JP2009181770A - 有機el表示装置の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Katsumi Nakagawa
克己 中川
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Abstract

【課題】有機EL素子の構成部材が形成された基板の当該構成部材内の含有水分をより短時間で効率的に、かつ当該構成部材にダメージを与えることなく除去する有機EL表示装置の製造方法を得ることを目的する。
【解決手段】この有機EL表示装置の製造方法は、(a)有機EL素子の構成部材が形成された基板を減圧状態にして前記構成部材の表面の水分を除去する減圧乾燥工程と、(b)前記基板を有機溶剤の蒸気に曝して前記構成部材の含有水分を前記有機溶剤に置換する有機溶剤置換工程と、(c)前記基板を真空乾燥して前記構成部材内の前記有機溶剤を前記構成部材から放出する真空乾燥工程とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機EL表示装置に関し、特に有機EL表示装置の平坦化膜および素子分離膜等の構成部材が含有する水分の除去方法を含む有機EL表示装置の製造方法に関するものである。
有機化合物のエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機EL表示装置は、陽極と陰極との間に、発光層単層あるいは発光層に加え正孔輸送層や電子輸送層を積層させた有機EL層を挟持してなり、直流低電圧駆動で高輝度カラー発光が可能な表示素子として注目されている。
この様な有機EL表示装置のうち、各画素に有機EL素子を駆動するための薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下TFTと記す)を駆動素子として形成したアクティブマトリックス型の表示装置の場合、ガラス基板等の透明基板上にTFTおよび配線が配設され、それらTFTおよび配線を被覆する様に絶縁層および平坦化膜が形成され、この平坦化膜上に画素電極および各画素間を絶縁する素子分離膜が設けられることで、有機EL層形成前段階のTFTアレイ付き基板(以下、TFT基板と称す)が構成されている。尚、TFTと画素電極とは、平坦化膜に形成されたスルーホールを介して接続されている。そして更に画素電極および素子分離膜の上に有機EL層および共通電極等が形成されることで、有機EL素子基板が構成されている。
この様に形成された有機EL素子基板は、特に水分により、駆動電圧の上昇、発光強度の低下、および非発光領域の発生などの劣化を生じ易い。このため、外部から水分が侵入した場合、これらの劣化により徐々に表示性能が低下し、表示装置として十分な長期信頼性を得ることができないという欠点がある。
この欠点に対して、有機EL素子基板上に、その有機EL素子全体を密閉封止する様に封止ガラスまたは封止缶等の封止部材を乾燥N2雰囲気中で接着することで、有機EL素子を外気に曝さないようにする対策が採られている。この場合、外部から浸入する水分による影響を軽減するために、密閉封止内に乾燥剤を封入することが知られている(特許文献1)。また、シリコン酸化膜SiOxやシリコン窒化膜SiNxなどの無機膜、あるいはフッ素系の樹脂膜(特許文献2)等により構成される保護膜を有機EL素子の上部を覆うように形成することも知られている。
しかしながら、これらの対策は、有機EL素子の外部から浸入する水分による劣化は防止できるが、有機EL素子基板の平坦化層や素子分離膜等の構成部材に含有している水分による劣化は防止できない。こうした構成部材からの水分を予め除去しておかなければ、駆動電圧の上昇、発光強度の低下、画素周縁部からの非発光エリアの成長、およびダークスポット等の有機EL素子の劣化が大きな問題となる。
特に、有機EL素子の平坦化膜や素子分離膜の材料として、塗布という簡便な手法で、平坦かつ平滑な絶縁材料が得られるという点で、ポリイミド系、アクリル系、フェノール系、エポキシ系、ノボラック系等の樹脂が適用可能であるが、これらの樹脂材料は、吸水性が高く含有水分が多い。例えば、平坦化膜および素子分離膜のパターン形成後のウエット洗浄、大気中処理および保管中での吸湿等により、吸水率が1重量%〜3重量%程度にも及ぶ。このように、平坦化膜や素子分離膜等の有機EL素子の構成部材に水分が多量に含有されており、その含有水分が有機EL素子の形成後に有機EL層、画素電極あるいは共通電極等の構成部材に拡散・移動して水分劣化・酸化劣化を引き起こし、有機EL素子の寿命を著しく低下させる。
有機EL素子の構成部材を形成した後、表面に付着する水滴については、スピン乾燥法、ブロー乾燥法、溶剤浸漬法、蒸気乾燥法等の従来の方法によって除去できるが、構成部材内に含有する微量の水分を除去するのは、大気中あるいは真空中での加熱にのみ頼っており、脱水効率が低く、結果として脱水が不十分で長期信頼性に乏しい有機EL素子となるか、あるいは信頼性を得ようとすると、数時間から数十時間に亘る脱水処理を行う必要がある量産性に乏しい製造方法となり、いずれも実用的ではなかった。
有機EL素子基板を乾燥する先行技術として、特許文献3に、基板を収納する容器内部を減圧にして有機溶剤を沸騰させること無く蒸気化し、容器内で基板表面に有機溶剤蒸気を接触させ、表面に付着している水分を除去する手法が開示されている。この手法は、有機溶剤蒸気が基板に接触することで基板を疎水化し、水滴の基板に対する接触角が大きくなることにより水分を除去するもので、例えば、基板を垂直に立たせた場合、基板表面の水滴が重力により落下し除去するというものである。この手法によれば、基板表面の水滴の除去は可能となるが、平坦化膜や素子分離膜等の樹脂性の構成部材に深く浸入している水分までを十分に脱水できず、結果として有機EL素子の劣化を防止して長期信頼性を得ることは出来ない。
また有機EL素子基板を乾燥する他の先行技術として、特許文献4に、低露点雰囲気下で加熱脱水を行う処理法が開示されている。この手法は、基板の構成部材から脱離された雰囲気中の水分が構成部材に再吸着することを防止できるが、やはり、平坦化膜や素子分離膜の樹脂性の構成部材に深く浸入している水分までを十分にかつ効率良く脱水できず、結果として有機EL素子の劣化を防止して長期信頼性を得ることは出来ない。
更に有機EL素子基板を乾燥する他の先行技術として、特許文献5に、容器内の露点・真空度・不活性ガス導入・加熱処理のいずれかまたはこれらの2つ以上を組み合わせて調整して脱水処理を行う処理法が開示されている。この手法では、この手法により有機発光媒体の含水率が0.05重量%以下になるようにするとしている。この含水率を得るには、例えば加熱処理であれば10分〜12時間(1〜6時間とすることがより好ましい)の処理が必要であり、真空処理であれば13.3Pa以下(できれば13.3×10-4Pa以下)の低真空度環境下で10〜30時間の処理が必要であるとしている。他の処理も同様に長い処理時間を必要としており、生産効率の観点から実用的でない。
特開2003−14225号公報 特許第2800813号公報 特公平7−89547号公報 特開2004−235048号公報 国際公開WO01/058221号公報
特許文献3〜5の様に有機EL素子基板を加熱する脱水処理方法は、水分による劣化を低減させる効果はあるが、前述の通り、脱水効率が低く、結果として脱水が不十分で長期信頼性に乏しい有機EL素子となるか、あるいは信頼性を得ようとすると数時間から数十時間に亘る脱水処理を行う必要がある量産性に乏しい製造方法となる。
