<遊技機の構造>
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉130の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
液晶表示装置LCDの位置には可動体50が設けられている。可動体50は2つのシャッター(可動体要素)51L及び51Rを備える。2つのシャッター51L及び51Rは演出に従い左右に動き、液晶表示装置LCDを隠す。同図では、2つのシャッター51L及び51Rがそれぞれ左右に一杯に開き、液晶表示装置LCDが露出している(遊技者が画面をみることができる)状態を示している。
ストップボタン140とメダル投入口132の間、具体的には、右端のストップボタン140の右上側、かつ、メダル投入口132の左側には、操作部としてのジョグダイヤルPANが設けられている。
ジョグダイヤルPANは、図5(a)に示すように、左右に回転可能に設けられたリング状の部分であるダイヤルJDと、当該リングの回転中心に設けられた押しボタンスイッチPHSWの2つの部分を備える。遊技者は、ジョグダイヤルPANのダイヤルJDを左右に回すことができるとともに、その中心頂部の押しボタンスイッチPHSWを押下することができる。図示しないが、当該押しボタンスイッチPHSWの内部には発光素子が設けられ、例えば、押下時に点灯する。ダイヤルJDは複数のステップ(例えばステップ数=30、その角度=12度)で回転するようになっている。ダイヤルJDの回転方向及び/又は回転量(角度)、並びに押しボタンスイッチのオンオフに応じて所定の演出が行われる。
ジョグダイヤルPANは、図5(b)に示すように、押しボタンスイッチPHSWとともに、ダイヤルJDの回転を検知するための2つのセンサ[1]JS1と[2]JS2を備えている。回転に応じてセンサ[1]JS1と[2]JS2はH/Lの2つのデジタル信号を出力する。これについては後にさらに説明を加える。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は本実施の形態を適用し得る遊技機の一例としてのスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部(図2の電源部205)を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
<メイン基板>
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(図示しないリールインデックスによって特定されるコマ)からの回転角度を求める(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップボタン140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップボタン140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
抽選テーブル選択処理により、抽選の内容は所定の範囲内で設定可能(当選の確率を高くしたり低くしたりできる)であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定の変更(以下、「設定変更」と記す)と称している。
従来、例えばスロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の前扉130を開け、電源部205に設けられた設定変更キースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更ボタン(押ボタン)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段1100から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
回胴制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータ155a〜155cにより回転駆動して、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータ155a〜155cにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータ155a〜155cへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。滑りコマ数とは、回胴停止時にゲーム表示部から視認できる特定の図柄を基準位置としたときのストップボタン140の操作から対応する回胴の回転停止までの間に当該基準位置を通過する図柄の数をいう。回胴制御手段1300は、各ストップボタン140の操作から190ms以内という条件下で各回胴を停止させるため、滑りコマ数は0以上4以下の範囲内となっている(ただし、80回転/分、図柄数=21個の条件において)。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
前述のように、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組み合わせが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップボタン140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。
エラー処理部1700は、図示しない扉開閉検知センサ、メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82の出力に基づき遊技機のエラー判定を行い、エラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(例えば、操作を受け付けない状態)にする。
図示しない扉開閉検知センサは、前扉130が閉じられたことを検知するセンサであり、例えばマイクロスイッチや接点などの電気的スイッチである。当該スイッチは前扉130が閉じられたときに、前扉130の裏側にスイッチの作用部が当接することでオン(又はオフ)になり、前扉130が開放されると作用部が離れてオフ(又はオン)になるものである。扉開閉検知センサは、フォトインタラプタのような光学式のものでもよい。メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82については前述した。
