図1乃至図18において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。また、図1乃至図18の説明において、組立体の高さ方向、構造体の軸方向、構成部材の縦方向、中間板部材の厚み方向、及び、蓋部材の厚み方向は、それぞれ一致するから、説明の都合上、全て符号Hを付す。同様に、組立体の周方向、構成部材の横方向、中間板部材の横方向、及び、蓋部材の横方向は、符号Wを付す。さらに、構成部材の厚み方向、中間板部材の縦方向、及び、蓋部材の縦方向は、符号Lを付す。
本発明の一実施形態に係る組立体は、地下貯水施設において地下貯水空間を構成するために用いられるものであって、地下に埋設される。図1及び図2の組立体は、第1の構造体10aと、中間板部材20と、第2の構造体10bと、蓋部材30とを含み、それらが上述した順序で高さ方向Hに沿って積み重ねられ、積み重ねられた状態で相互に着脱可能に結合されている。第1の構造体10aは、第2の構造体10bと同一構造物であって、側壁部11と、内部空間100と、仕切り部12と、第1の開口部16と、第2の開口部17とを有している。図1及び図2の組立体の各構成要素について、以下、図3乃至図13を参照しながら説明する。
図3に示すように、第1の構造体10aの側壁部11は、筒状の周壁部分であって内部空間100を画定し、筒状の中心軸に沿った高さ方向Hの両端縁が、それぞれ第1の開口部16の開口端縁を構成している。さらに、側壁部11は、複数の第1の構成部材111(図4参照)と、複数の第2の構成部材112(図5参照)とを含む。第1、第2の構成部材111、112は、筒状に配置され、互いに隣接する幅方向Wの二辺が着脱可能に結合され、結合された状態で周方向(L、W)に連続している。
図4の第1の構成部材111は、合成樹脂材料を用いた一体成型物である。用いられる合成樹脂材料としては、成形容易性、耐腐食性、軽量性、剛性、材料コストなどの観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が一般的である。さらに、これらの合成樹脂材料を母材とする繊維強化プラスチック(FRP)を用いることもできる。さらに、第1の構成部材111は、雨水浸透施設に用いられるものであって、面板部1110と、通水孔13と、1つの凹状嵌合部14と、2つの凸状嵌合部15とを含む。
面板部1110は、平板状であって、板面の大部分が閉じており、一面側の空間と、他面側の空間とを仕切ることができる。図4の面板部1110は、内板と、リブ1111とによって構成されており、板面が略正方形形状であって、板面の幅方向Wで相対向する二辺1112、1113と、幅方向Wに交差する高さ方向Hで相対向する二辺1114、1115とを有している。
面板部1110は、内板の一面及び他面に対して、リブ1111が垂直に突設された断面H形構造を有している。リブ1111は、内板の一面及び他面の面内を、幅方向W及び高さ方向Hに沿って伸び、格子状に交差している。
通水孔13は、リブ1111によって格子状に区画された領域内において、面板部1110の内板を厚み方向Lに貫通している。通水孔13は、第1の構造体10aが雨水浸透施設に用いられた場合に、内部空間100に貯留した雨水の排出路となる。
凹状嵌合部14は、面板部1110の幅方向Wの中央部に形成され、中央部おいて、面板部1110の一面及び他面を、高さ方向Hに沿って条状に連続して伸びている。凸状嵌合部15は、面板部1110の二辺1112、1113のそれぞれにおいて、二辺1112、1113の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、高さ方向Hに沿って連続して伸びている。凸状嵌合部15は、凹状嵌合部14に嵌合可能な構造を有する。
図5の第2の構成部材112は、面板部1120と、通水孔13と、凹状嵌合部14と、凸状嵌合部15とを含む。図5の第2の構成部材112は、図4に示した第1の構成部材111と共通する基本的構成を有する。以下、第1の構成部材111との相違点を中心に説明する。