基板の加熱温度を高く設定することにより脱水処理時間の短縮を図ることが考えられるが、平坦化膜および素子分離膜のような構成部材は樹脂材料で形成されることが多く、例えば230℃付近以上の温度で加熱すると、樹脂材料の分解が起こり、その分解で生じる水分によって有機EL素子が劣化し易くなる。そのため、基板の加熱温度は構成部材である樹脂材料の分解温度以下(例えば230℃付近以下)でなければならないといった制限が加えられる。こうした加熱温度の制限のため、加熱による脱水処理だけでは十分な脱水効果が得られず、やはり結果として脱水処理時間が長くなってしまう。
樹脂中の含有水分を効果的に脱水させるためには高い加熱温度を必要とするが、水分を有機溶剤で置換して脱水した場合、その後の樹脂中の有機溶剤を除去する温度を低く設定することが可能で、敢えて加熱しなくても良い場合も有る。例えば図1に、加熱脱水未処理基板(A)と、150℃で3時間加熱処理した基板(B)と、有機溶剤としてイソプロピルアルコールに浸漬した後150℃で3時間加熱処理した基板(C)との各々の放出水分量(M/z=18)をTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)測定法で比較した結果を示す。
図から明らかなように、100℃近辺で構成部材から放出される水分については、それらの各処理(A)〜(C)にほぼ依存せず差がなかった。100℃近辺で構成部材から放出される水分は、測定前に大気下で再吸着した水分により依存性が打ち消されたものと考えられる。一方、120〜170℃近辺で構成部材から放出される水分は、A>B>Cの順に少なくなる。このことは、Bでは、加熱により含有水分が低減し、更にはCでは有機溶剤に浸漬して含有水分を置換する処理でより効率良く含有水分を除去できることを示している。
しかしながら、一方で、単に有機溶剤に有機EL素子基板を浸漬して構成部材中の含有水分を有機溶剤に置換したのでは、構成部材(素子分離膜など)の表面が一部溶解して表面荒れを生じるという問題や、素子分離膜・平坦化膜間および素子分離膜・画素電極間の密着力が低下し部分的に膜剥がれが生じるという問題や、有機溶剤が有機EL素子基板の表面から蒸発する際に蒸発痕(マーク)を残すという問題がある。この様な問題を起こさないように、有機溶剤で含有水分を置換して効率良く水分を除去する方法について検討した結果、本発明を考案するに至った。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、基板に形成された有機EL素子の構成部材に含まれる含有水分をより短時間で効率的に、かつ構成部材にダメージを与えることなく除去する有機EL表示装置の製造方法および製造装置を得ることを目的としている。
上記課題を解決する為に、本発明の第1の形態は、(a)有機EL素子の構成部材が形成された基板を減圧状態にして前記構成部材の表面の水分を除去する減圧乾燥工程と、(b)前記基板を有機溶剤の蒸気に曝して前記構成部材の含有水分を前記有機溶剤に置換する有機溶剤置換工程と、(c)前記基板を真空乾燥して前記構成部材内の前記有機溶剤を前記構成部材から放出する真空乾燥工程と、を備えるものである。
本発明の第1の形態によれば、基板を減圧状態にしてその構成部材の表面の水分を予め除去することで、構成部材内の含有水分の有機溶剤への置換を容易に行える。また有機溶剤を蒸気にして構成部材に浸透させるので、有機溶剤の浸透の際に構成部材にダメージを与える事を防止できる。また構成部材に浸透した有機溶剤は水よりも構成部材から放出し易いので、真空乾燥により直接に構成部材から含有水分を除去するよりも、本発明の様に構成部材内の含有水分を有機溶剤に置換してから真空乾燥により構成部材から有機部材を放出させる方が、短期間で効率良く構成部材から含有水分を除去できる。よって、構成部材にダメージを与えること無く、短時間に効率良く構成部材の含有水分を除去できる。
実施の形態1.
この実施の形態では、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法の基本工程を説明する。
本発明に係る製造方法は、有機EL素子の構成部材が形成された基板(例えばTFT基板(有機EL層形成前の各構成部材が形成された基板))の有機材料等からなる構成部材にダメージを与えることなく、構成部材内が含有する水分を短時間で効率的に除去する脱水処理を行なう方法として、少なくとも次の4つの工程を基本工程として含む。なお、事前に通常実施する大気中での加熱脱水乾燥は実施しても構わないが、本発明の特徴ではないため、次の基本工程からは省略する。
(1)容器にTFT基板を配置し、容器内を真空排気して減圧状態とし、TFT基板の構成部材の表面の水分を除去することにより、後の工程(2)で有機溶剤蒸気がTFT基板の構成部材の深部に浸透し易くする(減圧乾燥工程)。
(2)容器内に有機溶剤蒸気を供給してTFT基板を有機溶剤蒸気に曝し、TFT基板の構成部材に有機溶剤蒸気を吸収させることにより、TFT基板の構成部材内の含有水分を有機溶剤で置換する(有機溶剤置換工程)。
(3)容器内の有機溶剤蒸気を減圧排気する、あるいは、TFT基板を容器外に出すことによりTFT基板と有機溶剤蒸気との接触を停止する。
(4)TFT基板を真空乾燥(即ち真空中に保持)し、TFT基板の構成部材内に存在する有機溶剤を除去する(真空乾燥工程)。
この基本工程は、1サイクルであっても複数サイクルであっても良い。
工程(1)でTFT基板を配置して処理する容器の真空度は、構成部材内の含有水分の有機溶剤への置換をより効率的に行なうために予め構成部材の表面の水分を除去する目的で行われるので、水の飽和蒸気圧より高い真空度で処理することが望ましい。しかし、構成部材の表面から除去された水分が容器内部の壁面に付着する事を防止する観点からは、水の飽和蒸気圧以下であることが望ましい。また使用する容器は有機溶剤蒸気を装置外へ漏れないようなものとする。
工程(2)で用いる有機溶剤蒸気としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t-ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、酪酸メチル等のエステル類、イソプロピルエーテル、エチルエーテル、メチルプロピルエーテル等のエーテル類等水よりも沸点の低い溶剤が使用でき、共沸効果を持つ複数の溶剤を混合して用いたり、TFT基板の構成部材とその含有水分との水素の結合を弱めたり、有機溶剤とTFT基板の構成部材との親和性を調整するような界面活性剤との混合物を用いても構わない。
有機溶剤から蒸気を生成させる方法としては、赤外線ランプおよびヒータ等の加熱源による方法、減圧により蒸気化させる方法、あるいはこれらの組合せ等、特に制限は無いが、安全上、減圧により蒸気化させる方法が望ましい。少なくとも、蒸気と加熱源とが直接接触しないことが望ましく、さらには防爆部品を用いても構わない。
有機溶剤は飽和蒸気の状態で供給されるので、容器内の有機溶剤の蒸気圧は、供給される有機溶剤の飽和蒸気圧と同じか低い値となっている。また、有機溶剤が液化してTFT基板や容器内部の壁面に付着することがないように、有機溶剤の供給量および真空度は調整される。これにより、有機溶剤は気相状態のままTFT基板の構成部材内に浸透し、有機溶剤との置換により構成部材から排出された水分は、気相状態のまま排出される。
工程(4)での真空度は、有機溶剤を蒸気化させることができる2×104Paより低ければ良いが、有機溶剤との置換により構成部材から排出された水分が容器内部の壁面に付着したり、有機EL素子に再付着することなく水蒸気のまま排出されるように、水の飽和蒸気圧以下であることが望ましい。ただし、構成部材内からの有機溶剤の除去は、1Pa以下といった高真空にしなくても充分な効果が得られる。尚、同様に、工程(2)での容器内の気圧、および工程(3)での減圧排気の際の気圧あるいはTFT基板を容器外に出した際のTFT基板の雰囲気圧も、水の飽和蒸気圧以下であることが望ましい。