エラー処理部1700は、具体的には次のような動作を行う。
・図示しない扉開閉検知センサの出力に基づき前扉130の開放を検知したとき、エラー処理を行う。
・メダルセンサS1及びS2の出力に基づきメダルの逆流(センサS1とS2の検知順序が反対になったこと)、メダル滞留(センサS1とS2の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)などを検知したとき、エラー処理を行う。
・メダル検出部82の出力に基づきメダル詰まり(メダル検出部82の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)、ホッパーエンプティ(ホッパ駆動部80を動作させているにもかかわらずメダル検出部82がメダルを検知しない)などを検知したとき、エラー処理を行う。
エラー処理部1700は、上記のようにエラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(エラー状態)にするが、この状態は図示しないリセットスイッチにより解除される。リセットスイッチは、例えば電源部205のパネルに設けられる。
なお、サブ基板20で生じるエラーもある。このエラーでは遊技不能状態にはならないが、サブ基板20自身の処理によりエラーが生じたことを液晶表示装置などにより報知することができる。当該エラーは例えば不正なコマンドを受信したとき(暗号化されたコマンドが正しく復号化できなかったときを含む)に発生し、当該エラーは上記リセットスイッチにより解除される(メイン基板10からサブ基板20へリセットコマンドが送られる)。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備えるが、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつずつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
10CGは、サブ基板20へ送るコマンドを送信するコマンド送信部である。このコマンドには、当選役の情報に関するコマンド、メダル投入枚数やクレジット枚数(貯留枚数)の情報に関するコマンドなどがある。コマンド送信部10CGは、具体的には、メイン基板10に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。コマンド送信については、後に説明を加える。
次に、メイン基板10における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1回胴40a〜第3回胴40cの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1回胴40a〜第3回胴40cのうち押下されたストップボタン140に対応する回胴について回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個の回胴40a〜40cに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個の回胴40a〜40cに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
<メイン基板からサブ基板へのコマンド伝送>
サブ基板20はメイン基板10からコマンドを受け、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、例えば、予め定められた画面を液晶表示装置LCDに表示させるためのコマンド(液晶表示装置用コマンド、描画コマンド)を生成する。例えば、アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する。
図3において、20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信するコマンド受信部である。コマンド受信部20CRは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
上記コマンドとして、サブ基板20側のソフトウエアで当選内容を示唆する演出を行うためのものがある。例えば、下記ATのように、出玉を得るための示唆を液晶表示装置に表示して遊技者の操作の便宜の提供(アシスト)を図っている。当該示唆は常時出されるわけではなく、特定の場合に出される。
遊技機は、液晶表示装置、スピーカや表示ランプ等からなる演出表示装置を備える。この演出表示装置はサブ基板20により制御され、遊技者に入賞等を報知したり、いわゆるアシストタイム(AT)において、一定ゲーム間に特定の小役を台自体が何らかのアクションを伴ってユーザに教えたりするためのものである。(アシストタイム(AT):特定の小役が成立しても遊技者が回胴の図柄を揃えないと払い戻しがない。小役による払い出しを確実にするために、ビッグボーナス終了後(もしくは成立時)あるいはその他の任意の契機にアシストタイムを抽選し、これに当選すると一定ゲーム間は特定の小役を揃えさせるための操作を何らかのアクションを伴って遊技者に教えるという機能)
図5(c)は、本実施の形態に係るコマンド送信部10CGのブロック図である。
101は、送信する前記コマンドを受け入れるコマンドレジスタである。コマンドレジスタ101は、コマンドを受けたらすぐに送信データレジスタ102へ送る。コマンドレジスタ101はひとつのコマンドを一時的に蓄えるものである。
コマンドは、所定ビットのひとまとまりのデータ、例えば8ビット単位のデータのセットであって、所定のコマンド体系に基づき作成されているものである。
102は、受け入れた順番で複数のコマンドを記憶するとともに、受け入れた順番に従って出力する送信データレジスタ(送信FIFO)である。
103は、送信データレジスタ102からコマンドの出力を受けてこれをサブ基板20へ送信する送信用シフトレジスタである。
メイン基板10は、生成したコマンドをコマンドレジスタ101にセットすることでサブ基板20へ送信する。
コマンド受信部20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信する。例えば、シリアルデータとして受けたコマンドを直列−並列変換器(シフトレジスタ)に入力し、一定のデータ(例えば8ビット)ごとに出力する。この出力されたデータがコマンドとしてサブ基板20のCPUに渡され、解釈・実行される。
<サブ基板>
サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。さらに、可動体50を制御する可動体制御部60が接続されている。
また、遊技者により操作される操作部PANの出力が接続されている。操作部PANは、例えばジョグダイヤルである。操作部PANからの信号は、図示しないI/Oを通じてサブ基板20のCPUに入力される。
図6は、サブ基板20とその周辺基板の接続の説明図である。図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202、可動体制御部60が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
これら複数の周辺基板は、図6のように接続されている(LED基板202と可動体制御部60の表示は省略している)。すなわち、複数の周辺基板が共通のバス(通信回線、通信路)に接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。以下の説明ではシリアル通信を例にとる。なお、図6の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
液晶制御基板200はVDP(Video Display Processor)を内蔵し、スピーカ基板201はサウンドコントローラを内蔵している。VDPとサウンドコントローラについては後に説明する。
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予め定められたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
スピーカ基板201も、液晶制御基板200と同様に動作する。
以下の説明では、送信先を特定することなく、液晶制御基板200、スピーカ基板201などの任意の送信先について適用する動作であるとき、主に「周辺基板」という用語を用いる。どの周辺基板へのデータ送信であるか特定する必要があるときは、「液晶制御基板200」というように具体的に特定するものとする。
周辺基板へのデータ送信に際して、サブ基板20は0又は1のデータが複数集まったデータ(例えば8ビットのデータ)を単位として処理を行う。また、サブ基板20は周辺基板へ、これに所定の動作を行わせるためのコマンド(命令)を送信するが、本明細書において上記データにはコマンドを含む。なお、コマンドは、所定ビットのひとまとまりのデータ、例えば8ビット単位のデータのセットであって、所定のコマンド体系に基づき作成されているものである。
以下の説明では主に「データ」という用語を用いるが、周辺機器への命令であることを明確にするために「コマンド」という用語を用いることもある。
液晶制御基板200、スピーカ基板201などの周辺機器へデータを送るために、サブ基板20はデータ送信部20TXを備える。
図7は、データ送信部20TXの内部ブロック図を示す。データ送信部20TXは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
2101は、周辺基板へ送信するデータを受け入れるデータレジスタ(コマンドレジスタ)である。データレジスタ2101は、データを受けたらすぐに送信データレジスタ2102へ送る。データレジスタ2101はひとつの単位のデータを一時的に蓄えるものである。なお、データの内容は公知であるので、送信されるデータがどのようなものであるかについての説明は省略する。
2102は、受け入れた順番で複数のデータを記憶するとともに、受け入れた順番に従って出力する送信データレジスタである。
2103は、送信データレジスタ2102からデータの出力を受けてこれを周辺基板へ送信する送信用シフトレジスタである。送信用シフトレジスタ103は、送信すべきデータをパラレルからシリアルへ変換する。
図8は、データ(コマンド)送信とこれを受けた液晶制御基板200とスピーカ基板201の動作の概略の説明図である。
サブ基板20は、液晶制御基板200とスピーカ基板201それぞれへ画像データと音声データを送る(符号PとR)。画像データを受けて液晶制御基板200は所定の画面を表示し(符号Q)、音声データを受けてスピーカ基板201は所定の音声を発生する(符号S)。音声に限らずBGM、効果音などその他の音響も発生するが、便宜上これらも音声に含める。音声・音声データは、音響・音響データと言える。特に断らない限り、本明細書において「音声」には、通常の意味の音声とともにBGM、効果音などその他の音響も含むものとする。
また、サブ基板20は、可動体制御部60へ可動体50の制御データを送る(符号TとU)。
図8からわかるように、サブ基板20によるコマンド送信−>周辺基板によるコマンドの実行・画面表示や音声発生などの提示という流れになっている。サブ基板20が制御できるのはどのようなコマンドをどの周辺基板へ、どのタイミングで送るということであり、画面表示や音声発生などの提示をどのタイミングで行え、ということは指定できない。このためコマンドの送信タイミングは、周辺基板ごとに適切に管理する必要がある。
<画面表示と音声発生に係る構成>
遊技機における画面表示と音声発生に係る構成について説明を加える。以下の説明においては便宜上、メモリ上に描画されたものを画像と表示し、メモリを読み出して液晶表示装置LCDに表示すべきものを画面と表記することにする。概ね、ビットマップで表現されたキャラクタなどのオブジェクトは画像であり、オブジェクトが背景上に配置されて1枚の絵となったものは画面である。
図9は、VDPの構造の概略図である。VDPは、液晶制御基板に設けられたLSIであり、CPUとのインタフェースI/F、CPUからのコマンドに従い画像を描画する描画エンジンE1、描画した画像を記憶するビデオメモリVRAM、及び、ビデオメモリVRAMに記憶された画像を読み出して液晶表示装置LCDへ送る表示エンジンE2を備える。これらの各要素は、内部のバスBUSに接続され、相互にデータを読み書きできるようになっている。インタフェースI/Fは、CPUからコマンドなどのデータを受けるとともに、表示エンジンE2などからの割り込み信号をCPUへ出力することもできる。このVDPは、例えば、XGAサイズの解像度(1024×768ピクセルの解像度)で毎秒60フレームの描画及び表示が可能である。