第2の構成部材112の特徴の一つは、幅寸法W112が、図4の第1の構成部材111の幅寸法W111の半分程度となっている点にある。この構造によると、幅方向Wに沿って、2つの第2の構成部材112を連結することにより、図4の第1の構成部材111と同じ幅寸法W111となる側壁部分を構成することができる。
面板部1120は、板面が長方形形状であって、板面の幅方向Wで相対向する二辺1122、1123と、幅方向Wに交差する高さ方向Hで相対向する二辺1124、1125とを有している。より詳細に説明すると、面板部1120は、内板と、リブ1121とによって構成されており、内板の一面及び他面に対してリブ1121が垂直に突設された断面H形構造を有している。リブ1121は、内板の一面及び他面の面内を、幅方向W及び高さ方向Hに沿って伸び、格子状に交差している。
通水孔13は、リブ1121によって格子状に区画された領域内において、面板部1120の内板を厚み方向Lに貫通している。
図5の第2の構成部材112のもう一つの特徴は、幅方向Wの二辺1122、1123のそれぞれに、凹状嵌合部14、凸状嵌合部15が設けられている点にある。凹状嵌合部14は、辺1123において、辺1123の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、面板部1120の一面及び他面を、高さ方向Hに沿って条状に連続して伸びている。凸状嵌合部15は、辺1122において、辺1122の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、高さ方向Hに沿って連続して伸びている。この構成によると、図4の第1の構成部材111のみを用いて組み合わせたときに生じる隙間に対して第2の構成部材112を取り付け、筒状の側壁部11を構成することができる。
第1の構造体10aを構成する仕切り部12は、内部空間100において向かい合う側壁部11に結合され、側壁部11を内側から支えている。図3の仕切り部12は、第3の構成部材121(図6参照)と、第4の構成部材122(図7参照)とを含む。
図6の第3の構成部材121は、枠状体である点を除き、図4の第1の構成部材111と、基本的に同一の構成を有している。以下、第1の構成部材111との相違点を中心に説明する。第3の構成部材121は、平板状であって、外枠部1210と、凹状嵌合部14と、凸状嵌合部15と、内枠部1216と、貫通部1217とを有している。
外枠部1210は、内板に対してリブ1211が垂直に突設された断面H形構造を有している。外枠部1210は、幅方向Wの二辺1212、1213と、高さ方向Hの二辺1214、1215とによって略正方形形形状に構成されており、枠状の中央部に貫通部1217を有している。貫通部1217は、一面から他面に向かって板面を厚み方向Lに貫通している。
内枠部1216は、外枠部1210の枠内に形成され、外枠部1210の高さ方向Hの中央部において、幅方向Wに沿って条状に連続して伸びている。内枠部1216は、外枠部1210と同じ基本的構成を有し、内板の両端にリブ1211が突設された断面H形構造を有している。
凹状嵌合部14は、外枠部1210の幅方向Wの中央部において、高さ方向Hに沿って条状に連続して伸びている。即ち、第3の構成部材121は、凹状嵌合部14と、内枠部1216によって、外枠部1210の中央部分が格子状に4分割されている。
凸状嵌合部15は、幅方向Wで相対向する二辺1212、1213のそれぞれにおいて、二辺1212、1213の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、高さ方向Hに沿って連続して伸びている。
貫通部1217は、外枠部1210の内部領域を構成する貫通部分が、凹状嵌合部14と、内枠部1216によって、格子状に4分割されて形成されている。貫通部1217は、部材の軽量化、及び、製造コストの低減を図るとともに、第3の構成部材121が雨水貯留浸透施設に用いられた場合に、貯留された雨水の流動性を向上させる。
