したがって、従来のマスクの製造においては、樹脂原料から不織布を製造し、それを加工してマスクを製造するまでの一連を考えると、不織布製造工場で製造した不織布をロール状にまとめ、それをマスク製造(加工)装置があるマスク製造(加工)工場の場所まで運ぶことから、エネルギ面及びコスト面で損失が多く、また、生産効率も低い。更に、マスクに用いる不織布を製造して原反ロールにまとめるまでの各不織布の製造設備と、各原反ロールから不織布を繰り出して積層し、所定に加工してマスクを製造する設備とを考えると、大規模なスペースが必要である。このためマスクの急な需要増大に対応して、不織布製造ライン及びマスク製造(加工)のラインを新設しようにも、それらが大規模であるから時間を要する。
また、従来の不織布の原反ロールからマスクを製造(加工)する方法では、原反ロールに巻き取ることができる不織布の強度、厚み、目付等の特性が前提であり、マスクに使用できる不織布の特性が原反ロールに巻き取り可能な特性に限定され、風合いの向上や低圧損化のために不織布の目付量を低減したり厚みを薄くしたりするにも限度があった。
そこで、本発明は、樹脂等の原料からマスクを製造するまでの省エネ化、低コスト化を可能とし、また、マスク特性の設計自由度を高くできるマスクの製造装置及びマスクの製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明のマスク製造装置は、スパンボンド法によりウェブを形成した後、当該スパンボンドウェブの繊維を熱エンボスローラーで熱溶着することよって第1のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成するスパンボンド不織布層形成部と、前記第1のスパンボンドウェブ不織布層の上にメルトブロー法によりメルトブロー不織布層を長尺状に連続的に形成、積層するメルトブロー不織布層形成・積層部と、前記メルトブロー不織布層の上にスパンボンド法によりウェブを形成し、当該スパンボンドウェブの繊維を熱エンボスローラーで熱溶着することよって前記メルトブロー不織布層の上に第2のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成、積層するスパンボンド不織布層形成・積層部とを有し、長辺端部加工部により前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の順に積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角な方向の両側端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層を連続的に溶着してから、切断部により前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な幅方向で切断し、更に、短辺端部加工部により、前記切断された個別の前記不織布積層体の長さ方向の両側端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層を溶着し、また、1対の耳掛け部材を溶着するものである。
ここで、上記スパンボンド不織布層形成部は、熱可塑性樹脂をスパンボンド法による溶融紡糸法で連続した長繊維(フィラメント)とし、その連続長繊維をベルトコンベア等の移動捕捉面上で連続的に捕集してウェブを形成し、熱エンボスローラーを用いてウェブの繊維間を溶着、結合することで面状に拡がりを持った連続長繊維からなる第1のスパンボンド不織布層を連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成するものである。
また、上記メルトブロー不織布層形成・積層部は、熱可塑性樹脂をメルトブロー法による溶融紡糸法で多数の口金を持つダイから紡出すると共に、紡糸の際に高速で高温の気流を吹き付けることで牽引細化し、牽引細化された極細樹脂繊維を、ベルトコンベア等の移動捕捉面上に載せられている前記第1のスパンボンド不織布層の上で捕集、積層することで面状に拡がりを持った有限長の長繊維からなるメルトブロー不織布層を前記第1のスパンボンド不織布層の上に連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成、積層するものである。ブロー紡糸する際に吹き付ける気流(気体)は、通常、空気が用いられるが、窒素ガス等の不活性気体を使用することも可能である。
更に、上記スパンボンド不織布層形成・積層部は、熱可塑性樹脂をスパンボンド法による溶融紡糸法で連続した長繊維(フィラメント)とし、その連続長繊維をベルトコンベア等の移動捕捉面上に載せられている前記第1のスパンボンド不織層の上に積層した前記メルトブロー不織布層の上に、連続的に捕集してウェブを形成し、熱エンボスローラーを用いてウェブの繊維間を溶着、結合することで面状に拡がりを持った連続長繊維からなる第2のスパンボンド不織布層を前記メルトブロー不織布層の上に連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成、積層するものである。
上記長辺端部加工部は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の順に積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角な方向の両端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を連続的に溶着するものである。
上記溶着は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を部分的に一体に強固に接合できればよく、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の何れであってもよい。
上記切断部は、所定の端部が溶着された前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な幅方向で切断、即ち、前記長尺状の不織布積層体の長さを切断して略矩形状の個別の不織布積層体とするものであり、その切断手段としては、例えば、ロータリーカッターやレーザーカッターを用いることができる。
上記短辺端部加工部は、前記切断によって略矩形状とされた個別の前記不織布積層体の長さ方向の両側端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を溶着し、また、そこに1対の耳掛け部材を配置して溶着するものである。このときの溶着も、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の何れであってもよい。
上記1対の耳掛け部材は、使用者の耳周りに掛けるものであり、例えば、伸縮性のあるポリウレタン(スパンデックス等を含む)、ポリエステル、ラテックス(天然ゴム)等からなる紐または不織布が使用される。紐からなる場合には、所定長に切断された長さ方向の両端部を、前記不織布積層体の上下方向(長さ方向に対して直角な幅方向)の両端部に溶着する。不織布からなる場合には、所定の環状に切り抜かれた不織布の略直線状の基端部側を前記不織布積層体の長手方向の各端部の幅で溶着する。1対の耳掛け部材の溶着は第2のスパンボンド不織布層の面であってもよいし、第1のスパンボンド不織布層の面であってもよい。
また、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の溶着、1対の耳掛け部材の溶着は、前記不織布積層体の長手方向の両側端部で、第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の溶着と一緒に、1対の耳掛け部材を溶着してもよいし、先に、不織布層を溶着してからそこに1対の耳掛け部材を溶着してもよい。
請求項2の発明のマスクの製造装置は、更に、長尺状に連続的に形成された前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部側にノーズワイヤーを配設するノーズワイヤー配置部と、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を折り返して、ノーズワイヤー配設側ではその折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収める折り返し部とを有し、前記長尺状の不織布積層体の折り返した端部を前記長辺端部加工部により溶着することで前記ノーズワイヤーを前記長尺状の不織布積層体内に封止するものである。
上記ノーズワイヤー配設部は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の長手方向に対して直角方向の一端部側に対し、所定長に切断されたノーズワイヤーを前記不織布層の長手方向に沿った所定間隔で配置するものである。
上記ノーズワイヤー(ノーズフィッターとも呼ばれる)は、着用者の鼻にマスクの不織布積層体をフィットさせるためのものであり、ポリプロピレン若しくはポリエチレン等の樹脂製またはアルミニウム等の金属製からなる変形自在な細長の板状または棒状のワイヤーが使用される。
また、上記折り返し部は、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を折り返し、ノーズワイヤー配設側では折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収めるようにしたものである。
そして、前記長辺端部加工部では、前記折り返し部により折り返した部分の端部が溶着され、その溶着によって、前記ノーズワイヤー配設側の端部では折り返した幅内に前記ノーズワイヤーが封止されるものである。
請求項3の発明のマスクの製造装置は、更に、前記第2のスパンボンド不織布層が積層される前の前記第1のスパンボンド不織層及び前記メルトブロー不織布層の積層体に対しそれらの長手方向に対して直角方向の両側の端部を切断する整形部を有するものである。
上記整形部とは、前記第1のスパンボンド不織布層及び前記メルトブロー不織布層の積層体の長手方向に対して直角方向の端部を切断することで、前記第1のスパンボンド不織布層と前記メルトブロー不織布層の長手方向に対して直角方向の幅寸法を揃えるものである。
請求項4の発明のマスク製造装置は、更に、前記切断前の前記長尺状の不織布積層体に対しプリーツを形成するプリーツ形成部を有するものである。
上記プリーツ形成部は、前記長尺状の不織布積層体に対し、その長手方向に延びる折り目を付しその折り目に沿って折り畳むことで、複数の襞からなるプリーツを形成するものである。
請求項5の発明のマスクの製造方法は、スパンボンド不織布層形成工程にて、スパンボンド法によりウェブを形成した後、当該スパンボンドウェブの繊維を熱エンボスローラーで熱溶着することよって第1のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成し、メルトブロー不織布層形成・積層工程にて、前記第1のスパンボンドウェブ不織布層の上にメルトブロー法によりメルトブロー不織布層を長尺状に連続的に形成、積層し、スパンボンド不織布層形成・積層工程にて、前記メルトブロー不織布層の上にスパンボンド法によりウェブを形成し、当該スパンボンドウェブの繊維を熱エンボスローラーで熱溶着することよって前記メルトブロー不織布層の上に第2のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成、積層し、長辺端部加工工程にて、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の順に積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層を連続的に溶着し、切断工程にて、前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な幅方向で切断し、更に、短辺端部加工工程にて、前記切断された個別の前記不織布積層体の長さ方向の両側端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を溶着し、また、1対の耳掛け部材を溶着するものである。
上記スパンボンド不織布層形成工程は、熱可塑性樹脂をスパンボンド法による溶融紡糸法で連続した長繊維(フィラメント)とし、その連続長繊維をベルトコンベア等の移動捕捉面上で連続的に捕集してウェブを形成し、熱エンボスローラーを用いてウェブの繊維間を溶着、結合することで面状に拡がりを持った連続長繊維からなる第1のスパンボンド不織布層を連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成する工程である。
