JP5360668B2 - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、光酸素化反応を利用した、ケトンやカルボン酸等のカルボニル化合物の製造方法及びアルデヒド化合物を選択的に製造する方法に関する。
従来、ケトンやカルボン酸等のカルボニル化合物を製造する手段として、アルコールや芳香族アルカンを過マンガン酸カリウムやクロム酸や硝酸等の強力な無機酸化剤を用いて酸化する方法が知られている。しかし、この方法は反応収率が低く、原料の多くが無駄になるという問題がある。また、副生成物が大量に発生するため、酸化反応後にカルボニル化合物を分離する必要があり、さらには、大量の重金属廃棄物や廃酸が発生するため、これらによる環境汚染の防止対策も必要となる。
また、臭素や塩素を酸化剤として用い、これによりアルコールを酸化させてカルボニル化合物とする方法も知られている。しかし、この方法では、有害なガスである臭素や塩素をアルコールに対して当量以上に用いるため、危険性が高く、作業環境の保全に十分な注意が必要となる。また、ニッケル化合物やスズ化合物等の高価な原料が必要となり、ヘキサメチルホスホルアミド/塩基といった、複雑な反応系を用意しなければならいため、製造コストが高くなるという問題もある。
一方、光照射下において、酸素自体を酸化剤とするカルボニル化合物の製造方法も知られている。酸素自体を酸化剤とした場合、酸化剤の酸素が生成物に取り込まれるため、酸化剤から余分な生成物が生ずることがなくて、いわゆる原子効率が良く、原料の無駄が少ないという効果が期待できる。
例えば、非特許文献1において、発明者は、光照射下においてN−ブロモコハク酸イミド(以下「NBS」と略す)を促進剤として用いることにより、酸素の存在下でトルエンのメチル基をカルボン酸基へ変換する反応を発表している。
この方法では、NBSから発生した臭素ラジカルが触媒的に作用し、分子状酸素によるトルエンメチル基のカルボン酸への酸化を促進すると推定される。しかし、収率や反応速度を上げるためにはNBSを比較的多量に使用しなければならず、製造コストが高くなり、反応生成物として生成するN−サクシンイミドの後処理も問題となる。
また、発明者らは、4−tertブチルトルエンを基質とし、酢酸エチル中、触媒量のLiBr存在下、紫外線照射することにより、ベンジル位が酸化されて4−tertブチル安息香酸を与えることを見出している(非特許文献2参照)。
さらに発明者らは、脂肪族アルコールを基質とし、臭化アルカリを用いて光酸素酸化を行えば、対応する脂肪族カルボン酸を収率よく得ることができることを見出している(非特許文献3参照)。また、その反応を促進するための触媒として、メソポーラスシリカやゼオライトやイオン交換樹脂等を担体として用いることにより、収率が良くなることも見出している(非特許文献4参照)。
しかし、臭化アルカリを担体に担持させる場合には、メソポーラスシリカやゼオライトやイオン交換樹脂が必要となり、ひいては製造コストが高騰化することとなる。
また、芳香族アルカン類を臭化水素及び酸素の存在下で、光を照射することにより、ベンズアルデヒドやアセトフェノンが得られることも知られている(非特許文献5)。
この方法によれば、担体は必要とされず、無駄となる原料もほとんどないという利点はあるが、収率が低いという問題がある。
さらに、発明者らは、ヨウ素単体及び酸素の存在下で光を照射することにより、アルデヒドが選択的に得られることも見出している(非特許文献6)。
Synthesis,2289(2003) 平成14年度日本薬学会東海支部例会講演要旨集 6頁(2002) 第29回反応と合成の進歩シンポジウム発表要旨集 162頁(2003) 第30回反応と合成の進歩シンポジウム講演要旨集 182頁(2004) Bull.Chem.Soc.Jpn.,63,944〜946(1990) Chem. Lett., 686-687 (2001).