図7の第4の構成部材122は、枠状である点を除き、図5の第2の構成部材112と、基本的に同一の構成を有している。以下、第2の構成部材112との相違点を中心に説明する。第4の構成部材122は、平板状であって、外枠部1220と、凹状嵌合部14と、凸状嵌合部15と、内枠部1226と、貫通部1227とを有している。
外枠部1220は、内板に対してリブ1221が垂直に突設された断面H形構造を有している。外枠部1210は、幅方向Wの二辺1222、1223と、高さ方向Hで相対向する二辺1224、1225とによって略長方形形状に構成されており、枠状の中央部に貫通部1227を有している。貫通部1227は、一面から他面に向かって板面を厚み方向Lに貫通している。
内枠部1226は、高さ方向Hの中央部において、幅方向Wに沿って条状に連続して伸びている。図7では、内枠部1226によって、外枠部1220の貫通部分が高さ方向Hに2分割され、2つの貫通部1227が構成されている。
凹状嵌合部14は、辺1223において、辺1223の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、高さ方向Hに沿って条状に連続して伸びている。凸状嵌合部15は、辺1222において、辺1222の端面から幅方向Wに後退した位置に形成され、高さ方向Hに沿って伸びている。
第1〜第4の構成部材111〜122において、凸状嵌合部15と、凹状嵌合部14とは、相互に嵌合可能な構造を有している。図4乃至図7の第1〜第4の構成部材111〜122の結合構造について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、第1、第2の構成部材111、112は、一点鎖線で示す所定の施工面形状sに沿って筒状に立設され、立設された状態で隣接する辺(1112、1113、1122、1123)が、凹状状嵌合部14と、凸状嵌合部15との凹凸嵌合によって着脱可能に結合されている。その結果、第1、第2の構成部材111、112は、平面視、略正方形形状となる側壁部11(斜線面付け表記)を構成し、この側壁部11によって画定される内部空間100が立方体状となっている。施工面形状sは、具体的な施工条件にあわせて予め決定されており、第1、第2の構成部材111、112の使用枚数、及び、結合態様は、施工面形状sの平面視形状、面積に追従して決定される。
他方、第3、第4の構成部材121、122は、内部空間100の容量に追従して組み合わされる。第3、第4の構成部材121、122は、側壁部11の内面に対して、垂直に突き当たる関係で配置され、凹状嵌合部14が、第1、第2の構成部材111、112の凸状嵌合部15に結合され、第1、第2の構成部材111、112を筒状に結合するとともに、側壁部11を内側から支えている。
さらに、第3、第4の構成部材121、122は、内部空間100において、幅方向Wの辺1222が十字形状の交点で凹状、凸状嵌合部14、15によって着脱可能に結合され、十字の交点に向かい合う側の端部(辺1212、1213、1223)が側壁部11を構成する第1、第2の構成部材111、112に着脱可能に結合され、結合された状態で内部空間100を仕切っている。
図8において、第1の開口部16の開口端縁は、側壁部11を構成する第1、第2の構成部材111、112の辺(1114、1124)によって、略正方形形状に画定されている。第1の開口部16は、内部空間100の軸方向Hに向かい合い、内部空間100に通じている。
第1の開口部16の内側は、仕切り部12を構成する第3、第4の構成部材121、122の辺1214、1224によって十字形状に区画されており、側壁部11と、仕切り部12とによって画定された領域が、第2の開口部17となっている。第2の開口部17は、内部空間100に通じている。図8の第1の構造体10aの軸方向Hの端面は、第1の開口部16によって画定される開口端縁と、その内部に形成された、第2の開口部17の開口端縁により、全体として田の字状となっている。
図1及び図2の組立体は、地下に埋設されるものであるから、第2の構造体10bには、蓋部材30が取り付けられている。図9及び図10の蓋部材30は、第2の構造体10bの第1の開口部16を覆うために用いられるものであって、基板部31と、複数の凸部36と、凹溝部37と、複数の貫通孔39と、複数の貫通孔用蓋390とを含む。