上記メルトブロー不織布層形成・積層工程は、熱可塑性樹脂をメルトブロー法による溶融紡糸法で多数の口金を持つダイから紡出すると共に、紡糸の際に高速で高温の気流を吹き付けることで牽引細化し、牽引細化された極細樹脂繊維を、ベルトコンベア等の移動捕捉面上に載せられている前記スパンボンド不織布層の上で捕集、積層することで面状に拡がりを持った有限長の長繊維からなるメルトブロー不織布層を前記スパンボンド不織布層の上に連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成、積層する工程である。ブロー紡糸する際に吹き付ける気流(気体)は、通常、空気が用いられるが、窒素ガス等の不活性気体を使用することも可能である。
上記スパンボンド不織布層形成・積層工程は、熱可塑性樹脂をスパンボンド法による溶融紡糸法で連続した長繊維(フィラメント)とし、その連続長繊維を、ベルトコンベア等の移動捕捉面上に載せられている前記第1のスパンボンド不織層の上に積層した前記メルトブロー不織布層の上に、連続的に捕集してウェブを形成し、熱エンボスローラーを用いてウェブの繊維間を溶着、結合することで面状に拡がりを持った連続長繊維からなる第2のスパンボンド不織布層を前記メルトブロー不織布層の上に連続的に、即ち、長尺状(帯状)に形成する工程である。
上記長辺端部加工工程は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の順に積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を連続的に溶着する工程である。
上記溶着は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を部分的に一体に強固に接合できればよく、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の何れであってもよい。
上記切断工程は、所定の端部で溶着された前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な幅方向で切断する工程であり、その切断手段としては、例えば、ロータリーカッターやレーザーカッターを用いることができる。
上記短辺端部加工工程は、前記切断によって略矩形状とされた個別の前記不織布積層体の長さ方向に対して直角な方向の両側端部で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を溶着し、また、1対の耳掛け部材を配置して溶着する工程である。このときの溶着も、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着等の何れであってもよい。
上記1対の耳掛け部材は、使用者の耳周りに掛けるものであり、例えば、伸縮性のある伸縮性のあるポリウレタン(スパンデックス等を含む)、ポリエステル、ラテックス(天然ゴム)等からなる紐または不織布が使用される。紐からなる場合には、所定長に切断された長さ方向の両端部を、前記不織布積層体の上下方向(長さ方向に対して直角な幅方向)の両端部に溶着する。不織布からなる場合には、所定の環状に切り抜かれた不織布の略直線状の基端部側を前記不織布積層体の長手方向の各端部の幅で溶着する。1対の耳掛け部材の溶着は第2のスパンボンド不織布層の面であってもよいし、第1のスパンボンド不織布層の面であってもよい。
ここで、上記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の溶着と、1対の耳掛け部材の溶着は、前記不織布積層体の長手方向に対して直角な方向の両側端部で、第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の溶着と一緒に、1対の耳掛け部材を溶着してもよいし、先に、不織布層を溶着してからそこに1対の耳掛け部材を溶着してもよい。
請求項6の発明のマスクの製造方法は、更に、長尺状に連続的に形成された前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部側にノーズワイヤーを配設するノーズワイヤー配置工程と、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を折り返して、ノーズワイヤー配設側ではその折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収める折り返し工程とを有し、前記長辺端部加工工程で前記長尺状の不織布積層体の折り返した端部を溶着することで前記ノーズワイヤーを前記長尺状の不織布積層体内に封止するものである。
上記ノーズワイヤー配設工程は、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の長手方向に対して直角方向の一端部側に対し、所定長に切断されたノーズワイヤーを不織布層の長手方向に沿った所定間隔で配置する工程である。
上記ノーズワイヤー(ノーズフィッターとも呼ばれる)は、着用者の鼻にマスクの不織布積層体をフィットさせるためのものであり、ポリプロピレン若しくはポリエチレン等の樹脂製またはアルミニウム等の金属製からなる変形自在な細長の板状または棒状のワイヤーが使用される。
また、上記折り返し工程は、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を折り返す工程であり、ノーズワイヤー配設側ではその折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収めるようにしたものである。
そして、前記長辺端部加工工程では、前記折り返し工程で折り返した部分の端部が溶着され、その溶着によって、前記ノーズワイヤー配設側の端部では折り返した幅内に前記ノーズワイヤーが封止されるものである。
請求項7の発明のマスクの製造方法は、更に、前記メルトブロー不織布層形成・積層工程と前記スパンボンド不織布層形成・積層工程との間で、前記第1のスパンボンド不織布層及び前記メルトブロー不織布層の積層体に対して、その長手方向に対して直角な方向の両端部を切断する整形工程を有するものである。
上記整形工程とは、前記第1のスパンボンド不織布層及び前記メルトブロー不織布層の積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を切断することで、前記第1のスパンボンド不織布層と前記メルトブロー不織布層の長手方向に対して直角方向の幅寸法を揃える工程である。
請求項8の発明のマスク製造方法は、更に、前記長辺端部加工工程と前記切断工程の間に、前記長尺状の不織布積層体にプリーツを形成するプリーツ形成工程を有するものである。
上記プリーツ形成工程は、前記長尺状の不織布積層体に対し、その長手方向に延びる折り目を付しその折り目に沿って折り畳むことで、複数の襞からなるプリーツを形成する工程である。
請求項1の発明に係るマスクの製造装置によれば、スパンボンド法によりウェブを形成し、熱エンボス加工することにより第1のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成するスパンボンド不織布層形成部と、前記第1のスパンボンドウェブ不織布層の上にメルトブロー法によりメルトブロー不織布層を長尺状に連続的に形成し積層するメルトブロー不織布層形成・積層部と、前記メルトブロー不織布層の上にスパンボンド法によりウェブを形成し、熱エンボス加工することにより前記メルトブロー不織布層の上に第2のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成し積層するスパンボンド不織布層形成・積層部と、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層が積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を溶着する長辺端部加工部と、前記溶着された前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な方向で切断する切断部と、前記切断され略矩形状とされた個別の前記不織布積層体の長さ方向の両端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び第2のスパンボンド不織布層を溶着し、また、1対の耳掛け部材を溶着する短辺端部加工部とを有することにより、第1のスパンボンド不織布層、メルトブロー不織布層、及び第2のスパンボンド不織布層が積層された略矩形状の不織布積層体と、当該不織布積層体の長さ方向の左右両端部に取付けられた1対の耳掛け部材とを有するマスクが製造される。
この請求項1の発明に係るマスクの製造装置によれば、まず、第1のスパンボンド不織布層を形成し、その上に、メルトブロー不織布層を直接形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層を直接形成、積層するものであり、不織布層の形成と積層を一体化させて長尺状に連続的に形成した不織布積層体に対し、長辺端部の溶着、所定長に切断、短辺端部及び耳掛け部材の溶着を行うことによりマスクが製造される。即ち、第1のスパンボンド不織布層の上にメルトブロー不織布層を形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層を形成、積層するものであり、不織布化工程と積層工程とを一体とし、不織布の巻き取りを行うことなく、不織布の製造と不織布を加工するマスク製造とを一連の連続工程、設備で行うものである。
したがって、不織布層の形成と積層を一体化しているから、各不織布を別個で製造してロール状に巻き取り、その原反ロールに巻かれた不織布を繰り出して積層する従来のマスク製造に比べ、不織布を製造し、加工してマスクを製造するまでの消費エネルギの低減化、低コスト化が可能となる。また、第1のスパンボンド不織布層の上にメルトブロー不織布層を直接形成し、そのメルトブロー不織布層上に、第2のスパンボンド不織布層を直接形成することにより、第1のスパンボンド不織布層、メルトブロー不織布層、及び第2のスパンボンド不織布層を積層するものであるから、巻き取りには不向きな低目付、薄さの不織布層でマスクを構成することも可能である。よって、マスクの特性の設計自由度を高くできる。
請求項2の発明に係るマスクの製造装置によれば、長尺状に連続的に形成された前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部側にノーズワイヤーを配設するノーズワイヤー配置部と、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を所定幅折り返し、ノーズワイヤー配設側ではその折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収める折り返し部とを有し、前記長尺状の不織布積層体の折り返した端部を前記長辺端部加工部により溶着することで前記ノーズワイヤーを前記長尺状の不織布積層体内に封止するから、請求項1に記載の効果に加えて、ノーズワイヤーによって着用者の鼻周りに対するフィット性が向上するマスクが得られる。
請求項3の発明に係るマスクの製造装置によれば、前記第2のスパンボンド不織布層の積層前の前記第1のスパンボンド不織層及び前記メルトブロー不織布層に対し、それらの長手方向に対して直角方向の両端部を切断する整形部を有するから、第1のスパンボンド不織層及びメルトブロー不織布層の長手方向に対して直角方向の幅を一致させることができる。よって、第1のスパンボンド不織布層やメルトブロー不織布層を形成するノズルの配置間隔、口径等の精密で細かな設計による不織布層の幅寸法を一致させる制御を必要としないから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、紡糸の設計を容易とする。
請求項4の発明に係るマスクの製造装置によれば、プリーツ形成部により前記切断前の前記長尺状の不織布積層体にプリーツを形成するから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、保管時には平面的で場所を取らない一方、着用時にはプリーツの展開により立体化して着用者の顔面とマスクとの間に空間を形成できるマスクが得られる。
請求項5の発明に係るマスク製造方法によれば、スパンボンド不織布層形成工程でスパンボンド法によりウェブを形成し、熱エンボス加工することにより第1のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成し、メルトブロー不織布層形成・積層工程で前記第1のスパンボンドウェブ不織布層の上にメルトブロー法によりメルトブロー不織布層を長尺状に連続的に形成して積層し、スパンボンド不織布層形成・積層工程で前記メルトブロー不織布層の上にスパンボンド法によりウェブを形成し、熱エンボス加工することにより前記メルトブロー不織布層の上に第2のスパンボンド不織布層を長尺状に連続的に形成して積層し、長辺端部溶着工程で前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層が積層された長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び前記第2のスパンボンド不織布層の全層を溶着し、切断工程で前記溶着された前記長尺状の不織布積層体をその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な方向で切断し、短辺端部加工工程で前記切断され略矩形状とされた個別の前記不織布積層体の長さ方向の両端部で、前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、及び第2のスパンボンド不織布層を溶着し、また、1対の耳掛け部材を溶着することにより、第1のスパンボンド不織布層、メルトブロー不織布層、及び第2のスパンボンド不織布層が積層された略矩形状の不織布積層体と、当該不織布積層体の長さ方向の左右両端部に取付けられた1対の耳掛け部材とを有するマスクが得られる。