通常、有機EL層が形成される画素電極の表面は、有機EL層の形成前に洗浄されるが、その洗浄をウエット系の洗浄工程で実施する場合は、基本工程(1)〜(4)の前であって、通常の大気中での加熱脱水乾燥前に実施される。またその洗浄をUVオゾン処理、大気圧プラズマ処理等のドライ系の洗浄工程で実施する場合は、上記可熱脱水工程の前後のいずれでも構わないが、分解に伴う水分発生が有機EL素子の劣化に影響しないように、上記加熱脱水工程の前が望ましい。
そして基本工程(1)〜(4)を完了した後、TFT基板の構成部材が十分乾燥した状態のまま、引き続き、大気に曝すことなく有機EL素子の他の構成部材の形成を行うことが望ましい。基本工程(1)〜(4)を完了した後にTFT基板内部に有機溶剤が残留しても、有機溶剤は水のように有機EL素子の劣化を引き起こさないので問題にならないが、基本工程(1)〜(4)の後に有機EL層上に形成する上部電極と有機EL層との密着力低下などの原因にならない様に、できる限り有機溶剤を除去することが望ましい。
有機EL層としては、低分子系の蒸着膜を用いても良いし、また乾燥雰囲気で塗布やインクジェットで形成する高分子系の薄膜を用いても良い。有機EL層の形成後、上部電極をスパッタ等の各種薄膜形成方法により少なくとも有機EL層を被覆するように形成することにより、有機EL素子の基本構成を形成する。
そして有機EL素子を形成した後、真空中ないし露点−50℃以下の乾燥雰囲気下で、各種パッシベーション膜を被覆し、更に有機EL素子を密封封止する様にTFT基板上に封止部材(ガラスキャップまたは金属キャップ等)を接着する。このときに、CaO、BaO、SrO等を含む乾燥剤を封止空間内に配置しても構わない。
尚、TFT基板では、画素電極の下層に平坦化膜(構成部材)が形成されるが、その平坦化膜の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、環状ポリオレフィン、ノボラック樹脂、ポリケイ皮酸ビニル、環化ゴム、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、等の感光性樹脂が使用される。特に、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド、環状ポリオレフィンおよびエポキシ樹脂は、樹脂劣化し難く、プロセス管理し易く、更に耐熱性の観点から好ましい。また、平坦化膜の材料としては、感光性樹脂からなるものに限定されることはなく、感光性を持たない樹脂材料膜や、有機シリカ膜樹脂、SOG(spin on glass)膜であっても構わない。また、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、酸化アルミ(Al23)、窒化アルミ(AlNx)のような無機材料を用いることも可能である。ただし、感光性を持たない材料で平坦化膜を形成する場合には、平坦化膜の材料を塗布した後にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクに用いてエッチングすることで平坦化膜パターンを形成する。
また、平坦化膜上には画素を区画するための素子分離膜(構成部材)が形成されるが、その素子分離膜の材料としては、平坦化膜と同様の樹脂およびその他の材料が適用可能である。
以上に説明した有機EL表示装置の製造方法によれば、TFT基板を減圧状態にしてその構成部材の表面の水分を予め除去することで、構成部材内の含有水分の有機溶剤への置換を容易に行える。また有機溶剤を蒸気にして構成部材に浸透させるので、有機溶剤の浸透の際に構成部材にダメージを与える事を防止できる。また構成部材に浸透した有機溶剤は水よりも構成部材から放出し易いので、真空乾燥により直接に構成部材から含有水分を除去するよりも、本発明の様に構成部材内の含有水分を有機溶剤に置換してから真空乾燥により構成部材から有機部材を放出させる方が、短期間で効率良く構成部材から含有水分を除去できる。よって、構成部材にダメージを与えること無く、短時間に効率良く構成部材の含有水分を除去できる。
またTFT基板の構成部材が平坦化膜および素子分離膜を含み、それらの少なくとも一方が水分を吸収し易い感光性樹脂で形成されている場合において、それらが製造工程中あるいは工程間の待機中に水分を吸収しても、構成部材にダメージを与えることなく、それらの含有水分を短時間に効率良く除去できる。
また減圧乾燥工程、有機溶剤置換工程および真空乾燥工程を複数回繰り返した場合には、より効果的にTFT基板の構成部材の含有水分を除去できる。
また工程(1)〜(4)での真空度(TFT基板の雰囲気圧)を水の蒸気圧以下にした場合は、TFT基板の構成部材や容器内部の壁面への水の再付着を防止できる。特に減圧乾燥工程(1)および有機溶剤置換工程(2)において真空乾燥工程(4)の様な高真空度にしなくても水の再付着を防止できる。
実施の形態2.
この実施の形態では、実施の形態1の基本工程(1)〜(4)を有機EL表示装置(有機ELパネル)の製造工程に適用した場合の有機EL表示装置の製造方法について説明する。
図2は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下TFTと記す)を画素のスイッチング素子として設けた有機EL表示装置14の断面概略図である。以下、この有機EL表示装置14の製造工程に適用した場合で説明する。尚、図2中では、TFT3については、簡単のため、チャネル形成領域、不純物活性領域、電極、配線および各種絶縁膜等を省略し簡略図示している。
まず図3を参照してTFT基板11の製造工程を説明する。
まずガラス基板等の透明基板2上にTFT3を形成する。即ち透明基板2上に、膜厚100nmの第1の窒化珪素(SiNx)膜、膜厚100nmの第1の酸化珪素(SiO2)膜および膜厚50nmの非晶質珪素(Si)膜をプラズマCVD(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)法により順に積層形成する。そしてその非晶質Si膜の表面をバッファー弗酸により洗浄後、その非晶質Si膜にXeClエキシマレーザー(波長307nm)を照射し、その非晶質Si膜を多結晶Si膜に変化させる。そしてその多結晶Si膜上にレジスト膜をレジスト塗布およびi線ステッパによる露光および現像によりパターン形成し、そのレジスト膜の上からSF6ドライエッチングによりその多結晶Si膜をエッチングして、その多結晶Si膜を各TFT3毎に分離形成する。
そして上記レジスト膜をドライアッシング法およびレジスト剥離液で除去し、UV−O3処理を行った後、上記多結晶Si膜の表面を硫酸およびバッファー弗酸により洗浄する。そして透明基板2の全面に、洗浄後の上記多結晶Si膜および第1のSiO2膜を被覆する様に、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜として膜厚100nmの第2のSiO2膜を形成する。次にその第2のSiO2膜上に、DCマグネトロンスパッタ法により膜厚200nmのクロム(Cr)膜を形成し、そのCr膜を硝酸第2セリウムアンモニウム含有エッチャントによりウェットエッチングして、各TFT3のゲート電極を形成する。尚、ゲート電極材料は、Cr以外にもモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、それらを主成分とする合金のいずれを用いてもよい。
