JP5368082B2 - 不織布の嵩増加方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布の嵩増加方法に関する。
不織布の製造においては、所定の方法に従い製造した不織布をロール状に一旦巻回して保管し、これを別工程へ搬送することがしばしばある。そして別工程において、不織布はロールから繰り出され、所定の製品の製造原料として用いられる。巻回状態にある不織布には大きな巻回圧が加わることから、巻回圧によってその嵩が減じられてしまうという不都合がある。この不都合は不織布が嵩高であるほど顕著である。
本出願人は、巻回圧によって嵩が減じられた不織布の嵩回復方法として、捲縮した熱可塑性繊維を含む不織布に、エアスルー方式で熱風を貫通させ、加熱後の不織布を、加熱中の搬送速度よりも低速度で搬送して嵩を回復させる不織布の嵩回復方法を提案した(特許文献1)。
特開2005−15938号公報
しかし、特許文献1に具体例では、嵩を回復させるべき不織布の一面側を、通気性のコンベアベルトや開孔したドラムに当接させた状態で、該不織布の他面側から熱風を吹き付けて貫通させているため、その熱風は、加熱によって不織布の嵩の増加させる一方、風圧によって嵩の増加を抑制する方向にも働く。そのため、不織布の嵩回復性が必ずしも充分ではない場合があり、嵩回復性の一層の向上の観点から改良の余地があった。また、特許文献1の嵩回復方法は、加熱により嵩を回復させるものであるため、不織布を加熱したくない場合や加熱温度を比較的低温に抑えたい場合には、充分な効果が得られない。
本発明は、嵩の増加性能に一層優れた不織布の嵩増加方法を提供することに関する。
本発明は、不織布を搬送する過程においてその嵩を増加させる不織布の嵩増加方法であって、対向配置された一対の吸引部間に不織布を供給し、該不織布の両面を該一対の吸引部で吸引して、該不織布の嵩を増加させる、不織布の嵩増加方法を提供することにより前記課題を解決したものである。
また本発明は、前記の嵩増加方法の実施に用いられる不織布の嵩増加装置であって、対向配置された一対の回転ドラムと、各回転ドラムの内側からの吸引が可能な吸引装置とを有しており、前記不織布を、回転する一対の回転ドラム間に供給し、該不織布の両面を吸引させることにより、該不織布の嵩を増加させるようになされている、不織布の嵩増加装置を提供するものである。
また本発明は、前記嵩増加方法の実施に用いられる不織布の嵩増加装置であって、対向配置された一対の通気性のコンベアベルトと、各コンベアベルトの裏側に配置された吸引装置とを有しており、前記不織布を、移動する一対のコンベアベルト間に供給し、該不織布の両面を吸引させることにより、該不織布の嵩を増加させるようになされている、不織布の嵩増加装置を提供するものである。
更に本発明は、対向配置された一対の吸引部間に不織布を導入し、該不織布の両面を該一対の吸引部で吸引して該不織布の嵩を増加させる、嵩が増加した嵩高不織布の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、嵩の増加性能に一層優れた不織布の嵩増加方法及び装置を提供することができる。本発明の嵩高不織布の製造方法によれば、嵩が増加した不織布を効率よく得ることができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の嵩増加方法の第1実施形態を模式的に示す図である。
第1実施形態の方法においては、図1に示すように、ロール状に巻回されている不織布原反10’から繰り出された不織布10に対し、本発明の嵩増加装置の一実施形態である嵩増加装置3を用いて嵩増加処理を施している。
図1においては、不織布10の搬送方向に関し、左側が上流側で右側が下流側であり、嵩増加装置3の上流側には、不織布10を、嵩増加装置3に送り込むための一対の送りロール2,2、該嵩増加装置3の下流側には、嵩増加後の不織布を次工程に送るための一対のフィードロール4,4が設置されている。
嵩増加装置3は、図2に示すように、対向配置された一対の回転ドラム31,31と、各回転ドラム31の内側からの吸引が可能な吸引装置32とを有している。回転ドラム31は、図中の矢印方向に回転駆動される。回転ドラム31の周面には、ワイヤメッシュやパンチングメタル等の通気性材料からなる通気部が全周に亘って形成されている。吸引装置32は、回転ドラム31内に配置されたサクションボックス32aを有しており、該サクションボックス32aは、回転ドラム31外に設置された減圧装置(図示せず)と連通されている。図中符号32bは、サクションボックス32a内に開口した、減圧装置に通じる連通路の開口部を模式的に示したものである。減圧装置としては、吸気ファン、吸引ブロワ、真空ポンプ等の吸気装置を用いることができる。サクションボックス32aは、回転ドラム31内の図2に示す位置に固定されており回転しない。
