JP5367344B2 - 有機発光装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機発光装置の製造方法に関する。
1987年にTangらにより、キャリア輸送性の異なる有機化合物を積層し、正孔と電子とがそれぞれ陽極と陰極とからバランス良く注入することができる有機発光素子が提案された。具体的には陽極と陰極との間に有機化合物からなる薄膜を膜厚200nm以下で形成したものである。作製した素子は10Vの電圧を印加すると輝度1000cd/m2で発光し、従来に無い発光効率、輝度を達成した。その後現在まで、より低電圧で高輝度発光、高駆動寿命を得るための研究開発がなされている。
特許文献1には、基板上に陽極を形成する工程を行ってから、有機化合物層を形成し陰極を形成するまでの工程を一貫して減圧下で行うことが提案されている。即ち、画素分離膜を設けることなく、ドライエッチングにより基板上に陽極のパターニングを行った後、UVオゾン処理工程、酸素プラズマ処理工程、及び有機化合物層形成工程を減圧下で一貫して連続で行うという方法である。また特許文献1によれば、この方法により、陽極表面を清浄することができるだけでなく、陽極表面が適度に酸化されるので正孔注入性が向上し、発光の均一化、低電圧化、長寿命化が図られることが示されている。
特許文献2には、0.0001Pa〜0.1Paの減圧下で指向性を有するUV光(紫外線)を照射した後、この圧力範囲よりも高い圧力条件とした有機化合物層形成室に基板を搬送して有機化合物層形成を行うことが示されている。また特許文献2によれば、事前にUV光を照射することにより、有機化合物層形成処理室内にある汚染物が基板に付着されなくなることが示されている。
さらに特許文献3では、陽極付基板を145℃以上で加熱しながらUV光放射を行うことが示されている。また特許文献3によれば、基板を加熱しながらUV光照射を行うことで、常温でのUV光照射では分解が困難であった陽極(ITO等)表面に存在し得るカルボニル化合物を分解し、除去することが可能であるため、素子自体が長寿命化すると開示されている。
特開平10−302965号公報 特開平9−232075号公報 特開2004−139746号公報
しかしながら、画素分離膜及び平坦化膜のいずれかの構成材料が有機材料である有機発光装置について、特許文献1〜3の技術を用いると後述する問題点があった。即ち、少なくとも酸素が存在する気体雰囲気下でUV光を照射する工程(以後、UVオゾン処理工程とする。)において、画素分離膜や平坦化膜の一部が分解してしまいその分解物によって陽極が汚染される場合があった。
さらに、この分解過程で分解水が発生し、この分解水が画素分離膜や平坦化膜中に内在するという問題がある。この分解水は、有機発光装置を使用する際に有機発光素子画素部の周辺輝度劣化の原因になっていた。
そこで、本発明の目的は、製造工程において発生する分解水を効果的に除去すると共に、良好な発光特性を得ることができる有機発光装置の製造方法を提供することである。
陽極と陰極と、該陽極と該陰極とに挟まれ少なくとも正孔輸送層と発光層とをこの順に含んでなる有機化合物層と、から構成される有機発光素子部と、
前記陽極を形成する面を平坦化する平坦化膜と、
前記陽極の周辺を覆って前記有機発光素子部を区画する画素分離膜と
を基板上に備え、該画素分離膜及び該平坦化膜のいずれかの構成材料が有機材料である有機発光装置の製造方法において、
該基板上に、該平坦化膜と、該陽極と、該画素分離膜と順次形成する工程と、
少なくとも酸素を含む気体を導入・排気しながら、UV光を前記画素分離膜までが形成された基板上に照射するUV光照射工程と、
該基板を加熱する基板加熱処理工程と、
該有機化合物層を該陽極上に真空蒸着法にて形成する有機化合物層形成工程と、を有し、
該UV光照射工程と該基板加熱処理工程とを同時に行い、
該UV光照射工程を、10Pa以上10000Pa以下の圧力雰囲気下で行うことを特徴とする。
本発明によれば、製造工程において発生する分解水を効果的に除去すると共に、良好な発光特性を得ることができる有機発光装置の製造方法を提供することができる。
本発明の有機発光装置の製造方法は、有機発光素子部と、画素分離膜と、平坦化膜と、を基板上に備える有機発光装置を製造する方法である。尚、有機発光素子部は、陽極と陰極と、該陽極と該陰極とに挟持され少なくとも正孔輸送層と発光層とをこの順に含んでなる有機化合物層と、から構成される。また、本発明の製造方法で製造される有機発光装置は、画素分離膜及び平坦化膜のうちいずれかの構成材料が有機材料である。
まず本発明の製造方法により製造される有機発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の製造方法により製造される有機発光装置を示す断面概略図である。
図1の有機発光装置1は、基板10上に、TFT(薄膜トランジスタ、図示せず)と、層間絶縁膜11と、陽極12とがこの順に設けられている。ここで層間絶縁膜11はTFTを設ける際に生じた凹凸を埋めて表面を平坦化する平坦化膜として機能するものである。また陽極12上には、画素分離層18が所望のパターンで形成されている。画素分離層18が形成されずに陽極12の表面が露出している領域は、後述する有機化合物層と、陰極17とが順次形成され画素領域を構成することになる。
