JP5365137B2 - フォトマスク用基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、液晶パネルを構成するカラーフィルター等の各種の基板を製造するフォトマスク用の基板に係り、特にハンドリング時の滑りを防止すると共に基板側端面からのパーティクルの発生を防止するフォトマスク用基板およびその製造方法に関する。
フォトマスク用の基板は、矩形平板状に形成された例えば合成石英ガラス製のガラス基板が用いられている。そしてフォトマスク用基板をなすガラス基板は、表面を高平坦化処理すると共に、基板の側端面を鏡面化処理して該側端面からの発塵(パーティクル)の発生を防止するようにしているのが一般的である。
液晶パネルの大型化に伴い、フォトマスク用基板であるガラス基板のサイズも大型化し、重量も増すことから、フォトマスクの製造時や使用時にガラス基板の側端面を手で持って取り扱う場合、ハンドリング冶具やハンドリング装置を用いる場合などのハンドリングに際し、鏡面化された該側端面が非常に滑り易い状態にあり、取扱いが難しかった。
そこで、ガラス基板の側端面の面粗さ(Ra)を規定してパーティクルの発生を防止しつつハンドリング可能とした提案がなされている(特許文献1、2)。
特開2005−300566号公報 特開2005−037580号公報
特許文献1、2に開示のフォトマスク用基板は、ガラス基板の側端面について、パーティクル発生をある程度犠牲にしてハンドリング性を確保する表面粗さとしているため、パーティクルの発生を完全に防止されてはいない。
このため、フォトマスクの品質をより一層向上させるには、さらなるパーティクルの発生を防止することが望まれている。確かにガラス基板の端面を鏡面化処理すればパーティクルの発生を防止できるが、前述のようにハンドリング性は極端に低下することになる。
本発明の目的は、ガラス基板の端面を鏡面化しても確実なハンドリング性を得ることができるフォトマスク用基板およびその製造方法を提供することにある。
本発明の目的を実現するフォトマスク用基板の第1の構成は、四辺形に形成され、一辺が400mm以上とする平板状のフォトマスク用基板において、4辺のうち少なくとも対向する2辺の側端面に厚さ方向に沿って滑り止め用の複数の凹凸部を有する第1の波型部を設け、全辺の側端面を鏡面化したフォトマスク用基板であって、前記第1の波型部の形成されている部分に、辺の長さ方向に沿って滑り止め用の複数の凹凸部を有する第2の波型部を形成して複数の独立した突起部を形成したことを特徴とする。
本発明の目的を実現するフォトマスク用基板の第2の構成は、上記した第1の構成において、前記第1の波型部は、一辺の全長または一部分に設けたことを特徴とする。
本発明の目的を実現するフォトマスク用基板の第3の構成は、上記したいずれかの構成において、前記第1の波型部は、1周期をなす連接する凸部と凹部の間隔を0.5mm〜5mmとし、該連接する凹凸部を2周期以上設けることを特徴とする。
本発明の目的を実現するフォトマスク用基板の第4の構成は、上記したいずれかの構成で、前記第1の波型部の深さは0.2mm以上としたことを特徴とする。
本発明の目的を実現するフォトマスク用基板の製造方法は、上記したいずれかに記載のフォトマスク用基板の製造方法であって、前記第1の波型部に合致する研削工具を回転させて前記基板側端面を辺の長さ方向に移動させて該第1の波型部を基板側端面に形成後、全辺の側端面を回転ブラシにより鏡面化処理する前に、前記第2の波型部に合致する研削工具を回転させながら前記第1の波型部の形成されている部分の基板厚み方向に移動させて該第2の波型部を基板側端面に形成することにより、該第1の波型部と第2の波型部とが加工された部分に複数の独立した突起部を形成したことを特徴とする。
本発明によるフォトマスク用基板によれば、基板の外周端面をパーティクルの発生が防止できる鏡面化処理しているにもかかわらず、大形のフォトマスク用基板を手で持って移動したり、装置にセットするハンドリング時に第1の波型部に手のひらや指が引っ掛かり、フォトマスク用基板の滑りが防止できる。また、ハンドリング冶具やハンドリング装置を用いて側端面を把持して移動させる場合に滑り防止が可能となる。
さらに、第1、第2の波型部により独立した複数の突起部を形成しているので、より一層滑り止め効果が得られる。
本発明によるフォトマスク用基板の製造方法によれば、研削工具により簡単に波型部を形成することができる。
さらに、複数の独立した突起部を簡単に形成することができる。