そしてp型TFTおよびn型TFTに対して、レジスト膜を用いて上記多結晶Si膜に選択的にそれぞれ不純物イオンとしてボロン(B)イオンおよびリン(P)イオンをイオン加速器で注入して、各TFT3の不純物活性領域(ソース/ドレイン領域)を形成する。尚、ここでは示さなかったが、n型TFTおよびp型TFTに対して、イオン注入プロセスの調整により、チャネル形成領域と不純物活性領域との間にLDD(Lightly Doped Drain)領域を設けてTFT特性の調整を行っても良い。その後、そのレジスト膜をドライアッシング法およびレジスト剥離液で除去する。
そして上記第2のSiO2膜(ゲート絶縁膜)の全面上に、上記各ゲート電極を被覆する様に、プラズマCVD法により層間絶縁膜として膜厚500nmの第3のSiO2膜を形成する。そして注入した上記不純物イオンを、電気的に活性化するために400℃、1時間、熱アニールを施す。
そしてレジスト膜を用いて、上記第2および第3のSiO2膜に対して、CHF3系ガスによるプラズマエッチングにより、ソース/ドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する。このとき、上記第2のSiO2膜の下層の多結晶Si膜の表面も僅かにエッチングする様にすると、後述のソース/ドレイン電極とのコンタクト電気特性が良好になるので好ましい。
そして、上記レジスト膜をドライアッシング法およびレジスト剥離液で除去し、ソース/ドレイン電極として、スパッタ法によりCr(厚さ100nm)/Al(厚さ400nm)/Cr(厚さ100nm)の積層膜を形成する。そしてレジスト膜を用いて、その積層膜のCr膜およびAl膜に対してそれぞれ硝酸第2セリウムアンモニウムおよび燐硝酸を含むエッチャントによりエッチングし、各TFT3のソース/ドレイン電極およびコンタクト配線を形成する。ソース/ドレイン電極およびコンタクト配線の材料は、CrおよびAlの積層膜以外にも、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)およびそれらを主成分とする合金のいずれを用いてもよく、単層または積層膜いずれの構成でもよい。この様にして透明基板2上にTFT3を形成する。
そして、上記レジスト膜をドライアッシング法およびレジスト剥離液で除去後、rf−水素(H2)プラズマ処理を行い、上記多結晶Si膜の欠陥を修復して電気特性を向上させる。
そして、プラズマCVD法により膜厚300nmの第2のSiNx膜(バリア層)を形成し、それに300℃、1hrの熱アニールを加える。そしてレジスト膜を用いて、その第2のSiNx膜のうち、後述のスルーホール4と重なる部分をCF4系ガスによるプラズマエッチングにより除去する。そして上記レジスト膜をドライアッシング法およびレジスト剥離液で除去する。
そして上記第2のSiNx膜(バリア層)上に、各TFT3を被覆する様に塗布法により膜厚2μmの感光性ポジ型アクリル樹脂膜を形成し、それを80℃でプリベークした後、スルーホール4になる部分を除いてi線ステッパにより照射エネルギー200mJ/cm2で露光して、平坦化膜5を形成する。そしてその平坦化膜5の未露光部分をアルカリ現像液テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38%で除去して、平坦化膜5にTFT3の上記Cr/Al/Cr積層膜(ソース/ドレイン電極)に達するスルーホール4を形成する。このとき、スルーホール4は、その上面開口部のエッジが上記第2のSiNx膜上または上記Cr/Al/Cr積層膜上に配置され、且つその開口径が上面側から下面側に行くに連れて徐々に縮径する、いわゆる正テーパー形状になる様に形成される。
そして平坦化膜5を、水洗、スピン乾燥した後、220℃で1時間、空気中で加熱処理してキュアベークする。キュアベーク後の平坦化膜5の仕上がり膜厚は、下地段差によって異なるが、フラットな部分で例えば約1.5μmとなった。
そして、平坦化膜5上にDCマグネトロンスパッタ法により膜厚100nmのCr膜を形成し、そのCr膜を、レジスト膜を用いて硝酸第2セリウムアンモニウムを含むエッチャントによるエッチングによりパターン形成して、画素電極6をパターン形成する。そして上記レジスト膜をレジスト剥離液によって除去する。そしてその画素電極6を、純水等によるメガソニック洗浄および高圧ジェット洗浄し、スピン乾燥した後、120℃で1時間、空気中で加熱乾燥を行う。この様に形成した各画素電極6は、スルーホール4を介して1つのTFT3から電流を供給され、後述の有機EL層8に正孔を注入する陽極として機能する。
そして平坦化膜5上に画素エリアを区画する素子分離膜7を形成する。即ち、まず平坦化膜5上に画素電極6を被覆する様に膜厚1.2μmの感光性ポジ型ポリイミド樹脂膜を形成し、それを120℃で2分プリベークした後、画素となる部分を除いてi線ステッパにより照射エネルギー200mJ/cm2で露光し、そのポリイミド樹脂膜の未露光部分をアルカリ現像液テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38%で除去する。これにより、各画素電極6の周縁を覆い且つ各画素電極6の一部(周縁以外の部分)を露出する開口部を有する素子分離膜7が形成される。
このとき、各画素電極6のエッジ段差を素子分離膜7で被覆することで、画素電極6のエッジ段差により生じる、いわゆる後述の有機EL層8の段切れにより、各画素電極6と後述の共通電極10とが短絡する事を防止している。尚、素子分離膜7は、その開口部のエッジが画素電極6上に配置され、且つその開口径が上面側から下面側に行くに連れて徐々に縮径する、いわゆる正テーパー形状になる様に形成される。
そして素子分離膜7を、水洗、スピン乾燥した後、230℃で1時間、空気中で加熱処理してキュアベークする。キュアベーク後の素子分離膜7の仕上がり膜厚は、例えば約0.8μmとなった。
上記の説明では簡単のため省略したが、有機EL素子を駆動するTFT3と同時に、その他のTFT、コンデンサ、配線、抵抗および外部端子13等の構成部材も形成する。平坦化膜5および素子分離膜7は、正テーパー形状の制御性の観点から、感光性樹脂をウエット工程により形成することが好ましい。しかしその感光性脂膜は、製造工程において使用する各種薬液および洗浄液を含有し易く、また、空気中での製造工程を含むため、空気中に含まれる水分に曝され、空気中の水分も含有し易い。
また素子分離膜7のキュアベーク後、画素電極6の表面および素子分離膜7等のTFT基板11の構成部材の仕上がり状態を検査し、その後、当該構成部材に水洗および乾燥を実施するが、その水洗によっても、当該構成部材に水分が含有する。その水洗後の乾燥では、大気中150℃で3時間加熱処理を実施して、当該構成部材の含有水分のおおまかな除去を行う。その乾燥は、多数の基板を同時にバッチ処理(一括処理)するので、製造工程全体のスループットを制限することにならないが、前述のように、当該構成部材の含有水分を十分に除去することはできない。尚、素子分離膜7のキュアベーク後のTFT基板11の構成部材の仕上がり状態の検査および水洗は、一例であって特に実施しなくても構わない。
また素子分離膜7のキュアベーク後、画素電極6の表面の更なる洗浄を目的に、UV−O3処理を室温で4分間実施する。尚、このドライ洗浄工程は、画素電極6の表面の微小有機物残渣の除去等に一般的に用いられるものであって、大気圧プラズマ処理、O2プラズマ処理、SF6プラズマ処理等であっても構わない。
この様にTFT基板11を製造した後、TFT基板11に脱水処理を行って、TFT基板11の構成部材に含有する上述の水分を除去する。以下、この脱水処理の説明をする。
まず図4に基づきこの脱水処理を実施する脱水処理装置33の説明をする。
