JP6270990B2 - 光電変換素子、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールに関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光エネルギーを電力エネルギーに変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。しかし、前者の太陽電池には、シリコン基板の製造コストが高いという問題がある。後者の薄膜シリコン太陽電池には、多種の半導体製造用ガスおよび複雑な装置などを用いて製造するために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池にも、光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。特許文献1に記載の光電変換素子は、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換層と電解液とが2枚のガラス基板により挟持されており、上記の2枚のガラス基板の表面にはそれぞれ第1電極および第2電極が形成されている。
第1電極側から光を照射すると、光電変換層に電子が発生し、発生した電子が一方の第1電極から外部電気回路を通って対向する第2電極に移動する。移動した電子は、電解質中のイオンに運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子の移動により、電気エネルギーを取り出すことができる。
上記のような色素増感太陽電池に使用する光電変換素子について、一般的には支持体と光電変換層との間に形成される透明導電膜を使用しないことが可能である(特許文献2)。図8は、従来の、透明導電膜を使用しない光電変換素子の一例である。図8の装置は、上部支持体801と下部支持体810との間に、多孔性半導体層を有する光電変換層812と、集電電極804と、電荷輸送層809と、対極806と、封止部807、808とが配置されている。
このような、透明導電膜を使用しない光電変換素子においては、色素が担持された多孔性半導体層の上に集電電極804が形成されており、この集電電極を通じて電子が取り出される。
このような色素増感太陽電池とすることで、透明導電膜による光の吸収ロスがなくなるため、より光入射側からの透光性が高くなる。このため、光電変換素子から、より効率よく電気エネルギーを取り出すことが可能となり、得られる電流が向上することが期待できる。
また、透明導電膜を使用しない光電変換素子においては、支持体として一般的なガラスを使用することができるため、支持体の材料費を大きく低減できるというメリットがある。
特開平01−220380号公報 特開2001−283941号公報
透明導電膜を使用しない光電変換素子は、支持体と多孔性半導体層の界面の密着強度が弱く、剥離する問題がある。
支持体にガラスを使用した際、ガラスと多孔性半導体層の界面では、多孔性半導体層がガラス上に単に物理的に密着しているだけであるため、外部からの力、たとえばガラスの反りおよびたわみや、接触、空気中の水分、色素吸着の溶媒などの外的要因により剥離してしまう。この剥離により、特にモノリシックの色素増感太陽電池を作製する場合において、透明導電膜を使用しないときは、透明導電膜を使用して光電変換素子を作製する場合に比べて多孔性半導体層が剥離しやすく、このため太陽電池の作製歩留まりが悪くなり、かつ太陽電池特性に大きな影響を及ぼすことが問題となる。
本発明は、光入射側に位置する透光性の上部支持体と、その反対側に位置する下部支持体とに挟まれて、該上部支持体の側から順に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、集電電極と、絶縁層と、対極とが配置され、更にキャリア輸送材料が含まれ、少なくとも該上部支持体と該多孔性半導体層との間に隣接して、膜厚0.5〜10nmの密着部が配置されている、光電変換素子である。
ここで、該光電変換層は封止部によって封止され、該密着部が、該封止部、該集電電極、該対極の少なくともいずれかと接してもよい。
また、該密着部の材料はTi、TaまたはMoのいずれかであってもよい。
また、該密着部の膜厚は、0.5〜5nmであってもよい。
また、本発明は、該光電変換素子を備える、色素増感太陽電池である。
また、本発明は、該色素増感太陽電池を直列接合して形成される、色素増感太陽電池モジュールである。
本発明によれば、透明導電膜を使用しない光電変換素子であって、上部支持体からの多孔性半導体層の剥離が防止された光電変換素子、該光電変換素子を用いた色素増感太陽電池および該色素増感太陽電池を用いた色素増感太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の光電変換素子の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の別の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子における密着部の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における密着部の別の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における密着部の別の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における密着部の別の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における密着部の別の一例を示す平面図である。 従来の光電変換素子の一例を示す断面図である。