基板部31は、合成樹脂材料を用いた一体成型物である。用いられる合成樹脂材料としては、成形容易性、耐腐食性、軽量性、剛性、材料コストなどの観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が一般的である。さらに、これらの合成樹脂材料を母材とする繊維強化プラスチック(FRP)を用いることもできる。
基板部31は、平板状(偏平状)であって、第1の開口部16の開口端縁の形状に追従する四角形形状に成型されている。基板部31は、内板310を有し、内板310の一面及び他面は、厚み方向Hの両側にあらわれる。基板部31は、内板310の他面に対して、凸部36が垂直に突設された断面H形構造を有している。
基板部31は、内板310の板面の端縁に、少なくとも二組の対向辺組を含んでいる。図9において二組の対向辺組は、板面の幅方向Wで相対向する二辺32、33と、板面の縦方向Lで相対向する二辺34、35である。幅方向Wの二辺32、33と、縦方向Lの二辺34、35は、互いに対応する凹部、及び、凸部を有しており、いわゆる「鳩尾継」を構成し得る構造となっている。この構造によると、複数の蓋部材30を縦横に配置し、隣接する蓋部材30の二辺(32、33、34、35)を凹凸嵌合することにより、全体として一体的に平面化された蓋板を構成することができる。
複数の凸部36のそれぞれは、立ち上がり壁361と、立ち上がり壁361によって画定される面領域360とを有し、基板部31の他面において、第2の開口部17に対応する位置に突設されている。
立ち上がり壁361は、基板部31の他面から厚み方向Hに立ち上がっている。立ち上がり壁361は、複数が格子状に組み合わされるとともに、組み合わされた複数の立ち上がり壁361が、平面視、略正方形形状のブロック体を構成している。凸部36の外周は、上述したブロック体の周面であって、内板310から高さ方向Hに立ち上がる立ち上がり壁361によって画定されている。
立ち上がり壁361によって画定される面領域360は、第2の開口部17の平面形状に追従して決定される。違う言葉で表現すれば、凸部36の周縁を構成する立ち上がり壁361は、第2の開口部17に差込可能な平面形状、及び、外周形状を有している。
4つの凸部36は、互いに間隔W37を隔てて配置されており、隣接する凸部36の間に、十文字状の凹溝部37が形成されている。より詳細に説明すると、凹溝部37は、間隔W37を隔てて向かい合う立ち上がり壁361と、基板部31の他面とによって画定され、仕切り部12の端縁の幅寸法W12に追従する幅寸法W37を有している。凹溝部37は、隣接する凸部36によって画定され、第2の開口部17を画定する仕切り部12の端縁の幅寸法W12に相当する間隔寸法W37を有している。凹溝部37は、板面上に等配された4つの凸部36によって、板面の中央部分に交点を有する十文字状となっている。
図9の凹溝部37は、第1の凹溝371と、第2の凹溝372とを含む。第1の凹溝371は、幅方向Wに向かい合う立ち上がり壁361によって画定され、幅方向Wに直交する縦方向Lに沿って条状に延びている。第2の凹溝372は、縦方向Lに向かい合う凸部36の立ち上がり壁361によって画定され、幅方向Wに沿って条状に延びており、板面の中央部で第1の凹溝371と交差している。
複数の貫通孔39のそれぞれは、基板部31を厚み方向Hに貫通し、他面側において、凸部36の面領域360内に開口している。複数の貫通孔39は、複数の凸部36に対応する位置に配置されている。さらに、複数の貫通孔39は、第2の開口部17に重なる位置に配置され、例えば、上部桝などの付帯設備(図示しない)を設置するために用いられる。
貫通孔用蓋390は、基板部31の一面側において、貫通孔39の開口端に着脱可能に取り付けられ(図2参照)、取り付けられた状態で貫通孔39の開口端を覆っている。
