JP5367817B2 - 湿式太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、湿式太陽電池モジュールに関し、特に耐久性に優れた湿式太陽電池モジュールに関する。
太陽光エネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池は、地球環境に与える負担が少ないことから、化石燃料に代わる次世代のエネルギ源として近年特に注目されている。現在実用化されている太陽電池は、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池と、薄膜シリコン太陽電池との2つの形態のものが主流である。これら2つの形態のいずれの太陽電池においても、光電変換を高効率化することにより、発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられている。
しかしながら、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池は、結晶系シリコン基板を作製するコストが高いため普及が困難であるという問題がある。一方、薄膜シリコン太陽電池は、その製造過程において多種の半導体製造用ガスや複雑な装置を用いる必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。よって、いずれの形態の太陽電池においても製造コストが高くなるという問題を解決することはできていないのが現状である。
そこで、上記の2つの形態の太陽電池とは別のタイプの太陽電池として、湿式太陽電池が提案されている。特開平1−220380号公報(以下において「特許文献1」と記す)には、金属錯体の光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池の一つである色素増感太陽電池が提案されている。当該色素増感太陽電池は、表面上に多孔質電極を形成したガラス基板と対極とを用意し、多孔質電極に光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換層と、電解質層とを有する構造のものである。
この色素増感太陽電池に対して透明な電極側から光電変換層に光を照射すると、光電変換層に含まれる光増感色素が光を吸収して電子を発生する。ここで発生した電子が一方の電極から外部電気回路を通って対向する電極に移動する。そして、移動した電子が電解質中のイオンにより運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子移動により色素増感太陽電池から継続的に電気エネルギを取り出すことができる。
また、特開2008−16369号公報(以下において「特許文献2」と記す)には、湿式太陽電池の他の事例として、量子ドット増感太陽電池が開示されている。この量子ドット増感太陽電池は、多孔性半導体層に担持されるものが色素ではなく無機材料の量子ドットである。量子ドット増感太陽電池を構成する光電変換素子(以下、単に「セル」と呼ぶこともある)の構造は、上記の特許文献1の色素増感太陽電池と同じ構造になっている。
特開2008−16351号公報(以下において「特許文献3」と記す)は、上記の光電変換素子の複数を直列接続した色素増感太陽電池モジュールが提案されている。図13は、特許文献3に示される色素増感太陽電池モジュールの構造を示す模式的な断面図である。
特許文献3の色素増感太陽電池モジュール101は、図13に示されるように、第1絶縁性基板110上に、第1電極111が形成され、その上に光電変換層141、多孔性絶縁層142、触媒層143、および第2電極121がこの順に形成されたものである。そして、複数の光電変換素子の間には、セル間を絶縁するためにセル間絶縁体116が設けられており、色素増感太陽電池モジュール内の光電変換素子の外周には、外周部119が設けられる。
そして、隣接する2つの光電変換素子のうちの一方の光電変換素子の第2電極121が他方の光電変換素子の第1電極111と接することにより、隣接する光電変換素子が電気的に直列に接続された構造となっている。また、セル間絶縁体116上の第2電極121と、第2絶縁性基板120との間には、セル間封止部117が形成されており、このセル間封止部117の材料の一部が第2電極121に染み込んで、セル間絶縁体116に到達している。このセル間絶縁体116およびセル間封止部117により、電解質108が色素増感太陽電池モジュール内の各色素増感太陽電池に封止されている。
この構造の色素増感太陽電池モジュール101は、セル間での短絡が生じさせることがなく、集積率を高めることができ、光電変換効率を向上させることができる構造である。このような色素増感太陽電池モジュール101は、第2電極121から第1電極111へと電流の流れる方向がZ型をしていることから、Z型の色素増感太陽電池モジュールとも呼ばれている。
上記のZ型の色素増感太陽電池モジュール以外の構造のものとして、たとえば特開2005−235725号公報(以下において「特許文献4」と記す)には、W型の色素増感太陽電池モジュールが提案されている。なお、電子の流れる方向がWの形をしていることからW型の色素増感太陽電池モジュールと呼ばれる。
図14は、特許文献4に示される色素増感太陽電池モジュールの構造を示す模式的な断面図である。
特許文献4の色素増感太陽電池モジュール202は、図14に示されるように、第1絶縁性基板210および第2絶縁性基板220の間に、第1光電変換素子230aと、第2光電変換素子230bとがセル間絶縁部215を挟んで交互に設けられ、その最外には外周封止層219が形成された構造である。ここで、図14に示される色素増感太陽電池モジュール202は、3個の第1光電変換素子230aと2個の第2光電変換素子230bとが設けられている。
ここで、第1光電変換素子230aは、第1絶縁性基板210側から第1電極211、光電変換層241、電解質層242、触媒層243、第2電極221がこの順に積層されたものである。一方、第2光電変換素子230bは、第1絶縁性基板210側から第1電極211、触媒層243、電解質層242、光電変換層241、第2電極221がこの順に積層されたものである。すなわち、第1光電変換素子230aと、第2光電変換素子230bとは、第1電極211と第2電極221との間を構成する各層が上下あべこべに形成された構造である。
そして、第1光電変換素子230aと第2光電変換素子230bとは、第1電極211または第2電極221のいずれか一方を共通して用いることにより、電気的に直列接続されている。
また、特許文献4の色素増感太陽電池モジュールと類似の構造のW型の色素増感太陽電池モジュールとして、特開2005−228614号公報(以下において「特許文献5」と記す)には、異なるタイプの光電変換素子を複数直列接続した色素増感太陽電池モジュールが提案されている。
図15は、特許文献5に示される色素増感太陽電池モジュールの構造を示す模式的な断面図である。特許文献5の色素増感太陽電池モジュール302は、図15に示されるように、第2絶縁性基板320下に2セル分の大きさであって透明性の第2電極321と、1セル分の大きさであって透明性の第2電極321aとが設けられている。2セル分の大きさの第2電極321には、1セル分の大きさの色素増感半導体電極341と、1セル分の大きさの光透過性を有する対向電極343とが設けられる。
一方、第1絶縁性基板310上には、1セル分の大きさの第1電極311aと、2セル分の大きさの第1電極311とが設けられる。当該1セル分の大きさの第1電極311aは、第2絶縁性基板320上に形成された色素増感半導体電極341に対向して配置される。そして、隣接するセルの間には電解液308を封止するように隔壁316が形成されており、色素増感太陽電池モジュール302の外周には、液封止材319が形成される。
このように図15に示される色素増感太陽電池モジュールにおいて、隣接する光電変換素子は、光電変換部の上下があべこべに形成された構造である。このような構造の色素増感太陽電池モジュールでは、第2電極321aおよび第1電極311aから出力電圧が取り出される。
特開平1−220380号公報 特開2008−16369号公報 特開2008−16351号公報 特開2005−235725号公報 特開2005−228614号公報
特許文献3のZ型の色素増感太陽電池モジュール101は、セル間封止部117が第2電極121に染み込んでセル間絶縁体116に到達する構造である(図13)。しかしながら、第2電極121が触媒層143またはセル間絶縁体116との界面から剥離しやすい。このため、隣接する光電変換素子の電解質108の成分が、色素増感太陽電池モジュールの隣接する光電変換素子を移動して偏り、セル特性およびモジュール特性が低下するという問題があった。
また、特許文献4および5の色素増感太陽電池モジュールはいずれも、隣接する光電変換素子(第1光電変換素子および第2光電変換素子)をセル間絶縁体により区画するW型の色素増感太陽電池モジュールである。
たとえば図14に示されるW型の色素増感太陽電池モジュールは、セル間絶縁部215と第1絶縁性基板210または第2絶縁性基板220との界面では剥離しにくい。一方、セル間絶縁部215と第1電極211または第2電極221との界面では剥離しやすい。そして、これらの界面で剥離が生じることにより、電解質の成分が偏り、色素増感太陽電池モジュールの特性が低下するという問題があった。
上記のように、Z型およびW型のいずれの構造の色素増感太陽電池モジュールにおいても、色素増感太陽電池モジュールを構成する各層の界面での剥離が生じ、これにより電解質の成分が偏り、色素増感太陽電池モジュールの特性が低下するという問題があった。
本発明の湿式太陽電池モジュールは、上記のような現状に鑑みてなされたものであって、湿式太陽電池モジュール内の層間剥離をなくすことにより、耐久性を高めることを目的とする。
本発明者らは、色素増感太陽電池モジュールを構成する各層の界面で剥離することを防止するための手段について鋭意検討を重ねた。その結果、第1電極に貫通部を形成し、当該貫通部を貫通するようにセル間絶縁部を設けるという全く新規の手段により、セル間絶縁部と色素増感太陽電池モジュールを構成する各層と間での剥離の発生を抑制することを見出した。
さらに、第1電極または第2電極に貫通部を形成することにより、色素増感太陽電池モジュールを構成する各層の界面の剥離を抑制するという手法は、Z型の色素増感太陽電池モジュールのみならず、W型の色素増感太陽電池モジュールにおいても適用することができることが明らかとなった。
ところで、湿式太陽電池は、上記の色素増感太陽電池以外の構造として、特許文献2に示されるような量子ドット増感太陽電池の構造のものもある。