この脱水処理装置33は、図4の様に、TFT基板11を搬入搬出するローダー・アンローダー室15と、TFT基板11に脱水処理(即ち減圧乾燥処理と有機溶剤置換処理と真空乾燥処理)を行う脱水室21と、それら各室15,21を開閉自在に仕切る仕切弁20と、脱水室21に有機溶剤蒸気を供給する有機溶剤タンク24と、脱水室21と有機溶剤タンク24とを繋ぐ蒸気供給バルブ23とを備える。各室15,21は、連結路13を介して相互連結されており、仕切弁20は、その連結路13に配設されている。
ローダー・アンローダー室15内には、TFT基板11を配置する基板配置カセット16と、基板配置カセット16に配置されたTFT基板11を連結路13を通じて脱水室12に搬送する搬送アーム19とが備えられている。またローダー・アンローダー室15の外壁には、吸気バルブ18aと排気バルブ17aとが備えられている。排気バルブ17aには例えばドライポンプが接続されており、排気バルブ17aを開けてドライポンプで排気することで、ローダー・アンローダー室15内を真空引きする仕組みになっている。
脱水室21内には、TFT基板11を配置する基板ステージ22が備えられている。基板ステージ22は、TFT基板11を固定するための治具を備えている。また脱水室21の外壁には、吸気バルブ18bと排気バルブ17bとが備えられている。排気バルブ17bには例えばターボ分子ポンプが接続されており、排気バルブ17bを開けて例えばドライポンプで排気することで、脱水室21内のガスを排気する仕組みになっている。
有機溶剤タンク24は、その外壁にその高さ方向の中程の所に蒸気供給バルブ23が連結された容器である。有機溶剤タンク24の内部には、有機溶剤(例えばイソプロピルアルコール(IPA))がその液面が供給バルブ23よりも下になるように少量入れられており、有機溶剤タンク24の上部に、その有機溶剤の飽和蒸気が充満する様になっている。そして蒸気供給バルブ23を開くことで、有機溶剤タンク24の上部に充満したその有機溶剤蒸気が蒸気供給バルブ23を通じて脱水室21に供給される仕組みとなっている。
そしてこの脱水処理装置33を用いて以下の様にTFT基板11の脱水処理を行う。
まずTFT基板11をローダー・アンローダー室15に搬入して基板配置カセット16に配置する。そして排気バルブ17aを開けて、ドライポンプによりローダー・アンローダー室15を真空引きする。そしてローダー・アンローダー室15内の気圧が真空度1×103Paに達した後、基板配置カセット16に配置されたTFT基板11を搬送アーム19により脱水室21に搬送して基板ステージ22に固定する。
そして先ず、脱水室21内のTFT基板11に減圧乾燥処理を行う。即ち仕切弁20を閉じ且つ排気ポンプ17bを開けて、ターボ分子ポンプにより脱水室21を排気し、真空度1×103Pa付近の減圧状態で10分間保持する。これにより、TFT基板11の構成部材の表面の水分を除去し、後の有機溶剤置換処理で有機溶剤蒸気がTFT基板11の構成部材の深部に浸透し易くする。
そして次に、そのTFT基板11に有機溶剤置換処理を行う。即ち脱水室21の排気バルブ17bを閉じ且つ蒸気供給バルブ23を開いて、有機溶剤タンク24内の有機溶剤蒸気(IPA)26を脱水室21に供給し、TFT基板11を有機溶剤蒸気内に10分間暴露する。このとき、蒸気供給バルブ23から脱水室21には有機溶剤の飽和蒸気が流入するので、脱水室21内の有機溶剤蒸気の蒸気圧は、蒸気供給バルブ23内の有機溶剤蒸気26の飽和蒸気圧と同じ値か、または僅かに低い値となっている。このため、TFT基板11の表面で有機溶剤の結露などが生じず、有機溶剤蒸気が気相状態でTFT基板11の構成部材(平坦化膜5および素子分離膜7等)に浸透する。
このとき、当該構成部材内に有機溶剤が浸透・拡散し、当該構成部材の含有水分と置換して、当該構成部材内の含有水分が当該構成部材の外に放出されることで、減圧環境下のみでは除去しきれない当該構成部材の深部に存在する含有水分まで除去される様になる。このように有機溶剤蒸気に曝すことで、TFT基板11の構成部材内の含有水分の放出を促す作用が働き、従来の様に単に減圧処理、加熱処理またはこれらを組み合わせて処理をする場合よりも、短時間で効率的に脱水処理を行える。
そして再度そのTFT基板11に真空乾燥処理を行う。即ち蒸気供給バルブ23を閉じ且つ排気バルブ17bを開けて、脱水室21を20分間真空排気して、脱水室21内から残存ガス成分(特に有機溶剤蒸気)を除去する。このとき、分極率が大きい水よりも、分極率が低くTFT基板11の構成部材との水素結合が弱い有機溶剤分子の方が、当該真空排気によりTFT基板11の構成部材から放出され易いので、事前に上記の有機溶剤置換処理で当該構成部材内の含有水分を有機溶剤に置換しておくことで、当該構成部材の脱水効率が向上する。これにより、従来の様に単に減圧処理、過熱処理またはこれらを組み合わせた処理をする場合よりも、低真空度、低温、短時間且つ効率的に脱水処理を行える。
また脱水室21の真空排気の際は、蒸気供給バルブ23を閉じるので、特許文献3の様に脱水室21の真空排気の際に有機溶剤タンク24の有機溶剤の沸騰に注意しつつ排気する必要がなく、高真空度でより効率的に排気することができる。
またこの真空排気の際の真空度は、有機溶剤置換処理によりTFT基板11の構成部材から放出された水分が脱水室21内の壁面に付着したり、TFT基板11に再付着しないで水蒸気のまま排気バルブ17bから排気される様に、水の飽和蒸気圧以下であることが望ましい。以上の様にして脱水処理装置33を用いてTFT基板11の脱水処理を行う。
尚、比較として、TFT基板11を有機溶剤(例えばIPA)に浸漬してTFT基板11の構成部材内の含有水分を有機溶剤に置換した場合、当該構成部材である素子分離膜7が部分的に収縮して表面荒れを生じるといった問題や、素子分離膜7・平坦化膜5間および素子分離膜7・画素電極6間の密着力が低下し部分的に膜剥がれが生じるといった問題や、有機溶剤がTFT基板11の表面から蒸発する際に蒸発痕(マーク)を残すといった問題が生じた。これに対して、この実施の形態での脱水処理では、TFT基板11の構成部材(例えば平坦化膜5および素子分離膜7など)にダメージを与えることが無く、更には当該構成部材の表面に蒸発痕を残すこと無く、均質に脱水処理を行うことが確認された。
この様に、この実施の形態での脱水処理では、TFT基板11の構成部材(平坦化膜5や素子分離膜7など)にダメージを与えることなく、40分程度の短時間で構成部材の含有水分を十分に除去することができる。
そして次に、この様に脱水処理したTFT基板11を真空蒸着装置(図示省略)に配置し、図2の様に、少なくとも素子分離膜7の開口部から露出する画素電極6を完全に被覆する様に、蒸着によりTFT基板11上に有機EL層8を形成する。この有機EL層8の形成は、TFT基板11の構成部材が十分乾燥した状態のまま、引き続き大気に曝されること無く行われることが望ましい。
この有機EL層8は、図5の様に、正孔注入層8a、正孔輸送層8b、発光層8c、電子輸送層8d、電子注入層8eを下層から順に積層して構成される。フルカラー有機EL素子を形成する場合は、例えばシャドーマスクを用いてR(赤)、G(緑)、B(青)画素毎に異なる有機EL層8を塗り分ける。有機EL層8のうち、正孔注入層8a、正孔輸送層8b、電子輸送層8d、電子注入層8eなどは、塗り分けても共通でも構わないが、少なくとも発光層8cはR、G、Bに対応した有機EL材料により塗り分ける。
より詳細には、この有機EL層8は下記の様に形成される。即ち、まず全画素の画素電極6上に、正孔注入層8aとして、銅フタロシアニン(CuPc)を膜厚10nm形成し、正孔輸送層8bとして、ビス(N-ナフチル)-N-フェニルベンジジン(α−NPD)を膜厚30nm形成する。