ところで、図9に示すように、内板310の端縁32〜35に鳩尾結合のための凹凸部が設けられている構造では、複数の蓋部材30を縦横に連結して単一の蓋板を構成した場合、蓋部材30の向きが鳩尾結合態様によって決定され、一旦蓋板を完成させた後に、一部の蓋部材30の向きを変えることは困難である。その結果、図9とは異なり、貫通孔(390)を一つ設けた構成では、施工作業に伴い生じる誤差や、実際の施工現場の周囲の環境や施工条件に追従して付帯設備の設置を変えたい場合に不都合が生じる。具体的に、一旦蓋板を完成させた後に、一部の蓋部材(30)の向きを変更させた場合、当該蓋部材(30)を基準にして、改めて周囲の蓋部材(30)の連結作業をやり直さざるをえず、施工効率が低下する。
また、蓋部材(30)の向きを変更せずに付帯設備の設置位置を変更するには、貫通孔(390)の開設位置が異なる蓋部材(30)を数種類用意しなければならず、コスト高となる。さらに、構造体(10)と蓋部材(30)との結合態様によっては、構造体(10)の向きに追従して蓋部材(30)の向きが決定されている場合もある。その場合、一部の蓋部材(30)の向きを変更するには、本体部分となる構造体(10)の連結作業を最初からやり直すこととなり、上述した問題が顕著に現れる。
そこで、図9の蓋部材30は、上述した不都合を回避するため、第2の開口部17に重なる位置に追従して複数の貫通孔39を有している。この構造によると、一旦蓋板を完成させた後であっても、蓋部材30の向きを変えることなく、所望の場所の貫通孔39を覆う貫通孔用蓋390を取り外して、上部桝などの付帯設備を設置することができる。従って、施工効率が向上するとともに、コストを低減することができる。
図1及び図2の組立体は、図示しない地下貯水施設の規模に応じて、図3の構造体を2つ用意し、用意した第1、第2の構造体10a、10bを、互いの第1の開口部16が向かい合う関係で高さ方向Hに積層している。ここで、従来、第2の構造体10bは第1の構造体10aに直接載置されており、土圧等の押圧力や、上載荷重に十分耐えうる構造的一体性を確保することができななかった。
図1及び図2の組立体は、上述した問題を解決するため、中間板部材20(図11及び図12を参照)を介して第1、第2の構造体10a、10bを連結している。図11及び図12の中間板部材20は、図9及び図10の蓋部材30と、基本的に同一の構成を有している。以下、蓋部材30との相違点を中心に説明する。
図11及び図12の中間板部材20は、基板部21と、複数の凸部26と、凹溝部27と、通水孔28と、貫通部29を有している。
基板部21は、内板210の一面及び他面に対して、凸部26が垂直に突設された断面H形構造を有している。より詳細に説明すると、基板部21は、内板210の板面の端縁に、少なくとも二組の対向辺組を含んでいる。図11において二組の対向辺組とは、板面の幅方向Wで相対向する二辺22、23と、板面の縦方向Lで相対向する二辺24、25である。幅方向Wの二辺22、23と、縦方向Lの二辺24、25は、互いに対応する凹部、及び、凸部を有しており、いわゆる「鳩尾継」を構成し得る構造となっている。この構造によると、複数の中間板部材20を縦横に配置し、隣接する中間板部材20の二辺22、23、24、25を凹凸嵌合することにより、全体として一体的に平面化された中間板構造を実現することができる。
複数の凸部26のそれぞれは、立ち上がり壁261と、立ち上がり壁261によって画定される面領域260とを有している。立ち上がり壁261は、基板部21を構成する内板210の一面及び他面から厚み方向Hに立ち上がっている。凸部26は、内板210の一面及び他面において、複数の立ち上がり壁261が格子状に組み合わされるとともに、組み合わされた凸部26が、平面視、略略正方形形状のブロック体を構成している。凸部26の外周は、上述したブロック体の周面であって、立ち上がり壁261によって画定されている。
凸部26は、第2の開口部17に差込可能な平面形状、及び、外周形状を有し、内板210の一面及び他面において、第2の開口部17に対応する位置に突設されている。凸部26において周縁を構成する立ち上がり壁261が、第2の開口部17に差込可能な平面形状、及び、外周形状を有している。違う言葉で表現すれば、立ち上がり壁261によって画定される面領域260は、第2の開口部17の平面形状に追従して決定される。