本発明者らは、上記の色素増感太陽電池を構成する第1電極または第2電極に対し貫通部を形成するという手法を、量子ドット増感太陽電池に対しても応用できるかを検討した。その結果、量子ドット増感太陽電池を構成する電極に貫通部を形成しても、量子ドット増感太陽電池を構成する各層の界面の剥離が生じにくくなることが判明した。このことから電極に貫通部を設けるという手法は、色素増感太陽電池のみならず、量子ドット増感太陽電池等の電解質を必要とする湿式太陽電池に適用できることが明らかとなった。
すなわち、本発明の湿式太陽電池モジュールは、2個以上の光電変換素子が離間して配置され、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との間に挟持されるものであって、各光電変換素子は、第1電極と光電変換部と第2電極とで構成され、離間して持配置している光電変換素子の間にはセル間絶縁部が設けられ、第1電極または第2電極のうちの少なくとも一方には、貫通部が設けられ、貫通部にはセル間絶縁部の部材が充填され、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との間の少なくとも一部を第1電極または第2電極を介さずにセル間絶縁部により接続することを特徴とする。
貫通部は、その内部にセル間絶縁部を構成する部材が充填されることが好ましい。
光電変換部は、セル間絶縁部と接することが好ましい。
光電変換素子は、第1絶縁性基板上に、第1電極、光電変換部、および第2電極がこの順に積層されたものであり、光電変換部は、光電変換層、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層、および触媒層からなり、光電変換層は、多孔性半導体層に色素が担持された層であり、光電変換層、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層、および触媒層は、第1電極側からこの順に積層され、第1絶縁性基板、第2絶縁性基板、およびセル間絶縁部に囲まれる空間には、キャリア輸送部が設けられることが好ましい。
隣接する2個の光電変換素子において、一方の光電変換素子の第2電極は、他方の光電変換素子の第1電極と接することが好ましい。
光電変換素子は、1個以上の第1光電変換素子と、1個以上の第2光電変換素子とが交互に離間して配置され、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との間に挟持される湿式太陽電池モジュールであって、第1光電変換素子および第2光電変換素子はいずれも、第1絶縁性基板上に、第1電極、光電変換部、および第2電極がこの順に積層されたものであり、第1光電変換素子の光電変換部は、光電変換層と、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層と、触媒層とが第1電極側からこの順に積層されたものであり、第2光電変換素子の光電変換部は、触媒層と、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層と、光電変換層とが第1電極側からこの順に積層されたものであることが好ましい。
第1光電変換素子と、該第1光電変換素子に隣接する第2光電変換素子とは、第1電極または第2電極により電気的に直列接続されることが好ましい。
第2電極は、キャリア輸送部に対して耐食性を有する材料からなることが好ましい。
第2電極は、Ti、Ni、およびAuからなる群より選択された少なくとも1種の金属または該金属を少なくとも1種含む化合物、フッ素ドープ酸化錫、もしくはITOのうちのいずれかからなることが好ましい。
2個以上の光電変換素子の外周部であって、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との間に、外周封止層が形成されることが好ましい。
セル間絶縁部は、少なくともセル間封止部を含むことが好ましい。
セル間絶縁部は、セル間絶縁体およびセル間封止部からなることが好ましい。
本発明によれば、湿式太陽電池モジュールを構成する各層間の剥離の発生を抑制することができ、耐久性に優れた湿式太陽電池モジュールを提供することができる。
実施の形態1の湿式太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 第1絶縁性基板上に設けられる第1電極と絶縁部とを示す概略図である。 第2絶縁性基板上に設けられる第2電極と貫通部とを示す概略図である。 第2電極に貫通部を設ける前の実施の形態1の湿式太陽電池モジュールを、第2電極側から見たときの概略平面図である。 貫通部が設けられた後の第2電極を、第2電極の上面側から見たときの一例を示す概略平面図である。 貫通部が設けられた後の第2電極を、第2電極の上面側から見たときの一例を示す概略平面図である。 貫通部が設けられた後の第2電極を、第2電極の上面側から見たときの一例を示す概略平面図である。 実施の形態2の湿式太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 実施の形態3の湿式太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 実施の形態4の湿式太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 実施の形態5の湿式太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 (A)実施例の湿式太陽電池モジュールの第1絶縁性基板を第1電極側から見たときの概略平面図、および(B)第2絶縁性基板を第2電極側から見たときの概略平面図である。 従来の色素増感太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 従来の色素増感太陽電池モジュールの模式的な断面図である。 従来の色素増感太陽電池モジュールの模式的な断面図である。
本発明の湿式太陽電池モジュールは、第1電極または第2電極のうちの少なくとも一方に貫通部を備え、当該貫通部内にセル間絶縁部を構成する部材が充填されることを特徴とする。このようにセル間絶縁部を介して、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板とを接触することにより、湿式太陽電池モジュールの耐久性を高めることができる。
上述のように第1電極または第2電極に貫通部を設けるという特徴は、Z型の湿式太陽電池モジュールおよびW型の湿式太陽電池モジュールのいずれにも適応することができる。以下の実施の形態1および2にZ型の湿式太陽電池モジュールを説明し、実施の形態3〜5にW型の湿式太陽電池モジュールを説明する。
本発明の湿式太陽電池モジュールの形態は、図1に示されるもののみに限られるものではなく、種々の変更をしても本発明の範囲に含まれる。なお、以下の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<湿式太陽電池モジュール>
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の湿式太陽電池モジュールを示す概略断面図である。本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図1に示されるように、Z型の湿式太陽電池モジュール1であり、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20との間に2個以上の光電変換素子30が離間して挟持されており、その外周には外周封止層19が形成された構造のものである。当該光電変換素子30は、第1絶縁性基板10上に、第1電極11、光電変換部40、および第2電極21がこの順に積層して構成される。
ここで、隣接する2個の光電変換素子30の光電変換部40同士の間には、セル間絶縁部15が設けられており、当該セル間絶縁部15は、第2電極21に設けられる貫通部50を貫通して、第2絶縁性基板20に接している。ここで、セル間絶縁部15は、セル間封止部17およびセル間絶縁体16からなるものである。また、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20に挟まれた空間であって、セル間絶縁部15により区切られた空間にキャリア輸送部8が設けられる。
上記の光電変換部40は、光電変換層41、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層42、および触媒層43からなるものであり、光電変換層41、多孔性絶縁層42、および触媒層43は、第1電極11側からこの順に積層されることを特徴とする。ここで、光電変換層41は、多孔性半導体層に色素が担持されたものであり、湿式太陽電池が量子ドット増感太陽電池の場合には、多孔性半導体層に無機材料を用いた量子ドットが担持されたものである。ここでは、色素増感太陽電池で説明をしているので、色素を担持したものを説明する。
以下に、実施の形態1の湿式太陽電池モジュールを構成する各構成部材を説明する。
<第1絶縁性基板、第2絶縁性基板>
本実施の形態において、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20は、2個以上の光電変換素子30を支持するために設けられるものであり、湿式太陽電池モジュールの受光面および非受光面に形成されるものである。
ここで、外光を光電変換素子30内に取り込むために、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20のうち、湿式太陽電池モジュール1の受光面となる側には透光性のものを用いる。すなわち、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20のうちの少なくとも一方は透光性のものを用いることを特徴とする。
ここで、光電変換部40を構成する光電変換層41は、第1絶縁性基板10側に設けられるため、第1絶縁性基板10を透光性のものにして、第1絶縁性基板10側の面を湿式太陽電池モジュールの受光面とすることが好ましい。このように第1絶縁性基板10側の面を湿式太陽電池モジュールの受光面とすることにより、湿式太陽電池モジュールに取り込まれる光のロスを抑制することができる。
第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20に用いられる材料は、多孔性半導体層を形成するときのプロセス温度に対する耐熱性を有し、かつ絶縁性を有するものであれば特に限定することなく、いかなる材料のものをも用いることができ、たとえばガラス基板、可撓性フィルム等の耐熱性樹脂板、セラミック基板等を用いることができる。