この請求項5の発明に係るマスクの製造方法によれば、まず、第1のスパンボンド不織布層を形成し、その上に、メルトブロー不織布層を直接形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層を直接形成、積層するものであり、不織布層の形成と積層を一体化させて長尺状に連続的に形成した不織布積層体に対し、長辺端部の溶着、所定長に切断、短辺端部及び耳掛け部材の溶着を行うことによりマスクが製造される。即ち、第1のスパンボンド不織布層の上にメルトブロー不織布層を形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層を形成、積層するものであり、不織布化工程と積層工程とを一体とし、不織布の巻き取りを行うことなく、不織布の製造と不織布を加工するマスク製造とを一連の連続工程、設備で行うものである。
したがって、不織布層の形成と積層を一体化しているから、各不織布を別個で製造してロール状に巻き取り、その原反ロールに巻かれた不織布を繰り出して積層する従来のマスク製造に比べ、不織布を製造し、加工してマスクを製造するまでのエネルギ消費の低減化、低コスト化が可能となる。また、第1のスパンボンド不織布層の上にメルトブロー不織布層を直接形成し、そのメルトブロー不織布層上に、第2のスパンボンド不織布層を直接形成することにより、第1のスパンボンド不織布層、メルトブロー不織布層及び第2のスパンボンド不織布層を積層するものであるから、巻き取りには不向きな低目付、薄さの不織布層でマスクを構成することも可能である。よって、マスクの特性の設計自由度を高くできる。
請求項6の発明に係るマスクの製造方法によれば、長尺状に連続的に形成された前記第1のスパンボンド不織布層、前記メルトブロー不織布層、または前記第2のスパンボンド不織布層の上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部側にノーズワイヤーを配設するノーズワイヤー配置工程と、前記長尺状の不織布積層体の長手方向に対して直角方向の両端部を所定幅折り返し、ノーズワイヤー配設側ではその折り返した幅内に前記ノーズワイヤーを収める折り返し工程とを有し、前記長尺状の不織布積層体の折り返した端部を前記長辺端部加工工程で溶着することで前記ノーズワイヤーを前記長尺状の不織布積層体内に封止するから、請求項5に記載の効果に加えて、ノーズワイヤーによって着用者の鼻周りに対するフィット性が向上するマスクが得られる。
請求項7の発明に係るマスクの製造方法によれば、前記メルトブロー不織布層形成・積層工程と前記スパンボンド不織布層形成・積層工程との間で、前記第1のスパンボンド不織布層及びその上の前記メルトブロー不織布層に対して、その長手方向に対して直角な方向の両端部を切断する整形工程を有するから、前記第1のスパンボンド不織層及び前記メルトブロー不織布層の長手方向に対して直角方向の幅寸法を一致させることができる。よって、第1のスパンボンド不織布層やメルトブロー不織布層を形成するノズルの配置間隔、口径等の精密で細かな設計による不織布層の幅を一致させる制御を必要としないから、請求項5または請求項6に記載の効果に加えて、紡糸の設計を容易とする。
請求項8の発明に係るマスク製造方法によれば、プリーツ形成工程で、前記切断前の長尺状の不織布積層体にプリーツを形成するから、請求項5乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、保管時には平面的で場所を取らない一方、着用時にはプリーツの展開により立体化して着用者の顔面とマスクとの間に空間を形成できるマスクが得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係るマスクの製造装置1及び製造方法について、主に、図1及び図2を参照して説明する。
本実施の形態のマスクの製造装置1は、図1で示すように、主として、第1のスパンボンド不織布層101aを形成するスパンボンド不織布層形成部10と、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを形成し積層するメルトブロー不織布層形成・積層部20と、メルトブロー不織層101bの上に第2のスパンボンド不織層101cを形成し積層するスパンボンド不織布層形成・積層部50と、それら不織布の積層体101Pに対し、その搬送方向に対する直角方向の両側端部を折り返して溶着する長辺端部加工部60と、個別の不織布積層体101に切断する切断部80と、不織布積層体101の長さ方向の両側端部を1対の耳掛け部材105と共に溶着する短辺端部加工部90とを有する。
即ち、図2のフローチャートに示されるように、本実施の形態では、主として、最初に、スパンボンド不織布層形成工程(ステップS10)にて第1のスパンボンド不織布層101aを形成し、次に、メルトブロー不織布層形成・積層工程(ステップS20)にて、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを形成して積層し、続く、スパンボンド不織布層形成・積層工程(ステップS50)にて、メルトブロー不織層101bの上に第2のスパンボンド不織層101cを形成して積層し、長辺端部加工工程(ステップS60)にて、それら不織布の積層体101Pに対し、その搬送方向に対する直角方向の両側端部を折り返して溶着し、更に、切断工程(ステップS80)にて個別の不織布積層体101に切断した後、短辺端部加工工程(ステップS90)にて不織布積層体101の長さ方向の両側端部を1対の耳掛け部材105と共に溶着することによって、マスク100を製造する。
本実施の形態のマスクの製造装置1において、最上流側に配設したスパンボンド不織層形成部10は、スパンボンド法により第1のスパンボンド不織布層101aを形成するものであり、溶融樹脂を紡糸、延伸し、ネットコンベアNC1上に集積することでスパンボンドウェブを形成するスパンボンドウェブ形成部11と、ネットコンベアNC1上に形成されたスパンボンドウェブの繊維間を熱エンボス加工により部分的に溶着する熱エンボス加工部12とから構成されている。
スパンボンドウェブ形成部11は、例えば、直径3~5mm程度の米粒状の樹脂ペレットが供給されるホッパーH1と、ホッパーH1に供給された原料の樹脂ペレットを溶融して押し出す押出機S1と、押出機S1から押し出された溶融樹脂を噴射するノズル部N1と、ノズル部N1から連続噴射された樹脂を連続長繊維の紡糸として捕集、冷却し、ネットコンベア(コレクター)NC1に向かって連続噴射するエジェクターE1とを有する。なお、スパンボンドウェブを形成する紡糸条件は、マスク1の所望とする特性等に応じて適宜設定される。
また、熱エンボス加工部12は、所定形状の凸部が所定模様で配置された熱エンボス凸部ローラー及び特定の曲率面を有する熱平滑ローラーからなる同一径の1対の熱エンボスローラーR1を有する。
なお、ホッパーH1に供給するスパンボンド不織布層101aの原料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ-1-ブテン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリアミド系、ナイロン、ビニロン、アラミド、アクリル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が使用される。単一の樹脂を用いてもよいし、複数種を混合してもよい。特に、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、中でも、ポリプロピレンは軽量で、加工性がよく、柔らかい長繊維となることから、マスク100に好適である。
よって、スパンボンドウェブ形成部11では、ホッパーH1に供給された原料のペレット状の樹脂を、押出機S1から溶融状態で押し出し、それをノズル部N1にて紡糸し、更に、エジェクターE1にて延伸して、ネットコンベアNC1上にウェブ状に集積することでスパンボンドウェブ(フリースともいう)を形成する。
このとき、ネットコンベアNC1のネットベルトの移動によりスパンボンドウェブはネットコンベアNC1上に連続的に長尺状(帯状)に形成される。そして、ネットコンベアNC1で搬送されたスパンボンドウェブは、熱エンボス加工部12の1対の熱エンボスローラーR1である熱エンボス凸部ローラーと熱平滑ローラーの間を通過することで、それら熱エンボスローラーR1による型押しによって樹脂繊維間が部分的に熱融着して凹凸が付与される。
こうして、スパンボンド不織層形成部10では、スパンボンドウェブ形成部11でスパンボンド法によりウェブを形成し、熱エンボス加工部12で、熱エンボスローラーR1によりスパンボンドウェブを熱エンボス加工し樹脂繊維間を熱接着することよって、シート状のスパンボンド不織布層101aを形成する。
このようなスパンボンド法により、即ち、紡糸した樹脂フィラメントを延伸し振り拡げてネットコンベアNC1上に集積することにより形成したスパンボンド不織布層101aは、連続した長繊維(フィラメント)からなるものである。この連続した長繊維の平均繊維径は、例えば、10~30μm程度とされ、また、スパンボンド不織布層101aの目付量は、好ましくは、5~50g/m2、より好ましくは、8~50g/m2とされる。
特に、熱エンボスローラーR1による樹脂繊維の熱融着では、合成樹脂からなる連続繊維の繊維間が自己融着による結合点(熱融着点)、即ち、エンボスを有し、連続繊維相互間が結合されているため、縦横伸を抑え強度、形態安定性を高くできるも、その熱融着部以外では、繊維相互間は動きが自由な状態で集積され、また、接着剤を使用しないため、全体として柔らかな風合いを確保できる。
なお、スパンボンドウェブ形成部11では、必要に応じ、エジェクターE1下方のネットコンベアNC1の下部に、減圧手段により内部に空気を吸い込む吸引部(サクション部)を配設し、エアーポンプによってネットコンベアNC1の上面から下面方向に吸引し、紡糸された連続樹脂繊維をネットコンベアNC1の上面に集まりやすくしてもよい。
また、本発明を実施する場合には、1対の熱ローラーR1は、各ローラーで1/2の高さの凸部を形成することも可能である。但し、この場合には、回転のタイミングを同一とする必要がある。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、初めに、スパンボンド不織布層形成部10のスパンボンドウェブ形成部11により原料の合成樹脂を溶融・紡糸させて得られる連続した長い繊維をネットコンベアNC1上に直接集積してスパンボンドウェブを形成した後、熱エンボス加工部12の熱エンボスローラーR1により熱エンボス加工してスパンボンドウェブの繊維同士を結合、接着することによって熱エンボス加工されたシート状の第1のスパンボンド不織布層101aを形成する。
即ち、本実施の形態では、初めに、原料の樹脂チップを溶融・紡糸して得た長繊維をネットコンベアNC1上に堆積させてスパンボンドウェブを形成するスパンボンドウェブ形成工程と、スパンボンドウェブを熱エンボスローラーR1によって熱エンボス加工することでスパンボンドウェブの繊維同士を結合、接着する熱エンボス加工工程とからなるスパンボンド不織布層形成工程(ステップS10)の実施によって熱エンボス加工されたシート状の第1のスパンボンド不織布層101aを得る。
また、本実施の形態のマスク製造装置1は、スパンボンド不織布層形成部10の下流側に、メルトブロー不織布層形成・積層部20を配設している。
メルトブロー不織布層形成・積層部20は、メルトブロー法、即ち、押し出した溶融樹脂を高速熱風により極細繊維化し、回転コレクターロールC2の面上に載せた第1のスパンボンド不織布層101aの上に吹き付けることで第1のスパンボンド不織布層101aの上に直接、メルトブロー不織布層101bを形成、積層するものである。
メルトブロー不織布層形成・積層部20は、例えば、直径3~5mm程度の米粒状の樹脂ペレットが供給されるホッパーH2と、ホッパーH2に供給された原料の樹脂ペレットを溶融して押し出す押出機S2と、押出機S2から押し出された溶融樹脂を連続的に計量して送り出す計量ポンプPと、空気を加熱する熱風ヒータhと加熱された圧縮空気を送る空気路Lと、計量ポンプPから送り出された溶融樹脂を紡出すると同時に、空気路Lからの熱風を高速で吹きかけることにより、樹脂を極細繊維状の紡糸として、回転コレクターロールC2に向かって吹き出すノズルを有するダイDとを備える。