図1の有機発光装置1では、上記画素領域に正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15及び電子注入層16がこの順に積層されている。ここで図1に示される正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15及び電子注入層16は有機化合物層を構成するものである。ただし、有機化合物層を構成する層はこの組み合わせに限定されるものではない。少なくとも正孔輸送層と、発光層とが含まれていればよく、図1に図示されていない層を介在させてもよい。
図1の有機発光装置1において、電子注入層16上に、電子注入層16と画素分離膜18とを覆うように陰極17が設けられている。ここで図1の有機発光装置1は、陽極12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16及び陰極17が有機発光素子部を構成するものである。
尚、図1には図示されていないが、有機化合物層への水分浸透を防ぐために、酸化シリコン、窒化シリコンのような無機材料膜、あるいは高分子膜からなる透明な保護膜を設けてもよい。またガラス板等のキャップ材により封止を行ってもよい。さらに、上記保護膜と上記キャップ材を併用して封止を行ってもよい。
次に、本発明の有機発光装置の製造方法について具体的に説明する。本発明の有機発光装置の製造方法は、以下に示す工程(i)〜(iv)を有するものである。
(i)基板上に、陽極と、画素分離膜と、平坦化膜と、をそれぞれ形成する工程(陽極・画素分離膜・平坦化膜形成工程)
(ii)少なくとも酸素を含む気体を導入・排気しながら、UV光を該基板上に照射する工程(UV光照射工程)
(iii)基板を加熱する工程(基板加熱処理工程)
(iv)有機化合物層を陽極上に形成する工程(有機化合物層形成工程)
尚、本発明の有機発光装置の製造方法は、UV光照射工程と該基板加熱処理工程とを同時に行う必要がある。また、本発明の有機発光装置の製造方法は、UV光照射工程を大気圧未満の圧力雰囲気下で行う必要がある。
上記工程(i)〜(iv)において、特に、工程(ii)及び工程(iii)を行うことにより、陽極表面を効率よく洗浄することができる。またUV光照射と同時に基板を加熱することにより、UV光照射時に画素分離膜及び平坦化層のいずれから発生し得る分解水をより効果的に放散し、除去することができる。このため、当該分解水による素子の輝度劣化が起こらないようにすることが可能である。さらに、工程(ii)及び工程(iii)を行うことにより、UV光照射工程を行った後に陽極表面に発生する汚染物質を除去することができる。このためこの汚染物質によって起こる素子の発光寿命の低下を抑制することができる。
以下、上記工程(i)〜(iv)について、それぞれ詳細に説明する。
まず工程(i)について説明する。陽極12と、画素分離膜18と、平坦化膜とを備える基板10は、その表面に有機発光装置を駆動するためのTFTが形成されている。
ここで陽極12や後述する有機化合物層を形成する際に、TFT配線部の凹凸を埋めて膜面を平坦化する必要がある。このため、好ましくは、基板10上に平坦化膜として機能する層間絶縁膜11を設ける。ここで層間絶縁膜11の構成材料として、通常はアクリル系樹脂膜等の有機材料が使用される。ただし、無機材料を層間絶縁膜11の構成材料としてもよい。また層間絶縁膜11を設ける際にその膜厚は、好ましくは、数μm〜十数μmとする。
また、層間絶縁膜11には、TFT配線部と陽極12とを電気接続するために接続孔(図示せず)が所定の位置に設けられている。接続孔を設ける方法としては、エッチング等の公知の方法を用いることができる。
この接続孔を介してTFT配線部と電気接続する陽極12は、層間絶縁膜11上に形成されている。陽極を形成する際は、図1の有機発光装置のように層間絶縁膜11の表面全体を覆うように形成してもよいし、各画素領域に対応させてパターン形成してもよい。
上面発光型の有機発光装置を製造する場合、陽極12の構成材料として、Cr、Ag、Al等の金属単体もしくはこれら金属単体を複数組み合わせた合金等の反射率の高い材料を使用することができる。また電荷の注入効率を高めるために、ITO、IZO等の導電性酸化物からなる膜をさらに積層することも可能である。一方、下面発光型の有機発光装置を製造する場合、陽極12の構成材料として、ITO、IZO等の透明性を有する導電性酸化物を使用することができる。
陽極12を形成した後、層間絶縁膜11上又は陽極12上には、陽極12を画素単位で区画するための画素分離膜18を設ける。また画素分離膜18を設けることにより、陽極12の周辺が画素分離膜18で覆われることになる。この画素分離膜18は、画素領域に相当する部分の陽極表面のみを露出させるように、所望のパターンで形成される。パターンの形成方法としては、フォトリソグラフィー等の公知の方法を用いることができる。また、画素分離膜18を形成することにより画素領域になる開口部が所望のパターンで形成されることになる。
画素分離膜18の構成材料として、好ましくは、感光性ポリイミドやアクリル樹脂等の有機材料である。ただし、酸化シリコン(例えば、SiO)、窒化シリコン(例えば、SiN)等の無機材料も使用することができる。
このように陽極、平坦化膜、画素分離膜がそれぞれ設けられている基板を作製した後、この基板を、各種溶剤、界面活性剤、純水等を用いたウエット洗浄を行った後、100℃〜200℃程度の範囲で基板を加熱する加熱脱水処理を行うことが望ましい。