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態を示す。
図1(a)はフォトマスク用基板の上面図、図1(b)は図1(a)のAーA矢視断面図である。
図1において、フォトマスク用基板1は、合成石英ガラスからなる矩形(又は正方形)平板形状に形成されたもの(以下、ガラス基板と略称する)が使用されている。
このガラス基板1は、長辺2を400mm以上、短辺3を300mm以上とする大型ガラス基板とし、例えば、1)450mm×330mm,2)920mm×800mm,3)1400mm×850mm,4)1400mm×1220mm、あるいはこれら以上のサイズのものが用いられる。
また、ガラス基板1の厚さは、5mm以上としている。なお、前記1)〜4)のサイズのガラス基板において、厚さを10mmとした場合、前記1)〜4)のサイズのガラス基板の重さは、1)3.3kg,2)16.2kg,3)26.2kg,4)37.6kgである。
フォトマスクの製造工程としては、合成石英ガラスのインゴットからワイヤーソー等で複数枚の板材に切断し、これを研磨,洗浄することによりマスク用基板として形成される。そして、マスク用基板の表面に成膜(レジスト,遮光膜)処理を行い、フォトマスクを形成する。
このような製造工程において、マスク用基板の研磨,洗浄処理の工程で、ガラス基板1の側端面に対し、波型加工と、洗浄及び鏡面加工処理が行われる。そして、本実施形態において、前記波型加工は長辺2及び短辺3の側端面に施している。
波型加工は、図1(b)に示すように、外周面を波型とする円柱状の研削工具10を使用し、中心軸線Lを中心に回転する研削工具10をガラス基板1の側端面に当接し、回転する研削工具10を長辺2及び短辺3の長さ方向に沿って移動させてガラス基板1の全周長にわたって、ガラス基板1の厚み方向に沿って交互に連続する複数の凸部4と凹部5とを形成した正弦波状の波型部6をラップ加工により得る。この波型部6は、切削加工後に洗浄され、回転するブラシによりブラシ研磨されて鏡面化され、例えば表面粗さ(Ra)を0.5μm以下としている。表面粗さが0.5μmを超えると側端面からのパーティクルの発生が著しくなる場合がある。パーティクルの発生を少なくするためには0.05μm以下が好ましく、さらには0.03μm以下とすることがより好ましい。
この研削工具10としては、例えばステンレスや超硬合金等の材質からなる円柱基材に、メタルボンド砥石または電着砥石により粒径#200〜400のダイヤモンドが保持された工具を例示することができ、また鏡面化用の回転ブラシとしては、例えば、ナイロン製ブラシを例示することができる。これらの使用により表面粗さを0.5μm以下とすることができる。
波型部6をなす凸部4と凹部5は共に曲面に形成され、凸部4と凹部5との高さ(深さ)は、例えば、0.2mm程度以上とすればよい。そして、ハンドリングのために、ゴム製や塩化ビニル樹脂製の手袋をした左右の手を例えば両側の長辺2の側端面に押し付けると、手のひら及び指が波型部6に突き当たることにより、表面が鏡面処理されているが滑ることなく、フォトマスク用基板を取り扱うことができる。また、ゴム等の弾性体や波状の凹凸を有する樹脂などを把持面に装着したハンドリング冶具を用いる場合にも滑るという問題を回避できる。
滑りをより効果的に抑制するためには、凸部と凹部の高さと、連接する凸部と凹部を1周期とした場合、該凹凸部の周期を、使用する手袋やハンドリング装置の把持部の材質や形状に合わせて変化させることが可能である。滑りの効果を高めるためには、凸部と凹部の高さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上が良い。滑りの抑制効果を高めるために高さを高くし、周期を短くすると凸部が破損し易くなるため、凸部が60度以下の角度とならない形状にすることが好ましい。
フォトマスク用基板において問題となるパーティクルの発生は、ガラス基板1の側端面における表面粗さ(Ra)が0.5μmを超えると顕著に生じる。しかし、ガラス基板1の側端面に形成した波型部6の表面は、表面粗さ(Ra)を0.5μm以下とする鏡面処理を施しているので、ガラス基板1の側端面からのパーティクルの発生量は少ない。表面粗さ(Ra)を0.05μm以下、さらには0.03μm以下とすることでパーティクル発生を限りなくゼロとできる。勿論、波型部6の凹部5内は洗浄処理によりダスト等が除去されたクリーンな状態にある。