そして正孔輸送層8b上に、Ni合金からなるシャドーマスクをアライメント操作することで、RGB画素の発光層8cを形成する。具体的には、青色の発光層8cを形成する場合は、ペリレン(ゲスト分子)を4%ドープした8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3:ホスト分子)を膜厚20nm蒸着して発光層8cを形成する。また緑色の発光層8cを形成する場合は、クマリン6(ゲスト分子)を1%ドープしたAlq3(ホスト分子)を膜厚30nm蒸着して発光層8cを形成する。また赤色の発光層8cを形成する場合は、Ir誘導体分子であるBtP2Ir(acac)(ゲスト分子)を10%ドープしたジカルバゾール-ビフェニル化合物(CBP:ホスト分子)を膜厚50nm蒸着して発光層8cを形成する。これらドープ膜は、ゲスト分子とホスト分子の2種類の材料の共蒸着により蒸着速度を制御して濃度調整することで形成する。
そして電子輸送層8dとして、ジメチル-ジフェニル-フェナントロリン(CBP)を膜厚50nm形成する。この有機化合物の蒸着は、真空度1×10-5Paで抵抗加熱方式の蒸発源で実施する。そして電子注入層8eとして、LiFを膜厚1nm蒸着する。この様にして発光層8cを形成する。
そして全画素の発光層8cを一面的に被覆する様に、上部電極9として、Alを膜厚3nm形成する。上部電極9の材料としては、Al以外にもAg、またはAlとAgとを主成分とする合金のいずれを用いてもよい。そして上部電極9上に、共通電極10として、透明導電膜であるインジウム錫酸化物(ITO)をDCマグネトロンスパッタ法により膜厚60nm形成する。尚、共通電極9は、図2の様に、外部端子13と電気的に接触する様にレイアウトし、接地電位に設定する等により表示駆動する場合に電位操作できるようにする。この様にして有機EL素子基板1(図1)を得る。
そして有機EL層8が外気に曝されて吸湿して表示性能が劣化しない様に、封止ガラスまたは封止缶等の封止部材12を乾燥N2雰囲気下で有機EL素子基板11に接着して、CaOを含有するゲッター材を内包した状態で有機EL素子を密閉封止する。その際、外部から浸入する水分による影響を軽減するために、封止空間内に乾燥剤を封入する。この工程は、有機EL素子基板1の構成部材が十分乾燥した状態のまま、引き続き大気に曝されること無く行われることが望ましい。以上の様にして有機EL表示装置14を製造する。
この様に製造された有機EL表示装置14は、有機EL素子基板1の構成部材(平坦化膜5および素子分離膜7の樹脂薄膜など)内の含有水分が十分に除去されているので、表示素子として充分な長期信頼性を具備している。特に従来の製造方法で製造された有機EL表示装置では、80℃で1000時間保存後に、含有水分による劣化により発光領域の画素周辺部から暗くなる部分が成長するという現象が認められたのに対し、この様に製造された有機EL表示装置14では、発光領域の画素周辺部から暗くなる現象が顕微鏡観察により全く認められなかった。
尚ここでは、脱水処理に要した時間は1時間以内(およそ40分程度)であったが、この所要時間は、実施の際の各種条件に応じて適宜に変更されるものであり、これに限定されるものではない。
尚、脱水処理後の有機EL素子基板1の構成部材(平坦化膜5および素子分離膜7など)の含有水分としては少ないほど望ましいが、0.05重量%以下が目安となる。
以上で説明した製造方法によっても、実施の形態1と同様の効果を得る。
また以上で説明した製造装置(脱水処理装置)によれば、脱水室21と、脱水室21に蒸気供給バルブ(開閉バルブ)23を介して連結された有機溶剤タンク24とを備えるので、TFT基板11の構成部材にダメージを与えること無く、短時間に効率良く当該構成部材内の含有水分を除去できる製造装置を提供できる。
また蒸気供給バルブ23を介して脱水室21に有機溶剤タンク24が連結されるので、真空乾燥工程の際、蒸気供給バルブ23を閉じることで、有機溶剤タンク24内の有機溶剤25が真空乾燥工程の際に沸騰する事を防止できる。
尚、この実施の形態では、有機EL表示装置14は、共通電極10側から光を放射するトップエミッション型である場合で説明したが、有機EL素子構造および材料に関しては本発明に於いては特に制限が無く、例えば図6の様に、透明基板2側から光を放射するボトムエミッション型であっても構わない。
実施の形態3.
この実施の形態では、実施の形態1の製造方法の基本工程の変形例を説明する。
この実施の形態に係る製造方法は、例えば、TFT基板の形成後に、あるいはTFT基板の仕上がり検査および前処理を要する場合はその検査および前処理の実施後に、少なくとも次の5つの工程を基本工程として含む。
(1)容器内にTFT基板を配置し、容器内を真空排気して減圧状態とし、TFT基板の構成部材の表面の水分を除去することにより、後の工程(2)で有機溶剤蒸気がTFT基板の構成部材の深部に浸透し易くする(減圧乾燥工程)。
(2)容器内に有機溶剤蒸気を供給してTFT基板を有機溶剤蒸気に曝し、TFT基板の構成部材に有機溶剤蒸気を吸収させることにより、TFT基板の構成部材内の含有水分を有機溶剤蒸気で置換する(有機溶剤置換工程)。
(3)容器内の有機溶剤蒸気を減圧排気する、あるいは、TFT基板を容器外に出すことによりTFT基板と有機溶剤蒸気との接触を停止する。
(4)TFT基板を真空乾燥すると同時に過熱し、TFT基板の構成部材内に存在する有機溶剤を除去する(真空加熱乾燥工程)。
(5)TFT基板の温度を室温ないし50℃以下に冷却する(冷却工程)。
この基本工程は、実施の形態1の基本工程と比べて、工程(4)でTFT基板を真空乾燥すると同時に加熱する点および工程(5)が追加された点が異なる以外は、同じである。従って以下では、実施の形態1の基本工程と異なる工程(4)(5)だけを詳しく説明する。
工程(4)では、赤外線ランプおよびヒータ等の加熱源により加熱を行い、TFT基板の構成部材内の含有水分との置換により浸透した有機溶剤を除去する。TFT基板を真空乾燥すると同時に加熱することで、より一層、TFT基板の構成部材内の有機溶剤が構成部材の外に排出され易くなり、脱水効果が向上する。その加熱の温度範囲は、設定した真空度の下で、有機溶剤の置換により排出された水分のTFT基板への再付着および容器内壁への付着が起こらない温度範囲が望ましい。より詳細には、その加熱の温度範囲は、平坦化膜および素子分離膜等の構成部材の耐熱性の観点から200℃以下が望ましい。
工程(5)でのTFT基板の冷却方法としては、例えば、TFT基板を配置する基板ステージに冷却水を流す等の冷却装置を備えるか、または工程(4)の加熱後にTFT基板を加熱されていない他の基板ステージに載せ換えて自然冷却するか、またはTFT基板の次の工程への搬送中に自然冷却するか、またはN2やArなどの乾燥ガスを導入することで冷却するか、TFT基板をグローブボックス装置等の冷却室に移して冷却する事が考えられるが、特に制限は無い。尚、上記の乾燥ガスとしては、空気を含む種々のガスおよびその混合ガスを用いる事ができ、特に制限は無いが、N2、ArおよびHeが望ましい。グローブボックス装置で冷却する場合は、乾燥状態を表す雰囲気中の露点は低いほど良いが、グローブボックス装置の乾燥状態の到達能力から、−50℃〜−90℃の範囲が望ましい。
以上に説明した有機EL表示装置の製造方法によれば、実施の形態1と同様の効果を得るほかに、工程(4)で、真空乾燥によりTFT基板の構成部材内から有機溶剤を排出させる際、TFT基板(即ち構成部材)を加熱するので、より一層、短時間で効率的に構成部材内から有機溶剤を放出できる。
また加熱温度が200℃以下(即ちそれほど高い温度ではない)ので、 耐熱のある高価な製造装置を必要とせず、またTFT基板11の構成部材に熱によるダメージを与えることを防止でき、また加熱温度の上昇にも時間が掛からず真空加熱乾燥処理を短縮化できる。
実施の形態4.
