JP2010080092A - 有機el装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた駆動耐久特性と、耐放置劣化特性を満足する有機EL素子を達成できる有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、下部電極と、有機化合物層と、上部電極と、の順で形成されてなる有機EL素子を備える有機EL装置の製造方法において、該基板上に該下部電極と画素分離膜とを形成した後、少なくとも下記(i)〜(iii)に示される工程を行うことを特徴とする、有機EL装置の製造方法。
(i)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が0.05Pa以上5Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してプラズマ処理を行う工程
(ii)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が10Pa以上10000Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してUV光を照射する工程
(iii)該下部電極上に有機化合物層を形成する工程
【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL装置の製造方法に関する。
有機EL装置に含まれる有機化合物層を基板上に設けられている下部電極上に形成する際に、前処理工程として、この下部電極にUV処理あるいはプラズマ処理を行うことが知られている。これにより、発光しきい値が低下して電流特性が向上し、また発光特性の経時劣化が抑制される。
特許文献1には、基板上に陽極を形成する工程から、有機化合物層形成前処理工程、有機化合物層形成工程、陰極形成工程にいたるまでの各工程を一貫して減圧下で行うことが提案されている。これは、陽極のパターニングをドライエッチングで行い、UVオゾン処理や酸素プラズマ処理を減圧下で一貫して連続で行うことを意味するものである。この方法によれば、陽極表面が清浄されると共に、陽極表面が適度に酸化されている状態になるため、正孔注入性が向上し、発光の均一化と低電圧化、長寿命化が図られる。
ところで、有機EL装置に備えられている有機EL素子では、下部電極の発光面積や形状を規定するため、また、画素単位で独立して発光することができるようにするために、主に樹脂材料や無機材料からなる画素分離膜を形成することが一般的に行われている。このような画素分離膜は、通常、陽極あるいは陰極となる下部電極を形成した後に、その表面に樹脂材料、無機材料、あるいはその前駆体を均一塗布したり、CVD等の成膜方法を用いて成膜する。その後フォトレジスト法等を用いて画素電極となる基板側電極を露出させるようにパターン形成される。
しかし、このような画素分離膜を備える有機EL装置において、十分な駆動耐久特性が得られなかったり、高温高湿下に放置した後に発光状態が不均一になったりする現象が見られることがある。これは、画素分離膜を形成する工程において、露出された画素電極に画素分離膜の構成材料あるいはフォトレジスト工程で使用するレジスト材料の残渣が残っていたり、画素分離膜が水分を蓄えていたりすることが原因の一つであると考えられる。
また、上述したUVオゾン処理あるいは酸素プラズマ処理により、画素分離膜を構成する材料自体が分解され、この分解物が画素電極の表面に付着することも原因となっていると考えられる。
特開平10−302965号公報
一方で、特許文献1では、陽極のパターニングをドライエッチングで行うことが前提となることから、画素分離膜を形成することが不可能となるか、可能であっても使用可能な材料が極めて限定されるという問題が生じていた。そのため、高品位な有機EL装置に備える有機EL素子を形成することができない。さらに、特許文献1に示されているように、圧力が0.01torr(約1.33Pa)以下の高真空状態から酸素ガスを導入し、UV光を照射するだけでは画素分離膜形成に起因する画素電極表面の汚染・残渣物を効果的に取り除くことができなかった。即ち、下部電極と画素分離膜とが形成された基板を効果的に洗浄し、十分な駆動耐久特性と放置耐久特性とを満足させるための前処理技術は従来見出されていなかった。
そこで本発明の目的は、優れた駆動耐久特性と、耐放置劣化特性を満足する有機EL素子を達成できる有機EL素子の製造方法を提供することである。
本発明の有機EL装置の製造方法は、基板上に、下部電極と、有機化合物層と、上部電極と、の順で形成されてなる有機EL素子を備える有機EL装置の製造方法において、
該基板上に該下部電極と画素分離膜とを形成した後、少なくとも下記(i)〜(iii)に示される工程を行うことを特徴とする。
