JP2009023916A - 2,5−フランジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる2,5−フランジカルボン酸の製造方法は、水溶液中、アルカリ性環境下における2−カルボキシ−5−ホルミルフラン(以下、CFFと略す)に対するカニッツァーロ反応により2,5−フランジカルボン酸(以下、FDCAと略す)を製造する方法であって、
前記カニッツァーロ反応が実施される水溶液中に、触媒及び酸化剤を添加し、前記反応で副生する5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(以下、HMFAと略す)を酸化してCFFに戻し、前記カニッツァーロ反応に供することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
水溶液中、アルカリ性環境下におけるCFFに対するカニッツァーロ反応によりFDCAを製造する方法であって、
前記カニッツァーロ反応が実施される水溶液中に、触媒及び酸化剤を添加し、前記反応で副生するHMFAを酸化してCFFに戻し、前記カニッツァーロ反応に供することを特徴とする。
(i)CFFに対するカニッツァーロ反応によりFDCA及びHMFAを生成する反応と、
(ii)前記HMFAを触媒存在下で酸化剤により酸化してCFFを生成する反応
とが同時並行的に進行している。
この結果、本発明に係るFDCAの製造方法では、副生成物であるHMFAを触媒により酸化してCFFへと戻すことにより、HMFAの蓄積を抑え、目的生成物であるFDCAの生成量を増加させることができる。
以上の反応が、5−HMFをカニッツァーロ反応及び触媒存在下における酸化剤による酸化反応が起きる条件下での主な反応である。したがって、5−HMFを所定の条件下におけば、CFFが生成される方向、つまり、FDCAが生成される方向に反応が進み、FDCAを高収率で製造することができる。
CFF0.2gを濃度が1.0重量%となるように水酸化ナトリウム0.57g及び水を加え、CFF水溶液を調製する。このとき、CFFに対して水酸化ナトリウムは10当量分となる。調製したCFF水溶液を常温常圧下で攪拌し、反応をおこなった。46時間反応後、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)によりえ、FDCA及び副生成物(HMFA)の生成率ならびにCFFの残存率を算出したところ、FDCAの生成率は18.6%、HMFAの生成率は14.8%、CFFの残存率は62.6%であった。
水酸化ナトリウムの添加量をCFFに対して20当量とし、他の条件は参考例1と同様の条件にて反応をおこなった。結果として、FDCAの生成率は38.1%、HMFAの生成率は34.2%、CFFの残存率は31.0%であった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOのモル比を1/1/1の割合とし、それぞれ0.25g、0.17g、0.17gずつ量り取り(CFFに対してそれぞれ約0.3当量)、5分間触媒を懸濁させた後、10M水酸化ナトリウム水溶液を0.07ml添加し、溶液をアルカリ性にした。このとき、水酸化ナトリウムはCFFに対して0.2当量となる。この水溶液に対し、CFFを0.5g添加し、CFF濃度が1.0重量%となるよう水を加えて調製した。この溶液をバブリングすることにより酸化反応をおこなった。反応温度は25℃でおこなった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOを0.41g、0.28g、0.28gずつ量り取り(CFFに対してそれぞれ約0.5当量)、10M水酸化ナトリウム水溶液を3.5ml(CFFに対し10当量)とし、他の条件(反応時間を除く)は実施例1と同条件にして反応を行った。10時間のバブリング後、FDCAの生成率は71.7%、CFFの残存率は6.7%であった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOを0.57g、0.40g、0.40gずつ量り取り(CFFに対してそれぞれ約0.7当量)、10M水酸化ナトリウム水溶液を3.5ml(CFFに対し10当量)とし、他の条件(反応時間を除く)は実施例1と同条件にして反応を行った。10時間のバブリング後、FDCAの生成率は88.3%、CFFの残存率は0.8%であった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOのモル比を1/1/1の割合で、それぞれ0.10g、0.07g、0.07gずつ量り取り(5−HMFに対してそれぞれ約0.1当量)、5分間触媒を懸濁させた後、10M水酸化ナトリウム水溶液を1.5ml添加して溶液をアルカリ性にした。このとき、水酸化ナトリウムは5−HMFに対して2.0当量となる。この水溶液に対し、5−HMFを0.5g添加し、5−HMFの濃度が1.0重量%となるよう水を加えて調製した。この溶液を反応温度25℃でエアーバブリングすることにより酸化をおこなった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOを0.27g、0.19g、0.19gずつ量り取り(5−HMFに対してそれぞれ約0.3当量)、10M水酸化ナトリウム水溶液を1.5mlえ(5−HMFに対して2.0当量)とし、他の条件(反応時間を除く)は参考例3と同条件にして5−HMFの酸化をおこなった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOを0.45g、0.31g、0.31gずつ量り取り(5−HMFに対してそれぞれ約0.5当量)、10M水酸化ナトリウム水溶液を0.8ml(5−HMFに対して1.0当量)とし、他の条件(反応時間を除く)は参考例3と同条件にして5−HMFの酸化をおこなった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOのモル比を1/1/1の割合で、それぞれ0.45g、0.32g、0.32gずつ量り取り(5−HMFに対してそれぞれ約0.5当量)、5分間触媒を懸濁させた後、10M水酸化ナトリウム水溶液を4.0ml添加して溶液をアルカリ性にした。このとき、水酸化ナトリウムは5−HMFに対して5.0当量となる。この水溶液に対し、5−HMFを0.5g添加し、5−HMFの濃度が1.0重量%となるよう水を加えて調製した。この溶液をエアーバブリングすることにより酸化をおこなった。