以下、本発明の光電変換素子、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールについて図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<光電変換素子>
図1は、本発明に係る光電変換素子の構成の一例を示す断面図である。図1に示す光入射側に位置する透光性の上部支持体101と、その反対側に位置する下部支持体110とに挟まれて、上部支持体101の側から順に、多孔性半導体層を有する光電変換層112と、集電電極104と、絶縁層105と、対極106とが配置され、更にキャリア輸送材料が含まれ、少なくとも上部支持体101と多孔性半導体層との間に隣接して、膜厚0.5〜10nmの密着部111が形成されるものである。
(上部支持体)
上部支持体101を構成する材料は、一般に光電変換素子の支持体に使用可能な材料であり、透光性を有し、且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。上部支持体の材料は、たとえば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、または結晶石英ガラスなどのガラス基板であってもよいし、耐熱性樹脂材料からなる可撓性フィルムであってもよい。ここで、本発明において「透光性」とは、少なくとも後述の光増感剤に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過する(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)ことを意味し、必ずしも全ての波長の光に対して透過性を必要とすることを意味するものではない。
上部支持体の厚みは特に限定されないが、たとえば0.2〜5mmであることが好ましい。
(下部支持体)
下部支持体110は、対極106を支持する。下部支持体の材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されず、基本的には、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。ただし、下部支持体を受光面として使用する場合には、透光性が必要となるため、上記上部支持体に関する説明で列挙した透光性を有する何れかの材料から選択される。下部支持体は、透光性を必要としない場合には、たとえば金属などの無機材料からなる板または膜であってもよいし、プラスチックなどの有機材料からなる板または膜であってもよい。
下部支持体の厚さは特に限定されないが、たとえば0.2〜5mmであることが好ましい。
(光電変換層)
光電変換層112は多孔性半導体層を有する。この多孔性半導体層内には、光増感剤が設けられている。以下、それぞれを順に説明する。
本発明において多孔性半導体層は、半導体の多孔性材料で構成される。ここで、多孔性材料は、比表面積が0.5〜300m2/gが好ましく、10〜200m2/gがより好ましい。空孔率は、20%以上であることが好ましい。比表面積は気体吸着法であるBET法によって求められ、空孔率は多孔性半導体層の厚さ、多孔性半導体層の質量、および半導体微粒子の密度から計算によって求められる。多孔性半導体層は、上記の比表面積を有することにより、多くの光増感剤を吸着でき、よって太陽光を効率良く吸収できる。また、多孔性半導体層の空孔率を20%以上とすることにより、キャリア輸送材料の十分な拡散が可能となり、電子を光電変換層にスムーズに戻すことができる。なお、多孔性半導体層の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.1〜100μmが適当である。
多孔性半導体層の材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料は、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、またはSrCu22などの化合物半導体材料であることが好ましい。上記列挙された材料のうちの一つを単独で用いてもよいし、上記列挙された材料のうちの2つ以上の組み合わせて用いてもよい。光電変換効率、安定性および安全性の観点から、多孔性半導体層を構成する材料としては酸化チタンを用いることが好ましい。
多孔性材料は、単結晶または多結晶のいずれでもよい。しかし、安定性、結晶成長の困難さ、および製造コストなどの点では、多孔性半導体層は、多結晶焼結体であることが好ましく、微粉末(ナノスケールからマイクロスケール)からなる多結晶焼結体であることが特に好ましい。