(i)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が0.05Pa以上5Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してプラズマ処理を行う工程
(ii)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が10Pa以上10000Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してUV光を照射する工程
(iii)該下部電極上に有機化合物層を形成する工程
本発明によれば、優れた駆動耐久特性と、耐放置劣化特性を満足する有機EL素子を達成できる有機EL素子の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明は、基板上に、下部電極と、有機化合物層と、上部電極と、の順で形成されてなる有機EL素子を備える有機EL装置の製造方法である。
以下、図面を参照しながら本発明の製造方法により製造される有機EL装置について説明する。
図1は、本発明の製造方法により製造される有機EL装置を示す断面模式図である。
図1の有機EL装置20は、基板1の上方に、下部電極5と、有機化合物層8と、上部電極9と、の順で形成されてなる有機EL素子を備えるものである。
図1の有機EL装置20において、基板1上には、画素に対応するように薄膜トランジスタ(TFT)2が所望のパターンに配列形成されている。また、TFT2上には、TFT2を覆うように層間絶縁膜3が設けられている。ここで層間絶縁膜3には、下部電極5とTFT2への配線(図示省略)とを電気接続する接続孔(コンタクトホール)4が設けられている。
層間絶縁膜3上には、各画素に対応する位置に下部電極5がパターン形成されている。また層間絶縁膜3上には、下部電極5の周辺を覆うように画素分離膜6がパターン形成されている。この画素分離膜6は、下部電極5の周辺のみを覆っているので、下部電極5上であって画素分離膜6で囲まれる領域は開口部7を形成することになる。この開口部7は図1の有機EL装置における実質的な発光部分となる。
そして下部電極5上であって、開口部7に相当する位置に有機化合物層8が設けられる。このとき、図1に示すように、有機化合物層8の一部が画素分離膜6に存在してもよい。また、有機化合物層8上であって、有機化合物層8及び画素分離膜6を覆うように上部電極9が形成される。
さらに有機化合物層8への水分浸透を防ぐために、透明な保護膜10を設けてもよい。このとき保護膜10を設ける代わりにガラス板等のキャップ材により有機EL装置を封止してもよいし、保護膜10とキャップ材を併用して有機EL装置を封止してもよい。
次に、本発明の有機EL装置の製造方法について説明する。
まず基板1上にTFT2を配列形成する。ここで、有機EL装置20の基板1として使用されるものとして、ガラス基板、シリコン基板、プラスチックフィルム等が挙げられる。尚、作製される有機EL装置が上面発光(トップエミッション)型の場合、基板1は光透過性である必要はない。一方、TFT2の形成方法は、公知の方法を使用することができる。
次に、TFT2を覆うように層間絶縁膜3を形成する。層間絶縁膜3の構成材料として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si34)等の無機材料が挙げられる。層間絶縁膜3を形成した後、後述する下部電極5を形成してもよいが、TFT2、配線部の凹凸を埋めて膜面を平坦化させる目的で、通常は、層間絶縁膜3上にアクリル系樹脂等からなる平坦化層(図示省略)を膜厚数μm〜十数μmで設ける。平坦化層を設けた後、層間絶縁膜3及び平坦化層に、TFT2への配線(図示省略)と後述する下部電極5とを電気接続する接続孔4を設ける。接続孔4を設ける方法として、フォトリソグラフィーが挙げられる。
次に、層間絶縁膜3(又は平坦化層)上に、各画素に対応するように下部電極5をパターン形成する。ここで下部電極5が陽極であると、本発明の製造方法で有機EL装置を製造したときに、有機化合物層に接する陽極表面の仕事関数を向上させることができるため、電気伝導特性がより向上するという効果が得られる。一方、下部電極5が陰極であると、電子注入特性と駆動耐久特性とを向上させることができるという効果が得られる。
有機EL装置が上面発光型である場合、下部電極5の構成材料として、反射率の高い材料が挙げられる。具体的には、Cr、Ag、Al等の金属単体、又はこれらの金属単体を複数組み合わせた合金が挙げられる。また、電荷の注入効率を高めるために、上記金属単体又は合金からなる薄膜上に、ITO、IZO等の透明性を有する導電性酸化物からなる薄膜を積層し、下部電極自体を積層体とすることも可能である。このように下部電極5が積層体である場合は、好ましくは、この積層体を構成する層であって後述する有機化合物層と直接接する層は、透明性を有する導電性酸化物からなる層である。こうすることで、本発明の製造方法で有機EL装置を製造したときに、有機化合物層と接する陽極表面、即ち、導電性酸化物表面の仕事関数が効果的に向上する。また、本発明の製造方法で有機EL装置を製造したときに、後述するプラズマ処理工程により下部電極5の表面に水酸基が形成されやすくなるため、本発明の効果がより顕著に現れる。