なお、ホッパーH2に供給するメルトブロー不織布層101bの原料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ-1-ブテン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ナイロン、ビニロン、アラミド、アクリル等の熱可塑性樹脂が使用される。単一の樹脂を用いてもよいし、複数種の混合であってもよい。特に、ポリオレフィン系が好ましく、中でも、ポリプロピレンは軽量で、加工性がよく、柔らかい長繊維となることから、マスク100に好適である。
好ましくは、メルトブロー不織布層101bは、第1のスパンボンド不織布層101a及び後述の第2のスパンボンド不織布層101bと同一の樹脂が使用される。これにより、溶着性を良好にする。即ち、溶融温度(融点)が大きく異なる樹脂同士の溶着では、溶融温度が高い方の樹脂の溶融温度まで昇温させた場合、溶融温度の低い方の樹脂が過熱により脆弱化する恐れがある一方、低い温度では、十分に全層の端部を溶着で一体化することができず剥がれやすくなる恐れがある。全層とも同一の樹脂であれば、全層の端部を溶着で十分に一体化でき破れや剥離が生じ難いものとなる。しかし、本発明を実施する場合、各層の樹脂が相違するものであってもよい。
また、メルトブロー不織布層101bを形成する紡糸条件は、マスク1の所望とする特性等に応じて適宜設定され、ダイDのノズル口金の径は、例えば、0.05mm~0.4mmの範囲内に設定され、また、複数の小孔の間隔は、例えば、0.01~6mmの範囲内に設定され、単孔の吐出量は、例えば、0.2g/分~1g/分の範囲内に設定され、紡糸時に吹きかける空気の温度は、例えば、200~500℃の範囲内、空気の圧力は、例えば、0.1~6kgf/cm2の範囲内に設定される。
よって、メルトブロー不織布層形成・積層部20では、第1のスパンボンド不織布層101aを回転コレクターロールC2上に載せ、そして、ホッパーH2に供給された原料のペレット状の樹脂を、押出機S2から溶融状態で計量ポンプPを使用してダイDに押し出し、ダイDのノズルから紡出させ、それをヒータhで加熱された空気路Lからの高温高速の熱風により極細繊維化して、回転コレクターロールC2に向かって吹き飛ばす。これより、回転コレクターロールC2上に載せた第1のスパンボンド不織布層101aの上面に極細繊維をウェブ状に集積してメルトブロー不織布層101bを形成し、積層する。このとき、回転コレクターロールC2の回転移動によりに第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bが連続的に長尺状に形成、積層される。特に、紡糸した樹脂繊維を高速気流により回転コレクターロールC2に向かって吹き飛ばすメルトブロー法では、長繊維(フィラメント)が、回転コレクターロールC2上に載せた第1のスパンボンド不織布層101aの上面に集積すると共に、互いに絡み合い、また、一部では繊維同士の融着が生じ、自己接着されることで、熱エンボス加工を要することなく繊維同士が結合、接着し、第1のスパンボンド不織布層101aの上面にメルトブロー不織布層101bが形成、積層される。
このようなメルトブロー法により、即ち、紡糸した樹脂繊維を高温高速の気流により吹き飛ばして回転コレクターロールC2に載せた第1のスパンボンド不織布層101aの上に集積することにより形成したメルトブロー不織布層101bは、有限長さの長繊維(フィラメント)からなるものであり、その極細繊維の平均繊維径は、例えば、0.5~10μm程度とされ、また、メルトブロー不織布層101bの目付量は、好ましくは、5~50g/m2、より好ましくは、8~50g/m2とされる。
このとき、本実施の形態のマスク製造装置1においては、スパンボンド不織布層形成部10で熱エンボス加工された第1のスパンボンド不織布層101aの余熱によって、スパンボンド不織布層101aの連続繊維と、その上に極細繊維を集積して形成、積層されるメルトブロー不織布層101bの極細繊維が溶着、融合しスパンボンド不織布層101aとメルトブロー不織布層101bとが分離不可能に一体に接合されることのないよう、回転コレクターロールC2に載せる第1のスパンボンド不織布層101aの温度を考慮し、スパンボンド不織布層形成部10との間隔を十分に空けてメルトブロー不織布層形成・積層部20を配設し、スパンボンド不織布層形成部10とメルトブロー不織布層形成・積層部20の間を所定の距離に設定している。
なお、メルトブロー不織布層形成・積層部20では、必要に応じ、回転コレクターロールC2の内部に、減圧手段により内部に空気を吸い込む吸引部(サクション部)を配設し、エアーポンプによって回転コレクターロールC2の面側から中心側に向かってに吸引し、紡糸され極細化された繊維を回転コレクターロールC2上に集まりやすくしてもよい。
また、上記説明では、ドラム状の回転コレクターロールC2に対し極細繊維を吹き付けるものとしたが、本発明を実施する場合には、スパンボンド不織布層101a,101cの形成時と同様、水平のネットコンベア上で極細繊維を捕集するようにしてもよい。即ち、水平のネットコンベア上に第1のスパンボンド不織布層101aを載せ、そのベルト上の第1のスパンボンド不織布層101aに対し、極細繊維を吹き付けるものであってもよい。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、メルトブロー不織布層形成・積層部20により、原料の合成樹脂を溶融・紡糸し、それに高温の熱風を高速で吹き付けて極細繊維化して回転コレクターロールC2の面上に載せられた第1のスパンボンド不織布層101aの上に集積させることで、第1のスパンボンド不織布層101aの上にシート状のメルトブロー不織布層101bを形成、積層する。
即ち、本実施の形態では、溶融樹脂を押出、高速の熱風により極細化して回転コレクターロールC2の面上に載せられた第1のスパンボンド不織布層101aの上に吹き付けるメルトブロー不織布層形成・積層工程(ステップS20)の実施によって、第1のスパンボンドウェブ不織布層101aの上にシート状のメルトブロー不織布層101bを形成、積層する。
ここで、本実施の形態のマスク製造装置1においては、メルトブロー不織布層形成・積層部20の下流側に、1対のローラーR3と、第1のスパンボンドウェブ不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの所定の端部を切断する切断機31とを有する整形部30を配設している。
この整形部30では、所定の同一径の1対のローラーR3を有し、第1のスパンボンド不織布層101aとその上に形成、積層されたメルトブロー不織布層101bとの2層の積層体を1対のローラーR3間に通すことでそれら2層の積層体を平滑化して厚みを均一にする。
更に、整形部30では、1対のローラーR3の下流側にローラーカッター等の切断刃を設けた切断機31を有し、切断機31によって、所定の搬送台上に載せられた2層の積層体の長手方向(搬送方向)に対して直角方向の両側端部を当該長手方向に沿って所定幅切断する。なお、このときの帯状の切れ端は、ロール状の回収機(図示せず)によりロール状に巻き取って回収し、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布とに分別し、溶融して原料として再利用してもよい。
上述のメルトブロー不織布層形成・積層部20では、第1のスパンボンド不織布層101aの上に、極細化繊維を高速の熱風で吹き付けてメルトブロー不織布層101bを形成、積層するから、ダイDのノズルの設計や高温高速の空気流の条件によっては、第1のスパンボンド不織布層101aよりもメルトブロー不織布層101bが幅方向に拡がり、食み出しやすい。そこで、整形部30により2層の積層体を平滑化したのち、2層の積層体の長さ方向(搬送方向)に対して直角方向の両側端部を切断機31で所定幅切断することにより、第1のスパンボンド不織布層101a及びその上に形成、積層したメルトブロー不織布層101bの幅を一致させて仕上がり時の外観性を良くできる。
特に、スパンボンド不織布層形成部10及びメルトブロー不織布層形成・積層部20における紡糸条件、例えば、ノズルの配置間隔、ノズル口径等の精密な細かな設計制御で、第1のスパンボンド不織布層101aとその上に形成・積層するメルトブロー不織布層10bとの両者の長手方向に対して直角方向の幅を一致させなくとも、こうした整形部30を設けて2層の積層体を平滑化したのち、2層の積層体の長さ方向(搬送方向)に対して直角方向の両側端部を切断機31で所定幅切断することで、両者の幅を一致して外観性を良くできるから、スパンボンド不織布層形成部10及びメルトブロー不織布層形成・積層部20における紡糸の設計を容易化できる。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、整形部30の1対のローラーR3を用いたローラー加工により第1のスパンボンド不織布層101aとその上に形成されたメルトブロー不織布層102bとの2層の積層体を平滑化し、更に、切断機31によって2層の積層体の長手方向に対して直角な方向の両端部を所定幅切断して、所定の一定幅に形状を整えている。
即ち、本実施の形態では、メルトブロー不織布層形成・積層工程(ステップS20)後において、1対のローラーR3により第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの2層の不織布積層体を平滑化するローラー加工工程と、切断機31により2層の積層体の長手方向の両側端部を所定幅切断する切断工程とからなる整形工程(ステップS30)の実施によって、第1のスパンボンドウェブ不織布層101a及びその上に形成、積層されたメルトブロー不織布層101bの両層を所定の一定幅に形状を整えている。
更に、本実施の形態のマスク製造装置1においては、この整形部30の下流側に、第1のスパンボンド不織布層101aの上に形成、積層したメルトブロー不織布層101bの上面に対し、所定長に切断されたノーズワイヤー104を配置するノーズワイヤー配置部40が設けられている。
本実施の形態では、ノーズワイヤー104として、塑性変形するポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ-1-ブテン等のポリオレフィン系の樹脂製または金属製の平板長尺状ものもが使用される。
ノーズワイヤー配置部40では、ノーズワイヤー104がロール状に巻かれたワイヤーロール41から長尺状のノーズワイヤー104が繰り出され、繰り出された長尺状のノーズワイヤー104がワイヤー切断・配置部41のワイヤー切断機で所定長、例えば、8cm~14cm程度に切断される。そして、その切断された所定長のノーズワイヤー104が、第1のスパンボンド不織布層101a上に積層されたメルトブロー不織布層101bの上面であってその長手方向(搬送方向)に対して直角方向の一端部側に所定間隔で載せられる。即ち、ノーズワイヤー104の長さ方向とメルトブロー不織布層101bの長手方向を一致させて、ノーズワイヤー104がメルトブロー不織布層101bの上面の一端部側に所定間隔で配置されていく。なお、このときのノーズワイヤー104の配置位置は、後述の折り返し部61で端部を所定幅折り返したときに、その折り返した幅内にノーズワイヤー104が収まる所定の位置とされる。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、ノーズワイヤー配置部40により、所定長に切断したノーズワイヤー104の長さ方向をメルトブロー不織布層101bの長手方向に一致させて、ノーズワイヤー104をメルトブロー不織布層101bの上面の長手方向(搬送方向)に対する直角方向の一端部側に所定間隔で配置する。
即ち、本実施の形態では、整形工程(ステップS30)後において、メルトブロー不織布層101bの上にノーズワイヤー104を配置するノーズワイヤー配置工程(ステップS40)の実施によって、所定長に切断したノーズワイヤー104を第1のスパンボンド不織布層101aの上に形成、積層したメルトブロー不織布層101bの上面であって、その長手方向に対する直角方向の一端部側に長手方向に沿った所定間隔で配置する。
そして、本実施の形態のマスクの製造装置1では、このノーズワイヤー配置部40の下流側に、第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層するスパンボンド不織層形成・積層部50を配設している。
このスパンボンド不織層形成・積層部50は、第1のスパンボンド不織布層101aの上に形成、積層されたメルトブロー不織布層101bの上に、直接、スパンボンド法により第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層するものであり、上述のスパンボンド不織布層形成部10と同様、溶融樹脂を紡糸、延伸し、集積することでスパンボンドウェブを形成するスパンボンドウェブ形成・積層部51と、スパンボンドウェブに対し熱エンボス加工により部分的に溶着する熱エンボス加工部52とから構成されている。