多孔性半導体層は、大きさが同一の化合物半導体材料からなる粒子を用いてもよいし、大きさが互いに異なる化合物半導体材料からなる粒子を用いてもよい。相対的に大きな粒子は、入射光を散乱させるため、光捕捉率の向上に寄与すると考えられる。相対的に小さな粒子を用いれば光増感剤の吸着点がより多くなるので、相対的に小さな粒子は光増感剤の吸着量の向上に寄与すると考えられる。
なお、本発明の多孔性半導体層は、図1のように、多孔性半導体層102と多孔性半導体層103との2層構造とすることも可能である。この場合、多孔性半導体層102を、光を透過するような性質の半導体層、多孔性半導体層103を、光を散乱するような性質の半導体層とすることで、光を閉じ込めることができるという効果が得られる。
多孔性半導体層に吸着されて光増感剤として機能する増感色素としては、特に限定されないが、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の有機色素であってもよいし、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の金属錯体色素であってもよい。これらの色素を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、またはナフタロシアニン系色素などが挙げられる。有機色素の吸光係数は、一般に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、TA、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、またはRhなどの金属原子に配位子が配位結合した形態のものが挙げられる。金属錯体色素は、たとえば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、またはナフタロシアニン系色素であることが好ましく、これらの中でもフタロシアニン系色素またはルテニウム系色素であることがより好ましく、ルテニウム系金属錯体色素であることがさらに好ましい。
このような増感色素の吸着量は、1×10-8mol/cm2以上1×10-6mol/cm2以下であることが好ましく、5×10-8mol/cm2以上5×10-7mol/cm2以下であることがより好ましい。光増感剤の吸着量が1×10-8mol/cm2未満であれば、光電変換効率の低下を招くおそれがある。一方、光増感剤の吸着量が1×10-6mol/cm2を超えると、開放電圧が低下するという不具合を招くことがある。
(集電電極)
本発明において、集電電極104は、上部支持体101に支持されており、光電変換層112に接している。集電電極104は、封止部108の外側にも設けられていることが好ましく、これにより、外部電気回路を介して集電電極104を対極106にスムーズに接続することができる。
集電電極の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。ただし、下部支持体を受光面とした場合でも光電変換素子が機能するような構成とする場合は、上部支持体と同じく透光性が必要となる。また、集電電極を構成する材料は、後述のキャリア輸送材料(電解質など)に対して腐食性を有しないことが好ましい。具体的には、集電電極の材料としては、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化錫にフッ素をドープしたもの(FTO)、または酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられ、チタン、ニッケル、またはタンタルなどのキャリア輸送材料に用いられる材料に対して腐食性を示さない金属を用いることもできる。
集電電極の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.02〜50μmであることが好ましい。集電電極のシート抵抗値は、低ければ低いほどFF(曲線因子)を向上させることができるため好ましく、特に40Ω/□以下であることが好ましい。
集電電極が緻密な構造をなす場合、複数の小孔が集電電極に形成されていることが好ましい。ここで、複数の小孔は、キャリア輸送材料のパスとして機能する。つまり、後述の電荷輸送層に含まれるキャリア輸送材料は、集電電極に形成された複数の小孔の内部を通って、光電変換層の多孔性半導体層と対極との間を移動できる。
(絶縁層)
絶縁層105は、集電電極104と対極106との間を絶縁する機能を有する。絶縁層105の材料は、集電電極104と対極106との間を絶縁することの可能な材料であれば、特に限定されない。絶縁層に用いることのできる材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウムおよびチタン酸バリウムからなる群より選択された少なくとも1種を用いることができる。
絶縁層105は、1×1012Ω・cm以下の導電率を有する材料で形成されていることが好ましい。このような導電率の低い材料で絶縁層105を形成することにより、光電変換層112から対極106へのリーク電流を低減することができる。