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、酸化剤として分子状の酸素を用い、原料の無駄が少なくて廃棄物がほとんど発生せず、環境問題を引き起こすおそれが少なく、適用可能な基質が広範囲なカルボニル化合物の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
発明者らは、上記課題を解決するために、様々な臭素及び臭素化合物並びにヨウ素及びヨウ素化合物について、その光酸素酸化における触媒機能を調べた結果、広範な臭素化合物やヨウ素化合物が優れた触媒機能を有していることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1発明のカルボニル化合物の製造方法は、基質としての第1アルコール、第2アルコール、アルデヒド又は芳香族アルカンに対し、臭素化合物(ただし臭化水素及び臭化リチウムは除く)の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とする。
第1発明のカルボニル化合物の製造方法では、臭素化合物は触媒量であっても反応は収率よく進行し、酸素自身が酸化剤となって基質に取り込まれる。このため、副生成物はほとんど発生せず、目的とするカルボニウム化合物をアルカリ抽出や蒸留等の手段によって容易に分離することができる。また、余分な廃棄物もほとんど生じず、無駄となる原料もない。さらには、担体に担持させたりする必要もないため、触媒調製も極めて容易である。酸素を基質と接触させる方法については特に限定はないが、反応液を空気雰囲気下あるいは酸素雰囲気下で撹拌したり、空気や酸素を反応液中に吹き込ませたりすることが挙げられる。
第1発明のカルボニル化合物の製造方法において、基質として第1アルコール又はアルデヒドを用いた場合、相当するカルボン酸が得られる。また、第2アルコールを基質とすれば、相当するケトンが得られる。さらに、基質としてトルエンやキシレン等の芳香族アルカンを用いる場合には、芳香族カルボン酸が得られる。これらの反応の機構については、必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。すなわち、酸素の存在下における光照射によってBrから臭素ラジカル及びパーオキシラジカルが発生し、その臭素ラジカルが基質における1位の水素を引抜いて臭化水素となり、新たなラジカルを発生させる。さらに、その新たなラジカルに酸素が付加してパーオキシラジカルとなり、さらには臭化水素から水素を引抜き、最終的にカルボン酸やケトンとなる。この製造方法において使用される反応溶媒としては、特に制限はないが、例えば酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸等を用いることができる。
また、照射する光の種類については、紫外線や可視光を用いることができ、自然の太陽光や、キセノンランプ、水銀ランプ等の人口照明灯を用いることができる。光源として人工照明灯を用いれば、光の強さや照射時間等を容易に制御することができ、天候にも作用されないため好適である。
臭素化合物は金属の臭化物、CBr、並びに臭化アリルの少なくとも一種であることが好ましい。発明者は、これらの臭化物の存在下において、高収率でカルボニウム化合物が得られることを確認している。金属の臭化物としては、例えばMg、Ca、Sr、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、Co、Ni、Ag、Al、Ga、Sb及びランタノイド元素の臭化物、等が挙げられる。
金属の臭化物は、市販の試薬を用いてもよいが、金属と臭素とを反応させて得ることもできる。市販の金属臭化物は一般に高価であり、金属と臭素とを反応させて発生させれば、カルボニウム化合物の製造コストを低廉化することができる。
さらに水及び/又はアルカリを添加することも好ましい。こうであれば、生成したカルボン酸が原料のアルコールや酢酸エチル等のエステル系溶媒と反応してエステルが生成する副反応を抑制することができる。この理由は、反応中に生成したHBrを水やアルカリによって系から除かれることにより、酸触媒によるエステル化反応を抑制できるためである。発明者の試験結果によれば、臭素化合物をCBrとする場合において、水及び/又はアルカリを添加すると特に効果的である。
第2発明のカルボニル化合物の製造方法は、基質としての第1アルコール、第2アルコール、アルデヒド又は芳香族アルカンに対し、臭素又は臭素化合物、並びに、ホスフィン類及び/又は光増感剤の少なくとも1種の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とする。
発明者の試験結果によれば、臭素又は臭素化合物の存在下において光酸素酸化を行う場合、ホスフィン類及び/又は光増感剤の少なくとも1種を触媒量存在させることによって反応が促進され、収率がよくなる。ホスフィン類の存在によって反応が促進されるのは、ホスフィン類の電子供与性によってBrの発生が促進されることによるものと考えられる。ホスフィン類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、BINAP等が挙げられる。また、光増感剤の存在によって反応が促進されるのは、照射された光によって光増感剤が一重項分子となり、さらに三重項分子に遷移し、この三重項分子を仲立ちとして、反応が進行するためであると考えられる。光増感剤としては、例えばビフェニル、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、アントラキノン、フルオレン、4−フェニルベンゾフェノン、トリフェニレン,フェナントレン,ナフタレン等を挙げることができる。