波型部6は、連続する凸部4と凹部5を湾曲した曲面に形成した、例えば正弦波の断面形状を有し、ガラス基板1の厚さ方向に対して凸部4と凹部5を複数形成している。なお、凸部4と凹部5の周期は、本実施形態の周期に限定されるものではなく、周期数を増減しても良い。ただし、凸部4と凹部5のピッチが狭くなると、ガラス基板1を手で持つ際に引っかかりが少なくなり滑りやすくなるので、凸部と凹部の間隔は、0.5mm〜5mmが好ましい。また、前記凹凸部の周期は、滑りの抑制効果を得るためには、基板の厚さ方向で少なくとも2周期を有することが好ましい。1周期をなす連接する凸部と凹部の間隔が0.5mm未満となると、手袋やハンドリング冶具の把持部の引っかかりが減り、滑り抑制の効果が減少する場合がある。
なお、波型部6の凸部4と凹部5は等ピッチで高さと深さを等しくしているが、これに限定されることはなく、凸部4のピッチと凹部5のピッチが異なっても良く、また凸部4と凹部5の曲面が正弦波のような整った曲面でなくても良く、さらには高さ及び深さがそれぞれ異なっていても良い。また、正弦波形状でなくても矩形波状や鋸波形状であっても良い。要するに、手のひらあるいは手の指、あるいはハンドリング冶具やハンドリング装置の把持面と係合する凸部を厚み方向に複数形成されていれば良い。
また、本実施形態では、ガラス基板1の長辺2及び短辺3の側端面に波型部6を形成しているが、長辺2の側端面のみに設けても良い。
さらに、波型部6は長辺2及び短辺3の全長にわたって形成しているが、ハンドリングの際に手で持つ部分に対応して部分的に形成しても良い。例えば、手で持つ部分として、各長辺2の角部より100mm内側の部分から長さ50mmの波形部6を全周で計4か所設け、その他の部分には波形部6を設けない形態を挙げることができる。
第2の実施形態
図2は本発明の第2の実施形態を示す。
上記した第1の実施形態では、ガラス基板1の長辺2の両側端面に厚み方向にうねりを有する波型部6をその長さ方向全長にわたって形成したが、本第2の実施形態では、さらに長辺2の両端部に長さ方向に沿ってうねりを有するように、波型部6と同様の外形形状を有する波型部7を形成したものである。したがって、長辺2の両端部における側端面は、個々に独立した凸部が形成される。
このように長辺2の両端部における側端面には、滑り止め機能を発揮する凸部が複数形成されるため、ハンドリング時における把持性が向上する。
本発明の第1の実施形態を示し、(a)はガラス基板の上面図、(b)は(a)のAーA矢視断面図及び波型加工を示す図。 本発明の第2の実施形態を示し、ガラス基板の上面図である。
符号の説明
1 ガラス基板(フォトマスク用基板)
2 長辺
3 短辺
4 凸部
5 凹部
6,7 波型部
10 研削工具

Claims (5)

  1. 四辺形に形成され、一辺が400mm以上とする平板状のフォトマスク用基板において、
    4辺のうち少なくとも対向する2辺の側端面に厚さ方向に沿って滑り止め用の複数の凹凸部を有する第1の波型部を設け、全辺の側端面を鏡面化したフォトマスク用基板であって、
    前記第1の波型部の形成されている部分に、辺の長さ方向に沿って滑り止め用の複数の凹凸部を有する第2の波型部を形成して複数の独立した突起部を形成したことを特徴とするフォトマスク用基板。
  2. 前記第1の波型部は、一辺の全長または一部分に設けたことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク用基板。
  3. 前記第1の波型部は、1周期をなす連接する凸部と凹部の間隔を0.5mm〜5mmとし、該連接する凹凸部を2周期以上設けることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスク用基板。
  4. 前記第1の波型部の深さは0.2mm以上としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフォトマスク用基板。
  5. 請求項1からのいずれかに記載のフォトマスク用基板の製造方法であって、
    前記第1の波型部に合致する研削工具を回転させて前記基板側端面を辺の長さ方向に移動させて該第1の波型部を基板側端面に形成後、全辺の側端面を回転ブラシにより鏡面化処理する前に、前記第2の波型部に合致する研削工具を回転させながら前記第1の波型部の形成されている部分の基板厚み方向に移動させて該第2の波型部を基板側端面に形成することにより、該第1の波型部と第2の波型部とが加工された部分に複数の独立した突起部を形成したことを特徴とするフォトマスク用基板の製造方法。
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