一方、有機EL装置が下面発光型である場合、ITO、IZO等を陽極5として使用する。
尚、下部電極5が、単一の層で構成されている場合、その構成材料は、好ましくは、上述した透明性を有する導電性酸化物である。こうすることで、上述した仕事関数の向上の効果等が発現する。
次に、層間絶縁膜3上に、下部電極5の周辺を覆うように画素分離膜6を設ける。画素分離膜6を設ける際には、画素分離膜6となる薄膜を形成した後、公知の方法でパターニングを行う。このパターンニングにより、画素分離膜6が除去されている領域には、陽極5の表面が露出するようになり、開口部7が形成される。
画素分離膜6の構成材料として、好ましくは、感光性ポリイミドやアクリル樹脂等の樹脂材料、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)のような無機材料を使用する。
図2は、開口部を形成した後、有機EL装置を作製するまでの工程を示す図であり、(a)は、各工程における系内の圧力制御を示す図であり、(b)は、製造工程を示すフロー図である。
下部電極5と画素分離膜6とを形成した基板1を作製した後、各種溶剤、界面活性剤、純水等によるウエット洗浄(洗浄工程)を行い、次いで100℃以上200℃以下での加熱脱水処理(加熱脱水処理工程)を行うことが望ましい。このとき、加熱脱水処理を行う際に真空下で行えばより効果的である。
加熱脱水処理の後、有機化合物層8を形成する前に、下部電極5と画素分離膜6とを形成した基板1についていわゆる前処理を行う。具体的には、有機化合物層8を成膜する真空蒸着装置に接続されている基板前処理装置において、少なくとも下記(i)〜(iii)に示される工程を行う。
(i)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が0.05Pa以上5Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してプラズマ処理を行う工程(プラズマ処理工程)
(ii)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が10Pa以上10000Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してUV光を照射する工程(UVオゾン処理工程)
(iii)該下部電極上に有機化合物層を形成する工程
尚、上記(i)〜(iii)で示される工程は、この順で行うものとする。これにより、有機EL装置の駆動耐久特性と、耐放置劣化特性とが向上する。一方、プラズマ処理工程の前にUVオゾン処理工程を行うと、プラズマ処理工程において画素分離膜の構成材料が分解することにより生じた分解物が下部電極表面に残留する。この分解物により有機EL装置の駆動耐久特性や耐放置劣化特性が低下することがある。
まずプラズマ処理工程について説明する。プラズマ処理は、1×10-3Pa以下に高真空排気されている真空装置内にて行う。またプラズマ処理を行うときには、真空装置内に少なくとも酸素を含む気体を導入して装置内の圧力を0.05Pa〜5Paに制御する。このとき、少なくとも酸素を含む気体における酸素濃度は1〜100体積%であることが好ましい。そしてこの圧力条件の下で基板に対向させたリング状電極に10W以上500W以下のRF電力を投入してプラズマを発生させ、下部電極と画素分離膜とが形成された基板を処理する。
当該真空装置内に一定量の酸素が存在する場合、プラズマを当該真空装置内に放出すると、下部電極表面に水酸基が形成される。この水酸基は、有機化合物層のうち下部電極と直接接する層(例えば、正孔輸送層、正孔注入層)を構成する材料と水素結合を形成するため、下部電極と有機化合物層との界面が安定化する。このため、有機EL装置の駆動耐久特性と、耐放置劣化特性とが向上する。尚、下部電極表面に形成される水酸基は、光電子分光分析によって確認することができる。
プラズマ処理工程を行うときに装置内の圧力が0.05Pa未満である場合、プラズマ放出時に発生する酸素ラジカル、酸素イオンの量が足りないため本発明の効果が得られない。一方、装置内の圧力が5Paより大きい場合、プラズマが発生しない場合がある。このため、本工程において、真空装置内の圧力を0.05Pa以上5Pa以下とする。尚、プラズマ処理をするときの処理時間は、好ましくは、0.1分以上60分以下とする。
次に、UVオゾン処理工程について説明する。プラズマ処理工程を終えた後、同一装置内あるいはプラズマ装置に接続されるUV照射装置において、UVオゾン処理工程を行う。