臭素化合物としてはCBrを用いることができる。Mg、Ca、Sr、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、Co、Ni、Ag、Al、Ga、Sb及びランタノイド元素等の臭化物を用いることも可能であるが、これらの金属臭化物ではホスフィン類や光増感剤を添加しなくても反応が進行する。
第2発明のカルボニル化合物の製造方法においても、さらに水及び/又はアルカリを添加することが好ましい。こうであれば、生成したカルボン酸が原料のアルコールと反応してエステルとなる副反応を抑制することができる。この理由は、第1発明の場合と同様、反応中に生成したHBrを水やアルカリによって系から除かれ、酸触媒によるエステル化反応を抑制できるためである。
また、発明者は、臭素化合物の代わりにヨウ素化合物を用いて光酸素酸化を行った場合、カルボン酸まで酸化されずにアルデヒドで酸化が停止することを見出した。すなわち、第3発明のカルボニル化合物の製造方法は、基質としての第1アルコール、第2アルコール又は芳香族アルカンに対し、ヨウ素化合物の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とする。
アルデヒドは医薬品等、有機化合物の合成原料として極めて有用な化合物であり、選択的にアルデヒドの段階で酸化反応が終了するこの方法は、有機合成の新たな手法として極めて有用である。
ヨウ素化合物はCIであることが好ましい。発明者は、ヨウ素化合物はCIである場合に、収率よくアルデヒドを製造することができることを確認している。
また、第4発明のカルボニル化合物の製造方法は、基質としての第1アルコール、第2アルコール又は芳香族アルカンに対し、ヨウ素又はヨウ素化合物、並びに、ホスフィン類及び/又は光増感剤の少なくとも1種の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とする。
発明者の試験結果によれば、臭素化合物を用いた場合と同様、ヨウ素又はヨウ素化合物を用いて光酸素酸化を行う場合においても、ホスフィン類及び/又は光増感剤の少なくとも1種を触媒量存在させることによって反応が促進され、収率がよくなる。この場合においてもアルデヒドが選択的に生成する。ホスフィン類としては、トリフェニルホスフィン、BINAP等が挙げられる。また、光増感剤としては、ビフェニル、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、アントラキノン、フルオレン、4−フェニルベンゾフェノン、トリフェニレン,フェナントレン,ナフタレン等を挙げることができる。
第4発明のカルボニル化合物の製造方法においても、ヨウ素化合物はCIであることが好ましい。発明者は、ヨウ素化合物はCIである場合に、収率よくアルデヒドを製造することができることを確認している。
実施例及び比較例で用いた反応装置の模式図である。
以下本発明を具体化した実施例について詳述する。
<臭素化合物としてCBr4を用いた光酸素化反応>
(実施例1)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(50 mg)を酢酸エチル(5ml)に溶解し、CBr4 (0.1equiv.),NaHCO3(0.2 equiv.),H2O (100ml)を加える。そして、図1に示すように酸素風船1を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4)の光を10時間照射した。反応溶媒をエバポレータにて留去し、残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し、目的のドデカノイック酸(50.4mg,94 %)を得た。
なお、実施例1においてNaHCO3(0.2 equiv.),H2O (100ml)を加えなかった場合には、生成したドデカノイック酸がさらに1-ドデカノールとの間でエステル反応が生じたり、溶媒との間でエステル交換反応が進行し、ドデカノイック酸ドデシル及びドデカノイック酸エチルが副生した。
(実施例2)
原料としての第1アルコールとして1-オクタノール(50 mg)を用いた。他は実施例1と同様であり説明を省略する。こうして目的のオクタノイック酸(43.7mg, 79 %)を得た。
(実施例3)
原料としての第1アルコールとして1-ヘキサノール(50 mg)を用いた。他は実施例1と同様であり説明を省略する。こうして目的のヘキサノイック酸(30.6mg, 74%)を得た。
<臭素化合物としてアリルブロマイドを用いた光酸素化反応>
(実施例4)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(44.4 mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,アリルブロマイド(0.3当量)を加える。スターラーで撹拌しながら,酸素風船1を取付け、酸素雰囲気下、太陽光ランプ(500 W) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(48.0 mg, 90.0 %)を得た。
<臭素化合物としてMgBr2を用いた光酸素化反応>