毎秒60フレーム(=60fps)で描画及び表示する場合、1フレームの時間は16.67msである。これをフレーム時間と記すことにする。また、2つの連続するフレームをVフレームと呼ぶことにする。フレーム×2=Vフレーム×1である。Vフレームの時間は33.33msであり、その画面更新レート(更新周波数)は30fpsである。フレーム、Vフレームは、表示の単位及び処理の単位であるが、以下の説明においては、当該フレーム、Vフレームにおけるデータ、処理結果(描画された画像)、液晶表示装置LCDに表示された画像を意味することがある。例えば、Vフレーム1などのように数字(符号)が付されている場合は、特定のVフレームを示すと共にこれに対応する描画データ、画像データ、表示データを意味することがある。
液晶表示装置LCDの制御は、描画データ(液晶表示装置に対するコマンド、動画デコード情報などを含む)の保存、描画データに基づく描画実行、描画された画像の表示実行の3段階で行われる。すなわち、CPUがVDPへ描画データを送り、VDPの描画エンジンE1が描画を実行し、表示エンジンE2が液晶表示装置LDCでの画像表示を行う。この3段階の処理はそれぞれ並列(独立)に実行される。画像表示までに3段階を要するため、ある画像が表示されているタイミング(Vフレーム)において、描画実行は次のVフレームで表示されるべき画像を描画し、描画データの保存は次の次のVフレームで表示されるべき画像を保存していることになる。その様子を図10に示す。
描画データの保存、描画実行、及び、表示実行は、ひとつのVフレームについて1回の周期で実行判定がなされる。言い換えれば、描画データの保存(第1処理)、描画実行(第2処理)、表示実行(第3処理)は、それぞれVフレームを単位として実行される(正確には、Vフレームに含まれるフレーム単位で処理が行われる、例えば、Vフレーム更新中にデータ入力があった場合、Vフレームの2つのフレームの一方において入力されたデータに係る描画データの保存、描画実行、表示実行が行われる)。したがって、本遊技機の液晶表示装置LCDの更新周波数は30fpsである。なお、これは原則であって、fpsは処理状況に応じて変化し得る。
描画データを保存してからその表示を実行するまでには、2つのVフレームに相当する時間を要する。例えば、図10では、符号T1で書き込んだ描画データは、それよりもVフレーム2つ分遅れた符号T3において表示される。ただし、描画データの保存、描画実行、表示実行はそれぞれ並列に実行されるため、液晶表示装置LCDの画像はVフレーム単位で更新される。図10の例では、表示に関して、符号T3,T4、・・・においてVフレーム1、Vフレーム2、・・・のように更新されている。
図11は、サウンドコントローラSCの内部ブロック図を示す。同図は概念図であり、動作の説明に必要な部分のみを示している。
SC1は、予め再生の順番が定められ、続けて再生される複数のサウンドデータを含むフレーズデータを予め記憶するフレーズデータ記憶部である。
SC2は、フレーズデータをデコードして音響を再生するデコーダである。デコーダは、所定のサウンドデータ(例えばWAV)を音響に戻すものであり、この処理は公知であるので説明は省略する。
SC3は、デコーダSC2で再生された音響の音量を調整する音量調整部である。音量調整部SC3はデジタル又はアナログ回路で構成される。その入力がデジタル信号のときはデジタル回路、例えば乗算器で構成され、ボリュームの値を音響デジタルデータに乗算することで音量を調整する。その入力がアナログ信号のときはアナログ回路、例えば増幅器で構成され、当該増幅器の増幅率(可変抵抗器)を変えることで音量を調整する。音量調整部SC3の出力はスピーカSPへ送られる。
図12(a)はフレーズデータ記憶部SC1の記憶内容の概略を示すものである。演出A,B,C,D,・・・のように複数の演出があるときそれぞれに対応してサウンドフレーズ(音声データ)を記憶している。サウンドフレーズの数には上限があり、例えば255個のサウンドフレーズを記憶することができる。
図12(b)は演出Aの音声データ(例えばWAV)の構造を示すものである。演出Aは3つのサウンド、すなわち第1サウンド(カットイン音)、第2サウンド(キャラボイス)、第3サウンド(発展音)から構成されている。
カットイン音とは、あるショット(場面)に別のショットを挿入するカットインに対応付けられているサウンドである。キャラボイスとは、画面に表示されているキャラクタの台詞のサウンドである。発展音とは、演出の最後に、別の演出に発展する場合に加えられるサウンドである。
サブ基板20はスピーカ基板201へ、例えば図12(b)の演出Aのカットイン音を再生するデータ、キャラボイスを再生するデータ、発展音を再生するデータをそれぞれ送信する。これら3つのデータ(コマンド)を受けて、サウンドコントローラSCが所定のサウンドを発生する。
<可動体>
図13は、本実施の形態に係る可動体50の概略図である。同図(a)は上面図、同図(b)は正面図、同図(c)はB−B矢視断面図、同図(d)はA−A矢視断面図である。なお、同図ではステッピングモータ54を含む駆動部と、インデックス56及びインデックスセンサ57は右側のシャッター51Rにのみ示されているが、同じものが左側のシャッター51Lについても設けられている(左側のものについての図示は省略されている)。
可動体50は、左側のシャッター51L及び右側のシャッター51Rと、シャッター51L及び51Rの上端及び下端をそれぞれ摺動自在に保持する上側のレール52U及び下側のレール52Lと、可動体50の内側に下側のレール52Lと平行に設けられたラック53aと、これにかみ合うピニオン53bと、ピニオン53bがその回転軸に直接あるいは図示しない減速歯車機構を介して取り付けられたステッピングモータ54と、右側のシャッター51Rの内側に取り付けられたブラケット55(腕金・張り出し金具であるブラケット55はステッピングモータ54の取り付け台座でもある)と、右側のシャッター51Rの内側に取り付けられたインデックス56と、インデックス56を検知するインデックスセンサ57とを備える。同図では、ピニオン53b〜インデックス56を右側のシャッター51Rについて示しているが、左側のシャッター51Lについても同様の構造であり、その説明は省略する。
同図(b)は、シャッター51L及び51Rをそれぞれ両側へ一杯に開いた状態をしめしており、同図の例では当該状態においてインデックスセンサ57はインデックス56を検知する。インデックスセンサ57は、例えばフォトインタラプタのような光学式あるいはマイクロスイッチのような接触式などのセンサである。シャッター51L及び51Rの移動可能な範囲は同じであり、中間点までしか移動できない。同図(b)の0、50、100の数字は移動範囲を示す。シャッター51Lは左側の0から中央の100まで移動可能であり、シャッター51Rは右側の0から中央の100まで移動可能である。そして、インデックスセンサ57は、シャッター51L、51Rが「0」の位置に来たことを検知するものである。すなわち、図14(a)に示すように、シャッター51L、51Rが一杯に開いたとき(下限に達したとき)にその端が「0」の位置にあり、図14(b)に示すように、シャッター51L、51Rが完全に閉じたとき(上限に達したとき)にその端が「100」の位置にある。シャッター51L、51Rが完全に閉じると、液晶表示装置LCDは全く見えなくなる。