第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20に用いられる材料は、多孔性半導体層にエチルセルロースを含有したペーストを用いる場合、500℃程度の耐熱性を有するものを用いることが好ましく、多孔性半導体層にエチルセルロースを含有しないペーストを用いる場合、120℃程度の耐熱性を有するものを用いることが好ましい。
また、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20は、キャリア輸送部中の溶媒が揮発するのを防止するという観点から、透湿性の低い材料を用いることが好ましい。また、第1絶縁性基板10または第2絶縁性基板20の表裏の面のうちの一方の面をSiO2等の透湿性の低い材料でコーティングすることがより好ましく、第1絶縁性基板10または第2絶縁性基板20の両面に対し、SiO2等の透湿性の低い材料でコーティングすることがさらに好ましい。
<第1電極>
本実施の形態において、第1電極11は、光電変換層41で発生した電子を外部回路に輸送するために設けられるものである。第1電極11に用いられる材料としては、透明導電性金属酸化物、金属、カーボン等を用いることが好ましく、これらの材料の中でも透明性を有するという観点から、透明導電性金属酸化物を用いることがより好ましい。なお、上記の金属およびカーボンのように透明性を有しない材料を用いる場合、これらの材料が光透過性を有するように薄膜化して用いることが好ましい。
ここで、第1電極11に用いられる透明導電性金属酸化物としては、ITO(インジウム−スズ複合酸化物);フッ素ドープされた酸化スズ;ボロン、ガリウムまたはアルミニウムがドープされた酸化亜鉛;ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタン等を挙げることができる。
また、第1電極11に用いられる金属としては、金、銀、アルミニウム、インジウム等を挙げることができる。なお、金属の中でも電解液に腐食されやすい金属を用いる場合、キャリア輸送部と接触する第1電極11に耐腐食性材料をコーティングすることが好ましい。また、第1電極11に用いられるカーボンとしては、カーボンブラック、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。
第1電極11の膜厚は、0.02μm以上5μm以下であることが好ましい。第1電極11の膜厚が0.02μm未満であると、湿式太陽電池モジュールの導通を十分に確保することができない虞があり、第1電極11の膜厚が5μmを超えると、第1電極11の膜抵抗が大きくなる虞がある。
第1電極11の膜抵抗は、湿式太陽電池モジュールの出力を高めるという観点から低いほど好ましく、たとえば40Ω/sq以下であることが好ましい。
このような第1電極11は、図1に示されるように、第1絶縁性基板10上に複数の第1電極11が互いに分離して設けることができる方法であれば、従来公知の方法により形成することができ、たとえばスパッタ法、スプレー法等により形成することができる。
このような複数の第1電極11は、パターン状に形成してもよいし、分割されていない導電層を1層形成した上で、導電層の一部を除去することにより複数の第1電極11に分割してもよい。
第1電極11をパターン状に形成する方法としては、従来公知のいかなる方法をも用いることができ、たとえばメタルマスク、テープマスクを用いて形成する方法、フォトリソグラフィ法等を挙げることができる。
一方、導電層の一部を除去することにより複数の第1電極11を形成する方法としては、従来公知の物理的手法および化学的手法のいずれをも用いることができる。物理的手法としては、たとえばレーザスクライブ、サンドブラスター等を挙げることができ、化学的手法としてはたとえば溶液エッチング等を挙げることができる。
<第2電極>
本実施の形態において、第2電極21は、隣接する2個の光電変換素子30のうちの一方の光電変換素子30の触媒層43と、他方の光電変換素子30の第1電極11とを電気的に接続するために設けられるものである。
このような第2電極21には、導電性を有するものであれば特に限定することなくいかなるものを用いてもよいが、導電性が高い金属または透明導電材料を用いることが好ましい。ただし、キャリア輸送部に腐食性の高いハロゲン系の酸化還元種を用いる場合、第2電極21には耐食性を有する材料を用いることが好ましい。このように第2電極21に耐食性を有する材料を用いることにより、第2電極21の長期の安定性を確保することができる。このような耐食性を有する材料としては、たとえばTi、Ta等の高融点金属を挙げることができる。
第2電極21に用いられる材料は、上記のような耐食性を有する材料に限られるわけではなく、たとえばTi,Ni,Auまたはこれらの金属の化合物(合金を含む)からなる群より選択された1種以上のもの、または、透明導電膜材料を用いることができる。第2電極21に用いる透明導電膜材料は、酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(F:SnO2)等を挙げることができる。
ただし、第2電極21は、隣接する光電変換素子30のキャリア輸送部8と接触するため、カーボン類や白金族といった酸化還元を促進する材料を用いることは好ましくない。この理由は、第2電極21がキャリア輸送部8と接触することにより、酸化還元反応が起こり、内部短絡を生じる虞があるためである。
第2電極21は、多孔性半導体層に色素を吸着させるタイミングにより、好ましい形状が異なり、たとえば第2電極21を形成してから多孔性半導体層に色素を吸着させる場合、多孔性半導体層が色素を吸着し易いように、第2電極21は多数の孔を有する網状に形成することが好ましい。一方、多孔性半導体層に色素を吸着させてから多孔性絶縁層上に第2電極21を形成する場合、第2電極21は特に限定されることなくいかなる形状であってもよい。第2電極21を形成する方法としては、たとえば電子ビーム蒸着、スパッタ、CVD、スクリーン印刷等を挙げることができる。
<セル間絶縁部>
本実施の形態において、セル間絶縁部15は、(a)隣接する光電変換素子30の間をキャリア輸送部中の酸化還元種が移動することを阻止するため、(b)同一の光電変換素子30内の第1電極11と第2電極21とが接触することにより、内部短絡が生ずることを防止するため、および(c)隣接する光電変換素子30の各第1電極11が相互に接触することにより内部短絡が発生することを防止するために設けられるものである。
このようなセル間絶縁部15は、絶縁材料により形成されるものであって、隣接する第1電極11の相互間の第1絶縁性基板10の表面(すなわち絶縁部5)から第2電極21の貫通部50を貫通し、第2絶縁性基板20に接触するように設けられる。すなわち、セル間絶縁部15は、第1電極11、第2電極21、第1絶縁性基板10、および第2絶縁性基板20と接触するように形成される。
隣接する光電変換素子30の間をキャリア輸送部中の酸化還元種が移動することを阻止することについてさらに説明すると、本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図1に示されるように、第1電極11が複数存在し、これらは異なる電位を持つ。このため、隣接する光電変換素子30の間でのキャリア輸送部8の酸化還元種が移動するという問題がある。そこで、セル間絶縁部15を用いて各光電変換素子30を区画することにより、隣接する光電変換素子30の間のキャリア輸送部中の酸化還元種の移動を抑止し、酸化還元種が偏ることを防止することができる。
このようなセル間絶縁部15は、図1に示されるように、少なくともセル間封止部17を有するものであり、セル間絶縁体16およびセル間封止部17からなることが好ましい。
セル間絶縁部15を形成する方法としては、第1絶縁性基板10上に半導体粒子を含有するペーストを塗布した後に、当該ペーストを焼成することによりセル間絶縁体16を形成し、当該セル間絶縁体16上にセル間封止部17を形成する方法を挙げることができる。半導体粒子を含有するペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
このようなセル間絶縁部15は、酸化還元種がセル間絶縁部15を通過できない程度に緻密な膜であればその形態は特に限定されることなく、いかなる形状であってもよい。ここでの緻密な膜とは、たとえば独立気泡の多孔体等を挙げることができる。以下に、セル間絶縁部15を構成するセル間絶縁体16およびセル間封止部17を説明する。
(セル間絶縁体)
セル間絶縁体16は、高抵抗材料を用いることが好ましく、無機酸化物を用いることがより好ましい。このような無機酸化物としては、たとえば酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等を挙げることができる。
(セル間封止部)
セル間封止部17は、隣接する光電変換素子30の間のキャリア輸送部に含まれる酸化還元種の移動を阻止するために設けられるものであり、セル間絶縁体16上に第2絶縁性基板20と接するように設けられるものである。よって、セル間封止部17は、キャリア輸送部中の酸化還元種がセル間封止部17内を通過できない程度に緻密な膜であることが好ましい。
このようなセル間封止部17は、セル間絶縁体16、第2電極21、および第2絶縁性基板20をそれぞれ接着により貼り合わせて固定される。このようにセル間封止部17を設けることにより、第2電極21と第2絶縁性基板20との間、およびセル間絶縁体16と第2絶縁性基板20との間を封止することができる。
セル間封止部17を構成する材料は、第2電極21、第2絶縁性基板20およびセル間絶縁体16の接点を十分に確保するという観点、およびこれらの接点での密着性が良好な絶縁材料であるという観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、貫通部50の形状にとらわれることなく、貫通部50にセル間絶縁部15を充填して形成することができる。
セル間封止部17を形成する方法としては、従来公知のいかなる方法をも用いることができ、たとえばスクリーン印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。このような方法を用いてセル間封止部17を形成する場合、感光性樹脂を塗布してから光を照射して感光性樹脂を固めることによりセル間封止部17を形成してもよいし、熱硬化性樹脂を塗布してから加熱して熱硬化性樹脂を固めることにより、セル間封止部17を形成してもよい。
このように感光性樹脂または熱硬化性樹脂を塗布して、貫通部50に流れ込ませた後に、これらを硬化してセル間封止部17を形成することにより、貫通部50内にセル間封止部17を充填することができる。
<外周封止層>