サクションボックス32aは、回転ドラム31の内周面に向けて開口する吸引口を有し、吸引口上を、回転ドラム31の通気部が連続的に移動する。この状態で、減圧装置を作動させて、サクションボックス32a内を減圧状態とすると、サクションボックス32aの吸引口上に位置する、回転ドラム21の通気部に吸引力が生じ、その吸引力が、回転ドラム31の外周面に接触して搬送される不織布10に対して作用する。
回転ドラム31,31における、不織布10の吸引は、回転ドラム31、31の回転中心間を結ぶ位置、すなわち回転ドラム31、31が離間しはじめる位置(最も隙間の狭くなった位置)から開始され、不織布が搬送される下流側に向かって吸引される様になっている。
本実施形態の嵩増加装置3は、図2に示すように、嵩を増加させる対象の不織布10に、熱風を供給する熱風供給機構33を備えている。熱風供給機構33は、不織布導入口33a及び熱風導入口33b,33bを有するダクト33cと、熱風導入孔33b,33bからダクト33c内に熱風34を導入する熱風循環機構(図示せず)とを有している。ダクト33cは、一対の回転ドラム31どうしが最も接近する部分(以下、最接近部ともいう)に近づくに従って、上下の壁面間の間隔が漸減しており、熱風導入孔33b,33bから供給された熱風34が効率的に不織布10の内部に入り込むように構成されている。不織布10と共に最接近部に送り込まれた熱風34は、サクションボックス32aの吸引口及びその吸引口を覆う回転ドラム31の通気部からなる一対の吸引部35,35に吸い込まれる。図示されていないが、ダクト33cの左右の側壁は、一対の吸引部35,35の位置を越えて延出しており、吸引部35,35に、ロール軸長方向両端側から熱風以外の空気が流入することが防止されている。
前記熱風循環機構は、一対の吸引部35,35から吸入された熱風を、所定の温度に調整した上で、ダクト33c内に再供給する機構であり、熱風が流通する管や、ヒーター等を備えた温度制御部等からなる。
以上の構成を有する嵩増加装置3を用いた本実施形態の方法について説明すると、嵩を増加(回復)させる対象の不織布10は、図3(a)及び(b)に示すように嵩高な三次元形状のものであり、第1層11及びこれに隣接する第2層12を備えている2層からなる多層構造のものである。第1層11と第2層12とは多数の接合部13において部分的に接合されている。接合部13は全体として菱形格子状のパターンを形成している。接合部13は圧密化されており、不織布10における他の部分に比べて厚みが小さく且つ密度が大きくなっている。
不織布10は、前記の菱形格子状のパターンからなる接合部13によって取り囲まれて形成された閉じた領域を多数有している。この閉じた領域において、第1層11は凸状の三次元的な立体形状をなしている。この立体形状をなしている部分はドーム状の形状をしている。一方、第2層12はほぼ平坦な形状となっている。そして不織布10全体としてみると、その第2層12側の外面が平坦であり且つ第1層11側の外面に多数の凸部を有している構造となっている。
第1層11は、捲縮を有する熱可塑性繊維(以下、単に捲縮繊維という)を含む層である。捲縮繊維としては、機械捲縮によって二次元的にジグザグ状に捲縮した繊維や、螺旋状に三次元捲縮した繊維などを用いることができる。第1層11は、捲縮繊維100%から構成されていてもよく、或いは捲縮繊維に加えて熱融着性繊維、例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維を含むこともできる。
不織布10の製造方法及びその構成繊維等の詳細については、本出願人の先の出願に係る特開2002−187228号公報に記載されている。製造方法について簡単に述べると、先ず捲縮繊維を含む繊維原料を用いて第1層のカードウエブを製造する。これとは別に、熱収縮性繊維を含む繊維原料を用いて第2層のカードウエブを製造する。第2層のカードウエブ上に第1層のカードウエブを重ね合わせ、両者を所定パターンからなる接合部において部分的に接合する。接合には例えば超音波エンボスが用いられる。次いで、第2層のカードウエブに含まれている熱収縮性繊維の熱収縮開始温度以上で、エアスルー方式によって熱風を吹き付ける熱処理を行い、第2層を熱収縮させると共に接合部によって取り囲まれた閉じた領域に位置する第1層を凸状に突出させ三次元立体形状を形成する。更に、構成繊維の交点を熱融着させる。これによって不織布が10が得られる。斯かる製造方法で製造された不織布10は、一旦ロール状に巻回され原反となされて保管される。