ラック53aとピニオン53bは、回転力を直線の動きに変換する機構である。ピニオン53bは小口径の円形歯車であり、ラック53aは平板状の棒に歯切りをした(歯がつけられた)ものである。ステッピングモータ54によりピニオン53bに回転力を加えると、シャッター51L,51Rがラック53a上を水平方向に動く。図13によれば、ラック53aは可動体50のフレームに固定され、ステッピングモータ54はブラケット55によりシャッター51L,51Rに取り付けられているから、シャッター51L,51Rのほうが動く。
ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。ステッピングモータのコイルに所定の順番で電流を流すことでモータの軸は回転し、逆の順番で電流を流すとモータの軸は逆回転する。
<メニュー突入・解除時の動作>
所定の操作が行われたとき又は所定の条件が成立したとき、所定の設定を行うためのメニュー画面が液晶表示装置LCDに表示されることがある。あるいは、遊技機のエラー状態を示すエラー画面が、液晶表示装置LCDに表示されることがある。これらの画面は、通常遊技に係る演出画面とは異なる特殊画面である。以下、これらの画面をまとめて「メニュー画面」と記載する。メニュー画面が表示される契機、当該画面の表示内容、当該画面における操作、メニュー画面の表示が消え、通常遊技に係る演出画面に戻る契機などは公知であるので、それらの説明は省略する。なお、メニュー画面が表示されることを「メニュー突入」と記載し、メニュー画面の表示が消えることを「メニュー解除」と記載する。メニュー突入により、通常の遊技の演出が中断され、メニュー解除により、中断されていた演出が再開される。例えば、中断直前の演出画面に戻る。あるいは、中断時の演出画面は破棄し、次の演出画面を表示するようにしてもよい。
メニュー突入時、その直前の演出態様によってはシャッター51L、51Rが液晶表示装置LCDを塞ぐような位置にあり、そのままではメニュー画面が見えなくなることがある。
このようなことを避けるために、発明の実施の形態に係る遊技機では、以下に説明するような可動体制御を行う。
図15は、発明の実施の形態に係る遊技機の演出制御系統の機能ブロック図である。図15の装置は、具体的には、サブ基板20のCPUがROMに予め記憶されたプログラムに基づき所定のROM及び/又はRAMに記憶されたデータを処理することにより実現される。
MCONは、メニュー突入及び解除に関する処理(サウンドコントローラSC、VDP、可動体制御部60に関する処理など)を行うメニュー突入・解除制御部である。メニュー突入・解除制御部MCONは、サブ基板20のCPUが行う処理の一部を実行するものである。
TBL1は、可動体を動作させるためのデータを予め記憶している可動体動作テーブルである。可動体動作テーブルTBL1は、演出において可動体50を制御するための実動作データ及びメニュー解除時に可動体50を制御するための復帰動作データを記憶している
TBL2は、VDPの画像表示に関する画像データを予め記憶している画像データテーブルである。画像データテーブルTBL2は、通常遊技に係る演出画面を表示するための演出用画像データと、メニュー画面を表示するためのメニュー画面用画像データとを含んでいる。
メニュー突入・解除制御部MCONは、概ね次のような動作を行う。
サウンドコントローラSCに対し、メニュー突入時にその動作を停止させ、メニュー解除時にその動作を再開させる。例えば、停止させられた箇所から音声を発生させる。例えば演出の音声が「待て、犯人!! ついに逮捕したぞ!!」である場合において、「待て、犯人!!」と「ついに逮捕したぞ!!」の間でメニュー突入があったとき、「待て、犯人!!」で音声発生が中断し、メニュー解除後に「ついに逮捕したぞ!!」という音声が発生する。このような場合、メニュー突入による中断があっても、発生されるはずであった全ての音声が発生される。
VDPに対し、メニュー突入時に画面表示を停止させるとともに、予め用意されていたメニュー画面を液晶表示装置LCDに表示させる。メニュー解除時にメニュー画面を消去し、再び通常遊技に係る演出画面を表示させる。例えば、停止させられた箇所から画面を表示させる。このような場合、メニュー突入による中断があっても、表示されるはずであった全ての画面が表示される。
可動体50に対し、通常遊技に係る演出動作を中断させ、シャッター51L、51Rを予め定められた所定の位置(特定位置)、例えば原点(=0)に移動させる。こうすることで、遊技者及びホール店員が液晶表示装置LCDの画面を支障なく視認できるようになる。このような動作を行わないと、シャッター51L、51Rが邪魔になり、メニュー画面を見ることができない。メニュー解除時にシャッター51L、51Rを復帰させるが、サウンドコントローラSCやVDPとは異なり、メニュー突入直前の状態に戻るわけではない。この点については、この後詳しく説明する。可動体50については、メニュー突入による中断があると、行われるはずであった全ての動作が実行させるわけではない。
図16は、可動体動作テーブルTBL1の説明図である。以下、これを参照して可動体動作テーブルTBL1の構造について説明を加える。なお、画像データテーブルTBL2及び音声データテーブルTBL3の説明は省略する。
可動体動作テーブルTBL1は、インデックス部分TBL1−1と、通常遊技に係る演出動作のための実動作データである実動作テーブルTBL1−2と、メニュー解除時の動作のための復帰動作データである復帰動作テーブルTBL1−3とを含む。
インデックス部分TBL1−1は、音響や画像による演出と連携させるため(同期をとるため)に使用される。例えば、図18(a)に示すように3種類の演出デバイスによる演出が同期して行われる。
実動作テーブルTBL1−2は、通常遊技に係る演出動作のデータであり、例えば、シャッター51L、51Rを時刻t1からt2にかけて原点(=0)から所定の位置Aまで動かすデータ、時刻t2からt3にかけて位置Aに留まらせるデータ、時刻t3からt4にかけて位置Aから原点に戻すデータ(図18(a)参照)といったものである。