スパンボンドウェブ形成・積層部51は、スパンボンドウェブ形成部11と同様、直径3~5mm程度の米粒状の樹脂ペレットが供給されるホッパーH1と、ホッパーH1に供給された原料のペレットを熔融して押し出す押出機S5と、押出機S5から押し出された溶融樹脂を噴射するノズル部N5と、ノズル部N5から連続噴射された樹脂を連続長繊維の紡糸として捕集し、冷却し、ネットコンベア(コレクター)NC5に向かって連続噴射するエジェクターE5とを有する。
また、熱エンボス加工部52は、熱エンボス加工部12と同様、所定形状の凸部が所定模様で配置された熱エンボス凸部ローラー及び特定の曲率面を有する熱平滑ローラーからなる所定の同一径の1対の熱ローラーR5を有する。
なお、第2のスパンボンド不織布層101cの原料も、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリー1-ブテン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリアミド系、ナイロン、ビニロン、アラミド、アクリル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が使用され、単一の樹脂を用いてもよいし、複数種を混合してもよい。ポリオレフィン系が好ましく、中でも、ポリプロピレンは軽量で、加工性がよく、柔らかい長繊維となることから、マスク100に好適である。
特に、本実施の形態では、スパンボンドウェブ形成部11とスパンボンドウェブ形成・積層部51において原料が供給されるホッパーH1を共有し、第1のスパンボンド不織布層101bの原料と、第2のスパンボンド不織布層101cの原料を同一としている。これより、装置の小型化を可能とし、また、第1のスパンボンド不織布層101bと第2のスパンボンド不織布層101cの原料を統一していることで、不織布積層体101の層間の溶着性を良くし、破れや剥がれが生じ難いものとする。
しかし、本発明を実施する場合には、スパンボンドウェブ形成部11とスパンボンドウェブ形成・積層部51で別々にホッパーを設けて、異なる原料樹脂を使用することも可能である。なお、スパンボンド不織布層101cを形成する紡糸条件は、マスク100の所望とする特性等に応じて適宜設定される。第1のスパンボンド不織布層101aを形成する紡糸条件と同一の設計、設定としてもよいし、異なる設計、設定としてもよい。
よって、スパンボンドウェブ形成部51では、ネットコンベアNC5上に第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの2層の積層体を載せ、そして、ホッパーH1に供給された原料のペレット状の樹脂を、押出機S5から溶融状態で押し出し、それをノズル部N5にて紡糸し、更に、エジェクターE5にて延伸して、ネットコンベアNC5に載せた積層体のメルトブロー不織布層101bの上面にウェブ状に集積することで、メルトブロー不織布層101bの上に直接スパンボンドウェブ(フリースともいう)を形成、積層する。
このとき、ネットコンベアNC5のネットベルトの移動によりにスパンボンドウェブはメルトブロー不織布層101bの上に連続的に長尺状に形成、積層される。そして、ネットコンベアNC5で搬送された第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b及びスパンボンドウェブの積層体は、熱エンボス加工部52の1対の熱エンボスローラーR5である熱エンボス凸部ローラーと熱平滑ローラーの間を通過することで、それら熱エンボスローラーR5による型押しによってスパンボンドウェブの樹脂繊維間が部分的に熱融着して凹凸が付与される。
なお、このときの熱ローラーR5によるエンボス加工では、凸部の型押しで、スパンボンドウェブの樹脂繊維が溶着されても、第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bと溶着して一体に接合されることのない加圧及び温度としている。
こうして、スパンボンド不織層形成・積層部50では、スパンボンドウェブ形成・積層部51により、第1のスパンボンド不織布層101aの上のメルトブロー不織布層101bの上に直接スパンボンドウェブを形成、積層し、更に、熱エンボス加工部51の熱エンボスローラーR5によりスパンボンドウェブを熱エンボス加工で熱接着することによって、第1のスパンボンド不織布層101aの上に形成、積層したメルトブロー不織布層101bの上にシート状の第2のスパンボンド不織布層101cを形成する。
このようなスパンボンド法により、即ち、紡糸した樹脂フィラメントを延伸し振り拡げてメルトブロー不織布層101bの上に集積することにより形成した第2のスパンボンド不織布層101cも、第1のスパンボンド不織布層101aと同様、連続した長繊維(フィラメント)からなるものである。この連続繊維の径は、例えば、10~30μmとされ、また、第2のスパンボンド不織布層101cの目付量は、好ましくは、5~50g/m2、より好ましくは、8~50g/m2とされる。第1のスパンボンド不織布層101と同一の目付量としてもよいし相違してもよい。
特に、熱エンボスローラーR5による樹脂繊維の熱融着では、合成樹脂からなる連続繊維の繊維間が自己融着による結合点(熱融着点)、即ち、エンボスを有し、連続繊維相互間が結合されているため、縦横伸を抑え強度、形態安定性を高くできるも、その熱融着部以外では、繊維相互間は動きが自由な状態で集積され、また、接着剤を使用しないため、全体として柔らかな風合いを確保できる。
なお、スパンボンドウェブ形成・積層部51においても、必要に応じ、エジェクターE5の下方のネットコンベアNC5の下部に、減圧手段により内部に空気を吸い込む吸引部(サクション部)を配設し、エアーポンプによってネットコンベアNC5の上面から下面方向に吸引し、紡糸された連続樹脂繊維をメルトブロー不織布層101bの上に集まりやすくしてもよい。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、スパンボンド不織布層形成・積層部50のスパンボンドウェブ形成・積層部51により原料の合成樹脂を溶融・紡糸させて得られる連続した長い繊維をネットコンベアNC5に載せた第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bのその上に直接集積してスパンボンドウェブを形成した後、熱エンボス加工部52の熱エンボスローラーR5により熱エンボス加工してスパンボンドウェブの繊維同士を結合、接着することによって熱エンボス加工されたシート状の第2のスパンボンド不織布層101cをメルトブロー不織布層101bの上に形成、積層する。
即ち、本実施の形態では、原料の樹脂チップを溶融・紡糸して得た長繊維をネットコンベアNC5に載せた第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの上に堆積してスパンボンドウェブを形成、積層するスパンボンドウェブ形成・積層工程と、熱エンボスローラーR5によってスパンボンドウェブを熱エンボス加工することでスパンボンドウェブの繊維同士を結合、接着する熱エンボス加工工程とからなるスパンボンド不織布層形成・積層工程(ステップS50)の実施によって熱エンボス加工されたシート状の第2のスパンボンド不織布層101cを第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの上に形成、積層して、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの順に積層された3層の不織布積層体101Pを得る。このときの第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの順に積層された3層の不織布積層体101Pは、一体に溶着接合されて積層一体化(複合一体化)されたものでなく、部分的な熱接着があったとしても各層が融合しておらず分離自在な積層状態である。
そして、本実施の形態のマスクの製造装置1では、このスパンボンド不織布形成・積層部50の下流側に、不織布積層体101Pの長手方向に対して直角な方向の両側端部を溶着する長辺端部加工部60を配設している。
本実施の形態の長辺端部加工部60は、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの順に積層された3層の不織布積層体101Pに対し、その長手方向(搬送方向)に対して直角な方向(幅方向)の両端部を折り返す折返部61とその折り返した端部(図3に示す長辺端部106aに相当)で不織布積層体101Pの長手方向に対して直角な方向(幅方向)の両側の端部(長辺端部106a)を熱圧着する長辺端部溶着部62とを有する。
折返部61では、不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両端部を、例えば、5mm~18mm程度の幅で折り返すことで端部を補強する。このとき、不織布積層体101Pのノーズワイヤー104配設側の端部では、ノーズワイヤー104の幅が含まれるよう折り返し、折り返した幅内にノーズワイヤー104を収めるようにする。なお、端部の折り返し幅は、対向する両端部で同一幅としてもよいし、ノーズワイヤー104配設側の端部の方で、折り返し幅を広くしてもよい。
長辺端部溶着部62では、超音波、高周波、または熱(熱風、熱板等)により不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両側端部の折り返し部分を溶着する。ここで、長辺端部溶着部62により溶着する不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両側の端部とは、図3に示した完成品であるマスク100の略矩形状の不織布積層体101からすれば、不織布積層体101の長辺端部106a,106bに相当する。即ち、このときの溶着は、図3に示した完成品であるマスク100の略矩形状の不織布積層体101からすれば、不織布積層体101の長辺端部106a,106bの溶着線106に相当する。例えば、超音波溶着機により、不織布積層体101Pの長手方向に沿ってミシン目状(点状)に溶着することで、図3に示すように、不織布積層体101の長辺端部106a,106bにミシン目状(点状)の溶着線106が形成される。このときの不織布積層体101Pの長手方向に沿うミシン目状(点状)の溶着線106は、通常、所定間隔で複数列形成される。例えば、ノーズワイヤー104を配設側の折り返し端部106aでは、ノーズワイヤー104が位置ずれしないように、その幅方向の両脇を挟み込むよう複数列のミシン目状に溶着する。これより、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間に挟まれているノーズワイヤー104が不織布積層体101P内に固定される。なお、ノーズワイヤー104の長さによっては、その長手方向への位置ずれを防止するため、ノーズワイヤー104の長さ方向の両側も部分的に溶着してもよい。
しかし、本実施の形態では、メルトブロー不織布層101bの上面にノーズワイヤー104を配置してから、第2のスパンボンド不織布層101cを形成するものであるため、メルトブロー不織布層101bの余熱や、第2のスパンボンド不織布層101cの形成、積層時の熱エンボス加工の熱により、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間でノーズワイヤー104を部分的にそれら不織布層に熱接着することが可能であり、ノーズワイヤー104の位置ずれを生じ難くできる。したがって、ノーズワイヤー104の幅方向や長さ方向の両脇を挟み込むよう複数列のミシン目状に溶着しなくとも、ノーズワイヤー104が位置ずれし難く、ノーズワイヤー104の位置ずれによる違和感の解消、着用者の鼻に対するフィット性の向上を可能とする。
よって、長辺端部加工部60では、折返部61により不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両端部が折り返され、特に、ノーズワイヤー104配設側の端部ではノーズワイヤー104の幅を含むように折り返され、更に、長辺端部溶着部62により、不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の折り返した両端部を溶着する。このとき、ノーズワイヤー104の幅方向を含む折り返した端部の溶着によって、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間でノーズワイヤー104を封止する。なお、これらの折り返し及び溶着は、不織布積層体101Pの長手方向に連続的に行われる。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、長辺端部加工部60の折返部61により第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両端部を折り返した後、長辺端部溶着部62により不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の折り返した両側端部をそれぞれ溶着する。このとき、本実施の形態では、ノーズワイヤー104配設側の端部がノーズワイヤー104の幅を含むように折り返され、その折り返した端部を溶着することで、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間でノーズワイヤー104を封止する。