この実施の形態では、実施の形態3の基本工程(1)〜(5)を有機EL表示装置の製造工程に適用した場合の有機EL表示装置の製造方法について説明する。
この実施の形態は、実施の形態2と比べて、実施の形態1の基本工程(4)(5)に対応する部分が異なる以外は、同じである。従って以下では、TFT基板11の製造工程の説明は省略し、TFT基板11の脱水処理工程以降の工程について、実施の形態2と同じ部分は簡潔に説明し、異なる部分を詳細に説明する。
まずこの実施の形態での脱水処理を実施する脱水処理装置33Bの説明をする。この脱水処理装置33Bは、実施の形態2の脱水処理装置33(図4)において、脱水室21の基板ステージ22に、TFT基板11を加熱する加熱装置(例えばホットプレート)およびTFT基板11を冷却する冷却装置を備えたものである。尚、TFT基板11を短時間で加熱するために、ホットプレートに加えて赤外線ランプを更に備えても良い。
そしてこの脱水処理装置33Bを用いて以下の様にTFT基板11の脱水処理を行う。
まずTFT基板11をローダー・アンローダー室15に搬入して基板配置カセット16に配置する。そして排気バルブ17aを開けて、ドライポンプによりローダー・アンローダー室15を真空引きする。そしてローダー・アンローダー室15内の気圧が真空度1×103Paに達した後、基板配置カセット16に配置されたTFT基板11を搬送アーム19により脱水室21に搬送して基板ステージ22に固定する。
そして先ず、脱水室21内のTFT基板11に減圧乾燥処理を行う。即ち仕切弁20を閉じ且つ排気ポンプ17bを開けて、ターボ分子ポンプにより脱水室21を排気し、真空度1×103Pa付近の減圧状態で10分間保持する。
そして次に、そのTFT基板11に有機溶剤置換処理を行う。即ち脱水室21の排気バルブ17bを閉じ且つ蒸気供給バルブ23を開いて、有機溶剤タンク24内の有機溶剤蒸気(IPA)26を脱水室21に供給し、TFT基板11を有機溶剤蒸気内に10分間暴露する。これにより、TFT基板11の構成部材の深部まで有機溶剤が浸透・拡散し、当該構成部材内の含有水分と置換して、当該構成部材内の含有水分が当該構成部材の外に放出される。
そしてそのTFT基板11に真空加熱乾燥処理を行う。即ち蒸気供給バルブ23を閉じ且つ排気バルブ17bを開けて、脱水室21を20分間真空排気して、脱水室21内から残存ガス成分(特に有機溶剤蒸気)を除去しつつ、基板ステージ22に備えられた加熱装置(図示省略)でTFT基板11を150℃で10分間加熱する。この加熱により、水分よりも有機溶剤の方がTFT基板11の構成部材から放出され易くなるので、当該構成部材の脱水効率が更に向上する。尚、その加熱の温度は、有機溶媒の種類および真空度の条件により、脱水効率と構成部材へのダメージを考慮して設定するのが望ましい(ここでは例えば200℃以下に設定される)。
そして基板ステージ22に備えられた冷却装置(図示省略)により、その加熱されたTFT基板11を例えば室温〜50℃以下の温度範囲になるまで冷却する。
そして、この様に脱水処理したTFT基板11に、実施の形態2と同様に、有機EL層8、上部電極9および共通電極10を形成して有機EL素子基板1を得る。そしてその有機EL素子基板11に封止部材12を乾燥N2雰囲気下で接着して、ゲッター材および乾燥剤を内包した状態で有機EL層8を密閉封止して有機EL表示装置14を得る。
この様に製造された有機EL表示装置14では、TFT基板11の構成部材内の含有水分の有機溶剤への置換に加えて、加熱による当該構成部材からの有機溶剤の放出の両方の効果により、水分による劣化を防止することができ、長寿命を実現できる。また、従来では80℃で1000時間保存後に構成部材内の含有水分による劣化で発光領域の画素周辺部から暗くなる部分が成長するのに対して、この様に製造される有機EL表示装置14では、上記発光領域の画素周辺部から暗くなる現象が顕微鏡観察により全く認められなかった。
以上に説明した有機EL表示装置の製造方法によれば、実施の形態3と同様の効果を得る。
実施の形態5.
この実施の形態では、実施の形態2の製造方法を実施する有機EL表示装置の製造装置であって、TFT基板11の脱水処理から封止部材12の接着までを一貫して行う製造装置の説明をする。
この実施の形態に係る有機EL表示装置の製造装置33Cは、図7の様に、TFT基板11を搬入するローダー室15aと、TFT基板11に脱水処理(即ち減圧乾燥処理と有機溶剤置換処理と真空乾燥処理)を行う脱水室21と、脱水室21に有機溶剤蒸気を供給する有機溶剤タンク24と、脱水室21と有機溶剤タンク24とを繋ぐ蒸気供給バルブ23と、TFT基板11に有機EL層8および電極(上部電極9および共通電極10)を形成して有機EL素子基板1を形成する蒸着室29と、有機EL素子基板1に封止部材12を接着して有機EL表示装置14を得る封止室30と、有機EL表示装置14を搬出するアンローダー室15bと、各室16a,21,29,30,16b間を開閉自在に仕切る仕切弁20,20b,20c,20dとを備える。
各仕切弁20,20b,20c,20dは、各室15a,21,29,30,15b間を連結する連結路に配設されている。また各室15a,21,29,30,15bには、吸気バルブ17a〜17eと排気バルブ18a〜18eとが設けられている。
ローダー室15aは、TFT基板11を配置する基板配置カセット16aを備えている。脱水室21は、TFT基板11を配置する基板ステージ22を備えている。アン・ローダー室15bは、有機EL表示装置14を配置する基板配置カセット16bを備えている。
またローダー室15aは、搬送アーム(図示省略)を備えており、その搬送アームにより、基板配置カセット16aに配置されたTFT基板11が、順に各室21,29,30,15bに搬送されて各処理(TFT基板11の脱水処理、有機EL層8・電極9,10の形成処理および封止部材12の接着処理)が行われる。
尚、ローダー室15aおよびアンローダー室15bは、実施の形態2のローダー・アンローダー室15と同様に構成されている。また脱水室21も、実施の形態2の脱水室21と同様に構成されている。
この製造装置33Cにより、TFT基板11の脱水処理、有機EL層8および電極9,10の形成処理、並びに封止部材12の接着処理が、真空中または低露点の乾燥雰囲気中またはその組合せの雰囲気中で一貫して行われる。この一貫処理により、脱水処理により脱水されたTFT基板11が大気中または高露点雰囲気中に暴露される事が防止され、TFT基板11への水分の再吸着が防止される。
次に、この製造装置33Cを用いた有機EL表示装置の製造方法を説明する。
まずTFT基板11を実施の形態2と同様な方法で形成した後、そのTFT基板11をローダー室15aに搬送して基板配置カセット16aに配置し、実施の形態2と同様に排気バルブ17aによりローダー室15aを真空引きする。そしてTFT基板11を脱水室21に搬送し、実施の形態2と同様に脱水処理を行う。そしてその脱水処理したTFT基板11を真空または低露点雰囲気に保たれた蒸着室29に搬送し、吸気バルブ18cから有機EL層8の各層8a〜8eの材料を蒸気状態で順に蒸着室29に供給して、実施の形態2と同様にTFT基板11に有機EL層8を形成する。そして更に吸気バルブ18cから順に上部電極9の材料および共通電極10の材料を蒸気状態で順に蒸着室29に供給して、実施の形態2と同様にTFT基板11に上部電極9および共通電極10を形成して有機EL素子基板1を得る。そしてその有機EL素子基板1を真空または低露点雰囲気に保たれた封止室30に搬送し、吸気バルブ18dから封止室30に乾燥N2を供給し、実施の形態2と同様に、乾燥N2雰囲気下で、有機EL素子基板1に、その有機EL素子を密閉封止し且つゲッター材および乾燥剤を内包した状態で、封止部材12を接着して有機EL表示装置14を得る。
以上の様に構成された有機EL表示装置の製造装置33Cによれば、実施の形態2の製造装置(脱水処理装置33)と同じ効果を得るほか、TFT基板11に対して乾燥状態を保持したまま有機EL層8、上部電極9および共通電極10を形成し、封止部材12による密閉封止を完結するので、有機EL素子基板1の構成部材への水分の再付着を完全に防ぐことができ、長寿命の有機EL表示14を製造できる。
尚、この実施の形態では、実施の形態2の製造方法を実施する場合で説明したが、実施の形態4の製造方法を実施する場合は、実施の形態4を参照して、脱水室21の基板ステージ22にTFT基板11を加熱する加熱装置およびTFT基板11を冷却する冷却装置を備えさせて、脱水室21において、真空乾燥処理の代わりに真空加熱乾燥処理を行えば良い。この場合も、この実施の形態の場合と同様の効果を得る。
実施の形態6.