4つの凸部26は、互いに間隔W27を隔てて配置されており、隣接する凸部26の間に、十字状の凹溝部27が形成されている。より詳細に説明すると、凹溝部27は、隣接する凸部26によって画定され、第2の開口部17を画定する仕切り部12の端縁の幅寸法W12に相当する間隔寸法W27を有している。凹溝部27は、板面上に等配された4つの凸部26によって、板面の中央部分に交点を有する十文字状となっている。
さらに、凹溝部27は、第1の凹溝271と、第2の凹溝272とを含む。第1の凹溝271は、幅方向Wに向かい合う立ち上がり壁261によって画定され、幅方向Wに直交する縦方向Lに沿って条状に延びている。第2の凹溝272は、縦方向Lに向かい合う立ち上がり壁261によって画定され、幅方向Wに沿って条状に延びており、板面の中央部で第1の凹溝271と交差している。
通水孔28は、凸部26によって格子状に区画された領域内において、内板210を厚み方向Hに貫通している。
貫通部29は、基板部21の面内において、第2の開口部17の開口端縁に重なる位置に配置され、基板部21を厚み方向Hに貫通し、他面側において、凸部26の面領域260内に開口している。
図9及び図10の蓋部材30、及び、図11及び図12の中間板部材20との結合構造について、図13を参照して説明する。
図13の組立体において、蓋部材30は、第2の構造体10bの第1の開口部16を覆っており、第1の開口部16を覆った状態で、凸部36が第2の開口部17に差し込まれ、且、凹溝部27に仕切り部12の端縁が嵌合されている。
さらに、第1、第2の構造体10a、10bは、互いの第1の開口部16が中間板部材20を介して向かい合う関係で積層され、積層された状態で凸部26が第2の開口部17に差し込まれ、且、凹溝部37に仕切り部12の端縁が嵌合されている。中間板部材20の貫通部29と、蓋部材30の貫通孔39とは、軸方向Hに重なっている。
図13に示すように、中間板部材20は、第2の開口部17に凸部26が差し込まれ、凹溝部27に、仕切り部12の端縁が嵌合されことにより、組立体の構造的一体性が向上する。違う言葉で表現すれば、複数の第2の開口部17に対して、中間板部材20に一体的に形成された複数の凸部26を差し込むことにより、中間板部材20によって、第1、第2の開口部16、17が固定され、組立体の構造的一体性が向上する。中間板部材20は、構造体10の積層数、すなわち高さ方向Hに向かい合う構造体相互の連結部分が増えれば、その分だけ設置が増加する。
ところで、複数の構造体10を高さ方向Hに積み重ねて組立体を構成する場合、塵埃は、下層側の構造体10aの内部に堆積するから、組立体には、外部から下層側の構造体10aの内部の様子を点検し、また、必要に応じて吸引管(図示しない)を案内しうる構造を有することが求められる。上述した要請に応えるため、蓋部材30は、最上部に積層された第2の構造体10bにおいて、中間板部材20に向かい合う関係で第1の開口部16を覆っており、覆った状態で、貫通孔39が、中間板部材20の貫通部29と軸方向Hに重なっている。この構造によると、貫通孔39、及び、貫通部29を通じて構造体10bの内部を点検し、また、必要に応じて吸引管を下層側の構造体10aの内部へ案内することができる。
さらに、中間板部材20の4つの貫通部29は、蓋部材30の4つの貫通孔39と軸方向Hに重なっているから、上部桝などの付帯設備の設置箇所として任意に選択された貫通孔39の何れにおいても、上述した利点を奏することができる。
図14は本発明の一実施形態に係る地下貯水施設について一部を破断して示す正面断面図である。この種の地下貯水施設として、例えば、下水道施設、上水道施設、浄水処理施設、遊水施設、雨水貯留浸透施設などが知られている。本明細書では、説明の都合上、雨水貯留浸透施設について説明するが、必ずしも雨水貯留浸透施設用に限定されるものではない。