次に、工程(ii)及び工程(iii)について説明する。基板について加熱脱水処理を行った後、この基板を基板前処理装置に投入する。基板を基板前処理装置に投入した後、少なくとも酸素を含む気体を導入・排気しながら、UV光を基板上に照射する。
このように酸素の存在下でUV光を照射することにより、UVオゾン処理を行うことで陽極表面に発生し得る画素分離膜材料あるいはレジスト材料の残渣や他の汚染物を、UV光並びにUV光と酸素との反応で発生するオゾン及び活性酸素の作用により除去できる。
尚、この工程(ii)を行う際に、基板前処理装置内の圧力を大気圧未満に制御する。基板前処理装置内の圧力を大気圧未満にすることにより、陽極表面に残存し得るレジスト材料の残渣、画素分離膜から分解発生した汚染物、他の汚染物等が陽極表面に付着されにくくなると共に、これら汚染物等を効果的に除去することができる。
また画素分離膜中に水分が含まれている場合でも、工程(ii)を行うことにより、画素分離膜の表面のごく一部分が分解されると共に、画素分離膜中に含まれている水分は効果的に画素分離膜から拡散・除去される。
しかし、画素分離膜及び平坦化膜の構成材料のいずれかがアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機材料である場合は、工程(ii)を行うときにその有機材料が分解することにより分解水が発生し、その分解水が画素分離膜や平坦化膜中に含まれることになる。また発生した分解水は、基板前処理装置内を大気圧未満に減圧したとしても十分に除去できない場合がある。
そこで本発明においては、工程(ii)と工程(iii)とを同時に行う。こうすることで、画素分離膜や平坦化膜中から分解水が発生したとしてもその分解水を効率よく放散させることができるので、素子の発光寿命の低下を招くことなく、良好な発光特性を得ることができる。また工程(ii)及び工程(iii)を同時に行うと、上記の分解水の放散効果及び汚染物質の除去効果が同時に起こるため、基板の洗浄効率が向上すると共に基板の前処理時間を短縮することができる。
ここで工程(ii)を行う際に、好ましくは、少なくとも酸素を含む気体を流量にして0.1slm〜500slmの範囲で基板前処理装置内に導入しつつ、装置内の圧力を10Pa以上10000Pa以下の範囲に制御する。そして装置内の圧力が安定した後に赤外光とUV光を基板に対して所定時間照射する。
UV光を照射する時間は、基板の汚染状況によって変化させなければならないが、好ましくは、0.5分以上60分以下の範囲とする。
尚、UV光を照射する際に、装置内の圧力が低い(真空度が高い)場合、酸素を装置内に導入・排気した場合であっても露出している陽極表面に存在する汚染物、残渣物等の分解物を取り除くために必要なオゾン・活性酸素の量が少なくなる。ここで、装置内の圧力が低いとは、具体的には、装置内の圧力が10Pa未満であることをいう。従って、装置内の圧力が10Pa未満である場合は、UV光を長時間照射したとしても陽極表面に汚染物、残渣物等の分解物が残存することがある。この分解物により陽極から有機化合物層へのキャリア注入が著しく阻害されることがあり、本発明の目的である良好な発光特性を満足することができない場合がある。
一方、装置内の圧力が10000Paより大きい場合は、陽極表面に残る汚染物や残渣物がより多くなり、これら汚染物等により有機発光装置の駆動耐久特性を低下させる場合がある。また、装置内の圧力が10000Paより大きい場合は、言い換えれば装置内の圧力が大気圧に近いことを意味する。装置内の圧力が大気圧に近い場合、基板の加熱処理工程を行ったとしても分解水を除去する時間が長くなる傾向にある。
以上より、工程(ii)を行う際に、基板前処理装置内の圧力は、好ましくは、10Pa以上10000Pa以下の範囲とする。
ただし、工程(ii)を行う際に、基板前処理装置内の圧力を上述した範囲に制御したとしても、同時に行う工程(iii)において、基板を加熱する温度が100℃未満の場合には分解水が残存してしまう。この分解水は、有機発光装置を使用する際に画素分離膜や有機発光装置の外周に平坦化膜と同時形成される配線保護膜近傍より輝度が劣化し、画素周辺の発光状態劣化として現れる原因になる。
また、工程(iii)を行う際に、画素分離膜及び平坦化膜の構成材料である有機材料の分解温度のうちいずれか低い温度を超える範囲で基板を加熱すると、画素分離膜及び平坦化膜の構成材料のうちいずれかが過剰に分解し、その分解物が陽極表面を汚染する。このため有機発光装置の駆動耐久特性を低下させる原因になる。例えば、構成材料としてアクリル樹脂を使用する場合は、その分解温度は200℃程度である。そしてこの分解温度を超えた範囲で基板を加熱すると、上述したようにアクリル樹脂に由来する分解物が過剰に発生し、有機発光装置の駆動耐久特性を低下させる原因になる。
以下、図面を参照しながら、工程(ii)及び工程(iii)を行う際に用いる装置について説明する。