本実施の形態において、外周封止層19は、(a)湿式太陽電池モジュールに作用する落下物や応力(衝撃)を吸収するため、(b)長期にわたる使用時において湿式太陽電池モジュールに作用するたわみ等の変形を吸収するため、(c)キャリア輸送部の電解液の揮発を抑制するため、および(d)湿式太陽電池モジュール内に水等の浸入を防止するために設けられることが好ましい。
このような外周封止層19を構成する材料としては、ホットメルト樹脂(たとえばアイオノマー樹脂)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリット等の材料のうちの1種または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、外周封止層19の層構成は、1層のみに限られるものではなく、2層以上を積層して構成してもよい。ただし、キャリア輸送部を構成する溶媒にニトリル系溶剤、またはカーボネート系溶剤を使用する場合、シリコーン樹脂、ホットメルト樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリット等を用いることが特に好ましい。
外周封止層19を構成する材料にシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、およびガラスフリットを使用する場合、ディスペンサーにより外周封止層19のパターンを形成することができる。一方、外周封止層19を構成する材料にホットメルト樹脂を使用する場合、シート状のホットメルト樹脂にパターニングした穴を開けることにより、外周封止層19のパターンを形成することができる。
また、外周封止層19の層方向の厚さは、光電変換素子を構成する各層の膜厚に応じて適宜設定すればよい。
<光電変換層>
本実施の形態において、光電変換層41は、一般には光電変換層41に含まれる色素が光を吸収して電子を発生させる層であり、たとえば多孔性半導体層に色素が担持されることにより形成される。以下に、光電変換層を構成する多孔性半導体層、および色素を説明する。
(多孔性半導体層)
本実施の形態において、多孔性半導体層は、従来公知の半導体を1種または2種以上を組み合わせて構成されるものであり、従来公知のいかなる形態で形成していてもよく、たとえば粒子状、または膜状に形成することができる。ただし、光を効率よく光電変換層に取り込むという観点から、多孔性半導体層は膜状に形成することが好ましい。
このような多孔性半導体層を構成する半導体としては、たとえば酸化チタン、酸化亜鉛等の半導体を1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。中でも、変換効率、安定性、および安全性の観点から、酸化チタンを用いることが好ましい。
ここで、多孔性半導体層を第1電極11上に膜状に形成する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば半導体粒子を含有するペーストをスクリーン印刷法、インクジェット法等を用いて塗布した上で、塗布したペーストを焼成する方法を挙げることができる。これらの多孔性半導体層の形成方法の中でも、厚膜化のしやすさ、および製造コスト低減の観点から、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。
また、多孔性半導体層の膜厚は、特に限定することなくいかなる膜厚であってもよいが、光電変換層41の変換効率を高めるという観点から、5〜50μm程度の膜厚であることが好ましい。
また、多孔性半導体層により多くの色素を吸着させるという観点から、多孔性半導体層の比表面積は大きなものが好ましく、その比表面積は10m2/g〜200m2/gであることがより好ましい。このように多孔性半導体層の比表面積を高めて、多孔性半導体層に多くの色素を吸着させることにより、光電変換層41の変換効率を高めることができる。なお、本明細書において、比表面積とはBET吸着法により測定した値である。
また、多孔性半導体層を構成する半導体粒子としては、市販されているもののうち適当な平均粒径のものを用いることが好ましく、たとえば1nm〜500nm程度の平均粒径を有する単一又は化合物の半導体粒子を用いることがより好ましい。
このような多孔性半導体層の乾燥および焼成は、使用する第1絶縁性基板の材料、および半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気等の条件を適宜調整して行なわれる。このような乾燥および焼成の温度は、50〜800℃程度であることが好ましく、このような乾燥及び焼成は、単一の温度で1回のみ行なってもよいし、温度を変化させて2種以上の温度で2回以上行なってもよい。また、乾燥および焼成の時間は、10秒〜4時間程度であることが好ましく、乾燥および焼成の雰囲気は、大気中または不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
(色素)
本実施の形態において、多孔性半導体層に吸着される色素は、光増感剤として機能するものであり、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つものを用いることができる。また、多孔性半導体層に色素を強固に吸着させるという観点から、色素の分子にはインターロック基を有するものを用いることが好ましい。
このようにインターロック基を有する色素を用いることにより、多孔性半導体層と色素との接触面にインターロック基が介在し、励起状態の色素と多孔性半導体層を構成する半導体の伝導帯との間に電気的結合を形成することができ、これにより多孔性半導体層と色素との間の電子移動を容易にすることができる。
このようなインターロック基としては、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等を挙げることができる。これらの中でもカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、およびホスホニル基をインターロック基として有する色素を用いることが好ましく、さらに好ましくはカルボキシル基を有する色素を用いることである。
このようなインターロック基を有する色素としては、たとえばルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等を挙げることができる。
多孔性半導体層に色素を吸着させる方法としては、第1電極11上に多孔性半導体層を形成したものを、色素を溶解した溶液(以下においては「色素吸着用溶液」とも称する)に浸漬する方法が挙げられる。
ここで、色素吸着用溶液に用いられる溶媒は、色素を溶解することができるものであればどのようなものであってもよく、アルコール類、ケトン類、エーテル類、窒素化合物類、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、水等を挙げることができる。また、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。
ここで、アルコール類としてはエタノールを用いることができる。ケトン類としてはアセトンを用いることができ、エーテル類としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。窒素化合物類としてはアセトニトリル、ハロゲン化脂肪族炭化水素としてはクロロホルム、脂肪族炭化水素としてはヘキサン、芳香族炭化水素としてはベンゼン、エステル類としては酢酸エチル、酢酸ブチル等をそれぞれ挙げることができる。
この色素吸着用溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましく、たとえば1×10-5mol/L以上の濃度であることが好ましい。
<多孔性絶縁層>
本実施の形態において、多孔性絶縁層42は、光電変換層41と触媒層43との電気的な接続を阻止するために設けることができる。このような多孔性絶縁層42は、光電変換層41と触媒層43とが接触しないように光電変換層41上に隙間なく多孔性絶縁層42を形成することが好ましい。
また、光電変換層41と触媒層43との電気的な接続を阻止するという観点から、多孔性絶縁層42には高抵抗材料を用いることが好ましく、高抵抗材料の中でも酸化物半導体を用いることがより好ましい。酸化物半導体の中でも酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、および酸化チタンからなる群より選択される1種または2種以上を組み合わせたものを用いることがさらに好ましい。
多孔性絶縁層42は、キャリア輸送部中の酸化還元種(電解質)を内部に取り込み、かつ酸化還元種(電解質)を移動させるという観点から、内部に連続気泡を有する多孔体であることが好ましい。
また、光電変換層41と触媒層43との電気的な接続を阻止する手法としては、光電変換層41と触媒層43との接触面積を低下させることも挙げられる。この光電変換層41と触媒層43との接触面積を低下させる場合、多孔性絶縁層42の表面積を減少させることが好ましい。多孔性絶縁層42の表面積を減少させる方法としては、多孔性絶縁層の材料となる微粒子の表面の凹凸を減少させる方法、多孔性絶縁層の材料となる微粒子のサイズを大きくする方法などを挙げることができる。
多孔性絶縁層42は、光電変換素子の発光効率を高めるという観点から屈折率が高い材料を用いることが好ましい。このように多孔性絶縁層42に屈折率が高い材料を用いることにより、光電変換層41を透過した外光を反射して再度光電変換層41に入射させることができる。
多孔性絶縁層42は、半導体粒子を含有するペーストを塗布した上で、焼成することにより形成することができる。半導体粒子を含有するペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。なお、多孔性絶縁層42の膜厚が薄すぎる場合、2回以上の膜形成工程を行なうことにより多孔性絶縁層42を厚膜化し、これにより光電変換層41と触媒層43との接触を回避することができる。
<触媒層>
本実施の形態において、触媒層43は、多孔性絶縁層42中に含有されるキャリア輸送部(酸化還元種)の反応を促進するために設けることができる。このような触媒層43の形成方法は特に限定されないが、たとえば電子ビーム蒸着、スパッタ等を用いることが好ましい。
また、触媒層43は、多孔性半導体層に色素を吸着させるタイミングによって好ましい形状が異なる。すなわち、多孔性半導体層に色素を吸着させた後に、触媒層43を形成する場合、触媒層43の形状は特に限られることなくいかなる形状であってもよい。一方、多孔性半導体層に色素を吸着させる前に触媒層43を形成する場合、多孔性半導体層が色素を吸着しやすいように、触媒層43は網状のように多数の孔を有する形状であることが好ましい。また、酸化還元種との接触面積を大きくするという観点から、触媒層43の形状は多孔体であることが好ましい。