(実施例5)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(55.9 mg, 0.3 mmol)を酢酸エチル(5ml)に溶解し,MgBr2・OEt2 (0.2 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的のドデカノイック酸(50.4mg, 84 %)を得た。
(実施例6)
原料としての芳香族アルカンとして4-tert-butyltoluene(44.5mg, 0.3 mmol)を用いた。他は実施例5と同様であり説明を省略する。こうして目的の4-tert-butylbenzoic acid (52.3 mg, 98 %)を得た。
(実施例7)
Pyrex(登録商標)フラスコ中で4-tert-butyltoluene(148.2g, 1 mol)を酢酸エチル(1 L)に溶解し,MgBr2・OEt2(0.125equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4 )を208時間照射する。その後、実施例6と同様の操作を行い、目的の4-tert-butylbenzoic acid(149.6 g, 84 %)を得た。
(実施例8)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(44.5 mg, 0.3 mmol)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,金属Mg(0.2equiv.)を加えたのち,Br2(0.2 equiv.) を滴下する。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、撹拌しながら蛍光灯(22Wx4)を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(43.4 mg, 81 %)を得た。
この結果から、マグネシウム金属と臭素との反応でMgBr2を合成し、これを触媒として光酸素化反応を行うことも可能であることが分かった。
(実施例9)
実施例9では光照射の際に撹拌を行わなかった。その他は実施例8と同様であり、説明を省略する。こうして、目的の4-tert-butylbenzoic acid(43.6 mg, 82 %)を得た。この収率は、撹拌を行いながら光照射した実施例8とほぼ同じであり、撹拌を行わなくても光酸素化反応は円滑に進行することが分かった。
(比較例1)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(44.5 mg, 0.3 mmol)を酢酸エチル(5ml)に溶解し,Br2(0.2 equiv.) を滴下する。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4 )を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(23.3 mg, 44 %)を得た。この収率は、実施例9と比較して劣っており、Br2よりもMgBr2のほうが光酸素化反応の触媒として優れていることが分かった。
(実施例10)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(0.3 mmol)を酢酸エチル(5ml)に溶解し,金属Mg(0.2 equiv.)を加えたのち,Br2(0.07 equiv.) を滴下する。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4 )を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的のドデカノイック酸(30.4mg, 51%)を得た。
(比較例2)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(0.3 mmol)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,Br2 (0.07equiv.)を加える。その後、実施例10と同様の操作を行い、目的のドデカノイック酸(21.5 mg,36 %)を得た。この収率は、実施例10と比較して劣っており、Br2よりもMgBr2のほうが光酸素化反応の触媒として優れていることが分かった。
<臭素化合物としてCBr4を用いトリフェニルホスフィンを添加した光酸素化反応>
(実施例11)
Pyrex(登録商標)試験管中でベンジルアルコール(32.4 mg)をアセトニトリル(5ml)に溶解し,CBr4 (0.1 equiv.)と PPh3 (0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の安息香酸(35.0mg, 96%)を得た。
(実施例12)
原料としての第2アルコールとして、4−ニトロベンジルアルコール(45.9 mg)を用いた。その他は実施例11と同様であり、説明を省略する。こうして目的の4−ニトロ安息香酸(48.0 mg, 96 %)を得た。
(実施例13)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(50 mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,CBr4 (0.1 equiv.)とPh3P(0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(54.0 mg, 90 %)を得た。