図3は、UVオゾン処理工程で使用されるUV照射装置の概略図である。図3のUV照射装置30は、真空槽31内にUV光を照射するUVランプ32と、基板33を固定する基板ホルダー(図示省略)と、を備えるものである。また図3のUV照射装置30は、装置内(真空槽31内)に導入する気体の量を調節するマスフロートコントローラー34と、装置内に存在するオゾン等を適宜排出する可変バルブ37aを有する減圧ポンプ37と、を備えるものである。尚、減圧ポンプ37は、真空槽31に取り付けられている真空計35を見ながら真空槽31の圧力を制御する圧力コントローラー36と電気接続されている。上述したマスフロートコントローラー34及び減圧ポンプ37により、UV照射装置30内に乾燥空気や酸素等の気体を導入しつつ装置内の圧力を調節することができる。ここでUV照射装置内に導入する気体は、できるだけ水分を含まないものが望ましく、露点−70℃以下のものを好適に用いることができる。
UV光の照射源であるUVランプ32としては、低圧水銀ランプやエキシマランプを用いることができる。
ところで工程(ii)(UVオゾン処理工程)を行う際は、少なくとも酸素を含む気体を流量にして0.1slm以上500slm以下の範囲で導入する。このとき、少なくとも酸素を含む気体における酸素濃度は1〜100体積%であることが好ましい。
また工程(ii)を行う際は、UV照射装置内の圧力を100Pa以上10000Pa以下の範囲内で制御する。
装置内の圧力をこの範囲内で制御しながらUV光を照射することにより、下部電極表面に残存する画素分離膜あるいはレジスト材料の残渣又はその他の汚染物を効率よく分解することができる。即ち、UVランプ32から照射されるUV光、又はUV光と酸素との反応により生成されるオゾンあるいは活性酸素によって、上述の残渣や汚染物が効率よく分解される。
また、装置内の圧力を上述した範囲に制御することにより、分解された汚染物等を効率よく除去することができる。
一方、UVオゾン処理工程により画素分離膜の表面がわずかに削られる。このとき装置内の圧力を上述した範囲に制御していれば、画素分離膜中に水分が含まれていたとしても、その水分が画素分離膜から装置内へ効率よく拡散される。このように画素分離膜中に含まれる水分を除去することにより、特に、高温高湿下で有機EL装置を放置したとしても発光状態の不均一化が起こらなくなる。
他方、装置内の圧力を上述した範囲に制御しながらUVオゾン処理工程を行うと、プラズマ処理工程で下部電極表面に形成された水酸基はそのまま下部電極表面に残存する。尚、水酸基が残存している様子は光電子分光分析で確認することができる。
以上、装置内の圧力を上述した範囲に制御しながらUVオゾン処理工程を行うことにより、下部電極表面の化学状態を最適化することができるので、有機EL装置の駆動耐久特性や耐放置劣化特性が向上する。
ところで、装置内の圧力が10Pa未満である場合、酸素を装置内に導入したとしても下部電極表面に存在し得る汚染・残渣物の分解物を取り除くために必要なオゾン・活性酸素の量が足りなくなる。その結果、本発明の目的である優れた駆動耐久特性を満足することができないばかりでなく、下部電極から有機化合物層へのキャリア注入が著しく阻害されることがある。一方で、装置内の圧力が10000Paより大きい場合、過剰に存在するオゾン・活性酸素により画素電極表面に存在する汚染・残渣物がより多くなるため、製造される有機EL装置の駆動耐久特性が低下する。また装置内の圧力が10000Paより大きい場合、画素分離膜中に水分が残存する場合、その水分が蒸散にしにくくなるため、特に、高温高湿下における耐放置劣化特性が低下する場合がある。
一方、基板にUV光を照射する時間は、好ましくは、0.5分以上60分以下である。また照射する際に基板とランプとの距離は、好ましくは、1mm以上50mm以下の範囲内であり、照射強度を均一にするために、好ましくは、照射時に基板あるいはランプを揺動する。
所定時間UVを照射し、UVオゾン処理工程が終わった後、気体の導入をやめ、装置内を排気し、10-3Pa以下の高真空に達してから、高真空雰囲気を維持しつつ速やかに基板を真空蒸着装置に搬送する。尚、装置内を排気する際に、UV照射を続けてもよい。
次に、工程(iii)について説明する。工程(ii)を終えた後、搬送された基板上に設けられている下部電極5上に有機化合物層8を形成する。有機化合物層8を形成する際には、主に、真空加熱蒸着法を用いるが、真空加熱蒸着法の他に、EB蒸着法、LB法、スピンコート法、インクジェット法、熱転写法等を用いることもできる。この有機化合物層8は、例えば、正孔輸送層と発光層、電子輸送層、電子注入層等を順次積層することによって得られる。
また、有機化合物層8の構成材料としては、公知の材料を使用することができる。