10M水酸化ナトリウム水溶液を0.8ml(水酸化ナトリウムは5−HMFに対して1.0当量となる)とし、他の条件は実施例4と同じようにして反応を開始した。
実施例5において追加して添加する10M水酸化ナトリウム水溶液の量を3.2mL(水酸化ナトリウムは使用した5−HMFに対して4.0当量)一度に添加することとし、他の条件(10M水酸化ナトリウム水溶液の追加後の反応時間は除く)は実施例5と同条件にして反応を行った。
実施例6において追加して添加する10M水酸化ナトリウム3.2mlを毎時0.8mlの速度で4時間かけて少量ずつ添加しながらバブリングすることとし、他の条件(10M水酸化ナトリウム水溶液の追加後の反応時間は除く)は実施例6と同条件にして反応をおこなった。
5−HMF濃度を5.0重量%に調製し、他の条件(10M水酸化ナトリウム水溶液の追加後の反応時間は除く)は実施例6と同条件にして反応をおこなった。
臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、TEMPOのモル比を1/1/1の割合で、それぞれ0.45g、0.31g、0.31gずつ量り取り(5−HMFに対してそれぞれ約0.5当量)、5分間触媒を懸濁させた。その後、10M水酸化ナトリウム水溶液を添加せずに、5−HMFを0.5g添加し、5−HMF濃度が1.0重量パーセントとなるよう水を加えて水溶液を調製した。この溶液を反応温度25℃でエアーバブリングすることにより酸化をおこなった。
Claims (16)
- 水溶液中、アルカリ性環境下における2−カルボキシ−5−ホルミルフラン(以下、CFFと略す)に対するカニッツァーロ反応により2,5−フランジカルボン酸(以下、FDCAと略す)を製造する方法であって、前記カニッツァーロ反応が実施される水溶液中に、触媒及び酸化剤を添加し、前記反応で副生する5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボン酸(以下、HMFAと略す)を酸化してCFFに戻し、前記カニッツァーロ反応に供することを特徴とするFDCAの製造方法。
- 前記CFFが、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、5−HMFと略す)を出発物質として前記溶液中で生成されることを特徴とする請求項1に記載のFDCAの製造方法。
- 前記5−HMFから前記CFFを生成する過程において、2,5−ジホルミルフラン(以下、DFFと略す)及びHMFAを経由することを特徴とする請求項2に記載のFDCAの製造方法。
- 前記5−HMFから前記CFFを生成する主な生成経路が、
前記5−HMFを触媒存在下で酸化剤により酸化してDFFを生成する経路と、
該DFFに対するカニッツァーロ反応によってCFF及び5−HMFを生成する経路とからなることを特徴とする請求項3に記載のFDCAの製造方法。 - 前記DFFに対するカニッツァーロ反応により生成される前記5−HMFを、触媒存在下で酸化剤により酸化して再びDFFを生成することを特徴とする請求項4に記載のFDCAの製造方法。
- 前記5−HMFから前記CFFを生成する主な生成経路が、
前記5−HMFに対するカニッツァーロ反応によってHMFA及び2,5−ジヒドロキシメチルフラン(以下、DHMFと略す)を生成する経路と、
該HMFAを触媒存在下で酸化剤により酸化してCFFを生成する経路とからなることを特徴とする請求項3に記載のFDCAの製造方法。 - 前記5−HMFに対するカニッツァーロ反応により生成されるDHMFを、触媒存在下で酸化剤により酸化して再び5−HMFを生成することを特徴とする請求項6に記載のFDCAの製造方法。
- 前記5−HMFから前記CFFを生成する主な生成経路が、
請求項4乃至7のいずれかの請求項に記載のCFFを生成する経路の組み合わせからなることを特徴とするFDCAの製造方法。 - 前記触媒が、臭化第二銅、2,2’−ビピリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシからなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかの請求項に記載のFDCAの製造方法。
- 前記酸化剤が、酸素又は酸素を含む空気であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの請求項に記載のFDCAの製造方法。
- 前記アルカリ性環境は、前記CFFに対して1.0当量以上30当量以下のアルカリを添加されてなることを特徴とする請求項1に記載のFDCAの製造方法。
- 前記アルカリ性環境は、前記5−HMFに対して1.0当量以上30当量以下のアルカリを添加されてなることを特徴とする請求項2乃至10のいずれかの請求項に記載のFDCAの製造方法。
- 前記アルカリを、反応途中で追加することを特徴とする請求項12に記載のFDCAの製造方法。
- 前記アルカリを、前記5−HMFが全て消費された時点で追加することを特徴とする請求項12に記載のFDCAの製造方法。
- 予め反応に用いる溶液に加えるアルカリの量に対する追加するアルカリの量の比が2以上であることを特徴とする請求項13又は14に記載のFDCAの製造方法。
- 前記アルカリが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれかの請求項に記載のFDCAの製造方法。
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