再び図1に戻ると、ロール状に巻回されている不織布原反10’は、不織布の搬送方向において、嵩増加装置3よりも上流の位置に配置され、該原反10’から不織布10が繰り出される。ロール状に巻回された状態にある不織布10は、巻回圧によってその嵩が減じられている。特に、前述の通り不織布10は嵩高な三次元形状を有していることから、巻回圧による嵩の減少は著しい。この状態の不織布10を、嵩増加装置3に通すことによってその嵩を回復させ原反10’の不織布10に比べて嵩が増加する。
先ず、原反10’から繰り出された不織布10を、送りロール2,2等の公知の搬送手段により搬送されて、嵩増加装置3に送られる。嵩増加装置3に送られた不織布10は、不織布導入孔33aからダクト33c内に導入される。ダクト33c内には、図2に示すように、熱風導入孔33b,33bそれぞれから所定温度に加熱された熱風が送り込まれており、ダクト33c内の不織布10の両面に対して熱風が吹き付けられる。不織布10は、回転ドラム31,31の回転に伴い、下流側に向かって移動する。不織布10の両面に供給された熱風は、不織布10の内部に入りこみ、該不織布の内部を流通する。
一対の吸引部35,35においては、熱風の吸入が行われており、不織布の内部を流通した熱風の吸入に伴って不織布10の両面が、一対の吸引部35,35に吸引される。図2に示すように、一対の回転ドラム31,31間の間隔は、回転ドラム31,31どうしの最接近部の位置を超えると徐々に拡大するため、一対の吸引部35,35間の間隔も、回転ドラム31,31どうしの最接近部から離れるに従って、徐々に拡大する。
このため、一対の吸引部35,35は、不織布10の両面を吸引しながら徐々にその間隔を拡げることなる。
本実施形態においては、一対の吸引部35,35の吸引力は同じであるが、一方の吸引部35と他方の吸引部35とで吸引力に差をつけても良い。
本実施形態の方法によれば、このようにして、一対の吸引部35,35に不織布10の両面を吸引させることにより、巻回圧等によって嵩が減少していた不織布10の嵩を、効率よく増加させることができる。特に、熱風を、不織布の搬送方向における、一対の吸引部35,35の位置よりも上流側から供給して、該不織布の内部を通過させた後の熱風を、一対の吸引部35,35に吸入させることで、嵩回復及び増加性能をより一層向上させることができる。
また、本実施形態の方法においては、熱風を供給しているため、嵩回復及び増加性能を一層向上させることができる。
熱風を供給することによる嵩の回復及び増加性能の向上は、第1層11に含まれている捲縮繊維の熱風による嵩の回復が主要な要因の一つである。この観点からは、不織布10に吹き付ける熱風は、捲縮繊維の融点(以下mpという)未満で且つmp−50℃以上とすることが好ましい。不織布10の嵩を一層効果的に回復及び増加させる観点から、熱風の温度はmp−50℃以上で且つmp−3℃以下、特にmp−30℃以上で且つmp−5℃以下であることが好ましい。
不織布の一面に吹き付ける熱風の温度及び供給量と他面に吹き付ける熱風の温度及び供給量は同一温度/同一供給量とすることもできるし、異ならせることもできる。温度を異ならせる場合、第1層11側の面に吹き付ける熱風の温度を上記の温度とすることが好ましい。
また、熱風を供給することによる嵩の回復及び増加性能の向上の他の要因としては、不織布を構成する繊維、あるいは繊維どうしの交点等が軟化し、変形し易くなることがある。この観点からも、使用する不織布の繊維構成/組成に対して適宜熱風の温度を設定を行うことが好ましく、不織布10に吹き付ける熱風の温度は、不織布に含まれる熱可塑性繊維の融点に対して、特にmp−30℃以上で且つmp−5℃以下であることが好ましい。
図2に示すように、本実施形態においては、熱風34を、不織布10の搬送方向(進行方向)における一対の供給部35,35の位置よりも上流側から供給し、該熱風を、該不織布の搬送方向に沿って流通させた後に、該一対の吸引部35,35に吸入させている。このように、不織布10の進行方向に沿って熱風を導入することで、不織布の蛇行の防止、加熱時間の増加等を図ることができる。
また、熱風34の供給量(本実施形態においてはダクト33cへの導入量と同じ)は、一対の吸引部35,35から吸入される熱風の合計量以下とすることが、熱風の装置3外への吹き出しを防止する観点から好ましい。
また、本実施形態においては、上述した熱風循環機構により、熱風34を、熱風34の供給部と一対の吸引部35,35との間で循環させている。熱風のリサイクルや嵩増加処理や嵩増加装置の省エネルギー化を図ることができる。