触媒層43を構成する材料は、Fe、Coおよび白金族であるRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptといった8族元素、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等のカーボン類、PEDOT/PSS(H)を用いることができる。ただし、キャリア輸送部に腐食性の高いハロゲン系の酸化還元種を用いる場合、長期安定性の観点から、触媒層43にはカーボン化合物または白金のような耐食性の高い材料を用いることが好ましい。
<貫通部>
本実施の形態において、貫通部50は、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とがセル間絶縁部15を介して接触するように第2電極21に設けることができる。本実施の形態において、貫通部50は、第2電極21を部分的に除去することにより形成される。なお、本実施の形態の湿式太陽電池モジュールでは、第2電極21に貫通部50が設けられているが、本発明の湿式太陽電池モジュールは、光電変換素子30に含まれる、第1電極11または第2電極21のうちのいずれか一方もしくは両方に貫通部50を設けることを特徴とする。
従来の色素増感太陽電池モジュールは、図13に示されるように、第2電極121に貫通部が設けられていなかった。このため、多孔性である第2電極121にセル間封止部117を構成する材料を染み込ませることにより、第2電極121を介してセル間絶縁体116とセル間封止部117とを接続した。すなわち、セル間絶縁体116およびセル間封止部117により、第1絶縁性基板110と第2絶縁性基板120とを接続していた。
しかしながら、図13の色素増感太陽電池モジュールでは、第2電極121を介してセル間絶縁体とセル間封止部とを、化学的な結合ではなく、物理的な接触しているのみで接続されていた。このため、第1絶縁性基板110と第2絶縁性基板との密着力および接着力が十分ではなかった。したがって、セル間絶縁体116およびセル間封止部117が、第2電極121と接している部位での界面で剥離しやすかった。この界面で剥離することにより、セル間の電解液がセル間を行き来し、色素増感太陽電池モジュールの性能が劣化しやすかった。
ところで、本実施の形態の湿式太陽電池モジュールにおいて、第2電極21は、貫通部が存在しているために、光電変換部40やセル間絶縁体16等と接する構造となる。第2電極21と光電変換部40との接続は、多孔性絶縁層42や触媒層43のような多孔性の材質の上に、第2電極21を形成している。このため、光電変換部40と第2電極21とを物理的に接触させていることになる。これにより光電変換部40、すなわち多孔性絶縁層42や触媒層43と第2電極21とが接着している。さらに、第2電極21は、予め形成されている貫通部を介してセル間絶縁体16と接している。このようにすることにより、セル間封止部17は、貫通部を介することにより直接セル間絶縁体16と一体化することができる。
本発明のように貫通部50内にセル間封止部17を設けることにより、セル間封止部17はセル間絶縁体16と一体化されるので、第2電極21と接している部位、すなわち光電変換部40およびセル間封止部17等との界面で剥離することを抑制することができる。特に、第2電極21とセル間封止部17との界面で剥離が生じないことにより、セル間同士の電解液の流動を抑えることができ、もってセル性能が劣化しにくく、耐久性に優れた湿式太陽電池モジュールを提供することができる。
本実施の形態において、第1電極11は、第1絶縁性基板10上に絶縁部5を挟んで離間して複数形成されるのに対し、第2電極21は、第2絶縁性基板20上に貫通部50を挟んで離間して複数形成されるわけではない。つまり、貫通部50は、第2電極21の一部のみが除去されて第2電極21の電気的な導通が保たれるように形成されるものである。図1における貫通部50は、部分的に第2電極21を構成する材料が除去されていることを示しているに過ぎず、第2電極21が離間していることを示すものではない。
第1電極11の間の絶縁部5は、隣接する光電変換素子30の絶縁を確保するために形成されるものであるため、本発明における「貫通部」とは異なるものである。ここで、本発明における「絶縁部」と「貫通部」との相違は、残留部が形成されるか否かの点であり、この相違を以下の図2および図3を用いて説明する。
図2は、第1絶縁性基板上に設けられる第1電極と絶縁部とを示す概略図であり、図3は、第2絶縁性基板上に設けられる第2電極と貫通部とを示す概略図である。
本実施の形態における絶縁部5は、第1絶縁性基板10上に形成される複数の第1電極11の各第1電極11を絶縁するために設けられるものである。よって、絶縁部5は、図2に示されるように、第1電極11を完全に分離するように設けられる。
一方、本実施の形態における貫通部50は、セル間絶縁部15が第2絶縁性基板20に接するために、第2電極21に設けられるものである。ただし、図3に示されるように、第2電極21が貫通部50により分断されることを防止するために残留部51が設けられる。
このように残留部51を設けることにより、第2電極21が分断されることがないため、光電変換素子の電気的な接続が断線されることがない。
図4は、第2電極に貫通部を設ける前の湿式太陽電池モジュールを、第2電極側から見たときの概略平面図である。
実施の形態1の湿式太陽電池モジュールを第2絶縁性基板を除いた上で上面から見ると、図4に示されるように、第1電極11上に第2電極21が設けられており、第2電極21の周囲には外周封止層19が設けられている。そして、第2電極21のうちの点線で示した領域の下部には、セル間絶縁体16が形成され、当該セル間絶縁体16上の第2電極21の一部を除去することにより、貫通部50が形成される。
貫通部50を形成する方法は、第2電極21の一部を除去することができる方法であれば従来公知の方法を用いることができ、たとえば、レーザにより第2電極21を除去する方法、機械的な針により第2電極21を除去する方法、フォトリソグラフィを用いて第2電極21を除去する方法、ドライエッチングまたはウェットエッチングすることにより第2電極21を除去する方法等が挙げられる。フォトリソグラフィおよびエッチングでは、所望のマスクパターンを施してから、第2電極21を除去したい箇所のみを露出した後に、エッチング処理を行なうことにより、第2電極21を除去することができる。
第2電極21に形成される貫通部の大きさは、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とがセル間絶縁部15を介して接触できる程度の断面を有するものであればよい。
図5〜図7は、図4で示される第2電極21に対し貫通部50を設けた後であって、第2絶縁性基板20を貼り合せる前の湿式太陽電池モジュールを、第2電極21側から見たときの一例を示す概略平面図である。実施の形態1の湿式太陽電池モジュールを第2絶縁性基板を除いた上で上面から見ると、図5〜図7に示されるような貫通部50を形成することが好ましい。なお、当該貫通部50の形状および大きさはあくまで一例に過ぎない。
図5に示されるように、第2電極21の一部には、セル間絶縁体16が露出するように貫通部50が形成される。なお、第2電極21は、隣接する光電変換素子の間の電気的な接続が必要なため、残留部51を有することが好ましい。
また、後述する実施の形態2の湿式太陽電池モジュールにおいて説明するが、図8に示されるように、外周封止層19の直下の第1電極11の部分に貫通部50を設けてもよい。このような位置に貫通部50を設けることにより、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とのセル間絶縁部15を介した接続をより確実にすることができる。
<キャリア輸送部>
本実施の形態において、キャリア輸送部8は、イオンを輸送することができる導電性材料により構成され、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20の間に充填することにより設けられる他、多孔性絶縁層42にも含まれるものである。このような導電性材料としては、たとえば電解液、高分子電解質等のイオン導電体を挙げることができるが、酸化還元性電解質を含むイオン導電体を用いることが好ましい。このような酸化還元性電解質としては、たとえば鉄系、コバルト系など金属類、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン化合物を挙げることができ、中でもヨウ素が一般的によく用いられる。なお、電解液の揮発が問題となる場合は、溶媒の代わりに溶融塩を用いてもよい。
酸化還元種としてヨウ素を用いる場合、電池等に使用することができるものであれば特に限定されることなくいかなるものをも用いることができるが、金属ヨウ化物とヨウ素との組み合わせたものを用いることが好ましい。ここで、この金属ヨウ素としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等を挙げることができる。また、上記の酸化還元種にジメチルプロピルイミダゾールアイオダイドといったイミダゾール塩を混入してもよい。
また、キャリア輸送部に用いられる溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等を用いることができる。その中でも、カーボネート化合物およびニトリル化合物を用いることが好ましく、これらの溶媒の2種類以上を混合して用いてもよい。キャリア輸送部が液体のものである場合、単に電解液と呼ぶこともあり、電解液に含まれる成分のことを電解質と呼ぶこともある。電解質の濃度は、用いる電解質の種類により異なるが、0.01〜1.5mol/Lであることが好ましい。
<Z型の湿式太陽電池モジュールの製造方法>
図1のZ型の湿式太陽電池モジュールの製造方法は、第1絶縁性基板10上に、複数の第1電極11を離間して形成する工程と、離間して設けられた複数の第1電極11の相互の間にセル間絶縁体16を形成する工程と、上記の各第1電極11上に、色素を担持した多孔性半導体層からなる光電変換層41と、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層42と、触媒層43とからなる光電変換部40を形成する工程と、光電変換部40からセル間絶縁体16を越えて、隣接する第1電極11上に第2電極21を形成する工程と、第2電極21に貫通部50を形成する工程と、セル間絶縁体16上に形成される貫通部50を介して未硬化樹脂材料を備え、第2絶縁性基板20を未硬化樹脂材料の上に載置した後、未硬化樹脂材料を硬化させてセル間封止部17を形成すると同時に第2絶縁性基板20を固定する工程と、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20の間の外周に外周封止層19を形成する工程とを備える。