本明細書において「雨水貯留浸透施設」には、雨水貯留施設と、雨水浸透施設とが含まれる。雨水貯留施設は、雨水の有効利用の目的、及び、雨水が側溝や、下水道管路、河川などへ短時間で流入することにより生じる都市型浸水災害を防止する目的を有し、地下に、集水した雨水の貯水空間を有するものである。他方、雨水浸透施設は、上述した雨水貯留施設の目的に加え、地下水を涵養し、もって地盤沈下を抑止する目的を有し、地下貯水空間に貯留した雨水を、地中に緩やかに排出し浸透させるものである。
図14の地下貯水施設は、雨水貯留浸透施設であって、組立体1と、上部桝7と、設置穴5と、保護層6とを含む。GLは地表面を示す。
組立体1は、図1乃至図14を参照して説明したものでなり、設置穴5の内部であって、地下に埋設され、雨水貯留浸透施設の地下貯水空間を構成する。蓋部材30は、予め選択された貫通孔39の貫通孔用蓋390が取り外され、取り外された貫通孔39に上部桝7が取り付けられている。上部桝7は、高さ方向Hの一端が蓋部材30に載置され、他端が地表面GLに配置されている。
保護層6は、設置穴5の内壁面51と、組立体1の外周面との間に設けられる。保護層6は、不織布等の透水構造を有し、組立体1の内部に土砂や塵埃など異物混入を防止すると共に、組立体1の内部に貯留した雨水を地中に分散浸透させるための排出路として用いられる。もっとも、保護層6は、雨水貯留浸透施設の目的に応じて構造、及び、機能を設定することができる。例えば、雨水貯留浸透施設が雨水貯留施設である場合、保護層6は、合成樹脂材料を主成分とする不透水性シート材で構成され、遮水層として機能する。これは、雨水の貯留を目的としていることに起因する。
図14の地下貯水施設は、図1乃至図13の組立体1を含むから、図1乃至図13を参照して説明した組立体1の利点を全て有することができる。例えば、図13の組立体1において、第1、第2の構造体10a、10bの内部空間100は、側壁部11により画定されているから、地下に埋設された場合に、内部空間100を、空間効率の高い地下貯水空間として用いることができる。
仕切り部12は、内部空間100において、向かい合う側壁部11に結合されている。この構造によると、側壁部11は、仕切り部12によって内部から支持されているから、地下に埋設された場合に、内壁51から加えられる土圧等の押圧力や、地表面GLや、第1、第2の構造体10a、10b相互の上載荷重に十分耐えうる構造的一体性を有することができる。
第1の開口部16は、中間板部材20によって覆われている。この構造によると、組立体1の組立作業時に、基礎となる下層側の第1の構造体10aの第1の開口部16が、中間板部材20で覆われているから、作業員は、中間板部材20上を歩きながら上層側の第2の構造体10bの組立作業を行うことができる。従って、組立作業の効率を向上し、且、安全性を確保することができる。
蓋部材30は、上側の構造体10bの第1の開口部16を覆っており、第1の開口部16を覆った状態で、凸部36が第2の開口部17に差し込まれ、且、凹溝部37に仕切り部12の端縁が嵌合されている。この嵌合構造によると、組立体1の構造的一体性が向上する。また、構造体10bに対する蓋部材30の位置決めが容易になり、組立体の組立作業を効率的に行うことができる。
組立体1の組立に当たっては、第1、第2の構造体10a、10bの第1の開口部16に、それぞれ中間板部材20、蓋部材30を凹凸嵌合させるだけでよいから、組立作業が極めて容易になる。しかも、上述した組立構造は、第1、第2の構造体10a、10bの内部構造たる第2の開口部17と、中間板部材20の内部構造たる凸部26、及び、蓋部材30の内部構造たる凸部36との組み合わせによって行われ、特殊な連結器具を用いる必要がないから組立効率を向上することができる。
蓋部材30において、複数の貫通孔39のそれぞれは、基板部31を厚み方向Hに貫通しているから、複数の貫通孔39から任意の一つを選択し、選択した貫通孔39に上部桝7などの付帯設備を設置することができる。
しかも、貫通孔39は、基板部31の他面側において、凸部36の面領域360内に開口している。この構造によると、蓋部材30が構造体10bに取り付けられた状態で、貫通孔39の開口端が仕切り部12で遮蔽される不具合は生じない。