復帰動作テーブルTBL1−3は、メニュー解除時の動作を規定するものである。例えば、シャッター51L、51Rを原点から位置Aに移動させるデータ(図21、図22参照)といったものである。復帰動作テーブルTBL1−3は、「何もしない」「可動体を動かさない」(図23参照)という動作のデータを含むことがある(このようなデータを「NULL」と記載することがある)。なお、NULLデータに代えて、復帰動作テーブルTBL1−3そのものを備えない(復帰動作テーブルTBL1−3が可動体動作テーブルTBL1に無い)とすることもできる。
図16の例では、1行目に可動体動作テーブル1に実動作テーブル1と復帰動作テーブル1(図21、図22のような動作を行わせるもの)が定義されている。2行目の可動体動作テーブル2も同様である。3行目の可動体動作テーブル3に実動作テーブル3と復帰動作テーブル3が定義されているが、復帰動作テーブル3はNULLでありシャッター51L、51Rは動作しない(図23)。4行目の可動体動作テーブル4には実動作テーブル4しか定義されておらず、復帰動作テーブルが無い。復帰動作テーブル4によれば、復帰動作テーブル3と同様にメニュー解除時にシャッター51L、51Rは動作しない。
次に、図17のフローチャート及び図18の説明図を参照して、復帰動作テーブルTBL1−3の作成手順について説明を加える。
図17のフローチャートは、データ作成用コンピュータなどがサブ基板20のROMに記憶させるデータを予め作成する手順であり、サブ基板20が実行する処理ではない。図18(a)は、横軸を時間とした演出内容の切り替えの説明図である。その下のグラフは可動体の時間変化を示す。図18(b)は、図17のフローチャートにより得られた復帰動作テーブルの例を示す。
ST10:可動体動作テーブルを読み出す。
図16の例では、可動体動作テーブル1、2、3、4の順に読み出す。
ST11:実動作テーブルを解析し、当該実動作テーブルにおける可動体の最終状態を判定する。
「最終状態」とは、演出を単位とする期間の最後における可動体の位置(状態)のことである。複数の演出デバイス間において演出を同期させる関係上、演出は所定の単位(期間)ごとに行われる。図18(a)の例では、画像と可動体動作の演出は同じ単位で実行される。時刻t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4がそれぞれひとつの単位である。なお、音声はそれらの単位と同一ではないが、その終期において一致しているので同期していると言える(音声は、時刻t1〜t4いずれにおいても画像・可動体と終期について一致している)。ここでは、このような単位に基づき処理を行う。
図18の例では、時刻t1〜t2における可動体動作は、シャッター51L、51Rを時刻t1からt2にかけて原点(=0)から所定の位置Aまで動かすというものである。この単位の終期は時刻t2であり、このときの可動体の位置は「位置A」(符号ア)であるから、最終状態=位置Aとなる。この動作は、例えば図16の実動作テーブル1に対応している。
時刻t2〜t3における可動体動作は、時刻t2からt3にかけて位置Aに留まらせるというものである。この単位の終期は時刻t3であり、このときの可動体の位置は「位置A」(符号イ)であるから、最終状態=位置Aとなる。この動作は、例えば図16の実動作テーブル2に対応している。
時刻t3〜t4における可動体動作は、時刻t3からt4にかけて位置Aから原点に戻すというものである。この単位の終期は時刻t4であり、このときの可動体の位置は原点(=0)(符号ウ)であるから、最終状態=原点となる。なお、原点に代えて、液晶表示装置LCDの画面を見ることのできる他の所定位置(例えば10)を採用することもできる。液晶表示装置LCDの画面を見ることのできる他の所定位置は、原点の近傍と呼ぶことができる。この動作は、例えば図16の実動作テーブル3に対応している。
ST12:ST11で判定した可動体の最終状態が原点(所定位置)であるかどうか判定し、原点(所定位置)でなければST13の処理を行い、原点(所定位置)であればST14の処理を行う。
ST13:ST11で判定した可動体の最終状態(原点以外の位置)に応じて復帰動作テーブルを作成する。
図18の例では、可動体動作テーブル1が時刻t1〜t2に該当するとして、復帰動作テーブル1として「位置Aへ移動する」という動作を指令するものを作成する。可動体動作テーブル2が時刻t2〜t3に該当するとして、復帰動作テーブル2として「位置Aへ移動する」という動作を指令するものを作成する。
このように、メニュー解除後に、中断直前の状態ではなく、中断された期間(単位)の最終状態にシャッター51L、51Rを復帰させるのは、シャッター51L、51Rの動作は、音声や画面の更新に比べて非常に多くの時間を要し、音声や画面と同じように扱うとその後の動作に支障が生じる(例えば同期が取れなくなる)という問題が生じるからである。中断された期間(単位)の最終状態にシャッター51L、51Rを復帰させることで、いわば先回りすることができて音声や画面に遅れてしまうという問題を軽減することができる。
ST14:復帰動作テーブルのデータをNULLにするか、又は、復帰動作テーブルを作成しない。
メニュー突入時、シャッター51L、51Rは原点(所定位置)に移動するから、可動体の最終状態が原点(所定位置)であれば、メニュー終了時に移動する必要がない。これに対応して、復帰動作テーブルのデータをNULLにするか、又は、復帰動作テーブルを作成しない。
ST15:以上の処理を全ての可動体動作テーブルについて行う。なお、一部の可動体動作テーブルについて処理を行うようにしてもよい。
以上の処理を、図18(a)の例について適用すると、同図(b)のような復帰動作テーブルが得られる。以下、この例を用いて発明の実施の形態に係る遊技機のメニュー突入時及び解除における動作について説明を加える。
図19は、発明の実施の形態に係るメニュー突入から解除にかけての可動体動作制御処理のフローチャートである。この処理は、メニュー突入・解除制御部MCONが実行する。
ST20:演出を実行する。例えば、図18(a)のような音声・画像・可動体を同期させつつ演出を行う。この処理は公知であるので、説明は省略する。
ST21:所定の契機が生じたとき、ST20の演出が中断され、メニュー画面に突入する(メニュー画面を表示し、これに関して選択の受付などの処理を行う)。この処理は公知であるので、説明は省略する。