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2の湿式太陽電池モジュールを示す概略断面図である。本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図8に示されるように、Z型の湿式太陽電池モジュールであり、外周封止層19の直下の第1電極11に貫通部50を形成すること以外は、実施の形態1の湿式太陽電池モジュールと同様のものである。
このように外周封止層19の直下に貫通部50を設けることにより、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とのセル間絶縁部を介した接続をより確実にすることができる。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3の湿式太陽電池モジュールを示す概略断面図である。本実施の形態の湿式太陽電池モジュール2は、図9に示されるように、W型の湿式太陽電池モジュールであり、第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとが交互に離間して配置され、3個の第1光電変換素子30aおよび2個の第2光電変換素子30bを備える。本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20ともに透光性を有している場合、受光面は、第1絶縁性基板10または第2絶縁性基板のいずれであってもよく、両面とも受光面となることができる。また、第1絶縁性基板10のみが透光性を有している場合には、第1絶縁性基板10側が受光面となり、第2絶縁性基板20側が非受光面となる。
ここで、第1光電変換素子30aおよび第2光電変換素子30bはいずれも、第1絶縁性基板10上に、第1電極11、光電変換層41、キャリア輸送部8、触媒層43、および第2電極21が第1電極11側からこの順に積層されたものであり、第2光電変換素子30bは、第1絶縁性基板10上に、第1電極11、触媒層43、キャリア輸送部8、光電変換層41、および第2電極21が第1電極11側からこの順に積層されたものである。
本実施の形態の湿式太陽電池モジュール2では、図9に示されるように、隣接する第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとが第1電極11または第2電極21のいずれか一方を共有して用いることにより電気的に直列接続されており、隣接する第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとの間には、セル間絶縁部15が形成され、セルの外周部には外周封止層19が形成された構造であり、これにより各セル間を充填および封止することができる。
図9からも明らかなように、第1光電変換素子30aの第2電極21は、隣接する第2光電変換素子30bの第2電極21と共有し、第2光電変換素子30bの第1電極11は、隣接する第1光電変換素子30aの第1電極11と共有することにより、各光電変換素子が直列接続されている。そして、第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとの間のセル間絶縁部15に接するように、第1電極11および第2電極21に貫通部50が形成される。
以下、本実施の形態のW型の湿式太陽電池モジュールを構成する各構成部材のうち、実施の形態1のZ型の湿式太陽電池モジュールを構成する各構成部材と異なる部材のみを説明する。
<貫通部>
本実施の形態のようなW型の湿式太陽電池モジュールでは、光電変換素子30の第1電極11または第2電極21のいずれか一方もしくは両方に貫通部50を設けることを特徴とする。
貫通部50は、隣接する光電変換素子を電気的に接続させるために、第1電極11および第2電極21の一部が残留部として残されている必要があり、たとえば上述の図5〜図7で示される貫通部50と同様の形状に形成することができる。このような貫通部50は、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とをセル間絶縁部15を介して接触するのに、十分な面積が確保されていればよい。
貫通部50の断面積は、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とがセル間絶縁部15を介して接続できる面積が確保されていればよい。第1電極11に貫通部50を形成する方法は、第2電極21に貫通部50を形成する方法と同様の方法を用いることができる。
<第2電極>
第2電極21は、隣接する光電変換素子を電気的に接続するために第2絶縁性基板20上に設けられるものである。本実施の形態のW型の湿式太陽電池モジュールは、Z型の湿式太陽電池モジュールのように第1電極11と第2電極21とを接触させることにより、電気的に接続するわけではなく、隣接する光電変換素子30の第2電極21を共有することにより電気的に接続するものである。
<セル間絶縁部>
本実施の形態において、セル間絶縁部15は、第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとの絶縁性が確保され、かつ酸化還元種の通過を妨げることができる膜であれば必ずしも無機酸化物のみに限られるものではなく、感光性樹脂または熱硬化性樹脂であってもよい。
本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図9に示されるように、セル間絶縁部15としてセル間封止部のみにより形成されているが、セル間絶縁部およびセル間封止部により形成してもよい。
<多孔性絶縁層>
W型の湿式太陽電池モジュールにおいては、Z型の湿式太陽電池モジュールで用いられていた多孔性絶縁層は必ずしも設けてなくてもよく、キャリア輸送部8が設けられればよい。光電変換層41上に多孔性絶縁層を設けた場合でも、多孔性絶縁層にはキャリア輸送部が含有されており、かつ光電変換層41と触媒層43との接触を抑制することができるのでより好ましい。
なお、W型の湿式太陽電池モジュールにおいて、光電変換層41とキャリア輸送部8との順序を入れ替えてもよいし、さらには、多孔性絶縁層を設けた場合でも、光電変換層41と多孔性絶縁層との順序を入れ替えてもよい。
<W型の湿式太陽電池モジュールの製造方法>
本実施の形態の湿式太陽電池モジュールの製造方法は、透光性である第1絶縁性基板10上に、離間して複数形成された第1電極11、光電変換層41、キャリア輸送部8、触媒層43、第2電極21が順次積層されてなる第1光電変換素子30aと、透光性である第1絶縁性基板10上に第1電極11、触媒層43、キャリア輸送部8、光電変換層41、第2電極21がこの順に積層されてなる第2光電変換素子30bと、第1光電変換素子30aの第2電極21および第2光電変換素子30bの第2電極21上に第2絶縁性基板20とを備え、透光性である第1絶縁性基板10と、第2絶縁性基板20との間に、1つ以上の第1光電変換素子30aと1つ以上の第2光電変換素子30bとが交互に並列にし、隣接する第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとを電気的に直列接続する工程を備えることを特徴とする。
さらに、第2電極21に貫通部50を形成した後に、当該貫通部50に対し未硬化樹脂材料を充填する。そして、第2絶縁性基板20を未硬化樹脂材料の上に載置した後、未硬化樹脂材料を硬化させることによりセル間絶縁部15を形成する。そして、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とを固定し、貼り合わせた第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20の間の外周に外周封止層19を形成することが好ましい。
(実施の形態4)
図10は、実施の形態4の湿式太陽電池モジュールを示す概略断面図である。本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図10に示されるように、実施の形態3の湿式太陽電池モジュールの(図10中の左側の)外周封止層19の直下の第1電極11および(図10中の右側の)外周封止層19の直上の第2電極21に貫通部50を形成する以外は、実施の形態3の湿式太陽電池モジュールと同様のものである。
このような位置に貫通部50を設けることにより、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とのセル間絶縁部を介した接触をより確実にすることができる。
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5の湿式太陽電池モジュールを示す概略断面図である。本実施の形態の湿式太陽電池モジュールは、図11に示されるように、実施の形態3の湿式太陽電池モジュールの最外に位置する外周封止層19と接する第1電極11および第2電極21に貫通部50を形成する以外は、実施の形態3の湿式太陽電池モジュールと同様のものである。
このような位置に貫通部50を設けることにより、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20との接触をより確実にすることができる。
<実施例>
(実施例1)
実施例1では、図1に示されるZ型の湿式太陽電池モジュールを作製した。まず、縦60mm×横36mmのSnO2膜付きガラス基板(商品名:SnO2膜付ガラス(日本板硝子社製))を用意した。ここで、ガラス基板は、第1絶縁性基板10に対応するものである。
この第1絶縁性基板10の表面の導電膜であるSnO2膜に対し、第1絶縁性基板10の左端から9.5mmの位置と、その位置から6.5mm間隔で3箇所の位置とをレーザスクライブを用いて縦方向に平行に切断し、幅が100μmの絶縁部5と、SnO2からなる第1電極11とを形成した。
次に、上記で形成された絶縁部5上に、絶縁部5を中心として僅かに両側の第1電極11上をはみ出すように、スクリーン印刷機(LS―34TVA(ニューロング社製))を用いてSiO2含有ペーストを塗布した。その後、SiO2含有ペーストを500℃で、60分間焼成することにより緻密なセル間絶縁体16を形成した。当該セル間絶縁体16の膜厚は28μm、幅0.6mm、長さ60mmであった。
次に、セル間絶縁体16が形成されていない第1電極11上に対し、平均粒径13nmの酸化チタンペースト(商品名:Ti−Nanoxide D/SP(Solaronix社製))をスクリーン印刷機を用いて塗布した。そして、酸化チタンペーストを500℃で、60分間焼成することにより、膜厚15μmの多孔性半導体層を形成した。