即ち、本実施の形態では、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両端部を折り返す折返し工程と、不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の折り返した両側端部をそれぞれ溶着する長辺端部溶着工程とからなる長辺端部加工工程(ステップS60)の実施によって、不織布積層体101Pの長手方向に対して直角方向の両端部が折り返され、特に、ノーズワイヤー104配設側の端部がノーズワイヤー104の幅を含むように折り返された後、それら折り返した部分が溶着されてメルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間でノーズワイヤー104が封止される。
更に、本実施の形態のマスクの製造装置1では、長辺端部加工部60の下流側に、プリーツ形成部70を配設している。
本実施の形態のプリーツ形成部70では、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなり幅方向の両端部が溶着された不織布積層体101Pに対し、その長手方向に沿って連続的にプリーツ107(図3参照)を入れるプリーツ形成機71と、そのプリーツ107を抑えてプリーツの折り目を定着させるローラーR7とを有する。プリーツ形成機71により、3層の不織布積層体101Pに対し、その長手方向に沿って延びる折り目を並行して複数付し、それら折り目に沿って折り重ねることで、例えば、3~6段のプリーツ(襞)107を形成する。そして、そのプリーツ107が形成された不織布積層体101PをローラーR7に通すことでプリーツ107の折り目を定着させる。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、プリーツ形成部70のプリーツ形成機71により、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pにプリーツ107を入れ、更に、ローラーR7によりプリーツ107の折り目を定着させる。
即ち、本実施の形態では、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pにプリーツ107を入れ、また、ローラーR7を通してそのプリーツ107の折り目を定着させるプリーツ形成工程(ステップS70)の実施によって、不織布積層体101Pにプリーツ107を形成する。
なお、本発明を実施する場合には、プリーツ107の折り畳み(襞)の数や、襞の重複幅、襞の向き等は特に限定されず、各表面または裏面で同一方向に形成するようにしてもよいし、上下で襞の数を相違させてもよいし、上下で襞の向きを変えてもよいし、中間の襞を幅広としその上下両側の襞を幅狭く形成してもよい。
そして、本実施の形態のマスクの製造装置1では、プリーツ形成部70の下流側に、不織布積層体101Pの長さを切断する切断部80を配設している。
本実施の形態の切断部80では、不織布積層体101Pを切断する刃を備えたローラーカッター等の切断機81を有し、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなりプリーツ107が形成された不織布積層体101Pの長さを、その長手方向の所定間隔で切断機81により切断し、所定寸法の略矩形状である個別の不織布積層体101とする。
こうして本実施の形態のマスク製造装置1では、切断部80の切断機81により、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pの長手方向の所定間隔で、不織布積層体101Pをその長手方向に対して直角な方向(搬送方向)で切断することにより所定寸法の略矩形状とされた個別の不織布積層体101を得る。
即ち、本実施の形態では、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pの長手方向の所定間隔で、不織布積層体101Pをその長手方向に対して直角な方向(搬送方向)で切断する切断工程(ステップS80)の実施によって、不織布積層体101Pの長さを切断して所定寸法の略矩形状とされた個別の不織布積層体101を得る。
ここで、本実施の形態のマスクの製造装置1では、第1スパンボンド不織布層101aの形成、メルトブロー不織布層101bの形成積層、第2スパンボンド不織布層101cの形成積層、ノーズワイヤー104の配置、長尺状の不織布積層体101Pの整形、長辺端部(106a,106b)の溶着、長尺状の不織布積層体101Pの切断は、それら一連の作業が単一の場所で連続して流れるもの、即ち、一連化したものであり、切断部80の切断により得た個別の不織布積層体101は、コンベア等の基台を有する任意の移送手段で下流側に配設した短辺端部加工部90に移送される。この間、個別の不織布積層体101の配置は、90度方向転換され、切断部80の下流側に配設した短辺端部加工部90に移送される。
本実施の形態の短辺端部加工部90は、切断により得た個別の不織布積層体101の長さ方向の両端部に紐状の耳掛け部材105を配置する耳掛け部材配置部91と、不織布積層体101の長さ方向の両端部を耳掛け部材105と共に溶着する短辺端部溶着部92とを有する。
耳掛け部材配置部91では、紐状の耳掛け部材105がロール状に巻かれた紐ロール91aから紐状の耳掛け部材105が繰り出され、その繰り出された紐状の耳掛け部材105を紐切断・配置部91bの紐切断機で所定長、例えば、10cm~20cm程度に切断する。そして、その切断された所定長の紐状の耳掛け部材105を、不織布積層体101の長さ方向の各端部、即ち、各短辺端部108a(図3参照)において、その上下(幅方向)を掛け渡すように不織布積層体101の上面、即ち、第2のスパンボンド不織布層101cの上面に配置する。つまり、切断され略矩形状とされた不織布積層体101の長手方向の各端部(各短辺端部108a)において、紐状の耳掛け部材105の長手方向の両端部が、不織布積層体101の幅方向の上下端部側に配置し、不織布積層体101に対し環状を形成するように配置される。ここで、本実施の形態において、紐状の耳掛け部材105とは、例えば、丸ゴムや平ゴム等の伸縮自在なゴム紐(弾性紐)が使用される。
短辺端部溶着部92では、超音波、高周波、または熱(熱風、熱板等)により不織布積層体101の長さ方向の両端部、即ち、短辺端部108aを溶着する。このときの溶着は、図3に示した完成品であるマスク100の略矩形状の不織布積層体101において、その短辺端部108側の溶着線108に相当する。例えば、超音波溶着機により、不織布積層体101の幅方向(短手方向)に沿ってミシン目状(点状)に溶着することで、図3に示すように、不織布積層体101の端辺端部108aにミシン目状(点状)の溶着線108が形成される。このときの不織布積層体101の幅方向に沿うミシン目状(点状)の溶着線108は、所定間隔で複数列形成される。特に、本実施の形態において、不織布積層体101の短辺端部108aでは、そこに配置された紐状の耳掛け部材105の長さ方向の両端部と共に溶着される。即ち、紐状の耳掛け部材105も不織布積層体101の短辺端部108aに溶着される。なお、本実施の形態では、第2のスパンボンド不織布層101cの面に耳掛け部材105を溶着する。
こうして本実施の形態の短辺端部加工部90では、耳掛け部材配置部91により所定長に切断した紐状の耳掛け部材105の長さ方向の両端部を不織布積層体101の長手方向の各端部(短辺端部108a)側に配置し、短辺端部溶着部92により不織布積層体101の第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cをそれらの各短辺側端部108aで耳掛け部材105と共に溶着する。
即ち、本実施の形態では、所定長に切断した紐状の耳掛け部材105を不織布積層体101に配置する耳掛け部材配置工程と、不織布積層体101の第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cをそれらの各短辺側端部108aで耳掛け部材105と共に溶着する短辺端部溶着工程とからなる短辺端部加工工程(ステップS90)の実施によって、不織布積層体101の第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの短辺側端部108aを溶着すると共に、耳掛け部材105を不織布積層体101の短辺側端部108aに溶着する。
これより、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層構造の不織布積層体101と不織布積層体101の長さ方向(左右方向)の両側の短辺端部108aに溶着された紐状の1対の耳掛け部材105とを有するマスク100が得られる。
即ち、本実施の形態のマスクの製造装置1により得られるマスク100について、図3乃至図7を参照して説明すると、本実施の形態のマスク100は、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層が積層されてなる略矩形状の不織布積層体101(マスク本体部)と、不織布積層体101の長さ方向(左右方向)の両側の短辺端部108aの上下端部に溶着されて不織布積層体101に対して環状を形成するように取付けられた1対の耳掛け部材105とを有する。なお、不織布積層体101の長さは、例えば、10mm~21mm程度、幅は、例えば、6~11mm程度とされる。
また、本実施の形態のマスク100の不織布積層体101は、その長さ方向に対して直角方向の両端部である長辺端部106a,106bでミシン目状の複数列の溶着線106によって溶着され、また、長さ方向の両端部である短辺端部108aでミシン目状の複数列の溶着線108によって溶着されており、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の周囲が互いに溶着によって接合されている。
特に、本実施の形態のマスク100においては、不織布積層体101の長手方向に直角方向の一端部側である長辺端部106a側であって、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間にノーズワイヤー104が配設されており、ノーズワイヤー104の幅方向の両側に形成された溶着線106によって、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間に封止されている。
よって、ノーズワイヤー104の塑性変形により、着用者の鼻の形状に対応して不織布積層体101をフィットできるから、着用時の不織布積層体101のずれを防止して着用感を良くできる。そしてノーズワイヤー104の塑性変形により、着用者の鼻の形状に対応して不織布積層体101をフィットできることで、着用者の鼻周りに隙間を生じ難くできるから、外部からのダスト、花粉、細菌・ウイルス等を含む飛沫等の侵入をより阻止でき、また、着用者の飛沫が拡散するのをより防止できる。更に、マスク100と鼻との隙間から息が上方へ漏れることによる眼鏡の曇りも防止できる。
このとき、ノーズワイヤー104を配設した不織布積層体101の長辺端部106aでは、ノーズワイヤー104の幅を含むように、例えば、10mm~18mm程度の幅で折り返され端部の強度を高めている。よって、ノーズワイヤー104を変形させても、不織布積層体101が破れて露出する事態が防止される。
更に、本実施の形態のマスク100の不織布積層体101においては、その長さ方向に延びる複数段の折り目に沿って折り畳まれたプリーツ107が形成されているから、図3や図4に示すように、使用前や保管時にはプリーツ107が折り畳まれた状態とされる一方、図5や図6に示すように、使用時には、プリーツ107を広げ、立体的にできる。よって、使用前や保管時には場所を取らない省スペースのものである一方、着用時には、立体的に変形して着用者の顔面との間に空間を生じさせる着用状態とし、着用者の口が不織布積層体101に触れ難くして呼吸や会話をしやすくする。
ここで、本実施の形態のマスク100の不織布積層体101は、その表面側及び裏面側、即ち、外面側に第1のスパンボンド不織布層101a及び第2のスパンボンド不織布層101cが配設し、それら第1のスパンボンド不織布層101aと第2のスパンボンド不織布層101cの間の中間にメルトブロー不織布層101bが配設しており、表面側及び裏面側に配設した第1のスパンボンド不織布層101a及び第2のスパンボンド不織布層101cとそれらの間に配設したメルトブロー不織布層101bとは溶着された周囲を除き互いに分離自在である。