嵩増加装置3を出た不織布10は、図1に示すように、一対のフィードロール4,4によって更に下流へと搬送される。この場合、両面の吸引により嵩を増加させた後の不織布10を、不織布10の搬送に支障のない限度内で、一対の吸引部35,35間に導入する前の不織布10の搬送速度よりも低速度で搬送する(以下、この操作をマイナスドローの搬送という)。これによって、不織布10の嵩が一層増加する。この理由は次の通りである。巻回圧に起因する不織布の嵩の減少は主として二つ理由によって起こる。一つ目の理由は、不織布が厚さ方向へ圧縮されることに起因する嵩の減少である。二つ目の理由は、不織布が巻回の張力によって引き伸ばされることに起因する嵩の減少である。
マイナスドローの搬送によって、不織布10は、流れ方向の張力が減じられた状態において、その両面の吸引が行われることで、不織布10は、不織布が張力によって引き伸ばされることで減少した嵩を回復させながら、厚さ方向へ圧縮されることで減少した嵩も回復させることができる。この二つの嵩回復メカニズムによって、不織布はその嵩が非常に回復し嵩が増加する。
嵩増加装置3を出た不織布10の搬送には、ピンテンターのように、不織布を潰さないように搬送できるものを用いることもできる。
巻回圧によって嵩が減じられている不織布の嵩を上述した方法で回復させる方法は、本発明の嵩が回復した嵩高不織布の製造方法の一実施態様でもある。
このようにして、嵩が回復及び増加した不織布10は、引き続き次工程である各種加工工程に付される。この加工工程へ付す場合には、不織布10を巻き取らずに、厚みが回復した状態のままで搬送することが好ましい。加工工程としては、不織布10の用途に応じて様々な工程があるが、その典型的な一例として、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の製造工程を例にとり説明する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有している。更に、表面シートと吸収体との間に液透過性のサブレイヤーシートが介在配置された吸収性物品も知られている。このような構成を有する吸収性物品においては、先に説明した図2(a)及び(b)に示す構造の嵩高な不織布10を表面シート又はサブレイヤーシートとして用いると、その嵩高さの故に、液戻り量が少なく、また液の横方向への拡散が少なくスポット吸収が可能となる。更に液残りが少なく、そのうえ高粘性液の透過が良好となる。特に本実施形態で用いた不織布10は、図2(a)及び図2(b)に示すように三次元的な立体形状をなし、嵩高のものであるから、嵩の回復によって該不織布10が本来有している嵩高感を感触的にも視覚的にもアピールすることができる。このような吸収性物品を製造するには、不織布10を吸収性物品に組み込むに先立ち、先ずロール状に巻回された原反10’の状態となっている不織布10を該原反10’から繰り出す。繰り出された不織布10は、嵩増加装置3に導入し、またマイナスドローの搬送操作を行い不織布10の嵩を回復させる。引き続き、不織布10を、搬送方向の下流に設置されている吸収性物品の加工機(図示せず)に導入し、公知の方法に従い吸収性物品を製造する。加工機においては、例えばニップロールによる挟圧加工など、不織布10の嵩が減じられる可能性のある加工が施される場合が多いが、前述の方法に従って嵩が一旦回復した不織布10は、そのような挟圧加工等に付されても嵩が大きく減じられることはない。また吸収性物品の完成後に該吸収性物品を圧縮状態でパッケージ詰めすることが通常行われるが、この圧縮状態下においても不織布の嵩が大きく減じられることはない。
次に、本発明の第2の実施形態について図4を参照しながら説明する。この実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図3において、図2と同じ部材に同じ符号を付してある。
第2実施形態においては、図2に示す嵩増加装置3に代えて図4に示す嵩増加装置3’を用いて、不織布10の嵩を回復させている。嵩増加装置3’は、一対のコンベアベルト36,36、一対のコンベアベルト36、36それぞれの裏側に配置されたサクションボックス32a,32a、及び熱風供給機構33を備えている。コンベアベルト36は無端縁のものであり、支持軸37に支持されて所定方向に周回するようになっている。コンベアベルト36は、金属やポリエチレンテレフタレート等の樹脂から形成されている。各サクションボックス32aは、不織布10側に向かって開口する吸引口を有し、サクションボックス32aの該吸引口及びその吸引口を覆うコンベアベルト36が吸引部35を形成している。本実施形態の嵩増加装置3’においても、熱風34を、熱風34の供給部と一対の吸引部35,35との間で循環させている。