実施の形態5の製造装置33Cでは、各室15a,21,29,30,15bを一列に連結したが、この実施の形態の製造装置33Dは、図8の様に、搬送室32を中心に配置して搬送室32に各室(ローダー・アンローダー室15、脱水室21、蒸着室29および封止室30)を連結したサテライト型に構成される。
搬送室32と各室15,21,29,30とは、連結路で連結され、各連結路に配設された開閉自在に仕切弁20e〜20hで仕切られる。
この製造装置33Dでは、基板配置カセット16は、ローダー・アンローダー室15に配置されず、搬送室32に配置される。また搬送室32内には、搬送室32内を真空引きする排気バルブ17fが備えられている。
次に、この製造装置33Dを用いた有機EL表示装置の製造方法を説明する。
ローダー・アンローダー室15にTFT基板11を搬入し、実施の形態5と同様に、排気バルブ17aによりローダー・アンローダー室15を真空引きする。そして搬送アーム19によりTFT基板11を搬送室32に搬送して基板配置カセット16に配置し、排気バルブ17fにより搬送室32を真空排気する。そしてTFT基板11を順に脱水室21、蒸着室29および封止室30に搬送し、実施の形態5と同様に、TFT基板11に対して脱水処理、有機EL層8および電極9,10の形成、並びに封止部材12の接着を行って有機EL表示装置14を得る。
以上の様に構成された製造装置33Dによれば、各室(ローダー・アンローダー室15、脱水室21、蒸着室29および封止室30)が搬送室32と連結路を介して連結されたサテライト型に構成されるので、各室15,21,29,30を実施の形態5の様に一列に連結する場合と比べて、製造装置33D全体の配置面積を縮小化できる。また各室15,21,29,30と搬送室32間の連結路を長くしなくても各室15,21,29,30間の間隔を確保できるので、各室15,21,29,30と搬送室32との間の連結路を短縮化でき、これによっても配置面積を縮小化できる。
尚、この製造装置33Dでも、実施の形態5と同様に脱水室32に蒸気供給バルブ(開閉バルブ)23を介して有機溶剤タンク24が連結されており、真空乾燥工程の際、蒸気供給バルブ23を閉じることで、有機溶剤タンク24内の有機溶剤25が真空乾燥工程の際に沸騰する事を防止できる。
従来の製造方法によるTFT基板の脱水処理の結果を示す図である。 一般的な有機EL表示装置の断面概略図である。 一般的なTFT基板の断面概略図である。 実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法で使用する製造装置(脱水処理装置)の構成概略図である。 有機EL層8、上部電極9および共通電極10の断面概略図である。 ボトムエミッション型の有機EL表示装置の断面概略図である。 実施の形態5に係る有機EL表示装置の製造装置(脱水処理と、有機EL層8および電極9,10の形成と、封止部材12の接着とを一貫で処理する製造装置)の構成概略図である。 実施の形態6に係る有機EL表示装置の製造装置(脱水処理と、有機EL層8および電極9,10の形成と、封止部材12の接着とを一貫で処理する製造装置)の構成概略図である。
符号の説明
1 有機EL素子基板、2 透明基板、3 TFT、4 スルーホール、5 平坦化膜、6 画素電極、7 素子間分離膜、8 有機EL層、8a 正孔注入層、8b 正孔輸送層、8c 発光層、8d 電子輸送層、8e 電子注入層、9 上部電極、10 共通電極、11 TFT基板、12 封止部材、13 外部端子、15 ローダー・アンローダー室、15a ローダー室、15b アンローダー室、16 基板配置カセット、17a〜17e 排気バルブ、18a〜18e 吸気バルブ、19 搬送アーム、20,20b〜20d,20e〜20h 仕切弁、21 脱水室、22 基板ステージ、23 蒸気供給バルブ、24 有機溶剤タンク、25 有機溶剤、26 有機溶剤蒸気、29 蒸着室、30 封止室、32 搬送室。

Claims (9)

  1. (a)有機EL素子の構成部材が形成された基板を減圧状態にして前記構成部材の表面の水分を除去する減圧乾燥工程と、
    (b)前記基板を有機溶剤の蒸気に曝して前記構成部材の含有水分を前記有機溶剤に置換する有機溶剤置換工程と、
    (c)前記基板を真空乾燥して前記構成部材内の前記有機溶剤を前記構成部材から放出する真空乾燥工程と、
    を備えることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  2. 前記構成部材は、平坦化膜および素子分離膜を含み、それらの少なくとも一方は、感光性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  3. 前記工程(a)〜(c)を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  4. 前記工程(c)において、真空乾燥と同時に前記基板を加熱することを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  5. 前記工程(c)での前記基板の加熱温度は、200℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  6. 前記工程(a)〜(c)での基板の雰囲気圧を水の飽和蒸気圧以下にすることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  7. 有機EL素子の構成部材が形成された基板を減圧状態にして前記構成部材の表面の水分を除去し、前記基板を有機溶剤の蒸気に曝して前記構成部材の含有水分を前記有機溶剤に置換し、前記基板を真空乾燥して前記構成部材内の前記有機溶剤を前記構成部材から放出する脱水室と、
    前記脱水室に開閉バルブを介して連結され、前記脱水室に前記開閉バルブを介して前記有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤タンクと、
    を備えることを特徴とする有機EL表示装置の製造装置。
  8. 前記脱水室と連結路を介して連結され、前記基板に有機EL層および電極を蒸着形成する蒸着室と、
    前記蒸着室と連結路を介して連結され、前記基板に、乾燥N2雰囲気下で前記有機EL層を密封封止する様に封止部材を接着する封止室と、
    を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の有機EL表示装置の製造装置。
  9. 搬送室と、
    前記搬送室に連結路を介して連結され、有機EL素子の構成部材が形成された基板を減圧状態にして前記構成部材の表面の水分を除去し、前記基板を有機溶剤の蒸気に曝して前記構成部材の含有水分を前記有機溶剤に置換し、前記基板を真空乾燥して前記構成部材内の前記有機溶剤を前記構成部材から放出する脱水室と、
    前記脱水室に開閉バルブを介して連結され、前記脱水室に前記開閉バルブを介して前記有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤タンクと、
    前記搬送室と連結路を介して連結され、前記基板に有機EL層および電極を蒸着形成する蒸着室と、
    前記搬送室と連結路を介して連結され、前記基板に、乾燥N2雰囲気下で前記有機EL層を密封封止する様に封止部材を接着する封止室と、
    を備えることを特徴とする有機EL表示装置の製造装置。
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