特に、本実施の形態においては、初めにスパンボンドウェブを形成し熱エンボス加工することにより第1のスパンボンド不織布層101aを形成し、その上にメルトブロー不織布層101bを形成、積層しているから、メルトブロー不織布層101b形成時に高温の熱風で極細繊維を吹き付けたときの余熱によって、第1のスパンボンド不織布層101aの連続繊維とメルトブロー不織布層101bの極細繊維とを部分的に熱接着したり、また、そのメルトブロー不織布層101bの上に、スパンボンドウェブを形成し熱エンボス加工することにより第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層するものであるから、熱エンボス加工時の伝熱によって、メルトブロー不織布層101bの極細繊維と第2のスパンボンド不織布層101cの連続繊維とを部分的に熱接着したりすることも可能である。但し、このときの熱接着は部分的であるから、使用時には、不織布積層体101の動き、例えば、プリーツ107を拡げる動きにより、溶着された周囲を除き、層間の間隔が開いて各層が互いに分離自在とされる。即ち、部分的な熱接着があったとしても各層が融合しておらず分離自在な積層状態である。このような層同士の部分的な熱接着によって層が接合されたマスク100では、保形性の向上や嵩の低減化が可能となる。
ところで、本実施の形態のマスク100の製造においては、初めに形成する第1のスパンボンド不織布層101aよりも後に形成される第2のスパンボンド不織布層101cが柔らかくなるから、第1のスパンボンド不織布層101aを意匠面側、即ち、外面側とし、第2のスパンボンド不織布層101c側を着用者の顔面への接触側、即ち、内面側とし、第2のスパンボンド不織布層101cの面に紐状の耳掛け部材105を溶着している。しかし、本発明を実施する場合には、第1のスパンボンド不織布層101a側を着用者の顔面への接触側となる内面側とし、第2のスパンボンド不織布層101c側を意匠面となる外面側として、耳掛け部材105の配置前に、不織布積層体101を反転して、第1のスパンボンド不織布層101aの面に紐状の耳掛け部材105を溶着するようにしてもよい。
こうしたマスク100を製造する本実施の形態のマスクの製造装置1は、上述したように、まず、第1のスパンボンド不織布層101aを形成し、その上に、メルトブロー不織布層101bを直接形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成、積層するものであり、紡糸から、直接、不織布を製造して積層し、不織布製造と積層とを一体としていることで、即ち、不織布の巻き取りを行うことなく紡糸から不織布の形成及び積層まで連続していることで、不織布を別個で製造してロール状に巻き取り、その原反ロールに巻かれた不織布を繰り出して積層する従来のマスク製造に比べ、不織布を製造し、加工してマスクを製造するまでの消費エネルギ及びコストが低減化され、生産効率が向上する。また、紡糸から不織布の形成、積層まで連続させるから、小規模、省スペースのライン設備で済み、短時間の新設を可能としてマスクの急な需要増大にも対応しやすい。
更に、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを直接形成し、そして、そのメルトブロー不織布層101bの上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成することにより、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを積層するものであるから、巻き取りに不向きな低目付量、薄さの不織布でもマスク100が構成できる。即ち、巻き取りした場合には、破断や皺が生じるような低目付量の薄い不織布層であっても、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、マスク100を構成する不織布積層体の層として構成できるから、低目付量による風合いの向上や、低圧損化、つまりは、通気の向上、着用時の息苦しさの軽減を可能として、マスク100の着心地の向上を可能とする。
したがって、マスク100を形成する不織布の特性、構成が、不織布の巻き取りを考慮した特性に限定されることがないから、マスクの特性の設計自由度を高めることができる。
特に、本実施の形態のマスクの製造装置1では、第1スパンボンド不織布層101aの形成、メルトブロー不織布層101bの形成、積層、第2スパンボンド不織布層101cの形成、積層、ノーズワイヤー104の配置、長尺状の不織布積層体101Pの整形、長辺端部(106a,106b)の溶着、切断は、それらの一連の作業が単一の場所で連続して流れるもの、つまり、一連化させたものであり、一般的にはスパンボンド不織布の形成よりもメルトブロー不織布の形成の速度がゆっくりであることから、メルトブロー不織布層101bの形成、積層が律速段階となる。よって、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、従来のスパンボンド不織布のみを製造しそれをロール状に巻く単一の不織布製造時よりも、スパンボンド不織布の形成速度が遅くなることになるから、スパンボンド不織布層101a,101cの地合いを良くできる。即ち、スパンボンド不織布層101a,101cの繊維がムラなく分散する均一性、品質に優れるものとなる。そして、これら地合いに優れたスパンボンド不織布層101a,101cは、マスク100の表裏面側に配設するから、マスク100の風合い、着心地を向上することが可能となる。また、スパンボンド不織布層101a,101cの地合いが向上することで、強度が向上するから、スパンボンド不織布層101a,101cの目付量の低減化、薄厚化を可能とする。つまり、スパンボンド不織布層101a,101cの目付量を低減化、薄厚化しても所定の強度を確保できる。そして、目付量の低減化、薄厚化によって低コスト化を可能とし、また、マスク100の風合い、着心地も向上できる。更に、嵩が抑えられることで、マスク100の運搬・保管コストの抑制も可能とする。
以上説明してきたように、本実施の形態のマスクの製造装置1は、スパンボンド法でウェブを形成し、熱エンボス加工することにより第1のスパンボンド不織布層101aを長尺状に連続的に形成するスパンボンド不織布層形成部10と、第1のスパンボンドウェブ不織布層101aの上にメルトブロー法でメルトブロー不織布層101bを長尺状に連続的に形成し積層するメルトブロー不織布層形成・積層部20と、メルトブロー不織布層101bの上にスパンボンド法でウェブを形成し、熱エンボス加工することによりメルトブロー不織布層101bの上に第2のスパンボンド不織布層101cを長尺状に連続的に形成し積層するスパンボンド不織布層形成・積層部50と、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cが積層された長尺状の不織布積層体101Pの長手方向に対して直角な方向の両側端部(長辺端部106a,106b)で、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを溶着する長辺端部加工部60と、端部を溶着された長尺状の不織布積層体101Pをその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な方向で切断する切断部80と、切断で得られた個別の不織布積層体101の長さ方向の両端部(短辺端部108a)で、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを溶着し、また、不織布積層体101の長さ方向の両端部(短辺端部108a)に耳掛け部材105を溶着する短辺端部加工部90とを具備するものである。
したがって、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、まず、第1のスパンボンド不織布層101aを形成し、その上に、メルトブロー不織布層101bを直接形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成、積層するものであり、不織布層の形成と積層を一体化させて長尺状に連続的に形成した不織布積層体100Pに対し、その長手方向に対して直角方向の対向する長辺端部106a,106bを溶着してから所定長に切断し、更に、長手方向の対向する短辺端部108aを溶着し、また、そこに耳掛け部材105も溶着することで、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の不織布積層体101及びその長さ方向の両側に取付けた1対の耳掛け部材104とを有するマスク100が製造されるものである。
即ち、本実施の形態のマスクの製造装置1は、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層するものであり、不織布化と積層を一体とし、不織布の巻き取りを行うことなく、不織布の製造と不織布を加工するマスク製造とを一連の連続工程、設備で行うものである。
こうして、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、不織布層の形成と積層を一体化しているから、各不織布を別個で製造してロール状に巻き取り、その原反ロールに巻かれた不織布を繰り出して積層する従来の製造に比べ、不織布を製造し、加工してマスクを得るまでのエネルギ消費の低減化、即ち、省エネ化と低コスト化が可能となる。また、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを直接形成し、更に、そのメルトブロー不織布層101bの上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成することにより、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを積層するものであるから、巻き取りに不向きな低目付、薄さの不織布層も構成できる。よって、マスクを形成する不織布の特性、構成が、不織布の巻き取りを考慮した特性に限定されることがなく、マスクの特性の設計自由度を高めることができる。
更に、本実施の形態のマスクの製造装置1では、メルトブロー不織布層101bの形成、積層が律速段階であり、従来の紡糸から不織布の形成、巻き取りまで一貫して単一のスパンボンド不織布を製造するもの、つまりは、生産が高速化しているものよりも、スパンボンド不織布の形成速度が遅くなるから、スパンボンド不織布層101a,101cの地合いを良くできる。よって、マスク100の風合い、着心地を向上することが可能となる。また、スパンボンド不織布層101a,101cの地合いの向上で強度が向上するから、スパンボンド不織布層101a,101cの目付量の低減化、薄厚化を可能とする。
よって、本実施の形態のマスクの製造装置1によれば、原反への巻き取り特性を考慮した不織布層の特性に限定されないことで、不織布の目付量の低減化、薄厚化が可能となり、更に、スパンボンド不織布の地合いの向上によっても、その目付量の低減化、薄厚化が可能となる。したがって、マスク100の風合い、着心地の向上や低コスト化を可能とする。
また、本実施の形態のマスクの製造装置1は、長尺状に連続的に形成されたメルトブロー不織布層101bの上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部(長辺端部106a)側にノーズワイヤー104を配設するノーズワイヤー配置部40と、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の長尺状の不織布積層体101Pの長手方向に対する直角方向の両端部を折り返し、ノーズワイヤー104配設側の端部(長辺端部106a)では折り返した幅内に前記ノーズワイヤー104を収める折り返し部61とを有し、不織布積層体101Pの折り返した端部(長辺端部106a,106b)を長辺端部加工部60の長辺端部溶着部62により溶着することでノーズワイヤー104を不織布積層体101内に封止するものである。
したがって、本実施の形態のマスク製造装置1によれば、ノーズワイヤー104入りのマスク100が得られる。このノーズワイヤー104を有するマスク100によれば、着用時に、着用者の鼻の形状に対応してノーズワイヤー104を変形させることで着用者の鼻周りに隙間を生じ難くできる。したがって、着用者の鼻周りに対するフィット性を向上できる。
更に、本実施の形態のマスクの製造装置1は、第2のスパンボンド不織布層101cが積層される前の第1のスパンボンド不織層101aとその上のメルトブロー不織布層101bに対し、それらの長手方向に対して直角方向の両側の端部を切断する整形部30を有するものである。
したがって、本実施の形態のマスク製造装置1によれば、整形部30により第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの長手方向に対する直角方向の幅を一致させることができ、第1のスパンボンド不織布層101aやメルトブロー不織布層101bを形成する各ノズルの配置間隔、口径等の精密で細かな設計で、それら不織布層の幅を一致させる制御を必要としないから、第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの紡糸の設計を容易とする。