上記の多孔性半導体層は、第1絶縁性基板10の左端から6.4mmの位置を中心として、幅5mm、長さ50mmのサイズで1つ形成され、その左端の多孔性半導体層の中心から6.5mmの間隔で同様のサイズの多孔性半導体層を3つ形成した。このようにして第1絶縁性基板10の第1電極11上に4つの多孔性半導体層を形成した。
次に、多孔性半導体層上に平均粒経50nmのジルコニア粒子を含むペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布した。その後、500℃で、60分間焼成することにより、平坦部分の膜厚が7μmの多孔性絶縁層42を形成した。当該多孔性絶縁層42は、第1絶縁性基板10の左端から6.6mmの位置を中心として、幅5.2mm、長さ50mmのサイズで1つ形成し、その多孔性絶縁層42の中心から6.5mmの間隔で同様のサイズの多孔性絶縁層42を3つ形成した。
次に、上記の多孔性絶縁層42上に、膜厚50nmのPt膜からなる触媒層43を電子ビーム蒸着機を用いて形成した。そして、触媒層43、セル間絶縁体16、および隣接する光電変換素子30の第1電極11上に、膜厚300nmのTi膜からなる第2電極21を電子ビーム蒸着機を用いて形成した。
次に、レーザスクライブを用いてセル間絶縁体16が見えるようになるまで第2電極21の一部を除去することにより、図5に示される、貫通部50(幅0.4mm×長さ45mm)を形成した。
次に、エタノール(Aldrich Chemical Company製)に、下記化学式のN719(商品名:Ru535bisTBA(Solaronix社製))を、濃度が3×10-4mol/Lとなるように溶解させることにより色素吸着用溶液を調製した。
そして、上記で調製した色素吸着用溶液中に、酸化チタンからなる多孔性半導体層を有する第1絶縁性基板10を120時間浸漬することにより、多孔性半導体層に色素を吸着させた。その後、色素吸着用溶液から取り出した第1絶縁性基板10をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄した後に、乾燥させることにより光電変換層41を形成した。
Figure 0005367817
次に、第2電極21に形成した貫通部50を介して感光性樹脂(31X−101(スリーボンド社製))をディスペンサー(ULTRASAVER(EFD社製))を用いて塗布し、封止樹脂に第2絶縁性基板20(縦56mm×横32mm)を貼り合わせた。そして、紫外線ランプ(NOVACURE(EFD社製))を用いて紫外線を照射することにより、感光性樹脂を硬化させてセル間封止部17を形成するとともに、第2絶縁性基板20を固定した。セル間封止部17の幅は0.4mmであった。
その後、第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20の周囲に感光性樹脂を塗布し、セル間封止部17を形成したときと同様の紫外線ランプを用いて、感光性樹脂を硬化させることにより、外周封止層19を形成した。
次に、キャリア輸送部8に用いる酸化還元性電解液として、アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)に、濃度0.1mol/Lのヨウ化リチウム(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.01mol/Lのヨウ素(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.5mol/LのTBP(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.6mol/Lのジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(商品名:DMPII(四国化成製))を溶解させて調製した。そして、上記の酸化還元性電解液を、キャピラリー効果を用いて第2絶縁性基板20の各光電変換素子30上に形成された電解液注入口(図示せず)から注入した。
そして、樹脂により上記の電解液注入口を封止し、実施例1の湿式太陽電池モジュールを得た。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の湿式太陽電池モジュールのように、第2電極に貫通部50を形成しなかった。このこと以外は、実施例1と同様の工程により比較例1の湿式太陽電池モジュールを作製した。
(実施例2)
実施例2では、実施例1の湿式太陽電池モジュールの製造工程に加えて、外周封止層19の直下の第1電極11に貫通部50を形成する工程をさらに含むこと以外は、実施例1と同様の方法により、図8に示される、湿式太陽電池モジュールを作製した。
実施例2の湿式太陽電池モジュールにおいて、貫通部50は、最外の光電変換素子の長辺に対し0.1mmのところを起点として、図6に示される、幅0.4mm×長さ10mmの貫通部50を間隔0.125mmで4つ形成したものである。
(実施例3)
実施例3では、実施例1の湿式太陽電池モジュールの製造工程の第2電極21に貫通部を形成する工程において、図6に示される形状の貫通部50(幅0.4mm×長さ10mm)を0.125mm間隔で4つ形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の湿式太陽電池モジュールを作製した。
(実施例4)
実施例4では、実施例1の湿式太陽電池モジュールの製造工程の第2電極21に貫通部を形成する工程において、図7に示される形状の貫通部50(直径0.4mmの円形状)を0.1mm間隔で8つ形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4の湿式太陽電池モジュールを作製した。
(実施例5)
実施例5では、W型の湿式太陽電池モジュールの作製した。実施例5の湿式太陽電池モジュールは、図9に示されるように、第1光電変換素子30aと第2光電変換素子30bとを交互に形成したものである。以下に、この湿式太陽電池モジュールの製造方法を示す。
まず、縦53mm×横65mmのサイズのSnO2膜付きガラス基板(商品名:SnO2膜付ガラス(日本板硝子社製))を第1電極11が形成された第1絶縁性基板10として用い、縦39mm×横65mmのサイズのSnO2膜付きガラス基板(商品名:SnO2膜付ガラス(日本板硝子社製))を第2電極21が形成された第2絶縁性基板20として用いた。
図12(A)は、第1絶縁性基板10上に形成される各層を上面から見た図であり、図12(B)は、第2絶縁性基板20上に形成される各層を上面から見た図である。
図12中のAが18mm、Bが18mm、Cが5mm、Dが7mm、Eが5mm、Fが5mmとなるように、第1電極11および第2電極21上に触媒層43を形成した。当該触媒層43の形成は、スパッタを用いて白金を約5nmの膜厚で成膜することにより行なった。
次に、第1電極11および第2電極21上に(図12の「41」の部分に)多孔性半導体層を作製した。当該多孔性半導体層の作製は、実施例1で用いた酸化チタンペースト(商品名:D/SP(Solaronix社製))を用いて、焼成後の形状が幅5mm×長さ50mm×膜厚15μmとなるように、スクリーン印刷機(製品名:LS−150(ニューロング精密工業製))を用いて、第1電極11および第2電極21上に塗膜した後に、室温にて1時間レベリングを行なった後に、80℃のオーブン中で乾燥させ、空気中で500℃の温度で焼成することにより行なった。
次に、図12中のIが17.5mm、Jが23.5mm、Kが16.5mm、Lが10.5mmとなるように、絶縁部5を形成した。当該絶縁部5の形成は、SnO2からなる第1電極11および第2電極21に対し、基本波長が1.06μmのレーザ光(YAGレーザ)を照射して、SnO2を蒸発させることにより行なった。
さらに、第1電極11および第2電極21に対し、基本波長のレーザ光(YAGレーザ)を照射することにより、幅5mm×長さ8mmの貫通部50を0.3mmの間隔で9つ形成した(図12)。
次に、実施例1で用いたN719(商品名:Ru535bisTBA(Solaronix社製))を、濃度が3×10-4mol/Lとなるようにエタノール(Aldrich Chemical Company製)に溶解させることにより色素吸着用溶液を調製した。
そして、上記で調製した色素吸着用溶液中に、多孔性半導体層を有する第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20を120時間浸漬することにより、多孔性半導体層に色素を吸着させた。その後、色素吸着用溶液から取り出した第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄した後に、乾燥させることにより光電変換層41を形成した。
次に、上述の工程で得られた第1絶縁性基板10および第2絶縁性基板20の貫通部50および絶縁部5上に、アイオノマー樹脂(ハイミラン1855(デュポン社製))を1mm×60mmで切り出したものをセル間絶縁部15として設置した。そして、図9の湿式太陽電池モジュールの形状となるように、第1絶縁性基板10と第2絶縁性基板20とを張り合わせ、約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。
次に、キャリア輸送部8に用いる酸化還元性電解液として、2種の電解液(電解液Aおよび電解液B)を作製した。
電解液Aは、アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)に、濃度0.1mol/Lのヨウ化リチウム(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.02mol/Lのヨウ素(キシダ化学社製)、濃度0.5mol/LのTBP(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.6mol/Lのジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(商品名:DMPII(四国化成製))を溶解させることにより調製したものである。当該電解液Aのヨウ素濃度を「M2」とする。
一方、電解液Bは、上記の電解液Aの組成のうち、ヨウ素を高濃度とした(ヨウ素の濃度:0.02mol/Lから0.05mol/Lにした)こと以外は電解液Aと同様の工程で調製したものである。当該電解液Bのヨウ素濃度を「M1」とする。すなわち、ヨウ素濃度の比率M1/M2は2.5であり、比率5〜1の範囲内であった。
本実施例の色素増感型太陽電池モジュールの第1光電変換素子30aには、電解液Bを注入し、第2光電変換素子30bには電解液Aをそれぞれキャピラリー効果を用いて注入した。その後、セル周辺部分をエポキシ樹脂にて封止することにより、実施例5の色素増感型太陽電池モジュールを得た。