絶縁層105の厚さは、0.2μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上2μm以下であることがより好ましい。絶縁層105の厚さが0.2μm以上である場合、特に0.5μm以上である場合には光電変換層112から対極106へのリーク電流を低減することができる傾向にある。また、絶縁層105の厚さが5μm以下である場合、特に2μm以下である場合には、キャリア輸送層の抵抗が減少され、FFが向上する傾向にある。
(対極)
対極106は、下部支持体110の上に設けられており、電荷輸送層に接している。対極は、集電電極104とは反対側の極である。
対極の材料は、一般に集電電極に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。ただし、下部支持体を受光面とした場合でも光電変換素子が機能するためには透光性を有する材料を使用する必要がある。
対極は、触媒層と導電層との積層体であることが好ましい。ここで、触媒層は、電荷輸送層と導電層との間に設けられていることが好ましく、電解質の酸化還元反応を活性化させる働きを有することが好ましく、たとえば、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどからなることが好ましい。なお、このように触媒層が導電性を有する場合には、対極は触媒層のみで構成されていてもよい。対極の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.5〜1000nmが適当である。
(電荷輸送層)
本発明において、対極106と下部支持体110との間は、キャリア輸送材料が充填されて電荷輸送層109とされる。
(キャリア輸送材料)
キャリア輸送材料は、電荷輸送層109に充填される材料である。キャリア輸送材料は、イオンを輸送できる導電性材料で構成されていることが好ましく、キャリア輸送材料の好適な材料としては、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などが挙げられる。
キャリア輸送材料としては、具体的には、酸化還元種を溶媒に溶かした電解質を用いることができる。酸化還元種としては、I-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、またはキノン/ハイドロキノン系などを用いることができる。酸化還元種としては、たとえば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)またはヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせを用いることができる。また、酸化還元種としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)またはテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせを用いることができる。さらに、酸化還元種としては、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)または臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせを用いることができる。なかでも、酸化還元種としては、LiIとI2との組み合わせを用いることが特に好ましい。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水または非プロトン極性物質などを用いることができる。なかでも、酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、カーボネート化合物またはニトリル化合物を用いることが特に好ましい。酸化還元種を溶解可能な溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(密着部)
本発明においては、上部支持体101と多孔性半導体層との間に隣接して、密着部111が形成される。透明導電膜を使用しない色素増感太陽電池において、たとえば支持体としてガラスを使用する場合は、多孔性半導体層を形成した際、ガラスの反り等により多孔性半導体層と支持体との界面において、剥離が生じやすくなる。そこで、密着部を形成することで、この剥離を抑制することができる。
密着部の材料としては、上部支持体と多孔性半導体層とを接着できるものであればよく、種々の金属を使用することが可能であるが、Ti、Ta、Mo等の高融点金属を使用することが、形成のしやすさの観点から好ましい。
密着部の材料にTiを使用すると、密着部を構成する粒子によって密着部表面に適度な凹凸が形成されるため、密着部の表面積が増え、密着部と上部支持体層との接触面積も大きくなり、上部支持体と密着部との間でより剥離しにくくできる。また、光電変換素子を作製する工程においては、たとえば多孔性半導体層の焼成後に、密着部とすることが可能であり、この場合には密着部と焼成後の多孔性半導体層との間に化学的な結合が生じる。この化学的な結合により、多孔性半導体層と密着部との間においても、より剥離しにくくできる。