ST22:可動体50が動作中であるかどうか判定する。動作中であれば(YES)、ST23及びST24の処理を実行し、動作中でなければ(NO)、それらの処理をスキップする。
ST23:可動体50の動作を破棄する。図16の実動作テーブルTBL1−2の実動作テーブルによる動作を直ちに中止する。
ST24:可動体50を原点に戻す(液晶表示装置LCDの画面を見ることのできる所定位置に移動させるようにしてもよい)。ここでの可動体50の目標位置を「特定位置」と記載することがある。
ST25:所定の契機が生じたとき、メニュー画面が解除される。この処理は公知であるので、説明は省略する。
ST26:メニュー画面突入時に実行されていた可動体動作テーブルを調べる。
ST27:当該可動体動作テーブルに復帰動作テーブルが存在するかどうか調べる。存在しないとき(NO)、ST28及びST29の処理をスキップする。
ST28:当該可動体動作テーブルに復帰動作テーブルが存在するとして、当該復帰動作テーブルの内容が無い(=NULL)であるかどうか調べる。NULLのとき(YES)、ST29の処理をスキップする。
復帰動作テーブルが存在しないケースと、復帰動作テーブルが存在してもその内容が無い(=NULL)ケースの両方がある場合は、ST27及びST28の両方が必要である。ST28が無いとすると、内容が無い復帰動作テーブルをST29で実行することになりCPUの負荷が増えてしまう。ST27が無いとすると、存在しない復帰動作テーブルを探すためにCPUの負荷が増え、最悪、処理がループに陥り、CPUがハングアップするおそれがある。
なお、復帰動作テーブルを作成する際に、復帰動作を行わせないケースとして、「存在が無い」又は「内容が無い」のいずれか一方のみとするように予め決めておけば、ST27又はST28の一方の処理で充分である。前者の場合ST28は不要であり、後者の場合ST27は不要である。
ST29:復帰動作テーブルに従って可動体50を復帰させる。具体的には、図17の処理で判定された可動体50の最終状態になるようにシャッター51L、51Rを移動させる。
ST30:中断された演出を続行する。
次に、図20乃至図23の具体例を参照して、図19の処理について更に説明を加える。
図20は、メニュー突入・解除が無いときの演出のタイミングチャートである。時刻t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4がそれぞれ演出を単位とする期間である。時刻t2とt3において音声・画像・可動体が同期して演出を終了し、次の演出に移っている。時刻t1〜t2においてシャッター51L、51Rが原点から位置Aに動き、時刻t2〜t3においてシャッター51L、51Rは位置Aを維持し、時刻t3〜t4においてシャッター51L、51Rが位置Aから原点に動く。
図21は、時刻t1〜t2の期間(可動体動作テーブル1の実動作テーブル1を実行中)においてメニュー突入が生じたときのタイミングチャートである。実線はシャッター51L、51Rの実際の位置を示し、点線はメニュー突入がないときの位置を示す(図22及び図23においても同じ)。この期間内の時刻ts1でメニュー突入になり(ST21)、te1でメニュー解除となる(ST25)。ts1で音声・画像の演出は中止され、te1で再開される。可動体50の動作も同様である(ST23)。可動体50が動作しているので(ST22でYES)、そのときの演出の動作を中止し(ST23)、ts1でシャッター51L、51Rが原点に向かって移動する(ST24)。te1で可動体動作テーブルを調べ(ST26)、復帰動作テーブルが存在し、しかもNULLでないので(ST27でYES、ST28でNO、図18(b))、シャッター51L、51Rが当該期間における最終状態の位置Aに向かって移動する(ST29:復帰動作テーブル1を実行)。次の演出の単位の期間の始期である時刻t2までにシャッター51L、51Rは位置Aに到達する。位置Aは前の演出の最終状態であるとともに、次の演出の最初の状態である。
図22は、時刻t2〜t3の期間(可動体動作テーブル2の実動作テーブル2を実行中)においてメニュー突入が生じたときのタイミングチャートである。この期間内の時刻ts2でメニュー突入になり(ST21)、te2でメニュー解除となる(ST25)。ts2で音声・画像の演出は中止され、te2で再開される。可動体50の動作も同様である(ST23)。可動体50は同じ位置にとどまっていて動いていないが、原点以外の位置にいるので動作中と判定され(ST22でYES)、位置Aの位置を保持するという動作を中止し(ST23)、ts2でシャッター51L、51Rが原点に向かって移動する(ST24)。te2で可動体動作テーブルを調べ(ST26)、復帰動作テーブルが存在し、しかもNULLでないので(ST27でYES、ST28でNO、図18(b))、シャッター51L、51Rが当該期間における最終状態の位置Aに向かって移動する(ST29:復帰動作テーブル2を実行)。次の演出の単位の期間の始期である時刻t3までにシャッター51L、51Rは位置Aに到達する。
図23は、時刻t3〜t4の期間(可動体動作テーブル3の実動作テーブル3を実行中)においてメニュー突入が生じたときのタイミングチャートである。この期間内の時刻ts3でメニュー突入になり(ST21)、te3でメニュー解除となる(ST25)。ts3で音声・画像の演出は中止され、te3で再開される。可動体50の動作も同様である(ST23)。可動体50が動作しているので(ST22でYES)、そのときの演出の動作を中止し(ST23)、ts3でシャッター51L、51Rが原点に向かって移動する(ST24)。te3で可動体動作テーブルを調べる(ST26)。復帰動作テーブルが存在するが、これがNULLであるので(ST27でYES、ST28でYES、図18(b):復帰動作テーブル3=NULL)、シャッター51L、51Rは動かず、原点位置を保持する。この演出の単位の期間の終期である時刻t4で、中断される前の状態に戻る。
発明の実施の形態においては、メニュー画面突入時に可動体が演出実行中の場合は、動作が破棄され原点(所定位置)へと移動する。そして、メニュー画面解除されると、メニュー画面突入時に保持されている音声や画像などの演出に係る命令の解析処理が行われ、メニュー解除前の演出の続きが実行される。可動体について、メニュー画面突入時に演出実行中であった場合は、メニュー画面解除時の動作として復帰動作テーブルの復帰動作データがセットされていて、これに従って復帰する。復帰動作テーブルは1つの可動体演出動作に対し1つが設定されている。復帰動作テーブルの設定がない又はNULLの場合は原点位置から移動しない。