図2は、UV光照射工程と基板加熱処理工程とを同時に行う基板前処理装置を示す断面模式図である。図2の基板前処理装置2は、真空槽27内に、ハロゲンランプヒーター20と、UVランプ21と、基板22を固定する基板ホルダー(図示せず)と、を備える。また図2の基板前処理装置2は、装置内(真空槽27内)に導入する気体の量を調節するマスフロートコントローラー23と、装置内に存在するオゾン等を適宜排出する可変バルブ26aを有する減圧ポンプ26と、を備えるものである。尚、減圧ポンプ26は、真空槽27に取り付けられている真空計24を見ながら真空槽27の圧力を制御する圧力コントローラー25と電気接続されている。上述したマスフロートコントローラー23及び減圧ポンプ26により、基板前処理装置2内に乾燥空気や酸素等の気体を導入しつつ装置内の圧力を調節することができる。ここで基板前処理装置2内に導入する気体は、できるだけ水分を含まないものが望ましく、露点が−70℃以下のものを好適に使用することができる。
UV光の照射源であるUVランプ21としては、低圧水銀ランプやエキシマランプを用いることができる。UV光を照射する際に、基板22とUVランプ21との距離は、好ましくは、1mm〜50mmである。またUV光の照射強度を均一にするために、基板22又はUVランプ21を揺動させることが望ましい。
一方、工程(iii)で使用する基板加熱源としては、上記のハロゲンランプ20を用いることができるが、赤外線を発生させる赤外線ヒーターを使用してもよい。いずれの加熱源を用いるにしても、基板に直接又は間接的に照射することで基板の温度を高めることができる。ここで基板を加熱する際に、基板加熱源の出力を制御するための熱電対を基板表面又は基板内部に配置し、基板温度が任意の温度に制御できるようにしなければならない。また、上述した基板加熱源の他に、ホットプレート等を基板に接触させることで基板の温度を高めてもよい。
工程(ii)及び工程(iii)を行った後、基板を成膜装置に搬送し、後述する工程(iv)により、露出されている陽極上に有機化合物層を順次形成する。このとき、陽極表面に直接接触する層の構成材料が有するガラス転移点以下となるように基板の温度を制御する。こうしないと、成膜する有機化合物層が結晶化を起こしキャリア注入性が低下することにつながるからである。このため、工程(ii)及び工程(iii)を行った後、基板の温度が高すぎる場合には基板を一度冷却する必要がある。基板を冷却する方法としては、装置内を真空にしたり装置内に不活性ガスを充填したりして行う放熱工程や冷却プレート等を用いた冷却工程が考えられる。しかし、いずれの工程にしても基板を冷却する間に、装置内に残存する不純物や冷却プレート上の汚染物質が基板の冷却工程時に付着する。このため陽極表面が汚染され、有機発光装置の駆動耐久特性を低下させる可能性が高くなる。
従って、工程(iii)を行うにあたり、基板の加熱処理温度は100℃以上に制御すると共に、画素分離膜及び平坦化膜の構成材料が有する分解温度のうち、いずれか一方の低い温度以下に制御することが好ましい。
ところで工程(ii)及び工程(iii)を行った後、陽極や画素分離膜等に水分が再び付着しないようにするために、好ましくは、基板を外気や水分を含むガスに曝されないようにする。さらに、陽極表面が汚染物等により再び汚染されないために、好ましくは、工程(ii)及び工程(iii)を行った後、速やかに基板を搬送し、有機化合物層を成膜する。ここで有機化合物層を真空蒸着法により成膜する場合は、好ましくは、基板の置かれている環境を少なくとも大気圧未満の状態に保持する。
一方、工程(iv)を行う前に、工程(ii)を行う際に行った気体の導入を止める。そして、前処理装置内を、10-3Pa以下の高真空になるまで排気し、高真空を維持しつつ速やかに基板を1×10-5から5×10-4Paの高真空下にした成膜装置(真空蒸着装置)に搬送する。このように工程(ii)を行った後、基板を高真空下に置くことにより、基板の表面が清浄化されると共に、画素分離膜及び平坦化膜は脱水された状態になる。
次に、工程(iv)について説明する。基板を成膜装置内に搬送した後、主に、真空加熱蒸着法により有機化合物層を形成する。
有機化合物層を形成した後、この有機化合物層を覆うようにして陰極17を設ける。この陰極17は、各画素に共通の電極として、基板11上に一枚の層として設けられている。ここで製造される有機発光装置が上面発光型の場合、陰極17は光透過性にする必要がある。このとき陰極17の構成材料として、通常は、ITO、IZO等の透明性を有する導電性酸化物が用いられる。一方、製造される有機発光装置が下面発光型の場合、陰極17は反射電極となり、その構成材料として、好ましくは、Al、Ag等の金属単体、これらの金属を複数組み合わせた合金等が使用される。
以上に示される工程(i)〜(iv)、特に、工程(ii)〜(iv)を一括して行う装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、工程(ii)(UV光照射工程)から有機発光装置を封止する工程までの工程を一括して行う装置の概略図である。
図3で示される装置において、30aは第一のロードロック室、31は基板前処理室、32は有機化合物層成膜室、33はカソード成膜室、30bは第二のロードロック室、34はグローブボックスをそれぞれ示すものである。
図3で示される第一のロードロック室30aは、洗浄、脱水乾燥した基板を搬入するためのものである。このとき第一のロードロック室30aの内部の圧力は、大気圧としてもよいし、減圧してもよい。また、この第一のロードロック室30a内で基板の脱水乾燥を行ってもよい。
図3で示される基板前処理室31は、ハロゲンランプヒーター35及びUVランプ36を備え、上述した工程(ii)及び工程(iii)を行うものである。この基板前処理室31に備えられている装備品は、図2で示される基板前処理装置と同様である。