図3〜図7は、本発明の光電変換素子における密着部の構成の一例を示す平面図である。密着部は、上部支持体の面との関係において、図3に示すように上部支持体の全面に形成されていてもよいし、図4に示すようにストライプ状に形成されていてもよいし、図5に示すようにドット状に形成されていてもよいし、図6および図7に示すように格子状に形成されていてもよい。しかしながら、密着部の形成されている部分において多孔性半導体層と上部支持体とが接着されるものであるから、図3に示すように上部支持体の全面に密着部が形成されることがより好ましい。
密着部の膜厚は、0.5〜10nmであれば、上部支持体と多孔性半導体層との密着性を保持するに足る厚みが確保できる。膜厚が0.5nm以下であると、密着部の材料を堆積する過程において、堆積を制御することが困難となる。膜厚が0.5〜5nmであれば、支持体を通じて多孔性半導体層まで透光性を確保できるため、好ましい。0.5〜2nmであればより好ましい。なお、密着部の厚みが一定でない場合において、「膜厚」の語は、密着部の最大厚みを意味するものとする。
密着部は、図1のように上部支持体と多孔性半導体層とを密着させるものであればよいが、図2に示すように、封止部208、集電電極204、絶縁層205、対極206のいずれかと接してもよい。密着部211が封止部、集電電極、絶縁層、対極の少なくともいずれか一つと接する場合は、多孔性半導体層と接する部分において剥離が防止され、また多孔性半導体層が上部支持体からより剥離しにくくなる。
(封止部)
封止部107、108は、上部支持体101と下部支持体110とを保持し、電荷輸送層109の漏えい防止機能を有し、落下物または応力(衝撃)を吸収する機能を有し、長期にわたる使用時において上部支持体および下部支持体のそれぞれに作用するたわみなどを吸収する機能を有する。
封止部の材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ上述の機能を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などが挙げられ、具体的にはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、またはガラスフリットなどが挙げられる。これらを単独で用いて封止部を形成してもよいし、これら2種類以上の材料を2層以上積層して封止部を形成してもよい。
(光電変換素子の製造方法)
本発明の光電変換素子の製造方法としては、まず、上部支持体101の片面に密着部111を形成する。密着部は、上部支持体と多孔性半導体層とを接着できるものであればよく、種々の金属を使用することが可能であるが、作製された光電変換素子における上部支持体と多孔性半導体層との密着性を向上するためには、Ti、Ta、Mo等の高融点金属を材料とすることが好ましく、Tiを材料とすることがより好ましい。
密着部の形成には、蒸着法、スパッタ法、CVD法、分子線エピタキシャル法、スピンコート法、等の種々の堆積法を選択することができる。
密着部形成において、図3のように上部支持体の全面に密着部を形成するのではなく、図4〜図7のように、一定パターンの密着部を部分的に形成する場合には、前述の堆積方法において、マスクを使用することで選択的にパターニングをすることができる。このような方法によって密着部を形成することで、パターン形成を行なうことができる。
光電変換層112を形成するには、たとえば、まず密着部111の形成された上部支持体101の面の上に、多孔性半導体層を形成してから、光増感剤を吸着させることができる。
多孔性半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。たとえば、化合物半導体からなる粒子を含有する懸濁液を、密着部の形成された上部支持体の上に塗布してから焼成および乾燥を行なうことができる。この方法においては、最初に化合物半導体からなる微粒子を適当な溶剤に懸濁させて、懸濁液を得る。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶剤、または水などが挙げられる。また、このような懸濁液の代わりに市販の酸化チタンペースト(たとえば、Solaronix社製、Ti−nanoxide、T、D、T/SP、D/SP、R/SP)を用いてもよい。
次いで、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、またはスクリーン印刷法など公知の方法により、得られた懸濁液を密着部の形成された上部支持体の上に塗布し、焼成および乾燥を行なって多孔性半導体層を形成する。
焼成および乾燥に必要な温度、時間、ならびに雰囲気などは、それぞれ、多孔性半導体層を構成することとなる材料の種類に応じて適宜設定することができる。たとえば、雰囲気としては大気雰囲気下または不活性ガス、酸素ガス雰囲気下が挙げられ、温度および時間としては使用する支持体の軟化点を最大温度とする範囲内であればよく、支持体としてガラスを使用する場合は、150〜600℃程度の範囲、より好ましくは、350〜550℃程度の範囲で10秒〜12時間程度が挙げられる。この焼成および乾燥は、単一の温度で1回行なってもよいし、温度を変化させて2回以上行なってもよい。