有機化合物層8を形成した後、この有機化合物層8を覆うように上部電極9を設ける。1個の画素で構成されている有機EL装置でも、画素分離膜6によって、複数の画素に分割されている有機EL装置を作製する場合でも、この陰極9は、各画素に共通の電極として形成する。ここで有機EL装置が上面発光型の場合、上部電極9を光透過性電極にする必要がある。上部電極9を光透過性電極にする場合、上部電極9の構成材料は、通常、ITO、IZO等の導電性酸化物が使用される。一方、有機EL装置が下面発光型の場合、陰極9は反射電極にする必要がある。上部電極9を反射電極にする場合、上部電極9の構成材料は、好ましくは、Al、Ag等の金属単体、又はこれら金属単体を複数混合した合金である。
さらに上部電極9上に保護膜10を設ける場合は、公知の方法で保護膜10を設けることができる。
<実施例1>
(1)下部電極及び画素分離膜の形成工程
TFT2と層間絶縁膜3とが順次形成されている基板1上に、スパッタリング法とフォトリソグラフィーにより、Ag合金膜と、ITO膜とをこの順で形成した。このときAg合金膜の膜厚を100nmとし、ITO膜の膜厚を60nmとした。尚、Ag合金膜とITO膜とからなる積層体は下部電極(陽極)として機能する。次に、ポジ型感光性ポリイミド樹脂を用いて、画素分離膜6を基板全面に形成した。このとき画素分離膜6の膜厚を2μmとした。次に、紫外線ランプを用いてパターン露光、現像を行うことにより開口部7を形成した。
(2)洗浄工程
次に、図2(b)に示される製造フローに則って、有機EL装置を製造した。
まず上記(1)の工程により画素分離膜6まで形成された基板1を、界面活性剤水溶液で洗浄した後、イオン交換水及び超音波によりリンス洗浄した。
(3)真空乾燥工程
次に、洗浄処理を行った基板を真空乾燥機に入れ、200℃にて24時間加熱することにより脱水処理を行った。
(4)プラズマ処理工程
次に、脱水処理を行った基板を、ロードロック室を介して5×10-5Paの高真空状態にしたプラズマ処理装置に導入した。次に、基板をプラズマ源であるリング状RF電極に対向させた。このとき下部電極の最上部と基板との距離は30mmとした。次に、装置内の圧力が0.8Paとなるように純度99.9%の酸素ガスを流量60sccmで導入し、圧力が安定したところでRF電極に100Wの電力を印加して、プラズマを発生させた。プラズマ発生を確認してから1分間経過したところで電源を切り、速やかに装置内を排気した。
(5)UVオゾン処理工程
次に、図3に示されるUV照射装置30に基板を搬送した。尚、図3のUV照射装置30は、上記プラズマ処理装置に連結されており、5×10-5Paの高真空状態となっている。次に、基板33をUVランプ32(低圧水銀ランプ、出力110W)に対向させた後、基板33を20mm/secの速度で50mm間隔の範囲で揺動させた。このときUVランプ32と基板33との最短距離を5mmとなるようにした。次に、マスフローコントローラー34により、このUV照射装置30内に流量10slmで露点−80℃の乾燥空気を真空槽31内に導入した。次に、UV照射装置内圧力が1000Paとなったところで圧力コントローラー36により、乾燥空気の導入を続けながら排気圧のバランスをとり、装置内圧力を1000Paに維持した。次に、この状態のままUV光を基板33に10分間照射することによりUVオゾン処理を行った。10分経過後、UV光の照射をやめ、乾燥空気の導入を停止すると共に装置内に導入した乾燥空気を排気した。
(6)有機化合物層、上部電極及び表面保護膜の形成工程
次に、UV照射装置内の圧力が1×10-3Paに達したところで、1×10-5Pa〜5×10-4Paに維持された有機化合物層蒸着室に基板を搬送して、以下に示す工程により有機化合物層を形成した。
まず真空蒸着法により、下部電極5(陽極)上にN,N−α−ジナフチルベンジジン(α−NPD)を蒸着して正孔輸送層を形成した。このとき正孔輸送層の膜厚を60nmとした。次に、正孔輸送層上にクマリン6とトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)とを、クマリン6が層全体の1.0体積%となるように共蒸着して発光層を形成した。このとき発光層の膜厚を30nmとした。次に、真空蒸着法により、発光層上にトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)を蒸着し電子輸送層を形成した。このとき電子輸送層の膜厚を10nmとした。次に、電子輸送層上に炭酸セシウムとトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)とを、炭酸セシウムが層全体の0.7体積%となるように共蒸着して電子注入層を形成した。このとき電子注入層の膜厚を40nmとした。尚、以上の工程により形成した正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層からなる積層体は、有機化合物層8として機能する。