貫通孔用蓋390は、基板部31の一面側において、貫通孔39の開口端に着脱可能に取り付けられる。この構造によると、上部桝7の設置場所として選択された貫通孔39に予め貫通孔用蓋390が取り付けられている場合には、これを取り外して上部桝7を設置することができる。他方、上部桝7の設置場所として選択されなかった貫通孔39に貫通孔用蓋390が取り付けられていない場合には、当該貫通孔39に貫通孔用蓋390を取り付けることができる。さらに、組立体1の組立作業後に上部桝7の設置場所を変更する場合には、変更後の上部桝7の設置場所となる貫通孔39に既に取り付けられている貫通孔用蓋390を取り外し、取り外した貫通孔用蓋390を、変更前の上部桝7の設置場所であった貫通孔39に取り付けることができる。従って、施工効率を向上させ、コストを低減することができる。
貫通孔用蓋390は、取り付けられた状態で貫通孔39の開口端を覆うから、組立体1が地下に埋設された場合に、選択されなかった貫通孔39を通じて土砂が内部空間100に流入する不具合は生じない。
図15乃至図18の地下貯水施設は、本発明に係る組立体1がとりうる変形例を示すものであって、例えば商業施設向けなどの大容量の地下貯水空間を有する構成例を示している。図15乃至図18の地下貯水施設は、組立体1と、設置穴5と、保護層6と、上部桝7と、流入施設8と、流出施設9とを含む。
組立体1は、図1乃至図13を参照して説明したものでなり、設置穴5の内部に埋設されている。組立体1は、図17に示すように、第1、第2の構成部材111、112の使用枚数を増加させ、施工面形状sに沿った側壁部11を構成し、構成された側壁部11の内部に第3、第4の構造体121、122を縦横に連結して仕切り部12が構成されている。図1乃至図13を参照して説明したように、本発明に係る組立体1は、第1、第2の構成部材111、112を、互いに隣接する幅方向Wの辺で結合することにより施工面形状sに沿って側壁部11を構成し、この側壁部11の内部に仕切り部12を形成することにより、側壁部11を内側から支えることができる。従って、組立体1は、施工に係る地下貯水空間の容積に追従して、第1〜第4の構成部材111〜122の配置を調節し、側壁部11、及び、仕切り部12を構築することができる。
さらに、図15乃至図18の組立体1は、複数の中間板部材20、20bと、複数の蓋部材30、30bとを含む。
蓋部材30は、図9及び図10で説明したものでなり、上部桝7が載置される場所に配置される。蓋部材30bは、貫通孔39を有しない以外は、図9及び図10の蓋部材30と同一の構成を有する。複数の蓋部材30、30bは、第1の開口部16の開口領域に沿って縦横に配置され、第2の構造体10bの第1の開口部16を覆っている。
中間板部材20は、図11及び図12で説明したものでなり、上部桝7が載置される場所であって、貫通部29が、蓋部材30の貫通孔39と重なる位置に配置されている。中間板部材20bは、貫通部29を有しない以外は、図11及び図12の中間板部材20と同一の構成を有する。複数の中間板部材20、20bは、第1の開口部16の開口領域に沿って縦横に配置され、第1の構造体10aの第1の開口部16を覆っている。
図15乃至図18の地下貯水施設において、流入施設8は、所謂集水桝であって、下水管路網を構成する流入管81を通じて送られてくる雨水を一時的に貯留し、ゴミ除去フィルター82で雨水に混じっている塵埃等を除去して後、地下貯水空間として用いられる内部空間100に注水するための施設である。
流出施設9は、所謂排水桝であって、排水管91、オリィフィス92、エア抜き93、オーバーフロー管94などを効果的に配置することにより、内部空間100に一時的に貯留された雨水を計画的に排出することができる。
図15乃至図18の地下貯水施設は、図1乃至図13の組立体1を含むから、図1乃至図13を参照して説明した組立体1の利点を全て有することができる。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。