競合が生じたとき第2入力操作コマンドを破棄していたが、図11の処理では当該第2入力操作コマンドを一旦、補助コマンドバッファ2800に退避させている(ST25)。
そして、コマンド保存が競合しているかどうか判定し(ST40)、競合していれば(ST40でNO)所定時間待機し(ST41)、コマンド保存の競合が解消したら(ST40でYES)、補助コマンドバッファ2800から第2入力操作コマンドを読み出し(ST42)、コマンドバッファ2200に保存する(ST43)。
図10及び図11によれば、第2入力操作コマンドの喪失を防止することができる。図10及び図11によれば、競合した場合は常に第2入力操作コマンドが後になる。必要に応じて、これを前提に第2処理部2500は処理を行う。
なお、図10では第2入力操作コマンドを、補助コマンドバッファ2800を経由して同時アクセス回避処理部2700に渡していたが、第2入力操作コマンドを直接同時アクセス回避処理部2700に渡し、そこで競合していると判断したときのみ、補助コマンドバッファ2800に書き込むようにしてもよい。
図12は、発明の実施の形態に係る他のスロットマシンのコマンド送信系統を示すブロック図である。
図12において、図5、図9及び図10と同一又は相当する部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
図5、図9及び図10では、第1入力操作部の操作信号に基づき処理を行う第1処理部2400と、第2入力操作部の操作信号に基づき処理を行う第2処理部2500を備えているが、図12では、第1入力操作部及び第2入力操作部の操作信号を処理する処理部2550を備える。処理部2550はコマンドバッファ2200から読み出したコマンドが第1入力操作部の操作信号、第2入力操作部の操作信号いずれであるか判定し、判定結果に基づき各操作信号に対応して所定の処理を行う。図12では、処理部2550がひとつなのでコマンド振分部2300は不要である。
コマンドバッファ2200は、第1入力操作部の操作信号を優先して受け入れる。すなわち、第1入力操作部の操作信号と第2入力操作部の操作信号が競合したとき(同時に格納要求を受けたとき)は第1入力操作部の操作信号を受け入れる。このとき第2入力操作部の操作信号は破棄される(図6のST24)。あるいは、第2入力操作コマンドを一旦、補助コマンドバッファ2800に退避させている(図11のST25)。
これに対し、図13は第2入力操作部の操作信号を一時保留し、その後コマンドバッファ2200への書き込みを試みる例を示す(ST24’)。例えば、第2入力操作コマンド変換部2600は、コマンドバッファ2200からの通知・応答などに基づき競合したことを知ったとき、タイマーを起動し、予め定められた所定の時間あるいは乱数に基づき定めたランダムな時間を待機し、その経過後再度書き込みを試みる。
図13によれば、第1入力操作部の操作信号の書き込みが終わっていれば第2入力操作部の操作信号を書き込むことができ、これが失われることがない。図13によれば、競合した場合は常に第2入力操作コマンドが後になる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。