次に、有機化合物層8まで形成された基板をスパッタ成膜室に搬送した。次に、スパッタ成膜室内に、Arガスを流量100sccmで導入してスパッタ成膜室内の圧力が0.6Paとなるようにした。次に、スパッタ法により、インジウムスズ酸化物(ITO)を成膜し上部電極9(陰極)を形成した。このとき上部電極9の膜厚を220nmとした。次に、酸素ガスを流量0.2sccmで、窒素ガスを流量10sccmでそれぞれ導入し、スパッタ成膜室内の圧力が0.6Paとなるようにした。次に、シリコン(Si)ターゲットを反応スパッタすることで、表面保護膜10となる透明なSi−O−N膜を形成した。このときSi−O−N膜の膜厚を500nmとした。
(7)封止工程
次に、表面保護膜10まで形成されている基板1をグローブボックスに移し、窒素雰囲気下で乾燥剤を入れたガラスキャップ(図示省略)により封止した。以上の工程により有機EL装置を得た。
得られた有機EL装置を通電すると緑色発光することがわかった。また100mA/cm2の定電流を100時間通電し有機EL装置を連続点灯した。ここで輝度計(トプコン社製BM−7)を用いて、初期輝度と100時間後の輝度を測定して発光特性の変化を評価した。その結果、初期輝度(L(ini))は1420cd/m2であり、輝度変化の指標であるL(100h)/L(ini)は96.2%であった。このため優れた駆動寿命特性が得られることがわかった。
続いて、本実施例の有機EL装置を、温度80℃湿度80%に設定した恒温恒湿槽に入れ、5000時間放置することで高温高湿下における耐久試験を行った。試験後の有機EL装置について、発光状態を観察すると、試験前と同様の均一な緑色発光を示すことがわかった。
本実施例の評価結果について表1にてまとめて示す。
<実施例2>
実施例1(1)において、下部電極を形成する際に膜厚100nmのCr薄膜を成膜した。また実施例1(5)において、UV照射装置内の圧力を100Paとした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1110cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が96.0%であったため、実施例1と同様の優れた駆動寿命特性を有する有機EL装置であることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後も試験前と同様の発光状態であることがわかった。
<実施例3>
実施例1(5)において、UV照射装置内の圧力を10000Paとしたことを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1300cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が93.4%であったため、実施例1には若干劣るものの優れた駆動寿命特性を有する有機EL装置であることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後も試験前と同様の発光状態であることがわかった。
<実施例4>
実施例1(5)において、純度99.9%の酸素を流量1slmで導入し、UV照射装置内の圧力を10Paとし、3分間UV光を照射したことを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1290cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が92.8%であったため、上記実施例1〜3には劣るものの実用上問題ない駆動寿命特性を有する有機EL装置であることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後も試験前と同様の発光状態であることがわかった。
<実施例5>
実施例1(4)において、プラズマ処理装置内の圧力を0.07Paしたことを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1240cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が95.1%であったため、上記実施例1〜3には劣るものの実用上問題ない駆動寿命特性を有する有機EL装置であることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後も試験前と同様の発光状態であることがわかった。
<比較例1>
実施例4において、プラズマ処理を省略したことを除いては、実施例3と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1290cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が90.5%であったため、実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後において試験前には見られなかった発光状態のムラが観察された。
<比較例2>