(比較例2)
比較例2では、実施例5の湿式太陽電池モジュールのように、第1電極および第2電極に貫通部50を形成しなかった。このこと以外は、実施例5と同様の工程により比較例2の湿式太陽電池モジュールを作製した。
(実施例6)
実施例6では、実施例5の湿式太陽電池モジュールの製造工程に加えて、図10中の左側の外周封止層19の直下の第1電極11、および図10中の右側の外周封止層19の直上の第2電極21に貫通部50を形成する工程を含むこと以外は、実施例5と同様の方法により、図10に示される、湿式太陽電池モジュールを作製した。
すなわち、図10に示されるように、第1電極11に貫通部50を形成した対向位置には、絶縁部5が形成され、第2電極21に貫通部50を形成した対向位置には、絶縁部5が形成されることとなる。
なお、形成される貫通部50は、図12に示される貫通部50と同一の形状を有するものであり、幅5mm×長さ8mmのものを0.3mm間隔で形成したものである。
(実施例7)
実施例7では、実施例5の湿式太陽電池モジュールの製造工程に加えて、図11中の左側の外周封止層19の両端の第1電極11および第2電極21に貫通部50を形成する工程を含むこと以外は、実施例5と同様の方法により、図11に示される、湿式太陽電池モジュールを作製した。
なお、形成される貫通部50は、図12に示される貫通部50と同一の形状を有するものであり、幅5mm×長さ8mmのものを0.3mm間隔で形成したものである。
(実施例8)
実施例8では、実施例1の湿式太陽電池モジュールの製造工程の第2電極の作製工程において、あらかじめ図5に示される貫通部が形成されるように設計したパターンのスクリーンを用いて、スクリーン印刷機(装置名:LS−34TVA(ニューロング社製))により、第1電極11上にITOペーストを塗布した。この塗布したITOペーストを焼成することにより、膜厚1μmのITO多孔質層からなる第2電極21を形成した。このITOペーストは、以下の方法により作製したものを用いた。
まず、平均粒子径が30nmのITOナノ粒子(シーアイ化成株式会社製)30gに対し、5mlの酢酸を加えて、乳鉢で5分間撹拌した。次に、5mlの水を加えて乳鉢で1分間撹拌するという工程を5回繰り返し、さらに5mlのエタノールを加えて乳鉢で1分間撹拌するという工程を15回繰り返した。そして、18mlのエタノールを加えて、乳鉢で1分間撹拌するという工程を6回繰り返した。
上記のようにして作製したペーストを、500mlのエタノールを用いてビーカーに移した。その後、スターラーで2分間撹拌してから、テルピネオールを100g加えた。そして、スターラーで2分間撹拌した後に、2秒間の超音波処理を2秒間隔で60回行なってから、再度スターラーで2分間撹拌した。
30−50mPas at 5% in toluene:ethanol/80:20 258C #46 080,Flukaのエチルセルロースを加えた後に、エタノール溶液を加えて10質量%のエチルセルロースに調整し、さらにスターラーによって2分間撹拌した。
次に、2秒間の超音波処理を2秒間隔で180回行なってから、再度スターラーで2分間撹拌した。その後、エバポレータを用いてエタノールを蒸発させて、3本ロール処理を行なうことにより、目的のITOペーストを作製した。
上記のようにしてスクリーン印刷法を用いて第2電極を作製したことが異なる他は、実施例1と同様の方法により、図8に示される、湿式太陽電池モジュールを作製した。
<変換効率>
実施例1〜8および比較例1〜2で作製した色素増感型太陽電池モジュールを、第1絶縁性基板が受光面となるように、第2絶縁性基板側を25℃に制御された黒色のステージに設置した。そして、第1絶縁性基板に対し、AM1.5の擬似太陽光(ソーラーシュミレータ)を照射した直後の湿式太陽電池モジュールの変換効率(Eff(%))と、AM1.5の擬似太陽光を100時間照射し続けた後の湿式太陽電池モジュールの変換効率(Eff(%))とを測定し、これにより得られた値を表1にまとめた。
Figure 0005367817
表1に示されるように、擬似太陽光を照射した直後の実施例1〜8および比較例1〜2の湿式太陽電池モジュールの変換効率には大差が見られず、ほぼ同等の特性を得ることができたのに対し、擬似太陽光を100時間照射した後の変換効率は、実施例1〜8の湿式太陽電池モジュールが比較例1〜2の湿式太陽電池モジュールよりも、大幅に優れていることが明らかとなった。
そこで、擬似太陽光を100時間照射した後の比較例1〜2の湿式太陽電池モジュールのキャリア輸送部の電解液を顕微鏡により観察したところ、セル間絶縁部に電解液が存在していることが確認された。これは、比較例1〜2の湿式太陽電池モジュールは、セル間絶縁部でのセルの区画が不十分であり、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との接触が弱いことに起因するものと考えられる。
以上の結果から明らかなように、本発明の湿式太陽電池モジュールのように、第1電極または第2電極のいずれか一方もしくは両方に貫通部を備えることにより、湿式太陽電池モジュール内の各層間での剥離を起こしにくくすることができ、これにより耐久性に優れた湿式太陽電池モジュールを提供することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の湿式太陽電池モジュールは、住宅用太陽電池システム、発電所のシステム等に適用することができる。
1,2 湿式太陽電池モジュール、101,202,302 色素増感太陽電池モジュール、5 絶縁部、8 キャリア輸送部、10,110,210,310 第1絶縁性基板、11,111,211,311,311a 第1電極、15,215 セル間絶縁部、16,116,316 セル間絶縁体、17,117 セル間封止部、19,219 外周封止層、20,120,220,320 第2絶縁性基板、21,121,221,321,321a 第2電極、30 光電変換素子、30a,230a 第1光電変換素子、30b,230b 第2光電変換素子、40 光電変換部、41,141,241 光電変換層、42,142 多孔性絶縁層、242 電解質層、43,143,243 触媒層、50 貫通部、51 残留部、108 電解質、119 外周部、308 電解液、319 液封止材、341 色素増感半導体電極、343 対向電極。

Claims (12)

  1. 2個以上の光電変換素子が離間して配置され、第1絶縁性基板と第2絶縁性基板との間に挟持される湿式太陽電池モジュールであって、
    前記各光電変換素子は、第1電極と光電変換部と第2電極とで構成され、
    離間して挟持配置している前記光電変換素子の間にはセル間絶縁部が設けられ、
    前記第1電極または前記第2電極のうちの少なくとも一方には、貫通部が設けられ、
    前記貫通部には前記セル間絶縁部の部材が充填され、
    前記第1絶縁性基板と前記第2絶縁性基板との間の少なくとも一部を前記第1電極または前記第2電極を介さずに前記セル間絶縁部により接続する、湿式太陽電池モジュール。
  2. 前記貫通部は、その内部に前記セル間絶縁部を構成する部材が充填される、請求項1に記載の湿式太陽電池モジュール。
  3. 前記光電変換部は、前記セル間絶縁部と接する、請求項1または2に記載の湿式太陽電池モジュール。
  4. 前記光電変換素子は、前記第1絶縁性基板上に、第1電極、光電変換部、および、第2電極がこの順に積層されたものであり、
    前記光電変換部は、光電変換層、キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層、および触媒層からなり、
    前記光電変換層は、多孔性半導体層に色素が担持された層であり、
    前記光電変換層、前記キャリア輸送部を含有する多孔性絶縁層、および前記触媒層は、前記第1電極側からこの順に積層され、
    前記第1絶縁性基板、前記第2絶縁性基板、および前記セル間絶縁部に囲まれる空間には、キャリア輸送部が設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  5. 隣接する2個の前記光電変換素子において、
    一方の光電変換素子の前記第2電極は、他方の光電変換素子の前記第1電極と接する、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  6. 前記光電変換素子が、1個以上の第1光電変換素子と、1個以上の第2光電変換素子とが交互に離間して配置され、
    前記第1光電変換素子および前記第2光電変換素子はいずれも、前記第1絶縁性基板上に、第1電極、光電変換部、および第2電極がこの順に積層されたものであり、
    前記第1光電変換素子の光電変換部は、光電変換層と、キャリア輸送部と、触媒層とが前記第1電極側からこの順に積層されたものであり、
    前記第2光電変換素子の光電変換部は、触媒層と、キャリア輸送部と、光電変換層とが前記第1電極側からこの順に積層されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  7. 前記第1光電変換素子と、該第1光電変換素子に隣接する前記第2光電変換素子とは、前記第1電極または前記第2電極により電気的に直列接続される、請求項6に記載の湿式太陽電池モジュール。
  8. 前記第2電極は、前記キャリア輸送部に対して耐食性を有する材料からなる、請求項4、6または7に記載の湿式太陽電池モジュール。
  9. 前記第2電極は、Ti、Ni、およびAuからなる群より選択された少なくとも1種の金属または該金属を少なくとも1種含む化合物、フッ素ドープ酸化錫、もしくはITOのうちのいずれかからなる、請求項1〜8のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  10. 2個以上の前記光電変換素子の外周部であって、
    前記第1絶縁性基板と前記第2絶縁性基板との間に、外周封止層が形成される、請求項1〜9のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  11. 前記セル間絶縁部は、少なくともセル間封止部を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
  12. 前記セル間絶縁部は、セル間絶縁体およびセル間封止部からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の湿式太陽電池モジュール。
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