更に、本実施の形態のマスクの製造装置1は、切断部80で切断される前の長尺状の第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pにプリーツ107を形成するプリーツ形成部70を有するから、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101にプリーツ107が形成されたマスク100が得られる。よって、本実施の形態のマスク100によれば、その使用前や保管時には、平面的で場所を取らない一方、着用時にはプリーツ107を広げれば顔面の広範囲を覆うことができ、しかも立体的な形状となるから、着用者の顔面とマスク100との間に空間を形成し、着用者の口がマスク100に接触し難いものとなる。
また、上記実施の形態は、スパンボンド法でウェブを形成し、熱エンボス加工することにより第1のスパンボンド不織布層101aを長尺状に連続的に形成するスパンボンド不織布層形成工程(ステップS10)と、第1のスパンボンドウェブ不織布層101aの上にメルトブロー法でメルトブロー不織布層101bを長尺状に連続的に形成し積層するメルトブロー不織布層形成・積層工程(ステップS20)と、メルトブロー不織布層101bの上にスパンボンド法でウェブを形成し、熱エンボス加工することによりメルトブロー不織布層101bの上に第2のスパンボンド不織布層101cを長尺状に連続的に形成し積層するスパンボンド不織布層形成・積層工程(ステップS50)と、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cが積層された長尺状の不織布積層体101Pの長手方向に対して直角な方向の両側端部(長辺端部106a,106b)で、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを溶着する長辺端部加工工程(ステップS60)と、端部が溶着された長尺状の不織布積層体101Pをその長手方向の一定間隔で当該長手方向に対して直角な方向で切断する切断工程(ステップS80)と、切断で得られた個別の不織布積層体101の長さ方向の両端部(短辺端部108a)で、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを溶着し、また、不織布積層体101の長さ方向の両端部(短辺端部108a)に耳掛け部材105を溶着する短辺端部加工工程(ステップS90)とを具備するマスクの製造方法の発明と捉えることもできる。
したがって、本実施の形態のマスクの製造方法によれば、まず、第1のスパンボンド不織布層101aを形成し、その上に、メルトブロー不織布層101bを直接形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成、積層するものであり、不織布層の形成と積層を一体化させて長尺状に連続的に形成した不織布積層体100Pに対し、その長手方向に対して直角方向の対向する長辺端部106a,106bを溶着してから所定長に切断し、更に、長さ方向の対向する短辺端部108aを溶着し、また、そこに耳掛け部材105も溶着することで、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の不織布積層体101及びその長さ方向の両側に取付けた1対の耳掛け部材105とを有するマスク100が製造されるものである。
即ち、本実施の形態のマスクの製造方法は、第1のスパンボンド不織布層101aの上にメルトブロー不織布層101bを形成、積層し、更に、その上に、第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層するものであり、不織布化と積層を一体とし、不織布の巻き取りを行うことなく、不織布の製造と不織布を加工するマスク製造とを一連の連続工程、設備で行うものである。
こうして、本実施の形態のマスクの製造方法によれば、不織布層の形成と積層を一体化しているから、各不織布を別個で製造してロール状に巻き取り、その原反ロールに巻かれた不織布を繰り出して積層する従来の製造に比べ、不織布を製造し、加工してマスクを得るまでのエネルギ消費の低減化、即ち、省エネ化と、低コスト化が可能となる。また、第1のスパンボンド不織布層101a、101cの上にメルトブロー不織布層101bを直接形成し、更に、そのメルトブロー不織布層101bの上に、第2のスパンボンド不織布層101cを直接形成することにより、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cを積層するものであるから、巻き取りに不向きな低目付、薄さの不織布層も構成できる。よって、マスクを形成する不織布の特性、構成が、不織布の巻き取りを考慮した特性に限定されることがなく、マスクの特性の設計自由度を高めることができる。
更に、本実施の形態のマスクの製造方法は、長尺状に連続的に形成されたメルトブロー不織布層101bの上面であって、その長手方向に対して直角方向の一端部(長辺端部106a)側にノーズワイヤー104を配設するノーズワイヤー配置工程(ステップS40)と、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の長尺状の不織布積層体101Pの長手方向に対する直角方向の両端部を折り返し、ノーズワイヤー104配設側の端部(長辺端部106a)では折り返した幅内にノーズワイヤー104を収める折り返し工程とを有し、長辺端部加工工程(ステップS60)の溶着工程において不織布積層体101Pの折り返した端部(長辺端部106a,106b)を溶着することでノーズワイヤー104を不織布積層体101内に封止するものである。
したがって、本実施の形態のマスクの製造方法によれば、ノーズワイヤー104入りのマスク100が得られる。このノーズワイヤー104を有するマスク100によれば、着用時に、着用者の鼻の形状に対応してノーズワイヤー104を変形させることで着用者の鼻周りに隙間を生じ難くできる。したがって、着用者の鼻周りに対するフィット性を向上できる。
ところで、上記実施の形態のマスク100の製造においては、メルトブロー不織布層101bと第2のスパンボンド不織布層101cの間にノーズワイヤー104を配設している。即ち、メルトブロー不織布層101bの上面にノーズワイヤー104を配置してから、第2のスパンボンド不織布層101cを形成している。これにより、メルトブロー不織布層101bの余熱や、第2のスパンボンド不織布層101cの形成、積層時の熱エンボス加工の熱により、メルトブロー不織布層101b及び第2のスパンボンド不織布層101cの間でノーズワイヤー104を部分的にそれら不織布層に熱接着することが可能であり、ノーズワイヤー104の位置ずれを生じ難くできる。したがって、ノーズワイヤー104の位置ずれによる違和感の解消、着用者の鼻に対するフィット性の向上を可能とする。
しかし、本発明を実施する場合には、メルトブロー不織布層101bの形成、積層の前で第1のスパンボンド不織布層101aの上面にノーズワイヤー104を配置し、第1のスパンボンド不織布層101aとメルトブロー不織布層101bと間にノーズワイヤー104を配設してもよい。特に、スパンボンド不織布層101a,101の形成時と同様の水平のネットコンベア上で極細繊維を捕集する場合には、第1のスパンボンド不織布層101aの上面にノーズワイヤー104を配置してからメルトブロー不織布層101bを形成しても、メルトブロー不織布層101bを形成するまでに、配置したノーズワイヤー104がズレることなく第1のスパンボンド不織布層101aの上面の所定位置に留めることができるから、上述と同様の部分的な熱接着でノーズワイヤー104の位置ずれ防止効果が得られる。また、メルトブロー不織布層101bの上に第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層した後の第2のスパンボンド不織布層101cの上面にノーズワイヤー104を配置し、その後の端部の折り返しでノーズワイヤー104を挟みこむように固定してもよい。
更に、本実施の形態のマスクの製造方法は、第2のスパンボンド不織布層形成・積層工程(ステップS50)の前で、第1のスパンボンド不織層101aとその上のメルトブロー不織布層101bに対し、それらの長手方向に対して直角方向の両側の端部を切断する整形工程(ステップS30)を有するものである。
したがって、本実施の形態のマスクの製造方法によれば、整形工程(ステップS30)により第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの長手方向に対する直角方向の幅を一致させることができ、第1のスパンボンド不織布層101aやメルトブロー不織布層101bを形成する各ノズルの配置間隔、口径等の精密で細かな設計によって両層の幅を一致させる制御を必要しないから、第1のスパンボンド不織布層101a及びメルトブロー不織布層101bの紡糸の設計を容易とする。
ところで、上記実施の形態では、折り返し工程で折り返し部61により第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層の長尺状の不織布積層体101の長手方向に対して直角方向の両端部を折り返すことで、不織布積層体101の幅の長さが統一されて幅方向の端縁が整形される。しかし、本発明を実施する場合には、メルトブロー不織布層101bの上に、第2のスパンボンド不織布層101cを形成、積層した後、それらの長手方向に対して直角方向の両側端部を折り返す前に、幅の切断を行う、即ち、両側端部を所定幅切断する切断部を別途設けてもよい。これにより、折り返した端部の端の仕上がり、見栄えを良くできる。
また、本実施の形態のマスク製造装置1は、切断工程(ステップS80)前に長尺状の第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101Pにプリーツ107を形成するプリーツ形成工程(ステップS70)を有するから、第1のスパンボンド不織布層101a、メルトブロー不織布層101b、及び第2のスパンボンド不織布層101cの3層からなる不織布積層体101にプリーツ107が形成されたマスク100が得られる。よって、このプリーツ107が形成されたマスク100によれば、その使用前や保管時には、平面的で場所を取らない一方、着用時にはプリーツ107を広げれば顔面の広範囲を覆うことができ、しかも立体的な形状となるから、着用者の顔面とマスク100との間に空間を形成し、着用者の口がマスク100に接触し難いものとなる。
更に、本発明を実施する場合、不織布積層体101の強度によっては、その長辺端部106a、106bや短辺端部108aを溶着する際に、別途、補強用の帯状の不織布を不織布積層体101P、101の端部に対し挟み込むように折り曲げて配置して、その補強用の不織布と共に、不織布積層体101P、101の端部を溶着することにより、補強してもよい。
また、上記実施の形態では、耳掛け部材105としてゴム紐を使用した例を説明したが、本発明を実施する場合には、所定の環状に打ち抜き加工を行った不織布で耳掛け部材105を構成してもよい。耳掛け部材105の不織布としては、例えば、1~7dtex程度の熱可塑性合成繊維で形成され、目付量が10~80g/m2程度の弾性的に伸縮自在なものが使用できる。
また、上記実施の形態では、マスク100の表裏面側に配設する第1のスパンボンド不織布層101a及び第2のスパンボンド不織布層101cの間にメルトブロー不織布層101bが配設した3層の積層構造としたが、本発明を実施する場合には、第1のスパンボンド不織布層101a及び第2のスパンボンド不織布層101cの間にメルトブロー不織布層101bを有する構造であれば、不織布積層体101の層数は、3層構造に限定されず、4層以上としてもよい。例えば、第1のスパンボンド不織布層101a及び第2のスパンボンド不織布層101cの間のメルトブロー不織布層101bは、1層に限定されず、2層または3層とし不織布積層体101全体を4層または5層構造のものとしてもよい。これにより、フィルタ効果を上げることができる。また、本発明を実施する場合、メルトブロー不織布層101bの形成、積層後、エレクレット加工(帯電加工)を施してもよい。これによっても、フィルタ効果を上げることができる
なお、本発明を実施する場合には、マスク製造装置1、マスク製造方法、マスク100のその他の部分の構成、材料、製造工程等について、上記実施の形態の説明に限定されるものではない。また、上記実施の形態で上げている数値は、実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。
例えば、マスク100の耳掛け部材105が取付けられた不織布積層体101の両側端部でプリーツ107を抑える圧着線または溶着線を直線状または円弧状に設け、不織布積層体101の両側端部で着用者の顔面との間に空間、隙間を生じ難くし、装着性の向上を図ることができる。また、マスク100の不織布積層体101の角部に曲率を持たせてもよい。これにより、角部が着用者の顔面に接触したときの違和感、不快感を軽減できる。そして、本発明は、家庭用、医療用(歯科用、手術用を含む)のマスクの製造に限られず、防塵マスクにも適用可能である。