図3で示される有機化合物層成膜室32は、シャッター37と蒸着源38とを備え、上述した工程(iv)を行うものである。ここでシャッター37は、有機化合物層を所定のパターンで形成する場合に使用されるものである。また蒸着源38には、有機化合物層の構成材料が仕込まれている。
図3で示されるカソード成膜室33は、陰極を形成するためのものである。例えば、スパッタ法で陰極を形成する場合は、図3で示されるカソードターゲット39を予め用意する。尚、陰極は、シャッター37を用意して所定のパターンで形成してもよい。
図3で示される第二のロードロック室30bは、陰極まで形成した基板をグローブボックス34へ搬入するために設けられるものである。ここで第二のロードロック室30b内の圧力は、大気圧でもよいし減圧にしてもよい。ただし有機発光装置内に水分や酸素に曝されないようにするのが好ましい。
図3で示されるグローブボックス34は、有機発光装置を封止するために使用するものである。
尚、本発明の有機発光装置の製造方法は、上面発光型(トップエミッション)の有機発光装置を製造する場合に限らず、下面発光型(ボトムエミッション)の有機発光装置を製造する場合にも適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示す有機発光装置を製造した。本実施例では、陽極11の構成材料として、Ag合金及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)を使用した。また陰極16を透明な発光取り出し電極として機能させるべくその構成材料として、インジウム錫酸化物(ITO)を使用した。即ち、トップエミッション型の有機発光装置を製造した。
(1)陽極・平坦化膜・画素分離膜形成工程
まず基板10上にアクリル樹脂を成膜し層間絶縁膜11(平坦化膜)を形成した。このとき層間絶縁膜11の膜厚は2μmであった。次に、スパッタリング法により層間絶縁膜11上にAg合金膜とIZO膜とを順次成膜した。このときAg合金膜の膜厚を100nmとし、IZO膜の膜厚を60nmとした。尚、Ag合金膜及びIZO膜は陽極12として機能する。
次に、スピンコートによるウェットプロセスにより、アクリル樹脂を陽極12全面に塗布した。このとき当該アクリル樹脂の膜厚は2μmであった。次に、フォトリソグラフィーによる紫外線ランプを用いたパターン露光、現像を行うことにより画素(有機化合物層を形成する領域)を区画する画素分離膜18を形成した。
(2)基板洗浄・乾燥工程
画素分離膜18を形成した後、図4に示すフロー図に基づいて有機発光装置を作製した。
上記の陽極・平坦化膜・画素分離膜形成工程により画素分離膜18まで形成した基板10を、界面活性剤水溶液で洗浄した後、イオン交換水と超音波によりリンス洗浄した。次に、洗浄後の基板を真空乾燥器に入れ、150℃に加熱しながら24時間真空乾燥させた。
(3)UV光照射工程・基板加熱処理工程
次に、前処理用のチャンバーと成膜用のチャンバーとを備える真空蒸着装置(株式会社アルバック製)に、洗浄・乾燥処理を施した基板を導入した後、装置内の圧力が1×10-4Paになるまで排気を行った。
次に、図2に示されるUV光照射装置2に基板を移動した後、ハロゲンランプヒーター20とUVランプ21とが設置してある位置に、基板上に設けられている陽極がUVランプと対向するように搬送した後、基板を揺動させた。
次に、露点−80℃の乾燥空気を10slmで導入し、圧力コントローラーにて開度制御機構の付加されたバルブを自動調整させ、乾燥空気の導入を続けながら排気圧のバランスをとり、装置内圧力を1000Paに維持した。次に、先程行っていた基板の揺動を行いながらハロゲンランプヒーター20とUVランプ21とを同時に点灯した。ハロゲンランプヒーター点灯時において、基板の温度は150℃であった。
UV光照射及び基板の加熱処理を10分間行った後、ハロゲンランプヒーター20及びUVランプ21の照射を止め、乾燥空気の流入を停止し排気を行った。次に、装置内の圧力が1×10-3Paに達したところで、1×10-5〜5×10-4Paに維持されている成膜用のチャンバーへ基板を搬送した。
(4)有機化合物層形成工程
次に、真空蒸着法により、陽極12上にN,N’−α−ジナフチルベンジジン(α−NPD)を成膜して正孔輸送層13を形成した。正孔輸送層13を成膜する際は、基板を成膜用のチャンバー内に搬送した後速やかに行った。また正孔輸送層13の膜厚を40nmとし、基板の温度を70℃とした。尚、基板の設定温度は、N,N’−α−ジナフチルベンジジンのガラス転移点(96℃)よりも低い温度である。
次に、真空蒸着法により、正孔輸送層13上にクマリン6とトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)とを、クマリン6が層全体に対して1.0重量%となるように共蒸着して発光層14を形成した。このとき発光層14の膜厚を30nmとした。
次に、真空蒸着法により、発光層14上にトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)を蒸着して電子輸送層15を形成した。このとき電子輸送層14の膜厚を10nmとした。
次に、真空蒸着法により、電子輸送層15上に炭酸セシウムとトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)とを、炭酸セシウムが層全体に対して0.7体積%となるように共蒸着して電子注入層16を形成した。このとき電子注入層15の膜厚を40nmとした。