実施例1において、プラズマ処理を省略した。また実施例1(5)において、UV照射装置内の圧力を101300Pa(大気圧)とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1330cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が90.2であったため、実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後において試験前には見られなかった画素内周辺部の暗化が観察された。
<比較例3>
実施例4において、プラズマ処理工程を行う際に、プラズマ処理装置内の圧力を0.04Paしたことを除いては、実施例4と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1310cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が89.9%であったため、実施例と比較して駆動寿命特性が劣っていることがわかった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後において試験前には見られなかった発光状態のムラが観察された。
<比較例4>
実施例1(5)において、乾燥空気を流量1slmで導入し、UV照射装置内の圧力を1Paとし、20分間UV光を照射したことを除いては、実施例1と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が510cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が30.0%であった。また本比較例の有機EL装置は、初期の段階で発光状態のムラが観察された。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後においては試験前よりも多くの発光状態のムラが観察された。
<比較例5>
実施例3において、UVオゾン処理工程とプラズマ処理工程との順番を逆にしたことを除いては、実施例3と同様の方法により有機EL装置を作製した。
得られた有機EL装置について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。測定の結果、初期輝度(L(ini))が1310cd/m2であり、L(100h)/L(ini)が88.6%であった。また、実施例1と同様に高温高湿下における耐久試験を行ったところ、試験後において試験前には見られなかった発光状態のムラが観察された。
Figure 2010080092
本発明の製造方法により製造される有機EL装置を示す断面模式図である。 開口部を形成した後、有機EL装置を作製するまでの工程を示す図であり、(a)は、各工程における系内の圧力制御を示す図であり、(b)は、製造工程を示すフロー図である。 UVオゾン処理工程UV照射装置の概略図である。
符号の説明
1 基板
2 TFT
3 層間絶縁膜
4 接続孔
5 下部電極
6 画素分離膜
7 開口部
8 有機化合物層
9 上部電極
10 表面保護膜
20 有機EL装置
30 UV照射装置
31 真空槽
32 UVランプ
33 基板
34 マスフローコントローラー
35 真空計
36 圧力コントローラー
37 可変バルブ

Claims (4)

  1. 基板上に、下部電極と、有機化合物層と、上部電極と、の順で形成されてなる有機EL素子を備える有機EL装置の製造方法において、
    該基板上に該下部電極と画素分離膜とを形成した後、少なくとも下記(i)〜(iii)に示される工程を行うことを特徴とする、有機EL装置の製造方法。
    (i)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が0.05Pa以上5Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してプラズマ処理を行う工程
    (ii)系内に少なくとも酸素を含む気体を導入・排気することで系内の圧力が10Pa以上10000Pa以下に保たれている酸素含有ガス雰囲気下において、該基板に対してUV光を照射する工程
    (iii)該下部電極上に有機化合物層を形成する工程
  2. 前記下部電極が陽極であることを特徴とする、請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 前記下部電極が単一の層で構成され、また前記下部電極の構成材料が透明性を有する導電性酸化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記下部電極が複数の層からなる積層体であり、該積層体を構成する層であって前記有機化合物層に接する層が透明性を有する導電性酸化物からなる層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL素子の製造方法。
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