多孔性半導体層が複数層で構成されている場合、互いに異なる化合物半導体からなる粒子を含む懸濁液を調製することが好ましく、調製した懸濁液の塗布と、焼成および乾燥とを2回以上繰り返し行なうことが好ましい。
多孔性半導体層に対して光増感剤を吸着させる方法としては、たとえば光増感剤の溶解した色素吸着用溶液を用いて、光増感剤を多孔性半導体層に吸着させる方法が挙げられる。まず、使用する光増感剤を溶剤に溶解させて、色素吸着用溶液を得る。溶剤は、使用する光増感剤を溶解するものであって、一般に光電変換素子の作製において光増感剤の溶剤として使用されるものであれば、特に限定されない。そして、多孔性半導体層を色素吸着用溶液に浸漬させることで、光増感剤を多孔性半導体層に吸着させることができる。浸漬の条件は、光増感剤を十分に吸着可能な一般的な方法であれば特に限定されないが、たとえば40℃の温度条件で20時間浸漬することができる。浸漬後、得られた積層体について、適宜エタノール等による洗浄を行なってもよい。
集電電極104の形成は、特に限定されるものではないが、たとえば、蒸着法、スパッタ法、CVD法、分子線エピタキシャル法、スピンコート法、等の種々の堆積法またはスプレー法などの公知の方法により形成されることが好ましい。
絶縁層105の形成は、特に限定されるものではないが、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等、絶縁層105に適した材料を層状に形成することの可能な方法の中から適宜選択して形成することができる。
対極106の形成は、集電電極104の形成方法と同様、特に限定されない。対極として白金を用いる場合には、スパッタ法、塩化白金酸の熱分解、または電着などの公知の方法により対極を形成できる。
対極を構成する材料としてカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどのカーボンを用いる場合には、対極の形成方法としては溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより絶縁層上に塗布するという方法を用いることができる。
下部支持体110の取り付けは、封止部107を介して対極と下部支持体とを貼り合わせ、下部支持体を取り付ける。
キャリア輸送材料の充填は、少なくとも電荷輸送層109内に、キャリア輸送材料を充填する。キャリア輸送材料を充填する方法は、特に限定されない。たとえば、対極と下部支持体とを貼り合わせた後に、上部支持体または対極および下部支持体などに予め貫通孔を形成しておき、その貫通孔からキャリア輸送材料を注入して後、貫通孔を封止する、という方法を採用することができる。
以上の方法によって、上部支持体からの多孔性半導体層の剥離が防止された色素増感型太陽電池を提供することができる。
<色素増感太陽電池>
本発明に係る色素増感型太陽電池は、本発明に係る光電変換素子を含む電極と、対電極と、本発明に係る光電変換素子を含む電極と対電極との間に設けられたキャリア輸送層とを備え、光電変換素子中の集電電極と対極とが外部電気回路を介して接続された、色素増感型太陽電池である。これにより、上部支持体からの多孔性半導体層の剥離が防止された色素増感型太陽電池を提供することができる。
<色素増感太陽電池モジュール>
本発明に係る色素増感太陽電池モジュールは、本発明に係る色素増感太陽電池を直列接合して形成されるものである。これにより、上部支持体からの多孔性半導体層の剥離が防止された色素増感型太陽電池モジュールを提供することができる。
<実施例1>
光電変換層に含まれる多孔性半導体層が一層のみであることを除き、図2の光電変換素子と同一の構造の光電変換素子を用意した。実施例1の光電変換素子は、ガラス基板からなる上部支持体と、焼結されたTiO2からなる多孔性半導体層とを有し、上部支持体の全面に、均等な2nmの膜厚の、Tiを材料とする密着部を有する。
光電変換素子の製造方法は、まず上部支持体としてガラス基板を用意し、図3に示すように、上部支持体上の全面に、均等な2nmの膜厚にて、密着部の材料としてTi(商品名「チタンφ1.0x3.0mm 99.5%」、ニラコ社製)を、蒸着法を用いて堆積した。
密着部の材料が堆積された上部支持体の面の上であって多孔性半導体層が形成される箇所の周囲に封止部を形成した。この後、堆積された密着部の材料上に、縦5mm、横5mm、膜厚25μmとなるように、多孔性半導体層の原料としてTiO2ペースト(商品名「Ti−Nanoxide T/SP」および「Ti−Nanoxide R/SP」を6:4の重量比で混合した混合物、Solaronix社製)を、スクリーン印刷法を用いて塗布した。
得られた膜を120℃にて20分乾燥し、500℃にて1時間焼成させることで、TiO2からなる多孔性半導体層を得た。
具体的には、幅6mm×長さ10mmの開口部を有するメタルマスクを用意した。そして、半導体層の表面がメタルマスクの開口部から露出するようにメタルマスクを設置した。そして、電子ビーム蒸留器(商品名「ei−5」、アルバック株式会社製)を用いて、ターゲットをチタンとし、蒸着速度を10nm/sとして、チタンからなる集電電極を600nmで形成した。