次に、スパッタ法により電子注入層16上にインジウム錫酸化物(ITO)を成膜し陰極17を形成した。このとき陰極17の膜厚を220nmとし、装置内の圧力を0.6Paとし、Arガスの流量を100sccmとした。尚、本実施例で形成される陰極17は透明な発光取り出し電極である。
(5)陰極形成工程・封止工程
次に、陰極17まで形成されている基板をグローブボックスに移し、窒素雰囲気中で乾燥剤を入れたガラスキャップにより封止した。以上の工程により有機発光装置を得た。
(6)有機発光装置の特性評価
得られた有機発光装置について電流値100mA/cm2の定電流を流したところ、この有機発光装置は緑色発光した。また、この装置について、電流値100mA/cm2として定電流連続点灯を100時間行い、初期輝度と100時間後の輝度とをそれぞれ輝度計(トプコン社製BM−7)にて測定することで本実施例の有機発光装置の発光特性の変化を評価した。その結果、初期輝度L(ini)は1300cd/m2であり、輝度変化を示すL(100h)/L(ini)は95.4%であった。このため、優れた駆動寿命特性であることがわかった。
さらに、本実施例の有機発光装置について、温度80℃湿度30%の恒温槽に入れ、1000時間放置することで、高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行った。その結果、試験後の有機発光装置の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は検出限界の3μm以下であることがわかった。
従って、本実施例により得られた有機発光装置は、良好な駆動寿命特性と発光状態を備えていることが示された。
<実施例2>
実施例1(1)において、画素分離膜18を以下に示す方法により形成した。即ち、陽極12上に実施例1で使用したアクリル樹脂と、感光性ポリイミド樹脂とを順次成膜した。このときアクリル樹脂の膜厚を1μmとし、感光性ポリイミド樹脂の膜厚を1μmとした。この後、実施例1と同様の方法で画素分離膜をパターン形成した。
また実施例1(3)において、装置内の圧力を10000Paとし、基板の加熱温度を170℃とし、UV光照射及び基板の加熱処理時間を5分とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本実施例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)は94.2%であったため、優れた駆動寿命特性であることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。
その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は検出限界の3μm以下であることがわかった。
従って、本実施例により得られた有機発光装置は、良好な駆動寿命特性と発光状態を備えていることが示された。
<実施例3>
実施例1(1)において、画素分離膜18を以下に示す方法により形成した。即ち、陽極12上に実施例1で使用したアクリル樹脂と、感光性ポリイミド樹脂とを順次成膜した。このときアクリル樹脂の膜厚を1μmとし、感光性ポリイミド樹脂の膜厚を1μmとした。この後、実施例1と同様の方法で画素分離膜をパターン形成した。
また実施例1(3)において、装置内の圧力を100Paとし、基板の加熱温度を120℃とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本実施例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)は94.3%であったため、優れた駆動寿命特性であることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は検出限界の3μm以下であることがわかった。
従って、本実施例により得られた有機発光装置は、良好な駆動寿命特性と発光状態を備えていることが示された。
<実施例4>
実施例1(3)において、装置内の圧力を10Paとし、基板の加熱温度を200℃とした。
また、実施例1において、UV光照射工程・基板加熱工程の後、有機化合物層形成工程
を行うまでに、基板に蓄積した熱を放出するために、装置内を真空状態にして基板を5分間静置した。
これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本実施例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)は92.4%であったため、優れた駆動寿命特性であることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は検出限界の3μm以下であることがわかった。
従って、本実施例により得られた有機発光装置は、良好な駆動寿命特性と発光状態を備えていることが示された。
<比較例1>