従って、発明の実施の形態によれば、メニュー突入時に可動体を、液晶表示装置を隠さない位置(退避位置)である原点又は所定位置(特定位置)へ動かし、メニュー画面を隠すことが無くなり、遊技者及びホール店員はメニューの内容を容易に理解することができる。しかも、メニュー解除後に復帰動作を行うことにより、メニュー突入により中断された演出をスムーズに再開することができる。特に、図22のように、シャッター51L、51Rが液晶表示装置を隠しているような場合に有効であり、メニュー画面を隠さず、しかもメニュー解除後の演出が不自然にならない(仮に復帰動作がないとすると、手錠を模した可動体が開いているのに、「逮捕したぞ!!」という表示がなされ、音声が流れるなど、メニュー解除後の可動体の状態が他の音声・画像の演出と対応せず、ちぐはぐになるおそれがある)
また、演出に係る可動体動作テーブルに対応して復帰動作テーブルを設定しているので、他の演出デバイスによる音声や画像による演出に合わせて可動体を復帰させることができる。
また、メニュー解除後の可動体の最終状態が原点(所定位置)であるときは可動体を動かさないので、消費電流を抑えることができる。
また、可動体を動かさないときも復帰動作テーブル(=NULL)を定義できるので、プログラム上、可動体を動かす場合と同様の扱いが可能であり、プログラムが簡単になる。
図20乃至図23は、演出の切り替えタイミングを時刻t1乃至t4で示しているが、所定の契機(例えば、遊技者による操作)により演出の切り替えを行う場合であっても、本発明の実施の形態を適用することができる。
例えば、図24のように演出の切り替えを行う場合においても図19の処理をそのまま適用することができる。図24は、遊技者の操作契機に基づき演出が切り替えられる例を示している(可動体以外の演出表示は省略している)。すなわち、スタートスイッチ134の押下により演出が開始され、シャッター51L、51Rが小さな距離の進退を繰り返し(いわゆる「ガタガタ」と動く)、第1停止によりシャッター51L、51Rが中間位置に移動を開始し、第2停止で当該中間位置において「ガタガタ」と動き、第3停止で全閉位置に移動を開始し、ベットスイッチBETの押下により原点に戻り始める。
図25は、第2停止と第3停止の間においてメニュー突入が生じたときのタイミングチャートである。この期間内の時刻ts1でメニュー突入になり(ST21)、te1でメニュー解除となる(ST25)。可動体50が動作しているので(ST22でYES)、そのときの演出の動作を中止し(ST23)、ts1でシャッター51L、51Rが原点に向かって移動する(ST24)。te1で可動体動作テーブルを調べ(ST26)、復帰動作テーブルが存在し、しかもNULLでなく(ST27でYES、ST28でNO)、シャッター51L、51Rが中間位置に向かって移動する(ST29)。
なお、シャッター51L、51Rが中間位置に到達する前に、次の演出の切り替え契機である第3停止が到来しないことが望ましい。例えば、原点から中間位置への移動に要する時間を予め見積もっておき、当該時間をタイマーで計測し、当該時間経過までの間はストップボタン140を無効にしておくことが考えられる。
なお、以上の例では可動体がひとつであったが、本発明の実施の形態は複数の可動体を備える遊技機にも適用できる。この場合、複数の可動体それぞれについて上述のテーブル及び処理を適用すればよい。
上記説明において、可動体50のシャッター51L、51Rは液晶表示装置LCDを隠すように動作するものであったが、本発明の実施の形態は、これに限らず、可動体が液晶表示装置LCDから離れた位置に設けられ、その画面を覆うことのないものであってもよい。当該可動体の態様(位置)が所定の遊技状態を表している場合、その復帰後において遊技状態を整合させることができる。
また、図13に示したシャッター可動体以外の可動体にも本発明の実施の形態を適用することができる。
例えば、左右に振れる振り子型可動体についてその左右の位置(あるいは振れの角度)を、図13のシャッターの位置と同様に扱うことにより、本発明の実施の形態を適用することができる。
例えば、回転するドラム型可動体(あるいはパトランプのような回転灯)についてその回転位置を、図13のシャッターの位置と同様に扱うことにより、本発明の実施の形態を適用することができる。
ドラム型可動体の場合、原点に戻す際、及び、可動体を復帰させる際に移動方向を決定するようにしてもよい。図26にそのフローチャートを示す。
図19と比べて、図26はST23b、ST28bの「移動方向を決定する」を備える点で相違する。この移動方向の決定は、例えば、移動角度の大小に応じてドラムを上方向(例えば「+」)に動かすか、あるいはドラムを下方向(例えば「−」)に動かすかを決定するものである。原点に戻すこと、及び、可動体を復帰させることは、いずれも迅速に行う必要があり、その所要時間は短いほうが好ましい。ドラム式の場合、上下どちらに回転させても原点に戻すことができるから、それらのうちで所要時間の短い方、つまり回転角度の小さい方を選択するとよい。ドラム型可動体の場合、可動体の原点=0°=360°とできるから、ST23bの判断時点におけるドラムの角度を調べ、これと原点=0°=360°の差を求めて、小さい方へ動かすように方向を決定すればよい。ST28bの復帰の場合も同様である。
図27は、ドラム型可動体のタイミングチャートの例を示す。時刻t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4がそれぞれ演出を単位とする期間である。時刻t1〜t2においてドラムが原点から原点に向かっている(1回転する)。移動方向は上側(+)である。時刻t2〜t3においてドラムは原点にある。時刻t3〜t4においてドラムが原点から原点に向かっている(1回転する)。移動方向は反対(下側、「−」)である。
図27では、時刻ts1でメニュー突入になり(ST21)、te1でメニュー解除となる(ST25)。可動体が動作しているので(ST22でYES)、そのときの演出の動作を中止する(ST23)。移動方向を決定する(ST23b)。図27のts1では+方向へ移動するほうが移動量が小さいから、ts1でドラムが上側へ回転しつつ原点に向かって移動する(ST24)。te1でメニュー解除となるが、可動体は原点に位置し、これは時刻t2の初期位置であるから、復帰動作テーブルが存在しないか、あるいはNULLであるから、ドラム型可動体は移動しない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。