一対のコンベアベルト36,36間の間隔は、不織布10の搬送方向の下流に向かって、徐々に増大している。このため、一対の吸引部35,35は、不織布10の両面を吸引しながら徐々にその間隔を拡げることなる。
本実施形態法においても、このようにして、不織布10の両面を吸引することで、巻回圧等によって嵩が減少していた不織布10の嵩を、効率よく回復および増加させることができる。第1実施形態で用いた嵩増加装置3は、コンパクト性で優れるが、第2実施形態で用いた嵩増加装置3’は、吸引時間を長くできるという利点がある。
本発明は、前記した各実施形態に制限されない。例えば本発明で嵩を増加させる対象の不織布は、図3(a)及び(b)に示すものに限られず、捲縮繊維を含む単層、多層構造のものや、捲縮繊維及び熱収縮性繊維を含む単層、多層構造のものであってもよい。例えば、3層以上の多層構造からなり、その一方又は双方の最外層に捲縮繊維が含まれており且つ最外層間の内層に熱収縮性繊維が含まれている不織布であってもよい。
また、捲縮繊維を含まないものであっても良く、熱伸長性繊維を含む不織布であってもよい。
嵩を増加させる対象の不織布としては、各種製法による不織布を挙げることができる。本発明で嵩を増加させる不織布は、特に制限なく、例えばスパンボンド不織布やスパンレース不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布を用いてもよいが、嵩高い不織布が得られ且つ嵩の回復及び増加率の高い製造方法であるエアスルー方式で製造された(エアースルー不織布)ものが特に好ましい。エアースルー不織布は、カード法又はエアレイ法により形成した繊維ウエブをエアースルー法による熱風処理等により不織布化して得られるものである。また、樹脂フィルムとラミネートされた不織布の嵩増加を行うこともできる。
また、不織布は、熱可塑性繊維に加えて、パルプ繊維やコットン繊維等の熱融着性を実質的に有しない繊維を含ませたものであっても良い。
また、前記した各実施形態では、不織布をロール状に一旦巻回した結果、その嵩が減じた不織布の嵩回復に用いた事例を紹介したが、本願の方法および装置は不織布の嵩回復用に制限されず、前述の熱収縮性繊維を含む不織布の熱収縮による嵩増加処理や、熱伸張性繊維を含む不織布の熱伸長による嵩増加処理等に用いることもできる。
図1は、本発明の嵩増加方法及び装置の第1実施形態を模式的に示す図である。 第1実施形態の方法に用いた嵩増加装置の拡大模式図である。 図3(a)は本発明の方法の適用対象となる不織布の一例を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)におけるb−b線断面図である。 第2実施形態の方法に用いた嵩増加装置の拡大模式図である。
符号の説明
2 送りロール
3,3’ 嵩増加装置
31 回転ドラム
32 吸引装置
32a サクションボックス
33 熱風供給機構
35 吸引部
36 コンベアベルト
10 不織布
10’ 原反
11 第1層
12 第2層

Claims (6)

  1. 不織布を搬送する過程においてその嵩を増加させる不織布の嵩増加方法であって、
    対向配置された一対の吸引部間に不織布を供給し、該不織布の両面を該一対の吸引部で吸引して、該不織布の嵩を増加させる、不織布の嵩増加方法。
  2. 前記一対の吸引部に熱風を吸入させる、請求項1記載の不織布の嵩増加方法。
  3. 前記熱風を、不織布の搬送方向における、前記一対の吸引部の位置よりも上流側から供給し、該熱風を、該不織布の搬送方向に沿って流通させた後に、該一対の吸引部に吸入させる、請求項2記載の不織布の嵩増加方法。
  4. 請求項1記載の不織布の嵩増加方法の実施に用いられる不織布の嵩増加装置であって、
    対向配置された一対の回転ドラムと、各回転ドラムの内側からの吸引が可能な吸引装置とを有しており、
    前記不織布を、回転する一対の回転ドラム間に供給し、該不織布の両面を吸引させることにより、該不織布の嵩を増加させるようになされている、不織布の嵩増加装置。
  5. 請求項1記載の不織布の嵩増加方法の実施に用いられる不織布の嵩増加装置であって、
    対向配置された一対の通気性のコンベアベルトと、各コンベアベルトの裏側に配置された吸引装置とを有しており、
    前記不織布を、移動する一対のコンベアベルト間に供給し、該不織布の両面を吸引させることにより、該不織布の嵩を増加させるようになされている、不織布の嵩増加装置。
  6. 対向配置された一対の吸引部間に不織布を導入し、該不織布の両面を該一対の吸引部で吸引して該不織布の嵩を増加させる、嵩が増加した嵩高不織布の製造方法。
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