実施例1(3)において、装置内の圧力を100000Pa(大気圧)とし、基板を加熱しなかったことを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本比較例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であったが、L(100h)/L(ini)は88.2%であったため、上記実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示したが、画素周辺の劣化は163μmであることがわかった。
以上のように、本比較例のように、UV光照射工程において装置内の圧力が10000Paより大きいと、画素電極表面に残る汚染・残渣物がより多くなり、駆動耐久特性が劣ることがわかった。さらに基板加熱工程を省略したため分解水を除去できなかったので、画素周辺劣化が劣悪の状況にあることがわかった。
<比較例2>
実施例3において、UV光照射工程を行うときの装置内の圧力を100000Pa(大気圧)としたことを除いては、実施例3と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本比較例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であったが、L(100h)/L(ini)は90.2%であったため、上記実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示したが、画素周辺の劣化は60μmであることがわかった。
以上のように、本比較例では比較例1と同様に、UV光照射工程において装置内の圧力が10000Paより大きいため、画素電極表面に残る汚染・残渣物がより多くなるので、上記実施例と比較して駆動耐久特性が劣ることがわかった。また、本比較例では基板の加熱処理工程を行っているものの水分除去の効果が不十分であることが示された。
<比較例3>
実施例1(3)において、装置内の圧力を10000Paとし、加熱処理を省略し、UV光照射時間を5分としたことを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本比較例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)は94.8%であった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示したが、画素周辺の劣化は33μmであることがわかった。
従って、装置内を減圧環境にした効果は現れているものの、完全には水分を取り除くには至っていないことがわかった。
このように、UV光照射工程を行うときに、装置内の圧力を本発明で規定する範囲内に制御したとしても、UV光照射工程と同時に基板の加熱処理工程を行わないと分解水を除去しきれないために画素周辺劣化が劣悪になることがわかった。また、UV光の照射時間が短かったため分解水発生低減効果も見られなかった。
<実施例5>
実施例1(1)において、画素分離膜18を以下に示す方法により形成した。即ち、陽極12上に実施例1で使用したアクリル樹脂と、感光性ポリイミド樹脂とを順次成膜した。このときアクリル樹脂の膜厚を1μmとし、感光性ポリイミド樹脂の膜厚を1μmとした。この後、実施例1と同様の方法で画素分離膜をパターン形成した。
また実施例1(3)において、UV光照射及び基板の加熱処理時間を3分とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本実施例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)は95.2%であったため、優れた駆動寿命特性であることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は検出限界の3μm以下であることがわかった。
従って、本実施例により得られた有機発光装置は、良好な駆動寿命特性と発光状態を備えていることが示された。また、UV光照射及び基板の加熱処理の時間が短かい場合であっても、UV光照射及び基板の加熱処理を効果的に行うことができた。
<比較例4>
実施例3において、基板加熱処理工程を行うときに基板を250℃で加熱したことを除いては、実施例3と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本比較例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であったが、L(100h)/L(ini)は90.8%であったため、上記実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。また、基板加熱処理工程後の画素分離膜は褐色に変色していた。これは画素分離膜の分解温度を超えた温度で基板を加熱したため、画素分離膜の分解が顕著に発生したと考えられる。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は3μm以下であることがわかった。
以上のように、基板を加熱処理する際に加熱温度が画素分離膜の構成材料の分解温度を超えた場合は、画素周辺劣化は発生しないが、画素分離膜が過剰に分解し、この分解物が陽極表面を汚染するため駆動耐久特性が悪化することが示された。
<比較例5>
実施例3において、UV光照射工程を行うときに装置内の圧力を1Paとし、基板加熱処理工程を行うときに基板を80℃で加熱し、UV光照射工程及び基板の加熱処理工程を20分間行ったことを除いては、実施例3と同様の方法により有機発光装置を得た。