(実施例14)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(14.8 g)を酢酸エチル(300 ml)に溶解し,CBr4(0.05 equiv.)とPh3P(0.01 equiv.)を加える。その後、実施例13と同様の操作を行い、目的の4-tert-butylbenzoic acid(15.1 g, 85 %)を得た。
<臭素化合物としてCBr4を用いBINAPを添加した光酸素化反応>
(実施例15)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(50.0mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,CBr4(0.1 equiv.) とBINAP(2,2’-Bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl, 0.1 equiv.)を加える。スターラーで撹拌しながら,酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(60.1 mg, 100 %)を得た。
(実施例16)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-Dodecanol(50.0 mg)をアセトニトリル(5 ml)に溶解し,CBr4 (0.05 equiv.) とBINAP(0.05 equiv.)を加える。スターラーで撹拌しながら,酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、,蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(39.4 mg, 73.0 %)を得た。
<ヨウ素化合物としてCI4を用いた光酸素化反応>
(実施例17)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butylbenzylalcohol(49.0mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,CI4 (0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x4) を10時間照射する。反応溶媒を留去後,残査をpreparative TLCにて精製し,目的の4-tert-butylbenzaldehyde(23.6 mg, 48 %)を得た。
(実施例18)
実施例18では第1アルコールとしてcinnamylalcohol(50 mg)を用いた。その他は実施例17と同様であり、説明を省略する。こうして、目的のcinnamaldehyde(18.1mg, 45 %)を得た。
<ヨウ素化合物としてI2を用いトリフェニルホスフィンを添加した光酸素化反応>
(実施例19)
実施例19では、Ph3P(0.1 equiv.)を反応促進剤として加えた。その他は実施例14と同様であり説明を省略する。こうして目的の4-tert-butylbenzaldehyde(30.3 mg, 62 %)を得た。この収率はPh3Pを添加しなかった実施例16の48%よりも優れており、Ph3Pが光酸素化反応の促進剤となることが分かった。
(実施例20)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butylbenzylalcohol(49.8 mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,I2 (0.1 equiv.) とPh3P(0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去後,残査をpreparative TLCにて精製し,目的の4-tert-butylbenzaldehyde(34.4 mg, 70 %)を得た。
(比較例3)
比較例3では、反応系にPh3Pを添加しなかった。その他は実施例20と同様であり、説明を省略する。こうして、目的の4-tert-butylbenzaldehyde(30.1 mg, 61 %)を得た。この収率は、実施例20と比較して劣っており、Ph3Pの添加が光酸素化反応の促進剤として効果があることが分かった。
(実施例21)
Pyrex(登録商標)試験管中でcinnamylalcohol(40.1mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,I2 (0.1 equiv.) とPh3P(0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去後,残査をpreparative TLCにて精製し,目的のcinnamaldehyde(25.4mg, 64 %)を得た。
(比較例4)
比較例4では、反応系にPh3Pを添加しなかった。その他は実施例21と同様であり、説明を省略する。こうして、目的のcinnamaldehyde(22.9mg, 57 %)を得た。この収率は、実施例21と比較して劣っており、Ph3Pの添加が光酸素化反応の促進剤として効果があることが分かった。
<CBr4用いた光酸素化反応におけるホスフィン類及び光増感剤の効果>
ホスフィン類の添加効果
(実施例22)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butylbenzylalcohol(50mg)をアセトニトリル(5 ml)に溶解し,CBr4 (0.1 equiv.)とPPh3(0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の安息香酸(34.2mg, 94 %)を得た。