次に、絶縁層を構成する絶縁性粒子を含むペースト(酸化ジルコニウム微粒子(シグマアルドリッチ社製)をテルピネオールに分散させ、さらにエチルセルロースを混合してペーストを調製した。酸化ジルコニウム微粒子とテルピネオールとエチルセルロースの重量比は、65:30:5である)を集電電極の表面、封止部の表面、および上部支持体の表面を覆うように塗布した後に120℃にて20分間予備乾燥した後、500℃にて1時間焼成することによって絶縁層を形成した。
次に、幅6mm×長さ10mmの開口部を有するメタルマスクを用いて、電子ビーム蒸留器(商品名「ei−5」、アルバック株式会社製)を用いて、ターゲットをプラチナとし、蒸着速度を5nm/sとして、プラチナからなる対極を形成した。
次に、アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)との混合溶剤(体積比1:1)に、濃度が4×10-4モル/リットルになるように、色素(商品名「Ruthenium620−1H3TBA」、Solaronix社製)を上記混合溶剤に溶解させることにより色素吸着用溶液を得た。そして、絶縁層側から集電電極の細孔を通して、多孔性半導体層を色素吸着用溶液に40℃の温度条件で20時間浸漬させることによって、色素を多孔性半導体層に吸着させた。その後、エタノール(Aldrich Chemical Company製)を用いて多孔性半導体層を洗浄し、約80℃で約10分間乾燥させた。このようにして、厚さ25μmの光電変換層を形成した。
次に、紫外線硬化剤(商品名「31X−101」、スリーボンド社製)を下部支持体としてのガラス基板(商品名「7059」、コーニング社製)の表面上に塗布し、上部支持体の封止部の設置側を下部支持体の表面上に塗布された紫外線硬化剤上に設置し、紫外線硬化剤に紫外線を照射した。これにより、上部支持体と下部支持体とを接合した。
次に、溶剤としてのアセトニトリルに、濃度が0.1モル/リットルとなるようにLiI(酸化還元種、Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.01モル/リットルとなるように酸化還元種としてI2(東京化成工業株式会社製)を溶解させた。さらに、上記アセトニトリルに、濃度0.5モル/リットルとなるように添加剤としてt−ブチルピリジン(TBP(4−tert−butylpyridine))(Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度0.6モル/リットルとなるようにジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)(四国化成工業株式会社製)を溶解させた。これにより、液体電解質からなるキャリア輸送材料を作製した。
最後に、下部支持体に予め設けてあった注入口からキャリア輸送材料を注入し、紫外線硬化樹脂(商品名「31X−101 229」、スリーボンド社製)を用いて注入口を封止した。これにより、実施例1の色素増感太陽電池が完成した。
<実施例2>
密着部の膜厚を5nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例2の光電変換素子を作製した。
<実施例3>
密着部の膜厚を0.5nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例3の光電変換素子を作製した。
<実施例4>
密着部の膜厚を4nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例4の光電変換素子を作製した。
<実施例5>
密着部の膜厚を10nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例5の光電変換素子を作製した。
<実施例6>
密着部の材料をTaとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例6の光電変換素子を作製した。
<実施例7>
密着部の材料をMoとした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例7の光電変換素子を作製した。
<実施例8>
多孔性半導体層の原料をTiO2ペースト(商品名「Ti−Nanoxide D/SP」、Solaronix社製)とした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例8の光電変換素子を作製した。
<実施例9>
多孔性半導体層を、TiO2ペースト(商品名「Ti−Nanoxide T/SP」、Solaronix社製)を原料とする上部支持体側の層(膜厚17μm)と、TiO2ペースト(商品名「Ti−Nanoxide R/SP」、Solaronix社製)を原料とする集電電極側の層(膜厚8μm)との2層(合計膜厚25μm)形成し、光電変換層とした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例9の光電変換素子を作製した。
<比較例1>
密着部を形成しなかった以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例1の光電変換素子を作製した。