得られた有機発光装置について実施例1と同様に評価した。その結果、本比較例の有機発光装置は緑色発光し、初期輝度(L(ini))は1300cd/m2であったが、L(100h)/L(ini)は20.6%であったため、上記実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。
また実施例1と同様に高温高湿下における有機発光装置の耐久試験を行い、評価した。その結果、試験後の発光状態を観察すると、試験前と同様に均一な緑色発光を示し、画素周辺の劣化は12μmであることがわかった。
このため減圧環境下における基板加熱の効果は現れているものの、完全には水分を取り除くに至らなかった。
従って、UV光照射工程を行う際に装置内の圧力を本発明で規定する範囲よりも低い(真空度が高い)領域では、酸素を装置内に導入・排気したとしても画素電極から有機EL層へのキャリア注入が著しく阻害され、優れた駆動耐久特性を得られなかった。
また、UVオゾン処理時に加熱処理を行っていてもその加熱温度が100℃未満の場合には分解水が残存してしまい、周辺輝度劣化が生じてしまうことが示された。
以上、各実施例及び各比較例の条件並びに結果について表1に示す。
Figure 0005367344
以上より、本発明の製造方法で有機発光装置を作製すれば、効率的に電極表面を洗浄するとともに、洗浄時に発生した分解水をより効果的に脱水することができた。
その結果、本発明により製造された有機発光素子は、発光寿命の低下を抑制するとともに、水分による輝度劣化のない発光素子を実現させることできた。
本発明の製造方法により製造される有機発光装置を示す断面概略図である。 UV光照射工程と基板加熱処理工程とを同時に行う基板前処理装置を示す断面模式図である。 工程(ii)(UV光照射工程)から有機発光装置を封止する工程までの工程を一括して行う装置の概略図である。 画素分離膜を形成した後、有機発光装置を作製するまでの工程を示すフロー図である。
符号の説明
1 有機発光装置
10 基板
11 層間絶縁膜(平坦化膜)
12 陽極
13 正孔輸送層
14 発光層
15 電子輸送層
16 電子注入層
17 陰極
18 画素分離膜
2 基板前処理装置
20 ハロゲンランプヒーター
21 UVランプ
22 基板
23 マスフローコントローラー
24 真空計
25 圧力コントローラー
26 減圧ポンプ
26a 可変バルブ
30a 第一ロードロック室
30b 第二ロードロック室
31 基板前処理室
32 有機化合物層成膜室
33 カソード成膜室
34 グローブボックス
35 ハロゲンランプヒーター
36 UVランプ
37 シャッター
38 蒸着源
39 カソードターゲット

Claims (7)

  1. 陽極と陰極と、該陽極と該陰極とに挟まれ少なくとも正孔輸送層と発光層とをこの順に含んでなる有機化合物層と、から構成される有機発光素子部と、
    前記陽極を形成する面を平坦化する平坦化膜と、
    前記陽極の周辺を覆って前記有機発光素子部を区画する画素分離膜と
    を基板上に備え、該画素分離膜及び該平坦化膜のいずれかの構成材料が有機材料である有機発光装置の製造方法において、
    該基板上に、該平坦化膜と、該陽極と、該画素分離膜と順次形成する工程と、
    少なくとも酸素を含む気体を導入・排気しながら、UV光を前記画素分離膜までが形成された基板上に照射するUV光照射工程と、
    該基板を加熱する基板加熱処理工程と、
    該有機化合物層を該陽極上に真空蒸着法にて形成する有機化合物層形成工程と、を有し、
    該UV光照射工程と該基板加熱処理工程とを同時に行い、
    該UV光照射工程を、10Pa以上10000Pa以下の圧力雰囲気下で行うことを特徴とする、有機発光装置の製造方法。
  2. 前記基板加熱処理工程において、前記基板を100℃以上で加熱することを特徴とする、請求項に記載の有機発光装置の製造方法。
  3. 前記基板加熱処理工程において、前記基板の加熱温度を前記画素分離膜及び前記平坦化膜の構成材料の分解温度のうちいずれか低い温度以下に制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機発光装置の製造方法。
  4. 前記UV光照射工程を行った後、前記有機化合物層形成工程を行うまでの間、前記基板が置かれている装置内の圧力を大気圧未満に制御することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の有機発光装置の製造方法。
  5. 前記有機化合物層形成工程において、基板の温度を前記有機化合物層の構成材料のガラス転移点以下に制御することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の有機発光装置の製造方法。
  6. 前記画素分離膜及び前記平坦化膜の構成材料のうちいずれかがアクリル樹脂又はポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の有機発光装置の製造方法。
  7. 前記画素分離膜が、フォトリソグラフィーを用いてパターン状に形成されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機発光装置の製造方法。
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