(実施例23)
実施例23ではPPh3(0.1 equiv.)を加えなかった。その他は実施例22と同様である。その結果、安息香酸生成の収率は、平均で40%程度となった。
(実施例24)
Pyrex(登録商標)試験管中で4-tert-butyltoluene(50mg)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,CBr4 (0.1 equiv.)とPh3P(0.1 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、,蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,目的の4-tert-butylbenzoic acid(54.0 mg, 90 %)を得た。
(実施例25)
実施例25ではPPh3(0.1 equiv.)を加えなかった。その他は実施例24と同様である。その結果、4-tert-butylbenzoic acidの収率は、平均で40%程度となった。
上記実施例22と実施例23との比較、及び実施例24と実施例25の比較から、PPh3
は本発明の光酸素化反応において反応促進剤として効果的であることが分かった。
光増感剤の添加効果
(実施例26)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(50 mg)をアセトニトリル(5 ml)に溶解し、CBr4 (0.1equiv.),ビフェニル(0.1 equiv.)を加える。そして、図1に示すように酸素風船1を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4)の光を10時間照射した。反応溶媒をエバポレータにて留去し、残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し、目的のドデカノイック酸(34.0mg, 63 %)を得た。
(実施例27)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(50 mg)をアセトニトリル(5 ml)に溶解し、CBr4 (0.1equiv.),ベンゾフェノン(0.1 equiv.)を加える。そして、図1に示すように酸素風船1を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4)の光を10時間照射した。反応溶媒をエバポレータにて留去し、残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し、目的のドデカノイック酸(27.5 mg, 51 %)を得た。
(実施例28)
Pyrex(登録商標)試験管中で1-ドデカノール(50 mg)をアセトニトリル(5 ml)に溶解し、CBr4 (0.1equiv.)を加える。そして、図1に示すように酸素風船1を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4)の光を10時間照射したが,反応はほとんど進行しなかった。
ビフェニルを添加した実施例26及びベンゾフェノンを添加した実施例27では、ドデカノイック酸が高収率で得られたのに対し、これらの光増感剤を添加しなかった実施例27では、ドデカノイック酸がほとんど得られなかった。これらの結果から、光増感剤の添加が本発明のカルボニル化合物の製造方法において、効果的であることが分かった。
<各種の金属臭化物を用いた光酸素化反応>
どのような金属臭化物がカルボニル化合物を合成するための光酸素化反応に有効であるかを調べるため、各種の金属臭化物について、4-tert-butyltoluene及び1-dodecanolの光酸素化反応を行った。操作は次のとおりである。
Pyrex(登録商標)試験管中で基質(0.3 mmol)を酢酸エチル(5 ml)に溶解し,金属臭化物(0.2 equiv.)を加える。酸素風船を取付け、酸素雰囲気下、蛍光灯(22W x 4) を10時間照射する。反応溶媒を留去,残査をエーテルに溶解し分液ロートに移した後,水酸化ナトリウム水溶液を加えて生成物を水層に移す。水層を塩酸酸性とした後エーテルで抽出し,相当するカルボン酸を得る。
Figure 0005360668
その結果、表1に示すように、極めて広範囲の金属臭化物が光酸素化反応に有効であることが分かった。その中でも、MgBr、CaBr及びランタノイド元素の臭化物が特に優れていることが分かった。
本発明のカルボニル化合物の製造方法によってカルボニル化合物を製造すれば、原料の無駄が少なくて廃棄物がほとんど発生せず、環境問題を引き起こすおそれが少なく、広範な化合物を基質として利用することができる。
1…試験管
2…酸素風船

Claims (2)

  1. 基質としての第1アルコール、第2アルコール又は芳香族アルカンに対し、CI の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
  2. 基質としての第1アルコール、第2アルコール又は芳香族アルカンに対し、CI 、並びに、ホスフィン類及び/又は光増感剤の少なくとも1種の存在下で光を照射しながら酸素と接触させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
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