<比較例2>
密着部の膜厚を0.2nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例2の光電変換素子を作製した。
<比較例3>
密着部の膜厚を15nmとした以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例3の光電変換素子を作製した。
<評価方法>
実施例1〜9および比較例1〜3において得られた光電変換素子に関し、剥離、短絡電流密度および光電変換効率について、以下の方法により評価を行なった。
(1)剥離
光電変換素子を完成させた直後に、目視にて膜剥離が観察されるかを確認した。特に、多孔性半導体層について、クラック、浮いている部分または欠けている部分が確認された場合に「膜剥離あり」と評価した。
(2)短絡電流密度および光電変換効率
得られた光電変換素子について、ソーラーシミュレータ(商品名「AM1.5ソーラーシミュレータ」、ワコム電創社製)を用いて1kW/m2の強度の光を照射し、短絡電流密度(mA/cm2)および光電変換効率(%)を測定した。
なお、比較例1および2において得られた光電変換素子は、多孔性半導体層の剥離が生じたために(表1)、本来電気的特性を評価するのに適さないものであったが、剥離した部分が比較的少なかったため、短絡電流密度および光電変換効率を評価することは可能であった。よって、比較例1および2についても、実施例1〜9および比較例3と同様に短絡電流密度および光電変換効率の評価を行なった。
<評価結果>
実施例1〜9および比較例1〜3において得られた光電変換素子に関し、剥離、短絡電流密度および光電変換効率について、評価結果を表1に示す。
Figure 0006270990
(1)剥離
膜厚0.5〜10nmの密着部を有する実施例1〜9においては、いずれも剥離がみられなかったのに対し、密着部を有しない比較例1および密着部の膜厚が0.5nm未満である比較例2においては剥離がみられた(表1)。このため、実施例1〜9においては再現良く安定して光電変換素子を作製できたのに対し、比較例1および2においては、剥離のため、安定して光電変換素子を作製することができなかった。以上より、本発明の光電変換素子は、本発明の密着部を備えることで、密着部または多孔性半導体層の違いに係らず、剥離を有効に抑えることができ、歩留まり良く安定して作製可能であった。
(2)短絡電流密度および光電変換効率
膜厚0.5〜10nmの密着部を有する実施例1〜9においては、短絡電流密度が15.0〜19.5mA/cm2、光電変換効率が6.2〜9.5%という値を示したのに対し、密着部の膜厚が15nmである比較例3においては、短絡電流密度が13mA/cm2、光電変換効率が5.9%と、いずれも実施例より低い数値となった。よって、密着部の膜厚が0.5〜10nmであれば、光電変換素子の電気的特性が十分なものとなることが明らかとなった。
また、密着部の膜厚が0.5〜5nmである実施例1〜4および実施例6〜9においては、短絡電流密度が18.9〜19.3mA/cm2、光電変換効率が9.0〜9.3%という値を示したのに対し、密着部の膜厚が10nmである実施例5においては、短絡電流密度が15.0mA/cm2、光電変換効率が6.2%と、いずれも他の実施例より低い数値となった。よって、密着部の膜厚が0.5〜5nmであれば、光電変換素子の電気的特性がより良好なものとなり、好ましいことが明らかとなった。
101,201,301,401,501,601,701,801 上部支持体、102,103,202,203 多孔性半導体層、104,204,804 集電電極、105,205 絶縁層、106,206,806 対極、107,108,207,208,807,808 封止部、109,209,809 電荷輸送層、110,210,810 下部支持体、111,211,311,411,511,611,711 密着部、112,212,812 光電変換層。

Claims (4)

  1. 光入射側に位置する透光性の上部支持体と、その反対側に位置する下部支持体とに挟まれて、前記上部支持体の側から順に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、集電電極と、絶縁層と、対極とが配置され、更にキャリア輸送材料が含まれ、
    少なくとも前記上部支持体と前記多孔性半導体層との間に隣接して、膜厚0.5〜10nmの密着部が配置されており、
    前記密着部の材料はTi、TaまたはMoのいずれかであり、
    前記上部支持体を構成する材料は、ガラスである、光電変換素子。
  2. 前記光電変換層は封止部によって封止され、
    前記密着部が、前記封止部、前記集電電極、前記対極の少なくともいずれかと接することを特徴とする、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の光電変換素子を備える、色素増感太陽電池。
  4. 請求項に記載の色素増感太陽電池を直列接合して形成される、色素増感太陽電池モジュール。
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